『刑事コロンボ』オリジナル小説作品の事件簿!! 各事件をくわしく解析
※TVドラマシリーズ『刑事コロンボ』の概要は、こちら
※未映像化事件簿の「 File.1、2」は、こちら!
3、『クエンティン・リーの遺言』( Shooting Script)ジョゼフ=P=ギリスとブライアン=デ・パルマの共作 訳・大倉崇裕 2004年12月~06年12月
≪犯人の職業≫ …… 犯罪心理研究家(映像マニア)
≪被害者の職業≫ …… TV番組司会者、一人芝居俳優
≪犯行トリックの種類≫…… 動機なき無作為殺人
・アメリカ本国で1973年7月(第2シーズンの放送終了後)に、第3シーズン用として執筆された没シナリオの小説化作品。日本における『刑事コロンボ』シリーズ研究の第一人者である町田暁雄が編集した同人誌『 COLUMBO!COLUMBO!』の Vol.1~3にて連載された。
・シナリオ版では、コロンボをサポートするオリジナルキャラクターとして、メカ小僧のスピルバーグ君ら3人の大学生が登場するが、小説化に当たって日本人映画監督キタカワイッペイに差し替えられている。
・映像版に登場したキャラクターとしては、コロンボの部下のジョージ=クレイマー刑事とシオドア=アルビンスキー刑事(通称マック)、「バーニーの店」のバートが登場する。
あらすじ
犯罪心理の研究家であり、常にビデオカメラを手放さない映像マニアのクエンティン=リーは、自身の完全犯罪の一部始終を録画して、自分の死後にドキュメンタリー作品として発表しようと計画した。そのために、自分の住むマンションに数多く暮らす「無益な有名人」のリストを壁に貼り、ダーツで決めた被害者をビデオカメラで撮影しながら殺害する! 事件解決に協力する映画監督くずれの日本人青年とともに、コロンボはこのあまりにも異常な犯罪を打ち砕くことができるのか!?
4、『13秒の罠』( The Dean's Death)アルフレッド=ローレンス 訳・三谷茉沙夫 1988年4月25日刊
≪犯人の職業≫ …… 大学の総長(シャーロッキアン)
≪被害者の職業≫ …… 大学の学部長(大学演劇部の顧問)
≪犯行トリックの種類≫…… テープレコーダーを使ったアリバイ工作
・アメリカ本国で1975年(第4・5シーズンの放送時期)に出版されたオリジナル小説の翻訳。
・のちの映像版第56話『殺人講義』(1990年12月放送 第10シーズン)と同様の展開がある。
・映像版第11話『悪の温室』(1972年10月放送 第2シーズン)と第36話『魔術師の幻想』(1976年2月放送 第5シーズン)に登場したコロンボ警部の部下フレデリック=ウィルソン刑事が三たび登場する。ただし、名前が「ジョン=J=ウィルソン」となっている。
・映像版に登場したキャラクターとしては、ウィルソン刑事の他にコロンボの飼い犬ワン公、獣医のベンソン院長が登場する。特にワン公は、事件解決に重要な役割を担っている。
・コロンボの行きつけのチリ料理の美味しい店も登場するが、店主の名前は映像版のバートではなく「バーニー」となっている(映像版では第2・5話に登場)。
・本作が翻訳出版された時期は、日本で『刑事コロンボ』シリーズと『新・刑事コロンボ』シリーズとの放送の中間期で、新作の放送は途絶えていた。
あらすじ
ロサンゼルス近郊にあるメリディス大学から、犯罪捜査に関する講演を依頼されたコロンボ警部は、大学の演劇部をめぐる奇怪な殺人事件に巻き込まれる。舞台公演に使う棺に隠されていた大学学部長の変死体。その惨殺劇を演出する策謀のシナリオの謎。捜査線上に浮かびあがった、緑色の服を着た男の正体とは?
5、『サーカス殺人事件』( Roar of the Crowd)ハワード=バーク 訳・小鷹信光 2003年4月25日刊
≪犯人の職業≫ …… サーカスの綱渡り師
≪被害者の職業≫ …… サーカスの団長
≪犯行トリックの種類≫…… 電波通信による遠隔殺人
・1975年12月(第5シーズンの放送時期)に執筆された没シナリオの小説化作品。ただし、作中で「1967年」のサーカス団結成を「30年以上前のこと」と示唆しているセリフがあるため、物語の時代設定は日本語版刊行時の2000年代初頭に改変されていると思われる。
・映像版第11話『悪の温室』(1972年10月放送 第2シーズン)と第36話『魔術師の幻想』(1976年2月放送 第5シーズン)に登場したコロンボ警部の部下フレデリック=ウィルソン刑事が、『13秒の罠』に続いて登場する。ただし、名前が「ケイシー=ウィルソン」となっている。
・映像版に登場したキャラクターとしては、ウィルソン刑事の他にコロンボの飼い犬「ドッグ」が登場する。
・本作の冒頭で、コロンボは甥のマイク(10歳)とトム(8歳)を連れてガーニイ・サーカスの興行を観に行く。ただし、映像版のルールにのっとってマイクとトムは登場しない。
・本作が翻訳出版された時期は、映像化新作の放送は無かった(翌2004年に最終第69話が WOWWOWにて吹き替え放送された)。
・本作は、二見書房文庫から出版されたノヴェライズ版『刑事コロンボ』シリーズで最後に出版された作品となる。
あらすじ
非番の日に、甥たちと連れ立ってサーカス見物に行ったコロンボ警部。その上演中、サーカスの団長がキャンピングカーの中で変死を遂げた。一座のスターである綱渡り師が密かに仕掛けた空中の殺人トリックとは? 猛獣使いとピエロの証言をもとに、コロンボは密室の謎に挑む。
6、『血文字の罠』( The Helter Skelter Murders)ウイリアム=ハリントン 訳・谷崎晃一 1999年12月25日刊
≪犯人の職業≫ …… デパート社長、ハリウッドの新人女優
≪被害者の職業≫ …… デパート社長夫人、ディスカウントストア副社長、麻薬の密売人
≪犯行トリックの種類≫…… ホテルの食事を利用したアリバイ工作、ダイイングメッセージの改竄
・アメリカ本国で1994年(この年は2作の単発新作が放送されていた)に出版されたオリジナル小説の翻訳。
・ロサンゼルスで1969年8月に発生した実在の事件「シャロン=テート殺害事件」に基づく展開があり、シャロンの当時の夫だった映画監督のロマン=ポランスキーの名前も別の経緯で作中に登場する。
・日本語訳版ではカットされているが、アメリカ原書版ではコロンボが1969年のシャロン=テート殺害事件の捜査に参加したり、1994年に服役中のチャールズ=マンソン(2017年に獄中死)と面会したりする場面がある。
・本作オリジナルのキャラクターとして、テキサス州のダラス市警からロサンゼルス市警殺人課に転属してきたチコ=ハモンド巡査が登場する。
・映像版に登場したキャラクターとしては、コロンボの飼い犬「ドッグ」、獣医のベンソン院長、「バーニーの店」のバーニー(バートではない)が登場する。
・本作に登場するコウリーズ・デパートは、1925年創業で創立70周年を目前に控えた老舗高級デパートである。ちなみに、『人形の密室』の舞台となったダウンタウンのブロートン・デパートは、1972年に発生した事件の時点で「築50年」と描写されているので、コウリーズとほぼ同年代に創業したデパートであると思われるが、本作ではブロートンへの言及はない。デパートの種類としては、ビバリーヒルズにあるコウリーズが高級百貨店でダウンタウンにあるブロートンが庶民的という印象がある(『人形の密室』ではコロンボが幼い頃にブロートンに行った思い出を語っている)。
・本作が翻訳出版された時期は、日本テレビ『金曜ロードショー』枠内で『新・刑事コロンボ』シリーズが年に1、2作のペースで放送されていた時期だった( WOWWOWによる放送も始まっていた)。
あらすじ
ロサンゼルスのビバリーヒルズにある六階建ての老舗高級デパート「コウリーズ」の社長夫人が、自邸の化粧室で変死を遂げた。さらには邸内に停まっていた車にも射殺死体が……荒らされた室内や盗まれていた貴金属から押し込み強盗の犯行と断定されたが、コロンボ警部は犯人の侵入経路を不審に思う。映画界にも進出するデパート社長と新人女優の野望が、忌まわしい連続殺人劇を繰り広げる。犯行現場に書きのこされた血文字は、いったい何を意味するのか?
7、『歌う死体』( The Last of the Redcoats) 北沢遙子 1995年4月25日刊
≪犯人の職業≫ …… 女性ニュースキャスター
≪被害者の職業≫ …… 引退したロックスター
≪犯行トリックの種類≫…… テープレコーダーを使ったアリバイ工作
・没シナリオ・シノプシスの小説化作品。
・本作の原形が執筆された時期は不明だが、本作の時代設定は日本で翻訳出版された当時の「1995年」となっている。その他に作中の年代を象徴する描写として、風変わりな刑事を演じる俳優としてブルース=ウィリスの名前が出たり(映画『ダイ・ハード』は1988年の公開)、警察署との連絡手段として警官がポケットベルを使用しているくだりがある。
・内容に類似性はないが、映像版で重要な役として TV番組の司会者が登場する作品は第57話『犯罪警報』(1991年2月放送 第10シーズン)が、人気歌手が登場する作品は第24話『白鳥の歌』(1974年3月放送 第3シーズン)がある。
・本作オリジナルのキャラクターとして、ロサンゼルス市警殺人課に配属されて1~2年目のホワイト巡査が登場する。ちなみにコロンボと同じくホワイト刑事も死体や血を見るのが苦手。
・本作が翻訳出版された時期は、日本テレビ『金曜ロードショー』枠内で『新・刑事コロンボ』シリーズが年に4、5作のペースで放送されていた時期だった。
あらすじ
伝説のロックスターが10年ぶりに復活する! その情報をつかんだ女性ニュースキャスターはさっそく特別番組の企画にとりかかり、テレビ局内は新曲発表のスクープに色めきたった。ところが、取材中の思わぬ誤算から殺人事件が発生! コロンボ警部はサンフランシスコに赴き、復活の歌に秘められた謎に挑む……
8、『硝子の塔』( The Secret Blueprint)スタンリー=アレン、訳・大妻裕一 2001年8月25日刊
≪犯人の職業≫ …… 建築会社設計企画部長
≪被害者の職業≫ …… 建築会社副支社長
≪犯行トリックの種類≫…… ビデオテープを使ったアリバイ工作
・アメリカ本国で1999年(当時は1~2年に1本のペースで新作が放送されていた)に出版されたオリジナル小説の翻訳。
・内容に類似性はないが、映像版で建築業界のプロが重要な役として登場する作品に第9話『パイル D-3の壁』(1972年2月放送 第1シーズン)がある。
・本作オリジナルのキャラクターとして、ロサンゼルス市警殺人課に配属されたばかりのトムザック巡査と、コロンボと旧知の中であるコンピュータ課のフラーティ警部が登場する。ちなみにトムザック刑事はコロンボと同じく死体や血を見るのが苦手。
・映像版に登場したキャラクターとしては、「バーニーの店」のバーニー(バートではない)、コロンボの飼い犬「ドッグ」が登場する。特にドッグは、コロンボに重要なヒントを与える役割を担っている。
・本作が翻訳出版された時期は、日本テレビ『金曜ロードショー』枠内で『新・刑事コロンボ』シリーズが年に1、2作のペースで放送されていた時期だった( WOWWOWによる放送も行われていた)。
あらすじ
高層タワー専門の建築家が企てた、殺しの設計図。次期支社長の座をめぐって野望うず巻く建築会社に仕掛けられた巨大な密室の罠とは? 重役会議用のスピーチビデオに映っていた奇妙なものに目をとめたコロンボ警部は、犯人の完璧なアリバイを突き崩していく。美しい塔に秘められた謎とは?
≪完成マダヨ~。≫
※TVドラマシリーズ『刑事コロンボ』の概要は、こちら
※未映像化事件簿の「 File.1、2」は、こちら!
3、『クエンティン・リーの遺言』( Shooting Script)ジョゼフ=P=ギリスとブライアン=デ・パルマの共作 訳・大倉崇裕 2004年12月~06年12月
≪犯人の職業≫ …… 犯罪心理研究家(映像マニア)
≪被害者の職業≫ …… TV番組司会者、一人芝居俳優
≪犯行トリックの種類≫…… 動機なき無作為殺人
・アメリカ本国で1973年7月(第2シーズンの放送終了後)に、第3シーズン用として執筆された没シナリオの小説化作品。日本における『刑事コロンボ』シリーズ研究の第一人者である町田暁雄が編集した同人誌『 COLUMBO!COLUMBO!』の Vol.1~3にて連載された。
・シナリオ版では、コロンボをサポートするオリジナルキャラクターとして、メカ小僧のスピルバーグ君ら3人の大学生が登場するが、小説化に当たって日本人映画監督キタカワイッペイに差し替えられている。
・映像版に登場したキャラクターとしては、コロンボの部下のジョージ=クレイマー刑事とシオドア=アルビンスキー刑事(通称マック)、「バーニーの店」のバートが登場する。
あらすじ
犯罪心理の研究家であり、常にビデオカメラを手放さない映像マニアのクエンティン=リーは、自身の完全犯罪の一部始終を録画して、自分の死後にドキュメンタリー作品として発表しようと計画した。そのために、自分の住むマンションに数多く暮らす「無益な有名人」のリストを壁に貼り、ダーツで決めた被害者をビデオカメラで撮影しながら殺害する! 事件解決に協力する映画監督くずれの日本人青年とともに、コロンボはこのあまりにも異常な犯罪を打ち砕くことができるのか!?
4、『13秒の罠』( The Dean's Death)アルフレッド=ローレンス 訳・三谷茉沙夫 1988年4月25日刊
≪犯人の職業≫ …… 大学の総長(シャーロッキアン)
≪被害者の職業≫ …… 大学の学部長(大学演劇部の顧問)
≪犯行トリックの種類≫…… テープレコーダーを使ったアリバイ工作
・アメリカ本国で1975年(第4・5シーズンの放送時期)に出版されたオリジナル小説の翻訳。
・のちの映像版第56話『殺人講義』(1990年12月放送 第10シーズン)と同様の展開がある。
・映像版第11話『悪の温室』(1972年10月放送 第2シーズン)と第36話『魔術師の幻想』(1976年2月放送 第5シーズン)に登場したコロンボ警部の部下フレデリック=ウィルソン刑事が三たび登場する。ただし、名前が「ジョン=J=ウィルソン」となっている。
・映像版に登場したキャラクターとしては、ウィルソン刑事の他にコロンボの飼い犬ワン公、獣医のベンソン院長が登場する。特にワン公は、事件解決に重要な役割を担っている。
・コロンボの行きつけのチリ料理の美味しい店も登場するが、店主の名前は映像版のバートではなく「バーニー」となっている(映像版では第2・5話に登場)。
・本作が翻訳出版された時期は、日本で『刑事コロンボ』シリーズと『新・刑事コロンボ』シリーズとの放送の中間期で、新作の放送は途絶えていた。
あらすじ
ロサンゼルス近郊にあるメリディス大学から、犯罪捜査に関する講演を依頼されたコロンボ警部は、大学の演劇部をめぐる奇怪な殺人事件に巻き込まれる。舞台公演に使う棺に隠されていた大学学部長の変死体。その惨殺劇を演出する策謀のシナリオの謎。捜査線上に浮かびあがった、緑色の服を着た男の正体とは?
5、『サーカス殺人事件』( Roar of the Crowd)ハワード=バーク 訳・小鷹信光 2003年4月25日刊
≪犯人の職業≫ …… サーカスの綱渡り師
≪被害者の職業≫ …… サーカスの団長
≪犯行トリックの種類≫…… 電波通信による遠隔殺人
・1975年12月(第5シーズンの放送時期)に執筆された没シナリオの小説化作品。ただし、作中で「1967年」のサーカス団結成を「30年以上前のこと」と示唆しているセリフがあるため、物語の時代設定は日本語版刊行時の2000年代初頭に改変されていると思われる。
・映像版第11話『悪の温室』(1972年10月放送 第2シーズン)と第36話『魔術師の幻想』(1976年2月放送 第5シーズン)に登場したコロンボ警部の部下フレデリック=ウィルソン刑事が、『13秒の罠』に続いて登場する。ただし、名前が「ケイシー=ウィルソン」となっている。
・映像版に登場したキャラクターとしては、ウィルソン刑事の他にコロンボの飼い犬「ドッグ」が登場する。
・本作の冒頭で、コロンボは甥のマイク(10歳)とトム(8歳)を連れてガーニイ・サーカスの興行を観に行く。ただし、映像版のルールにのっとってマイクとトムは登場しない。
・本作が翻訳出版された時期は、映像化新作の放送は無かった(翌2004年に最終第69話が WOWWOWにて吹き替え放送された)。
・本作は、二見書房文庫から出版されたノヴェライズ版『刑事コロンボ』シリーズで最後に出版された作品となる。
あらすじ
非番の日に、甥たちと連れ立ってサーカス見物に行ったコロンボ警部。その上演中、サーカスの団長がキャンピングカーの中で変死を遂げた。一座のスターである綱渡り師が密かに仕掛けた空中の殺人トリックとは? 猛獣使いとピエロの証言をもとに、コロンボは密室の謎に挑む。
6、『血文字の罠』( The Helter Skelter Murders)ウイリアム=ハリントン 訳・谷崎晃一 1999年12月25日刊
≪犯人の職業≫ …… デパート社長、ハリウッドの新人女優
≪被害者の職業≫ …… デパート社長夫人、ディスカウントストア副社長、麻薬の密売人
≪犯行トリックの種類≫…… ホテルの食事を利用したアリバイ工作、ダイイングメッセージの改竄
・アメリカ本国で1994年(この年は2作の単発新作が放送されていた)に出版されたオリジナル小説の翻訳。
・ロサンゼルスで1969年8月に発生した実在の事件「シャロン=テート殺害事件」に基づく展開があり、シャロンの当時の夫だった映画監督のロマン=ポランスキーの名前も別の経緯で作中に登場する。
・日本語訳版ではカットされているが、アメリカ原書版ではコロンボが1969年のシャロン=テート殺害事件の捜査に参加したり、1994年に服役中のチャールズ=マンソン(2017年に獄中死)と面会したりする場面がある。
・本作オリジナルのキャラクターとして、テキサス州のダラス市警からロサンゼルス市警殺人課に転属してきたチコ=ハモンド巡査が登場する。
・映像版に登場したキャラクターとしては、コロンボの飼い犬「ドッグ」、獣医のベンソン院長、「バーニーの店」のバーニー(バートではない)が登場する。
・本作に登場するコウリーズ・デパートは、1925年創業で創立70周年を目前に控えた老舗高級デパートである。ちなみに、『人形の密室』の舞台となったダウンタウンのブロートン・デパートは、1972年に発生した事件の時点で「築50年」と描写されているので、コウリーズとほぼ同年代に創業したデパートであると思われるが、本作ではブロートンへの言及はない。デパートの種類としては、ビバリーヒルズにあるコウリーズが高級百貨店でダウンタウンにあるブロートンが庶民的という印象がある(『人形の密室』ではコロンボが幼い頃にブロートンに行った思い出を語っている)。
・本作が翻訳出版された時期は、日本テレビ『金曜ロードショー』枠内で『新・刑事コロンボ』シリーズが年に1、2作のペースで放送されていた時期だった( WOWWOWによる放送も始まっていた)。
あらすじ
ロサンゼルスのビバリーヒルズにある六階建ての老舗高級デパート「コウリーズ」の社長夫人が、自邸の化粧室で変死を遂げた。さらには邸内に停まっていた車にも射殺死体が……荒らされた室内や盗まれていた貴金属から押し込み強盗の犯行と断定されたが、コロンボ警部は犯人の侵入経路を不審に思う。映画界にも進出するデパート社長と新人女優の野望が、忌まわしい連続殺人劇を繰り広げる。犯行現場に書きのこされた血文字は、いったい何を意味するのか?
7、『歌う死体』( The Last of the Redcoats) 北沢遙子 1995年4月25日刊
≪犯人の職業≫ …… 女性ニュースキャスター
≪被害者の職業≫ …… 引退したロックスター
≪犯行トリックの種類≫…… テープレコーダーを使ったアリバイ工作
・没シナリオ・シノプシスの小説化作品。
・本作の原形が執筆された時期は不明だが、本作の時代設定は日本で翻訳出版された当時の「1995年」となっている。その他に作中の年代を象徴する描写として、風変わりな刑事を演じる俳優としてブルース=ウィリスの名前が出たり(映画『ダイ・ハード』は1988年の公開)、警察署との連絡手段として警官がポケットベルを使用しているくだりがある。
・内容に類似性はないが、映像版で重要な役として TV番組の司会者が登場する作品は第57話『犯罪警報』(1991年2月放送 第10シーズン)が、人気歌手が登場する作品は第24話『白鳥の歌』(1974年3月放送 第3シーズン)がある。
・本作オリジナルのキャラクターとして、ロサンゼルス市警殺人課に配属されて1~2年目のホワイト巡査が登場する。ちなみにコロンボと同じくホワイト刑事も死体や血を見るのが苦手。
・本作が翻訳出版された時期は、日本テレビ『金曜ロードショー』枠内で『新・刑事コロンボ』シリーズが年に4、5作のペースで放送されていた時期だった。
あらすじ
伝説のロックスターが10年ぶりに復活する! その情報をつかんだ女性ニュースキャスターはさっそく特別番組の企画にとりかかり、テレビ局内は新曲発表のスクープに色めきたった。ところが、取材中の思わぬ誤算から殺人事件が発生! コロンボ警部はサンフランシスコに赴き、復活の歌に秘められた謎に挑む……
8、『硝子の塔』( The Secret Blueprint)スタンリー=アレン、訳・大妻裕一 2001年8月25日刊
≪犯人の職業≫ …… 建築会社設計企画部長
≪被害者の職業≫ …… 建築会社副支社長
≪犯行トリックの種類≫…… ビデオテープを使ったアリバイ工作
・アメリカ本国で1999年(当時は1~2年に1本のペースで新作が放送されていた)に出版されたオリジナル小説の翻訳。
・内容に類似性はないが、映像版で建築業界のプロが重要な役として登場する作品に第9話『パイル D-3の壁』(1972年2月放送 第1シーズン)がある。
・本作オリジナルのキャラクターとして、ロサンゼルス市警殺人課に配属されたばかりのトムザック巡査と、コロンボと旧知の中であるコンピュータ課のフラーティ警部が登場する。ちなみにトムザック刑事はコロンボと同じく死体や血を見るのが苦手。
・映像版に登場したキャラクターとしては、「バーニーの店」のバーニー(バートではない)、コロンボの飼い犬「ドッグ」が登場する。特にドッグは、コロンボに重要なヒントを与える役割を担っている。
・本作が翻訳出版された時期は、日本テレビ『金曜ロードショー』枠内で『新・刑事コロンボ』シリーズが年に1、2作のペースで放送されていた時期だった( WOWWOWによる放送も行われていた)。
あらすじ
高層タワー専門の建築家が企てた、殺しの設計図。次期支社長の座をめぐって野望うず巻く建築会社に仕掛けられた巨大な密室の罠とは? 重役会議用のスピーチビデオに映っていた奇妙なものに目をとめたコロンボ警部は、犯人の完璧なアリバイを突き崩していく。美しい塔に秘められた謎とは?
≪完成マダヨ~。≫