イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ヒデキforever ~あとは流れゆく時のままに~

2018-05-17 22:07:35 | 芸能ネタ

 ヘンな表現だけど、「人間って、死ぬんだなぁ」というのが、報道を聞いて出た最初の感想です。

 西城秀樹さん六十三歳、ここ数年は脳梗塞からのリハビリ復帰がおもな提供話題で、昭和の横綱級アイドル“新・御三家”の一郭も生活習慣病世代か・・という感慨はチラチラもたらしてくれていたものの、まさか亡くなるとは。

 年を重ねても、全盛期のいで立ちでTVに映る機会がなくなっても、所謂エヴァーグリーンとして、この人だけはいつも時が止まった状態で存在しているような気がしていました。西城秀樹さんってどんなだっけ?と思い出すたびに、永遠にワイルドな17歳で、傷だらけのローラでヤング・マンで、ヒデキ感激!で『愛と誠』で『寺内貫太郎一家』なイメージなんですね。

 何たって、西城さんを代表に、当時の“アイドル”はお茶の間物件で、全世代対応だったから、世間的な認知刻印力、その広がりが今どきのアイドルの比ではないんです。いまのアイドルは、アイドルの客に進んでなる層=ドルヲタ専用商品ですが、たとえば西城さんは、どう考えてもアイドルが客に想定してないお爺ちゃんおバアちゃんも「あんな長い髪して、ヒョロヒョロな格好して」とか言いながら見ていたし、ライバルの野口五郎さんや郷ひろみさんのファンも見て、ちゃんと特徴をとらえて咀嚼し消費していました。テレビが一人一台ではなく、一世帯に一台、お茶の間のいちばん目抜きのポジションに鎮座していた時代の強みです。

 西城さんはつねに膝から下が広がり加減なパンツをはいて、左右に腰をうねらせるたび厚めにサイドに流した前髪がバフバフ目の上にかかる感じ、歌っている曲は洋楽っぽかったり、もろカバー曲だったりもするのですが、まさに昭和の、まさにザ・芸能界なステージング。

 月河と同年代、小学校高学年~高校初期にかけてこの人のピーク期を目の当たりにした人間は、いまでもカラオケでマイクスタンドの前に立つと、スタンスの開き方、スタンドに対して肩が入る角度など、“カッコよく歌おう”という意識が働けば働くほどいつの間にかヒデキっぽくなっているのに気がつきます。サビで高音域に入ると、わざとのようにシャガッとなるハスキーパンチな声質、唱法とも相俟って、“オンナノコにキャーキャー言われる、昭和的カッコよさ”の元祖、師匠みたいな人でしたよ。月河の年代にとってはね。もう少し上の世代の人なら、GSとかロカビリー組がそういう存在だったのかもしれません。

 脳梗塞発症以降は闘病の話題に明け暮れ、芸能面での新規展開はあまりありませんでしたが、10代でデビューしてすぐに脚光を浴び長く前線に居たわりには、音楽・芸能以外の生臭い話題がつきまとわない人だったように思います。スター芸能人の輝きを曇らせる、異性・金銭・薬物(アルコールも含む)スキャンダルに、驚くほど縁が無かった。モテなかったはずはないし、某・年上大御所女優さんのお気に入り説も聞きましたが、それで干されたり汚れたりすることはなかった。

 結婚が遅かったので、一時は「ヴィレッジ・ピープルのカバーヴァージョン歌ってたし、本当は男性が好きなのか?」とも言われていましたがそれすら都市伝説みたいになっていて、一般人の女性と結婚されたときも、お相手をめぐって取材攻勢が炸裂するようなこともなかったと記憶しています。派手目に見えてもゴシップ・スキャンダル体質でない人ってそういうもので、思うに、“抜き方”がうまいんでしょう。西城さんの活躍期はアナログな突撃型の芸能レポーター全盛時代でしたが、こういう職種の面々との付き合い方も上手そうでしたね。ちょっと下の年代の、田原俊彦さん辺りとは対照的でした。

 歌い手さんも功成り名遂げると、少ない消耗で実入りの大きいプロデュース業とか、後進育成などにシフトしていくことが多いものですが、西城さんは自分で汗かいて、ステージに立って歌うのが本当に性に合っていたようです。妙に“事業”寄りにならなかったのも金銭的に火傷しなかった秘訣でしょうね。想像ですが、ご家族や奥様も堅実な感覚をお持ちなのではないでしょうか。“スターに乗っかって利用して、労せず甘い汁”の大好きな手合いは世の中多いですから、このたぐいを近づけないためには取り巻きに恵まれる必要もあるのです。

 個人的には、2014年夏のNHK『思い出のメロディー』の生出演を家族と見たのが最後だったような。非高齢家族が失礼にも「(リハビリ復帰後)これだけ声が出れば、営業いけるから生活には困らないな」と感想をもらしていました。静かなバラード調の曲にもヒット作があるのに、敢えて『情熱の嵐』と『YOUNG  MAN』を選んで歌ったところに御本人の意地が垣間見えましたね。カタカナ“ヒデキ”のワイルドでダイナミックなイメージを大切にしたかったのでしょうが、若い頃、きくにまかせてきた無理が中高年になってこたえてきた感もあり。でも、天国でものんびりダラッとしているイメージがない人でもありますね。まさにエヴァーグリーン。

 ・・・・ところで、ドサクサにまぎれて失礼ながら、若さに似合わぬ成熟した歌唱力の持ち主だった秀樹さんのヒット曲のかずかず、結構、月河のカラオケ愛唱ナンバーの宝庫なんですよ。特に、昭和50年以降、“ワイルド”から“メロウ”(←この形容詞も一時流行りました)に曲調を転換していった頃の『ブーツをぬいで朝食を』『あなたと愛のために』『ジプシー』などあのへん(どのへんだ)。

 秀樹さんのような圧倒的に優秀な声量が無くても、高音部シャガレな唱法ができなくても、コツがあるんです。『ブーツを~』は宝塚男役スターっぽく、『あなたと~』は奥村チヨさん風に♪男のアナタには わからないでしょぉん とコケティッシュに、『ジプシー』はサビで敢えて♪お・ね・が・い とウィスパーっぽく、辺見えみり・・さんのお母さんマリさん風に。いや、いけますって(イヤな客だねえ)。

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