イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

バカ爆発

2008-02-22 18:36:39 | テレビ番組

ダン池田さん。亡くなっておられたんですね。

72歳。まだそんなお年だったかと思う一方、本当に失礼なんだけど「てっきり、とっくに…」の感もある。それぐらい“過去の人”になっておられました。

『芸能界 本日モ反省ノ色ナシ』でしたか。80年代前半は、あの手の“○○ブックス”的新書判、分厚めな代わり活字は大きく行間たっぷりなタレント本のたぐいが、数多くベストセラーになったものです。

同書も話題として聞いただけで未読ですが、タイトルからして読んだ眼が腐るていの書物なのはまるわかり。インターネットの匿名掲示板や、媒体のそのまた媒体みたいなものが花盛りの今日なら活字にすらならなかったでしょうが、歌手や作曲家や局P、MC司会者など業界の仲間に愛され慕われてこそのバンドマスターが、なんでこんなものをクチに出し世に出してしまったかなぁ。

お酒が好きだったようだし、酒場での内緒話にとどめておけばすんだものを、一度クチから出た言葉は引っ込められないばかりか、活字になり紙に印刷されたとなると、ネット上の流言以上に怖ろしい独り歩きを始めてしまう。

何か、よっぽど腹に据えかねるトラブルにでも遭遇して、それがきっかけでの逆ギレ暴露だったのだろうか。どうにもね、部外者で『夜のヒットスタジオ』などのいち視聴者としてしかダン池田さんを知らない月河からすると「アタマがトチ狂った」としか思えないんですよ。

ひとつ思い出すのは、『芸能界~』よりずっと前、まだ70年代だったか『スターどっきりマル秘報告』で、タレントやアイドルを絶叫ローラーコースターに乗せてそのリアクションを据付カメラで撮る、という企画がありました。

当然ながら半泣き・阿鼻叫喚のヘン顔が、大の男・コワモテ系のゲストだと“意外な頼りなさ”で笑いを取り、美人カワイイ系のタレントさんだと“アノ時”の顔を想像させてお茶の間にささやかな劣情を…という狙いだったのでしょうが、一度、よっぽどゲスト日照りだったのか、ダンさんが乗ったことがあったんですね。

コワモテでも二枚目でもカワイイ系でもない、愛嬌ありそであんまりない、トッぽいチョビ髭おじさん。どこへ落とそうとしてるのかわからない、バラエティとしての企画の粗悪放漫さが招いた事態ではあります。

同乗者はレギュラーで宮尾すすむさんだったかな?ダンさんはコースターが急降下しようが反転しようが終始ニコニコ、ニヤニヤ、エヘラエヘラしていたものです。

当時実家の母と見ながら「やっぱりリズム感が優れていると怖くないもんかねぇ」とよくわからない解釈をしていましたが、ゲストのキャーキャー泣きが売り物のコーナーで、これでは番組として台無し。

後から思えば、ダンさんの芸能人としての“ムダな肝っ玉太さ(て言うか無神経)”と、いまで言う“空気読めなさ”を露呈したシーンだったかもしれません。

まあ、表舞台を退くときも、退いた後もそれなりの苦汁と思うところはあったでしょう。表舞台と呼べるものに縁がないまま終える人生もいくらもあることだし。死者に鞭打たず。ご冥福をお祈りします(フォローになっとるのか)。

再放送『真夏の薔薇』はとうとう第64話まで来ました。終盤は小野寺昭さんによる“火室ックおもしろオンステージ”の様相を呈していたなあ。

郁子(姿晴香さん)の、妻の座が欲しいゆえの嘘にまんまとはまっていたこと、碧(安永亜衣さん)と父娘の血縁がなく俊顕も実の孫ではなかったこと、どちらがショック大きかったのか。息子・稲彦と碧が実兄妹と思い込んで前妻・萌子(鰐淵晴子さん)は錯乱の果てに事故死、稲彦も一時絶縁寸前になり、自分は自分で車のトランクに夜通し閉じ込められて「セックスだけはしないでくれえー」の惨状を呈したことは、どうも後づけで「そう言や…」と思い出して初めてこたえたみたい。舞台が成功して提灯好評もらったら、たちまちお郁さんんの店にテレテレ飲みに来てるしね

稲彦嫁の典子(福家美峰さん)にいきなり『オセロ』のひとり芝居を始めたり「稽古に行くからピンクのシャツ(←何が悲しくてピンク!)を出せ」と言いつけてみたり、迎えに来たマネージャーには「着替えはいらん!役者はいま着ているものが衣装だ!」など、おもしろ過ぎるよ火室ック。

一度でいいから俳優としての舞台演技の劇中劇、観てみたかったなあ。ジャーマネさん火室を「先生」呼び。役者もベテランになると演歌歌手と一緒なのね。明日が初日というギリのタイミングでどうにか“先生”を楽屋入りさせることができてジャーマネさん、出て行きしな典子たちに指マル目配せしてるし。

以前、火室役は別に俳優設定でなくても、タレント教授でも作家でも、マスコミに顔と名を知られる職業ならなんでもよかったんでは?と思ったこともありましたが、ここに来ると、もう、役者しかないね火室ック。とことん役者バカ、舞台バカ、芝居バカ、演技バカ。ドラマのキャラとは言えこんなに“バカ”連発くっつけていいのか。いいのだ。

どよーんドロドロシリアス系の連ドラには、作劇的に画面に出てくるとホッとしたり場が明るくなったりする“癒しキャラ”が不可欠ですが、このドラマに関しては火室ックがいれば必要十分でした。

まぁ、“癒され”はしないけど、なんかコイツ見てると「人生どうにかなるさ」とヘンに度胸すわってくる一方「そうだよコレ、ドラマじゃん作り話じゃん」と、世界の風通しが良くなるというか。言わば「存在自体が通風口」。

そんな火室のぶっ飛びぶりを目の前にして右往左往の典子「ワタシ巌井(←火室の本名)家の家風に合わないんじゃないかしら」も笑いました。こんな“家風”ないってばよ。気の毒な立場の典子ではあるけど、常識人としては、最初っから“関わり合いになったら厄介”が明らかな問題含みの家族に、みずから深入りし過ぎで、あまり「その気持ちわかる」とは同情もしにくい。

萌子、靖顕実母(草村礼子さん)、巴お祖母ちゃん(鳳八千代さん)、三田村と、結構な数の人死にが出たこのドラマも、土壇場で碧が高熱を出して倒れ、連ドラにありがちな“伏線なき不治の病”設定か?と思われましたが、今日64話では「3日後にワタシは昏睡状態に陥りました…」との碧視点での独白ナレが入るところをみると、最終話まで碧は生存確定か?エンディングロールとともに“天国目線ナレ”になる可能性もありますが。

頭のネジのどこか一本抜けた人ばかりがよってたかって、あり得ない動機であり得ない行為の応酬を繰り広げることの多い昼ドラにあって、碧のほどの良い“巻き込まれ体質”はなかなか貴重でした。何か起こるたびにゆらゆらオタオタするだけの問題解決能力ゼロ稲彦(池田政典さん)、神経質で粘着でケツ穴のちっこい靖顕(入江達也さん)、どちらがパートナーでも頼りないけど、“まあまあ幸せ”に落ち着いて生を全うしてくれればいいがな。

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