カレーを配る場所ではブラザーベネディクトがおじさんたちに何かを話していた。
持っていた小さなダンボールを彼が開けると、なかにはプラスティックの券が入っていた。それをおじさんたちに配り、カレーを作ってきた数だけ配り、最後になってから、もらえなかった人がいなくなるようにし、割り込んでくる人もなくなるようにするとのことだった。
彼は昨日シスター{西新井MC}からもらったと言いながら、そのプラスティックの券の数を行き成り数え始めた。
彼は誰にもそうしたことをすると事前に話すこともなかった。
すでにおじさんたちは長い時間列を作り待っている。施設で今日はチケットを配ってみたいとでも話していれば、どういう風にしようかと話し合えたのだが、それをせずに始めた。
「ブラザー、今日は無理だよ。みんな、もう並んでいるし、来週からにしよう。」彼に言った。
「数えて。数えて。」周りを見ることなく、彼一人チケットを持ち、数えていた。
他のボランティアもその行動に少し驚いていた。
そこでノアスが言葉荒立てることなく、ゆっくりとした口調で、彼に来週からやることにしようと話してくれた。
ノアスが居てくれて良かったと思った。ほっとした。
おじさんたちには来週からチケットを配るということを伝え、挨拶をしていった。
{つづく}