『M‐1グランプリ2008』、最終決戦にもれた組についても書いておこうと思っていたら、このブログの大家さん=ブログ人週替わりトラバテーマ“ブログ人投票箱”←←(左柱)←←にも登場していますな。こうして不特定多数に投下してもいいくらい、年末の恒例として定着したということでしょうか。
月河はここ5年ほどは、少なくとも『紅白歌合戦』なんかよりはくっきりはっきり楽しみな番組ですね。師走に入って、仕事や体調がきついとき、「大晦日には『紅白』が観られるから頑張ろう」とはまず100%思わないけど、「もうすぐ『M‐1』があるから頑張ろう」とは一度ならず脳裏をよぎります。
家族や、大晦日夜も職場で過ごす年は休憩室仲間に付き合うにしても、『紅白』が大半“見たこともない人たちの、聴いたこともない楽曲”になって久しいですが、『M‐1グランプリ』は、名前すら知らない組が出場の過半数を占める年であっても、観れば外れなく、尻上がりに楽しめた。演者たちのネタの総体的なデキや、司会進行がスムーズだったかどうか、個人的に気に入った組が好成績をおさめられたかどうかなどで、毎年感想に多少のデコボコはあるものの、やはり“ここへ来るまでに、1~3回戦、準決勝と、時間をかけステップを踏んで、選りすぐって選りすぐってやっと到達した”という、出場者・製作スタッフ共々の積み上げ感が、番組としての見応えにつながり、前の記事でも触れたような“良きお祭り感”を醸し出していると思う。
トップバッターのダイアンが、素直なすっとぼけ漫才で、思った以上にデキがよく席の温っためにも貢献してくれたのは今大会の大きなプラス材料になりました。昨年はネタの選択も誤ったしひとつもいいところが出ませんでしたが、サカナ顔で“いけしゃあしゃあ飄然”のボケ西澤と、サル顔で暑くるしい滑稽味のツッコミ津田、2人水と油みたいなのが、今年はプラスに転じた。決勝進出決定通告時のVTRでも2列ぐらい離れて座っていたように、このコンビどう考えても芸風的に合わないんじゃないか?と今年も思ったんだけど、逆に、その合わなさがうまく行けば素晴らしい相乗効果を生むこともあるかも。あのダウンタウンも、子だくさんで恐妻家のツッコミ浜ちゃんと、四十路半ばにしていまだ独身風俗帝王のボケ松っちゃんだからこそここまで保っているということもある。
ただ、ダイアンに話を戻すと、序盤の「指さすな、指はやめとけ」のやりとりがちょっと長すぎてくどかったか。オチの明解さ、伏線との呼応具合は全組一番だったと思います。
笑い飯に関しては、実は04年ぐらいから「早く優勝して勝ち抜けてくれないかな」と思っているんです。それくらい、有体に言ってしまうとこの芸風に飽きた(爆)。そりゃ言い過ぎか。彼らのガチネタが観られるのはM‐1だけだもんでね。ここまで来ると(02年から連続決勝ラウンド出場)、彼ら単体の中でのお祭り感、ひと皮剥けを期待するより、“『M‐1』のシンボルキャラクター”としての定着を目指しちゃったらどうかな。「この顔を見ると今年もM‐1だ」みたいな。「自分達のスタイルを茶化してみるようなセコいことやってみました」と短髪の哲夫が自虐していましたが、“斬新”“自由”に殉じるという、その方向性もそれはそれとしてカッコいいと思う。昨年はトップバッター、今年は2番手、そのうち演順と前の組までの流れにものすごく恵まれれば、あの足踏みは何だったのかってぐらいの圧勝するかもしれない。実力具合は嫌になるほどわかっているだけに、逆にちょっと番組のお荷物化してきました。
モンスターエンジンは、コントやピン芸の印象が強かったからなのか、客席も審査員も漫才として受け止めるのに若干手間暇を要してしまった分点が伸びませんでしたが、若手さんたちが好んで演りたがるヒーローネタ、特撮ネタの地合いに置くと図抜けて面白かったと思う。ただ、「この人たちなら漫才で評価しなくても、他ジャンルでじゅうぶんやっていけるだろう」という空気が、会場になんとなく漂っていたことは確か。器用でいろいろできるのも良し悪し。
U字工事は『爆笑オンエアバトル』でよく見ていたオンエア時のノリをよく失わずに演れていたし、司会今田耕司さん、楽屋リポート木村祐二さん、敗者復活会場レポート藤井隆さん以下圧倒的に“西寄り”会場の中、よく栃木弁の持ち味を出した。ただ磯山さやかという個人名を契機に展開していく方法がちょっとどうかな。キングオブコント08のバッファロー吾郎でも思ったのですが、有名人名やアニメタイトルなど“有りモノネタ”は“安い”気がしてどうも評価できない。栃木を使った可笑しさで勝負するなら他にもネタがあっただろうに。
ザ・パンチは初見。点数ほど悪くはないと思いましたが、ネタ後採点待ちトークでの今田さんの「死んでー~!」の、見事にこなれた取り込み方を見るにつけても、この人たち自身、“M‐1汁(じる)”の滲み込みがいかにも浅いうちにラストチャンス(デビュー10年)になってしまった感じ。
昨年に続いての決勝進出となったキングコングは、2年連続の決勝がそれ自体目標になってしまったようで、昨年と同じ職業ネタで来たのに昨年2本に比べて明らかに緩く、間が空き過ぎ。特にツッコミ西野、昨年の逸勝後号泣したところで事実上緊張が切れたのか、漫才師には珍しい円らな瞳ゆえに、歴然と映ってしまう色が完全に“仕事”“営業”。審査員の中田カウスさんが「アタマで漫才してる感じで、ハートがついていってない」と見事に言い当ててくれました(それに続けて「ネタの選択間違えたんちゃうかな」とフォローしてくれる辺りがカウス師匠さすがですが)。
出場者とネタ以外では、サブ司会の上戸彩ちゃんが思いのほか自然体でのびのびやっていて気持ちよかったですね。二の腕出す衣装だと、結構上半身の肉付きいいのね(オヤジか)。オードリー春日の「ウォイ」がお気に入りだったみたいですが。NON STYLEの最終決戦「あ、室伏?」で抜かれていたのは、オロナミンCのCMで共演済みだったことだしカメラさんナイス。
審査員席に目を移すと、島田紳助さんが終始、何で?ってくらいの仏頂面を続けていたのがものすごく気になりました。決勝進出の顔ぶれに納得が行ってなかったんでしょうか。それにしても、ご自身単独司会の番組ではあれだけ盛り上げ上手なのに、抜かれるたびあの険しい顔つきはお笑い・バラエティのプロとしてどうかと思いました。少し審査員休んだらいかがかな。
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