ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

グシュルバウアー&読響 オールシューマンプログラム

2007-01-22 | コンサートの感想
日頃、毎月のマチネーコンサート専門の私ですが、たまには違うコンサートもと思いたって、今日はサントリーホールで読響の定期演奏会を聴いてきました。
席は例によってP席です。

結論から言います。
読響のサウンドは、本当に素晴らしい!
いつも聴いている「前から3列目」の音とは異なりますが、P席で聴いても、分厚く馬力があって、中身がぎゅっと詰まったサウンド。
しかも、弦の音色には独特の色気があるし、管楽器もうまい。
国内のオケというよりは、ドイツのオケのサウンドに近いものを感じます。
昨年来、サントリーホールのP席では、既に10数回コンサートを聴いてきましたが、この日の読響の音は出色でした。
こんなに充実した音を聴けたのは、アバド&ルツェルン以来かもしれません。

この日のプログラムは、オール・シューマン・プロ。
あまり細かくは書きませんが、グシュルバウアーの創り出すシューマンの音楽に、私は全面的に賛同します。
全体に早めのテンポで、生気に満ちたシューマン像を描き出していました。
しかも、ひとつ間違えれば壊れそうなデリケートな美しさにもこと欠かない。
実に見事なシューマンでした。

    

<日時>2007年1月22日(月) 午後7時開演
<会場>サントリーホール
<曲目>
■シューマン:〈ゲノフェーファ〉序曲
■シューマン:交響曲第1番
■シューマン:悲劇
■シューマン:交響曲第2番
<演奏>
■ソプラノ:堪山 貴子
■テノール:高橋 淳
■指揮:テオドール・グシュルバウアー
■読売日本交響楽団

前半のメインである第1番のシンフォニーは、「春」という副題をもち、ある意味で最も有名な曲かもしれませんが、私の中の評価は4曲中4番目でした。
しかし、今日の演奏は素晴らしかった。こんなにいい曲だったんだ。
この曲の魅力を再認識させられました。

また、後半の最初に演奏されたソプラノとテノールのための「悲劇」という歌曲は、今日初めて聴きましたが、とても素敵な曲ですね。
とくにソプラノによって歌われる第2曲が良かった・・・。
ソプラノと絡み合うオーボエとクラリネットの何と美しいこと!

そしてこの日のハイライトは、やはりメインの第2番のシンフォニー。
第1楽章冒頭のブラスが少し危なかったけど、その後は実に素晴らしい演奏でした。
とくに、あの美しいアダージョ・エスプレッシーヴォから、フィナーレにかけては圧倒的な名演。
第3楽章のアダージョ・エスプレッシーヴォは、シューマンの全ての作品の中でも屈指の美しい音楽ですが、この部分を聴くと、私はいつもバーンスタインを思い出して胸がいっぱいになります。
1990年の夏、札幌でPMFの若き音楽家を相手にリハーサルをしながら、バーンスタインがかすれる声で次のように語りかけます。
「これが、ブラームスがシューマンの元でその全てを学んだ素晴らしいウィーンの伝統なんだ。それを常に心で感じながら弾いて!」
この素晴らしいリハーサルの3ヵ月後に、バーンスタインは帰らぬ人となってしまいます。

実は、今日は仕事で「保身の権化」のような人たちを相手に、昼食もとれないまま2時間あまりも話さないといけないはめになり、まったく不愉快な思いをしました。
「ええかげんにせんかい!くそったれー!」
少々下品になってしまいましたが、どうかお許しください。

そんな大ストレスを、グシュルバウアーと読響が見事なまでに払拭してくれました。
感謝感謝です。
これで、今夜はぐっすり眠れそうです。
明日は広島出張だ。
がんばろう。



コメント (2)
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