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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

高所からの名古屋駅界隈・曾我蕭白展・透明なブランデー

2021-11-06 16:56:33 | よしなしごと

            

 11月になって、出かける機会、人と出会う機会が多くなった。
 まだ、おっかなびっくりなところがあるとはいえ、老い先短い私にはそうした機会が与えられるkことは歓迎すべき事態である。
 そんなことで、4日、5日と二日続けて名古屋へ出ることとなった。
 今日はとりあえず4日の分。

               

 まずは名古屋駅近くで友人と昼食を共にし、情報交換など話が弾んだ。
 用件があるというその友人と別れて、「チョイ鉄」の私は、高いところからの列車の写真撮影に挑む。といっても、スマホだから大したことはない。

               
          
 ここからは、東海道線、中央線、関西線の在来線の他、東海道線新幹線、それに私鉄の名鉄、近鉄、さらには市営のあおなみ線が見渡せる。
 在来線と新幹線のコラボを撮りたかったがタイミングが合わない。
 新幹線の下りが白蛇のごとく名古屋駅に近づくのが穫れたのみだ。

           

 その後、以前の同人誌時代から大変お世話になっている I さんから頂いたチケットで愛知県美術館の曾我蕭白展を観にゆく。蕭白は紙媒体やTVなどで観て奇想天外な画風の絵師だという概略は知ってはいたが、直接その作品を見るのは初めてだ。

            

 確かに奇想天外な構図などの作品はある。ただし、「富士・三保松原図屏風」を始めとする山水風のものは、どれも丹精で緻密な描写で「おとなしく」描かれている。同じ山水風でも老境になるとタッチが変わったりするが奇想という感はない。

            

では「奇想な」ものはどんなものかというと、ほとんどが人物や動物が描かれたもので、その表現がまことに個性的なのだ。賢人高士を描いていても、その表情や視線の行方は独特であり、まさに奇なるものがある。動物の表情や肢体のありようにも独自性がある。
 まるで、生命体の在りようとは「奇想」そのものだと主張しているかのようである。

              
 
 もう一つの発見は、蕭白は三重県との関わりが強く、幾度も滞在していて、とりわけ、滞在先の多気永島家のために描いた作品が数多く残され、それらのうち重要文化財指定の7点は三重県立美術館が所蔵しているというのだ。
 多気といえば、この前、樽見鉄道の旅にご一緒したSご夫妻がその多気のお住い、機会があったらその永島家などについてなにかご存知かお聞きしたいものだ。

           

 ひとり気ままに会場の中を行き来して鑑賞していたので、結構時間をとり、美術館を出た頃にはもうすっかり秋夕のとばりが街々を包み込んでいた。
 今池へと足を向ける。先般訪れた飲み屋さん、安西コーブンドーさんへの再訪だ。まだ準備中であったが店主の好意で飲ませていただけることに。
 
 懐かしい高岡の酒、「勝駒」などを頂いたが、目の前に真水のようにサラッとした透明な液体があるので、これは何かと尋ねると「ブランデー」だという。
 ブランデーというと、琥珀色で少しネットリした感覚のものしか知らないので、詳しく聞くと、蒸留酒に取り憑かれ、本まで出した男性が開発したものだという。

              

 若い頃はウィスキーなどのハードスピリッツを「ストレートでダブル」などと気取って飲んだこともあるが、アルコールの度数などとの関連もあって、ここ近年はほとんど口にしていない。
 そんな話をしていたら、店主が「酔わないようにブレンドしたものを作りますよ」とのことで、それに任せて一杯飲んでみた。
 トニック風のブレンドでかっこいいブランディグラスの酒は、それなりにダンディな生活をしてきた老人には似合うかもしれないが、片田舎の野暮ったいジジィにはそぐわないかもなどと、コンプレックスを肴に口にしたのだが、これがなかなかうまいのだ。
 口当たりもいいし、サラッとした後味もいい。

 酒量も時間もここらあたりと切り上げ、千種駅までを心地よい夜風に身を任せて歩く。
 やはり、ひとと面と向かって話ができ、刺激的な絵画を鑑賞し、仕上げは美酒と来て、なんだか幾分若返った気分になることが出来た。
 第六波など来ることなくこのまま収まってくれたら、残された日々をそれなりに豊かに過ごせるのにとほんとうに思っている。

 末尾になってしまったが、蕭白展のチケットをお送りいただいた I さんに感謝々々である。

コメント
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