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「猫ボラ」を飲み込む資本主義 経済効果は年2兆円?

2022-12-14 00:12:49 | 社会評論
 「猫ボラ」というのをご存知だろうと思う。「保護猫ボランティア」の略称で、飼い主のいない、いわゆる野良猫の殺処分を減らすため、その世話や管理をし、捕らえて避妊手術をしたり、その保護観察や一時預かりなどするボランティア活動のことである。

      

 そうした活動の一つの成果が、いわゆる「さくらねこ」と呼ばれる雌猫たちである。これは、捕獲され、避妊手術を受けた印として、耳の先端をV字状にカットされた猫で、その耳の形状が桜の花びらに似ていることから名付けられたものである。

      

 日頃からさして猫に関心がない私は、それを知ったのはつい先ごろのことだが、SNS上でそうした猫ボラに積極的に参加している友人たちも知っていて、殺処分がなくなるのならそれもいいことだなあとは思っていた。いや、良いことに違いないといまも思ってはいる。

 しかし、いま発売中の「週刊朝日」の広告見出しを見て驚いた。トップ記事の特集がその「猫ボラ」に関するもので、そのなかに、「ネコノミクス」の経済効果は年二兆円とあるのだ。多分これは、「猫ボラ」だけではなくその周辺の猫絡み総体でのことだろうと思うのだが、それにしても人間のあらゆる営みを経済効果として市場に還元してしまう資本主義ってなんとたくましいシステムだろうと改めて感嘆している次第だ。

      

 現況のグローバリズム下の資本主義が、一握りの富裕層と、生活困窮者へと二極分解しているなかで、それを止揚するためにボランティアやNPO活動、協同組合活動などの推進を説いている知り合いの学者がいるが、その彼は、こうしたボランティアなどの非営利活動自体が、市場経済の場へと駆り出され、「経済効果」で測られている実情をどう考えるのだろうか。

 他にも、もっと戦闘的に振る舞いながらも、実は、資本主義の掌の上で踊っているというお釈迦様の掌で暴れていた孫悟空みたいな話もけっこうある。例えば、「資本主義の絶滅」をうたった書籍などすら、市場での商品として私たちにもたらされるのが実情である。

      
 最近のバンクシーの作品?ウクライナがプーチンのロシアを投げ飛ばしているところ?

 資本主義の網目の外部はあるのだろうか。
 あ、ついでに思い出した。美術館や画商の画廊から飛び出し、落書きとして始まったバンクシーの「絵画?」が、今や億単位の立派な商品として市場で流通しているのである。

 資本主義ってすごいなぁ!

 


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