映画『アルゴ探検隊の大冒険』(Jason and the Argonauts 1963年8月公開 104分 イギリス)
『アルゴ探検隊の大冒険』は、イギリス・アメリカ共同製作の特撮映画。特撮界の巨匠レイ=ハリーハウゼン(1920~2013年)による、ギリシア神話の英雄イアソン率いるアルゴ船探検隊(アルゴナウタイ)の冒険を描いた作品。特撮担当としてのハリーハウゼンのキャリア(1949~81年)の中では中期にあたり、ストップモーション特撮を手がけた有名な作品としては9作品目となる(『SF 巨大生物の島』と『SF 月世界探検』の間)。
『シンドバッド7回目の航海』(1958年)を筆頭に、多くの特撮ファンタジー映画を手掛けてきた、製作・チャールズ=H=シュニア&特撮・ハリーハウゼンの代表作であり、ストップモーション特撮の歴史にその名を残す最高傑作とも称される。
あらすじ
天界オリュンポス神殿の大神ゼウスの加護を受けているテッサリア王国のペリアスは、テッサリアのアリスト王の宮殿で嵐に乗じて彼を暗殺し、テッサリアの王座を奪った。しかし預言者は、サンダルを片足のみ履いたアリストの遺児によってペリアスの王位は覆されると予言した。予言を実現させまいとするペリアスは、アリスト王の娘ブリセイスを誅殺するが、ブリセイスは殺される直前にアリストの幼子をゼウスの妻である女神ヘラの神殿に託していた。予言に逆らおうとするペリアスの企てに怒ったゼウスは、ペリアスを失脚させるためにアリストの幼子を守護することを決心した。
その20年後。成長したアリストの遺児イアソンは、ヘラの怒りによって落馬したペリアス王が川で溺れている所に遭遇して彼を助けるが、その際にサンダルを片方なくしたためペリアス王は彼がアリストの遺児であると気づく。テッサリア王国を繁栄させるために、神の宝物である黄金の羊の毛皮を獲得しようとする実直なイアソンに対し、ペリアス王は彼を励ます振りをしながら、彼が何らかの形で死亡することを望む。
ゼウスとヘラの命を受け、神ヘルメスはイアソンをオリュンポス神殿に連れてくる。ヘラはイアソンの成功を望み、ゼウスはヘラに5回彼を助ける能力を授ける。ヘラはイアソンに、コルキス王国を探検し黄金の羊毛を探すよう命じた。オリュンポスの神々はイアソンへの助力を申し出るが、イアソンは自身で航海し、船を建立し、人間の力だけで成し遂げることを誓い、オリンピックを開催してギリシア中の勇者たちを船員に選抜すると誓った。神々はイアソンの言葉に負けイアソンをギリシアに帰す。
船大工のアルゴスによって建造され、ヘラの加護を受けた人類史上最初の大型帆船「アルゴ号」に乗船し、イアソンのアルゴ探検隊に参加する栄誉のためにギリシア中から勇気ある者達が競技に集まり、その結果ヘラクレスやヒュラスらが選ばれたが、その中にはペリアス王の息子アカストスも、探検の妨害のために密かに送り込まれていた。
ペリアス王を落馬させ川に落としたことを1回目、黄金の羊の毛皮がコルキス王国にあることを教えたことを2回目とし、ヘラは3回目の助けとしてイアソンをブロンズ島に向かわせ、水と食糧以外は何も持ち出さないよう忠告するが、探検中にヘラクレスが青銅の巨人タロスの像がそびえ立つ財宝倉庫からブローチのピンを盗んだため、タロスの眠りを覚ましてしまい、アルゴ号もタロスの怪力により転覆されてしまう。イアソンは再びヘラに助言を求め、タロスの弱点であるかかとを攻撃してタロスを倒す。しかしタロスが地面に倒れる際、ヘラクレスが落としたピンを取りに戻ったヒュラスが下敷きになった。ヒュラスを見つけるまでブロンズ島を離れないというヘラクレスと、彼を置いて島を離れようという他の探検隊員との対立に悩まされ、イアソンはヘラに再度助言を求めた。ヘラはこれが最後の助けになると念を押しながら、ヒュラスの死とヘラクレスの離脱を語り、かつてゼウスの怒りを受けて怪鳥ハーピーに拷問され続ける罰を受けている盲目の老預言者ピネウスの所へ行くように告げた。ピネウスの食事を奪うハーピーをイアソンたちが檻に閉じ込めると、ピネウスはイアソンにコルキスへの航路を教え、お守りを与えた。
コルキスへの海路で、探検隊は通行する船をことごとく沈めるという「吠える岩」の海峡を通らねばならなかった。イアソン一行がこの岩の下を通ろうとすると、海は大いに荒れてアルゴ号も沈没しそうになる。絶望したイアソンがピネウスからもらったお守りを海に投げると、海神トリトンが海中から現れ、アルゴ号が通れるよう岩の間に立ちはだかった。その後、イアソンたちは船が難破して漂流していたコルキスの美しい王女メデイアを救う。
イアソン一行はついにコルキス王国に到着するが、イアソンとアカストス王子は、黄金の羊の毛皮を守るコルキス王アイエテスにどのように接近するかで対立し、アカストスは探検隊から離脱してしまう。イアソンと探検隊はアイエテス王の祝宴への招待を受けるが、アカストスの密告によって黄金の毛皮の強奪という目的が露見し、捕らえられる。だが、イアソンに強く惹かれていたメデイアは彼と隊員たちを助け共に脱出した。
アカストスは自分だけで黄金の羊毛を獲得しようとしたが、羊毛を守る7首竜ヒュドラに負傷させられ、イアソンはヒュドラを倒し黄金の羊毛を手に入れた。追ってきたアイエテス王は女神ヘカテに祈り、ヒュドラの歯を大地に撒くとそれぞれが骸骨剣士となった。イアソンはアルゴスにメデイアを船に乗せるように頼み、骸骨剣士たちの追撃から逃げ延びた探検隊員たちはアルゴ号でテッサリアへと帰還するのであった。
原作(ギリシア神話と本作との主な違い)
イアソンの父王の名前
ギリシア神話……アイソン、本作……アリスト
ペリアス王とイアソンの関係
ギリシア神話……叔父と甥、本作……特に関係なし
青銅巨人タロスを倒す人物
ギリシア神話……メデイア、本作……イアソン
メデイアは弟を
ギリシア神話……殺す、本作……弟の存在自体カット
地面に撒いたヒュドラの歯から骸骨剣士が生まれる流れ
ギリシア神話……本来はカドモスの神話がルーツで、アイエテス王の課した試練に応えてイアソンが生み出す、本作……イアソンに復讐するためアイエテス王が生み出す
イアソンとメデイアの未来
ギリシア神話……悲惨で陰惨な結末、本作……2人が希望に満ちた表情でテッサリアに出航するシーンで終わる
登場する怪物たち、アイテム
船尾像
本来はアルゴ号の船首を飾る女神像だが、船大工のアルゴスが乗組員を見下ろすように船尾へ据え付けた。女神ヘラと生き写しであり、ヘラがこの像を通してイアソンと乗組員たちに神託を行うときは、まぶたと目を動かす。
タロス (Talos)
鍛冶の神ヘーパイストスによって作られた、ブロンズ島を守護する青銅の巨像。身長90メートル。「神々の宝物庫」を侵す者があれば動き出し、アルゴ号を片手で持ち上げるほどの巨体と剛力をもってこれを追い狙う。
ハーピー (Harpy)
コウモリと人間をかけ合せたような姿の怪鳥。
吠える岩 (Clashing Rock)
海峡を船が通ると、岸壁が震えて岩石を落とし船を沈める。
海神トリトン(Triton)
海神ポセイドンの息子で、ゼウスとヘラ夫妻の甥にあたる。ヘラの意思に従って海中から現れ、アルゴ船が吠える岩の海峡を通過する手助けをする。下半身は魚だが、撮影はミニチュアでなく俳優が行っている。
ヘカテ (Hecate)
コルキスの守護女神で、3つの首を持つ神像。「闇の女王」と呼ばれている。
黄金の羊の毛皮 (Golden Fleece)
神々からの贈り物で、国を繁栄させる奇跡の力がある。
ヒュドラ (Lernaean Hydra)
7つの首を持つ大蛇のような怪物。ただし、ヒュドラが黄金の羊の毛皮を守っているという設定は本作の創作で、原作となる『アルゴナウティカ』(アポロニオス作 紀元前3世紀前半)によると、実際に毛皮を守っていたのはヒュドラの弟にあたる「眠らない竜」である。ギリシア神話のヒュドラはギリシアの南部ペロポネソス半島のレルネー沼に生息しており、英雄ヘラクレスに退治されている。
このモンスターをアニメートしている最中、電話がかかってきたためハリーハウゼンは席をはずした。話を終え戻ってきた彼は、首のうちの1つが上下のどちらに動いている途中だったのかを失念してしまった。これに懲りて、以後は詳細なアニメート用コンテを製作するようになったという。
7人の骸骨剣士 (Skeleton army)
イアソンに倒されたヒュドラの歯からアイエテス王が創造した剣士。剣士が5名と、槍兵が2名で構成される。
ハリーハウゼンのクリーチャーとしては『シンバッド七回目の航海』(1958年)に続いて2回目の登場ながら、同時に7体が動くことで斬新な活躍となった。関節部の滑り止めとして使われたラテックスを染み込ませた綿以外にほとんどゴム製パーツを持たない骸骨剣士のモデルは経時劣化に強く、後年『シンドバッド虎の目大冒険』(1977年)の悪鬼グールとして改造された3体を除けば、撮影当時の状態で現存している唯一のクリーチャーである。
主なキャスティング(年齢は映画公開当時のもの)
イアソン(テッサリアの前王の遺児) …… トッド=アームストロング(26歳)
メデイア(コルキス王国王女でアイエテス王の娘。王国の守護神ヘカテに仕える巫女)…… ナンシー=コバック(28歳)
アカストス(ペリアス王の子) …… ゲイリー=レイモンド(28歳)
アルゴス(アルゴ号を建造した船大工)…… ローレンス=ナイスミス(54歳)
ゼウス(オリュンポスの大神) …… ナイアル=マクギニス(50歳)
ヘラ(ゼウスの妻で神々の女王) …… オナー=ブラックマン(38歳)
ヘルメス(オリュンポスの神でゼウスの側近)…… マイケル=グウィン(46歳)
ペリアス(テッサリアの王) …… ダグラス=ウィルマー(43歳)
ヘラクレス(ギリシアの英雄でアルゴ探検隊に参加する)…… ナイジェル=グリーン(38歳)
ヒュラス(ヘラクレスの親友でアルゴ探検隊に参加する)…… ジョン=カーニー(33歳)
パレルス(アルゴ探検隊の隊員) …… アンドリュー=フォールズ(40歳)
カストル(ポリュデウケスの双子の兄でアルゴ探検隊に参加する)…… フェルディナンド=ポッギ(?歳)
ポリュデウケス(カストルの双子の弟でアルゴ探検隊に参加する)…… ジョン=クロフォード(?歳)
リュンケウス(アルゴ探検隊の隊員) …… アルド=クリスティアーニ(?歳)
エウペモス(アルゴ探検隊の隊員で水練の達人)…… ダグ=ロビンソン(33歳)
ピネウス(盲目の預言者) …… パトリック=トラウトン(43歳)
アイエテス(コルキスの王) …… ジャック=グウィリム(53歳)
主なスタッフ
製作 …… チャールズ=H=シュニア(43歳) 、レイ=ハリーハウゼン(43歳)
監督 …… ドン=チャフィ(46歳)
脚本 …… ジャン=リード(46歳)、ビヴァリー=クロス(32歳)
特撮 …… レイ=ハリーハウゼン
音楽 …… バーナード=ハーマン(52歳)
配給 …… コロンビア映画
ハリーハウゼンはいいよなぁ~!! え~、本文はまた、いつか!
『アルゴ探検隊の大冒険』は、イギリス・アメリカ共同製作の特撮映画。特撮界の巨匠レイ=ハリーハウゼン(1920~2013年)による、ギリシア神話の英雄イアソン率いるアルゴ船探検隊(アルゴナウタイ)の冒険を描いた作品。特撮担当としてのハリーハウゼンのキャリア(1949~81年)の中では中期にあたり、ストップモーション特撮を手がけた有名な作品としては9作品目となる(『SF 巨大生物の島』と『SF 月世界探検』の間)。
『シンドバッド7回目の航海』(1958年)を筆頭に、多くの特撮ファンタジー映画を手掛けてきた、製作・チャールズ=H=シュニア&特撮・ハリーハウゼンの代表作であり、ストップモーション特撮の歴史にその名を残す最高傑作とも称される。
あらすじ
天界オリュンポス神殿の大神ゼウスの加護を受けているテッサリア王国のペリアスは、テッサリアのアリスト王の宮殿で嵐に乗じて彼を暗殺し、テッサリアの王座を奪った。しかし預言者は、サンダルを片足のみ履いたアリストの遺児によってペリアスの王位は覆されると予言した。予言を実現させまいとするペリアスは、アリスト王の娘ブリセイスを誅殺するが、ブリセイスは殺される直前にアリストの幼子をゼウスの妻である女神ヘラの神殿に託していた。予言に逆らおうとするペリアスの企てに怒ったゼウスは、ペリアスを失脚させるためにアリストの幼子を守護することを決心した。
その20年後。成長したアリストの遺児イアソンは、ヘラの怒りによって落馬したペリアス王が川で溺れている所に遭遇して彼を助けるが、その際にサンダルを片方なくしたためペリアス王は彼がアリストの遺児であると気づく。テッサリア王国を繁栄させるために、神の宝物である黄金の羊の毛皮を獲得しようとする実直なイアソンに対し、ペリアス王は彼を励ます振りをしながら、彼が何らかの形で死亡することを望む。
ゼウスとヘラの命を受け、神ヘルメスはイアソンをオリュンポス神殿に連れてくる。ヘラはイアソンの成功を望み、ゼウスはヘラに5回彼を助ける能力を授ける。ヘラはイアソンに、コルキス王国を探検し黄金の羊毛を探すよう命じた。オリュンポスの神々はイアソンへの助力を申し出るが、イアソンは自身で航海し、船を建立し、人間の力だけで成し遂げることを誓い、オリンピックを開催してギリシア中の勇者たちを船員に選抜すると誓った。神々はイアソンの言葉に負けイアソンをギリシアに帰す。
船大工のアルゴスによって建造され、ヘラの加護を受けた人類史上最初の大型帆船「アルゴ号」に乗船し、イアソンのアルゴ探検隊に参加する栄誉のためにギリシア中から勇気ある者達が競技に集まり、その結果ヘラクレスやヒュラスらが選ばれたが、その中にはペリアス王の息子アカストスも、探検の妨害のために密かに送り込まれていた。
ペリアス王を落馬させ川に落としたことを1回目、黄金の羊の毛皮がコルキス王国にあることを教えたことを2回目とし、ヘラは3回目の助けとしてイアソンをブロンズ島に向かわせ、水と食糧以外は何も持ち出さないよう忠告するが、探検中にヘラクレスが青銅の巨人タロスの像がそびえ立つ財宝倉庫からブローチのピンを盗んだため、タロスの眠りを覚ましてしまい、アルゴ号もタロスの怪力により転覆されてしまう。イアソンは再びヘラに助言を求め、タロスの弱点であるかかとを攻撃してタロスを倒す。しかしタロスが地面に倒れる際、ヘラクレスが落としたピンを取りに戻ったヒュラスが下敷きになった。ヒュラスを見つけるまでブロンズ島を離れないというヘラクレスと、彼を置いて島を離れようという他の探検隊員との対立に悩まされ、イアソンはヘラに再度助言を求めた。ヘラはこれが最後の助けになると念を押しながら、ヒュラスの死とヘラクレスの離脱を語り、かつてゼウスの怒りを受けて怪鳥ハーピーに拷問され続ける罰を受けている盲目の老預言者ピネウスの所へ行くように告げた。ピネウスの食事を奪うハーピーをイアソンたちが檻に閉じ込めると、ピネウスはイアソンにコルキスへの航路を教え、お守りを与えた。
コルキスへの海路で、探検隊は通行する船をことごとく沈めるという「吠える岩」の海峡を通らねばならなかった。イアソン一行がこの岩の下を通ろうとすると、海は大いに荒れてアルゴ号も沈没しそうになる。絶望したイアソンがピネウスからもらったお守りを海に投げると、海神トリトンが海中から現れ、アルゴ号が通れるよう岩の間に立ちはだかった。その後、イアソンたちは船が難破して漂流していたコルキスの美しい王女メデイアを救う。
イアソン一行はついにコルキス王国に到着するが、イアソンとアカストス王子は、黄金の羊の毛皮を守るコルキス王アイエテスにどのように接近するかで対立し、アカストスは探検隊から離脱してしまう。イアソンと探検隊はアイエテス王の祝宴への招待を受けるが、アカストスの密告によって黄金の毛皮の強奪という目的が露見し、捕らえられる。だが、イアソンに強く惹かれていたメデイアは彼と隊員たちを助け共に脱出した。
アカストスは自分だけで黄金の羊毛を獲得しようとしたが、羊毛を守る7首竜ヒュドラに負傷させられ、イアソンはヒュドラを倒し黄金の羊毛を手に入れた。追ってきたアイエテス王は女神ヘカテに祈り、ヒュドラの歯を大地に撒くとそれぞれが骸骨剣士となった。イアソンはアルゴスにメデイアを船に乗せるように頼み、骸骨剣士たちの追撃から逃げ延びた探検隊員たちはアルゴ号でテッサリアへと帰還するのであった。
原作(ギリシア神話と本作との主な違い)
イアソンの父王の名前
ギリシア神話……アイソン、本作……アリスト
ペリアス王とイアソンの関係
ギリシア神話……叔父と甥、本作……特に関係なし
青銅巨人タロスを倒す人物
ギリシア神話……メデイア、本作……イアソン
メデイアは弟を
ギリシア神話……殺す、本作……弟の存在自体カット
地面に撒いたヒュドラの歯から骸骨剣士が生まれる流れ
ギリシア神話……本来はカドモスの神話がルーツで、アイエテス王の課した試練に応えてイアソンが生み出す、本作……イアソンに復讐するためアイエテス王が生み出す
イアソンとメデイアの未来
ギリシア神話……悲惨で陰惨な結末、本作……2人が希望に満ちた表情でテッサリアに出航するシーンで終わる
登場する怪物たち、アイテム
船尾像
本来はアルゴ号の船首を飾る女神像だが、船大工のアルゴスが乗組員を見下ろすように船尾へ据え付けた。女神ヘラと生き写しであり、ヘラがこの像を通してイアソンと乗組員たちに神託を行うときは、まぶたと目を動かす。
タロス (Talos)
鍛冶の神ヘーパイストスによって作られた、ブロンズ島を守護する青銅の巨像。身長90メートル。「神々の宝物庫」を侵す者があれば動き出し、アルゴ号を片手で持ち上げるほどの巨体と剛力をもってこれを追い狙う。
ハーピー (Harpy)
コウモリと人間をかけ合せたような姿の怪鳥。
吠える岩 (Clashing Rock)
海峡を船が通ると、岸壁が震えて岩石を落とし船を沈める。
海神トリトン(Triton)
海神ポセイドンの息子で、ゼウスとヘラ夫妻の甥にあたる。ヘラの意思に従って海中から現れ、アルゴ船が吠える岩の海峡を通過する手助けをする。下半身は魚だが、撮影はミニチュアでなく俳優が行っている。
ヘカテ (Hecate)
コルキスの守護女神で、3つの首を持つ神像。「闇の女王」と呼ばれている。
黄金の羊の毛皮 (Golden Fleece)
神々からの贈り物で、国を繁栄させる奇跡の力がある。
ヒュドラ (Lernaean Hydra)
7つの首を持つ大蛇のような怪物。ただし、ヒュドラが黄金の羊の毛皮を守っているという設定は本作の創作で、原作となる『アルゴナウティカ』(アポロニオス作 紀元前3世紀前半)によると、実際に毛皮を守っていたのはヒュドラの弟にあたる「眠らない竜」である。ギリシア神話のヒュドラはギリシアの南部ペロポネソス半島のレルネー沼に生息しており、英雄ヘラクレスに退治されている。
このモンスターをアニメートしている最中、電話がかかってきたためハリーハウゼンは席をはずした。話を終え戻ってきた彼は、首のうちの1つが上下のどちらに動いている途中だったのかを失念してしまった。これに懲りて、以後は詳細なアニメート用コンテを製作するようになったという。
7人の骸骨剣士 (Skeleton army)
イアソンに倒されたヒュドラの歯からアイエテス王が創造した剣士。剣士が5名と、槍兵が2名で構成される。
ハリーハウゼンのクリーチャーとしては『シンバッド七回目の航海』(1958年)に続いて2回目の登場ながら、同時に7体が動くことで斬新な活躍となった。関節部の滑り止めとして使われたラテックスを染み込ませた綿以外にほとんどゴム製パーツを持たない骸骨剣士のモデルは経時劣化に強く、後年『シンドバッド虎の目大冒険』(1977年)の悪鬼グールとして改造された3体を除けば、撮影当時の状態で現存している唯一のクリーチャーである。
主なキャスティング(年齢は映画公開当時のもの)
イアソン(テッサリアの前王の遺児) …… トッド=アームストロング(26歳)
メデイア(コルキス王国王女でアイエテス王の娘。王国の守護神ヘカテに仕える巫女)…… ナンシー=コバック(28歳)
アカストス(ペリアス王の子) …… ゲイリー=レイモンド(28歳)
アルゴス(アルゴ号を建造した船大工)…… ローレンス=ナイスミス(54歳)
ゼウス(オリュンポスの大神) …… ナイアル=マクギニス(50歳)
ヘラ(ゼウスの妻で神々の女王) …… オナー=ブラックマン(38歳)
ヘルメス(オリュンポスの神でゼウスの側近)…… マイケル=グウィン(46歳)
ペリアス(テッサリアの王) …… ダグラス=ウィルマー(43歳)
ヘラクレス(ギリシアの英雄でアルゴ探検隊に参加する)…… ナイジェル=グリーン(38歳)
ヒュラス(ヘラクレスの親友でアルゴ探検隊に参加する)…… ジョン=カーニー(33歳)
パレルス(アルゴ探検隊の隊員) …… アンドリュー=フォールズ(40歳)
カストル(ポリュデウケスの双子の兄でアルゴ探検隊に参加する)…… フェルディナンド=ポッギ(?歳)
ポリュデウケス(カストルの双子の弟でアルゴ探検隊に参加する)…… ジョン=クロフォード(?歳)
リュンケウス(アルゴ探検隊の隊員) …… アルド=クリスティアーニ(?歳)
エウペモス(アルゴ探検隊の隊員で水練の達人)…… ダグ=ロビンソン(33歳)
ピネウス(盲目の預言者) …… パトリック=トラウトン(43歳)
アイエテス(コルキスの王) …… ジャック=グウィリム(53歳)
主なスタッフ
製作 …… チャールズ=H=シュニア(43歳) 、レイ=ハリーハウゼン(43歳)
監督 …… ドン=チャフィ(46歳)
脚本 …… ジャン=リード(46歳)、ビヴァリー=クロス(32歳)
特撮 …… レイ=ハリーハウゼン
音楽 …… バーナード=ハーマン(52歳)
配給 …… コロンビア映画
ハリーハウゼンはいいよなぁ~!! え~、本文はまた、いつか!