でも、NHK朝ドラの正面切った“ヒロイン顔出し型”OPって思い返すと例が少ないような。
月河は2008年の『瞳』から中途参入したクチですが、『瞳』は瞳(榮倉奈々さん)が暮らすことになる月島の中小路の四季を表現した動画で、瞳自身を含めて、特定できるキャストの後ろ姿はなし。『だんだん』は双子のダブルヒロインが育った出雲と京都の風物を、“縁(えにし)の糸”で結ぶアニメーションだったような。「だったような」ってのも大筋視聴しといてナンですが、最終盤はほとんど流してたもんでね。長期間多話数の連続ドラマって、終盤に盛り上がらず逆に熱が引く展開になると、あらゆることがまるごと薄くなるもんです。2008年の両作、どちらもヒロインのヴィジュアルやキャラより“日本のどこを舞台にした、どこの地方の空気感で展開するお話か”というローカル色を前面に押し出したOPでした。
近作でいちばん堂々とした“ヒロイン顔出し型”OPと言えば何と言っても2009年の『つばさ』でしょうね。“多部未華子さんas玉木つばさ写真集@川越”とでも言った趣きのスチールスライドショー。カメラマンの佐内正史さんみずから「“多部未華子”と“玉木つばさ”の中間の表情を」と狙いを語っておられるように、背景や衣装など、『つばさ』劇中の設定・ストーリーとリンクするようでいて微妙にはずしていて、“多部さんがつばさになる途中”とも、“もうひとりの自分=つばさに会いに来た多部さん”とも見え、要するにべったりドラマ本体に接続していない“離れ”のようなつくりで、全体が壮大な劇中劇のようだったこのドラマにおいては、なかなかの“呼び込み係”だったと思います。
…まぁ結果的には、多部さんか地元・川越、どちらかにあらかじめ興味と好感を持っている人以外は“呼び込まれてくれなかった”かもしれませんが。
一方、“顔出し無し型”OPで堂々とした、と言うよりよくもまあ思い切ったもんだというのが2009年下期の『ウェルかめ』。OPぜんぶアニメ。それもゆる萌えキャラアニメ。リアル鐚一文も無し。これは『ウェルかめ』がああいうドラマだったからこそできた、と言うより『ウェルかめ』以外どんな作品も無理なOPの作りでした。振り返っても、『ウェル』で思い出すのは倉科カナさんの豊満バストでも美波町の美しい海浜でもなく、大東俊介さんと武田航平さんのイケメン対決でも、ゾメキトキメキでもアルデナイデェでもなくひたすら“かめっ太くん”あるのみ。このドラマの主眼は和みと微笑ましさであって、“大人の分別”や“実社会のシリアスな面”や、論理的整合性は求めないほうがいいドラマなんだなということをわかりやすく伝えてくれる、これもまた優秀な呼び込みOPだったと言って良いでしょう。この項さらに続く。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます