魔人の鉞

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大元帥・昭和天皇は第1級の敗戦責任者

2023-08-04 09:00:42 | 第2次大戦
終戦の日が近づいてきました。
最近3冊の本を読んで、昭和天皇の戦争責任はまことに重大、というよりも大元帥として天皇一人が責任を負うべきではないかと考えるようになりました。

「昭和天皇の戦争~『昭和天皇実録』に残されたこと、消されたこと」 山田 朗著、岩波書店 2017年。

昭和天皇は立憲君主などではなく、大元帥として常に陸海軍・政府各部の報告や内装を受け、すべての情報を把握していました。そのうえで大元帥としての権限を完全に発揮していました。
例えば張鼓峰事件 (1938)。天皇は事件の一報を聞き激怒し、軍事行動の不拡大を厳命し、参謀総長から張鼓峰紛争不拡大の命令が現地軍に出されました。ところが現地の第19師団は張鼓峰の近くの沙草峰を自衛のためとして攻撃し、ついでに張鼓峰も占領してしまいました。
これでは厳罰必死、と誰しも思うわけですが、その報告を受けた天皇はなんと「満足」のお言葉を与えたのでした。(113-116p)
こういう事例は幾つもあり、独断専行であっても戦果があればお褒めの言葉を与えるのでは、やったもの勝ちになってしまうのは当然です。関東軍が悪いのではなく、そうさせた大元帥・昭和天皇の責任です。天皇は特攻作戦についてもお褒めの言葉を与えたので、以後は特攻全盛・無駄死にばかりになってしまいました。

「御前会議 昭和天皇一五回の聖断」 大江志乃夫著、中公新書 1991年。
ご聖断といえば終戦時のことだけが有名ですが、大江氏は15回の御前会議があったので、15のご聖断があったととらえています。
その御前会議の開催前に天皇は大元帥としてあらゆる情報を臣下から収集し、議案について事前に質し、場合によっては総長らを呼びつけて質問しています。陸海軍、政府各部などのすべての情報を持っているのは大元帥である天皇一人だけです。そして毎回御前会議において聖断を降したのです。戦後、立憲君主だったので臣下の上奏は拒否出来なかった、などとと自己弁護していますが、まったくの嘘っぱちだということは丹念に事実を積み上げれば見えてきます。

「天皇裕仁と東京大空襲」 松浦総三著、大槻書店 1994年。
1945年3月11日の東京大空襲は一夜にして10万人の一般市民を焼き殺した、人道に反する戦争犯罪でした。しかしまた、帝国日本の防空能力がほとんどゼロだということが明らかになったので、その後も空襲が続くこと、数十万の一般国民が殺されることは自明でした。
ところが天皇裕仁は1週間後の3月18日にその焼け跡を視察行幸したのに、何の感想も残さず施策も取っていません。防空責任者を叱責したり更迭したという記録さえありません。何のための行幸だったのか、まったくわかりません。(1964年に大空襲の指揮官ルメイ中将に日本国天皇から勲一等旭日大綬章を授賞したというのですから、あきれてものが言えません。戦争犯罪人として告発すべきなのに。 )

松浦氏は、この時点で終戦していれば、全国各地の空襲もヒロシマもナガサキもなく、ソ連の参戦も防ぐことができたと言っています。
私もまったくそのとおりだと思います。
国民を守る力がまったくないのに、その後5か月以上も継戦し、天皇は大元帥として何とか一撃でもして形勢を立て直せないかとあれこれ思案・指示したのですが、その間におそらく200万人ほどが死亡しました。ほんとうにハラワタが煮えくり返るような話です。無能・無責任極まる大元帥でした。そして何のために頑張ったかといえば、天皇制を守ためだったという、実にバカバカしいことでした。
特攻の創始者・大西中将など、天皇さえ生き残れば国民は全滅してもいい、と言うほど狂っていました。そしてなんと、最大の敗戦責任者・大元帥・昭和天皇だけは生き残ったのです。退位もしないで。

あれほどの惨禍を受けたのですから、天皇制は廃棄すべきだった。アメリカが占領支配の便宜のために天皇を利用したのは確かですが、それは大成功で、いまや天皇家ブームです。
しかし私たちは昭和天皇が第1級・最高の戦争責任者であったことを忘れないようにしたいものです。

そして真子氏をはじめ秋篠宮一家によって天皇制への疑問が出てきている。300年後くらいには天皇制も単なる一家元になっていることを期待しましょう。
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