イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

曙産婦人科…アケボノ?

2007-10-11 23:53:20 | テレビ番組

2週目に入った『愛の迷宮』は序盤可もなく不可もなしです。

愛のない結婚、後継ぎを産めのプレッシャー、兄嫁と通じる夫、使用人の男との間に初めて知った恋、不倫の妊娠…とどこかで見たような聞いたような展開が続いていますが、世間知らずのお嬢さまのまま冷血な夫・光男(保阪尚希さんの“おだやかな狂気”もなかなか)に嫁いだ文香役・宮本真希さんの、何かっつったら「どうしたらいいの私、どうしていいのかわからない」というじれったいくらいの天然っぷり、存分に健康的な肢体の、昭和の良家子女らしさに救われます。

もの足りないのは脇を固める親世代組に今作もうひとつケレン味が薄いこと。

事あるごとに亡き長男と光男を比較して否定し、長男のお気に入りだった航太(咲輝さん)の能力を根拠なく高評価して、そのたびに光男の恨みを買う父・光吉役は横内正さん、『水戸黄門』『暴れん坊将軍』時代から衰えない美声はさすがですが、03年のこの枠『真実一路』での高岡早紀さんの父役時代に比べると、いまいち押しが弱いし、長男への偏愛とか、何ゆえ次男の光男にばかりはそんなに厳しくするのか?というひずみの部分もあまり表出してきません。

それにしても横内さん、4年の間隔を置いて“当時夫婦、いま元・夫婦”の2人の父親役を演じることになるとは思わなかったのではないでしょうか。気がつけばご自身も、何だ、その…そういう事になっておられる。

嫁・文香に「早く跡継ぎを」と急かす姑・マキ役の新藤恵美さんも、子作りプレッシャー以外はわりに文香に寛大で、かえって長男の嫁で未亡人となった可奈子(高橋かおりさん)に早く屋敷を出て行け、長男の忘れ形見となった孫娘は置いて行けと迫るなどきつく当たっていますが、その可奈子がカエルのツラになんとやらなこともあって、いまのところさしたる強烈キャラではない。

旧家で名家ではあるが経営している会社が倒産寸前で苦境にある文香実家の父・秀夫役堀内正美さんは、ドラマで拝見するのが非常に久しぶりなので楽しみだったのですが、「子供の事を心配するのが親の仕事だ」とか、拍子抜けするくらい毒にも薬にもならない親バカパパ。

5話で早くも(?)心筋梗塞の発作で倒れ、光男との離婚を決意しかけていた文香に翻意させるなど、どうもコレ、堀内さん持ち前の“病弱薄命キャラ”を買われただけの起用くさい。

皆さん、“こうこういうふうに演じてください”と言われればそれなりにできる方々だけに、いまのところは主役たちを引き立てるために濃さを抑えているのかもしれませんが。

そんな中、文香母・幸子役の上原恵子さんが、昭和戦前派の保守的な女性の“静かに時代から取り残されていく”感じをよく表現していて好感が持てます。

『危険な関係』の矢内家家政婦タキさん役で高橋かおりさんとは共演されていますが、今作は公式の設定では“元華族出身の女性”。ちょっと庶民的過ぎない?と第一印象では思ったのですが、戦中戦後・混乱期の華族、特に女性は“華”族という字ヅラとはうらはらに激動の辛酸を舐めた一族がほとんど(この辺り小田部雄次著『華族 -近代日本貴族の虚像と実像-』中公新書 に詳しい)だし“良家育ちゆえに、世の中の起伏に免疫耐性がなくデンとしていられないので、いつもどこかチャカチャカ、ソワソワ”で、逆に一見“貧乏性”に見える人ってリアルに居るものです。

それにしても、文香の嫁ぎ先鮎川家は旧・戦前の庁舎か博物館風、実家の江上家は木造総瓦葺きの老舗料亭旅館風と、無駄に外観ショットだけ広壮。

んで、内陣の居間や台所、座敷は(スタジオセットのため)こぢんまりしているという、実に昼ドラ遠近法なしつらえ。

『麗わしき鬼』の眉川家食堂(昭和47年)にも、『金色の翼』の空と海のホテル1階ホール廊下(現代)にもあった円形の天使レリーフが、鮎川家の玄関前階段の柱にも掛かっているという仰天タイムパラドックス(?)も、慣れれば愛すべきものです。

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