世界的な進化生物学者、リチャード・ドーキンス 「進化とは何か」、
吉成真由美訳、2014年、早川書房。
「神は妄想である」の著者が自分本来の研究範囲を語ります。
生物はまるで誰かがデザインしたかのように見えますので、彼は
それをデザイノイドと呼んでいます。しかしそれはデザインされ
たのではなくて、進化によってそのようになってきた、と証明し
ます。
進化は生存のための少しずつの変異が積み重なったもので、あた
かも「不可能の山に登る」かのようだと説きます。今生きている
ものはいきなりその形になったのではない。少しずつすこしずつ、
半分しか鍵穴に (目的に) 合わないとしても、無いよりはましな、
わずかな変異が積み重なったものだということです。
なにか「人生は重き荷を背負って歩む如し」みたいな話ですが、
化石などに証拠が残っている。デザイノイドは神のデザインでは
なく、進化の結果だということはまぎれもありません。
またヒトは想像能力に優れ、容易にバーチャルリアリティの世界
を頭に描くことができる。そのため、幽霊や神秘体験を創り出す
のは朝飯前であること。
言語は素晴らしいツールだけれども、固定的な観念 (例えばナチ
ズム) や、頑迷な宗教 (中世のキリスト教や今日のイスラム教
原理主義) が人々を支配するようなことが起こりうること。
人類はいつになったら一神教などという迷妄を断ち切ることが
できるのでしょう。
「私たちは自分の頭の中に宇宙のモデルを構築することができる。
(中略) 文明が成長してくると、私たちが共有している宇宙モデル
も改善されていきます。(中略) 迷信から解放されていき、狭量さ
や偏狭さから脱していきます。」(195-196p)
本当にそうなってほしいものです。
(我が家で 2016年7月28日)