長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

とりいそぎ、とりいそぎ。

2013年11月19日 23時46分14秒 | 日記
 どうもこんばんは~、そうだいでございます。みなさま、今日も一日お疲れさまでした!

 他人様にとってはど~でもいいことなんですが、先日わたくし、あるお人に仕事場で、

「そうだいは若いころ、モテたの?」

 となにげなくたずねられまして、ものすんごく新鮮な感覚におちいりました。
 「そりゃ、この顔みりゃわかんだろ!」とその場で軽く返しはしたのですが……

 そうか、ついに私も、「若いころ」が過去のことだとふつうに解釈される年齢に入ったということなのよねェ。おんとし、33歳。
 今さらショックを受けるほど自分の外見に自信があったわけでもないし、現に私の頭髪がものすごい勢いで季節はずれの夏仕様に様変わりしつつある今日このごろなので、異議のとなえようもない話ではあるんですが。
 「中学生のころ」とか「大学生のころ」といった限定の言い方じゃなくて、そこらへんが全部まるごと一色におさまった「若いころ」!! 生まれて初めてそうこられたものでしたので、内心かなりビックリしてしまいました。そうか、私もそう言われる世代になったのか。

 ショックというよりは、半分以上の割合で「よくぞまぁ、ここまで生きてこられたなぁ。」という感慨のほうが大きいですね。
 これによって、晴れてわたしは名実ともにおっさん! 今後も精進いたしてまいる所存。なにとぞ、よしなに~。


 そんなファッキンど~でもいい決意を胸に、今日はお仕事が早めに終わりましたので、その足で新宿に直行して、こんなお芝居を観てまいりました。


張ち切れパンダ 第5回公演『さめザ”わ』(作&演出・梨澤慧以子、新宿・サンモールスタジオ)


 梨澤慧以子さんが作・演出をつとめる演劇ユニット・張ち切れパンダのプロデュース公演。だいたい年に1回というペースでやっておられるようで、私はおととしの第3回公演『醜い蛙ノ子』いらいの観劇になります。
 その『醜い蛙ノ子』は、肉親のグツグツと煮えたぎる愛憎がうずまくものすごい家族ドラマだったのですが、今回の公演も、チラシや宣伝文句を見る限りでは、寂れたスーパーの裏側で繰り広げられる人間模様を描いたものなのだとか、なんとか。
 う~ん、今回も、内容はかなり重たそう! 正直言いまして、仕事で疲れていたこともあって、新宿にたどり着くまでの足並みは決してかろやかものではなかったんです。たとえ作品がおもしろかったのだとしても、なんか観た後につら~い気分を背負って千葉に帰ることになるんじゃなかろうか、という不安ですね。

 だが、しかし! さすがは張ち切れパンダ、その実際の内容はというと、私の予想の斜め上をいった、時間軸の自由な跳躍が楽しめる不思議なサスペンスコメディになっていました。それでいて、大手スーパーに買収されることとなった個人経営の老舗スーパーの落日、その悲哀が底流にながれて物語が進行していくという複層構造。まったくテンションを下げることなく楽しむことができました。
 コメディのようでコメディでなく、重いようで重くない。今回の張ち切れパンダさんは、なにかが吹っ切れたような思い切りのよさが随所に見受けられたような気がしましたね。

 ストーリーはいたって単純明快。経営、恋愛、不倫、犯罪……さまざまな思惑が交錯する寂れたスーパー「やなぎや」裏手のスタッフルームで、作品のタイトルにもなっているアルバイト店員・鮫沢の持っている「ある特殊技能」によって、周囲の登場人物たちがいやおうなくそれぞれの本性をさらけ出していくという、荒唐無稽きわまりない崩壊劇。
 言ってみれば、ヒッチコックの『ハリーの災難』みたいなブラックぎみのコメディが展開していくわけなのですが、その過程で、トラブルの起点になり続ける鮫沢の視点で、多くの混乱の「きっかけ」と「結果」がかわりばんこに提示されていき、最終的には、ずっと傍観者の立場のままだった鮫沢が持つ「哀しみ」の本質にせまる「過去」までもがひもとかれるという、自由なシーン展開。
 それほど複雑な構成になっているわけでもないんですが、ある問題を解決しようとした人の起こしたアクションが、また別の人の疑惑や問題を引き起こしていくという「悪夢のピタゴラスイッチ」って、観客として安全な場所から見るぶんには最高におもしろいんですよね……

 鮫沢を単なる「目立たない同僚」としかとらえていないスーパーのスタッフたちとは別に、スーパーにふらりと帰ってきた経営者夫人の妹だとか、スーパーのトラブルに振り回されてやたら呼び出される近所の交番の巡査さんだとかといった特別な視点を持ったキャラクターたちの味わいもけっこうきいていて、特に、スーパーの買収のためにやってきた大手グループの社員こそが、実は鮫沢のことを最もよく知っている人間だった、という「ありえない衝撃の事実」も良かったですねぇ。
 その「ウソのつき具合」についていけなくなると興味は離れてしまうのかも知れませんが、少なくとも私にとっては、ついていけるギリギリオッケーのライン上だったので、かなりおもしろかったです。作・演出の梨澤さんが演じていたチョイ役のふざけっぷりは、ちょっとやりすぎかと思いましたが……まぁ、そこはそれ、張ち切れパンダですから。

 この公演を通じて改めて思ったのは、「大混乱は、その場で混乱していない演技をする役者の技量でその完成度が決まる!」ってことなんですよねぇ。混乱を、必死に理性で抑えようとしている人物の緊迫感こそがいちばん大事なのであって、ひたすら素直にギャーギャー騒ぎ立てる演技は、その必要はあるとしても、そこだけを一転押しにしても、うるさいだけで効果はあんまりないはずなのです。役者をやってるような方の声なんかたいていデカイに決まってるんですから、絶叫なんかされた日にゃあ、頭が痛くなって興ざめもいいところ!

 今回の場合で言うと、いつもの感じとはだいぶ違って、ドスの利いた低音で周囲をビビらせていた経営者夫人の妹役の中島愛子さんと、最初は絵に描いたような小心者っぷりを見せながらも、話が進んでいくにつれて見る見るうちに底意地の悪い冷徹さをがにじみ出てくる巡査役の鈴木利典さんの2人がかなり良かったですね。鈴木さんの立ち居振る舞いは、なんか好きになっちゃったなぁ!

 あと、これは完全に余談なんですが、他の若いリア充なアルバイトの娘さんたちをさしおいて、疲れた感じの経営者夫人役の小林美江さんの「お胸」が隠しようもなく最大最強の魅力を放ちまくっていたのは、ストーリー展開上いかがなものかと思いました。あれによって、経営者であるおじさんが不倫に夢中になるリアリティが、致命的にそがれてしまったのではなかろうかと……あらぁもう、ビックラこいちまっただよ。

 張ち切れパンダ。次回公演も楽しみにしたいと思います。今度はどんな跳躍が見られるんでしょうか?


 さてわたくし、お仕事は相変わらず忙しいわけなんですが、ここから半月くらい、お芝居観劇だの日本武道館2デイズだので足しげく東京にかよって、まともに休みらしい休みがとれない日々が続くんですよね……

 健康第一ですが……私は生き残ることができるのであろうか!? まぁ、せいぜい死ぬ気でがんばるぞ~いっと☆
コメント
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