Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

締めつけの強まる社会

2013-12-13 | Weblog
自民党石破幹事長が表明した、特定秘密保護法に指定された情報を報道機関が報じることについての「疑念」。さらにその詳細がわかった。
石破氏は「処罰対象にならない」と断った上で、「外へ出すと、国の安全に大きな影響があると分かっているのに報道する。(その結果)大勢の人が死んだとなれば『それはどうだろう』となる」。
つまり、「報道したことで人が死ぬ」と恫喝しているのだ。
「報道機関に抑制を求めたものではないのか」という質問に対しては、「抑制は求めない。それをどのようにご判断になるかということだ」と言っている。現状では間接的な表現に留めているが、明らかに報道機関に自己規制を求めたものである。
私たちが憲法を遵守するなら、万が一自衛隊が海外の作戦に参加させられたさい、他国の人民を抑圧する行為に加担しないように見張る責任がある。それはきちんと報じられ、国内世論での討議となるべきだ。しかしそれが「作戦の存在を明らかにしてしまう」=「作戦が露見したせいで自衛隊員の生命に危機を及ぼす」と言いつのられた場合、「秘密」にしないで報道したことが責任問題にされるぞと脅しをかけられているのだ。マスコミはなぜ反発しないのか。

方清子(パンチョンジャ)さんが共同代表を務める市民団体「日本軍『慰安婦』問題・関西ネットワーク」が、大阪市浪速区の大阪人権博物館(リバティおおさか)を使用する仮予約をしていたが、集会の名称を記した申請書を提出した時、職員から「このままでは許可を出せません」と断られたという。「リバティ」「人権」を名乗る施設でだ。何という皮肉!
市民団体が主催した集会や講演が、「政治的」という理由で会場使用を断られる事例が大阪市内で相次いでいるという。
特定秘密保護法以前の段階で「表現の自由」を遮る事態が多発している。しかも職員の「自粛」という形でだ。どうかしている。

埼玉県越谷市議会・辻浩司市議は特定秘密保護法案の慎重審議を求める意見書案を同市議会に提出しようとしたが、議会運営委員会の自民・公明の委員、「緊急性なし」と反対。辻市議の「なぜ緊急性がないと考えるのか」という問いへの答はなく「緊急性なし」を説明できなかった。しかし委員会は全会一致を見られなかったとして提出を了承せず、辻議員は「自民、公明の不当な反対で阻止された」と、短文投稿サイト「ツイッター」に投稿。激怒した自公両会派が辻市議に「反省を求める」決議案を提出。自公の対応に市民からは批判の声も上がったが、「反省を求める」決議案は賛成多数で可決されたという。
「特定秘密保護法」下では「反対意見の言えない社会」に向かうということだ。

今月成立した改正生活保護法では、生活保護受給者の親子や兄弟に扶養義務があると定められており、生活保護の申請者の親族が扶養できるとみられるのに応じない場合、自治体が親族に説明を求めることができる。
大阪市は生活保護受給者11万8千世帯を対象に親族の勤務先などを調べ、市職員156人が含まれていることを確認した。そのうえで生活保護費の受給者の親族に市職員がいる場合、受給者への仕送りを職員に求めていく方針を発表。金額についても独自の目安を定めた。仕送りをしていたのは現在13人だったという。
金額の目安は、職員の親が受給者の場合、最高で月6万1千円。職員と離婚した元妻の母子家庭が受給者の場合、年収630万円の職員なら月額6万~10万円、年収1千万円なら10万~14万円。年収などに応じて最大月20万円の援助基準額を設けた。細かく決まっている。担当者は「あくまでも仕送りが可能な場合の目安であって、仕送りを生活保護の受給条件にはしない」と説明しているが、「仕送り額を引いた生活保護費を支給する」と定められているため、応じない職員が「市の財政緊縮に協力しない」として批判されるのは必至。厚生労働省さえ「強制と受け取られかねず、家庭環境なども考慮する必要がある」と指摘している。
来年7月の改正生活保護法施行後、市は職員以外の親族にも今回の目安に基づいて仕送りを「打診」するという。一般の大阪市民もまた「市の財政を不当に圧迫している」と非難を受けることになるわけか。

厚生労働省は、低迷する国民年金保険料の納付率向上に向け、国民年金保険料を指定された期限までに納付しない滞納者全員に対し、財産差し押さえを予告する督促状を送る方針を固めたという。納付率(2012年度59.0%)は4年連続で目標の60%を下回っているため、もはやなりふり構わないということか。
督促状が届くと同時に延滞金が課されることになる。督促期限までに納付すれば財産差し押さえは行わないというが延滞金は最大年利14.6%という。雪だるま式に「国に対する借金」が増えていくということだ。納付期限後に督促状を受け取り、その指定期限後も払わない人が対象で、12年度は約3万4000人。しかし一度も年金を払っていない人などは督促状ももらっていないわけで、その「不公平」を是正するために通常の納付期限を過ぎた人全員に延滞金を求めるのが同省の検討案ということになる。
なぜ年金の未納が減らないのか? それは現在の日本の「貧困」の現状の中にあるわけで、未納の理由は「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が71.4%と群を抜いてトップ。徴収強化策よりも「貧困」「格差」の解消のほうが重要だということがわかっていないのだろう。
年金は実質「課税」と同じである。過去の未納分をさかのぼって払える期限を2年から10年に延長する時限措置の恒久化も、「十年分搾り取ろう」ということなのだ。低所得の人に日本年金機構が職権で保険料を免除する制度も検討するというが、生活保護同様の「矛盾」と「足切り」の混乱が出てくる。

東電福島第一原発事故から9カ月間の緊急作業時に働いた約2万人のうち、白血病の労災認定基準「年5ミリシーベルト以上」の被曝(ひばく)をした人が約1万人にのぼることが、東京電力が7月に確定した集計からわかったという。
白血病は年5ミリ以上被曝した人が作業開始から1年過ぎた後に発病すれば認定される。2011年に働いた1万9592人の累積被曝線量は平均12・18ミリで、約5割にあたる9640人が5ミリ超の被曝をしているらしい。彼らは白血病を発病すれば労災認定されるが、作業員の多くは労災基準を知らないという。今年6月末には5ミリ超の被曝をした人は累積で1万3667人に増加している。

日比谷野音集会と国会請願、銀座デモを主催した超党派の人たちが、秘密保護法案を廃案へ持って行く運動を始めている。党派や労働団体の枠を超え、市民誰もが参加できるという。
そうした動きに対して自民党・西田昌司議員は「国会の前で太鼓を叩いて抗議しているお祭り騒ぎの人たちは、いろんな団体から駆り出され、日当が出ている」と発言。
個人の立場で手弁当で参加する市民のひたむきな運動を愚弄する、許し難いデマ発言である。
普天間ゲート前や高江で反基地の運動をしている人たちにも「日当が出ている」とデマが出たことがあるが、本当に汚い虚偽宣伝である。

日米の有識者でつくる「沖縄クエスチョン行動委員会」が12日、ワシントンで記者会見し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題に関する報告書を発表。名護市辺野古沿岸部を埋め立てて代替施設を造る現行の日米合意は現実的ではないとして、同市にある既存の米軍キャンプ・シュワブ内に小型のヘリポートを建設する計画に修正するよう求めたという。座長を務めるジョージ・ワシントン大のマイク・モチヅキ教授は「仲井真弘多沖縄県知事が辺野古埋め立てを許可したとしても、基地建設は草の根の抵抗運動で泥沼化する」と指摘。「抑止力を保つのに海兵隊の大規模駐留は必要ない」として、安倍晋三首相に計画見直しを求めている。
これも一見もっともらしいが、市民の反対のしようのない基地の中での工事でオスプレイ対応のヘリポート基地が作られることは、高江はじめ北部演習場の訓練を推進することになり、なんら米軍活動の抑制にはなっていない。
普天間基地の無条件返還とオスプレイ廃絶を、引き続け求めたい。
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『普天間』ツアー終盤

2013-12-13 | Weblog
九月から九州ブロック・関西ツアーを経て、今は神奈川県下を巡演している青年劇場『普天間』を、エポック中原で観る。昨年末の沖縄公演以来一年ぶりに本番を観たわけだ。作者の手を離れて生き続ける舞台。スタッフ・キャストの集中力の持続には頭が下がる。そして、照明家の和田東史子さんが言うとおり、「物語って、育つんだなぁ」と思う。
今年の公演は14日の川崎、15日の横須賀を残すのみ。

ネルソン・マンデラ氏の追悼式で世界の重鎮たちの前で出鱈目な手話を行った男がいる。本人曰く「スタジアムに天使が降りてきた」のだという。何とおめでたい人だろう。いいじゃないか。どう魔が差したのかはともかく、人を殺したわけではないのだから。

自民党石破幹事長は記者会見で、特定秘密保護法に基づき指定された特定秘密の報道について、「わが国のみならず多くの国の国民の生命、財産に大きな影響を与えると知りながら、(特定秘密を)報じるのは何の目的かという問題だ」「常識的に考えて何らかの方法で抑制されることになる」「秘密の入手は罰せられないが、発表(報道)は罰せられるのはおかしいと言われると、少し違う」と述べ、秘密の内容次第で報道した者が処罰される可能性を示唆したという。
会見後の取材では、「特定秘密を漏えいした公務員は罰せられるが、報道した当事者(記者)は処罰対象にならない」「(死者が出たり国益を損ねたと批判されたりする)リスクを承知で報道するのは、報道機関の責任でなされることだ」と、トーンダウン。
政府は「共謀罪」の検討にも入っている。市民の日常のやり取りが捜査対象となる恐れがある。共謀罪は「犯罪行為」が実行される前に、複数の人間が合議すること自体を処罰の対象とする。
特定秘密を漏えいした者と報道した者が「共謀」のレッテルを貼られる可能性がないと、ほんとうに言い切れるのか。
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