うはは、「ハイ水木プロです、日月出版社さんですね」はよかったな(@『ゲゲゲの女房』)。
耳で音声だけ聞いてると何でもないけど、地デジ放送の字幕で文字が並ぶと“日月…水木………火と金土はドコ行ったんだ”と思ってしまう。そのうえゲゲゲの次女喜子ちゃん(荒井萌さん)、受信口もふさがずに「お父ちゃん、デンワ~」とか、客の服にお茶こぼして書類でゴシゴシとか、いしいひさいち漫画のノンキャリウーマン三宅さんみたいなんだ。
鴨川つばめの『マカロニほうれん荘』きんどー日陽さんなんてのもいましたっけ。
それはともかく、喜子ちゃん役の荒井萌さんは1995年3月生まれのまだ15歳なんですね。短大1年生にしては幼すぎに見えるのもやむなしか。でも短大でも四大でも、卒業する頃まで“制服着たら高校生で通用する”童顔ちゃんっていましたっけね。
昭和60年、世の中景気はいいし、女子短大生ともなればバイト三昧のお友達も大勢いるだろうに、村井家はしげるお父ちゃん(向井理さん)も布美枝お母ちゃん(松下奈緒さん)も、雇われて組織の歯車になって労賃もらうってことと縁が薄いので、喜子ちゃんも電話番とかお茶くみとか、社会に出れば誰もが一度は通る道がいきなり頼りない。でもイカルお祖母ちゃん(竹下景子さん)の言うように「自分を飾らん」「喜子と話しちょうと心が休まる」のが彼女のいいところ。
一方ゲゲゲの長女藍子さん(青谷優衣さん)は新卒教師。喜子ちゃんが心配したように、新学年から一気にがんばり過ぎて、2ヶ月あまりでゴムが伸びきり気味です。「勉強やスポーツで目立たない子のいいところ、頑張ってるところを、皆に紹介してあげたい」という学級通信企画が、「同じことをボクがやっても載せてもらえないのに、載せて褒められてる子がいる、エコひいき」と反発されては、“ぱっとしない子の気持ちがわかる先生に”と志しを抱いて働き始めた藍子先生もつらいところ。
どうなんでしょうねぇ。載せられた時点で“パッとしない子認定”されてるわけで、褒めるところを一生懸命探してもらってることがわかってしまう子のほうは、あんまり嬉しくないんじゃないですかね。親や教師など、教え導く立場の大人たちは、“褒める”ということにえらく価値を置き、“褒めないと子供は伸びない、くすんでしまう”強迫観念にとらわれがちだけれど、逆に、褒められることのない、パッとしない子のほうが、パッとしないことによって、できる子、目立つ子、優秀な子には望めない、ラクでのんびり楽しい学校生活が送れていたりもするのです。
藍子先生も、あんまりムキにならず、パッとしない子が、パッとしないがゆえの悩みや壁にぶつかったときにだけさらっと手を差しのべてあげるくらいのほうが、お互いに居心地がいいのではないかな。子供の気持ちがまったく読めないわからない人間は、もちろん教師に向かないけれど、あんまり子供好きすぎて、子供の思いと自分の思いを重ね合わせて前がかりになってしまう人も、ちょっと考えものかも。
今日は、遅くまで学級通信作りに励む藍子のために芋ぜんざいを差し入れした布美枝さんが、食堂に戻ってきて「お父ちゃんも、芋ぜんざい食べる?」に茂さん「“も”!?って何だ」で地味爆笑。“オレより先に誰か食べたのかッ!?”“オレの好物なのに、なしてオレがついでにお相伴みたいになってんの?”と言わんばかり。昭和60年時制なら、しげる先生当然還暦は過ぎ、子供が社会人と短大生になっても、この食い意地上等。喜子ちゃんは喜子ちゃんで「カステラ食べてからね~」「もぉ食べられない~」と幸せな寝言発しながら寝坊スケしてるし。どんだけ食べ物のふんだんに出てくる夢を見てるんだと。
茂お父ちゃんの異才と自由な感性と集中力、布美枝さんのおっとり静かな包容力、しっかりDNAの受け継がれた村井家とも、来週いっぱいでまずは“こっぽし”です。