かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

四日市旧港防波堤/潮吹き防波堤(三重県四日市市)

2013-07-28 | まちかどの20世紀遺産

四日市港の北側に、明治初期に整備された四日市旧港があります。
半円形の輪郭を描く石造りの防波堤は、明治27年人造石工法で名高い服部長七の施工によって補修されたもので、「潮吹き防波堤」として知られています。

これは世界でも珍しい透過式防波堤で、前堤を乗り越えた波を受け止める後堤には49個の窓があけられ、波があたるとこの窓から海水が吹き上がり、波の勢いを減殺させる構造になっています。 
防波堤の設計は、当時四日市築港計画を作成したオランダ人土木技師ヨハネス・デ・レーケと言われていますが、名古屋港の護岸工事も人造石で手がけた、服部長七の設計施工ということも考えられるようです。

現在は防波堤の窓の奥がふさがれ海水が入らないため、潮吹きの光景は残念ながら見ることはできません。
近代の港湾施設として初めて重要文化財指定を受けた「潮吹き堤防」、その役目は終えましたが、ぜひ旧状を復元して、その名のとおり堤防の窓からいっせいに潮が吹き上がる様子を見てみたいものです。 


◆四日市旧港防波堤(潮吹き防波堤)/三重県四日市市大脇町1
 竣工:明治27年(1894)→昭和30年(1955)護岸化
 施工:服部長七
 構造:石造(服部人造石工法)
 撮影:2013/05/04
 ※国指定重要文化財 


■美しい石積みの堤防に等間隔に五角形の窓が並ぶ姿は、100年以上を経た現在も当時のまま保たれています。
あの窓から一斉に潮が噴き上がる光景はもう二度と見られないのでしょうか?残念です~



■石垣に穿たれたずらりと並ぶ窓は、近代の要塞を連想させるものがあります



■潮吹き防波堤を望む稲葉翁記念公園に建立された「稲葉三衛門君彰功碑」/明治36年
稲葉三衛門は明治初期、私財を投じて四日市旧港を建設し近代港湾の礎を築いた
 



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