今年も恐怖の健康診断が近づいてきたからというわけではありませんが、店頭でコッチを向いていたAsahi off(オフ)を、350ml・112円の目玉特価に釣られて試飲。
缶のフロントセンターに筆記体で“off”のロゴもかなり訴求力がありますが、プリン体“85”%オフ、糖質“70”%オフという、offの下にさらにオフを2つ並べた上塗り感、屋上屋感が何とも微妙ですな。
発泡酒・新ジャンルの中でも、健康志向を第一にうたった、機能性食品的な系列はなんとなく“いちばん大事なこと(=美味)を二の次にしている”ような気がして、新リリースの報を聞いてもあまり積極的に手が出ませんでした。いくら食品工業技術が進歩したと言っても、お酒のような“昔からあるもの”を、“昨日今日にわかに騒がれ出した価値観(=健康志向)”に基づき、“にわかに発達した技術”を使って、小細工すればするほど味がB級化、バッタもん化しそうじゃないですか。
それに、そんなに目の色変えてプリン体だ糖質だ削減しなきゃならないほど自分、メタボでも痛風予備軍でもないわい、というプライドもちょっとはあったりなんかして。
まぁ何をどれだけオフしようと、1缶112円は大歓迎。論より証拠で飲んでみましたが、悪くないですよ、味。「Alc.3.5%以上4.5%未満」という科捜研のレポートみたいな表示がまた微妙に気になりますが、しっかり麦の味もするし、5%のクリアアサヒに遜色ない“お酒感”もあります。
ただ、新ジャンル各社各ラベル全般に言えることですが、このAsahi offも、泡の質がいかにも炭酸炭酸して、サイダーっぽいプチプチ感が優勢。ビールらしい、きめの細かい、こしのある泡にはならないのは致し方がないですね。第三のビールっつったって“ビールではない”んですから。
泡を鑑賞するものではなく、ひたすら飲みクチのすっきり感を楽しむものだと割り切れば合格。この次112円になったらまた買おう。筆記体“off”その他の表示部分以外はぜんぶツヤあり金色で統一したパッケージも、“リキュール(発泡性)”という分類にふさわしい、ほどのよい“敷居の低さ”(≒ゴリゴリのビール党員ではない女性やビギナーでも手に取りやすい)を表現していて、同類商品の棚の中では結構出色だと思います。
『夏の秘密』第8話は、セリ(田野アサミさん)に恩を売って囮役を頼んだ紀保(山田麻衣子さん)、伊織(瀬川亮さん)の部屋の鍵の型をこっそり取り、工場に急ぎの仕事が入って伊織の手が離せない時間を狙って忍び込み、素人ガサ入れの末どうにかあの物置部屋の鍵を発見…というドキドキが眼目になりました。
あの引き出しにも、この本の間にもない、さて後はどこを探せば?と紀保が途方に暮れたとき、一瞬赤い表紙のスクラップブックがフレーム(紀保の視界)に入り、あッそれを開けて見ちゃったら、紀保、自分の正体が伊織に読まれてることを知って…と観客をドキッとさせた次の瞬間、鏡に映った銀のペンダントのほうに注意をそらす、ヒッチコックばりの見せ方の手順はなかなか堂に入っています。
昨日7話の、フキ(小橋めぐみさん)と紀保の川べりのシーンでもワンカット、鏡が効果的に使われていました。
鍵の隠し場所として、印鑑など貴重品の入っている場所、表紙のついたファイルの体裁になっているものにまず注目する紀保のごくごく真っ当な目のつけどころに対し、ペンダントトップの裏に貼り付けてそこらに吊るしておく伊織は、ポーの『盗まれた手紙』じゃないけどなんだかモノを隠し慣れてる男みたいですよ。
怖いもの知らずの強みで紀保も行動振幅広く頑張っているけれど、つい田野さん扮するセリに目が行ってしまいますな。捨てゼリフ一発でバケツ蹴っ飛ばすとか、後ろ手にドア閉めてアッカンベーとか、“ガラっぱちの最大公約数”と言うか“先の読めるアバズレ”と言うか、前クールの『エゴイスト』での宮地真緒さんのKAORIもそうだったけれど、女性が女性を見るときの“外からはっきりわかりやすい悪はそんなに悪じゃない”という物差しを象徴するよう。
対極にあるのが紀保のドレス工房の実務パートナー・杏子(松田沙紀さん)。職務に忠実な常識人で、婚約者の無実を晴らしたいあまりの紀保の暴走に懸命にブレーキかけていると思いきや、紀保から託された龍一への直筆の手紙を、さしたるためらいもなくパソコンで真逆のニュアンスに書き替えて渡し、原本はあっさり燃やしてしまいました。これは紀保が現時点で味方と信じて疑っていないだけに、観客視点ではグサグサ来る、ワル怖い女です。
ひそかな片思いだった龍一が逮捕されて、立場が変わったことで自分にも可能性が出てきたと思い込み、それでスイッチが入っちゃったのか、もともと面従腹背タイプの女で、人を見る目のないお嬢紀保が気がつかないでいただけだったのか。伊織ばかりでなく周囲の女性たちもバキバキに、あるいはじんわりやんわり、陰に陽にクセ者過ぎて、キャラとして紀保の影が相対的に薄くならないか心配なくらいです。
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