いやあ、『夏の秘密』とは違う意味でNHK『つばさ』も盛り上がってますな。13日(月)~からの週はほとんど観られなかったので、今日(18日)のBS‐2おさらいを観ましたが、あれは金曜日放送分になるのかな?10:30過ぎに、つばさ(多部未華子さん)、増水にのみ込まれるか!というピンチに真瀬(宅間孝行さん)が「いもぉ~~~!!」と叫んで駆けつけてきたときには思いがけず“特撮系”の“燃え”を覚えちゃいましたよ。
あのままヒロインが海の藻屑ならぬ“川越の芋屑”になっちゃったらドラマが悲しみのうちに終わってしまうので、翔太(小柳友さん)が怪我で動けないとしたら、必ず誰か援軍が来るはず、来るとしたら真瀬だろうなと、待って見守るような流れになっていましたから、来たこと自体は「遅せえよ!」ぐらいだったんですけど、画面フレームへの入り方がねぇ。中山の第四コーナーかモナコGPかってぐらいの勢いで、右下角から逆“つ”の字形に入りましたからね。“つばさ”の“つ”って意味かな。それはないか。とにかく普段あんまり全速力で疾走する機会のない、軟弱な中年都会人デスクワーカーが一瞬熱くなりました!って感じで結構好きなシーンでしたね。
土曜放送分では、亡妻の旧友みちる(山本未来さん)の告白を振り切る口実も混じっていたかもしれないけれど、「オレは玉木つばさを愛してる」まで言って、しかもみちるの機転(意地悪?)でカフが上がっていたため、ブース外に来ていたつばさ本人に聞かれちゃいましたよ。どうする真瀬。いまさら引けないぞ。
一方、ホームレスになってた親父(永島敏行さん)を、水没する小屋から必死の救出したばっかりに膝を痛めてつばさを助けられず、みすみす目の前で大事な彼女が自分以外の、それも中年の男にマウスtoマウス…という屈辱を味わった翔太は、Jリーガーとしての今後にも暗雲が立ちこめそうで気の毒ではありますが、考えてみればドラマの浅い段階でJリーグ入団テストに合格して順風満帆一方ってのも現実的でないし、ドラマとしても安直過ぎる。宮崎に行きっきりで、つばさとの電話やメール交換だけの出演、川越近郊で試合があるときだけ顔出しじゃキャラとして薄すぎるでしょう。
一度どん底を見て、つばさを支えにそこから這い上がって夢に手を(足か?)かける、翔太自身の物語に期待したいですね。昼ドラの場合、“ヒロイン相手役男性は問題ありか、普通に腰抜け”が通例ですが、朝だしね。ヒロインと歩調合わせる勢いではばたく、さわやかな相手役もたまには見たい。せっかく“つばさ”=翼と好一対の、“翔”太という役名をもらっているのだし。
んじゃ真瀬の“つばさ愛”はどうなるかというと、まだ2ヶ月半あることだし、めぐりめぐって“翔太とともに発展途上の空路を行くつばさを、地上から温かく見守る”という位置に落ち着くのではないでしょうか。つばさハタチ、設定としては真瀬は30代半ばか、“親子ほど年が離れている”とまではいかないけれど、兄貴というには年かさ過ぎる、そういうおじさんに惹かれる時期が、すべてではないけど或るタイプの女の子にはあるものですが、このドラマはそのおじさんのほうが先に「愛してる」言っちゃった。
しかも、“渋い”とか“知的”とか、“落ち着いた”“頼り甲斐のある”、もしくは“財力がある”といった、おじさん属性のうちでハタチ前後の女の子に好感されそうな要素とことごとく対極にある真瀬ですからね。ここらが、“あり得ない朝ドラ”たる『つばさ』らしいと思う。
個人的には、つばさが真瀬とともに周波数を探して、アンテナ持って歩き回る場面が“ワンダーランドの入口探検”のようで大好きだったので、真瀬にもつばさと良いムードになるチャンスを一度はあげてほしい。溺れかけを救出じゃ、誰だって目いっぱい抱きつくに決まっているんだから、ちょっとフェアじゃない、と言うか、ロマンチックが足りないじゃないですか。
でも、めぐりめぐって真瀬がつばさ争奪戦に敗退したら、せっかく心を開きかけている優花ちゃん(畠山彩奈さん)の「つばさ、ゆうかのおかあさんになって」という願いが叶えられないのがね。優花ちゃんはつばさを母親視しているというより、父親の真瀬がつばさに気持ちがあるのを子供独特の勘で察して「おかあさん」発言しているんだと思う。幼い子の、親を見つめる視線には怖いくらいの洞察力、情報集積解読力があって、“親が誰と仲がいいか、誰を信頼しているか、誰と険悪で、誰に遠慮し、誰を恨んでいるか”をものすごく的確に見抜いている。お姑さんが意地悪で年中嫁をいびっているような家では、子供はいくらお菓子や玩具を買ってくれても、お祖母ちゃんにはなつきません。
それとも優花ちゃん、先々週『婦系図』の稽古するパパとつばさを見て早呑み込みしちゃったかな。お母さんがほしい気持ちはわかるけれど、みちるではつばさの代わりになりそうにないなあ。「千波(=真瀬の亡妻、みちるの旧友)を紹介する前から、真瀬のことずっと好きだったよ」なんて後出しじゃんけんみたいにコクる女って、月河、お薦めできないよ。
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