魔人の鉞

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卑弥呼の墓・径100余歩は墓域全体のサイズ?

2020-01-31 21:34:15 | 邪馬台国

卑弥呼の墓について、邪馬台国九州派の論客安本氏の新刊「卑弥呼の墓はすでに発掘されている!!」 安本美典著、勉誠出版 2017年。

安本氏は話題の箸墓が卑弥呼の墓でないことを多角的に論証しています。

まず年代が違うこと。崇神天皇の没年を古事記の没年干支・戊寅で258年とするか、318年とするかについて、日本と世界の王者の平均在位年数をみると、古代はほぼ10年、仁徳~用明の15代16年間の平均は10.67年。3代後の成務の没年・乙卯を355年とすれば、258年はあり得ない (23p)。したがって卑弥呼に擬せられる箸墓のヤマトトトヒモモソヒメとは合わない。

箸墓の遺物の放射性炭素年代では、箸墓より古いとみられるホケノ山古墳の小枝の分析では、4世紀のものである確率が70-80% だということです (131p)。

そしてなんといっても問題になっている、卑弥呼の墓のサイズ。径100余歩で直径140mの大型円墳というのが一般的な理解ですが、これについて安本氏は画期的な新解釈を施しました。「兆域」、つまり墓域全体ととらえたのです。兆域は陵そのものよりも著しく大きな場合があるとします (142p)。これは実に意外なアイディアでした。魏志倭人伝は 「大作冢」、大いに冢を作るとあって、「作大冢」 大きな冢を作る、とは言っていないわけです (143p)。箸墓は前方後円墳という特殊な形態で円墳ではなく、全体の大きさも300m級ですから、まったく当てはまりません。

安本氏は、都と墓所は別でもおかしくないとし、たとえば平原 (伊都国) 王墓を想定できる、ということのようです。同墓は全国最大46.5cmもの内行花文鏡5面のほか漢鏡など、質・量ともに圧倒的な副葬品を誇ります。断定はしていませんが、もう見つかっているのではないか、とします。

墓のサイズ、年代、副葬品、いろいろな状況から、卑弥呼の墓が北九州にあるのはほとんど確実でしょう。

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ブレグジットでイギリスはもっと凋落する

2020-01-31 14:00:36 | 時事問題

きょう2020年1月31日一杯で、イギリスがEUを離脱します。

といっても経過期間があり、実際には1年後ということだそうです。離脱についてはいろいろな意見がありますが、歴史の大きな転換点でEUにとって打撃である、という見方が多いようです。しかし私はあまり悲観していません。

いま世界はトランプのせいで大揺れであり、プレグジットもトランプ現象の一つです。グローバリズムに反発するナショナリスティックな動きです。もちろんグローバリズム自体に強者の横暴、不均衡の拡大という大きな問題がありますが、その対応策としてはトランプ主義は最悪です。トランプは強者の横暴により不均衡をさらに拡大し、自国が好き勝手にすることで当面を取り繕う、という場当たり妖怪です。それを生み出したのは弱者の反抗、そして馬鹿げたキリスト教原理主義者ですから、皮肉なことです。

イギリスもグローバリズムに虐げられた弱者の反抗でした。しかし方向は間違っており、離脱ではなく改革に向かうべきでした。しかし歴史は時に大きく振れるもので、行き過ぎもまたやむをえない。EUは問題を抱えていますが、イギリスを除く27か国がまとまっていることを見逃してはならないでしょう。イギリスは通貨もユーロに統一していないし、プライドばかり高くて異端児のままでした。いろいろな意見があるが、イギリスがおそらく失敗するので、離脱続発はないでしょう。イギリスはアメリカとうまくやれば何とかなる、と思っているかもしれないが、難しいでしょう。離脱後は嫌でもアメリカに屈従するほかありません。それが嫌ならEUに戻らなければならない。またスコットランドが独立を求めるかもしれません。イギリスは自分が実行した離脱をスコットランドが要求したとき、どういう論理でそれを否定できるでしょうか。国論が分裂してまとまらず、いばらの道を断崖に向かって突っ走るような、危なっかしいことになるでしょう。

アメリカはますます没落していき、EUと中国との3つ巴になるでしょう。日本もアメリカ一辺倒ではだめです。安倍ポチ、危ういかな。

 

 

 

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チャーター便利用費の公費負担に反対!

2020-01-31 08:50:04 | 新型コロナ

報道によると、安倍ちゃんは武漢からのチャーター便帰還者の運賃一人約8万円を公費で負担することを午後発表するらしい。それは当然だという声が多いようですが、私は反対です。戦争や武力抗争ではありません。災害だから、ということのようですが、緊急事態というなら、なぜ症状のある人の搭乗を拒否したのでしょうか。今の武漢ではおそらく満足な治療を受けられないでしょうから、むしろ優先して搭乗させるべきです。そうでない人は後回しでいい。

安倍ちゃんの人気取りではないですか? 隔離の費用は仕方がないが、元気な人が帰ってきて飛行機代も公費負担では、納得できません。人気取りはヤメロ!!

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無症状での感染者2人

2020-01-31 08:38:45 | 新型コロナ

やはり、でした。朝日新聞2020年1月31日朝刊によると、武漢からの帰還者の中で、症状がないのに感染していた人が2人いました。今回の新型肺炎でそのようなことはすでに報告されていたのに、厚労省の担当者は 「想定外」 だとコメントしたそうです。何ともお気楽なものです。

そんなことだから、チャーター便で帰ってきた人の中で、検査を拒否して帰宅した人が2人いた、といったことが起きるのです。そして隔離措置も手配していなかった。まったく甘いですね。日本のお役人はどうしたんでしょうか。ズサン、無責任、想像力の欠如、メチャメチャですね。そして安倍に対するソンタクだけは200%、300%です。

日本を守る? ガタガタになってしまっています。こんな状態を守ってどうする。安倍クロちゃん、どうするの?

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驚異的な 古田武彦氏の学問

2020-01-30 08:55:10 | 日本古代史

「古代通史~ 古田武彦の物語る古代世界」 古田武彦著、原書房 1994年。

古田先生に興味を持って、ちょっと古い本ですが読んでみました。たいへん該博な内容で、しおりを挟んだらたくさんになりすぎて困るほどです。

まず冒頭から、ウリチ族の射日神話に驚きます (4p)。これは萩原真子「アムール川流域の射日神話」(国際商科大学論叢 第16号) に学んだそうですが、太陽が3つあり、2つを石を投げつけて殺し、1つだけになった、というものです。この伝説は弓矢のない時代のものであること、そして「神」が登場しないことが驚きだとします。弓矢のあるオロチ族の説話にも神は出てこない。さらに後世になると神が一斉に登場するそうで、「神の発見」があったことになります (10p)。人類の初めに神はいなかったらしい、とは驚きです。

日本神話の神々を分類すると、最初に生まれたのは 「人」 だと書いてあるというので、また驚き。書紀に、

「天地未だ生ぜざる時に (中略) 其の中に一物生ぜり。葦牙の初めて泥の中に生じたるがごとし。即ち化して人と為る。国常立神と号す。」

この「人」に振り仮名を振ってカミと読ませているわけです (15p)。目からウロコ、とはこのことです。

そして国産み神話に第10の一書として男尊女卑でないストーリーがあること (36p)。

瀬戸大橋の橋脚のところから数十万点ものサヌカイト石器が出てきたこと。

日本の縄文土器は1万5000年前後と世界一古いが、それは火山が教えたのだろう (50p)、また黒潮に乗って漂流するときを考えて水がめが必要だった (55p) ことが土器を作ったきっかけと考えられること。そして弥生時代より前の1万年余りは日本列島の方が先進文明であった可能性が高い (66p)、ということ。

国生み神話には鉾と戈つまり金属器が使われているので弥生神話、出雲の国曳き神話には杭と綱だけで金属器が使われていないから「縄文神話」ではないか (78p)。

国曳き神話の 「北門」 はウラジオストックではないかと考えて調べたところ、ソ連の学者が送ってきた70数点のサヌカイト石器の50%が隠岐の島の、40%は北海道赤井川産のものだったそうです。日本海を渡る交流があったことが国曳き神話に残っているということになります。

また、「歴史は、成功した侵略は書かないことにしている。」(124p) という氏の一般法則は、なるほどと思います。

そして魏志倭人伝の解釈です。部分の総和は全体になるはずと考え抜いて、総1万2千里で、里程が明記されている不弥国までの合計が1万600里、足りない1400里は対馬の周旋400里の縦横、壱岐の周旋300里の縦横を足すとちょうど1400里になるとして、不弥国で邪馬台国に到着している、不弥国は邪馬台国の玄関だとします。これはなかなか意外ですが面白い解釈で、伊都国王墓や須玖岡本など豪華副葬品を持つ墳墓がたくさんある福岡県あたりに邪馬台国を想定できることになります。

裸国、黒歯国というのは古代倭人がアメリカ大陸、ペルー辺りまで行っていたことの記憶ではないか、とします (182p)。

まだまだたくさん、なるほどと思わせられることが続きます。たいへんな学者ですが、歴史学会ではほとんど評価されていません。惜しいことです。

 

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