デイリー新潮 2020年6/25(木) 6:01配信 「吉村知事」が「8割おじさんに騙された」 によると (抄録) 、専門家会議の西浦教授の試算はほぼあり得ない代物だったと専門家が指摘し、吉村氏は驚いたということです。
西浦教授は4月7日、「人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減できれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」と発言して8割削減を提唱。4月15日には、接触を減らすなどの対策をまったくとらなければ、国内で約85万人が重症化、うち約42万人が死亡する恐れがある、という試算を公表しました。
しかし大阪府の吉村洋文知事は6月12日、「第2回大阪府新型コロナウイルス対策本部専門家会議」終了後の囲み会見で、西浦教授の試算は事実と異なっており、全面的信頼はできないと語りました。
「大阪と兵庫の往来自粛をしたときも、西浦先生の数字で、兵庫と大阪は2週間後に感染者が3千人になる、とありましたが、事実としてそうはならなかった。」「40万人亡くなるというのも、4月15日に出ましたが、40万人死んでいません。現実には900人。すべて西浦モデルが出発点になって、国の方針が示されてきました。」「それをやっても副作用がなければ全然いいけど、休業要請などもすべてにかけていくと、副作用、出血、犠牲があまりに大きすぎるので、国を挙げて批判的検証をしないと間違った方向に進むんじゃないか」
いわば「8割おじさんに騙された」と、白状した恰好だった。
第2回大阪府新型コロナウイルス対策本部専門家会議のメンバーで京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は、「新型コロナは基礎疾患がある人、高齢者などの “コロナ弱者” を除けば治る病気。強毒性のウイルスと同様の対処をするのはどうなのか、というのが私の意見です」「空気感染はないと言っていいレベルで、咳、痰、唾が飛んでの飛沫感染、ウイルスが付着した手で口や鼻を触っての接触感染に気をつければ、感染リスクは非常に下がり、それにはこまめな手洗いとマスク着用で事足ります。」「感染は3月28日にはピークアウトしていましたが、収束へ向かったのは初期段階の対策の効果。緊急事態宣言の発令後、映画館やパチンコ店など、駅の利用状況も問題視されましたが、唾液が飛ばないところで自粛しても意味がありません。」
西浦教授の数理モデル自体については、「42万人死亡、という数字は、だれも新型コロナを気にせず、毎日ドンチャン騒ぎをする状況なら、確率論的にはありえますが、一般常識としてはありえません。その公表がリスクコミュニケーションとしてどうだったかといえば、私はよくなかったと思う。出しても恐怖を呼び、社会的に混乱を招くだけです」
まったくその通りでした。安倍総理の全国一律休校要請も、社会的混乱と恐怖感を膨らませてしまいました。
そこでもう一人の学者、大阪大学核物理研究センター長の中野貴志教授に登場を願おう。K値は「感染拡大率の減速を示す指標で、直近1週間の新規感染者数を、累積感染者数で割って算出するものです。先にK値で予想を立て、以降の感染者数を見ると、いまのところ予測とほとんど同じ推移です。この病気は発症後2週間で治るので、指数関数的に増え続けるのは不可能。感染者の推移も、勢いよく上がっているように見えている段階でさえ減速している。その勢いの衰え方がずっと一緒なら、少なくなるのはいつかという予測も立ちます」「人と人との接触が多いと感染拡大のペースが上がるなら、都市部では収束が遅れ、地方では早くなるはずですが、それが変わらない。すると、3月上旬までの感染者で、日本のその後の感染者数の推移は決まったと考えたほうが自然です」
「緊急事態宣言はK値の解析レベルではわからない程度の改善しかなく、大阪と兵庫の往来自粛も同様です。人出の多少でも変わらず、パチンコ店でもクラスターの発生はない。大声で人と話し、唾が飛び交う状況でないただの “密” は危なくない、と考えたほうが論理的です。さらに日本は欧米にくらべ、ロックダウン前の収束スピードが倍くらい速い。これには疫学的ななにかがあると思います。だから、海外から感染者が入ったら欧米のように感染爆発とか、ありえません」
「42万人」も指数関数的に増え続ける場合の数字で、発表時にはすでに「鎖国」していたのだから、「ありえない」と訴えた。
とのことです。
両氏は、三密や「新しい生活様式」をバッサリ切り捨てます。それは段々とわかってきたこともあるでしょうが、子どもや若い層の症状が軽いのは極く初期から分かっていました。人的接触8割減の理論的根拠を西浦教授は開示せず、ブラックボックスでしたが、政府は権威ある専門家の試算として重視し、政策の根幹に据えました。しかし試算というものは前提条件や計算式によって大きく変わるもので、その妥当性を他者が検証できるようになっていなければなりません。それができない西浦氏の試算はブラック試算とでも呼ぶべきです。
そして宮沢孝幸准教授や中野貴志教授の言うことが正しければ、「新しい生活様式」など噴飯ものだということです。まるで戦前の国民生活指導のように見えますが、マスコミがこぞって無批判にもてはやしているのを見ると、どうも不安になります。サーフィンやパチンコ店などがやり玉にあがりましたが、過剰反応であり、私も初めから疑問視していました。外歩きでマスクの人が多くいますが、屋外のマスクはほぼ無用です。
世論は怖い。どんなに間違ったことでも、大勢に抗しがたいところがあります。しかし地道に正論を訴えていかなければなりません。