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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

京都の秋 大谷廟と清水寺

2010-10-18 03:20:52 | 写真とおしゃべり
 秋晴れの一日、新幹線で京都へと向かいました。
 物見遊山ではありません。昨年亡くなった母の納骨のためです。

        
               京都駅大階段
 
 新しい京都駅は初めてです。もちろんこの間、京都へ行ったことはありますが、いつも車で、駅頭に立つのは初めてなのです。
 この駅は歴代4代目になりますが、私は2代目から知っています。
 とりわけ、2代目は想い出が深いのです。
 というのは、1950年(昭和25年 朝鮮戦争が始まった年です)私は小学校の修学旅行でこの駅で乗り換え奈良へ行ったのですが、その折りが2代目の駅で、その僅か一週間後、この駅は火災で全焼したのでした。

  
       二代目京都駅             三代目京都駅
 
 なお、当時の小学校の修学旅行は日帰りで、しかも今日ほど交通事情が良くないなかでかなりのハードスケジュールでした。明け方、まだ暗いうちに岐阜駅を出発し、帰ってきたのは真夜中で各父兄が迎えに来るという状況でした。

 脇に逸れました。
 京都駅から大谷廟にむかい、納骨の手続きをしました。
 今から十数年前、亡父の折には随分待たされた記憶があり、今回は早めに出かけました。
 しかし、大谷廟の方でもその後、受け入れ状況の合理化を図ったのでしょうか今回は思ったより早くことが進みました。

     
         線香の煙がたなびくなか、納骨完了

 で、時間が余ったのですが、私は是非、清水寺へ行きたいと思いました。
 私はまだ行ったことがなかったのです。しかもかなり前、清水への坂の途中まで行きながら、よんどころない事情で引き返したという苦い経験があったのです。

 実は全身がけだるいという風邪の症状で、そもそも京都へ行けるかどうかの不安もあったのですが、その頃にはけっこう状態も良くなり、「よっし、これなら行ける」との確信が湧いてきました。
 大谷廟からのルートは、大谷領の墓地群を抜けてゆくルートです。
 「陸軍一等卒 勲八等 ○○○○ 支那事変にて没」などという墓標を見ながら清水へと向かいました。 

     
          大谷廟から清水へ お墓のジャングル

 清水は折からの日曜日とあって、かなりの観光客が群れています。
 ひときわ目立つ・・・耳立つのは中国からの観光客です。彼らの言葉は、日本語よりトーンが高く、大声で話すため、よけい耳立ちます。
 観光客の渦のなか、中国からの団体客のガイドがいっそう高い声で説明をしています。
 着物姿の数人の若い娘たちが楽しそうにおしゃべりをしているのですが、それが中国語なのに驚きました。
 ここには尖閣がどうとか領土がどうとかの問題はないかのようです。

     
                 清水の舞台 
     
                 清水 音羽の滝
                               

 ところで、この清水寺はなぜこんな建築が困難な場所に建立されたのでしょうか。平地に寺を造るに何倍もの技術や困難があったことは容易に想像できます。こうした困難な場所の聖地という点では、日本でも他に、ほとんどロッククライミングでしか近づけないような寺があることが知られています。
 中国やチベット、中近東などで見られる懸崖仏などもそうでしょう。
 これらは仏教のみにとどまらず、例えば、キリスト教についてもそうです。信じられないような絶壁に建つ教会や修道院の存在がそれです。

        
               舞台を下から見る

 たぶんこれらは、聖と俗をへだつ表象であるのかも知れません。
 しかし、そうだとするなら、仏教にしろキリスト教にしろ、解脱はひとの心がけ次第で容易なのだと説きながら、一方ではそうした俗から離脱するためにはある種の超越が必要であることを示しているようにも思えるのです。

 そんな小理屈はともかく、清水へ着いたあたりから、登りでエネルギーを消費したにもかかわらず、体調が良くなってきました。阿弥陀如来のご加護でしょうか、それとも亡き母の守護でしょうか、肉体的疲労は残ったものの、風邪特有のあの気だるさは、ほとんど消え失せるに至りました。

        
             京都タワーに別れを告げて

 帰途、京都駅隣接の伊勢丹の地下で、私の好きな「すぐき漬け」と大根の「ぶぶづれ」を買いました(なり田)。それと、聖護院の「生八つ橋」も買いました。
 なお、「ぶぶづれ」とは「ぶぶ」=お茶、「づれ」=連れで、お茶の際につまむ漬け物だと売り場のお姐さんが教えてくれました。私がそれを「酒連れ」と翻訳して買い求めたことはいうまでもありません。

 


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