8月9日。
ダイアリーの8月のページ 必ず印しをつける その日・・
直江 庸介様
あなたの誕生日ですね。
亡くなった人の“お誕生日”って おかしいですか?
いいえ
あなたは今も たしかにここにいるから
私の心の中に
8月9日・・夏なんだ。あ、だからボート?
無邪気につぶやく倫子を優しく見つめる瞳
「そうだ!今度の誕生日、私が先生のことボートに乗せてあげます。それまでしっかり練習しておきますから。」
「楽しみにしてる。」
そういって、微笑む茶色い瞳
優しい嘘
けして叶うことのない8月9日
だから毎年、印がつけられるのかもしれない
あなたを想いながら
過ごす夏の日
― 白い影 2001 ―