魔人の鉞

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離散ユダヤ人 本当は改宗者

2018-08-26 08:59:40 | 宗教
「ユダヤ人の起源」 シュロモー・サンド 高橋武智監訳、佐々木康之・
木村高子訳、活気社 2010年。

流浪の民と言われるユダヤ人。2000年の流離の果て、ナチスドイツの
ジェノサイトを超えてようやくイスラエルを建国し、父祖の祖国に帰る
ことのできた人びと、というのが私のイメージでした。
しかしこの本はそんなユダヤ人観をすっかり覆してしまいます。


ちょっと乱暴にまとめると以下のようになります。

ユダヤ人という人種は無く、人種的な特徴はバラバラで決定できない
そうです。結局、ユダヤ教を信じる人たち、ということだけがユダヤ
人であるかどうかを決定する。

そのユダヤ教は、キリスト教がうまれる前から布教熱心で知られた
そうです。ヘレニズム諸王国、さらにローマ帝国が成立して、ユダヤ
教の宣教活動はさらに活発化し、地中海の全域に200万人ものユダヤ
教徒がいたらしい。それは、数万人の離散ユダヤ人が2世紀ほどの間に
自然増で増える数ではありえない。
たとえば南アラビアのヒムヤル王国、アフリカのベルベル人たち、そ
して黒海西岸に存在したユダヤ教大国のハザール。いろいろな人種の
人たちが宣教活動でユダヤ教信者となり、後に聖書の神話を史実とし、
ユダヤの地から離散したという物語を作ることで 「ユダヤ人」 になっ
たわけです。

ローマでキリスト教が国教となり、キリストを殺したとされたユダヤ人
を迫害するようになってから、ユダヤ教は宣教活動をやめて自らの殻に
とじこもり、いろいろな人々を改宗させたなどという歴史は消し去られ、
バビロン捕囚以来の苦難を歴史的事実とし、離散=ディアスポラを神の
試練とする 「選民思想」 を確立したわけです。

バビロン捕囚にしてもエジプトへの避難にしても、パレスチナに住んで
いたユダヤ人がだれもいなくなったわけではない。またローマによる
エルサレム破壊のあとでも、ユダヤ人全員が離散したわけではない
そうです。税金の対象である農耕民を全員追い払うなどということは
とても割に合わないし、数十万の人間を移動させる手段もなかった。
ユダヤ人が帰還したのではなく、もともとからそこに住んでいた。

バビロン捕囚というのは、ごく一部のエリート・祭祀階級の人たち
だけが移住させられたにすぎない。
世界に離散したユダヤ人、というのは、熱心な宣教活動で生まれた
いろいろな人種のユダヤ教信者を含んでおり、ディアスポラ以前の
パレスチナ在住のユダヤ人の子孫というのはむしろごく少数派では
ないか、と考えられる。

私が思うに、
聖書という、矛盾に満ちた書物を都合よく解釈し、神が約束した土地
だというのでアラブ人を追い出し、抵抗すれば虐殺する。今のイスラ
エル国家は、アラブ人に人権を認めない、とんでもない圧政国家です。
それをアメリカが力づくで支える。こんなことがいつまで続けられる
のか。100年後にはアラブに飲み込まれるかもしれません。
威張る神のイスラムも嫌いだが、今のユダヤよりは余程マシです。
 
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