多摩川のグランドはあまり混んでいなく、ゆっくりと花火を見るのにはやっぱり良かった。観に来ている人たちは密接することなく、のんびりとしていた。
自分たちの近くに赤いワンピースを着たおばちゃんが前と後ろにかごのある自転車をその場まで乗ってきて、独りで花火を見ていた。
周りを見回しても、そこまで自転車を乗ってくる人はいなく、コントのような現れ方をした。
花火も気になるが、そのおばちゃんも気になった。気になることの理由をおばちゃんは次々発信してきた。
両足を伸ばして、扇子を振りながら、周りのことお構いなしに独りでずっと歌っていた。シャンソンを歌っているみたいだった。まるでコントのような一場面だった。彼女は彼女の世界に酔いしれ、気分がとても良さそうだった。
自分たちはそのBGMを聞きながら、酒を飲み、話しが盛り上がり、花火を見上げていた。
雨もやっぱり降った。しかし、運良くぽつぽつとだけだった。終わってから、少し音を立てて降って来た。慌てて片づけを急いでいると、そのおばちゃんが自分たちに話しかけてきた。
「もう花火はお終いなの?昔はもっとやったのにね。9時半ぐらいまでやっていたのにね。もう終わったの。」
まだシャンソンを歌い足らないのか。雨が嫌だったのか。もっと花火を見たかったのか。
夜空に描かれていた花が消え、気持ち良い時間に終わりが告げられ、物足りぬ顔をして話していた。そこで彼女は記憶を変えた。花火は九時半頃までやっていたことはない。九時までも、今までやったことはない。
しかし、彼女の満足が満たされない気持ちから、勝手に自分の都合の良いように記憶を変えていた。それを口にすることで家まで帰る気持ちを整えていたのかもしれない。
花火よりインパクトのある赤いワンピースを着たおばちゃんだった。コントは現実から生まれる。面白かった。
自分たちの近くに赤いワンピースを着たおばちゃんが前と後ろにかごのある自転車をその場まで乗ってきて、独りで花火を見ていた。
周りを見回しても、そこまで自転車を乗ってくる人はいなく、コントのような現れ方をした。
花火も気になるが、そのおばちゃんも気になった。気になることの理由をおばちゃんは次々発信してきた。
両足を伸ばして、扇子を振りながら、周りのことお構いなしに独りでずっと歌っていた。シャンソンを歌っているみたいだった。まるでコントのような一場面だった。彼女は彼女の世界に酔いしれ、気分がとても良さそうだった。
自分たちはそのBGMを聞きながら、酒を飲み、話しが盛り上がり、花火を見上げていた。
雨もやっぱり降った。しかし、運良くぽつぽつとだけだった。終わってから、少し音を立てて降って来た。慌てて片づけを急いでいると、そのおばちゃんが自分たちに話しかけてきた。
「もう花火はお終いなの?昔はもっとやったのにね。9時半ぐらいまでやっていたのにね。もう終わったの。」
まだシャンソンを歌い足らないのか。雨が嫌だったのか。もっと花火を見たかったのか。
夜空に描かれていた花が消え、気持ち良い時間に終わりが告げられ、物足りぬ顔をして話していた。そこで彼女は記憶を変えた。花火は九時半頃までやっていたことはない。九時までも、今までやったことはない。
しかし、彼女の満足が満たされない気持ちから、勝手に自分の都合の良いように記憶を変えていた。それを口にすることで家まで帰る気持ちを整えていたのかもしれない。
花火よりインパクトのある赤いワンピースを着たおばちゃんだった。コントは現実から生まれる。面白かった。