ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

吉野直子 バロックハープ

2007-01-16 | CDの試聴記
今、出張先のホテルでパソコンに向かっております。
パソコンは部屋に備え付け。
ホテルの部屋でインターネットが楽しめるなんて、本当にすばらしい時代になったものです。

相棒のipod(今夜は40ギガの旧友ではなく、先日新しく仲間になった8ギガnanoちゃんの初デビュー!)と愛用のB&Oのイヤースピーカーから流れてくる音楽に耳を傾けていると、出張に来たことを忘れてしまいそうです。
ちょいとばかり焼酎を飲みすぎたので、少々テンションは高めですが・・・(笑)

今聴いているのは、吉野直子さんのハープ。
バロックの作品ばかりを集めたものです。
ギターと同様に指ではじく撥弦楽器のハープの音には、昔から少なからず愛着を感じてきました。
バロック音楽の珠玉の名品を、慈しむように弾く吉野さんの音楽は本当に温かい。
どの曲から聴き始めても、聴き手をいつも幸せにしてくれます。

私がとくに好きなのは、ヘンデルのパッサカリアとコレッリのジーグ。
パッサカリアの冒頭主題を堂々と提示した後、リピートでは一転してひそやかに美しく息づいた表情で奏でてみせる吉野さん。
格調高く、しかもやさしく歌われるこのヘンデルは、一度きいたら決して忘れられないでしょう。
しかし、この優雅さが曲者なんです。
ハープという楽器は、音が実に美しく響く代わりに、消音を少しでもおろそかにすると何を弾いているのかわからないくらい気持ちの悪い音楽になります。
そう、風呂場で少し調子はずれの音程で歌をうたったときのあの感じです。

吉野さんは細心の注意を払いながら、ものの見事にこのリスクを回避しています。
しかも、想像するだけでも大変な技術だと思いますが、その苦労を聴き手にまったく感じさせることはありません。
まさに「白鳥が泳いでいるかのようなイメージ」、といったらお分かりいただけるでしょうか。
あるときはリュートのような、またあるときはオルガンのような響きをすっかり堪能させてもらいました。

明日の夜は福岡です。
もう一丁、がんばろう!

     

<曲目>
1. チェンバロ・ソナタ第4番からトッカータ(パラディーシ/レニエ編)
2. サラバンド(クロフト)
3. グラウンド(クロフト)
4. 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番BWV1006から
プレリュード(J.S.バッハ/グランジャニー編)
5. 「オルフェの宝」~パヴァーヌとブランル(フランシスク/グランジャニー編)
6. パッサカリア(ヘンデル/ベオン編)
7. トッカータ(ルイエ/グランジャニー編)
8. 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番BWV1001から
フーガ(J.S.バッハ/グランジャニー編)
9. ソナタ ハ短調(ペシェッティ/サルゼード編)
10. カノン(パッヘルベル/マクドナルド,ウッド編)
11. イタリア協奏曲ヘ長調BWV971からアンダンテ(J.S.バッハ)
12. ジーグ(コレッリ/サルゼード編)
<演奏>吉野直子(ハープ)
<録音>1998年4月 ユトレヒト、マリア・ミノール教会
コメント (6)
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