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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

自然と人為という区分の無効とナツツバキの運命は?

2013-08-23 03:02:17 | 花便り&花をめぐって
 私の住む岐阜市は昨22日で連続16日間の猛暑日(気温35℃以上)を記録し続けている。当然、夜は熱帯夜である。睡眠薬をしっかり飲んで、タイマー付きの首振り扇風機で就寝する。
 それでも起きてしまうと、また扇風機のタイマーをセットしなおしてやっと眠りにつく。
 
 世の中にはエアコンというものがあってクーラーという機能も付いていることは知っている。私の部屋にも一応は設置してある。しかし、このクーラーが苦手なのだ。はじめはひんやりと気持ちがいいのだが、そのうちにゾクゾクしてきて胃のあたりがキリキリしてくる。
 だから、映画が好きなくせにこの時期の映画館は苦手だ。
 始まって15分も経つともうダメだ。だから、映画館や冷房の効いた場所での会合などはサマー・ジャンバーが必携品である。

           

 しかし、私が打ち震えている映画館で、タンクトップ姿で平気な若者たちがいる。まるで、私とは人種が違うようだ。思うに彼らは、生まれた時からエアコンの効いた環境で育ってきて、それに対応しているのだろう。
 それに引き換え、私は子供時代から成人するまで、夏は暑く冬は寒いという自然条件のなか、エアコンなどというものとはほとんど無縁に育ってきので、かえって現代風の環境に適合していないのかもしれない。

 もうひとつ困っているのは、この間まとまった雨が降らないことだ。
 すぐおとなりの名古屋で、地下街に水が入るとかいわれたゲリラ豪雨の際も、ここでは、なんだか南のほうでチカチカ光ってるなというぐらいで、ここんところ適度なお湿りすらずーっとない。
 おかげで、野菜、とくに葉物は高騰気味で困っている。
 サニー・グリーン・リーフという青菜のお化けのような大きな株を98円でゲットしてきたので、当分、生野菜はこれに頼ろうと思う。

         

 これは本当は書きたくないのだが、やはり書かざるをえないのだろう。
 県立図書館へ行ったのだが、この際、図書館のことはどうでもいい。
 実は、ここへ行くと、その中庭や、隣の県美術館の庭園を散歩するのが楽しみなので、昨日も必要な本を借りだしてからその辺を散策した。 

 この炎天下で植物はどれも元気がない。
 そこで私は衝撃的な事実を目にしたのだ。
 ことはさかのぼり、この7月11日に行った際のことだ。
 この中庭にあるナツツバキ(別名・沙羅双樹)の蕾が例年よりも多くついていて、これが咲きそろったらさぞかし壮観だろうと楽しみにしていた。

 で、それを確認しにいった。
 ところがどうであろう、そこに見たのは実に無残なものであった。
 7月には活き活きとしてその開花を待っていたつぼみたちのほとんどが、褐色になって枯れてしまっているのだ。それどころか、その木そのものが弱り果てている様子なのだ。
 あまりにも無残なので詳しくも見ず、写真も撮らなかったが、悲しいではないか。
 植物は、自分でよりよい環境に移動することができない。
 ひとの適切な手助けがない場合、自然の過酷さに自分の運命を託す他はない。

 
          7月11日に撮した元気だったナツツバキの蕾たち

 私には、冷房がどうのこうのと文句をたれながらも、それに対応する手段がある。しかし、世の中には、このナツツバキもそうだが、それにとどまらず、人間様でもその状況の変化に対応できない場合がある。
 自然もそうだが、社会的状況の中でもそれらは増えていて深刻なのだ。

 私の不適応は今さらいうまい。
 でも、自然の条件に適応できない動植物たち、社会的諸条件に適応できない人びと、とりわけ若い人たちには心が痛む。
 これは単に、同情でいっているのではない。
 今日、自然の条件も、社会的条件も、人間の干渉なくしてはありえない。

         

 科学技術をはじめ人間の自然への干渉が想像以上に大きい時代に私たちは生きている。それは多分、もはや自然と人為という区別が意味を成さない段階であるかもしれない。
 そしてその象徴がフクシマなのだと思う。
 何億ベクレルという汚染水が渦巻く現状は、自然に加えた人為の爪痕そのものなのだ。
 しかも人類は、それらを容易に拭い去ることもできない錯綜のままに、なおかつ自然への干渉を強化するという、つまり科学技術という新興宗教にも似た迷妄にすがりながら、ひたすら破局や悲惨へと突き進んでいる。

 あのナツツバキが、一輪でも花開くことを願っている。
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