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【日記らしきもの】コロナ禍の街・名古屋を征く

2020-03-16 14:03:26 | 日記

 昨日の日曜日、二七日ぶりというからほぼ一ヶ月ぶりに名古屋へ出る。
 岐阜からみて、名古屋は恐ろしいところだ。岐阜県全体ではコロナ感染者は二~三人とまだわずかだが、愛知では感染者は一二一人で北海道の一四八人に迫り、その死者も一二人と二桁に至っている。
 
 そんななか、定例の勉強会に出る。
 JR東海道線は日曜には近在近郷から名古屋へ遊びに出る人でもう少し混んでいるはずだが、通常の半分以下ぐらい、ガラガラに空いている。もちろん、知り合いでもない限り、並んで掛けることもなく、会話も少ない。
 とりわけ休日に多い子供の乗客がいなくて静かだ。おかげで、気を取られることなく読書が進む。

 名古屋駅から地下鉄で栄へ出る。普段の休日なら、ターミナルから街の中心への移動、車内は人でいっぱいのはずだ。しかしガランとして、みなが座席に掛けている。立っている人も二~三人いるが、席がないからではなく、立つ方を選んでいるからにすぎない。

      

 栄の駅もいつもなら肩擦れ合って進み、他の人に進路を妨げられたりするのだが、スイスイと目的の方角へ行くことができる。
 地上の街も静かだ。ストリートミュージシャンもいない。
 シデコブシがきれいに咲きそろっている通りがあって、前に見た折よりもいっそう樹が大きくなっているように思った。しかしそれを愛でながら歩く人影も少ない。

 会に出席。ヤナーチェクについての勉強で、このモラヴィアの作曲家についての概略説明のあと、そのオペラ、『イェヌーファ』のDVDを観ながらの解説入り鑑賞。
 寡聞にして、初めてのオペラだが、なかなか面白かった。大画面で観るそれはけっこう迫力がある。同時代のプッチーニなどとは、題材もその音楽も違い、確かにスラブの響きがある。

      
         これはその折のものではない

 できれば、ヤナーチェクのオペラ以外の楽曲にも触れてほしかったが、限られた時間ではないものねだりだろう。彼のよく知られた『タリス・ブリーバ』や『シンフォニエッタ』も特徴的であるが、その室内楽、不協和音でこれでもかと迫るような弦楽四重奏『クロイツェル・ソナタ』、『ないしょの手紙』、それにヴァイオリン・ソナタなどにも面白い表現がたくさんある。

 それはそれとして面白かった。
 終了して外へ出ると、日が長くなったのが感じられる。
 いつもなら、その後、懇親会があるのだが、それは時節柄中止。
 せっかく名古屋へ来たのにと、旧知の友人に電話をして金山で逢う。

 金山へ少し早く着いたので、駅周辺を歩いたが、半世紀前のサラリーマン時代ここに二~三年勤務していた頃とは大違いだ。
 駅周辺で、きれいなおベエと袴姿の娘さん三人組が窮屈に体を寄せ合って自撮りをしている。卒業式の流れらしい。行き合ったのもなにかの縁、三人揃った全身を撮ってあげようかといったら、「ワ~、キャ~」っと喜んでくれた。三~四枚を撮ってやる。

      
 
 話を聞いてみると可哀想に、卒業式そのものは中止で、証書のみをもらって散会になり、せっかくの衣装を無駄にしたくないので、こうして出かけ、写真を撮っていたのだという。
 私の頃の普段着ででかけた卒業式とはまさに隔世の感があるが、それはそれとしてせっかくこの日のために整えたのに、可哀想だと思った。
 別れ際、「ありがとうございました」と三人揃っての大声と深々としたお辞儀に、さほど多くはない通行人の注目を浴びることとなってこそばゆかった。

 たまに行く飲食店もいつもの喧噪はまったくない。
 これならマスクを外してもいい。もっともマスクをしたままでは飲食もできないのだが。

 友人と近況などを交わすのだが、お互い、この間、ほとんど外出をしてないので、さほど目新しい話題もない。
 そこそこに引き上げる。
 通り雨があったようだが、上がっていてくれて助かった。

      

 交通機関も街も静かであった。しかも想像以上に。
 これでは物販も、飲食などのサービス業も大変だ。何もかも中止・中止・中止ではやってゆけないだろう。
 リーマンショック以上の落ち込みになるのではという予測もあるようだが、いずれにしても、振り落とされるのは個人や零細、中小の経営だろうと思う。それらの助成を図るというのだが、果たしてほんとうに被害を被った人々にちゃんと行き渡り、彼らは救われるのだろうか。

 久々の外出だったが、やはり晴れやかにはなれない。

 


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