六文錢の部屋へようこそ!

心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

ウチナンチュウの「楕円のハアト」が届いた!

2021-08-04 23:30:13 | ポエムのようなもの
 ハアトはどんな形?
 クリの頭にくびれができたような形?
 本当にそうなの?
 
 あんた、虹は七色だと思ってるでしょう
 それって少数派で、三色から十数色まで
 民族や地方によっていろいろなんだよ

 

 ハアトだってそう
 ぼくんちへ届いたのは楕円形のそれ
 しかもふたあつも

 これはウチナンチュウのハアト
 ぼくと心通うひとの完熟のハアト

 沖縄 それはぼくには禁断の地だった
 一億総玉砕で本土決戦をと豪語していた
 軍国皇民少年だったぼく

 でもぼくは天皇裕仁とともに生き延びた
 しかしその間に、ウチナンチュウの
 四人に一人が戦禍の生贄となった

 そんな島へ物見遊山に行けるか?
 ぼくにはその資格はない
 所属する会の旅行でも参加はしなかった



 それを認めてくれたうえ鎮魂の旅に
 招待してくれたのがおりざさんだ
 そして伊勢の国の夫妻が同行してくれた

 そんなわけで沖縄の地を踏んだのは
 一昨年の秋
 もちろん風光明媚な南の島
 物見遊山を全く外すことなんかできはしない
 近場の淡いブルーの珊瑚礁の海
 その沖合の紺碧に光り輝く広がりと水平線



 本土の森林地帯とはまったくちがう植生で
 したがってその色合いも違うヤンバルの森
 咲き乱れるハイビスカスとブーゲンビリアン
 ザワワと揺れる背高のっぽのサトウキビ



 だが、そのどこもが過去の、そして今の
 戦の痕跡を宿している
 赤茶けた土で埋め立てられる辺野古の海
 埋め立てに使われるその土は
 沖縄戦の遺骨が混じる激戦地からのもの
 かくして死者は二度殺される



 ヤンバルの森に潜むのは
 あのヤンバルクイナのみではない
 そこにある米軍のヘリポート基地から
 飛び立つヘリは人家近くに不時着する



 背高のっぽのサトウキビ畑を
 かき分けるようにして下ると
 昼なお暗き洞窟がある
 投降を許されないまま住民たちが
 親が子を、子が親を殺すという
 集団自決に追い込まれた
 あのチビチリガマが

   
 
 さつまいものユルキャラ「いもっち」が
 笑いかける「道の駅かでな」の屋上からは
 人間の視界では全貌を捉らえきれない
 広大な「アメリカ」が広がっている 



 ここでは物見遊山への専念は困難だ
 指折りの観光スポット・美ら海水族館から
 円錐形の美しい島・伊江島が見える
 ここは戦時中の激戦地だが悲劇はさらに続いた
 敗戦後三年の千九百四十八年八月六日
 この島の桟橋で弾薬を積んだ米戦艦が暴発し
 折から桟橋にいた一〇七名を死へと巻き込んだ


 
 最後の激戦地、糸満市摩文仁の丘に広がる
 沖縄平和祈念公園
 黒い御影石に刻まれた二〇万を数える死者たち
 一見、白い文字の無数の塊なのだが
 そのひとつひとつに物語があったのだ



 これらすべてが、ぼくが沖縄で見たものだ
 これを可能にしてくれたのが
 沖縄在住のおりざさんの案内であり
 同行してくれた伊勢の国の夫妻だ

 なお、おりざさんは、昨年の夏
 自作の詞による歌「祈り…命どぅ宝」の
 唄い手としてデビューを果たした

 おりざさんはハアトフルな人である
 だからそのハアトは並の形ではない
 完熟の楕円形 しかもふたあつ
 これがウチナンチュウのハアトだ

 それがぼくのもとに届いた
 ぼくのギザギザハアトを優しく繕い
 生き続けることを応援してくれるハアトだ
 
 ありがとう! おりざさん!
 

 https://www.youtube.com/watch?v=wwjb8wChELA
  FMラジオでの収録風景 収録の模様がわかって面白い
 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【読書ノート】出てゆかない... | トップ | 錯綜する「事実」そして『フ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。