長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

超ニッチ企画!! 『刑事コロンボ』幻の未映像化事件簿をよむ ~だいぶ遅れた読書感想文その2~

2024年09月22日 22時45分35秒 | ミステリーまわり
『刑事コロンボ』オリジナル小説作品の事件簿!! 各事件をくわしく解析
 ※TVドラマシリーズ『刑事コロンボ』の概要は、こちら
 ※未映像化事件簿の「 File.1、2」は、こちら!

3、『クエンティン・リーの遺言』( Shooting Script)ジョゼフ=P=ギリスとブライアン=デ・パルマの共作 訳・大倉崇裕 2004年12月~06年12月
 ≪犯人の職業≫    …… 犯罪心理研究家(映像マニア)
 ≪被害者の職業≫   …… TV番組司会者、一人芝居俳優
 ≪犯行トリックの種類≫…… 動機なき無作為殺人
・アメリカ本国で1973年7月(第2シーズンの放送終了後)に、第3シーズン用として執筆された没シナリオの小説化作品。日本における『刑事コロンボ』シリーズ研究の第一人者である町田暁雄が編集した同人誌『 COLUMBO!COLUMBO!』の Vol.1~3にて連載された。
・シナリオ版では、コロンボをサポートするオリジナルキャラクターとして、メカ小僧のスピルバーグ君ら3人の大学生が登場するが、小説化に当たって日本人映画監督キタカワイッペイに差し替えられている。
・映像版に登場したキャラクターとしては、コロンボの部下のジョージ=クレイマー刑事とシオドア=アルビンスキー刑事(通称マック)、「バーニーの店」のバートが登場する。

あらすじ
 犯罪心理の研究家であり、常にビデオカメラを手放さない映像マニアのクエンティン=リーは、自身の完全犯罪の一部始終を録画して、自分の死後にドキュメンタリー作品として発表しようと計画した。そのために、自分の住むマンションに数多く暮らす「無益な有名人」のリストを壁に貼り、ダーツで決めた被害者をビデオカメラで撮影しながら殺害する! 事件解決に協力する映画監督くずれの日本人青年とともに、コロンボはこのあまりにも異常な犯罪を打ち砕くことができるのか!?


4、『13秒の罠』( The Dean's Death)アルフレッド=ローレンス 訳・三谷茉沙夫 1988年4月25日刊
 ≪犯人の職業≫    …… 大学の総長(シャーロッキアン)
 ≪被害者の職業≫   …… 大学の学部長(大学演劇部の顧問)
 ≪犯行トリックの種類≫…… テープレコーダーを使ったアリバイ工作
・アメリカ本国で1975年(第4・5シーズンの放送時期)に出版されたオリジナル小説の翻訳。
・のちの映像版第56話『殺人講義』(1990年12月放送 第10シーズン)と同様の展開がある。
・映像版第11話『悪の温室』(1972年10月放送 第2シーズン)と第36話『魔術師の幻想』(1976年2月放送 第5シーズン)に登場したコロンボ警部の部下フレデリック=ウィルソン刑事が三たび登場する。ただし、名前が「ジョン=J=ウィルソン」となっている。
・映像版に登場したキャラクターとしては、ウィルソン刑事の他にコロンボの飼い犬ワン公、獣医のベンソン院長が登場する。特にワン公は、事件解決に重要な役割を担っている。
・コロンボの行きつけのチリ料理の美味しい店も登場するが、店主の名前は映像版のバートではなく「バーニー」となっている(映像版では第2・5話に登場)。
・本作が翻訳出版された時期は、日本で『刑事コロンボ』シリーズと『新・刑事コロンボ』シリーズとの放送の中間期で、新作の放送は途絶えていた。

あらすじ
 ロサンゼルス近郊にあるメリディス大学から、犯罪捜査に関する講演を依頼されたコロンボ警部は、大学の演劇部をめぐる奇怪な殺人事件に巻き込まれる。舞台公演に使う棺に隠されていた大学学部長の変死体。その惨殺劇を演出する策謀のシナリオの謎。捜査線上に浮かびあがった、緑色の服を着た男の正体とは?


5、『サーカス殺人事件』( Roar of the Crowd)ハワード=バーク 訳・小鷹信光 2003年4月25日刊
 ≪犯人の職業≫    …… サーカスの綱渡り師
 ≪被害者の職業≫   …… サーカスの団長
 ≪犯行トリックの種類≫…… 電波通信による遠隔殺人
・1975年12月(第5シーズンの放送時期)に執筆された没シナリオの小説化作品。ただし、作中で「1967年」のサーカス団結成を「30年以上前のこと」と示唆しているセリフがあるため、物語の時代設定は日本語版刊行時の2000年代初頭に改変されていると思われる。
・映像版第11話『悪の温室』(1972年10月放送 第2シーズン)と第36話『魔術師の幻想』(1976年2月放送 第5シーズン)に登場したコロンボ警部の部下フレデリック=ウィルソン刑事が、『13秒の罠』に続いて登場する。ただし、名前が「ケイシー=ウィルソン」となっている。
・映像版に登場したキャラクターとしては、ウィルソン刑事の他にコロンボの飼い犬「ドッグ」が登場する。
・本作の冒頭で、コロンボは甥のマイク(10歳)とトム(8歳)を連れてガーニイ・サーカスの興行を観に行く。ただし、映像版のルールにのっとってマイクとトムは登場しない。
・本作が翻訳出版された時期は、映像化新作の放送は無かった(翌2004年に最終第69話が WOWWOWにて吹き替え放送された)。
・本作は、二見書房文庫から出版されたノヴェライズ版『刑事コロンボ』シリーズで最後に出版された作品となる。

あらすじ
 非番の日に、甥たちと連れ立ってサーカス見物に行ったコロンボ警部。その上演中、サーカスの団長がキャンピングカーの中で変死を遂げた。一座のスターである綱渡り師が密かに仕掛けた空中の殺人トリックとは? 猛獣使いとピエロの証言をもとに、コロンボは密室の謎に挑む。


6、『血文字の罠』( The Helter Skelter Murders)ウイリアム=ハリントン 訳・谷崎晃一 1999年12月25日刊
 ≪犯人の職業≫    …… デパート社長、ハリウッドの新人女優
 ≪被害者の職業≫   …… デパート社長夫人、ディスカウントストア副社長、麻薬の密売人
 ≪犯行トリックの種類≫…… ホテルの食事を利用したアリバイ工作、ダイイングメッセージの改竄
・アメリカ本国で1994年(この年は2作の単発新作が放送されていた)に出版されたオリジナル小説の翻訳。
・ロサンゼルスで1969年8月に発生した実在の事件「シャロン=テート殺害事件」に基づく展開があり、シャロンの当時の夫だった映画監督のロマン=ポランスキーの名前も別の経緯で作中に登場する。
・日本語訳版ではカットされているが、アメリカ原書版ではコロンボが1969年のシャロン=テート殺害事件の捜査に参加したり、1994年に服役中のチャールズ=マンソン(2017年に獄中死)と面会したりする場面がある。
・本作オリジナルのキャラクターとして、テキサス州のダラス市警からロサンゼルス市警殺人課に転属してきたチコ=ハモンド巡査が登場する。
・映像版に登場したキャラクターとしては、コロンボの飼い犬「ドッグ」、獣医のベンソン院長、「バーニーの店」のバーニー(バートではない)が登場する。
・本作に登場するコウリーズ・デパートは、1925年創業で創立70周年を目前に控えた老舗高級デパートである。ちなみに、『人形の密室』の舞台となったダウンタウンのブロートン・デパートは、1972年に発生した事件の時点で「築50年」と描写されているので、コウリーズとほぼ同年代に創業したデパートであると思われるが、本作ではブロートンへの言及はない。デパートの種類としては、ビバリーヒルズにあるコウリーズが高級百貨店でダウンタウンにあるブロートンが庶民的という印象がある(『人形の密室』ではコロンボが幼い頃にブロートンに行った思い出を語っている)。
・本作が翻訳出版された時期は、日本テレビ『金曜ロードショー』枠内で『新・刑事コロンボ』シリーズが年に1、2作のペースで放送されていた時期だった( WOWWOWによる放送も始まっていた)。

あらすじ
 ロサンゼルスのビバリーヒルズにある六階建ての老舗高級デパート「コウリーズ」の社長夫人が、自邸の化粧室で変死を遂げた。さらには邸内に停まっていた車にも射殺死体が……荒らされた室内や盗まれていた貴金属から押し込み強盗の犯行と断定されたが、コロンボ警部は犯人の侵入経路を不審に思う。映画界にも進出するデパート社長と新人女優の野望が、忌まわしい連続殺人劇を繰り広げる。犯行現場に書きのこされた血文字は、いったい何を意味するのか?


7、『歌う死体』( The Last of the Redcoats) 北沢遙子 1995年4月25日刊
 ≪犯人の職業≫    …… 女性ニュースキャスター
 ≪被害者の職業≫   …… 引退したロックスター
 ≪犯行トリックの種類≫…… テープレコーダーを使ったアリバイ工作
・没シナリオ・シノプシスの小説化作品。
・本作の原形が執筆された時期は不明だが、本作の時代設定は日本で翻訳出版された当時の「1995年」となっている。その他に作中の年代を象徴する描写として、風変わりな刑事を演じる俳優としてブルース=ウィリスの名前が出たり(映画『ダイ・ハード』は1988年の公開)、警察署との連絡手段として警官がポケットベルを使用しているくだりがある。
・内容に類似性はないが、映像版で重要な役として TV番組の司会者が登場する作品は第57話『犯罪警報』(1991年2月放送 第10シーズン)が、人気歌手が登場する作品は第24話『白鳥の歌』(1974年3月放送 第3シーズン)がある。
・本作オリジナルのキャラクターとして、ロサンゼルス市警殺人課に配属されて1~2年目のホワイト巡査が登場する。ちなみにコロンボと同じくホワイト刑事も死体や血を見るのが苦手。
・本作が翻訳出版された時期は、日本テレビ『金曜ロードショー』枠内で『新・刑事コロンボ』シリーズが年に4、5作のペースで放送されていた時期だった。

あらすじ
 伝説のロックスターが10年ぶりに復活する! その情報をつかんだ女性ニュースキャスターはさっそく特別番組の企画にとりかかり、テレビ局内は新曲発表のスクープに色めきたった。ところが、取材中の思わぬ誤算から殺人事件が発生! コロンボ警部はサンフランシスコに赴き、復活の歌に秘められた謎に挑む……


8、『硝子の塔』( The Secret Blueprint)スタンリー=アレン、訳・大妻裕一 2001年8月25日刊
 ≪犯人の職業≫    …… 建築会社設計企画部長
 ≪被害者の職業≫   …… 建築会社副支社長
 ≪犯行トリックの種類≫…… ビデオテープを使ったアリバイ工作
・アメリカ本国で1999年(当時は1~2年に1本のペースで新作が放送されていた)に出版されたオリジナル小説の翻訳。
・内容に類似性はないが、映像版で建築業界のプロが重要な役として登場する作品に第9話『パイル D-3の壁』(1972年2月放送 第1シーズン)がある。
・本作オリジナルのキャラクターとして、ロサンゼルス市警殺人課に配属されたばかりのトムザック巡査と、コロンボと旧知の中であるコンピュータ課のフラーティ警部が登場する。ちなみにトムザック刑事はコロンボと同じく死体や血を見るのが苦手。
・映像版に登場したキャラクターとしては、「バーニーの店」のバーニー(バートではない)、コロンボの飼い犬「ドッグ」が登場する。特にドッグは、コロンボに重要なヒントを与える役割を担っている。
・本作が翻訳出版された時期は、日本テレビ『金曜ロードショー』枠内で『新・刑事コロンボ』シリーズが年に1、2作のペースで放送されていた時期だった( WOWWOWによる放送も行われていた)。

あらすじ
 高層タワー専門の建築家が企てた、殺しの設計図。次期支社長の座をめぐって野望うず巻く建築会社に仕掛けられた巨大な密室の罠とは? 重役会議用のスピーチビデオに映っていた奇妙なものに目をとめたコロンボ警部は、犯人の完璧なアリバイを突き崩していく。美しい塔に秘められた謎とは?




≪完成マダヨ~。≫
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おとぉこぉと、おんんなぁの、あいぃだぁにはぁあ ~映画『悪魔のような女』~

2024年09月22日 09時58分19秒 | ミステリーまわり
映画『悪魔のような女』(1955年1月 114分 フランス)
 『悪魔のような女』(原題:Les Diaboliques)は、フランスのサイコスリラー映画。フランスの共作推理小説家ボワロー=ナルスジャックが1952年に発表した同名小説を原作とする。
 本作は、アメリカで1996年3月に主演シャロン=ストーン、イザベル=アジャーニでリメイク映画が制作された。
 また日本でも、設定を現代日本にアレンジしたリメイクドラマが2005年3月5日にテレビ朝日系列『土曜ワイド劇場』枠内にて放送された。監督・脚本は落合正幸、主演は浅野ゆう子、菅野美穂、仲村トオル。

あらすじ
 パリ郊外の私立小学校デュラサール学園を運営するミシェルは、病弱な妻クリスティーナがありながら部下の女教師ニコールと愛人関係にあった。粗暴なミシェルに我慢が出来なくなったニコールとクリスティーナは結託し、ミシェルを殺害して校内のプールに沈める計画を決行する。その後、やむをえずプールの水を抜いた時、沈めたはずのミシェルが消えていた。それから2人の周囲には、ミシェルがあたかも生きているかのような現象が次々と発生し、ついにはミシェルの不在に疑問をいだいた警察の捜査介入を招いてしまう。

おもなスタッフ
監督・製作 …… アンリジョルジュ=クルーゾー(47歳)
脚本 …… ジェローム=ジェロミニ(?歳)、アンリジョルジュ=クルーゾー
音楽 …… ジョルジュ=ヴァン・パリス(52歳)
撮影 …… アルマン=ティラール(55歳)
編集 …… マドレーヌ=ギユ(41歳)

おもなキャスティング
ニコール=オネール      …… シモーヌ=シニョレ(33歳)
クリスティーナ=デュラサール …… ヴェラ=クルーゾー(41歳)
ミシェル=デュラサール校長  …… ポール=ムーリス(42歳)
私立探偵のフィシェ      …… シャルル=ヴァネル(62歳)
ドラン先生          …… ピエール=ラルケ(70歳)
レイモン先生         …… ミシェル=セロー(27歳)
用務員のプランティヴォー   …… ジャン=ブロシャール(61歳)
エルボウ夫人         …… テレーズ=ドーニー(63歳)
エルボウ氏          …… ノエル=ロクヴェール(62歳)
ガソリンスタンドの給油係   …… ロベール=ダーバン(51歳)




≪ヒッチコックがマクドナルドのハッピーセットに見える、生々しくエグいサスペンススリラー!! 本文マダヨ≫
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超ニッチ企画!! 『刑事コロンボ』幻の未映像化事件簿をよむ ~だいぶ遅れた読書感想文その1~

2024年09月10日 20時52分02秒 | ミステリーまわり
『刑事コロンボ』オリジナル小説作品の事件簿!! 各事件をくわしく解析
 ※TVドラマシリーズ『刑事コロンボ』の概要は、こちら

 と、いうわけでありまして、『刑事コロンボ』のお話でございます。

 今まで我が『長岡京エイリアン』では、さんざんっぱらミステリー作品が大好きということを言ってきたのですが、たぶん『刑事コロンボ』について触れたことはあまりなかったのではないでしょうか。
 確かに、私は「『刑事コロンボ』全話観ました!」という程のファンでもありませんので完全なる門外漢なのですが、いちおう1980年代の日本に生まれた人間である以上、コロンボ警部といえばだいたいああいう感じの「能ある鷹は爪を隠す」系の名探偵キャラだな、ということは存じ上げておりました。ただ、私がもっぱらリアルタイムで視聴できたのは『金曜ロードショー』枠内での『新・刑事コロンボ』だったんですよね。もう、石田太郎さん以外に声をアテてた人なんていたの?みたいな感じで。

 思い起こせば、私がビデオで録画してコロンボ警部の事件簿を追っていたのは、第49話『迷子の兵隊』から第58話『影なき殺人者』までの2、3年ほどでした(日本での吹き替え放送は1993~95年)。

 当時はブラウン管の世界(死語)でも明智小五郎や金田一耕助がまだ定期的に活躍していた時代で、マンガの世界でも金田一少年やコナン君が名を挙げていた時期でした。アニメ化はもうちょっと後のはず。いちいち挙げませんが、ミステリー小説界もそりゃもう大にぎわいでしたよね~。
 そんなミステリージャンルの中でも、「のっけから犯人がわかっちゃってる」という倒叙ものミステリーの代名詞的存在だった『刑事コロンボ』は、ひときわ異彩を放つ存在だったわけです。
 ただ、たぶん『刑事コロンボ』が大好きな方が上の視聴歴をご覧になったら「あぁ……そうね。」とご納得なされるかも知れないのですが、私はもうとにかく第58話『影なき殺人者』のメイントリックが衝撃的すぎて、そのショックのあまり、以降の視聴をぱったりやめてしまったのでした。
 いや、ひどくないですか、あれ!? 金田一少年でも却下するでしょ、あんなの! 実現可能か不可能かとかいう以前に、地球最高の知能を持つと自認する霊長類として50年前後生きてきたプライドを持つはずの人間が、果たして自分の人生を賭けた一大トリックにあんな手段を選択するのかって話なんですよ。それを真剣に実行してる犯人の絵づらがバカすぎる! 私が法廷であの経緯を全世界に言いふらされたら、情けなさすぎてその場で憤死しちゃうよ!!

 まぁ、こんな衝撃体験もありましたし、ちょうどそのころ日本で同じ倒叙ものの『古畑任三郎』シリーズの放送も始まったので(1994年4月~)、『刑事コロンボ』とはかなり疎遠な時期が長らく続いていたのでした。

 そして時は流れて2020年代。NHK BSプレミアム(当時)で2021年から再放送していた『刑事コロンボ』を、小池朝雄さんの旧シリーズからやっと視聴することができたのですが、これがあーた、んまぁ~面白い面白い!! さすがに全話残さずチェックとまではいかなかったのですが、これが伝説の真価なのかと楽しませていただいておりました。当時は『シャーロック・ホームズの冒険』も『名探偵ポワロ』も楽しめたわけで、もう BSプレミアムはまさしくプレミアムなチャンネルとなっておりました。『ウルトラセブン』の4K 版もやってましたよね? もう最高。
 さらに、ちょうどそのころ私が書店をほっつき歩いていましたら、『別冊宝島 刑事コロンボ完全捜査記録』(編集・町田暁雄)というものすごいガイドブックを見つけてしまいまして、伝統シリーズの悠久の歴史と重層的な魅力、そして何よりも、このシリーズを愛する日本人ファンの熱量の高さに瞠目してしまったのでした。さすがは1960年代から続いた長期シリーズ、ファンも全話を調査し尽くす執念と、ダメエピソードも差別せず愛する度量の広さのレベルが違うゼ!!

 まぁとにもかくにも、2020年代になってやっと『刑事コロンボ』シリーズの醍醐味を知るという、あまりにも遅すぎる出逢いではあったのですが、このシリーズの素晴らしさ、世界ミステリー史上に残る偉大なる足跡を、少しでもこの『長岡京エイリアン』で紹介させていただきたいと思いはしたのですが、1時間以上あるエピソードが70本近くありますし、だいたい、映像化された各エピソードの魅力を語っているブログ記事や解説動画なんてすでに山ほどありますので、今さら最近ポッと出で好きになった私がどうこう口をはさめる状況でもないのよね……
 ちなみに、映像化されたコロンボ警部の事件簿で私が好きなエピソード1位は、第8話『死の方程式』(第1シーズン)です。2位は第15話『溶ける糸』(第2シーズン)で、3位は第51話『だまされたコロンボ』(第9シーズン)でしょうか。ロディ=マクドウォールいいよな~。

 ですので我が『長岡京エイリアン』では、この広大なるネット宇宙の隅っこに這いつくばるゼニゴケのような超零細ブログのこの身にふさわしく、長い『刑事コロンボ』の歴史の中で「映像化されなかった」事件簿だけをさらってみようという、一体どこの誰が喜ぶのか見当もつかないひねくれ企画にいたしました。う~ん、これぞ個人ブログ!!

 そこで注目したのが、日本では主に二見書房文庫から1980~2000年代に発刊されていたノヴェライズ版『刑事コロンボ』シリーズのうち映像化されなかったエピソード、すなはちアメリカ本国で発刊された「オリジナル小説」の翻訳か、もしくは TVシリーズで映像化するために作成されたものの、諸事情により没になってしまった「シナリオ or シノプシス(シナリオ化の前段階であらすじと要点をまとめたもの)」を日本で小説化した作品、このいずれかとなります。

 なつかしいな~、二見書房文庫版! 私ももちろん、1990年代に買って読んでました。
 読んだ中には、買った当初は「未映像化事件!」というふれこみだったのに、発刊された後になって第54話『華麗なる罠』として映像化された『カリブ海殺人事件』なんていう作品もありました。第8シーズン以降の『新・刑事コロンボ』時代のシナリオ不足問題は深刻だったようですからね……

 今回、私が読むことができた未映像化小説は全部で「8エピソード」あったのですが、これはあくまでも日本で小説の形になった作品の数でありまして、これ以外にも邦訳されていないオリジナル小説(例:『 COLUMBO and the SAMURAI SWORD』)や、小説の形になっていない没シナリオ or シノプシス(例:『 Murder in B Flat』や『 Hear No Evil』)はもっと存在しているのですが、今回は割愛させていただきます。『コロンボ警部とサムライ・ソード』て……真田広之さんがブチ切れそうなかほりが……
 あと、これらの他に『刑事コロンボ』シリーズの原作者の一人であるウィリアム=リンクが著した短編集『刑事コロンボ13の事件簿 黒衣のリハーサル』(2012年 論創社)などもあるのですが、今回はあくまでも映像化された正統エピソード群と同等のボリュームを持った長編作品のみを扱わせていただきます。あと、これは完全な私見なのですが、やっぱり映像化にあたってコロンボ警部の血肉そのものとなっていた名優ピーター=フォークの没年2011年をもって、コロンボ警部の事件簿にも区切りをつけるべきな気もするんですよね。そうじゃないと、ルパン三世みたいにきりがなくなっちゃうでしょ……私に言わせれば、1995年3月19日以降に世間を騒がせているルパン三世は、全員一人残らず偽物ですよ、あんなもん。

 ごたくはここまでにしておきまして、早速、この精鋭たる「未映像化8つの事件簿」の各話を読んだ感想をつらつら述べてまいりたいと思います。
 ちなみに8エピソードの順番につきましては、「原型となったシノプシス or シナリオ or 小説が古い順」となっております。ですので、最終的に日本で小説化した段階で、もっと新しい時代設定に改変されているエピソードもあるのですが、あくまで原型が生まれた早さを優先しておりますので、ご了承くださいませませ!


1、『殺人依頼』( Match Play for Murder) 小鷹信光 1999年6月2日刊
 ≪犯人の職業≫    …… 不動産会社の社長(ゴルフの元アマ・チャンピオン)、金融会社社員
 ≪被害者の職業≫   …… 金融会社社員夫人
 ≪犯行トリックの種類≫…… 動機を隠蔽し完璧なアリバイを作るための交換殺人
・没シノプシスの『 Trade for Murder』を元にした小鷹信光によるオリジナル小説。
・「刑事コロンボ生誕30周年記念長編オリジナル作」として、二見書房から単行本の体裁で刊行された。
・原典シノプシスの作成時期は不明だが、別小説作品『サーカス殺人事件』(作者は同じく小鷹信光)にて、コロンボが部下のウィルソン刑事に対して「おまえさんが配属されてきた前の年にゴルフがらみのちょいとした事件があって、あたしゃ、ベルエア・カントリークラブまでなんども足を運んだよ。」と語っている。この事件が本作のことを指しているとするのならば、ウィルソン刑事が殺人課に配属されたのは映像版第11話『悪の温室』(1972年10月放送 第2シーズン)のことなので、本作は1971年に発生した事件ということになる。ただし、映像版に登場したウィルソン刑事の名前は「フレデリック」で、『サーカス殺人事件』に登場したウィルソン刑事の名前は「ケイシー」である。
・作中で、登場人物がレクサスの自家用車を運転している描写がある。レクサスの販売開始は1989年であるため、本作は1971年を舞台としていない作品であると解釈できる。また、登場人物が携帯電話を使用している描写もある。
・さらに本作には、映像版で第28話『祝砲の挽歌』(1974年10月放送)から数エピソードにわたり登場したコロンボの部下のクレイマー刑事が登場する(ただし名前が「ジョージ」でなく「ジョン」)のだが、本作の時点でロサンゼルス市警殺人課からシカゴ市警に転勤した上でロサンゼルス市警鑑識課に転属している。このことからも、本作が1971年を舞台にしていないことは明らかである。
・映像版に登場したキャラクターとしてはクレイマー刑事の他に、ジョージ=フォーサイス検死官、「バーニーの店」のバーニー(バートではない)、コロンボの飼い犬「ドッグ」が登場する。
・本作オリジナルのコロンボの部下として、太鼓腹で大柄なルイス部長刑事が登場する。ちなみにルイス刑事は、本作のクライマックスでも重要な役割を担う「ある特技」を持っている。
・内容に類似性はないが、プロゴルファーが重要な役として登場する TVドラマ第6シーズン用の没シナリオ『 Murder in B Flat』(1976年10月執筆 作ロバート=F=メッツラー)がある。

あらすじ
 ゴルフの元チャンピオンが仕掛けた殺人トリック! 王者の誇りを賭けた死のマッチプレイ……
 絞殺された人妻の喉元にくっきりとついた5本の指の跡。犯人とおぼしき夫を追うコロンボ警部を惑わす、完璧なアリバイと動機なき殺人。「魔法のクラブ」はどこへ消えたのか? ゴルフ狂の大物フィクサーとの禁じられた賭けに端を発した殺人契約。全ては、あの「忌まわしきショット」から始まった……


 1本目から時系列がごちゃごちゃになってしまい申し訳ないのですが、別作品で「1971年の事件」と語られておきながら、どこからどう見ても1990年代後半の時代設定になっている作品です。まぁ、『サーカス殺人事件』でコロンボ警部がふれた「ゴルフ関係の事件」が本作だとは限らないとも解釈できるのですが。
 ここまで語ってきた経緯からもわかるように、日本における「海外映像作品のノヴェライズ」文化の先駆けとなったと申しても過言ではない二見書房の『刑事コロンボ』シリーズにおいて、訳者という立場は単なる翻訳者に留まらず、かなりのパーセンテージで作品を「超訳」している自由度の高いポジションであるようで、特に本作の訳者である小鷹信光さんは、かの松田優作の『探偵物語』の原案者&ノヴェライズ作家であることからもわかるように、作家性の高い方だったと思われます。でも、『探偵物語』の魅力って、ぶっちゃけ話の本筋から俳優陣がどれだけ脱線するのかってところにあるような気もするので、原作って言われましても……実際に小鷹さんの小説版『探偵物語』シリーズを幻冬舎文庫で読んだ時も、「これが工藤ちゃん……?」感が否めませんでした。
 なので、本作の時代設定と、後年に発刊された『サーカス殺人事件』での言及が矛盾しているのも、小鷹さんなりのファンサービスなんだろうなとは思うのですが、正直、言い出しっぺは小鷹さんなんだから、そのくらいはちゃんと筋を通してくれよという気はします。

 話を作品の内容に戻しますが、さすがは「刑事コロンボ生誕30周年記念作品」といいますか、テーマが「交換殺人」ということで犯人も被害者も2人ずついることになりますので、通常のエピソードの2倍の複雑な人間関係でお話が進んでいくぶん、けっこう読み応えのある作品となっております。小鷹さんが本作執筆のためにロサンゼルスで現地取材をしたと語るあとがきからもわかるように、ロス市内の様々な名所を行ったり来たりする展開も、情景の書き分けがはっきりしていて非常にわかりやすいです。

 ただ、この事件における「交換殺人」は、一人の犯人がもう一人をかなりの強引さ(酔った勢い!)で犯罪計画に引き込んで決行しているため、やる気も真剣度もかなり低いパートナーをフォローするために生じる手間やポカがぼろぼろ出てきてしまい、とてもじゃないですがあのコロンボ警部の追撃を逃れる余裕などできるわけもない自己崩壊を招いてしまうのでした。なんか、勝手に自滅してますけど……
 だって、交換殺人って、互いに殺したい相手が死ぬ時間にアリバイを作ることができることと、殺された人間と殺した人間との間に接点がないというところが、捜査をかく乱するという視点からすると大きな利点なんじゃないですか。
 でも本作の場合、主人公的な役割の犯人のほうが頑張って事前準備&事後処理し過ぎちゃうので、発生する2件のどっちの背景にもちらほら見え隠れしちゃうのよね! 意味ないじゃ~ん!! じゃあ勝手にあんた一人でやってくれよぉ!!
 せっかくの交換殺人ネタが……これじゃあ、どだいコロンボ警部の相手になれるわけがありませんよね。まず、泥酔してる人間を犯罪計画に引っ張り込むっていう初動からして、世の中をナメてますよね。うまくいくわけねぇだろ……

 あと、小説としての本作のウィークポイントとして言えるのは、主人公の犯人と、犯人が命を狙っている被害者の、どっちもが同情しづらいクズ人間であるというところでしょうか。殺されようが逮捕されようが、どっちがどうなっても爽快感がないんだよなぁ!
 相手の弱みを見つけてほじくり返し恐喝の道具にするという被害者の最低さは、あの『金田一少年の事件簿』の被害者たちの「殺されても当然」パターンに通じるものがあるのですが、本作の場合は犯人のほうも割とホイホイ不倫する上にその不倫相手を自分の都合で躊躇なくぶっ殺すし、さらにそれを利用して不倫相手の夫に「不倫したお前の嫁さんを殺してやったんだから、お前も誰か殺せよな!」と詰め寄るという、閻魔大王も思わず世をはかなむ自己中クズっぷりなので、もうホント、「勝手にしやがれ」って感じです。主人公の犯人にいいように操られた挙句に結局死んじゃったもう一人の犯人が哀れすぎる……

 さらに言うと、犯人を恐喝していた被害者の末路に関しても、詳しくは言えないのですがモヤっとした感じの終わり方なので、あくまでも遵法者であるコロンボ警部では裁けない「悪」もあるという部分が露呈してしまい、本来、名探偵というヒーローであるはずのコロンボ警部の魅力もかなり減じてしまう、ほろ苦い読後感になってしまいます。
 ただ、この爽快感の無さというか、ビターな味わいが図らずも『刑事コロンボ』のオリジンであるレヴィンソン&リンクの小説『愛しい死体』が「犯罪小説」だったという事実を呼び覚ますものがありますし、小鷹さんがハードボイルド作家だったという、その属性をありありと見せるものになっている気がします。

 結論から言いますと、読みごたえはあるんだけど『刑事コロンボ』である必要はないかなって感じ?

 なんかこの感じ、特撮ファンの私としては映画『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)を彷彿とさせるものがあるんだよなぁ……あれも「ゴジラ生誕50周年」の記念作品だったんですよ。なのに、あれほどゴジラっぽくない映画もないんですよね。監督の北村龍平の濃度99%、ゴジラ1% の映画でしたよね。
 ……ん? キタムラリュウヘイ……?


2、『人形の密室』( A Christmas Killing)アルフレッド=ローレンス 訳・小鷹信光 2001年3月25日刊
 ≪犯人の職業≫    …… 服飾デザイナー
 ≪被害者の職業≫   …… 同僚(服飾デザイナー)
 ≪犯行トリックの種類≫…… 密室殺人工作
・アメリカ本国で1972年(第1・2シーズンの放送時期)に出版されたオリジナル小説の翻訳。
・1975年12月に二見書房新書サラブレッド・ブックスで翻訳出版された『死のクリスマス』( Crime in Christmas)の改題・改訳版で、内容も初訳版の1.5倍に拡大されている。
・本作が初訳された時期は、日本では NHK総合で第3・4シーズンが吹き替え放送されており、改訳された時期は WOWWOWで新作が吹き替え放送されていた。
・本作の殺人事件の捜査主任として、本作オリジナルのキャラクター・ロサンゼルス市警殺人課のベンジャミン=ワトキンス巡査部長が登場する。ワトキンス刑事は「警察学校を卒業して2年経っていない」という設定なので23~4歳の若手刑事なのだが、事件発生時にコロンボがカリフォルニア州南部のサンタカタリナ島に夜釣りに出かけていたため主任となった。
・映像版に登場したキャラクターとしては、ジョージ=フォーサイス検死官が登場する。しかし彼が映像版に登場するのは第54話『華麗なる罠』(1990年4月放送)からなので(名前は最初の2話分では「ジョンソン」だったが3回目の登場から「ジョージ」に)、1972年に出版された本作への登場の方が早い。

あらすじ
 ロサンゼルスのダウンタウンにある七階建ての老舗デパート「ブロートン」で、クリスマスシーズンを控えた閉店後の夜に若い女性デザイナーが殺害された。被害者は頭部を凶器で殴打されマネキン人形の間に倒れていた。捜査に当たったコロンボ警部の部下ワトキンス刑事は、犯人にとって逃げ道の無い状況から密室殺人の可能性を推測するが、コロンボは遺体の握っていた奇妙な遺留品に目をとめた。クリスマスのショーウィンドウを飾る人形の謎を追って、コロンボは被害者の住んでいた雪のシカゴに急行する。


 没シノプシスの小説化作品だった『殺人依頼』と違って、こちらはオリジナル小説の邦訳作品となっております。
 訳者は『殺人依頼』と同じ小鷹さんなのですが、本作は小鷹さんによって2回翻訳されているようです。でも、いくら翻訳の習熟度が違っているといっても、同じ原作を翻訳しておいて文量に1.5倍の違いがでるなんてこと、あんのかね……私が読んだ2001年改訳版(二見文庫版)に出てくるフォーサイス検死官も、1990年の映像版初登場よりも後に改訳したバージョンから小鷹さんが登場させた独自サービスのような気がします。そりゃ、映像版シリーズを知っている読者にしたらうれしい登板なのかもしれませんが、それは果たして「翻訳」なのか……?

 犯罪自体よりも犯人の心理描写や行動に物語の重点が置かれていた『殺人依頼』と違って、本作は純粋にコロンボ警部の地道な捜査によるトリック解明に焦点を当てた、よりミステリー寄りのエピソードとなっています。確かにこちらの方が『刑事コロンボ』シリーズっぽいですね。
 ただ、タイトルにでかでかと「密室」とぶち上げている割には、事件発生時からコロンボ警部が密室殺人の可能性を「信じない」ところから捜査を始めていますし、密室でないとするのならば、密室のように仕立て上げる工作ができるのは誰?というポイントから考えてみると、ほぼ選択の余地なしで疑惑の焦点が本作の犯人だけに絞られてしまうので、『殺人依頼』の交換殺人と同様に、本作の密室殺人もまた、そのテーマをちゃんと実現しているとはとてもじゃないけど言い難いアラ目立ちまくりの事件となっております。ま、そこらへんが実にリアルといえばリアルなのですが……
 だいたい、被害者が殺された部屋とか階じゃなくて、七階建てのデパートビル全体をひっくるめて「密室」とするという方便も、かなり無理がありますよね。ろくに防犯カメラもないし、監視してる人間も一階の固定された場所に詰めてる守衛さん一人なんだもんなぁ。

 そして、密室と並んでタイトルで強調されている「人形」に関しても、物語のキーワードとしては犯人の生い立ちを語る上でかなり重要な要素となっていて味わい深いものではあるのですが、そりゃ、そんな大事なものを犯行現場で見失ったままトンズラしちゃったら、コロンボ警部が見逃さないわけがないんだよなぁといった感じで、事件解決の難易度を劇的に下げている手がかりとしてしか機能していないのが残念でなりません。

 結局、本作の犯人も、コロンボ警部の同情を買いこそすれ、決してコロンボ警部を苦しめるような難事件を出来せしめる印象的な犯罪者にはなり得ていないのでした。所詮はゆるゲーであったか……
 ただ、本作の犯人は最終的な証拠となり得る「凶器」を隠滅することには成功していたので、状況証拠は山ほどあっても、なんとしても「私はやってない!」といい抜ければ逃げ道はあった気はするのですが、そこは百戦錬磨なコロンボ警部のこと、完全にルール違反なミスリード芝居をうって犯人の心を折るという、かなり黒よりのグレーな戦法で自白をもぎ取るのでした。これ、映像化のエピソードでもけっこう多用されるコロンボ警部のかなり強引な最終手段なのですが、その悪魔のような狡知に長けた采配こそが、ふだんはあんなに人畜無害な風貌のコロンボ警部が、ほんとにちらっとだけ「裏の顔」を垣間見せるという魅力の源泉なんですよね。きったねぇ!! でも、そこがいい……

 この『人形の密室』は、物語の構成自体はしっかり映像版の文法にのっとっており、おそらく映像化しても一応『刑事コロンボ』らしくなるかと思うのですが、やはり大看板で「密室」という割にはトリックとして甘々な部分もあり、最終的なコロンボ警部のチェックメイトもさほどのサプライズ感がないので、もし映像化してもかなり地味で目立たないエピソードになってしまうような気がします。これもまた、映像化されないだけの理由はあるかな、という感じでしょうか。

 ただ一点、この作品で長じているのは、やはり主人公である犯人と被害者との因縁の関係の生々しいディティールだと思います。
 主人公と被害者とは幼なじみの同業者なのですが、子どもの頃から華やかな娘だった被害者に主人公はコンプレックスを持っており、彼氏を被害者に盗られるという典型的な遺恨もありました。その上に、主人公が何とかキャリアを築き上げてきた老舗デパートのデザイン部に、シカゴの大手デパートから都落ちした被害者が転職してきて……という、主人公の首を真綿でじわじわと締めてゆくような犯行までの経緯は、ちょっと辻村深月先生の作品にでも出てきそうなエグみのある関係のような気がします。
 しかも、被害者の死後に、彼女が主人公たちに送るつもりだったクリスマスプレゼントが見つかるというくだりも非常にインパクトが強いのですが、それを見つけた主人公が同僚たちに「さっさと開けちゃって、次に気持ちを切り替えよう!」と言い放ってしまう決定的な「変貌」もちゃんと描いているあたり、さすがはハードボイルド小説家・小鷹信光の真骨頂といった感じですよね。やりおるわい!!

 『刑事コロンボ』の映像化されたエピソードの中で「傑作」と讃えられるものの魅力が那辺にあるのかと考えてみますと、犯行トリックの秀逸さは実のところ4割ほどで、やはり犯人を演じるゲスト俳優さんの演技力が6割のような気がするのです。そこはドラマですからね~。
 そう考えてみるとこの『人形の密室』も、たとえば『古畑任三郎』の中で橋本愛さんあたりが犯人を演じていれば、かなり視聴者の心に残る名作になっていたかも知れません。ちょっと、中森明菜さんにイメージがかぶるでしょうか。


 ……という感じに、刑事コロンボ「幻の未映像化事件簿」8つのうちの、まずは2つについてくっちゃべってみました。
 いやまぁ~、この2作に関しましては、正統的なエピソードとして映像化しないだけの理由はあるといいますか、TVドラマ化を想定していない冒険や登場人物の深めの掘り下げがあったと見ました。ていうか、『刑事コロンボ』じゃなくて小鷹信光さんの独立した小説としてやってくんないかな!? 面白いからさ!

 こういったあんばいで、残り6エピソードも次回以降、取り扱っていきたいと思いま~っす。
 さぁ、果たして映像化されても遜色ないような名エピソード、あのコロンボ警部を苦しめるような脅威のトリックは出てくるのでありましょーか!?
 
 いやぁあああ! 『刑事コロンボ』って、ホンッッッットに! いいもんですねェエエ!!
 それじゃあまた、ご一緒にたのしみましょ~。ぼんちゃ~ん♡
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最高傑作 or 黒歴史!? 未来の巨匠のほろ苦いハリウッドデビュー作 ~映画『レベッカ』~

2024年09月02日 22時46分28秒 | ミステリーまわり
映画『レベッカ』(1940年3月公開 130分 アメリカ)
 『レベッカ』(Rebecca)は、アルフレッド=ヒッチコック監督によるサイコスリラー映画。イギリスで活動していたヒッチコックの渡米第1作。ダフニ=デュ・モーリエの小説『レベッカ』(1938年)を原作とし、制作はセルズニック・プロ、アメリカでの配給はユナイテッド・アーティスツが担当した。第13回アカデミー賞にてアカデミー賞最優秀作品賞と撮影賞(モノクロ部門)の2部門を獲得した。ヒッチコックは監督賞にノミネートされていたが、結局受賞できなかった。ヒッチコックにとっては生涯唯一のアカデミー最優秀作品賞であるが、のちにフランソワ=トリュフォーとの対談でヒッチコックは「あれ(作品賞)はセルズニックに与えられた賞だ」と語っている。ヒッチコックはその後4度も監督賞にノミネートされたが結局受賞することはなく、壇上でオスカーを手にしたのは1967年にアーヴィング・タールバーグ記念賞(功労賞)を受賞した時の一度きりであった。
 製作費は約130万ドル、アメリカ・カナダでの興行収入は約600万ドルだった。

 ヒッチコックは小説『レベッカ』の発表時から映画化を検討していたが、版権を取得できずに断念した経緯があったため、この作品を手がけることには乗り気だったと思われる。しかし、ヒッチコックはこれまで常に自作の脚本に関与してきていたが、今作のシナリオ制作には参加できず、しかも撮影中にプロデューサーのデイヴィッド=O=セルズニックから多くの横やりが入っており、ヒッチコックにとってはおおいに不本意な制作環境であったという。ヒッチコックはセルズニックが撮影現場に押しかけるのを拒み、そのためにラッシュを見たセルズニックから膨大な指示メモを受け取るようになったという。
 男性側の主演を務めたローレンス=オリヴィエは、当時の自身の恋人ヴィヴィアン=リーとの本作での共演を望んでいたため、撮影中はフォンテインに冷たい態度をとった。オリヴィエの態度にフォンテインが恐れを抱いたことに気付いたヒッチコックは、撮影スタジオにいる全員に対して、フォンテインに対してつらく当たるように伝えた。これによって、フォンテインから恥ずかしがりで打ち解けられない演技を引き出したのであった。

 セルズニックは、本作のロケ地としてアメリカのニューイングランド地方を中心に探したが条件に合う場所がなかった。そこで遠景はミニチュアで撮影されたのだが、これがこの世ならぬ雰囲気をかもし出すためにはかえって効果的であった。またヒッチコックは、屋敷の立地を示すような映像を意図的に描かず、屋敷の存在をさらに神秘的なものにしている。
 セルズニックは、ラストシーンで燃えさかるマンダレイ邸の煙突から「R」の文字の煙を出させたかったが、ヒッチコックは技術上の困難さを理由に断った。その代わりに、レベッカのベッドの枕の「R」のイニシャルが炎の中に消えていく演出に差し替えた。

 ヒッチコック監督は、本編開始2時間6分23秒頃、駐車禁止を巡査にとがめられたジャックの後ろを通り過ぎるコートを着た通行人の役で出演している。


あらすじ
 アメリカ人の富豪ヴァン・ホッパー夫人の付き人として地中海モナコ公国のモンテカルロのホテルにやってきた「わたし」は、そこでイギリスの貴族であるマキシムと出逢い、2人は恋に落ちる。マキシムは1年前にヨット事故で前妻レベッカを亡くしていたのだが、彼女はマキシムの後妻として、イギリスの大邸宅マンダレイへ赴く決意をする。多くの使用人がいる邸宅の女主人として、控えめながらも暮らしていこうとする彼女だったが、かつてのレベッカ付きの家政婦で今も邸宅を取り仕切るダンヴァース夫人にはなかなか受け入れてもらえない。次第に「わたし」は、死んだはずの前妻レベッカの見えない影に追いつめられていく。

おもなスタッフ
監督 …… アルフレッド=ヒッチコック(40歳)
脚本 …… ロバート=エメット・シャーウッド(43歳)、ジョーン=ハリソン(32歳)
製作 …… デイヴィッド=O=セルズニック(37歳)
音楽 …… フランツ=ワックスマン(33歳)
撮影 …… ジョージ=バーンズ(47歳)

おもなキャスティング
わたし          …… ジョーン=フォンテイン(22歳)
マキシム=ド・ウィンター …… ローレンス=オリヴィエ(32歳)
家政婦長ダンヴァース夫人 …… ジュディス=アンダーソン(43歳)
執事長のフィルス     …… エドワード=フィールディング(65歳)
ジャック=ファヴェル   …… ジョージ=サンダース(33歳)
フランク=クロウリー   …… レジナルド=デニー(48歳)
ベアトリス=レイシー   …… グラディス=クーパー(51歳)
ジャイルズ=レイシー少佐 …… ナイジェル=ブルース(45歳)
浮浪者のベン       …… レオナルド=キャリー(53歳)
ジュリアン署長      …… チャールズ=オーブリー・スミス(76歳)
船大工のジェイムズ=タブ …… ラムスデン=ヘイア(65歳)
ベイカー医師       …… レオ=グラッテン・キャロル(58歳)
イーディス=ヴァン・ホッパー夫人 …… フローレンス=ベイツ(51歳)


≪本文マダヨ~ん≫
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超ニッチ企画!! 『刑事コロンボ』幻の未映像化事件簿をよむ ~資料編~

2024年08月25日 20時32分24秒 | ミステリーまわり
突然失礼しま~っす!! 海外 TVドラマシリーズ『刑事コロンボ』とは!
 ※参考文献『別冊宝島 刑事コロンボ完全捜査記録』(監修・町田暁雄 2006年 宝島社)

 『刑事コロンボ』(けいじコロンボ 原題: Columbo)は、アメリカ合衆国で制作・放映されていたサスペンス TVドラマシリーズである。全69話。
 日本においては、アメリカ本国の NBCで1968~78年に放送された45作は『刑事コロンボ』、ABC で1989~2003年に放送された24作は『新・刑事コロンボ』の邦題で放映された。制作はユニヴァーサル映画。原作・原案は推理小説家で脚本家のリチャード=レヴィンソン(1934~87年)とウィリアム=リンク(1933~2020年)。
 犯罪者を主人公とする倒叙ものミステリーの形式を一貫しており、特に日本においては TVドラマ『古畑任三郎』シリーズ(作・三谷幸喜 1994~2006年放送 全40話)と並んで倒叙ものミステリードラマの代表作と称されることが多い。

 『刑事コロンボ』の原形は、アメリカのミステリー小説誌『アルフレッド・ヒッチコック・ミステリー・マガジン』1960年3月号に掲載されたレヴィンソンとリンクによる犯罪小説『愛しい死体』(原題:May I come in?、掲載時は Dear Corpus Delicti)である。この作品にコロンボ警部は登場しないが、登場するニューヨーク市警のフィッシャー警部に後のコロンボ警部を予感することができ、本作は『刑事コロンボ』の第1話『殺人処方箋』に発展していく。

 レヴィンソンとリンクは、犯罪小説だった『愛しい死体』を倒叙ものミステリーにすると共に犯人と探偵との対決物語へと改作し、ミステリー TVドラマシリーズ『シボレー・ミステリー・ショー』内で1960年7月31日に放送されたエピソード『 Enough Rope』とした。
 この作品に探偵を登場させるにあたり、レヴィンソンとリンクはフョードル=ドストエフスキーの長編小説『罪と罰』(1866年)に出てくる、見た目は冴えないが推理や心理テクニックを駆使して主人公の殺人者ラスコーリニコフを追い詰めていく有能なポルフィーリ=ペトローヴィチ予審判事を参考に、コロンボ警部というキャラクターを創造した。『 Enough Rope』でコロンボ警部を演じたのはバート=フリード(当時40歳)だったが、フリードにとっては数多く演じた刑事役の中の一つに過ぎなかった。

 しかし、演劇ファンであり劇作家になることも夢見ていたレヴィンソンとリンクは『 Enough Rope』をボリュームアップさせ再構築し、戯曲『殺人処方箋』(原題Prescription : Murder)を書きあげた。この舞台公演はコロンボ警部役をトーマス=ミッチェル(当時70歳)、犯人の精神科医役をジョゼフ・コットン(当時57歳)といった豪華キャストで、サンフランシスコを皮切りに25週にわたってアメリカ・カナダ2ヶ国ツアーが行われ大成功となった。この舞台での主役は犯人役のコットンであったが、それを上回る喝采をミッチェルが受け、観客にとってコロンボ警部が真の主役であることの証左となった。後にコロンボ警部のトレードマークの1つとなるレインコートはまだ使用されておらず、初代フリードは薄手のトップコートを、2代目ミッチェルは厚手のオーバーコートを着ていた。また、舞台版は後の TVシリーズとは異なりニューヨークを舞台としている。ただし、「あと1つだけ」、「うちのカミさんがね」、「あたしたちはプロ、犯人は所詮素人」といった、TVシリーズでのコロンボ警部の名セリフとなるような言葉はすでに舞台版の脚本に記されており、犯人とコロンボ警部の緊迫したやり取りもあるなど、コロンボ警部の造形は舞台版で明確になったと言える。
 しかしながら、2代目コロンボ警部を好演したミッチェルは体調不良のために舞台を途中降板し、その直後の1962年12月に世を去ってしまう。レヴィンソンとリンクはミッチェルに代わる俳優を探し、映画『ポケット一杯の幸福』(1961年)でミッチェルと共演したことのある「目つきのよくない怪優」ピーター=フォーク(当時40歳)を3代目のコロンボ警部役に起用し、舞台版の脚本をさらにひねり、1968年2月に再び TV版単発ドラマをシリーズ化に向けたパイロット作『殺人処方箋』として製作した。これがフォークにとって初めての本格的な刑事ドラマ主演となった。

 本シリーズは独特のテンポで進むストーリーで、知的で社会的地位も高い犯人が完全犯罪を目論むも、一見愚鈍で無能そうなコロンボ警部にアリバイを突き崩され、自ら破滅の道を転落する必罰的展開ながらも、コロンボ警部と犯人との駆引き、静かにしかし確実に追い詰められて行く犯人の内面の葛藤・焦りといった感情描写や、コロンボ警部のユーモラスなセリフ回しなど、そのいずれもが味わいのある1話完結形式のミステリードラマとなっている。
 また本シリーズは、冒頭で完全犯罪を企む犯人の周到な犯行を視聴者に見せた後、隙のなさそうに見える犯人が見落としたほんのわずかな手がかりを元にして、コロンボ警部が犯行を突き止めていく倒叙ものミステリーとなっている。これはもともと原形となった『愛しい死体』が犯人が主役とした犯罪小説であったものを舞台化するにあたって、主人公の犯人と追い詰める探偵との対立構図に再編したためである。
 原作者のレヴィンソンとリンクは自著にて、本シリーズが倒叙ものミステリー小説の創始者であるイギリスの推理小説作家オースティン=フリーマン(著書に「ソーンダイク博士」シリーズなど)の影響を受けていることを認めると共に、倒叙もの形式が TVドラマと相性が良いことを『殺人処方箋』の制作を経て直観したと語っている。


コロンボ警部について
 コロンボは、アメリカ合衆国カリフォルニア州のロサンゼルス市警察殺人課に所属する警察官であり、階級は「 Lieutenant(ルテナント)」である。ただし、殺人事件が発覚していない時点(行方不明など)で捜査に加わることもある。
 「lieutenant」を日本語に訳す場合、一般的には「警部補」とすることが多いが、実際のアメリカの警察制度では、lieutenantの一階級上の「 captain(警部)」が分署長や本部の課長などを務めることが多い。そのため lieutenant はそれに次ぐ階級として、署長(もしくは実動部隊の長)の「副官、代行」であるとともに、場合によっては署長職を務めることもあり、日本の警察での「警視」に相当する役割をも担っている。また、lieutenantの下の階級の「 sergeant(巡査部長)」でも警察署の係や課、警察署全体の当直シフトなどを監督・指揮できる階級となっている。コロンボは一定の権限を与えられた捜査責任者(警察を代表して犯人と対決することができる)という立場だが、単身で現れることが多く部下を指揮するような描写も少ない。

 シリーズを通して劇中でコロンボのファーストネームが語られたことは一度もなく、コロンボも名前を尋ねられた際、「私を名前で呼ぶのはカミさんだけです。」と答えている。しかし第5話と第35話でコロンボの警察バッジケースがクローズアップされる場面があり、それには「 Frank Columbo」と記されている。

 安っぽくよれよれのワイシャツとネクタイに、裏地がなく防寒着としては役立たないレインコート、安い葉巻、櫛の通っていないボサボサの髪の毛と斜視による藪睨み、猫背が特徴でまったく冴えない風貌の人物である。しかしその風貌こそが、コロンボの優れた知性を隠して犯人の油断を誘う重要な武器となっている。
 口癖は「 Just one more thing(あと1つだけ)」や、「My wife(うちのカミさんがね)」。頻繁に妻や親戚の話を口にする。イタリア系でイタリア語が話せる(第34、42、59話)が、話せないという設定の回もある(第65話)。
 射撃技術は不得手で拳銃は携帯しない。半年ごとに行う射撃訓練に10年も行っておらず警察本部から警告されたことがある。銃の発砲音が苦手らしく、やむを得ず発砲する必要がある時は耳を塞いで撃つ(第30話『ビデオテープの証言』)。またホールドアップの必要がある場面でも、実際には撃たずに突き付けるだけで済ませていた(第64話『死を呼ぶジグソー』)。
 刑事になる前は軍隊におり朝鮮戦争(1950~53年)に従軍した経験があるが、前線には出ず炊事当番をしていたと話している。

 怖がりで解剖や手術、残酷な殺人現場の写真を見ることを好まない(第13、15話)が、嘔吐したり気を失うなどといったことは全くなく、被害者の生死が係っている状況では怖がる様子は見せない。首が切断された死体がある現場でも、死体を見ないようにしながら現場検証をこなしている(第46話『汚れた超能力』)。
 運動は苦手で泳げない。高い所が苦手らしく、ケーブルカーに乗った際には一言も言葉を発しなかったり(第8話『死の方程式』)、捜査のため致し方なく航空機に搭乗した後は落ち着いて降りるまでに相当な時間を要していた(第2話『死者の身代金』)。乗船時に船酔いをしていたことがある(第5話『ホリスター将軍のコレクション』)。しかしゴルフではプロ級のスウィングでホールインワンを決め(第4話『指輪の爪あと』)、ダーツでは3投目に中央のブルに命中させている(第45話『策謀の結末』)。ビー玉などを狙って当てるのが幼い頃から得意である(第13話『ロンドンの傘』)。
 葉巻をふかす時、ライターやマッチは大抵誰かに借りている。葉巻はシガーカッターで切ったものより噛みちぎったものの方が好みである。
 好きな料理はチリコンカンとコーヒー。コーヒーは熱いのが好みで、ぬるくなると文句を言う。
 「料理はまったくだめ」と言いながらも料理を手際よく調理することができ(第3話『構想の死角』)、仔牛料理を料理研究家に振舞った際にはその腕前と才能を高く評価されている(第42話『美食の報酬』)。料理に関する知識も豊富で、自宅ではもっぱら妻に代わって台所で料理を担当しているらしい。
 趣味はリメリック(五行戯詩)、西部劇、クラシック音楽(イタリアオペラ、シュトラウス2世のワルツなど)、ゴルフ、ボウリング、フットボールの TV観戦。絵画にも精通しているようで(演じたフォークも絵画に精通している)、飾ってある絵画の価値を一目見ただけで把握したこともある。またビリヤードが得意である。

 逮捕した犯人にワインをふるまったり(第19話『別れのワイン』)、音楽をかけて慰めの言葉をかけたりする(第24話『白鳥の歌』)など、犯人に対して温かい心遣いを見せることもある。しかし卑劣な犯人に対しては、普段の控えめな態度を急変させて怒りを露わにすることもある(第15、26話など)。ちなみに日本語吹き替え版ではコロンボが犯人に対して怒鳴るシーンもあるが、原語版でのフォークは低音かつ抑え目のトーンで話していることが多い。

 犯行現場に寝ぼけたり、食事を抜かした状態でやって来ては現場にあった被害者の食べかけを勝手に食べたり(第21話『意識の下の映像』)、周囲の人間にコーヒーやオレンジジュース、ちょっとした食べ物を要求することも多い。また、犯行現場を荒らしてしまう癖があり、目覚ましに勝手に現場の水道を使って顔を洗ったり、凶器の鉄棒やパトカーでゆで卵の殻を割ったり、葉巻の灰をじゅうたんの上に落としてしまうなど軽率な行動も多いが、それが結果的に犯罪を暴くきっかけになる場合も多い。
 酒と高級なつまみが好きで、あちこちでご馳走になったり、現場や容疑者宅に置いてあるものを無断で失敬するが、自分ではめったに買わない。また、あまり金を持ち歩かないので、飲食店などでお金が足らなかった時には小切手で支払いをしたり、警察宛ての請求書を切ってもらうことがしばしばある。

 事件が起こっても急いで現場に駆けつけることは少なく、たいていは実況見分があらかた終わってから顔を出す。しかも、自身が注目する以外の物事には大して興味を示さず、現場保存にも執着せず、火の点いた葉巻をくわえながら自分なりの検分を行う。
 署内でのコロンボは相当な信頼と名声があるのか、同じ課に勤務する新人刑事から尊敬されているほか、事故として処理されかけている事件を上司に掛け合って殺人事件に切り替えて再捜査したり、警察とつながりのある社会的地位が高い人物の恫喝にも飄々と対応している。
 捜査方法は、整合性のない事柄に関して容疑者や関係者に事細かにしらみ潰しに当たり、時間や場所に関係なく職務質問するという極めて古典的なもので、その場でアリバイが立証されて一応納得するようなことがあっても、事実が判明するまでは幾度も同じ捜査を繰り返す。また聞き込みでは、相手の地位に関係なくへりくだった態度で妻の話などの雑談を振っておいてから、「形式的な捜査なので……」や「報告書に書くためだけです。」などと職務質問に入るパターンが恒例となっている。
 状況証拠と証言だけでの真相解明を目指さず、守秘義務に関係なく捜査状況を容疑者本人に逐一報告することで感情の機微や証言の小さな差異をあぶり出し、それらを手がかりに矛盾点を突きつけ焦らせて心理的誤誘導するなどし、最終的には理詰めで追い込んで犯行を認めさせるという捜査方法を多々用いる。知能指数が高く、世界で2% の高IQ な人物しか加入できない「シグマ協会」(モデルはメンサ)のメンバーである犯人は、コロンボの知能指数をテストした際に「あなたは警察に置いておくには惜しい。」と賛辞している(第40話『殺しの序曲』)。その一方で、犯罪捜査においては運が必要だと話している(第56話『殺人講義』)。
 お金が好きだといい、少ない情報で税や収入などの複雑な計算が瞬時にできる(第10話『黒のエチュード』)。
 非常に粘り強い捜査が持ち味となっており、最長の捜査期間は9年4か月だったと語っている(第62話『恋におちたコロンボ』)。
 本人によれば、新シリーズの時点で22年警察官を勤めている(第54話『華麗なる罠』)と言うが、これは第1話『殺人処方箋』の初回放送日が該当話の22年前(1968年2月)であることにちなんだネタであると思われる。

 コロンボが着ているよれよれの背広服とレインコートのスタイルはフォークが作り上げたものであり、どちらも彼の私物である。乾燥して降雨が少ないロサンゼルスではレインコートはほとんど普及していないが、フォークは「コロンボに強烈な個性と独特なキャラクターをもたせたかった。そこで、カリフォルニアでレインコートを着せることにした。」と語っている。

 コロンボは通常、相棒を持たず単独で捜査にあたる。しかし本物の刑事はパートナーと組んで捜査することもあり、エピソードによっては協力して捜査にあたる相棒が登場する。第11話『悪の温室』では、警察大学(入学前に殺人課に1年在籍する)を出たてのフレデリック=ウィルソン刑事(演・ボブ=ディシー)が登場した。フレディ刑事は警察大学で科学捜査を学び新しい捜査技術に明るく、丹念に事件の裏付けをたどって真相に行き着くコロンボとは対照的であり、「あの人とは捜査の仕方が違う。」と批判的な態度をとることもあったが、第36話『魔術師の幻想』に再登場した時には「また警部とご一緒できて光栄です。」と慕っている。
 また、同じ殺人課に配属されてコロンボの担当する事件のサポートをしていると思われる刑事として、第28話『祝砲の挽歌』のほか第31、34、37、52、65話に登場するジョージ=クレイマー刑事(演・ブルース=カービィ)がいる(ただし第65話ではブリンドル刑事という役名)。クレイマー刑事は常識的な捜査を行うが、コロンボの突飛な推理と単独捜査に面食らう描写が多い。なお、演じたカービィは『秒読みの殺人』で別の役(テレビの修理屋)としても登場している。

 コロンボは捜査中によく「my wife」もしくは「Mrs. Columbo」(日本語版では「カミさん」)の存在を引き合いに出す。しかし画面に登場したことは一度も無い。第53話『かみさんよ、安らかに』でコロンボと共に女性の写真が並んでいるシーンがあるが、コロンボによると写真の人物はカミさん本人ではなく、カミさんによく似た姉妹だった。
 コロンボの子に関しては、妻と同じくセリフ中でのみ登場する。第19話『別れのワイン』や第23話『愛情の計算』で子どもが複数いることがわかるが、第53話『かみさんよ、安らかに』では「私たちには子どもはいないけどね(犬がいるので幸せだよ)。」と話している。

 コロンボは、甥や姪などの親族の話もよく引き合いに出す。シリーズを通して、コロンボが相手に揺さぶりをかけるために事件の核心に迫る際に話すだけで実際には登場しないことがほとんどであるが、コロンボの姉メアリーの息子で両親はすでに亡くなっているという甥のアンディ刑事(第60話『初夜に消えた花嫁』)だけが作中に登場している。
 具体的には妻の弟ジョージ(第14話『偶像のレクイエム』)、コロンボと甥と何人かの親族が写る数枚の写真(第25話『権力の墓穴』)、サンディエゴの水族館に勤める甥(第69話『殺意のナイトクラブ』)などの言及がある。

 コロンボはバセットハウンドの犬を飼っているが、これは実際に当時のフォークのペットであった。犬種はバセットハウンド。名前は、コロンボがあれこれ考えたものの良い名前が思い浮かばず「 dog」(日本語吹き替え版では「ワン公」)となり、最後まで名前が決まることはなかった。第10、16、23、30、32、36、41、43、44話に登場。
 なお、最初に出演していた犬はシリーズの途中で亡くなったため、以降は代々、初代に似た犬を起用している。

 コロンボの私有車として、くたびれたフランス製小型乗用車の1959年式プジョー403カブリオレ(オープンカータイプ)がしばしば登場し、彼のライフスタイルを物語る小道具となっている。ピーター=フォークの自伝によれば、シリーズの撮影中に自らがコロンボの自家用車のチョイスを任されたが、自宅ガレージの隅にあった色褪せているうえにパンクしていたプジョー403を直感的に選んだという。
 この車種は TVシリーズの初放映時点ですでに10年以上経過した旧式モデルであった。塗装もところどころまだらになっており、プジョーは作中でしばしば不調を起こし、あまりに散々な見てくれに周囲からはスクラップ扱いされる体たらくであったが、コロンボはさして意に介する様子もなく、自らの足として愛用し続けた。
 1989年に新シリーズが再開された時点では、旧シリーズで使用していたプジョー403はすでに売却されていたが、改めてプジョー403を3台購入して撮影に使用した。そのため旧シリーズの車体の色が灰色だったのに対し、新シリーズは白に近い薄い灰色になり、最終エピソードとなった第69話のみ水色になっている。
 シガレットライターに繋ぐ形式のパトランプを積んでいるが、シガレットライターが壊れているため作中では一度も使用されたことがない。ほとんどの場合ソフトトップをつけたまま乗車しているが、第7話『もう一つの鍵』などの数話で屋根を開けた姿を見せている。
 第43話『秒読みの殺人』の冒頭で衝突事故を起こしてしまい車両後部が大きく破損している。これは旧シリーズの最終第45話『策謀の結末』でも直っておらず、ボディ後部に歪みが残っていた。

 日本で一般に『刑事コロンボのテーマ』として知られている曲は、『刑事コロンボ』を含む4作の TVドラマシリーズをローテーション放送していた『 NBCミステリー・ムービー』のテーマ曲である(原題:Mystery Movie Theme 作曲・ヘンリー=マンシーニ)。しかし NHKでの放送時にこの曲がオープニングとエンディングで流されたため、『刑事コロンボのテーマ』として定着した。
 もうひとつの「コロンボのテーマ」と呼ばれる曲は、アメリカの古い歌『 This Old Man』で、劇中でコロンボが頻繁に口笛を吹いたり口ずさんだりしており、『死者のメッセージ』などでピアノを弾く場面もあった。

 日本語吹き替え版でのコロンボ警部の声は、旧シリーズでは小池朝雄(吹き替え当時41~47歳)が担当した。しかし小池が1985年に死去したため、新シリーズには石田太郎(吹き替え当時49~67歳)が起用された。第67話以降の最終3話は WOWOWで日本初放映されたため、地上波で石田が吹き替えたものの他に銀河万丈(吹き替え当時50~55歳)が吹き替えた WOWWOW版が存在する。例外的に最終第69話は WOWOWの銀河版しか存在しなかったが、2011年6月23日に死去したコロンボ役のピーター=フォーク追悼の意を込め、ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントジャパンから2011年12月2日に HDリマスター版全69話を収録したBlu-ray BOX『刑事コロンボ コンプリート・ブルーレイBOX』が発売された際に、石田による吹き替え版が新録されている。

 小池朝雄は、当時舞台俳優として実力を広く認められていたものの、映画、テレビに出演した際の役柄は悪役が大部分(それも類型的な悪役よりは異常性や残虐さを強調した役)であり、かなり思い切った起用であった。しかし結果として小池の独得のセリフ回しは大きな人気を集め、一躍その名がお茶の間に知られることとなった。
 小池の没後に放送された新シリーズでは石田太郎が2代目に抜擢されたが、日本テレビが番組を買い付けてから石田に決まるまでに2年近くの時間を要し、放送決定後に10名の候補者を絞り込んだ上で石田に決まったという。当時、日本語吹き替え版の制作スタッフだった吉田啓介によると、石田の登板は早くから持ち上がっており(小池の持ち役だったジーン=ハックマンの吹き替えを石田が引き継いでいた)、結局は視聴者に馴染みのある小池のイメージに寄せる方針で石田に落ち着いた。小池に雰囲気が似ているという制作側の希望条件に沿ってコロンボ役を継いだ石田は、イメージを壊さないようにとの要請に苦労したという。
 日本語吹き替え版は、コロンボのセリフの独特なニュアンスを生かした額田やえ子の翻訳(「うちのカミさんがね……」の口癖が有名)に、コロンボのキャラクターと小池の吹き替えのハマリ具合が重り、洋画が吹き替えによって作品の魅力を高めることに成功した代表例となった。


『刑事コロンボ』シリーズ
1968年パイロット放送版(1968年2月20日放送)98分
第1話『殺人処方箋』( Prescription: Murder)
1971年パイロット放送版(1971年3月1日放送)98分
第2話『死者の身代金』( Ransom for a Dead Man)

第1シーズン(1971年9月~72年2月放送)各話73分
第3話『構想の死角』( Murder by the Book)
第4話『指輪の爪あと』( Death Lends a Hand)
第5話『ホリスター将軍のコレクション』( Dead Weight)
第6話『二枚のドガの絵』( Suitable for Framing)
第7話『もう一つの鍵』( Lady in Waiting)
第8話『死の方程式』( Short Fuse)
第9話『パイル D-3の壁』( Blueprint for Murder)

第2シーズン(1972年9月~73年3月放送)第10・13話のみ98分、それ以外は各話73分
第10話『黒のエチュード』( Etude in Black)
第11話『悪の温室』( The Greenhouse Jungle)
第12話『アリバイのダイヤル』( The Most Crucial Game)
第13話『ロンドンの傘』( Dagger of the Mind)
第14話『偶像のレクイエム』( Requiem for a Falling Star)
第15話『溶ける糸』( A Stitch in Crime)
第16話『断たれた音』( The Most Dangerous Match)
第17話『二つの顔』( Double Shock)

第3シーズン(1973年9月~74年5月放送)第19・20・24・25話は98分、それ以外は各話73分
第18話『毒のある花』( Lovely but Lethal)
第19話『別れのワイン』( Any Old Port in a Storm)
第20話『野望の果て』( Candidate for Crime)
第21話『意識の下の映像』( Double Exposure)
第22話『第三の終章』( Publish or Perish)
第23話『愛情の計算』( Mind Over Mayhem)
第24話『白鳥の歌』( Swan Song)
第25話『権力の墓穴』( A Friend in Deed)

第4シーズン(1974年9月~75年4月放送)第26~29話は98分、第30・31話は73分
第26話『自縛の紐』( An Exercise in Fatality)
第27話『逆転の構図』( Negative Reaction)
第28話『祝砲の挽歌』( By Dawn's Early Light)
第29話『歌声の消えた海』( Troubled Waters)
第30話『ビデオテープの証言』( Playback)
第31話『5時30分の目撃者』( A Deadly State of Mind)

第5シーズン(1975年9月~76年3月放送)第32・34・36・37話は98分、第33・35話は73分
第32話『忘れられたスター』( Forgotten Lady)
第33話『ハッサン・サラーの反逆』( A Case of Immunity)
第34話『仮面の男』( Identity Crisis)
第35話『闘牛士の栄光』( A Matter of Honor)
第36話『魔術師の幻想』( Now You See Him)
第37話『さらば提督』( Last Salute to the Commodore)

第6シーズン(1976年10月~77年3月放送)各話73分
第38話『ルーサン警部の犯罪』( Fade in to Murder)
第39話『黄金のバックル』( Old Fashioned Murder)
第40話『殺しの序曲』( The Bye-Bye Sky High IQ Murder Case)

第7シーズン(1977年11月~78年5月放送)第43・45話は98分、それ以外は各話73分
第41話『死者のメッセージ』( Try and Catch Me)
第42話『美食の報酬』( Murder Under Glass)
第43話『秒読みの殺人』( Make Me a Perfect Murder)
第44話『攻撃命令』( How to Dial a Murder)
第45話『策謀の結末』( The Conspirators)

『新・刑事コロンボ』シリーズ ※全話各98分
第8シーズン(1989年2~5月放送)
第46話『汚れた超能力』( Columbo Goes to the Guillotine)
第47話『狂ったシナリオ』( Murder, Smoke and Shadows)
第48話『幻の娼婦』( Sex and the Married Detective)
第49話『迷子の兵隊』( Grand Deceptions)

第9シーズン(1989年11月~90年5月放送)
第50話『殺意のキャンバス』( Murder, a Self-Portrait)
第51話『だまされたコロンボ』( Columbo Cries Wolf)
第52話『完全犯罪の誤算』( Agenda for Murder)
第53話『かみさんよ、安らかに』( Rest in Peace, Mrs. Columbo)
第54話『華麗なる罠』( Uneasy Lies the Crown)
 ※スティーヴン=ボチコが1974年5月に執筆した没シナリオを映像化したもの
第55話『マリブビーチ殺人事件』( Murder in Malibu)

第10シーズン(1990年12月~2003年1月放送)※数ヶ月~1年以上に1作放送のペースとなった
第56話『殺人講義』( Columbo Goes to College)
第57話『犯罪警報』( Caution : Murder Can Be Hazardous to Your Health)
第58話『影なき殺人者』( Columbo and the Murder of a Rock Star)
第59話『大当たりの死』( Death Hits the Jackpot)
第60話『初夜に消えた花嫁』( No Time to Die)
 ※倒叙もの形式でない特殊な回(原作はエド=マクベインの「87分署」シリーズ)
第61話『死者のギャンブル』( A Bird in the Hand...)
第62話『恋におちたコロンボ』( It's All In The Game)
第63話『4時02分の銃声』( Butterfly In Shades Of Grey)
第64話『死を呼ぶジグソー』( Undercover)
 ※倒叙もの形式でない特殊な回(原作はエド=マクベインの「87分署」シリーズ)
第65話『奇妙な助っ人』( Strange Bedfellows)
第66話『殺意の斬れ味』( A Trace of Murder)
第67話『復讐を抱いて眠れ』( Ashes to Ashes)
第68話『奪われた旋律』( Murder With Too Many Notes)
第69話『殺意のナイトクラブ』( Columbo Likes the Nightlife)


小説版『刑事コロンボ』シリーズ(1988~2003年は二見書房、2006~07年は竹書房より刊行)
 小説版については、放映された映像作品から独自に書き起こしたものや、脚本から小説化したものなど形態が多数存在する。そのため映像化された作品と比較して物語の流れやトリックなどに相違点があるものもある。著者名に記載されているレヴィンソンとリンクは原作・原案者として名を貸しているだけである。

オリジナル小説作品(ハードカバーで二見書房から出版された『殺人依頼』以外は全て二見書房文庫)
1、『人形の密室』( A Christmas Killing)アルフレッド=ローレンス 訳・小鷹信光 2001年3月25日
 ※1972年にアメリカで出版されたオリジナル小説の改題・改訳版(1975年12月に『死のクリスマス』として初訳されていた)
2、『13秒の罠』( The Dean's Death)アルフレッド=ローレンス 訳・三谷茉沙夫 1988年4月25日
 ※1975年にアメリカで出版されたオリジナル小説の翻訳。のちの映像版第56話『殺人講義』(1990年)と同様の展開がある
3、『サーカス殺人事件』( Roar of the Crowd)ハワード=バーク 訳・小鷹信光 2003年4月25日
 ※1975年12月に執筆された没シナリオの小説化作品
4、『血文字の罠』( The Helter Skelter Murders)ウイリアム=ハリントン 訳・谷崎晃一 1999年12月25日
 ※1994年にアメリカで出版されたオリジナル小説の翻訳
5、『歌う死体』( The Last of the Redcoats) 北沢遙子 1995年4月25日
 ※没シナリオ・シノプシスの小説化作品
6、『殺人依頼』( Match Play for Murder) 小鷹信光 1999年6月2日
 ※没シノプシス『 Trade for Murder』を元にした小鷹信光によるオリジナル小説
7、『硝子の塔』( The Secret Blueprint)スタンリー=アレン、訳・大妻裕一 2001年8月25日
 ※アメリカで出版されたオリジナル小説の翻訳

同人誌作品
8、『クエンティン・リーの遺言』( Shooting Script)大倉崇裕 『刑事コロンボ』の日本同人誌『 COLUMBO!COLUMBO!』第1~3号(2004年12月~06年12月)にて連載
 ※1973年7月にジョゼフ=P=ギリスとブライアン=デ・パルマが執筆した没シナリオの小説化作品


 いんや~、これ、ずっとやりたかった記事なのよね! やっと最近になって読書する余裕ができましたので、満を持して始めたいと思います。

 そんな感じで、幻の未映像化小説8作のを実際に読んでみての具体的な感想あれこれは、まったじっかい~。
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