長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

『るろうに剣心』と『銀魂』、連載とか映像化とかいろいろメモ

2021年11月17日 21時54分49秒 | 花咲ける「るろうに銀魂」ロード
1970年
5月
 和月伸宏、誕生。

1979年
5月
 空知英秋、誕生。

1987年
 和月伸宏、マンガ家デビュー。

1992年
1月
 和月伸宏の読み切り短編『るろうに 明治剣客浪漫譚』(パイロット版1作目)が『週刊少年ジャンプ増刊 Winter Special』に掲載。

1993年
6月
 和月伸宏の読み切り短編『るろうに 明治剣客浪漫譚』(パイロット版2作目)が『週刊少年ジャンプ』に掲載。

1994年
5月
 和月伸宏のマンガ『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚』が『週刊少年ジャンプ』で連載開始。

1996年
1月
 和月伸宏のマンガ『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚』のテレビアニメが放送開始(1998年9月まで)。

1997年
12月
 アニメ映画『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚 維新志士への鎮魂歌』が公開。

1999年
2月
 OVA『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚 追憶編』が発売開始(9月まで 全4巻)。
11月
 和月伸宏のマンガ『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚』の連載が終了(ジャンプコミックス全28巻)。
12月
 週刊少年ジャンプ特別編集『全史「るろうに剣心 明治剣客浪漫譚」 剣心華伝』に、和月伸宏の読み切り短編『春に桜』が掲載。

2000年
1月
 和月伸宏の読み切り短編『弥彦の逆刃刀』が『週刊少年ジャンプ』に掲載。

2001年
12月
 OVA『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚 星霜編』が発売開始(翌2002年3月まで 全2巻)。

2002年
11月
 空知英秋、マンガ家デビュー。

2004年
1月
 空知英秋のマンガ『銀魂』が『週刊少年ジャンプ』で連載開始。

2006年
4月
 空知英秋のマンガ『銀魂』のテレビアニメ第1シリーズが放送開始(2010年3月まで)。

2010年
4月
 アニメ映画『銀魂 新訳紅桜篇』が公開。

2011年
4月
 空知英秋のマンガ『銀魂』のテレビアニメ第2シリーズ『銀魂´』が放送開始(『銀魂´』は翌2012年3月まで、『銀魂´ 延長戦』は2012年10月~13年3月放送)。
12月
 OVA『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚 新京都編』が劇場先行公開(リリースは翌2012年3~8月 全2巻)。

2012年
5月
 和月伸宏のマンガ『るろうに剣心 キネマ版』が『月刊ジャンプスクエア』で連載開始。
8月
 実写映画『るろうに剣心』が公開。
10月
 和月伸宏の読み切り短編『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚 第零幕』が『週刊少年ジャンプ』に掲載。

2013年
6月
 和月伸宏のマンガ『るろうに剣心 キネマ版』の連載が終了。
7月
 アニメ映画『銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』(アニメ通算2作目)が公開。

2014年
7月
 和月伸宏のマンガ『炎を統べる るろうに剣心・裏幕』が『月刊ジャンプスクエア』で連載(9月まで)。
8月
 実写映画『るろうに剣心 京都大火編』(実写通算2作目)が公開。
9月
 実写映画『るろうに剣心 伝説の最期編』(実写通算3作目)が公開。

2015年
4月
 空知英秋のマンガ『銀魂』のテレビアニメ第3シリーズ『銀魂゜』が放送開始(翌2016年3月まで)。

2016年
10月
 和月伸宏のマンガ『るろうに剣心・異聞 明日郎前科アリ』が『月刊ジャンプスクエア』で連載(11月まで)。

2017年
1月
 空知英秋のマンガ『銀魂』のテレビアニメ第4シリーズ『銀魂.』が放送開始(『烙陽決戦篇』は3月まで、『ポロリ篇』は10月~12月、『銀ノ魂篇 前半戦』は翌2018年1~3月、『銀ノ魂篇 後半戦』は2018年7~10月放送)。
7月
 実写映画『銀魂』が公開。
9月
 和月伸宏のマンガ『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚 北海道編』が『月刊ジャンプスクエア』で連載開始。

2018年
8月
 実写映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』(実写通算2作目)が公開。

2019年
6月
 空知英秋のマンガ『銀魂』の連載が終了(ジャンプコミックス全77巻)。

2021年
1月
 アニメ映画『銀魂 THE FINAL』(アニメ通算3作目)が公開。
4月
 実写映画『るろうに剣心 最終章 The Final』(実写通算4作目)が公開。
6月
 実写映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(実写通算5作目)が公開。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

え、これ、池谷先生の遺作!?  ~実写映画版『銀魂』~

2017年08月02日 22時59分49秒 | 花咲ける「るろうに銀魂」ロード
 どうも、みなさまご無沙汰しております~。そうだいでございます。
 いや~、当ったり前のようにあっちいっすね。今年の夏も暑い暑い! でも、なんだかんだいってもう8月に入りましたか。実は、私の職場まわりで暑さでぶっ倒れた方がもう2名もいらっしゃるんですが、わたくしも本当に気をつけて日々あくせく働いておる次第でございます。この前なんか、週1のペースで2回も山形名物の山寺に登ってきてしまいました。1035段の石段でしたっけ。もちのろんで、どっちも見事な炎天下でしたねぇ。でもね、山寺自体は木陰もあってとっても涼しいところなんですよね。汗はそりゃまぁとめどないんですけれども。

 相も変わらず失敗、失敗で七転八倒しつつも毎日バタバタ生きておるんですが、やっぱり少しずつ仕事上の経験値は増えてきたようでして、精神的な余裕もできてきたようです。最近は大仕事の終わった時には山形県内の温泉地に泊まりに行く計画も立てられるようになりまして。
 先月は、月山の温泉に泊まりに行ってきまして、そのついでに前々から行ってみたかった「スタジオセディック 庄内オープンセット」(鶴岡市)にも行きました。日本でも有数の敷地面積を誇る時代劇撮影セットということで、戦国城郭の大手門に農村、宿場町などなど色々なオープンセットが常設されている場所でした。
 なかなかね、私が行った時は何の撮影もされていなかったのでただほっつき歩いて建物を見ていくだけだったのですが、ケチって買わなかったセット内バス乗車券も必要ですし、半日つぶすくらいのプランにしないと全部のセットは回れなかったですね。時代劇ファンにはたまらないんですが、できればもう毎日どこかで撮影やってるってくらいに繁盛して欲しいですよね……ちょっと山奥の土地ということもあって、当然お客さんはある程度いたんですが、どことなくさびれた感じはしておりました。可もなく不可もないいかにも観光地な味わいのご飯が大いに考えさせられるものがありました。不思議な場所だった……また行くかどうかは、わかんない!

 さて、今回は映画を観に行ったというお話なんですが、観たのはそりゃもう、どうにもこうにも避けて通るわけにはいかなかった、この作品!


実写映画版『銀魂』(2017年7月14日公開 131分 ワーナー・ブラザース)
 主要なストーリーは「カブト狩り(第83訓・84訓、第10巻)」のエピソードから「紅桜篇(第89訓~97訓、第11-12巻)」がベースとなっている。原作の主要登場人物のうち、お登勢や長谷川泰三などは本作に登場していない。

主なキャスティング
坂田 銀時    …… 小栗 旬(34歳)
志村 新八    …… 菅田 将暉(24歳)
神楽       …… 橋本 環奈(18歳)
桂 小太郎    …… 岡田 将生(27歳)
高杉 晋助    …… 堂本 剛(38歳)
武市 変平太   …… 佐藤 二朗(48歳)
来島 また子   …… 菜々緒(28歳)
岡田 似蔵    …… 新井 浩文(38歳)
近藤 勲     …… 六世 中村 勘九郎(35歳)
土方 十四郎   …… 柳楽 優弥(27歳)
沖田 総悟    …… 吉沢 亮(23歳)
村田 鉄子    …… 早見 あかり(22歳)
村田 鉄矢    …… 安田 顕(43歳)
平賀 源外    …… ムロ ツヨシ(41歳)
志村 妙     …… 長澤 まさみ(30歳)
結野 クリステル …… 古畑 星夏(21歳)
でに~ず店長   …… やべ きょうすけ(43歳)
青き衣の人    …… 清水 くるみ(23歳)
吉田 松陽(声) …… 山寺 宏一(56歳)

主なスタッフ
監督・脚本 …… 福田 雄一(49歳)
音楽    …… 瀬川 英史(52歳)
美術監督  …… 池谷 仙克(76歳 本作公開前の2016年10月に死去)
配給    …… ワーナー・ブラザース映画


 ……えぇ、特に前置きは抜きにして、さっそく本題に入りましょうかね、はい。

 もうね~、いつでしたっけ? 共に日本マンガ史上に燦然と輝く大傑作である、剣劇アクション時代劇『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚』(1994~99年連載、2012年以降いくつかの番外編あり、2017年9月より続編連載予定)と、今まさに壮大な大団円を迎えつつあるという SF人情なんちゃって時代劇コメディー『銀魂』(2004年~連載中)とを、「明治維新という史実を基に自由に展開したフィクション作品」という共通項から比較していこうというくわだてをブチ上げたのって!?

 あの頃はヒマだった……「やりません」とは絶対に言いませんが、少なくともそんな時間は、今の私には無いのでありまして。でも、ほんとにやってみたいのよね、これ。

 原作マンガのことはさておきましても、両作はどちらも TVや劇場版という形でアニメ作品としても様々な展開をしており(これは2作品の共通項というわけではなく『ジャンプ』のヒットマンガ全ての常道ですが)、特に『るろうに剣心』は、連載終了後実に10年以上という時と世紀をまたいで2012年と2014年に大友啓史監督・佐藤健主演で実写版映画3部作が公開され、いずれも興行収入30億円超え、しめて約120億円というもんのすんごい大ヒットを記録しました。

 そしてついに今年2017年! すでにアニメ劇場版2作(2010、13年)を公開していた『銀魂』が実写映画版という禁断の扉を開けてしまう! さらに監督は、あの福田雄一監督!! ということで、これをスクリーンで観ないわけにはいかないわたくしなのでありました。いや、誰も絶対見ろとは言ってないんですけど、なんとなく、ねぇ。

 思えば、丸1年前の夏は、なにはなくとも『シン・ゴジラ』で熱狂していたわけでありまして、さぁ今年の夏映画はどんなフィーバーを提供してくれるのでありましょうかっと!


「おもしろかった! いろいろあったけどおもしろかった!」


 と、いうあたりでしょうかね、はい。

 おもしろかったよねぇ! うん、おもしろかった。私の他に観てる人も若い高校生くらいの人が多かったけど、声あげて笑ってるシーンもあったしねぇ。友達と一緒に見るにはもってこいの作品なんじゃないでしょうか。デートに向いてるかっていうと、そりゃけっこうな趣味の親和性がないと気まずくなっちゃうかもしれないけど……

 実は、個人的に「福田雄一監督」という部分でかなり気構えているところがありまして、前に観たあれのように「金かえせ」というところまでいっちゃったら哀しいなぁという思いを抱きながら劇場に足を運んだのですが、いや、ぜんぜん大丈夫! 終始にこにこと穏やかな表情で観終えることができました。


 今回の実写映画版の良かった点は、やはり「本気でバカなことをやっている俳優さんが多かった」という点と、「原作マンガのテンポに極めて近いスピーディなカット割りが随所にあった」という点。この2つに尽きると思います。

 俳優さんがたに関しては申すまでもありません。主人公・坂田銀時役の小栗旬さんの疲れた演技は「カッコいいのに確かに中年にさしかかっている男」という絶妙なラインを突いており、カブト狩りのシーンや村田兄妹、平賀源外との会話シーンを見てもわかる通り、実は作品の中でいちばんツッコミの引き出しが多いキャラクターであるという銀時の本質を的確に掴んだ八面六臂の大活躍をしております。今を時めく大スターである小栗さんであることもあってか、主人公でありつつも実は全編出ずっぱりというわけではなく、ちょいちょいしばらく出てこないこともある銀時なのですが、出ればちゃんと画面を引き締めてくれるので、存在感が薄れるという印象は全くありません。
 ほんと、小栗旬というお人はものすんごい役者さんだぞ……そりゃルパン三世も織田信長もやれるわ。軽い演技で魅せるって、天性の魅力とそうとうな努力のどっちも必要なんですよね。

 ゲ……ヒロイン・神楽役の橋本環奈さんの、この作品に賭ける「観る人全員をすべからく心配にさせる」入魂の演技も最高でした。これはね……「全てのキャリアを賭ける」とは、こういうことなのでしょうか。一体何が彼女をそうさせたのでしょうか。「実は戦闘民族」という、アクション面でまったく言い訳のきかない部分もかなり良かったですよね。来島また子との戦闘シーンのあのくるくる! 超余裕で敵をもてあそんでいるという無邪気さが実に見事でした。でも、橋本さんはアニメ版を礼儀正しく踏襲していながらも、しっかりと「ハスキー」というオリジナルな要素を神楽に加えていたのが素晴らしかった。単なるアニメ版の実写変換で終わらせない新たな神楽像の誕生をみましたね。

 あとは、あの屈指の名エピソード「カブト狩り」を映像化しただけあって、真選組の面々というか、近藤・土方・沖田の3人揃い踏みが実写化されたのはうれしかったですね。沖田は多少「どS」という要素を発揮するシーンが少ないとは感じましたが、土方は「いるだけでものすごく安心できるナンバー2」という存在感をいかんなく放ちつつも、ヘビースモーカー(当時)で尋常でないマヨラー、しかもあの近藤のおもり役という重責など様々な生活習慣から推察するに、確かにそのくらい疲れた感じでにごった目つきにはなるかなという説得力たっぷりの外見になっていました。さすがはヤギラさんです。
 そしてもう、橋本さんとゆうにタメをはるくらいに身体を張った演技をしてくれた六代目ときたら、もう……お父様に勝るとも劣らない役者馬鹿ぶりを拝見した思いで、目頭が熱くなってしまいました。モザイクかけてても、「あ、この人、ほんとにはいてない。」ってわかるもんなのね。私も男ですが、ちょっとひいてしまいました。

 この実写映画版の中核ストーリーをなす「紅桜篇」は、村田兄妹の作刀にかける情熱と岡田の攘夷志士たちへのゆがんだ愛憎が事件の引き金となっている長編エピソードなので、そのあたりに力が入ることは当然なのですが、やはりその中でも、単なるイロモノのようで実はそうではないという刀匠・村田鉄矢を演じた安田さんは、さすがという演技力の高さを見せてくれたと思います。
 セリフ全部を大声でしゃべるって、そう設定した原作の空知先生は、もしかしてそうとうな演劇マニアなんじゃないかってくらいに俳優さんにとって難しい負荷の掛け方で、言い方の小細工がまったくきかなくなるハードルなんですよね。それを重々承知した安田さんは、目の演技で見事にこの難題を乗り越えてくれたと思います。
 それにしても、今回この作品を観ていちばんびっくりしたのは、そういった安田さんの「目とアゴの開閉を異様にオーバーにする演技」が、ちょうど『仮面ライダー』であの稀代の名キャラクター「死神博士」を演じておられた頃の天本英世さんにそっくりだったってことでした!! そうか、天本さんの演技メソッドって、そういうことだったのか! どういうこと!?
 いや、死神博士はあんな大声でしゃべらないんだけど、顔の筋肉の動きがそっくりなんだよなぁ。天本さんはそんなに己に負荷をかけながら演じていたんだなぁ……いや、ただ単に下の歯が無かったからしゃべりにくかったってだけなのかもしんないけど。

 「スピーディなカット割り」っていうのはもう、「カブト狩り」の真選組3段ボケの展開とか、来島の「ほんとに吐いたー!!」の切り返しとかですよね。そりゃもう、観て確かめてもらうしかないっていう、ギャグマンガの見事な映像変換でした。実写化する時には、やりすぎかってくらいにカット割りを素早く細かくしないとマンガに追いつかないんですね。マンガにっていうか、人間の脳の理解スピードに追いつかないんだろうなぁ。ただ、そればっかりやってて2時間ちょいは、作る側も観る側も苦行でしかないわけで、そういった技法を要所要所にどう配置するかという構成力が肝要になってくるのでしょう。その点、今作は原作のいいところを巧妙に拾い上げてある程度の成功をおさめていたかと思いました。


 さぁ、まぁそんなこんなで「実写映画版『銀魂』、すっごくおもしろかったヨ! 『銀魂』サイコー♡」と穏便にしめたいところなのですが、そうは問屋がおろさねぇのがこの『長岡京エイリアン』と申しますか……わたくしのカルマっちゅうかなんちゅうか本中華。

 いや、とにかく今回は「おもしろかった!」という大前提の上で、「でも、ちょっぴり気になった点がある。」という視点に立脚して数点挙げさせていただきますので、決してわたくしめが目くじら立てて「ふざけんな!」「つまんねぇ!」と怒っているわけでは決してありません。
 っていうか、数年前のあれだって、そんなに怒ってたわけじゃないんですよ……でも、「良かった点」と「良くないと思った点」をきっちり2つの記事に分けちゃったのは確かに失策でしたでしょうか。片方の記事だけ読むと私がむっちゃくちゃ怒ってるようにしか感じられないんだもんなぁ。いやー、若かった、そしてヒマだったな、当時の私。自転車こいでちょっと遠くの映画館か。自転車自体、もう全然乗ってないなぁ。


 気になった点はね、実は良かったと思う点と表裏一体なんですよ。やっぱり、「一部の役者さんの扱い方」と「カット割り演出」なんです。いや、ただし今回は役者さんの資質に責任があるというのではなく、キャスティングと各自への演出に問題を感じた気がしました。

 「一部の役者さん」ていうか……私が気になったのは2人だけなんですけれどもね。
 そのうちの1人は、まぁ、やっぱり堂本剛さんの高杉晋助なんだよなぁ。

 わーぁたっ、いやいや、ちょっと待って! 話せばわかる!! 私は別に堂本さんがダメだとか言うつもりは毛頭ないんです!! そんな巨大なコンツェルンパワーを相手にどうのこうの申し上げるほど私もタイトロープダンサーではない!

 最初に「高杉に堂本さん」という報に触れた時、私は原作マンガの高杉というキャラクターの内、確かに「チャーミングな部分」もあることから、そこをオリジナルに膨らませた新しい高杉像を実写版で立ち上げるために堂本さんをキャスティングしたのだろうとみて、他のどのキャスティングよりも冒険的な采配になると予想して勝手に楽しみにしていたのです。

 ところがふたを開けてみれば、実写版の高杉像はいかにもアニメ版のトレースもいいところ。特に何のアレンジも無く、原作マンガかアニメ版における描写のまんま実写化という印象しか受けないシーンの羅列で終わっちゃったという感じなのです。
 最後の銀時との対決シーンは、確かに殺陣としては小柄な堂本さんの体型を巧みに取り入れた説得力のある戦闘スタイルではあったのですが、う~ん、小栗さん演じる銀時と互角に戦っているとはちょっと見えない戦力差を感じました。だいたい、着流し姿の素手で自分よりも大柄な人物と戦おうとすること自体が最初っからちとキビしい。
 『銀魂』や『るろうに剣心』にかぎらず、少年マンガに登場する悪役って、なんだかんだいっても結局は肉体的に主人公と渡り合える「マッチョさ」を持ってないといけないっていう縛りがありますよね。それで原作マンガの高杉も宇宙人のフリーザみたいな別次元の強さを持った生物と互角に戦わなきゃいけないみたいなハメに陥っているわけなのですが、そこは堂本さんが新しい世界を切り開いて、「強さに頼らない強敵」にして欲しかった……でもそれって難しいですよね。あのジョーカーさんだってちょいちょい筋肉モリモリになっちゃう時代だからなぁ。

 わっかんねぇんだよなぁ。確かにネームバリューや小栗さんの対極という意味で堂本さんの起用は非常に良かったと思うのですが、あの堂本さんをして、あの平凡もいい所の悪役演出。キャスティングした人は、あの堂本さんのどうにもこうにもぬぐいがたい「チャーミングさ」をどのくらい重大に捉えていたのでしょうか。しかもパンフレットの堂本さんご本人のコメントを参照すると、堂本さんは製作スタッフから「すね毛を剃ってくれ」という指示を受けていたようなのです。
 すね毛を剃れ……? それで、作中みたいなクールな悪役になれって? 一体どういうことなんだろう……かわいい外見と中身のギャップを見せたかったのか? いや、どうしたって外見のかわいさしか前に立たないだろう。ちょっと悪ぶったファッションにこりだしたゲゲゲの鬼太郎にしか見えないんですけど……
 だいたい、はっきりと顔を見せないまま中盤まで引っ張りに引っ張って、その上で満を持して神楽にその顔を見せるシーンからして、かなり安っぽい CGで堂本さんの瞳をヘンなピンクか紫かで光らせてたでしょ。なんだよ、それ! そういう CG処理の仕方って、ハナっから堂本さんの表情の演技に期待してないってことなんじゃないですか? 日本一の奈良県民・堂本さんに対して失礼だぞコノヤロー!!

 CG ね。私の偏見なのですが、どうも福田監督は、自作におけるCG 処理に関してちょっと甘いんじゃなかろうかと思えるフシがあります。今回は岡田が妖刀・紅桜に浸食された状態でのメカメカしいコード類の描写が残念で仕方なかったような気がしました。まるごと安っぽい CG頼みみたいな。そんなん、エリザベスの着ぐるみの撮影シーンひとつひとつにちまちま CG処理してる場合じゃないですって! もっと他にやるべきことがあるんじゃなかろうかと。

 う~ん……一言でいえば「堂本さんの無駄づかい」ということなんでしょうか。堂本さんを起用するんだったら、それなりに『るろうに剣心』で志々雄真実を藤原竜也さんが演じたようなアプローチとはまったく違う悪役像を創出するべきだし、堂本さんは間違いなくそれができる貴重な人材であると思ったのですが。どだい、かわいらしい人が魔人・子安武人とおんなじことをしたところでなんにもならないのです。

 さて、堂本さんの他にもうお1人、「これはどうか……」と思った役者さんというのは……もう、いっか、触れないようにしましょうかね。えぇ、えぇ、あのお人でございますよ。
 わかんない……福田監督も空知先生も、なんであの方をあれほど高評価しているのかがさっぱりわかんない。これはもう、私の感性が合わないんだろうなと判断いたしまして、正面きって「あの人やっぱりつまんない!」とは申しません。ご本人も、パンフレットで「全責任は福田が取りますので、私には優しくしてください。」とおっしゃっておられますし。
 前に見た時みたいに「誰かの物まね」という感じは無かったのですが、あれ、長回しにして全部使うほどおもしろいやり取りなのだろうか。少なくとも、私が見た回の客席から笑い声は上がらなかった。

 演出が、いい部分もいいと思わない部分も、やっぱり TV的なんですよねぇ。私がいいと思ったのはコントや TVCMで見られるような計算されつくした繊細なカット割り演出で、良くないと思ったのは、とりあえず芸人さんに何かやらせてそれをだらだらとカメラを回して撮り続けるようなバラエティ番組的手法なんです。そのどっちもが混在しているところに、福田監督の手法の惜しげもないオンパレードと同時に、その限界もはっきり見えているような気もするのですが、いかがでしょうか。

 さっきは CGに甘いと言いましたが、福田監督は俳優さんにも甘いような気がしました。ある俳優さんはパンフレットで「演出と言えるかも疑わしい」と語っていますが、和気あいあいとした撮影現場の空気が、シャープな演出や映像の編集を拒んでいるというか。小栗さんのアントニオ猪木の物まねとか源外の工房での赤い彗星ネタとか、やけに時間をたっぷりとって作中に出てきましたが、それなんなんだろうと。どうにも来てもらった役者さんの顔を立てるためだけにノーカットで使ってるとしか思えない時間があるんですよね。
 むろんのこと、そういうひどい脱線は原作マンガでもよく見られる風景ではあるのですが、原作マンガはたいてい無理矢理ともいえる手法で本筋につなげてくる異常な「筋の通しっぷり」があり、またそこが『銀魂』の『銀魂』たるゆえんであるわけです。

 そして、私が何よりも気になったのは、その「どれが本筋でどれが末節なのかがさっぱり読めてこないマングローブ感」が実写映画にあんまりなかったこと。それに尽きるのでした。本筋はひたすらに単純で、意味の無いシーンはひたすら意味が無いという徹底した空虚化。
 でも、これを空知先生以外の誰かに要求するのはどだい無理な話なのでしょうか。ましてや、決まった予算や製作スケジュールの中で起承転結を2時間前後におさめなければいけないし、アニメ劇場版の『新訳紅桜篇』のように無尽蔵にキャラクターを総登場させるわけにもいかないし。

 でも……少なくとも私は、お登勢さんもさっちゃんも長谷川さんも出てこない『銀魂』はちょっと……こざっぱりしすぎてるかな、という気はしました。あ、あと山崎さんも。


 ただ、これはもう「福田監督がそこをチョイスしたのだからしょうがない」と受けとめて、空知先生の語るように「福田さんの銀さん像なんだな」と見るべきなのです。何よりも、とかくやたらとマンガ作品の実写映像化が粗製乱造される昨今において、あの『銀魂』をここまで見事に実写化しおおせた剛腕を無条件に讃えるべきなのではないでしょうか。
 いや、無理矢理いい感じにまとめようとしてるんじゃなくて、本気でものすごい仕事だったと思うんですよ! だって、あんなにかわいい女の子が鼻ほじるわ〇〇吐くわ、歌舞伎界のサラブレッドが全裸になるわの乱痴気騒ぎなんですよ!?

 あ、最後に申し訳程度に実写映画版『るろうに剣心』との比較をちらっとやっときますが、この作品は志村姉弟の「あんまり流行ってない剣術道場経営」という要素を、ものの見事に「セリフ処理」だけで済ませて道場のセットを1ミリたりとも映像化しなかったところと、両作を比較する上での超重要参考人である「河上万斉」の存在を完膚なきまでカットしていたところに、かなり神経質に共通項になりそうな部分を回避しようとした意図を感じました。
 よく考えてみりゃ、どっちもワーナー映画なんですもんね。そりゃかぶらせて得なこたぁねぇか。だいたい、万斉の鋼鉄三味線みたいな攻撃するひと、『るろうに剣心』に出てましたよね。あれ、でも実写映画版ではそんなにその戦い方を前面に押し出してはいなかったっけな? 綾野さん。もう設定がこんがらがってわけわかりません。


 この夏、「最初で最後の実写化!」という啖呵を切った本作が30億円の大台に届こうかというスマッシュヒットとなり、仰々しくタイトルのおしりに『第1章』とかいう余計な文言を加えた作品がシケた花火になりそうという逆転現象も起きているわけですが、もしこの実写版『銀魂』に続編があるのならば、そしてそれに福田監督が引き続き登板するのであるのならば、それはぜひとも『ミツバ篇』のようにショートドラマシリーズの形式をとった方がいいのではなかろうかという気がしました。そっちのほうホーム戦っぽいですよね。

 まぁそんなこんなで、実写版『銀魂』、非常におもしろうございました。ありがとうございます!


 ……んで、「るろうに銀魂」企画はいつ始めるんでしょうか? まぁ……気楽に筆霊が降りるのを待ちましょ。荒俣先生はいい言葉考えつくなぁ!

 荒俣先生といえば、1988年の『帝都物語』では、池谷先生は特殊美術をやってらっしゃってたなぁ。『銀魂』の江戸は「帝都」ではないようなんですが、最後の仕事も江戸でしたねぇ。
 実相寺監督もユーモアを大いに解する方のようでしたから、お元気だったら絶対に『銀魂』の実写化に名乗りを上げてたと思います! でも、それがおもしろいかどうかは……黙祷!!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生きておったか……亡霊!!

2013年10月18日 19時50分23秒 | 花咲ける「るろうに銀魂」ロード
『 PEACE MAKER 鐵』連載再開&『曇天に笑う』続編が12月始動
 (コミックナタリー 2013年10月17日付け記事より)

 黒乃奈々絵(33歳)の江戸幕末時代劇マンガ『 PEACE MAKER 鐵(ピースメーカーくろがね)』および、唐々煙(からからけむり)の明治アクションマンガ『曇天に笑う』の続編『煉獄に笑う』の連載が、12月24日発売予定のムック雑誌『時代活劇画伝 斬』にてスタートする。
 『 PEACE MAKER 鐵』の連載が再開するのは、携帯電話向けデジタルマンガ雑誌『コミックシーモア』で2010年3~9月に連載されていた「油小路編」以来3年ぶり。一方、『煉獄に笑う』は前作から舞台を戦国時代に移す。
 『時代活劇画伝 斬』にはこのほか、『曇天に笑う』の番外編2本と、『 PEACE MAKER 鐵』の特別読み切りも収録。作品はいずれも描き下ろしだ。また『曇天に笑う』の TVアニメ化情報も掲載される。

 『時代活劇画伝 斬』は、マッグガーデンの WEBマンガサイト「 Beat's」とアニメイトのコラボレーション雑誌。全国のアニメイト各店、およびアニメイトとマッグガーデンの通販でのみ販売される。一般書店への流通は行われないため、買い逃がしには注意しよう。

ムック雑誌『時代活劇画伝 斬』
発売予定日:2013年12月24日(火)
価格:980円(税込)※送料・手数料別


『 PEACE MAKER 鐵』(『新撰組異聞 PEACE MAKER 』)とは?

 黒乃奈々絵によるマンガ作品。『月刊少年ガンガン』(スクウェア・エニックス)に連載された『新撰組異聞 PEACE MAKER 』(1999~2001年連載)から物語は始まり、『 PEACE MAKER 鐵』はその直接の続編にあたる。
 物語の設定に関して史実と異なる点が多いが、大筋は江戸幕末期の新撰組を取り巻く実際に発生した事象に沿っている。

 2001年6月のマンガ出版社マッグガーデン設立にいたった、いわゆる「エニックスお家騒動」により、掲載誌を『月刊コミックブレイド』(マッグガーデン)に移し、第2部として『 PEACE MAKER 鐵』が連載されていたが、2005年以降休載し、2010年にケータイサイト『コミックシーモア』で続編「油小路編」が配信された。


主な登場人物
市村 鉄之助(1854~73年)
 新撰組副長・土方歳三の小姓。愛称・鉄。両親を何者かに殺され、敵を討つために新撰組に兄・辰之助と共に入隊する。両親を目の前で殺されたショックから身体の成長が止まっており、よく子供扱いされていたが、池田屋事件での初陣を経て過去の傷を乗り越え、以降は心身ともに立派に成長した。池田屋事件後は新撰組隊士見習いとなり、剣の腕も確実に上がっている。永倉新八曰く、鉄之助の剣は「土方さんと同じ野外実践型」。刀を取るのは「殺すため」ではなく、あくまで「守るため」であり、未だに敵を殺したことはない。
 伊東甲子太郎の脱退により発生した油小路事件で、仲間を助けるべく奮戦するが、鉄之助を坂本龍馬暗殺の真犯人と誤認して追ってきた海援隊にも襲撃され拉致される。しかし、斎藤一の助力で龍馬殺害の無実を証明し、自身を陥れた旧友・北村鈴といずれ決着をつけると決意し、新選組の一員として闘い続ける意志を新たにした。

※史実の市村鉄之助は美濃国大垣藩士・市村半右衛門の三男で、安政五(1858)年に父が浪人となったために近江国国友村(現在の滋賀県長浜市)で暮らし、池田屋事件の3年後、山南敬助切腹の2年後の慶応三(1867)年に兄の辰之助と共に14歳で新撰組に入隊した(油小路事件の直前)。隊内での役職は副長・土方付き小姓。そののち、慶応四(1868)年に兄が脱走したあとも函館戦争にいたるまで新撰組隊士として土方に従い続け、明治二(1869)年5月11日に戦死する直前の土方の命を受け、戦線を離脱して明治新政府軍の厳しい追及をかいくぐり、3ヵ月後に武蔵国多摩郡(現在の東京都日野市)に住む土方の従兄(姉婿でもあった)・佐藤彦五郎のもとに土方の遺品を届けた。その後、鉄之助は2年間ほど佐藤家に滞在し、後に実家の岐阜県大垣市に帰って兄・辰之助と再会したが、明治六(1873)年にその地で病死したという。
 一説に、鉄之助は明治十(1877)年まで生存し、2~9月の西南戦争に西郷隆盛軍として参戦して戦死したとも言われているが、確証は無く俗説の域を出ない。

市村 辰之助(1846~72年)
 新撰組勘定方。鉄之助の兄。両親が亡くなってからは鉄之助の親代わりでもある。いつも鉄之助の無茶苦茶な行動に振り回され、神経性の胃炎を患っている。鉄之助に対しては過保護で、彼が剣を取ることを快く思っていない。坂本龍馬と出会った際に彼の持つピストルに着目し、銃を扱えるようになることを志すようになる。

※史実の市村辰之助は美濃国大垣藩士・市村半右衛門の次男で、安政五(1858)年に父が浪人となったために近江国国友村で暮らし、慶応三(1867)年に弟の鉄之助と共に22歳で新撰組に入隊した。隊内での役職は勘定方ではなく、局長・副長共有の小姓(両長抱)。そののち、鳥羽・伏見合戦や甲斐勝沼合戦での敗戦の末に新撰組が江戸に撤退した慶応四(1868)年3月以降に脱走し、大垣藩に帰参している。

沖田 総司(1844~68年)
 新撰組一番隊隊長。一見すると優男風の美青年だが、新撰組随一の剣の遣い手であり、戦闘時は鬼神の如き強さを発揮する。普段は明るく振舞っているが、内実はとてもクールな性格。池田屋事件の後から結核を患い体調を崩している。土方の趣味の句集を勝手に持ち出して笑いながら詠むなど、よく土方にちょっかいを出している面もあるが、周囲の誰よりも土方を気遣っている。近所の子供たちと共によく遊んでいる。
 子供の頃に剣の才が災いして父を亡くし、自身の存在を忌み嫌っていたが、武士として身を立てることを夢見る土方に新撰組という居場所を与えられ、精神的に救われる。それ以来、土方に深い信義を感じている。
 油小路事件の頃には、少し動くだけで身体が悲鳴を上げる病状に陥っている。仲間の力になれない歯痒さに耐え切れず、病を押して戦闘に参加しようとするが、山崎烝に制止された。

土方 歳三(1835~69年)
 新撰組副長。「鬼の副長」という異名の通り、性格は冷徹。それゆえに隊員からも恐れられているが、実際は部下思いである。鉄之助に対しては彼に刀を持たせないなど特別な態度を取っているが、その理由はまだわかっていない。趣味は俳句で俳号は「豊玉」。
 過去に結核で母と姉を亡くしたことがあり、同じ結核のために体調が急激に悪化していく沖田に焦燥を抱いている。

山崎 烝(すすむ 1833~68年)
 新撰組監察方。主に間者として敵方の詮索を行う。小姓としての役目を果たさない鉄之助に怒ることもあった。池田屋事件に先立っては、女装して「おせん」と名乗り内情を探っていた。その際、自分の身代わりになって殺害された姉・歩の最期を知って抑えていた感情を爆発させる。その後、姉と親しかった鉄之助と親友になり、以前よりも感情を表に出すようになった。鉄之助の兄・辰之助に対しては、生真面目な彼をおちょくるのを愉しみにしている。のちに将軍の侍医でもあった名医・松本良順の指導により新撰組の専属隊医も務めることとなる。真面目な性格であり、仏頂面で表面上は冷徹そうに見えるが、沖田の容態を心配したり海援隊に襲われた鉄之助を諭したりと、ぶっきら棒ながらも心優しい一面を見せることもある。

山崎 歩(あゆむ)※本作オリジナルの人物
 山崎烝の姉。普段は料理人として新撰組隊士の食事を作っている。その味は絶品と人気があり、隊士達からは「アユ姉」と呼ばれて慕われている。だがそれは表向きの顔であり、指令を受ければ「髪結いの弓」として敵方を探るくノ一としても活動していた。しかし、潜入に失敗して拷問にかけられ殺害される。弟の身を誰よりも案じており、鉄之助に弟を頼むと遺言していた。

永倉 新八(1839~1915年)
 新撰組二番隊隊長。神道無念流を修めた剣の達人で、その手腕は隊内では沖田と並ぶといわれる。原田・藤堂を含めた新撰組三馬鹿の中でただ一人のツッコミ役。自称「原田左之助の飼い主」。他人の感情に敏く、考えすぎる余り一人で抱え込んでしまうことがある。

原田 左之助(1840~68年)
 新撰組十番隊隊長。種田宝蔵院流の槍の名手。新撰組三馬鹿の一人。単純かつ豪快な人柄で、情に厚い。その一方で医者が怖いという臆病な一面もある。腹に切腹の傷跡がある。

藤堂 平助(1844~67年)
 新撰組八番隊隊長。北辰一刀流の遣い手。池田屋事件で額に大きな傷跡をつくる。新撰組三馬鹿の一人であり、他の永倉・原田と共に江戸試衛館時代からの古株。性別を問わず、動物でも何でも小さいものや可愛いものが大好き。興奮すると言葉遣いが乱暴になる。副長・山南敬助の切腹をきっかけに隊の方向性に疑問を抱くようになり、参謀・伊東甲子太郎らと共に新撰組を脱退し御稜衛士(ごりょうえじ)となる。その後、油小路事件で新撰組隊士に斬られ命を落とす。新選組幹部では際立って幼い感性の持ち主であり、不穏な空気にも目を背け、組の結束と安泰は絶対であると信じ切っていた。油小路事件では永倉・原田に看取られて息を引き取った。

斎藤 一(1844~1915年)
 新撰組三番隊隊長で沖田と1、2を争う剣の実力の持ち主。物静かだが何事にも動じず、つかみどころのない性格。霊感が強く、死者の魂と対話ができる。また、幼少時代から未来を予見することができたという。よく蕎麦を鉄之助におごらせる。幼い頃から自身の千里眼のために人生を諦観していたが、油小路事件で海援隊に幽閉された鉄之助と対峙し、己の意志も歴史を動かす歯車になり得ることを悟る。そして鉄之助の行動に付き合う覚悟を決め、共に歩んでいく意思を示した。

近藤 勇(1834~68年)
 新撰組局長。大らかな性格で鉄之助にも優しく接するが、時には局長としての厳格な一面も見せる。情に厚い。

山南 敬助(1833~65年)
 新撰組のもう一人の副長。北辰一刀流の遣い手。温厚な気質のため「仏の副長」と呼ばれている。沖田に慕われている。京・島原の明里は、その正体に勘付きつつも本気で愛していた。土方とは意見が食い違うこともあるが、お互いを認め合っている。しかし新撰組の隊規でも重罪とされていた脱走をはかり切腹を命じられる。

明里(あけさと)/サラ=フウマ
 山南の恋人。異人と日本人のハーフ。表向きは京・島原の天神(上位の妓女)の明里だが、裏では風魔流の忍者として長州藩に情報を流していた。籠絡する目的で接近した山南を本当に愛するようになる。山南の死後は遊女・明里の名を捨て、忍びとして生きる決心をする。山南の死後は龍馬を愛するようになっていた。龍馬暗殺の真犯人が北村鈴だと知る唯一の人物であったため、鈴によって監禁される。

伊東 甲子太郎(かしたろう 1835~67年)
 元治元(1864)年から新撰組に入隊した参謀。のちに脱退して御稜衛士を結成して新撰組と対立する。男色趣味が強く、副長・土方に対し執着心を抱いている。1867年12月に発生した油小路事件で自らを暗殺しようとした新撰組を逆に嵌め、屯所に攻撃を仕掛ける。しかし土方と一騎打ちとなった末に敗れ、藤堂と同様に命を落とす。

北村 鈴(すず)※本作オリジナルの人物
 兄を斬殺した新撰組に復讐するため、吉田稔麿の小姓になっている少年。鉄之助とはお互いの素性を知らない時点で親友になる。池田屋事件で敬愛する師匠・稔麿を失い、鉄之助の素性を知ったことでさらに新撰組と鉄之助を強く憎むようになり、復讐のみを生き甲斐とするようになる。のちにその存在が邪魔になった坂本龍馬と中岡慎太郎を斬殺した。漆塗りにした稔麿の頭蓋骨を常に持ち歩いている。

吉田 稔麿(としまろ 1841~64年)
 長州藩士で急進派攘夷志士。吉田松陰の愛弟子として崇高な理念を持ち活動。京では桝屋喜右衛門こと古高俊太郎の邸宅に他の同志たちと共に潜伏する。北村鈴が崇敬する師匠だったが、池田屋事件で臆することなく新撰組と戦い、敗死する。

膕(ひかがみ)
 罪人として処刑されそうになったところを北村鈴に助けられ、それ以来、鈴に絶対的な忠誠を誓う。容姿が吉田稔麿によく似ている。

坂本 龍馬(1836~67年)
 もと土佐藩郷士の志士。鉄之助と辰之助の父・市村龍之助のことを知る人物。ドレッドへアにサングラス、テンガロンハットにブーツという風貌で、ピストルを携行している。後に京・近江屋で盟友の中岡慎太郎と共に襲撃を受け、北村鈴に斬殺された。

桂 小五郎(1833~77年)
 長州藩の重臣。常に江戸幕府側の新撰組や京都見廻組の追手から逃げ回る生活を余儀なくされているため、変装していないと落ち着かない性質になっている。幾松という恋人がいる。

勝 海舟(1823~99年)
 江戸幕府軍艦奉行。青谷という部下がいる。あんみつが大好物。江戸っ子口調で剛胆な性格の持ち主である。坂本龍馬や鉄之助の父・市村龍之助をよく知る。

陸奥 陽之助(宗光 1844~97年)
 坂本龍馬が結成した株式会社「海援隊」の隊士。後の明治政府外務大臣。坂本龍馬のことを慕っていた。龍馬の暗殺を知るが、北村鈴の陰謀にかかり鉄之助を真犯人として付け狙う。


TV アニメ版
 『 PEACE MAKER 鐵』のタイトルで放送されたが、内容は第1部『新撰組異聞 PEACE MAKER 』のものである。全24話。2003年10月~04年3月にテレビ朝日系列にて毎週火曜日深夜3時12~42分に放送された。

主なキャスティング
市村鉄之助 …… 小林 由美子(24歳)
沖田総司  …… 斎賀 みつき(30歳)
土方歳三  …… 中田 譲治(49歳)
市村辰之助 …… うえだ ゆうじ(36歳)
山崎烝   …… 櫻井 孝宏(29歳)
山崎歩   …… 永島 由子(33歳)
永倉新八  …… 山口 勝平(38歳)
原田左之助 …… 乃村 健次(33歳)
藤堂平助  …… 鳥海 浩輔(30歳)
斎藤一   …… 松山 鷹志(43歳)
近藤勇   …… 土師 孝也(51歳)
山南敬助  …… 井上 倫宏(45歳)
北村鈴   …… 今井 由香(33歳)
吉田稔麿  …… 諏訪部 順一(31歳)
明里    …… 根谷 美智子(38歳)
坂本龍馬  …… 江原 正士(50歳)
宮部鼎蔵  …… 宮林 康(38歳)

アニメーション制作 …… ゴンゾ


TV ドラマ版
 『新撰組 PEACE MAKER 』のタイトルで、2010年1~3月に毎日放送・TBSほかで毎週水曜日深夜0時34分~1時04分に放送された。全10話。
 内容は TVアニメ版と同じく第1部『新撰組異聞 PEACE MAKER 』のものである。

主なキャスティング
市村鉄之助 …… 須賀 健太(15歳)
沖田総司  …… 柳下 大(とも 21歳)  
土方歳三  …… 谷内 伸也( Lead 22歳)
市村辰之助 …… 古川 雄大(22歳)
永倉新八  …… 松川 尚瑠輝(なるき 20歳)
原田左之助 …… 伊崎 右典(ゆうすけ 25歳)
藤堂平助  …… 佐野 泰臣(25歳)
近藤勇   …… 遠藤 章造(ココリコ 38歳) 
山南敬助  …… 上山 竜司(RUN&GUN 23歳)
山崎歩   …… 原 幹恵(22歳) 
明里    …… 中島 愛里(19歳)
北村鈴   …… 野村 周平(16歳)
吉田稔麿  …… 荒木 宏文(26歳)
桂小五郎  …… ユキ リョウイチ(37歳)
宮部鼎蔵  …… 脇崎 智史(26歳)

主なスタッフ
メイン脚本&メイン演出 …… 山本 清史(31歳)


舞台版
『新撰組異聞 PEACE MAKER 』
2007年7月21・22日 大阪・松下IMPホール、8月2~6日 新宿・新国立劇場小劇場
主なキャスティング
吉田稔麿  …… 郷本 直也(27歳)
山崎烝・歩 …… 矢崎 広(20歳)

『新撰組異聞 PEACE MAKER 』
2009年5月6~10日 池袋・東京芸術劇場小ホール2
主なキャスティング
市村鉄之助 …… 矢吹 卓也(22歳)
北村鈴   …… 米原 幸佑(RUN&GUN 23歳)
山崎烝   …… 斎藤 ヤスカ(21歳)
沖田総司  …… 松岡 佑季(20歳)
吉田稔麿  …… 高木 俊(28歳)
山南敬助  …… 上杉 輝(26歳)
近藤勇   …… 柏 進(37歳)
原田左之助 …… 住谷 正樹(レイザーラモンHG 33歳)

『 PEACE MAKER 新撰組参上』
2011年6月3~12日 東京ドームシティ・シアター Gロッソ
主なキャスティング
市村鉄之助 …… 吉村 卓也(21歳) 
土方歳三  …… 兼崎 健太郎(26歳)
沖田総司  …… 浜尾 京介(19歳)
市村辰之助 …… 滝口 幸広(26歳)
近藤勇   …… タイソン大屋(39歳)
山南敬助  …… 聡太郎(25歳)
永倉新八  …… 内藤 大希(23歳)
吉田稔麿  …… 林 剛史(28歳)
北村鈴   …… 井沢 勇貴(18歳)

『新撰組異聞 PEACE MAKER 』
2012年4月15~22日 東京ドームシティ・シアター Gロッソ
主なキャスティング
市村鉄之助 …… 聖也(18歳)
土方歳三  …… 兼崎 健太郎(27歳)
沖田総司  …… 浜尾 京介(20歳)
市村辰之助 …… 伊勢 大貴(20歳)
永倉新八  …… 椎名 鯛造(25歳)
藤堂平助  …… 水谷 百輔(26歳)
山崎烝   …… 服部 翼(22歳)
山崎歩   …… 工藤 真由(25歳)
吉田稔麿  …… 伊崎 右典(27歳)
北村鈴   …… 佐野 岳(20歳 仮面ライダー鎧武!)
明里    …… 人見 早苗(29歳)



 こやつ、まだ生きておったか!

 この作品、私にとっては「いちおう読んでみた唯一の新撰組もの連載マンガ」で、主人公の人選が珍しかったのでおもしろく読んでいたのですが、2005年にご存知の通りの休載、中断! かなり気合いの入ったアニメ化もされていたというのに……好きだっただけにとっても残念に感じていました。
 そんで2010年に降って湧いたように続きが連載されたわけなんですが、それもなんだか、はっきり言って「油小路事件と坂本龍馬暗殺事件のときの伏線を回収しに来ました~。」みたいな作業的な内容で、「史実で死んだはずの伊東甲子太郎が、実は生き延びていた!!」という2005年までの驚愕の展開を、「……そんで、数時間後にやっぱ死にました。」という That's 尻すぼみなシメにしてしまうというがっかり感のはなはだしいものになり下がっていました。おまえは映画版『風の谷のナウシカ』のドロドロ巨神兵か!? 生きねば!!

 この作品って、主人公の市村鉄之助の新撰組入隊のタイミングの大幅すぎる改変からもわかるように、作者の創作部分に、あまりにも無造作に実在する人物や団体の名称をそのまんま乗っけるきらいがあって、その点、史実にちゃんと距離をとった上でハチャメチャなことをしている『るろうに剣心』とか『銀魂』のスタイルがよっぽど大人というか、そうやるのがプロとして当たり前の配慮だと思うんですよね。いや、『銀魂』はハチャメチャしすぎですけど、ちゃんとそれなりの仁義を切った上でやらかしてるわけです。

 山崎烝に姉をつくるとか、伊東甲子太郎が土方歳三に気があるとか、斎藤一がオカルト体質だとかいう、「無から可能性を拾ってオリジナルを創造する姿勢」は、やっぱり実名を使っているという点で納得はいかないのですがギリギリ許容できるとしても、市村兄弟の入隊時期と兄弟の父親が何者かに殺害されたっていう設定って、「オリジナルとまったく違う事実を捏造する」ことなんじゃなかろうかと思うんですよ。それはダメなんじゃない!?
 そんなもん、もし大学受験の日本史Bの試験で「市村兄弟の新撰組入隊時期は?」っていう問題が出たら、どんだけの人たちの運命に甚大な影響をおよぼすと思ってるんですか!! え、そんなの問題に出ないし、そんなことをいちいち気にしてる読者もお前くらいしかいない? ごもっとも☆

 織田信長が本能寺の変で死ななかった、っていう設定のフィクション作品もよくありますけど、それは完全に『ドリフ大爆笑』における「もしもシリーズ」的な遊びを中心におく「架空歴史もの」ですからね。それとも違うみたいだし、『 PEACE MAKER 鐵』は態度がかなり不鮮明なんです。はっきりしてちょーだい!

 だから、私はこの『 PEACE MAKER 鐵』のグズグズな姿勢がどんどん嫌いになっていっちゃって……特に、タイトルが『 PEACE MAKER 鐵』になったところから嫌いですね。坂本龍馬嫌いなんだよなぁ~、わたし。

 そんで、しょうこりもなくまた復活するんでしょ? 今年のクリスマスに。

 ……


『時代活劇画伝 斬』、絶対買いま~っす♡
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

当たったけど……それほど観たくはない。

2013年08月05日 13時44分50秒 | 花咲ける「るろうに銀魂」ロード
伊勢谷友介が四乃森蒼紫役、神木隆之介が瀬田宗次郎役に決定! 映画『るろうに剣心』続編
 (マイナビニュース 2013年8月3日付け記事より)

 俳優の伊勢谷友介(37歳)、神木隆之介(20歳)らが、佐藤健(24歳)主演で大友啓史監督(47歳)がメガホンを取った映画『るろうに剣心 京都大火編』『伝説の最期編』(2014年夏 2部作連続公開予定)に出演することが2日、明らかになった。

 伊勢谷が演じるのは、仲間の因縁をはらすために主人公・緋村剣心(佐藤)を狙う旧江戸幕府御庭番衆頭首・四乃森蒼紫(しのもり あおし)。「『週刊少年ジャンプ』を読んでいた時にちょうど『るろうに剣心』の連載がはじまっていたので、どんな実写になるのかなと楽しみに待っていました。」と心待ちにしていた作品だったようで、「今回はお話をいただいて、大友監督の作品なのでぜひと思い、出演を決めました。アクションシーンの撮影は大変だと思いますが、役者としては自分の限界に挑戦するというのは、とてもありがたいことですし役者冥利につきます。」と語る。
 大友監督作品はドラマ『白洲次郎』(2009年)、大河ドラマ『龍馬伝』(2010年)に続いて3度目となる伊勢谷。「映画『あしたのジョー』に負けないくらい限界に挑戦したいと思っています!」と、徹底的に体を作りこんで力石徹役を怪演した『あしたのジョー』(2011年)を引き合いに出し、「四乃森蒼紫は、表面的には感情をおさえながらも内面ではいろいろ抱えているキャラクターなのでバランスを大事にして演じたいと思っています。」と、役柄との向き合い方を語った。

 一方の神木は、剣心の宿敵・志々雄真実(ししお まこと)の部下で、剣心に匹敵する天賦の剣才・瀬田宗次郎を演じる。「今回、このようなすばらしい大役を演じさせていただけることになり、とても光栄に思っております。ずっと憧れていた役なので、十分過ぎるほど気合いが入っています。」と心境を語り、「原作ファンの方々の期待を裏切ることなく、かつ、オリジナリティのある瀬田宗次郎をお見せできればと思っております。」と意気込みのコメント。「そして、この映画に欠かせない、アクション。精一杯、練習しておりますので、皆様、ぜひご期待ください。」とアピールしていた。

 原作は、1994年から1999年までマンガ雑誌『週刊少年ジャンプ』で連載され、累計5千万部を超えた人気コミック。かつて人斬り抜刀斎として恐れられていた緋村剣心が、明治維新後に「不殺(ころさず)」の誓いをたて、日本中を流浪しながらさまざまな仲間や宿敵と出会っていく物語で、昨年夏に公開された映画の続編となる今作では、日本制圧をもくろむ新たな敵が待ち受ける京都が舞台となる。剣心の宿敵・志々雄真実を藤原竜也(31歳)が演じることがすでに発表されていたほか、伊勢谷、神木に加え、旧江戸幕府御庭番衆京都探索方筆頭・柏崎念至役に田中泯(68歳)、明治政府内務卿・大久保利通役に THE BOOMの宮沢和史(47歳)、大蔵卿・伊藤博文役に小澤征悦(39歳)、明神弥彦役に大八木凱斗(12歳)、志々雄の愛人・駒形由美役に人気ファッションモデルの高橋メアリージュン(25歳)、志々雄の部下・沢下条張(さわげじょう ちょう)役に三浦涼介(26歳)らが出演することも決定した。



 いや~、当たりましたね、瀬田=神木のキャスティング予想が! だからどうってこともないんですが。

 でも、今の日本の人気俳優事情で言うのならば、天剣の宗次郎は神木くん一択ですよね、もう。当たってあたりまえか。

 そうか~、伊勢谷さんは四乃森蒼紫かぁ。
 先日の実写版『るろうに剣心』第1作についての記事の中で私が勝手にやったキャスティング予想では、第1作でのあざやかなカットのされ方からして、大友監督ヴァージョンでは四乃森蒼紫は登場しないのではないか、という想定をしていたのでキャスティングは予想していなかったのですが、いかにも伊勢谷友介! これまでの大友作品での重要視のされ方から観ても、確かに四乃森が出るのだとしたら彼以外にはありえないというお膳立てがなされていましたね。

 でも、原作前半での旧江戸幕府御庭番衆と緋村剣心との因縁をナシにしたままで『志々雄真実編』をやるのだとしたら、相対的に四乃森は志々雄一派の用心棒のようなゲストキャラクター的な扱いに縮小されるのでしょうか? 第1作の的を得た脚本構成のセンスからして、そんなに役がちっちゃくなるような残念なことにはならないかとは思うのですが、非常に気になるところですねぇ。

 こういうわけで、四乃森蒼紫はいち早く実写版参戦決定の合格メンバーに加わることができたわけなのですが、そうなると私としてはかなり気になってくるのが、「志々雄十本刀」が全員実写化されるのか!? という大問題。

 う~ん……やっぱムリだろうか。
 いくら2時間サイズの映画が2本、つまりは『志々雄編』の実写化に4時間という長時間が割かれるのだとしても、おそらくは連載期間100週丸2年、コミックスにして実に11冊分の内容をまとめることになるのでしょうから、こりゃ~もうどんな準レギュラーキャラでも安心していられないわけなのです。

 しかも、ただでさえこういう定員オーバーぎみのエレベーターみたいな容量であるというのに、宗次郎・蒼紫ペアといっしょに発表されたキャスティングでは大久保=宮沢、柏崎=田中というシブい人選が優先して決定したらしく、どうやらここらへんのいかにも人間ドラマ、歴史ドラマっぽい部分を大友監督は重視しているようです。となると……必然的にバトルアクション要員の色合いが強いキャラクター陣営は出演がキビしくなってくるか? それなのに、なんでまた原作に1コマも登場していない伊藤博文が、小澤征悦というそこそこなキャスティングでしゃしゃり出る!? 余裕ないっつってんだろコノヤロー!!

 私の頭の中では、十本刀のうちの刈羽蝙也、破軍甲の才槌、破軍乙の不二の3名が両手でチョキをつくりながら「カットしないでねっ、カットしないでねっ。」と、涙目で踊っている姿がリフレインで浮かんでいます。出られるといいね~。

 こういうのは意外と、阿武隈四入道とか新月村の尖角みたいな小者がパパッと原作そのままに登場できて、悠久山安慈とか魚沼宇水みたいな複雑な重要人物が丸ごとカットされかねない危険性があるんですよね。丸鬼の夷腕坊は特に危ないかなぁ! 中途半端に次の『人誅編』にからんでた含みもあったし、ご主人様のはずの「斬鋼選の外印」は、ほとんど別のキャラになって前作にもう登場しちゃったし。

 とにもかくにも、この『志々雄編』はもちろん剣心ファミリーと志々雄一派との対決もさることながら、そこでいったん徹底的に敗北した剣心が、師匠の比古清十郎のもとで剣技を磨きなおしてさらなるレベルアップを果たし、天才的な刀工・新井青空から新たなる逆刃刀をさずかって大復活を果たすという、少年マンガそのまんまな熱い展開がギッチギチに詰まりまくっており、そこはもうカットするわけにはいかないという重要シチュエーションのつるべ打ちであるわけなのです。気になるなぁ~、比古清十郎と新井青空のキャスティング!

 それもこれもひっくるめて、まだまだ私が望みを捨てているわけではない残りのキャスティング予想を、再びここに挙げてみましょう。


大予想!! 実写版『るろうに剣心 志々雄編』の希望こみこみキャスティング案・後半戦

志々雄十本刀・佐渡島方治   …… 田中 哲司
志々雄十本刀・本条鎌足    …… 水野 美紀
志々雄十本刀・悠久山安慈   …… 角田 信朗
志々雄十本刀・魚沼宇水    …… 北村 有起哉
志々雄十本刀・刈羽蝙也    …… 渡辺 いっけい
志々雄十本刀・破軍甲の才槌  …… 田中 裕二(爆笑問題)
志々雄十本刀・破軍乙の不二  …… 要 潤
志々雄十本刀・丸鬼の夷腕坊  …… マツコデラックス

緋村剣心の師匠・比古清十郎  …… 藤岡 弘、
逆刃刀の刀工・新井青空    …… 瑛太


 田中哲司さんは必ずどっかには出てくると思うんですけどね。藤岡さん出てほし~い!!
 先日は、その他に柏崎念至の養女である巻町操役にモーニング娘。の工藤遥さんを予想していたのですが、現在の工藤さんが年頃相応に女性っぽくなってきてしまったので、今回は泣く泣く取り下げさせていただきました。大きくなりやがって……今後もその方向でよろしくお願いいたします!!

 そうそう、そういえば柏崎念至に田中泯! これは本当に楽しみですねぇ~。
 俳優としての田中泯さん、好きなんだよな~、私。最初に観た『たそがれ清兵衛』のときにはモノホンの侍が出た!ってびっくりしたもんです。あんとき50代だったんだ! ものすごく威圧感のある老け方ですよ。
 私としましては、翁のコミカルな面から近藤正臣さんを選んだのでしたが、確かにバトルアクションという面から選ぶんだったら、そりゃ~もうオールドたなさたん以外にありえませんよねぇ。

 ここから妄想をふくらませてみるのならば、柏崎念至が田中泯で映像化される以上、これは同時上映で小畑健の『サイボーグじいちゃんG』も田中みんみん主演でやってほしいところです。ワーナーだったらできるんじゃないの?

 とまぁ、「それほど観たくはない」とは言いつつも、なんだかんだくっちゃべったら、案外いろいろと楽しみにはなる来年の夏ですな。
 う~ん、とにかく志々雄=竜也という安全パイに納得のいかない感覚に変わりはないのですが、みなさんがんばってくださいませ~!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銀魂グラフィティ、一杯の酒  映画『銀魂・完結篇 万事屋よ永遠なれ』

2013年07月20日 16時13分39秒 | 花咲ける「るろうに銀魂」ロード
 へへへ~い。どうもこんばんは、そうだいでございまする。みなさま、今日も一日お疲れさまでございました!
 なんかねぇ、もう夏ですよ~。夏休みも始まっちゃいますよ~。わたくしめ自身は夏休みそっちのけですけどね~。嗚呼、試験勉強をする必要のない夏よ、いずこ……

 とは言いつつも、本日はお仕事が昼過ぎに早めに終わったのをいいことに、久しぶりに映画館に行ってきました。天気のいい日中のお外に放り出されちゃうと、ついついまっすぐ家に帰るわけにはいかなくなっちまうのよね。たまには息抜きだい!

 ちょうど今日7月20日は夏休み初日という少年少女が多かったらしく、しかもなにかしらの新作映画が公開初日を迎える土曜日だったということもあって、私が行ったシネコンもいつも以上の混雑ぶりを見せていました。
 いや、それにしても、なんだこのコミコミ具合は……チケット売り場も物販売り場も長蛇の列! 館内がもう、中高生から大学生くらいの若いグループ客でいっぱいですよ? これはいったい、どんな作品の初日にぶち当たっちまったんだろうか。

 あぁ~……『風立ちぬ』の初日だったのか。大いに納得。ジブリの御旗はまったくもって健在ですなぁ。

 さてさて、私自身が『風立ちぬ』をスクリーンで観るのかどうかはわからないのですが、たぶん8月上旬の試験が終わった後でもまだまだ上映はしているでしょうし、わざわざ満員御礼になっている今日にムリして観ることはないでしょう。のんびりかまえたいと思います。

 それじゃあ何を観たのかといいますと、やっぱり我が『長岡京エイリアン』としてはなんだかんだいっても見逃せない、この作品。


アニメ映画『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』(2013年7月公開 ワーナー・ブラザース映画 110分)

 『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』は、マンガ雑誌『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載中の空知英秋による SF人情なんちゃって時代劇コメディマンガ『銀魂』を原作としたアニメーション映画。2013年7月6日より全国映画館にて公開。「週刊少年ジャンプ創刊45周年」記念作品。
 テレビ東京系列ほかにて3期に渡って(2006年4月~10年3月、11年4月~12年3月、12年10月~13年3月)放送された TVアニメ『銀魂』の映画版第2作にして、アニメシリーズの完結編と位置づけられている。本作は原作者の空知英秋自らが、ストーリーとキャラクター原案を手がけた完全オリジナルエピソードとなっており、主人公である坂田銀時の過去にまつわるストーリーが描かれる。主題歌は、 TVアニメ版でも2回主題歌を手がけたロックバンド・ SPYAIR(スパイエアー)。
 劇場入場者限定特典として『コミックス第ゼロ巻風メモ帳』がプレゼントされる。
 全国127スクリーンで2013年7月6~7日の公開初日2日間で動員22万人、興行収入2億8千万円を記録し、映画観客動員ランキングで初登場第4位となった。

ストーリー
 「ある力」によって、唐突に自分の存在していない5年後の未来に投げ出された銀時は、崩壊した江戸の街を目の当たりにする。 荒れ果てた地球に残されたのは、貧しい者と、これを機に政府を潰そうとする攘夷志士たち、秩序の崩壊を利用するゴロツキども、そして、逃走するのが性に合わない頑固者だけ。 さまよう銀時は、ふたりの若者に出会う。 腰に差す「洞爺湖」の木刀で颯爽とゴロツキを蹴散らすメガネの青年と、巨大な犬型エイリアン「定春」を引き連れ、銀時の着流しの模様をあしらったチャイナ服を身をまとう美女。 それは成長した志村新八と神楽の姿だった。 やがて銀時は、変わり果てた未来の姿と、数多くの衝撃の事実を知ることとなる。

おもなスタッフ
監督 …… 藤田 陽一(35歳)
原作&ストーリー・キャラクター原案 …… 空知 英秋(34歳)
脚本 …… 大和屋 暁(40歳)
キャラクターデザイン・総作画監督 …… 竹内 進二(?歳)
監修・録音演出 …… 高松 信司(51歳)
アニメーション制作 …… サンライズ
配給 …… ワーナー・ブラザース映画

主題歌
SPYAIR 『現状ディストラクション』
Tommy heavenly6 『 Pray』( TVアニメ版第1期初代オープニングテーマ)

おもな登場キャラクター
坂田 銀時        …… 杉田 智和(32歳)
志村 新八        …… 阪口 大助(39歳)
神楽           …… 釘宮 理恵(34歳)
近藤 勲         …… 千葉 進歩(42歳)
土方 十四郎       …… 中井 和哉(45歳)
沖田 総悟        …… 鈴村 健一(38歳)
山崎 退         …… 太田 哲治(33歳)
桂 小太郎        …… 石田 彰(45歳)
未来のエリザベス     …… 神谷 明(66歳)
寺田 お登勢       …… くじら(52歳)
平賀 源外        …… 島田 敏(58歳)
からくりロボットたま   …… 南 央美(45歳)
長谷川 泰三       …… 立木 文彦(52歳)
志村 妙         …… 雪野 五月(43歳)
柳生 九兵衛       …… 折笠 富美子(38歳)
百華の月詠        …… 甲斐田 裕子(33歳)
猿飛 あやめ       …… 小林 ゆう(31歳)
キャサリン        …… 杉本 ゆう(38歳)
高杉 晋助        …… 子安 武人(46歳)
坂本 辰馬        …… 三木 眞一郎(45歳)
時間泥棒         …… 山寺 宏一(52歳)
傭兵部隊長・魘魅(えんみ)…… 磯部 勉(62歳)


 これですよねぇ。
 現時点では完全に停止状態になっているとは言え、腐りきっても「花咲けるるろうに銀魂ロード」という企画をぶちあげている『長岡京エイリアン』であります。この「原作者自身による完全オリジナル完結篇」という看板を背負っている劇場版第2弾、見逃す手はあり得ません。

 とかいってもよう、実は最近のわたくしめはと言いますと、仕事だ勉強だと逃げ回って『銀魂』の原作をチェックする機会ものがしまくってしまい、だいたい第45巻くらいから先はまるで読めていないというていたらくでありまして……もうコミックス、その後5冊くらい出ちゃってるよ! いつかいっき読みして追いつかなきゃとは思っているんですが、なんか『銀魂』って、さらっと読めない密度があるのよねぇ。まったくもっていいことだとは思いますけど。

 思えば、アニメの第2・3シリーズもろくに観られなかったしなぁ……そう考えると、アニメ『銀魂』を楽しむのもそうとう久しぶりということになります。期待はいやがおうにも高まりますねぇ。
 本作はすでに公開3週目に入っているのですが、『風立ちぬ』『モンスターズ・ユニバーシティ』『ポケモン』といった夏休みならではのお化け興行に喰らいつく勢いを維持し続けているようで、実際に私が観た回も、会場は2~300席クラスのスクリーンが8割は埋まっているという盛況ぶりでした。もちろん、客層はかなり若い中高生が中心! わこうどですね~。さすがは「週刊少年ジャンプ創刊45周年」記念作品。
 ついでに言いますと、本日は私が観た前の上映回で、藤田陽一監督とレギュラー声優陣が登壇する舞台挨拶もあったようです。夏休みらしくていいですねぇ!


 さて、肝心の内容のほうに入りますが、この作品は宣伝等でも大いにプッシュされているように、「原作者みずからが中心となって推し進められた完全オリジナル劇場版」といううたい文句に恥じない、原作マンガと同じかそれ以上に密度の濃いセリフ量とストーリー展開で、まさしくその魅力が「しっぽの先までつまった」超豪華作品となっていました。

 そう言われてみれば、原作マンガにして2004年以来、アニメ作品にして2006年以来という、人気少年マンガの世界ではそうそうざらにはない「長寿タイトル」となっているこの『銀魂』でも、実は今回の『完結篇』のように本格的に「タイムトラベル」をテーマに取り入れたエピソードはなかったんですよね。そういう意味でも、ついに作者自身が「秘蔵の虎の子」を繰り出してしまったか……という満を持した感があります。

 ストーリーライン自体はだいたい上にあげたとおりで、それ以上のことはとにかく実際に観てみなければわからない……というか、文章にしたところで意味がないハイテンションなギャグに満ちています。そのギャグにまみれながらも、一瞬の間隙をついて観客の心にグサリと突き刺さってくるセリフがたまに繰り出されるのが実に『銀魂』らしいですね。

 作品の外枠としては、「主人公が見知らぬ未来世界に放り出される」という意味で原作コミックの第324~26訓で展開された「休載後の未来篇」(2010年11月 すでにアニメ化済み)が非常に今回の劇場版に通じるものを持っていると思うのですが、徹底的にギャグ化されていた休載篇とは真逆のベクトルでハード路線を突き詰めたのが劇場版といった感じで、まったく違うオリジナルな物語になっていたと思います。また、銀さんが完全な逆境に追い込まれるという点では、言うまでもなく第372~80訓の「金魂篇」(2011年11~12月 こちらもアニメ化済み)がよく似ていますよね。ちなみに、おのおののエピソードの主人公にとって、「休載篇」は2年後の世界、「金魂篇」は2ヵ月後の世界が激変したという始まり方になっています。そこから比較しても、今回の完結篇の5年後という設定は最大級の冒険になっているわけです。そしてさらに、物語が進行していくにつれて明らかになるのは、未来ではなく過去、本編世界のおよそ10年前にあたる「攘夷戦争」での出来事……まさしく、これまであまり真剣に語られることのなかった『銀魂』ワールドの「始まりの特異点」にせまる大盤振る舞いな展開ですね。










《途中だァアアアア》
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする