魔人の鉞

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イエスは仏教に近い

2019-07-17 08:07:17 | 宗教

「イエスはユダヤ教より仏教に近い」 長谷川洋三 著、考古堂書店 2009年。

著者は早稲田大学名誉教授で仏教・良寛研究者です。
この本には驚きました。私もかねてから何となく疑問に感じていたことを、学問的にズバリと解明してくれました。

たとえば、キリスト教がユダヤの神を継承していると主張するのは、キリスト教神学の錯誤であると。なぜなら、ユダヤ教では天地創造の神がいつの間にかユダヤの人、それもその一系統だけを選んで、その一族だけの民族守護神になってしまっていること。これでは天地創造神とは違う神ではないか、とします。
また戒律は、ユダヤ教には60いくつもあるのに、イエスはひとつだけ、ただ愛があるだけだ。(聖書中には戒律を守れという発言も記されているが) イエスはほとんどすべての戒律に違反し、神を冒涜しても許されると言っている。イエスの神は、ユダヤ教の神ではない。

そして三位一体。宇宙のロゴスと、この世にある人の子と、ロゴスの働きとしての聖霊は、別のものではなく、一体であるということです。イエスの教えからすれば、万人が三位一体になりうるのである、とします。一方、仏に三身あり、法身仏 (ダルマ=大日如来)、応身仏 (人として生きた釈迦牟尼仏)、報身仏 (諸如来・菩薩・明王)、三者は異なるものではない。衆生にはみな仏心があり、それが発現して悟りを得れば万人が仏となれるとしており、イエスの教えと相似だとします。

「あなたがたの天の父が完全であられるように、あなたがたも完全な者となりなさい」(マタイ 5・48) 
原罪があるとされる人間でも、完全な者となることができるというのは、ユダヤ教ではありえない教えでしょう。またイスラム教でも、神の被造物で下僕である人間には完全になることなどありえない。

目からウロコです。この長谷川先生の著書を、もっと読んでみたいと思います。

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