ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

アルミンク&新日本フィル 第411回定期演奏会 「音楽になった神の導き」

2007-01-20 | コンサートの感想
バッハのカンタータ第51番、バルトークのピアノコンチェルト第3番、シューマンの『ライン』という素晴らしいプログラムに加えて、ソプラノ独唱は今をときめく歌姫森麻季さん。
これは、何をさておいても聴かねばなりますまい。
ということで、昨日、新日本フィルの定期演奏会に行ってまいりました。
今年初めてのコンサートになります。

新日本フィルの定期演奏会の開演は、いつも19:15。
この15分が、サラリーマンにとっては、ほんとに助かります。
クリスマスイブに「聖夜のメサイア」を聴いて以来、約1月ぶりのサントリーホールということになりますが、この日の席は例によってP席でした。

<日時>2007年1月19日(金)19:15開演
<会場>サントリーホール
<曲目>
■バッハ:カンタータ『もろびとよ歓呼して神を迎えよ』BWV.51
■バルトーク:ピアノ協奏曲第3番
■シューマン:交響曲第3番変ホ長調『ライン』op.97
<演奏>
■ソプラノ:森 麻季
■ピアノ :松本和将
■クリスティアン・アルミンク指揮
■新日本フィルハーモニー交響楽団

     

オープニングのバッハのカンタータは、私の大好きなカンタータのひとつで、いかにも新春にふさわしい選曲。
プログラムをぱらぱら眺めていると、森さんがアルミンクとともにステージに登場しました。
やっぱり華がありますねぇ。
期待して第1曲を待ちます。

しかし、冒頭のトランペットの音が大きい!
加えて、テンポが少し前のめりになる感じで、ソプラノが入ってきてもあまり音量が落ちません。一生懸命聴こうとすればするほど、ソプラノの声は聴こえないし、アンサンブルの乱れも気になりました。
P席だからということもあるのでしょうが、同じP席で聴いたアバド&ルツェルンのモーツァルトのコンサートアリアは、ソプラノのハルニッシュの声も明瞭に聴こえましたので、席だけの問題ではないようです。
そんなこともあって、肝心の第1曲のアリアについては、残念ながら楽しむことができませんでした。

意図したかどうか分かりませんが、アルミンクは、第2曲までの間を少し長めにとりました。
この効果は大きく、第2曲以降は美しいバッハを聴かせてくれました。
第3曲では、アルミンクが指揮をやめてソプラノとチェロ・オルガンに任せていたのですが、本当に美しかった。とくにソプラノを支えるチェロの素晴らしさが印象に残りました。
ただ、この日の森さんは少し調子が悪かったのかしら。
もちろん美しい声ではあったのですが、あの清楚ながら凛とした森さん独自の魅力が感じられなかったのです。
次回に期待しましょう。

前半の2曲目は、松本和将さんをソリストに迎えてのバルトークの3番。
これは良かった。
松本さんのピアノを聴くのは、この日が初めてでしたが、スケールが大きく雰囲気のあるピアニストですね。
第1楽章では、つぶやくようなフレーズが何度か出てきますが、実に自然に聴こえました。
第2楽章の瞑想するような深い表現、第3楽章の生気溢れる表情、いずれをとっても見事で、もし初めてこの曲を聴いた人がいたとしても、きっとこの曲のファンになったことでしょう。
またまた、魅力的なピアニストに出会うことが出来ました。

この日のメインは、シューマンの『ライン』。
悠然としたスケールの大きな『ライン』で、素晴らしい演奏でした。
アルミンクは、決して「勢いに任せて」という表現をとりません。
音楽の流れを大切にしつつ、常に内声から音楽を変化させ、バスにエネルギーを与え、旋律に真実味を感じさせてくれます。
どこかジュリーニの音楽を思わせる、そんな演奏でした。
ただ、第一楽章では、対旋律を随分意識してオケに指示していましたが、アルミンクが指示したほどには音として聴き手には伝わってきませんでした。
やはりシューマンのオーケストレーションの問題なんでしょうね。マーラー版を使ったと思われるジュリーニの演奏では、あざやかに対旋律が浮かび上がっていましたから・・・。
一方、フィナーレのエンディングに向かう構成力の巧みさと力感には、思わず手に汗握って聴き入ってしまいました。

また、終演後万来の拍手のなか、この日が最後のステージになるクラリネット奏者に後ろからそっと近づき、茶目っ気たっぷりの表情で大きな花束を渡しながら、長年の労を心からねぎらっていたアルミンクに、人間としての魅力を感じました。
来月も新日フィルの定期に行く予定ですが、次回のプロはブリュッヘンのモーツァルト。
今から、ワクワクしています。
コメント (8)
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