さいふうさいブログ

けんちくのこと、日々のこと、いろんなこと。長野県の建築設計事務所 栖風采プランニングのブログです。

昔の形態が良く残っている古民家を拝見!

2015年03月18日 | ◆古民家・伝統建築・その他見学

先日、松本市に建つ古民家を拝見して参りました!

どうでしょう。この風格といいますか、佇まい。

一瞬、ふわ~っと昔にタイムスリップしたかのような

まるで文化財保存されている建物みたいでした。

こちらの家には、現在60歳代くらい?の男性がお一人で暮らされています。

ですから、家の周りは手が入っていてとても清々しています。

よくぞここまで残っていてくれた、と言いますか、

(誰に感謝しているのか、よくわかんないですが、お問い合わせ下さったお客様に対してではありますけれども、それだけじゃない感じでもあります

建物を拝見しながら密かに感動しておりました。

  

聞くところによりますと、昔、庄屋をされていて、築凡そ250年だとか?!

もしそれが本当なら、かなり貴重な建物って事になります。18世紀?!

 

 

これだけ古い形態が残されている、という事は

近年リフォーム等されていなかった事でもありまして、

(昭和時代に屋根瓦などは新しくされた様子ですが、それでも数十年前ですね)

さすがに老朽化で床が落ちていたり、土台がちぎれていたり、隙間も相当あってビニールシートであちこち覆われていたりしてましたが、

拝見したところ、建物自体はまだしっかりしていて修理をすればまだまだ住める建物でした。

 

古民家を拝見する度に想う事ですが、

今の住宅事情において、いろいろな制度が設けられておりますケド

例えば、

2001年から始まった住宅性能表示制度(住宅の品質確保の促進に関する法律)とか、

2009年から始まった長期優良住宅認定制度(長期優良住宅普及の促進に関する法律)とかね。

ちなみに、長期優良住宅という名称に落ち着く前は200年住宅なんて言っていて、なにが200年?!なにが長期優良だっ

古い建物に関わっている身分としては、ほとほと呆れていましたが

(だいたい、自分が生きてない先の事まで保証するような言いまわしを平気でする事自体、胡散臭いって思いませんか? そういう謳い文句は不当表示に近くないかって思いマス)

  

案の定、

木造長期優良住宅の総合的検証委員会 耐久性分科会 平成 25 年度成果報告集』 なるものが平成26年3月に出まして

その中に、長期優良認定仕様、性能等級評価仕様で建てて、わずか数年で劣化した劣化事例がいくつも載っておりました。

劣化の原因は、結露によるカビ、腐朽菌による材料の腐朽、シロアリ等が多いようでした。

 

やっぱりね。 

 

だから私はいつも、国が定める制度よりも(違法な事はしませんけど、法律を守ればいい、制度を採用すればいいってものではない)

まず

腐らない建物を健全に建てる方が優先!と思っており、

それが出来なければ、いくら構造を耐震にしても意味が無い、と考えていました。

  

長期優良だか、200年住宅だかそんな耳触りのいい標語に乗せられている建築業界。 

車のような工業製品じゃない住宅に、あれこれ仕様をあてがってみたところで

耐久性に関しては、実は伝統建築の足元にも及んでいないじゃないかって

200年近く現存してきた伝統建築を目の前にすると思ってしまいます。

(ふつふつと今の時代に、怒りが湧いてきてしまう。)

 

ですので、せめて今残っている古民家は大切にしたいと思っておりまして

建物を保存しながらも住み続けられるように直してあげたいと

いつも考えています。

  

しかし、、、我が家もそうですが

これくらいのクラス・規模になってくると、ちょっと改修、というレベルではありませんし、

普通に家一軒建てるくらいの費用は掛かる。。。

  

こういう古い家(屋敷)を受け継ぐという事は

各代が新宅を建てるくらいの費用を掛けながら、維持されていくようなもの。

ここで価値観が問われるのかもしれません。

新宅にしろ、家を受け継ぐにしろ、どっちみち掛かるものは掛かるのなら

古い家に費用を掛けて住み継ぐ方が合理的な感じもするのですけど、

しかし、そうそう思い通りにはいかずで、実際は大変なのであります。(海野宿の我が家もですが

 

 

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4 コメント

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猫づら瓦 (北沢)
2015-03-28 22:26:34
はじめまして 私は長野市の者ですが、松代町に興味があり、いろいろと調べています。最近、「猫づら」という瓦があることを知り、検索してみたらこちらのブログを見つけました。今日も松代の城下町を歩いてみたところ、樋口家をはじめ、他の文化財指定されている武家屋敷にも猫づらを発見。また一般の家にもありました。養蚕農家だけのものかと思っていましたが、武家屋敷にあるのが不思議です。この猫づらは全国的にある瓦なのでしょうか?
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猫づら瓦 (kaori)
2015-03-30 20:52:46
北沢さん、どうもはじめまして
コメントを寄せて下さいまして有難うございます。

猫づらについての前に、瓦屋根について少し説明させて頂きますね。
瓦屋根にはたくさんのパーツ(役物と言います)で納まっておりまして、各部位それぞれに名称がついております。

「猫づら」と呼ばれている瓦は、「伏間止」と呼ばれる役物瓦で、扇型や一文字型、そして猫型などの種類があります。瓦メーカーのカタログにそれらの名称が載っておりますので、全国的と言えるかは分かりませんが、汎用されていると思います。

猫型の伏間止の瓦の事を、「猫づら」と言うのは、もしかすると信州の言い方なのかもしれません。
猫の面みたいな意匠だから、猫づら、というんでしょうけども、私は最初、「○○ずら~」な信州の方言みたいだなと思いましたデス^^

猫づらは、鬼瓦を使わない棟の末端に使われますので、棟の納めでは、格式が低い扱いになると思います。

建造物の部位にも、格式みたいなものがありまして、(大屋根>下屋、 主屋>付属屋 など)
役物の大きさや種類、構成を変えたりします。

信州以外で、猫づらが使われているかどうか、写真があるか探してみたのですが、見つかりませんでした。

猫型伏間止は汎用的でも、意匠は地域によって違いがあるかもしれません。
私共のおります海野宿にも、いろんな猫づらがありますよ~!









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Unknown (北沢)
2015-04-01 15:42:31
詳しい説明をありがとうございました。伏間止という言葉も今回はじめて知りました。 猫づらは知ってる人は知ってるけど、とくに珍しいとも思っていないみたいです。今まで知らなかった私には、とても新鮮な発見でした。
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Unknown (kaori)
2015-04-01 19:41:11
私も実は、自宅の修理をした時にはじめて猫づらを知ったので、それ以来、猫づらを観察するようになりました^^
瓦には凝った意匠がいろいろあって面白いものです。
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