京恋し

頑張った時のご褒美は京都。ずっと憧れ。

梅ほころぶ

2007-01-28 20:08:16 | 季節のことば
暖かい冬、もう梅が咲き始めています。
出かけたついでに、ちょっと遠回りして、
梅の名所・羽根木公園に寄ってみました

        
        古語では、今にも咲きそうな蕾の状態を
        含(ふふ)むと言います。
        含んでいる蕾と咲き初めた初々しい花が微かな香りを
        漂わせていました


梅は中国原産。奈良時代に日本に伝来したらしく、万葉集には
119首も詠まれています。
春さればまず咲く宿の梅の花 ひとり見つつや春日(はるひ)暮らさん  山上憶良
  (春さればというのは、春になると。宿は家。春になると真っ先に咲く
  梅の花を一人で眺めながら春の一日をゆったり暮らすことにしよう

        
        ただし、万葉時代の梅は全て白梅です。
        中国からやってきた高貴な花は万葉歌人に
        大変好まれたのです。

  

 
梅は華やかな花ではないけれど、顔を近づけてよくよく見ると、
白梅は清らかで紅梅は愛らしい


平安時代に入ると、梅はその上品な馥郁とした香りが好まれ、
梅の香を詠んだ歌が断然多くなります。
梅の花たが袖ふれしにほひぞと 春や昔の月に問はばや 新古今集・源通具
  (このかぐわしい梅の花は誰の袖が触れた匂いなのでしょうか、
   昔を知っている春の月に聞いてみたらどうだろうか)

        
        薄日の公園で、ぽつぽつ咲き始めた紅の花は
        ぽかぽか心があたたまるようでした

君と別れ今は筑紫の人となりて 君なき里の梅の花見る  柳原白蓮

  梅の香は心に沁みる切ない匂いなのかもしれません。
  亡き人、昔の恋人、思い出を連れてくるのでしょうか

寒きうちに咲く花の持つ透明度 きらりきらりと紅梅白梅  長沢美津

  見る人の心も透明になるのでしょうね
  なにかすがすがしい気持ちになりましたもの