イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

キャラ立ちの華

2013-08-12 01:18:01 | 朝ドラマ

 なんだGMT 5、初単独イベント“GMT祭り”ではちゃんとナマ歌でしたよね。春子さん(小泉今日子さん)がイヤがっていた「ロボットみたいな声」じゃなかった。

 加工してCD完パケする前の、ディレクターがOKしたテイクの歌唱音源にクチパクしたのかな。いずれにせよ客前パフォであれだけ盛り上がれたら御の字で、春子ママがあんなにリキんで拒否してアキちゃん(能年玲奈さん)を連れ帰る必要もなかったような気もします。

 ところで、先週、太巻(古田新太さん)が水口(松田龍平さん)にぶっちゃけていた「機械でどうとでもなる」で、最初に連想したのが、特撮ヒーロー番組音楽シリーズ恒例のキャラクターソング、略して“キャラソン””の数々です。

 ま、略さなくてもいいんですけどね、ヒッ(太巻が降りてきてしまった)。

 キャラソン。つまり、ヒーロー役、ヒロイン役、時には敵役の顔出し俳優さんがキャラになりきって、ドラマの世界観に沿った歌詞を、キャラらしい曲想に乗せて歌う、いやいや歌って下さるという、一種のサービス企画で、ヒーロー番組随伴ソフトの中ではオフショット入り写真集、キャラクターデザイン画集等と並んで、月河の大好物のひとつです。

 当然ながら、歌っている皆さん、本業は俳優で、中にはバンドなど音楽活動経験者、あるいは俳優業と並行活動中の人もたまにいますが、おおかたはこの番組でこの役に抜擢されなければ仕事で歌うことなどなかったはずの人たちですから、昭和の“歌うスター”のニワカ版みたいな塩梅で、出来は玉石混淆、と言うより玉石石石石石混淆ぐらい。

 さなきだに楽曲そのものがヒーロードラマの特殊な世界観に合わせて、立ちまくったキャラのその立ち具合に負けないように作り込んである(劇中のクチグセや決めゼリフなどがあれば、さりげなく歌詞に織り込んであったりも)ため、歌唱経験も少なければもともとあんまり歌に向いていないことも多い俳優さんたちは、GMTの面々以上に死ぬ思いで歌うに違いなく、一聴して「人も頑張っているけど、それ以上に機械が頑張っているな」という、ある意味微笑ましい、若干手に汗も握る印象に仕上がるわけです。

 逆に、俳優さんの歌唱力が、前述のような音楽活動経験者などで安定している場合ほど、楽曲の耳当たりはスムーズ、言い換えれば“どうってことない”感じに仕上がります。

 最近の新譜なので例に出しやすいから挙げさせてもらうと、現在絶賛放送中『獣電戦隊キョウリュウジャー』の2ndミニアルバムでは、キョウリュウブラック役の斉藤秀翼さん、キョウリュウブルー役の金城大和さんがそれぞれのソロキャラソンを歌っています。

 斉藤さんはハードな曲にところどころ声量が物足りないふしはあるものの、さすがは元アマチュアバンドギターらしく、ビートへの歌の乗せ方がこなれている。

 一方金城さんのそれは歌と言うよりノリとキャラがすべてみたいな曲ではありますが(音頭だし)、小劇場の人だけあって声が前に出ているのが気持ちいい。

 歌詞も、ブラックは美女好き設定を活かしてちょっと気障なフレーズを混ぜ、ブルーは全編これオヤジギャグ固めと、小さなお友達に「イアンが歌ってるんだよ」「ノっさんが歌ってるんだよ」と教えて聞かせても違和感がない(“サンタさんは実在する”式のこの手の作り事に、現代の戦隊適齢期のお友達が、どれくらい乗ってくれるかは疑問ですが)ようにちゃんと出来ている。

 玉か石かで言えばかなり玉のほうに近い部類と言ってよく、その分耳あたりはさらっとしていて引っかかりが少ないとも言えます。

 逆に、引っかかりが“多い”例は、若干挙げにくいのですが、数年前のとあるスーパー戦隊の、まぁここまでは言ってもいいと思うので言うと、レッドのキャラソンがわりと破壊力に富んでいて、ネット上のファンの間で軽くファイヤーしたことはありました。

 いずれにしても“キャラクター”ソングですから、一にも二にも劇中のキャラに合うように作って、キャラらしく歌ってナンボ。

 スーパー戦隊で言うと、レッドの歌は大体レッドらしく明るく元気でアップテンポ、かつ小さいお友達にも覚えやすいようにとの配慮からかコード進行や構成もシンプルめな曲が多い。前述のファイヤーしたレッドの曲もそうですが「元気が余って」的なハズしかたならかえって「キャラに合っている」と好意的に受け入れてもらえます。

 逆にブルーはいろんな意味でレッドと対極なキャラに描かれますから、曲もクールでモダンで大人な、比較的難曲が多く、各色戦士の中では歴代ブルー役の俳優さんたちがいちばん歌唱で苦戦しがちかもしれません(今年のキョウリュウブルーは大胆に独自路線を行ってますが)。

 また、ピンクであれ何色であれ女性戦士がチームの紅一点なら、惜しげなくオンナノコっぽさ全開のアイドル路線になりますが、女性2人体制だと“女子性”の棲み分けという、より高度なキャラ造形がなされ、キャラソンもたとえば『特捜戦隊デカレンジャー』のデカピンク=ピュア元気系とデカイエロー=クール不思議系、『魔法戦隊マジレンジャー』のマジピンク=イケイケはじけ系とマジブルー=母性癒やし系といったふうに作り分けられる。このへん、学齢期手前の、おもに男子の小さいお友達から見た“望ましい女の子らしさ”のバリエのプレゼンとして興味深いものがあります。

 顔出し敵役のキャラソンとなるともっとフリーダムで、悪役らしくそれこそ太巻の好きなデスメタルとかかと思いきや、『爆竜戦隊アバレンジャー』のアバレキラー、『獣拳戦隊ゲキレンジャー』の臨獣殿カップル理央&メレ、『炎神戦隊ゴーオンジャー』の害水大臣ケガレシアなどの曲は「この世界観の中で、戦うとはどういうことか」「何を欲し何のために戦うのか」という自問自答、独白を織り込んだシリアスな哀愁ナンバーだったりして、むしろヒーロー側からの曲よりも鋭く物語の肝の部分をついていたりもする。

 これと似たことが仮面ライダーシリーズにも言え、こちらは“キャラソン”ではなく挿入歌、2ndED曲として取り扱われることも多いのですが、タイトルロールの仮面ライダー役が歌う例は稀です。

  おもに、劇中一度はタイトルライダーと微妙な関係になる2nd、3rd以降のライダーや、敵側キャラが、物語の中での自分の立ち位置、置かれた状況への所感を驚くほど人間的な情感で歌って、タイトルライダーでないからこそ踏み込める角度から世界観を照射します。『龍騎』のナイトや王蛇の曲、『剣(ブレイド)』のギャレンやカリスの曲はそれぞれのキャラの独自性だけでなく、ライダー同士の関係性をも浮かび上がらせる力を持った佳曲です。

 考えてみればタイトルライダーは戦うことが“当たり前”で、彼が戦わなければ『仮面ライダー○×』という話自体始まらないのですから、歌ってもらうまでもないのでした。

 ま、歌ってもいいんですけどね、ヒッ(また来た)。

 (この項続く)

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