最近の天気予報は凄い、昨夜も予報通り九時頃に雪になり、すぐに吹雪いて来た。
一件仕事を終え、九時半に外に出るともうあたり一面真っ白になっていた。
これがいつも来ている家の周りの景色なのか、疑うほどの雪景色に圧倒された。
同時に内心物凄く嬉しくなっていた。
なんかワクワクしていた。
去年はインドに居たし、こんな雪景色、久しぶりだった。
さて、もうお分かりの人もいるかもしれない、自分はこの雪のなか、あんと散歩に行くのがすでに楽しみでしょうがなくなっていた。
そして、車の運転もほんとうに注意しながら、仕事場まで戻ってきた。
十時になり、タイムカード押して、自転車に乗って帰ってきた。
雪のなかの自転車も楽しかった。
この道に先には楽しい散歩が待っているところへ繋がっていることを感じながら、ペダルを必死にこいだ。
もちろん、滅多に見れない雪景色も楽しんだ。
一回ぐらいは転ぶかなと思いながら帰ってきたが、これがなかなか調子良く走り、転ぶことなく帰ってきた。
だが、一度だけチェーンが外れた。
家に着き、あんはいつものようにコタツのなかで寝ていて、お迎えに来てくれない、この間に晩酌やお風呂の用意などするのである。
昨日は石坂に電話しみた。
「何している?」
「風呂入っているよ」
「そっか、んじゃ、まぁ、散歩行こう!凄い雪だぜ!」
「雪は知っているけどよ。チョコ{ミニチュアダックス}はさ・・・」
「チョコは雪ダメか?」
「あんは柴犬だから大丈夫だけど」
「そうか、残念だな、こんな雪、滅多にないよ。んじゃ、ちょっとあんと散歩に行って来るよ。またね」
「おぉ~、またな」
石坂とチョコも居れば、あんは大喜びになると思い、誘ってはみたが残念ながら無理だった。
あんはこんなに雪の降っている夜に出かけるのは生まれて初めてだろう、家を出た瞬間少し固まった。
だが、すぐにブルブルして雪の上を歩き始めた。
歩き始めると足に感じるその感触が面白いようでじゃれ始めた。
あんは草の上、枯葉の上、土の上、砂の上に続いて、大好きなった雪の上を大喜びで走り回った。
時折あんもきっと驚いたのだろう、毎日見てきた世界がいつもとまったく違っていることに頭をかしげていたように見えた。
それはそうだろう、夜なのに不思議なほどあたり一面明るかった。
そして、もう一つ違うのは音、あんは聞いたことのない音を聞いていた。
雪が雪に落ちる音。
あんは降って来る雪を捕まえようとしたが、雪に落ちた雪を見つけることが出来なくて戸惑っていた、でも、自分が笑っているので、また雪を捕まえようとしていた。
それを見て、また自分は笑っていた。
{つづく}