イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ウンヒの涙 ~韓貞玉のクッと煮てパッ~

2018-06-14 23:26:44 | 海外ドラマ

 1月~2月~3月と寒い時期に、前のエントリで書いた通り韓国ドラマ『ウンヒの涙』(BS日テレ)を視聴していたので、なんだかしみじみとクッパっちゅうもんが食べたくなり、放送の間じゅうレシピをいろいろ当たってみては、かなりの頻度で試作、試食していました。

 ここ三日ほど、急にカレンダーを二か月分くらい逆にめくったような寒さなので、再びプチ・クッパブームが訪れています。 

 だってね、『ウンヒ』の劇中のお母さん(ネタバレすると正確には養母)=ジョンオクさん(演・キム・ヘソンさん。『宮廷女官チャングムの誓い』のお母さんでおなじみ)の作るクッパが、やたら美味そうなんですよ。と言うか、出てくる人物出てくる人物みんな「ウンヒのお母さんのクッパは美味い」と褒めちぎって、ドラマ内の演技とは思えないくらい本当においしそうに食べるもんで。 

 (・・ところでこのドラマのタイトルではヒロインの名前が“ウンヒ”と表記されていますが、劇中ではみんな「ウニ」「ウニ」と発音しています。フルネーム“キム・ウンヒ”、劇中二度ほどちらっと映った履歴書によると漢字では“金恩煕”で、なんだかどっかの国の指導者の一族みたいな字並び。日本向けに日本語タイトルを付けるにあたって、『ウニの涙』だとダーウィンが来た!みたいになっちゃうと思ったんでしょうか)(ちなみに、『カッコウの巣』のヒロイン=ヨニさんは“ペク・ヨニ”と字幕でも表記され、セリフでもそう呼ばれ、一瞬映った離婚届によると漢字は“白延煕”でした)

 クッパというと、月河のイメージでは“韓国風雑炊”もしくは“韓国風おじや”。これに尽きていました。

 野菜各種、海藻類、鶏肉などを入れた、だしがきいて辛味のある具だくさんのスープに白いお米のご飯を炊き合わせて煮立てて、スープと具材と、お粥ほどは煮融けてないご飯を、行平みたいなスプーンで掬って一体にして、ふーふー食べるものだと思っていたら、非高齢家族が「チガウ」

 「それは普通に“雑炊”であって、クッパは同じようで全然違うのだ」と厳然と断じました。

 曰く、「クッパの“クッ”はスープ、“パ”がご飯」であるからして、スープとご飯は最初から一体にして火を通すのではなく、飽くまでも“具だくさんスープの独立した完成形”と、“まっさらのご飯”とが別々に用意されて、食べるときに両者を一体にするという手続きを取らなければ「正しいクッ・パにはならない」のだそうな。

 はいはい、クッにパで要するに“スープご飯”てことね。月河もこう見えて(どう見えて?)カレーライスにおけるライスへのカレーのかけ方、つまり「如何にしてカレーとライスをカレーライスと為すか」にはひと頃、かなりのこだわりの深さを誇っていましたから、「スープと具とご飯を合わせて煮て食べるものと、具入りスープにご飯を加えて食べるものとは全然別物」という、わかるようなわからないようなリクツに付き合ってあげる心の余裕はないではないのです。

 そんなことはさておき、スープのほうは本場韓国風にこだわらず、かつおだしやこんぶだし、いりこだし等いつもの味噌汁や煮物に使っているやつをガンガン使いまして、野菜も冷蔵庫にあるやつをガンガン使う。

 洋風のチキン味やビーフ味コンソメも、キャベツや玉ねぎ人参、ブロッコリーを入れて、びっくりするほど米のご飯に合うことがわかりました。胡椒は控えて、ショウガのおろし汁をちょっと加えるといちだんと体も温まります。和風でも洋風でも、最後に磯のりかアオサをトッピング。

 そういえばドラマ内で、ウンヒが生き別れの娘とわかり、本人には告げられないまま理由を作って自邸に引き取ったローラ・キム社長(演・キム・ボミさん。現在絶賛放送中BS11『漆黒の四重奏』でも地味に味だし中)に「食材は何が好き?」と訊かれて「ほうれん草が好きです」とポパイみたいな返事をしていました。それでというわけでもありませんが、思いついたのがパン食のお友達=フリーズドライのほうれん草&ベーコンのスープ。ベースがチキン味とかつおだしなので、自前の薄味のかつおだしをたっぷりに、顆粒減塩鶏だし調味料で味を補強して煮立てて、このフリーズドライを一個煮溶かす。別鍋でやわらかめに湯がいた白菜の白いところと、ほうれん草は特に根の薄紅色のところをこれまた惜しげなく。玉ねぎと椎茸は手ごろに入れて煮立て、白いご飯とマッチング。ベーコンはヘタに足すと塩っからくなるので、自前はやめておいたほうがいいようです。

 ・・こうして自己流のスープで、その、あれだ、クッ&パ=クッパをいろいろ作って食べてみると、改めて実感するのはお米のご飯の底力ですな。ご飯の柔らかさ、食感となじむ歯ごたえ・舌触りとサイズの具材なら、だいたい何でも合わせられるし、動物性のスープでも、植物系、海洋系のだしでも、塩味加減さえ間違えなければほぼ全方位。

 クッパで食べる場合、炊きたてほかほかよりも、朝炊いたのをお昼に食べるぐらいの時間経過がちょうどいいみたい。昨夜の夕食のご飯の残りを冷蔵庫に入れて翌日のブランチに食べる場合は、霧をシュッと吹いてレンチンしてからスープにイン、ですね。

 よくわからないのは、ウンヒ母=ジョンオクさん(一瞬映った旦那さんの墓所の登記証によると姓が韓=ハン、漢字は“韓貞玉”)がお店で注文受けて出す評判クッパ、広口のドンブリみたいな鉢によそってあってスプーンがついているのは月河家とだいたい一緒ですが、小皿と中皿の中間ぐらいのサイズのおかずが4~5種類一緒に出されるんですよ。韓国では「ご飯ものや肉料理系を注文すると頼まなくても豪快にキムチがついてくる」と聞いたことがあるので、赤いのがキムチなのはわかりますが、ほかがよくわからない。日本で“カレーライスに福神漬とラッキョウの甘辛酢漬け”みたいなお約束が、本場のクッパ、もといクッ&パにもあるのかしら。今後の課題としたい。

 とかく栓を開けてから、賞味期限内に使いきれずに終わりがちな出汁醤油、しじみ醤油や牡蠣醤油などもこれからはクッパ用スープに積極的に使ってみようと思います。何より、クッパで何とでもできることがわかってから、野菜が冷蔵庫内にこまごま中途半端に残るのが鬱陶しくなくなりました。ウンヒのお母さん(しつこいけど本当は養母)に感謝です。

コメント
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