大橋むつおのブログ

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少人数演劇部のあり方、いたし方

2011-05-06 23:42:53 | 評論
少人数演劇部のあり方、いたし方

 最近の部活は、少子化の影響もあって(一校当たりの生徒数が昔と一桁違う)ごく少数の高校を除いて、部員数が少ない。大ざっぱに言って、正規部員が五人に満たないクラブが増えている。中には、社会問題研究部、新聞部、箏曲部、生物部など多くの学校で絶滅してしまったクラブもある。
かつて文化部の花形であった演劇部もご多分に漏れず、絶滅危惧種化しつつある。わが大阪は、ざっと二百七十あまりの高校があるが、演劇部が存在するのは推定で、四割の危険水域に入っている。この数字は連盟加盟校数百五校から推測した数であるが、まず間違いないであろう。
せっかく演劇部がありながら連盟に加盟しない学校は考えられない。コンクールに出るためには、連盟に加盟しなければならないからである。

 さて、どこの都道府県の連盟も、一部の大人数の有力校を中心にまわっていると言っても過言ではないであろう。例えば、夏休みによく行われる連盟主催の講習会のメニューは多彩である。いや多彩すぎる。演技、演出、劇作、照明、音響、メイク、基礎練習などなど、分科会というかワークショップが多く、全部の分科会に人を出したら、部員の数が足りない状況である。先ほども書いたが、たいていのクラブは五人以下なのである。講習会のメニューは、生徒の数が一桁違ったころの内容と変わらない……どころか増える傾向にある。意地悪く言うと一部大人数の有力校のための講習会になり果てしまっている。

 今の演劇部は絞り込まなければならない、わたしは常々基本にたち帰ろうと言っている。演劇の基本は「観客、戯曲、役者」である。その他のことは「できたら、有った方が良い」程度のものである。極論ではなく、道具なんかいらない、照明は地明かりのつけっぱなしでいい。高校演劇は時間の制約がある。たいてい五十分程度である。そんな短い上演時間で、暗転は禁物。キッカケが二十も三十もある照明プランなどもってのほかである。コンクールでこれでもかというほど飾り込んでいる道具、宝塚見まごうような照明の設定をしてきて、現場のスタッフや実行委員の先生や、生徒諸君を悩ませている学校がある。これで芝居が良ければいいのだが、最初の二三分の演技で破綻してしまう学校が多い。基本である、戯曲と役者がお粗末であることが多い。ユニホームやルックスだけがいい野球チームを見ているようなものである。困ったことに、これに迎合するような審査員や、連盟の先生方が多い。

 では、本論。まず本。登場人物の少ないしかもすぐれた戯曲を探しておこう。清水邦夫、別役実、イヨネスコ、つかこうへい等の芝居に少人数劇が多い。白水社に高校生向けの戯曲を紹介した本がある(書名を忘れてしまった) 青雲書房には、その名も「1人から5人でできる、新鮮いちご脚本集」がある。また、ルナールの「にんじん」などは、著作権が切れていて上演許可のいらない戯曲である(登場人物は男一人、女は子役も含めて三人)古いところではチェーホフの短編に少人数劇がかなりある。創作劇もけっこうであるが、やはりきちんとした芝居は読んでおいたほうがいい。そうそう、井上ひさしの「父と暮らせば」など男一女一である。探せばいくらでもある。ちなみに、わたしの本はたいてい五人以下で、一人芝居もいくつかある。興味のある人は検索してください。

 わたしは、あまり基礎練習はやらせない。なぜか、たいていつまらないからである。名優という人たちの中にも研究生のころさぼり倒していた人が何人もいる。ただ、基本的な集中力や演技力は必要である。発声は「あめんぼ」と気に入った詩の一つも覚え繰り返しやっていればいい。
 具体的な芝居の稽古の中で問題が出てきたら、その問題にあった訓練はする。わたしは基本は自分を十分に表現できるプレゼンテーションの力が基本だと思っている。稽古中によく無駄話をさせる……といっても、「さあ、やるぞ!」では、構えてしまう。うまくのせて楽しく話させる。「そこで、どうしたんや?」「どんなぐあいやった?」「どんな感じ、ちょっとやってくれへん?」てな感じでのせてしまう。集団としては(今、女子四人というクラブの指導をやっている。姿勢が悪く表情にも乏しいのでAKB48の「会いたかった」をやらせている)なにか楽しい駆け引きのある遊びをやらせてみるといい「だるまさんが転んだ」や「椅子とりゲーム」そして無対象の縄跳び、連休などを挟んだら、インタビューごっこをやらせている。集中力、表現力がつく。

長くなってしまった。詳しく知りたい人は「高校演劇基礎練習」で検索すれば、いろんな人がブログを開いているので、自分たちの間尺に合ったものを捜せばいいだろう。また、わたしの「女子高生HB」をご覧いただいてもいい。

また、別のブログでもお話できればと思います。   大橋むつお
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