長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

分身宇宙人ガッツ星人 への遠い道のり  いったん、まとめてみようか

2011年02月28日 12時42分39秒 | 特撮あたり
 いや~どうもどうも、そうだいです。今日はもう、久しぶりに朝からずっと雨が降っていますねぇ。たまには雨もいいですか、花粉も少しはおさまってくれますしね!

 ……2月、終わっちゃいますね。

 あの~、ガッツ星人まで……たどり着けませんでした!
 もちろん、今月中に終わらなかったからといって、ここで中断してしまうのも当然不本意。
 来月3月にも継続していくつもりなのですが~、ちょっとペースは落としていきましょうか。春先はいろいろとありますからね。

 今回も、少しでも時間を進めてキリのいいところでシメにしたいと思うのですが、その前に!
 今までの「地球と宇宙人の歴史」を、簡単な年表にしてまとめてみることにいたしましょ~。


1898年 侵略宇宙人の世界初襲来 『宇宙戦争』

1951年 友好宇宙人の世界初登場 『地球の静止する日』

1954年 怪獣が定期的に出現する現象「怪獣頻出期」の発生 『ゴジラ』

1956年 友好宇宙人の日本初登場 『宇宙人東京に現わる』
     侵略宇宙人の全世界規模での初襲来 『世紀の謎 空飛ぶ円盤世界を襲撃す』
     侵略宇宙人の日本初襲来 『空飛ぶ円盤恐怖の襲撃』

1957年 侵略宇宙人の操作する巨大ロボット兵器の初襲来 『地球防衛軍』
     地球規模の防衛軍「地球防衛軍」の創設 上に同じ
     宇宙怪獣の世界初襲来 『地球へ2千万マイル』

1964年 宇宙怪獣の日本初襲来 『宇宙大怪獣ドゴラ』
               『三大怪獣 地球最大の決戦』

1965年 宇宙怪獣を使役する侵略宇宙人の初襲来 『怪獣大戦争』

1966年 「怪獣頻出期」のペースが異常にあがる 『ウルトラQ』
     自分が巨大化して暴れる侵略宇宙人の初襲来 『2020年の挑戦』


 ざっとね! こんな流れだったわけでございますよ。
 いや~、こうやって見てみると、地球さん、実にわかりやすくピンチにおちいっていますね!
 侵略宇宙人の手練手管がみるみるうちに悪質・巧妙化していくんですね。宇宙人が関係ない怪獣だってどんどん出現してくるんだからもう大変。あやうし、地球!

 ところが、「待て~い! 弱い者いじめはいけないぞ!」とばかりに地球にやって来た第3の勢力。
 あらっ、あの方たちはもしかして……10年ぶりにやって来た、「友好宇宙人」サマ!?

 ……上の表を見て思ったんですが、いちいち作品ひとつひとつを長ったらしく説明しないで、最初っから表にしとけばよかったのでは……ま、好きでやってるんだから、いっか!?


13、お久しぶり!友好宇宙人助太刀いたす
1966年5月『宇宙指令M774』(『ウルトラQ』)

 え~っ!? まだ『ウルトラマン』じゃないの?

 そう思われました? そうなんですよ。1966年に地球にやってきた友好宇宙人といえばご存じ、7月来日の「M78星雲・光の国のウルトラマン」なのですが、実はその直前に、先に地球にいらしていた友好宇宙人さまがいらっしゃったのです!

 「ウルトラマン」が地球にやって来ないうちに発生した最後の侵略宇宙人襲来事件は、直前の5月に起きた三浦半島沖の「宇宙怪獣ボスタング」事件でした。

 まぁ……「宇宙怪獣ボスタング」って言っても、ボスタングは全長50メートルに体重1万トンという規格外ビッグサイズではあるものの、外見は完全なる「ただのエイ」です!
 「宇宙怪獣」という属性にはなるのですが、ボスタングは完璧なまでに地球の海に順応することのできる性質をもった怪獣、というか、でっかいエイです。
 ボスタングのご主人様にあたる宇宙人は「キール星人」というのだそうですが、キール星人本人は地球にはやって来ていません。

 地球征服をたくらむ(らしい)キール星人は、隕石に見せかけたボスタングの卵を1コ太平洋上・三浦半島沖にうちこみます。
 広い海の中で孵化したボスタングは、「音に敏感」という習性にしたがって、三浦半島沖を航行する船舶を片っぱしから破壊していきます。
 ボスタングの武器は、これ「体当たり」のみ! マッハ2(つまり時速約2500キロ)というアホみたいなスピードで船にぶつかってしまうのです。あぶねぇなオイ!

 でも、「地球征服」をたくらむキール星人は、どこまで本気だったんだろう……ボスタングは見たところほんとのエイだから、地上に上がってきて暴れることはムリそうだし、いくらなんでも、地球全体の海を荒らし回るには1匹じゃあ大変すぎるんじゃない?
 いつの時代も、こき使われる宇宙怪獣がいちばんヒドい目にあってしまうんですなぁ……

 ともあれ、少なくとも三浦半島沖ローカルを恐怖のズンドコにおとしいれることには成功したボスタング。あぶなくて航行できたもんじゃありません。迷惑だよ!

 そんな時、女性記者の由利っぺや星川航空の淳ちゃん・一平コンビの周辺に不思議な現象が起きます。

 由利っぺには、拾ったフランス人形が突然しゃべりだして、
「私の名前はゼミ。ルパーツ星人です。地球人に警告します。地球に宇宙怪獣ボスタングが侵入しました。とても危険です。」
 と語りかけるという怪奇現象が発生。こえぇ! しかし、あえてボスタングの情報を地球人にリークする「ルパーツ星人のゼミ」とは何者か?

 いっぽう淳ちゃんと一平はというと、2人が乗っていたセスナが突如として異次元空間に拉致される!
 その空間で、由利っぺが聞いたものとまったく同じ言葉を耳にして2人は解放されます。けっこう強引なのね。
 ゼミはまた、こうも言っていました。
「どうしても信用できないのなら、中央図書館の一条きよみに会いなさい。」

 おう、会ってみようじゃあねぇか! 淳ちゃん・一平・由利っぺの3人はさっそく中央図書館へ行ってみます。
 そこで出会ったのは、図書館の司書をしていた人の良さそうな女性・一条きよみ。
 きよみさんは矢継ぎ早に3人に語りました。
「私がゼミです。宇宙指令M774によりルパーツ星から来ました。地球防衛が私の使命です。」

 きよみさん……今だったら、そんなに図書館の仕事がつらいの?と速攻でカウンセリングをすすめられてしまいそうな発言なのですが、そこは昭和40年代というおおらかな時代。
「まぁ、実際に不思議な現象に遭遇してることだしな……信じよっか。」
 と、3人はきよみさんを連れて海上保安庁に急行することにします。
 ていうか、きよみさん、日本にいるんだったら、しゃべるフランス人形とか異次元空間拉致なんて手は使わないではじめから直接出向いて3人を説得したらよかったのでは……
 でも、それだったら唐突すぎて3人が信用してくれないか。あと、図書館の仕事も忙しいだろうしね。

 さて、きよみさんご一行の訴えを聞いた海上保安庁は、ルパーツ星人やらキール星人やらという話を1ミリも疑うことなく信用し、4人を乗せて巡視船を三浦半島沖に出発させます。
 そりゃそうでしょう、もう「宇宙人襲来」が日常茶飯事となりつつある情勢でしたからね。「宇宙人だなんて、バカバカしい!」と信じない方がナンセンスな話になっていたのです。大変な時代になったもんですよ。

 さて、きよみさんからボスタングの習性を聞いた巡視船は、エンジン音でボスタングを引きつける作戦を決行します。
 ところで、ルパーツ星人であるところのきよみさんは外見も日本人そのまんま。さきほど由利っぺたちに使ったテレパシー系の超能力以外にはなんの武器も持っていません。巨大化するでもなくスペシウム光線をぶっぱなすでもなく、とにかくアドヴァイスに徹するきよみさんなのでした。

 そんなこんなで、途中で偶然通りかかった客船にボスタングが狙いを変えかけるというアクシデントもあったのですが、巡視船に襲いかかろうと海上高くジャンプしたボスタングを、タイミング良く駆けつけた航空自衛隊のセイバー戦闘機がミサイル攻撃!
 見事にというかあっけなくというか、宇宙怪獣ボスタングはミサイルをくらって木っ端微塵に粉砕、キール星人の気長な地球征服計画はけっこうあっさりとうち砕かれたのでした。

 でもよくよく考えてみると、今回の作戦って相当あぶなっかしいものだったんですよね……だって、海上保安庁の巡視船がおとりになってるんですよ? 中にレギュラーキャラが全員乗っかってるんですよ?
 巡視船は「軍艦」じゃあありませんからね……搭載兵器も機関砲しかないし、ちょっとでも戦闘機が来るのが遅れてたらボスタングになすすべもなく撃沈されていたことでしょう。
 確かに、最近よく起こっている三浦半島沖の海難事故の犯人が「宇宙怪獣」であるという情報はきよみさんしか知らなかったので、そんな状況で自衛隊やそれ以上の規模の地球防衛軍が発動するわけにもいかなかったのでしょうが……
 原因不明の事故に関して、怪獣や宇宙人が関係していたとしたら警察規模の捜査ではどうすることもできない! これは今回の事件から得られた重大な反省点となりました。大事なことですよ~。

 この後、きよみさんは当たり前のように図書館司書の日常に戻っていきます。
 異様な姿に変身するでもなく、宇宙に帰るでもなく、ひょうひょうと地球人としての生活を続けていくきよみさん……今も日本のどこかにいるのかしら?

《来月予告》
 こんな感じで、非常に地味な現れ方をした久々の「友好宇宙人」だったのですが、次に来た友好宇宙人さんは逆にハデすぎた。そして、強すぎた!
 そう。いよいよ彼らがやってきたのである。ウルトラの星のご兄弟たちが!

 きたきたきた~! あ、あと、科学特捜隊も忘れずにね。おれたちも、けっこう怪獣を倒してるんだゼ~!

 に、2月がほんとに終わっちゃう!
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分身宇宙人ガッツ星人 への遠い道のり  宇宙人、でっかくなる 『ウルトラQ』

2011年02月26日 18時39分50秒 | 特撮あたり
《前回までのあらすじもなにも》
 ……つ、疲れた。
 いったい、いつになったらガッツ星人にたどり着けるんだオイ!?
 今あつかっているのは1966年。いとしのガッちゃんが待っているのは1968年。
 残すところたったの2年。たった2年だというのに、なぜこれほどまでにゴールに近づいている実感がわかないのだ?

 そう。それは、ここからの宇宙人出現ペースが鬼のようなあんばいになってしまうから!
 2月で終わんない感じになっちった……大丈夫じゃないマイフレンド。


12、理解不能! 宇宙人が巨大化した
1966年5月『2020年の挑戦』(『ウルトラQ』)

 チルソニア遊星人(セミ人間)による、ガラモン軍団東京襲撃事件の余韻も冷めやらぬ1ヶ月後、5月。
 今度は、正体不明の発光物体が日本の領空内に侵入し、航空自衛隊のさしむけた哨戒機3機を撃墜して消滅するという事件が発生します。
 3機もの軍用機が爆破するという事実はあったのですが、結局、問題の発光物体のその後の動向がつかめなかったため、自衛隊は今回の事態を原因不明の事故と判断し、哨戒機の発進を指令した天野二佐(中佐)を停職処分にしてしまいます。
 納得のいかない天野二佐は、「消えた発光物体は必ず存在していて、今現在も日本のどこかに潜伏しているはずだ。」という確信のもとに独自の調査を開始するのですが、哨戒機撃墜事件の直後から、日本では不思議な連続失踪事件が頻発するようになります。

 プールでダイビングの練習中だった水泳選手、高級別荘で悠々自適な生活を楽しんでいた青年実業家、高速道路でスポーツカーに乗っていた若者……
 失踪する人間どうしにつながりはないのですが、必ず共通している点は、「健康な若者であること」、「失踪する動機が見当たらないこと」、そして、「目撃者が多数いる中で、文字通り一瞬にして姿を消していること」。
 う~ん、実にミステゥリアス。たまりませんねぇ!

 そして、女性雑誌記者である由利っぺ(レギュラーキャラ)の目の前でも、遊園地のゴーカートを運転していた女性モデルがカメラ撮影中にかき消えるように姿を消す事件が発生!
 その女性モデル以外は誰も人がいないはずのコース上で、なぜこんな人間蒸発現象が!? 運転手をうしない、無人のままカラカラと坂道を降りてゆくゴーカート……

 由利っぺはこの事件の原因をさぐるために、イイ関係にある星川空港の男前パイロット・淳ちゃん(レギュラーキャラ)のもとに相談に行きますが、そこにはすでに、例の哨戒機撃墜事件の解明を依頼しようと訪れていた淳ちゃんの旧友・天野二佐の姿もありました。
 奇遇ですねぇ! それぞれの事件を淳ちゃんに相談する2人だったのですが、連続失踪事件と哨戒機撃墜事件。あまり関係があるようには見受けられません。

 しかし! この2つの事件にはなんらかの関係がある!そう確信する人間が3人の会話に割り込んできます。淳ちゃんのパイロット助手をしている一平ちゃん(やっぱレギュラーキャラ)でした。
 一平ちゃんの話によると、「空飛ぶ円盤が哨戒機を撃墜して日本に侵入し、宇宙人が健康な若者を誘拐してその肉体を盗もうとする」筋書きのSF小説を、最近読んだばかりだと言うのです。

「ンだよテメェ、小説かよ!」
「アタイらは現実の事件の話をしてんだよ。失せな!」
「きさま、これ以上本官たちをからかったら、国家的陰謀できさまも失踪させるぞ!」
「へへへっ、冗談が通じないお人たちでヤンスね~。おーこわ!」

 まぁ、こんな会話はないんですけどね。とにかく、こういった感じで一平ちゃんの名推理は一蹴されてしまったわけなんですよ。

 しかし、連続失踪事件の魔手はものすごい勢いで彼ら4人にもせまってきた!
 まず4人が集まった直後、哨戒機が爆破した地点にセスナ機で向かった淳ちゃんと天野のうち、セスナを運転していたほうの淳ちゃんが一瞬にして消え去ってしまいます。パイロットが機内から消えた! ていうか、レギュラーキャラがなんのタメもなく退場した! いいの!?
 あわててセスナを操縦して空港に帰還する天野だったのですが、彼は失踪する直前、淳ちゃんの背中にくっついていた「謎の半透明の液体」を確かに目撃していました……なんだったんだ、ありゃ?

 一方、遊園地で失踪した女性モデルを撮影した写真の中に、なんらかの事件の手がかりが写り込んでいる可能性があると思いついた由利っぺは急いで出版社ビルの現像室に向かいますが、現像室からは2人の人間が失踪してしまうありさま。
 なんとかして現像したフィルムには、失踪する直前のモデル嬢におおいかぶさる謎のスライムっぽい液体がはっきりと写っていました。こいつが人間を消しているんだ!

 事態を重く見た出版社は、謎の液体が事件の糸口をつかんでしまった由利っぺをつけ狙っていると予測し、警視庁に彼女の護衛を依頼します。
 ところが、警視庁が護衛に付けたのは宇田川という50代なかばの老刑事たった1人。大丈夫なのか? しかし、実はこの宇田川刑事は、今回の連続失踪事件との意外な関わりがあったのです……

 宇田川刑事のたよりなさを公衆電話から一平ちゃんにグチる由利っぺだったのですが、一平ちゃんはますます興奮して、今回の事件と自分が読んだSF小説『2020年の挑戦』との驚くべき内容の一致をうったえます。

「由利ちゃん、まったく同じなんだよ! すべての事件がこの本に書いてある通りに起こっているんだ。しかも、これを書いた神田博士は、Xチャンネル光波を実験している時にケムール人と交信した会話にもとづいて小説を書いていると言ってるんだ。」
「ケムール人? 一平くん、そんなキチガイ博士の書いたものを読んでるひまはないはずよ。淳ちゃんはどこ行ったのよ! さっさとさがせよテメェ!!」

 由利っぺの言うように、一平ちゃんのハマっていたSF小説『2020年の挑戦』を書いた神田博士は、「Xチャンネル光波」という未発見の電波を研究していた最中に「ケムール人」という侵略宇宙人の存在を警告しはじめ、頭がおかしくなったと思った学会から追放されていた人物だったのです。
 だが、しかし! そんな由利っぺのいる公衆電話の天井から、例のスライム物体が由利っぺに襲いかかる!
 間一髪、公衆電話の中から由利っぺを助け出してスライム物体にタバコの吸いさしを投げつける宇田川刑事。可燃性なのか、あっという間に燃え上がり消滅する物体。
 次の瞬間、宇田川の持っていたトランシーバーのような機械が発信音をはなつ! その機械をたよりに、何かを追って夜の街を駆ける宇田川。あの角を曲がったところだ!
 そして、そこにいたのは……

「ぶふぉっふぉっふぉっふぉっふぉっ!」

 不敵な笑い声をあげる謎の大男、いやさ、宇宙人! 笑い声が「あの宇宙人」に激似なのだが、ただの偶然かしら?
 全身タイツのような、裸とも服ともつかないかっこうのやせた体型。毛むくじゃらの足に妙に細長い手の指。そして頭部ってのが、またすさまじいんだ。
 ゴワゴワした顔には鼻も口も耳も見当たらないのですが、ど真ん中に十字のヒビが走っており、裂け目には不気味に光る2つの眼! 実は、頭の真後ろにもも1コ眼があります。気持ちわるい。
 もっとも目立つのは、頭のてっぺんからチョウチンアンコウかナイトキャップのようにぴよんと伸びている1本の触覚。
 こいつが、神田博士の言っていたケムール人なのか……!

 宇田川の横を走り抜け、追跡するパトカーも脅威のダッシュでまいて逃げ切ってしまうケムール人。ここ、『ウルトラQ』でも1、2をあらそう名場面ですよねぇ。

 ところで、宇田川がここまで的確にケムール人を捜査できるのは、なぜなのか? 疑問をぶつける由利っぺ。
 実は宇田川は神田博士の親友で、博士がケムール人の存在を指摘しだした経緯を逐一見ていたのです。ケムール人を探知できる例の携帯機器も、神田博士から譲り受けていたものだったのである。
 神田博士によると、問題のスライム物体はケムール人の操作する「物質転移装置」で、それを使って地球の健康な若者を拉致し、その肉体を移植手術で自分達のものにしようとしているのだという。
 小説『2020年の挑戦』には、ケムール人の棲むケムール星は、1966年当時の地球から見て「2020年の時間軸に位置する」文明を有する惑星なのだと記されていました。
 まぁ……正直なに言ってるのかわかんねぇんだけど、要するに地球文明を超えた科学技術を持ってるってことなんでしょうね。

 ただ、発達しすぎた文明のためにケムール星は超高齢化しており、さらなる延命のためには、他の惑星の移植可能な「健康な肉体」が必要不可欠となっていたのだそうです。
 これはつまり、「地球征服」が目的なのではなく、ただただ地球人の「肉体がほしい」だけ! 地球を「家畜のいる牧場」としかとらえていないわけよ。もっと恐いじゃないの~。

 とにかく、ケムール人が現実にいてしまった以上、地球側は神田博士の発言を信じるしかありません。
 一平ちゃんと天野二佐は神田博士の邸宅に急ぐのですが、時すでに遅し。博士はケムール人に拉致されてしまい研究室はもぬけの殻となっていました。もうダメか?
 しかし、一平ちゃんは、邸宅に届けられていた小さな試作品を見て狂喜乱舞します。

「やった! Kミニオードは完成していたんだ!」

 Kミニオードとは何か? それは、ケムール人を倒すことのできる「Xチャンネル光波」を発信することのできる回路装置だったのです。
 ケムール人が今どこにいるのかはわからないが、すぐにでもXチャンネル光波を発信しなければ、拉致された人たちは戻ってこない。当然、『ウルトラQ』の主人公である淳ちゃんも帰ってこないのよ!

 さて、そのころ、当のケムール人はというと……

 深夜、とっくに閉園しているはずの遊園地の中で目覚める由利っぺ。いつの間に? なぜ、こんな所に……宇田川さんは、どこ?
 突然、メリゴーラウンドのイルミネーションが輝きだしてかろやかな音楽が流れ出す。その入り口には、なぜかいないはずの淳ちゃんが笑顔で立っている。

「淳ちゃん!」

 うれしさのあまり、事件の経緯を忘れて淳ちゃんに駆け寄ろうとする由利っぺ。
 しかし! 宇田川の機械を頼りにやっと遊園地に駆けつける警官隊のパトカー。宇田川は由利っぺに大喝する。

「いかーん!! 行っちゃいかーん!」

 そのとおり!とばかりに、淳ちゃんの顔がゆがみ、黒ずみ、あの恐ろしいケムール人に変貌してゆく。もうちょっとでダマされるとこだった!
 しっかし、ただ拉致すればいいだけなのに、淳ちゃんに化けるはメリーゴーラウンドの電源を勝手につけるは……ケムール人はかなりの変態とみた。逃げろ、由利っぺ~!

 今度は逃がさん!と、逃げるケムール人に一斉射撃をしかける警官隊。
「頭をねらえ! 頭以外は撃っても効かんぞ!」
 ついに宇田川の撃った一発がケムール人の頭部に命中した!

 いったんは倒れ込んで動かなくなるケムール人。
 しかし、どういうわけか不気味なうめき声をあげながら巨大化! なんと身長30メートル、体重1万5千トンの巨人になってふたたび立ち上がります。

 なおも射撃を続ける警官隊に対して、遊園地の観覧車を引き抜いて投げつける巨大ケムール人。
 警官隊だけではとてもじゃないが太刀打ちできない。万事休すか?

 だがその時、一平ちゃんと天野のKミニオードが間に合った!
 2人の駆け込んだ東京タワーから強力に発信されるXチャンネル光波!

 え、「東京タワー」?
 東京タワーは先月にガラモンにへし折られたんじゃなかったの?
 さすがは戦後ニッポンの元気力。東京タワーは1ヶ月後には完璧に修復されておりました。いやー、ケムール人事件に間に合ってよかったよかった。

 見事、Xチャンネル光波を頭部にモロにくらってぶっ倒れる巨大ケムール人!
 頭のてっぺんから「ぴゅっぴゅぴゅ~!」と液体をとばしながら悶絶するケムール人。気持ち悪いし、なんかエロい。
 みるみるうちに縮小し、消滅していくケムール人。最後にはちっちゃな水たまりだけになってしまいました。

 と同時に、天から降ってくる不思議な白雲。
 白雲が消えると、遊園地のコーヒーカップには今まで拉致されていた人々の眠りこける姿が。淳ちゃんもいる! みんな助かったんだ~。

 こうして「ケムール人」事件は一件落着したわけなのですが……
 とにかく今回の事件で特筆すべきなのは、宇宙人自身が巨大化して闘った史上初のケースであること!
 実際のところ、ケムール人が巨大化した「30メートル」というサイズは、ゴジラやラドンやペギラといった「50メートル」に比べるといささか迫力に欠けるし、警官隊に対しては無敵だったものの軍隊相手だったらどうだったか……だいたい、ケムール人に「巨大化して地球征服を目指す」という意図はさらさらなかったはずです。結局は、警官隊を追っ払うための緊急措置だっただけの巨大化でした。
 でも! いつの時代もパイオニア、開拓者は偉大です。史上初の巨大化宇宙人・ケムール人……すばらしいね。

 わたくしごとながら、前回に私は『バルンガ』をウルトラシリーズの「そうだいフェイバリット・ベスト8」だと言いましたが、今回に紹介した『2020年の挑戦』は、さらにその上をいく「ベスト6」に輝いております!
 まぁ~とにかく、エンタテインメントとして完成してるのね。『バルンガ』は静の名作なんですが、『2020年の挑戦』は息をもつかせぬ急展開が目白押しの動の名作に仕上がっています。
 怪獣が街を暴れ回るというスペクタクルはないのですが、サスペンスフルな物語はこびは最高ですね! 恐怖とスリルに満ちた傑作です。

 ただ、それだけにオーラスの宇田川刑事の体を張ったギャグオチは……いーらないっかな~!?


《次回予告》
 ついに宇宙人まで巨大化して大暴れする時代が始まってしまった! あやうし地球。

 しかし、義を見てせざるは勇なきなり!

 宇宙の果てから、地球を守るために正義の宇宙人が久しぶりにやって来た。
 きたきたきた~。あのお方達がついにおでましになりますわよ~。
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分身宇宙人ガッツ星人 への遠い道のり  なぜ、セミ!? 『ウルトラQ』

2011年02月24日 23時21分57秒 | 特撮あたり
《前回までのあらすじ》
 とにっかく変な事件ばかりが頻発するようになってしまった1966年上半期。
 太古の眠りからよみがえったり、妙なクスリを飲んで巨大化したりする怪獣たちにまぎれて、明らかに地球の生まれでない生き物も現れだす。
 そして、「怪獣ばっかにいいとこ取りされてたまるかい!」とばかりに、宇宙人たちも不気味な胎動を見せ始める……


11、こだわりすぎの巨大ロボット作戦
1966年3月『ガラダマ』・4月『ガラモンの逆襲』(『ウルトラQ』)

 3月のある日。群馬と新潟の県境にある三国山脈の弓ヶ谷で、「空から墜落というよりフワフワとふってきた異常に軽い隕石」が発見されます。
 50センチほどの大きさの隕石はさっそく東京の東南大学に運ばれて研究の対象となり、世界的な大科学者である一ノ谷博士(具体的な専門分野がわからないところが素晴らしい)いわく、

「宇宙鉱石チルソナイトを、人類のいまだ到達していない科学技術で加工した合金物質ですな。」

 え、合金? じゃ、また宇宙人がらみなのか。一体何のためにこんなものを……?
 まもなく、断続的に謎の短波を発信しはじめるチルソナイト隕石。な、なに? なにが始まるの。

 すると、その直後に直径50メートルはあろうかという、炎に包まれた大隕石が飛来! チルソナイト隕石の発見された弓ヶ谷の付近にあった熊谷ダムのダム湖にドッボ~ンと墜落してしまいます。
 ごぼごぼごぼ、しゅわしゅわしゅわ~……
 大隕石のとてつもない熱量のためなのか、ダム湖の水面ははげしく泡立ち、ダムの周辺はあっという間にもうもうたる水蒸気におおわれてしまいます。
 しばらくして視界がひらけてくると……なんとダム湖の水はすべて干上がっていて、湖底だった場所の中央には問題の大隕石が!
 ダム湖の水をすべて蒸発させるとはどんだけなんだと思う間もなく、大隕石の表面に亀裂が走り、ガラガラと崩壊をはじめました。な、中になにかあるぞ!

 崩れ去った大隕石の中から現れたのは……うーん、なに、あれ?

 身長40メートル、体重6万トンの怪獣か。ざっと説明すると、いちめんに赤い天かすのようなトゲトゲのついたダルマに足がニョキッとはえたスタイル。顔は深海魚か機嫌の悪いおばちゃんのようなへの字口フェイス。まつげがちゃんとあって、たまにまばたきするのが興味深い。胸元には魚のヒレにも見える手のひらのようなものが2つならんでいます。腕に当たる部分はありません。

 宇宙怪獣か? そのあまりにも生き物っぽい外見からそう推測された謎の隕石モンスターだったのですが、実はこれは、宇宙からやって来た巨大ロボットだったのです!
 弓ヶ谷の方言で隕石のことを「ガラダマ」と言っていたことから、ついた名前は「ガラダマ・モンスター」、略してガラモン!
 ガラモンは、何かの情報を受け取っているかのような気味の悪い間があったあと、おもむろに東をめざして進撃を開始します。歩く足音は、あからさまにロボットっぽい「ガシャッ、ガシャッ」。

 むむっ、これは!?

 直前に弓ヶ谷に急行し、大隕石の墜落~ガラモン起動の一部始終を見てすべてを理解した天才・一ノ谷博士64歳! 日独ハーフでカーネルおじさんそっくりな外見はダテじゃない。
 すぐさま東京の東南大学に連絡をとり、ずっと問題のチルソナイト隕石が謎電波を発信し続けていることを聞いて確信します。

「このガラモンは、宇宙人が地球侵略のために送り込んだ巨大ロボットだ。そして、ロボットの先に地球に飛来したチルソナイト隕石は、ロボットをリモートコントロールする電子頭脳だったんぢゃよ。
 早く電子頭脳が発信する指示電波を遮断しなければ、ガラモンは東京に向かって進撃を続けることになるぞ。」

 一ノ谷博士の推理どおり、熊谷ダムのコンクリート製の大堤防を体当たりでいとも簡単に破壊するガラモン。
 「宇宙人の送り込んだ巨大ロボット」といえば、およそ10年前に地球にやってきたあの「モゲラ」が思い出されるのですが、ガラモンはモゲラのようなビーム兵器は搭載していないものの、体当たりでなんでも破壊してしまうその機体の頑丈さは、ラジコンなみに壊れやすいモゲラにも見習ってもらいたい信頼感があります。

 なんとか電子頭脳の電波を遮断しなければ!
 一ノ谷博士の指示を受けた東南大学の研究室では、バーナーでもドリルでも解体できない電子頭脳にたいして、鳥かごのような電波遮断ケージに入れる処置がなされます。

 するとアラ不思議!
 指示電波を遮断されたガラモンはたちまち進撃を停止し、ゲロゲロ~っと口から白い液体を吐いて倒れ、そのまま動かなくなってしまいました。酔っぱらいか!?
 とにかくロボットらしくない外見と動きのガラモンだったのですが、確かにこれは、電子頭脳の遠隔装置で起動するれっきとしたロボット兵器だったのです。

 これで、3月に発生した弓ヶ谷での「ガラダマ」事件は終結したのですが、ガラモンを送り込んだ宇宙人がそれで黙っているはずがなかった!
 その1ヶ月後。宇宙人による逆襲が開始されます。

 深夜。なんとも薄気味の悪い男とも女ともつかない中性的な紳士が東南大学に現れ、電波遮断ケージに包まれたままだった電子頭脳を奪い去ってしまうのです。
 長距離トラックにヒッチハイクして、一路なぜか群馬県の榛名湖に向かう紳士と電子頭脳。目的はなにか?
 
 夜が明けてしばらくたち、東京から充分に離れたことを確認した紳士の操作によって、ふたたび電波を送信しはじめる電子頭脳。
 ただちに、宇宙の果てから日本の東京めざして急接近するいくつものガラダマの存在が確認され、なんとたったの30分後にいっせいに墜落するという推測がなされました。急だな~。東京の交通機関は大混乱!
 早く失踪した電子頭脳を確保しなければ、東京は何体ものガラモンによって壊滅してしまうぞ……

 日本のすべての電波を統括する(当時、ケータイ電話なんか無かったからね。)電波監視所の花沢主任(演ずるは特撮俳優の最高神・平田昭彦)は、ただちに電子頭脳が時速60キロで北上していることを見つけだし、警察は検問をもうけて、全力をあげて電子頭脳を載せていると予測される車両を捜索します。

 しかし、時すでに遅し! 正午ちかくに少なくとも3つのガラダマが東京の都心に墜落し、中からはやっぱり3体のガラモンが。
 さっそく電子頭脳の指示を受け、ビル街への体当たりをはじめるガラモンたち。東京タワーを揺さぶり倒すやつもいたりして、順調に東京は大変なことに。
 TV中継によると、総計では十数体ものガラモンが東京周辺に現れていたようです。これはやばい!

 ガラモン起動からおよそ1時間ほどたち、どうにかこうにか警察は電子頭脳を載せたトラックへの包囲網をちぢめていくのですが、あせった謎の紳士は運ちゃんからトラックをうばい、検問を突破して群馬県の榛名湖にたどり着きます。
 正体不明の超科学リモコンを使い、追いかける警官隊の拳銃を逆に取り上げて発砲し返す怪紳士。こいつ、ただもんじゃねぇ!
 榛名湖の岸辺に逃げ込む怪紳士。だが、駆けつけた花沢主任に電子頭脳は奪い取られてしまい、さらにそのスキをついて、トラックを盗まれたうらみに燃える運ちゃんが落ちていた拳銃を拾ってズドン!
 銃で撃たれてたまらず倒れ込む怪紳士。死んでしまったか?

 いや、死んではいない。むっくりと立ち上がる怪紳士。ところが、その姿はついさっきまでの人間ではなく……

 あ~っ、セミ! ちょっとあんた、顔がセミになってるよ。なんか、さっきまで着ていた普通の背広も透明の宇宙ブレザーになってるし。マジシャンか?

 もう、どこからどう見ても、セミ。チルソナイト合金でできた電子頭脳の持ち主で、あのガラモンを使役していた宇宙人「チルソニア遊星人」の正体は、セミそっくりの顔をした脅威のセミ人間だったのです!
 人間に化けていたチルソニア遊星人が正体を現すと同時に、榛名湖からは盛大な水しぶきをあげて1機の空飛ぶ円盤が浮上! 遊星人の母船か?

 そうか、あの怪紳士は東京に保管されていた電子頭脳を奪回して母船に持ち帰ろうとした工作員だったのか。
 しかし、電子頭脳回収のミッションは失敗してしまいました。花沢主任の持ってきた電波遮断フィルムに包まれる電子頭脳。
 それによって、前回と同じように機動停止、それぞれ思い思いの場所でゲーして立ち往生するガラモン軍団。

 こういった結果を加味してか、湖上の円盤は機体から岸辺のセミ工作員にビーム発射! あわれ、作戦失敗の責任を一身に背負った工作員は火だるまになってしまい絶命します。
 炎上する同志をしり目に、ゆうゆうと宇宙に帰っていくチルソニア円盤……あんた、何しに来たの?

 以上のようないきさつをもって、1966年のガラモン襲来事件は終息しました。おそらく、チルソナイト電子頭脳はこれまで以上の厳重さをもって、地球防衛軍の管理下に置かれることになったでしょう。

 フォーマットとしては、1957年の『地球防衛軍』事件の「宇宙人+巨大ロボット」路線の焼き直しなんですが、とにかくインパクトのあるセミ人間とガラモンの取り合わせでした。
 円盤にビーム兵器をちゃんと積んでいるのにガラモンが体当たりしか武器がないのは、モゲラ同様にガラモンも「もともと戦争用の兵器ではなかった」からなのではないでしょうか。
 しかし、「電波が送信されなければ起動しない」という点をのぞけば、その数の多さもあって、ガラモンはある程度の脅威ではありました。人類側がもし電子頭脳を取り戻せなかったとしたら、間違いなくガラモンは世界規模の難敵になっていたことでしょう。
 ちなみに、チルソニア遊星人はガラモンによっぽど思い入れがあるらしく、今回の事件から40年ちかく経過した21世紀の2004年に再侵攻した時も、昔ながらのガラモンをちょっと改造しただけの巨大ロボット「ガラゴン」で乗り込んできています。そんなマイナーチェンジだけで再チャレンジしてどうすんのよ……てめぇら、地球人ナメんなよ!

 ただ、ここで記憶しておきたいのは、セミ人間の容姿と、彼らの使用していた円盤の機体形状です。
 セミ人間……似てるんだよなぁ~、それからたった数ヶ月後に日本にやってくる宇宙人に。日本一有名な宇宙人であるあの方に。もしかしたら、世界一?
 そして円盤も、その「ふぉっふぉっふぉっ」な方が乗ってるのにそっくりなのよねぇ。
 果たして、両者のあいだには何らかの関係があるのか? それとも、ただの他人のそら似で、円盤もただ宇宙でよく流通している車種であるだけなのか? 「宇宙プリメーラ」みたいな。

 今回もまた、『ウルトラQ』らしく謎の多く残る事件となったのでした。
 これからは、巨大ロボットを投入するにしても、よっぽど戦闘用に特化した機体を開発しなきゃあいかんね! もっとがんばりましょう。


《次回予告》
 巨大ロボットがないのなら、おのれ自身が巨大化すればよろしいんじゃありませんこと!?

 宇宙の果てで、そんなマリー=アントワネット的発想の転換をこころみようとする者がいた! 

 もうこうなったら、ロボットだの宇宙怪獣だのにまかせてなんかいられねぇぜ。
 次回、ついに、ついに! 「自分も巨大化して闘う宇宙人」が登場する。

 「宇宙怪獣」、「自分も闘う」。
 確実にガッツ星人へとつながるキーワードは集まってきているのだが……もう2月終わっちゃうよオイ!!
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分身宇宙人ガッツ星人 への遠い道のり  うちゅうの、じけん 『ウルトラQ』

2011年02月23日 22時56分17秒 | 特撮あたり
《前回までのあらすじ》
 1965年12月。「X星人襲来事件」をもって、地球人類は「宇宙人と宇宙怪獣のタッグ」という史上最悪の危機をむかえてしまった。
 しかし、「ある種の電波に鬼よわい」というX星人の弱点をついた反撃によって、今回も人類はなんとか勝利をかちとることができた。
 さぁ、次はいったいどんなヤツが宇宙の果てからやって来るんだ~!?


9、なんか変な事件ばっかり連続して起きてきちゃった。
1966年1~7月『ウルトラQ』全28話

 X星人に対する全面勝利という輝かしい締めくくりとなった1965年。
 しかし、あけた1966年は、1月からずいぶんと調子のおかしな年になってしまいました。

 なぜか! な~ぜか、毎週のように変な事件が連発して発生する。しかも、基本的に日本国内だけで……なぜなんだろう。

 当時の世界情勢を考えると、依然として予断を許さないアメリカ・ソヴィエトの冷戦体制。そして、それにともない激化するいっぽうの宇宙開発競争と、核戦争の危機。
 なにかとピリピリした空気に満ちた時代だったのでしょうが、そんな中で日本はどうだったかというと、まさに高度経済成長のまっただ中。
 おそらくは、日本が世界に通用する経済大国になる、そういった気負いもあったのでしょう。いままで誰も手をつけることのなかった、日本に当たり前のように存在していた多くの物事が、世界共通のルール向けに解体・改造されていく時代となりました。
 生活サイクル、食生活、ファッション、社会通念、娯楽、そして自然環境、などなど。

 そして、たかだか2~30年という短期間の中にギュウギュウ詰めに押し込まれたそれらの無数の変化によって、せまい日本列島の各地でついに、ある種の「ゆがみ」が生じてしまったのでしょうか。
 今までの人々の常識では考えられなかった、世にも奇妙な「アンバランス・ゾーン」が発生してしまうようになってしまったのです……

 要するに、いわゆる「怪獣」が次々と覚醒する時代が本格的に始まったわけで、こうしたユニコーンもびっくりの大迷惑時代は、いくつかの一時的な中断をはさみながらもだいたい21世紀、2007年の春先ぐらいまで連綿と続いていくことになります。日本って、こんなに住むのが大変な国だったんだ……
 さて、そんな中でどさくさにまぎれて宇宙人や宇宙怪獣も襲来してくるわけなんですが、彼らもまた、時代が進むにつれて劇的な進化をとげていくことになります。

 そういった流れの始まりとなったのが、今回とりあげる1966年です。とてつもなくおっきなアニバーサリーイヤーなのよ、この年は!
 しかし前半の7月くらいまでは、比較的小規模な事件がポツポツ起こるといった程度のものでした。
 有名な事件だけを簡単にあげておくと、

1月 東海地方で、トンネル工事中に地底から身長10メートルの古代動物ゴメス(どことなくゴジラに似ている)が出現するが、同時に孵化したライバルの始祖鳥リトラと闘って相討ち
2月 富士山麓に全身が岩石でできた怪獣ゴルゴスが出現するが、コアである謎の発光物体を破壊されて崩壊(発光物体は宇宙から飛来した物質だった可能性あり)
3月 農業研究用の特殊栄養剤を食べたモグラが身長50メートルに巨大化して暴れるが、火山のマグマ層にあやまって衝突し焼死
4月 核実験による南極の温暖化により、ペンギンが突然変異した怪獣ペギラが南極から北極に避難、道すがら春の東京をプチ氷河期にする
5月 地底から出現した怪獣パゴスが好物のウランをねらって原子力発電所を襲撃するが(あぶねぇ!)、「ネオニュートロン・ミサイル」という秘密兵器により粉砕
6月 中東の秘宝の中に眠っていた怪獣ゴーガが覚醒し巨大化、東京で大暴れするが自衛隊の攻撃により焼死
7月 日本初の国産超音速旅客機が謎の異次元空間に迷い込み怪獣トドラに襲われるが、なんやかんやで脱出成功

 なんだよ、これ!

 のちのことを考えると、これでだいぶおとなしめな事件ばかりなんですからね……日本は本当におそろしい国だ。

 そして、そんな中にさしはさんで、宇宙人や宇宙怪獣の登場する事件もちょいちょい発生していたのです。


10、なめくじと風船
1966年1月『宇宙からの贈りもの』・3月『バルンガ』

 1月のある日、半年前に消息を絶っていたはずの火星探査ロケットがひょっこり地球に帰還してきます。ロケットには、もともと火星から地球に帰ってこられるシステムはなかったはずなのに、なぜ……
 ロケットの中には、正体不明の小さな金色の玉が2つ。なにこれ、宇宙規模の下ネタ?
 その後、それを純金だと勘違いしたギャングが宇宙開発局から強奪したり、アクセサリーだと勘違いした由利っぺ(レギュラーヒロインの女性記者)がのんきに首からぶらさげてたりしたのですが、直後に衝撃の展開が!

 なんと、謎の金色の玉は、火星怪獣ナメゴンの卵だったのです!
 説明するまでもない! ナメゴンはその名の通り、なめくじによく似た火星の生物である。ただし、身長30メートルで体重は1万トンだ。きもちわりぃよ!
 武器は、その長ひょろい2本の眼から発射する怪光線。それに当たった生物はことごとく硬直死し、物体はハデに爆破してしまう。うーん、怪獣っぽいね。
 弱点は小学生でも予想がつくだろう。そう!「塩水」だ。

 火星から地球に送り込まれた2体のナメゴンのうち、ギャングに持ってかれたほうは運悪く伊豆の離れ小島で孵化してしまい、調子に乗って人間を追いかけたはずみで断崖から海に落ちてしまい、ぶくぶくぶく~っと溶け去ってしまった。あわれ……
 由利っぺが首飾りにしていたほうも、コーヒーメーカーの熱で孵化したものの(おしゃれ)、それを見た世界的な大科学者・一ノ谷博士はまったく動じず、助手に
「きみ、急いで塩水をつくってきてくれ。」
 と言うしまつ。迷惑度がなめくじとおんなじになっちゃったよ、ナメゴン!

 劇中にはいっさい登場しないのですが、帰ってくるはずのない火星探査ロケットにナメゴンの卵を2つ入れて送り返したのは誰かというと……やっぱり、火星人ですかねぇ。
 かつて70年前にイギリスのロンドンを襲撃した、「侵略宇宙人の元祖」こと、火星人。
 ところが、「地球生活はムリ! 住むリスクが高すぎる。」という意外な事実が発覚してしまい、火星人はそれ以後、地球侵略を思わせる活動のいっさいを封印していました。

 つまり今回の事件は侵略目的ではなく、ぶしつけに火星に探査ロケットを打ち込んできた地球に対する「警告目的」だったのでしょうか。
 とにかく、7割が海でおおわれている地球に塩水が苦手なナメゴンを送ったわけなんですから、悪い冗談ですよね。意図が明確でないだけに不気味な出来事でした。
 しかし、今回の事件のいちばんの被害者は、宇宙の都合と地球の都合の板ばさみになっちゃったナメゴンですよね。なにが哀しくて、嫌いなものだらけの異国の地で散らなければならなかったのか……合掌。


 「不気味な出来事」といえば、その2ヶ月後に発生した「バルンガ」事件もかなり不気味なものでした。

 3月、調査を終えて地球への帰還を間近にひかえていた人類初の有人土星探査ロケット「サタン1号」が、大気圏突入時に原因不明の燃料切れを起こして墜落する事故が発生します。
 燃料切れ直前の乗組員の通信音声には、なぜか「風船だ。」という発言が録音されていました。ゾクゾクするねぇ!
 一週間後に事故現場付近から発見されたのは、自力でふよふよと空中にただよう風船のような形をした謎の宇宙生物「バルンガ」でした。
 バルンガはどうやら、宇宙のどこかで帰還中だったサタン1号の外壁に付着し、サタン1号の燃料エネルギーを吸収しながら地球に運ばれてきたようなのです。

 見たところ、目も鼻も口もない赤茶色のこきたない風船といった感じのバルンガだったのですが、セスナ機や自動車のエンジンなどの地球上のありとあらゆる動力エネルギーを吸収してみるみる巨大化していきます。
 人類の文明そのものというありあまるエサを食い尽くすバルンガは大都会・東京でどんどん巨大化、ついには季節はずれに発生した台風さえも食っちゃう存在になってしまいます。どんだけ~!?

 対応に苦慮した国連は、20年前から宇宙生物バルンガの研究を続けて学会から異端視されていた宇宙科学者・奈良丸明彦博士の助言を得て、大気圏外に人工太陽を打ち上げてバルンガを地球から追い出す作戦を決行します。
 実験は成功! 人工太陽を食べようとしたバルンガは宇宙に去り、さらには本物の太陽さえも食べようとして地球から離れていくのでした……

 以上のように、「怪獣」という枠におさまりきらないようなスケールを持った宇宙怪獣バルンガだったのですが、パワー押しで迫ってくるあの宇宙超怪獣キングギドラとも違った意味で手ごわい存在でした。
 とにかく正体不明、なに考えてるのか全然わからない、どんな武器もエサになるだけで効果がない。まさに「地球の常識」の一切が通用しない宇宙サイズの事件です。

 この「バルンガ」事件の資料映像は、鳴き声もださずに不気味な鼓動音だけを響かせて浮遊し続けるバルンガと、人類の発展しすぎた文明を批判する役割も持ち合わせている奈良丸博士の存在感が非常に印象的な「静かな名作」に仕上がっています。
 まだ観てない方、ぜひとも観てみて! またモノクロ作品っていうのが、味わい深くていいんだよねぇ~。

 日本が世界に誇る、21世紀になっても決して色あせることのない傑作SF特撮ドラマシリーズ『ウルトラQ』の第11話『バルンガ』。
 私そうだいといたしましては、数多くあるウルトラシリーズのエピソードでもベスト10に入る珠玉の逸品だと思っております! ベスト8くらいかな。ベスト1は、当然ガッツ星人ね。
 
 最後に余談として、現実の世界で人類初の火星探査機が火星に到達するのは、『ウルトラQ』初放映から7年後、1973年のマルス3号(ソヴィエト連邦)。土星探査は、1997年に打ち上げられた初の探査衛星カッシーニ(アメリカ)が、現在も土星の周辺を回って探査中という状況となっています。
 うーん、さすがは『ウルトラQ』! 現実を先取ってますね。でも、宇宙関係は架空であれ現実であれどっちもロマンがあっていいやね。


《次回予告》
 とまぁ、こんな感じで奇妙キテレツな宇宙怪獣がぼつぼつ現れはじめた1966年だったのですが、負けじとばかりに宇宙人も地球にやって来るようになります。
 まず最初の宇宙人襲来事件は3月。トップバッターは……なんだあれ、ロボットなのか、あのカタチで~?
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元気そうでなにより!

2011年02月22日 22時59分59秒 | 日記

 人間には、思い出したくない過去というものがある。
 私も、およそ30年間も生きてきたなかで、多くの方々に無数の迷惑をかけてきた。今現在もそうやって生きている。
 今すぐにでも会ってあやまりたい方もいる。
 しかし、会うことそのものがまた新たな迷惑になってしまうこともあるだろう。そんな方に対しては、ただただ、その方のしあわせをねがうことしかできない。

 でも、いつか、会ってあいさつができる日が来るのではないか。あいさつができる人間に私がなれる日が来るのではないのだろうか。
 ふとそう思ってしまう時がある。まずはその可能性をつむぎだすためにも、私は生きなければならない。死ぬわけにはいかない。
 あの人に会うまでには。あの時の笑顔をまたもらうまでには。

 人間が生き続ける原動力というものの中に、そういった種類のものがあってもいいだろう。最近そう思った。

 私は生来の下戸だ。
 おいしい酒を呑むことのできる人を、私は心から尊敬する。



 ……ってなわけで、ね。
 インターネットの世界っていうのは、本当に不思議なものだなぁ!
 とにかく、まさかそんなに激しい人生を楽しんでおられていたとは……
 会いたい。でも今は会わない。
 とにかく、これからも元気に生きてってもらいたいな! 私が会いに行くまで、もちっと待っていてください。
 ていうか、おぼえてらっしゃるかな……忘れてくれていたら、それはそれでいいんだけど。

 いや~。ブログって、4、5年たってから読みかえすとおもしろくなるんだね。私もがんばって続けてみよう。


 あっ、「宇宙人企画」の続き? 次回、次回ね!
 フーラメンコ~。
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