ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ガヴリリュク:『月光』

2007-01-23 | CDの試聴記
今日は、日帰りで広島出張。
往復ともに新幹線を使いましたが、帰りはJRのポイントが貯まっていたので、通常の指定席の料金でグリーン車に乗ることができました。
ラッキー・・・。

グリーン車は本当に楽です。
片道4時間強の長旅でしたが、ザ・プレミアム・モルツを片手に、ipodで好きな音楽を聴く。
何ともリッチな4時間でした。

今日聴いたのは、ガヴリリュクのデビューアルバム。

<曲目>
■ハイドン:ピアノ・ソナタ第32番ロ短調 作品36
■ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調 作品27‐2『月光』
■ブラームス :パガニーニの主題による変奏曲
■ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調 作品36
<演奏>アレクサンダー・ガヴリリュク(ピアノ)
<録音>2001年4月18-20日 秩父ミューズパーク

     

ハイドンのソナタを聴いて、まず感じるのは、テンポの良さ。
そして、音楽的なセンスのよさ。
どのフレーズをとっても、見事なまでに整った表現で、「これが17歳の演奏?」と思わずにはいられません。
第3楽章のスピード感も大変なものですが、絶対にレーシングカーの暴走のようにはなりません。
小憎らしいくらい完璧にコントロールされています。
ただ、とても美しい音色ではあるのですが、少し暗めの印象です。
ディスプレイでブライトネスを少し押さえめにしたようなイメージといえば、お分かりいただけるでしょうか。

次の「月光」でも、印象はほとんど変わりません。
第1楽章のレガートの美しさは、もう格別です。
かつて吉田秀和さんがソロモンの弾く月光を評して、「油をひいたように滑らかな・・・」というようなニュアンスで仰っていたように記憶していますが、この若きガヴリリュクのアダージョ・ソステヌートも、まったく負けてはいません。
そして、第3楽章の躍動感も惚れ惚れとするくらいの見事さ。
しかし、相変わらず、ブライトネスは抑え気味です。

しかし、次のパガニーニ・バリエーションで、サプライズが・・・。
音色が変わりました。
ひとこと、華麗!
この曲が要求している、すべてに彼は応えています。
ここで、初めてブライトネスを大きくアップさせたように感じました。

そしてラストのラフマニノフでは、さらにエンジン全開。
激しさも、きつさも、必要に応じて見事に表現し、圧倒的な演奏を聴かせてくれました。

ガヴリリュクさん
あのブライトネスのコントロールは、やはり意図したものだったのね・・・。(笑)
恐れ入りました。
あなたは、本物の天才です。

でも、17歳にして、この完成度。
昨年、読響マチネーで聴いたラフマニノフのコンチェルトでも、天賦の資質をいやというほど思い知らせてくれた人ですから、これからも、さらに円熟味を加えながら歴史に残る大ピアニストになってくれるように、ひたすら祈るだけです。


コメント
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