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日記に…なるかしらん

あらためて立ち返ろう読書メモ 小説『帝都物語異録』

2025年07月18日 23時28分08秒 | すきな小説
『帝都物語異聞 龍神村木偶茶屋』(2001年12月)
 『帝都物語異聞 龍神村木偶茶屋』(ていとものがたりいぶん りゅうじんむらでくぢゃや)は、荒俣宏の短編伝奇小説。『帝都物語』シリーズ開始15周年を記念して、「魔人・加藤保憲の野望の実現に向けて協力し、知恵を貸す」目的で出版された、荒俣の編著による『帝都物語』シリーズの解析書『帝都物語異聞』(原書房)に収録された書き下ろし作品である。91ページ。

 この『帝都物語異録』に寄せたエッセイで荒俣は、魔人・加藤保憲のキャラクター造形の原型となった人物として、以下の名前を挙げている。
・不老長寿の秘薬を求めて国境を越えた旅を続けた流浪の方士・徐福(紀元前3世紀)
・陰陽師、木地師、山の民、巫女といった日本国家の枠組みから外れた人々の祖となった行者・役小角(634~701年)
・8世紀前半に現在のモンゴル北部からベトナム北部まで大規模な子午線の測量を行った真言宗の高僧・一行(いちぎょう)禅師(683~727年)
・日本に陰陽道と牛頭天王信仰を輸入した遣唐使の吉備真備(695~775年)
・大和朝廷に排斥された蝦夷族の族長アテルイ(?~802年)
・日本の山の民や忍者衆の始祖である乱裁道宗(あやたち みちむね 乱破道宗とも 10世紀後半~11世紀前半?)
・四世鶴屋南北の歌舞伎『天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)』などの主人公である、日本の壊滅を目論む妖術師・天竺徳兵衛(江戸時代初期の実在の人物がモデル)
・都市に復興と破壊をもたらす謎の人物・ハーメルンの笛吹き男(1284年に実際に起きたとされる事件)

※『帝都物語異聞』の寄稿者 …… 斎藤英喜(古代宗教学者)、高橋富雄(東北古代史研究者)、佐治芳彦(歴史評論家)、伊藤悠可(古神道、禅宗研究者)、豊嶋泰国(古代宗教研究家)、志村有弘(古代文学研究者)、大宮司朗(古神道、霊学研究家)、黒塚信一郎(古代宗教研究者)


あらすじ
 明治十一(1878)年9月、太平洋の熊野灘にのぞむ七里御浜。水死体が光り輝いて見える異能を持つ少年・保(やす)は、海のはるか南から小舟を漕いでやって来た謎の男・加藤重兵衛と出逢う。重兵衛は脇腹に重傷を負いながらも、熊野古道をたどり奥地の龍神村を目指して進んでゆく。自分と同じ灰色の瞳を持つ重兵衛に言い知れぬ魅力を感じた保は、自分の異能を認めた重兵衛に従い、龍神村への旅に加わるのだった……


おもな登場人物
保(やす)
 三重県の七里御浜にある大馬に住む漁師の青年。元治元(1864)年生まれ。浅黒い肌で筋骨隆々の大柄な体格、長い顔にとがった顎、薄く長い眉に切れ長な目、灰色の瞳をしている。両親を亡くして天涯孤独の身となっている。大馬の獅子岩の上に立って一日中熊野灘を見つめており、まだ発見されていない遠くの水死体が光って見えるという特殊な能力を持っているために近所の村人から「てんぎゃん(天狗のように不思議な小僧という意味)」と呼ばれている。その透視能力は確かで、地元の警察官が捜索の助けを依頼するほどである。字は読めないが、言葉を聞いて相手の意図や感情を読み取る能力が非常に高い。

加藤 重兵衛(かとう じゅうべえ)
 七里御浜の大馬に一人乗りの小舟を漕いでやって来た男。黒い鎖帷子の胴着を身にまとい、痩せてクモのように手足が長いが胸板は厚い。保と同じように長い顔にとがった顎、灰色の瞳をしていて、薄い唇で冷たく笑う。大馬の遥か南東に位置する太平洋の無人諸島(ボニン諸島 現・小笠原諸島)で、古代熊野の龍神党陰陽師の末裔と闘って脇腹を斬られ、10日かけて逃れて来た。
 大馬に来たのは、熊野古道を通って和歌山県の龍神村へ行くためであり、日本に眠る数多くの怨霊たちを覚醒させて明治新政府を崩壊させることを目論む。安倍晴明と朝廷の陰陽寮の系譜に連なる土御門神道とは全く異なる、芦屋道満の流れをくむ裏の陰陽道「若一党(じゃくいちとう)」の棟梁であり、賛同する陰陽師や山伏たちを率いて、日本の怨霊たちを「反魂の術」で復活させる。紙から黒いカラスに変じる式神を打つことを得意とする。五芒星(セーマン)の墨書された布を使い死者の魂を召喚することができる。

村主 熊太郎(すぐり くまたろう)
 熊野の龍神村の名主で、明治新政府の神仏分離令を名目に10名程の武装集団「神威隊」を組織して、龍神村の龍神寺を襲撃した。日本が世界に通用する近代国家になるためには、国家神道以外には仏教も淫祠邪教も一切邪魔であるとして過激な破壊活動を扇動する。特に、熊野で強く信仰されている陰陽道(ドーマンセーマン)や牛頭天王信仰を外国から輸入されてきた邪教として強く敵視しており、龍神党の聖地である木偶茶屋を陸軍に依頼して砲撃させるほどに憎んでいる。肥満しているが刺叉による攻撃を得意とする。

庄司 新九郎(しょうじ しんくろう)
 龍神村の森「和田谷(わだのたに)」の奥にあるあばら家にいた老人。たっつけ袴に胴衣を着て茶筅髷を結っている。その正体は南朝の遺臣ですでに故人であるが、加藤重兵衛の反魂の術により現世に召喚される。

安倍 晴明(あべのせいめい 921~1005年)
 平安時代の大陰陽師、天文博士にして、日本最大の白魔術師。当時の呪術コンサルタントとして皇族や貴族・民衆の間で絶大な信望を集めた。
 本作では、龍神村を訪れた加藤重兵衛の怨念に呼応する形で笠塔山山頂の木偶茶屋に顕現し、重兵衛と対決する。重兵衛によく似た長い顔だが肥満して色は白く、瞳は黄色く輝いている。


おもな用語解説
王子(おうじ)
 仏教を守護する、密教でいう護法童子と同じ役割の、童形の神霊のこと。特に熊野古道の路傍に点在している小さな祠や石柱、碑などで祀られている王子たちは、まとめて「九十九王子(つくもおうじ)」と呼ばれる。古代から熊野の山岳地帯や沿岸地域で祀られ崇敬され、怒ると祟るともいわれる。多くの王子たちはそれぞれの土地や村のみで祀られている小さな神霊だが、強力な祟り神である牛頭天王の眷属は特に「八王子」と呼ばれている。

餅鉄(もちてつ / べいてつ)
 河川の水に流されているうちに磨耗し、丸い餅のような形になった磁鉄鉱のこと。川原や山中に転がっていて見た目は小石のようだが、色が黒く明らかに石より重い。また磁力も持っている。かつて、たたら製鉄などの古代製鉄において、砂鉄と並ぶ重要な原料として盛んに採集、利用され、日本刀の材料にもなっていた。成分は60 %以上が酸化鉄で、砂鉄よりも不純物が少なく鉄にしやすい。
 古代の煉丹術(れんたんじゅつ)を修める密教の行者たちが、五穀を断って即身仏になるまでの間に食べ続け、それによって肉体が金属に変質し不老不死になると信じられていた。

龍神村(りゅうじんむら)
 熊野古道の奥地にある、日本の陰陽道の聖地。現・和歌山県田辺市。古代に朝鮮半島から渡来した神仙たちが陰陽道の拠点とし、安倍晴明の師とされる伯道仙人もこの龍神の地で羽化登仙したといわれる。そのため晴明も龍神において、星の位置を測り天の命運を読み取る「宿曜術」の奥義を伯道仙人から学んだ。これによって日本の陰陽道は晴明と朝廷の陰陽寮に独占される形となったが、もともと龍神にいた陰陽師たちの中には、晴明に従わず民間の陰陽師として別個に存続していく流派「龍神党」もあった。

牛頭天王(ごずてんのう)
 日本における神仏習合の神で、釈迦(ブッダ)の生誕地である祇園精舎の守護神とされた。蘇民将来伝説の祟り神であると同時に薬師如来の垂迹であり、また古代日本神話のスサノオの本地ともされた。京都東山の祇園などに鎮座して祇園信仰の神ともされ、現在の八坂神社にあたる感神院祇園社から勧請されて全国の祇園社、天王社で祀られた。また陰陽道では天道神とも同一視される。
 本作では、古代中国大陸から渡来した際に、それ以前から熊野にいて大和王権の拡大を助けた古代神ハヤムシャとそれを信仰する龍神党陰陽師を排斥して熊野に鎮座したとされている。熊野の天狗たちを使役して、龍神村を目指す加藤重兵衛を妨害する。

廃仏毀釈
 明治新政府は、慶応四(1868)年3月に布告した「神仏分離令」や明治三(1870)年1月に発布した詔書「大教宣布」などにより、仏教に由来する国民負担の軽減政策を打ち出した。当初、この政策は神道と仏教の分離が目的の行政改革であり、仏教のみの排斥を意図したものではなかったが、江戸時代まで長年にわたり仏教に圧迫されてきたと感じていた水戸派・平田派国学を信奉する神職者たちによって廃仏運動が引き起こされ、民衆も巻き込んで仏像や仏具が破棄される廃仏毀釈運動が全国的に発生することとなった。
 廃仏毀釈運動の規模については全国一律ではなく地域により大きな差があったが、これは主に藩学の普及と、民衆の学力向上の度合いの差による。浄土真宗の信仰が強い愛知県や福井県では、廃仏の動きに反発する護法一揆が発生しているが、それを除けば全体として大きな反抗もなく、明治四(1871)年1月に「寺社領上知令」が布告され、寺社の領地が政府によって調査・確定されたこともあり、運動は終息した。

神威隊(しんいたい)
 明治新政府が布告した神仏分離令に起因する1870~71年に発生した全国的な廃仏毀釈運動の中で、武装した神職や民衆が結束して寺院を襲撃した過激派集団のこと。1870年4月に、40名ほどの武装した日吉大社(滋賀県大津市)の神官たちが「神威隊」を名乗って蜂起し、延暦七(788)年の伝教大師最澄による開山いらい千年以上にわたって日吉大社を勢力下に置いてきた比叡山延暦寺に対して反旗を翻した。
 神威隊を率いたのは、日吉大社社司で明治新政府の神祇事務局に所属していた樹下茂国(じゅげ しげくに 1822~84年 岩倉具視の腹心)と、同じく社司の生源寺希徳(しょうげんじ まれのり 1854~94年以降)で、神威隊は延暦寺に対して日吉大社の自治権を主張し神殿の鍵の引き渡しを要求した。しかし、その要求を頑として拒否する延暦寺側に業を煮やした神威隊は日吉大社の本殿になだれ込み、祀られていた本地仏などの仏像や『大般若経』などの経典、仏具など124点に火を放ち、鰐口や具足などの金属類48点を持ち去った。神威隊の暴徒の中には、社司たちから雇われた地元坂本の農民も含まれていたとされている。これは、当時坂本を延暦寺が支配しており、小作人たちが重い年貢を課されていたことも起因しており、江戸幕府の庇護のもと長年にわたって既得権益を得てきた延暦寺にたいする地元民の反感は、日吉大社の神官たちと同様に深く燻り続けていたと察することができる。この神威隊による日吉大社襲撃事件が、全国に波及していく廃仏毀釈運動の端緒となった。
 本作では、日吉大社の神威隊とは直接の関係は言及されていないが、同じ神威隊を名乗る、木槌や金剛杖で武装した10名程の暴徒が龍神村の龍神寺を襲撃した。ちなみに、本作の時代設定は全国的な廃仏毀釈運動が終息してかなり後の1878年である。

小笠原諸島
 東京湾の南南東約1,000km の太平洋上にある30余りの島々からなる諸島地域。江戸時代には無人(ボニン)諸島と呼ばれていた。
 本作では、牛頭天王の渡来によって古代熊野から排斥された龍神党陰陽師の末裔が原住民化して暮らしており、南朝天皇の子孫「熊野の天子」が逃れて潜伏し、日本の「偽りの天子」を倒すために再起する「影のみやこ」とされている。

笠塔山(かさとうやま)
 和歌山県田辺市にある標高1,049m の山で、平安時代中期の大陰陽師・安倍晴明が魔物を笠の下に封じ込めたという伝説が残り、登山口には晴明を祀る小さな祠がある。山頂からの展望は良く、太平洋と瀬戸内海が交わる紀伊水道の海が望める。

木偶茶屋(でくぢゃや)
 笠塔山の山頂にある、幅5尺(約1.5m)・長さ60間(約108m)ほどの土舞台のようになった馬場のことで、ここでかつて、安倍晴明に辱められた加藤重兵衛の母が自害した。古来から神霊の魂を鎮めるための「巫女舞」の神事が行われていた神聖な場所で、神霊の魂を呼び降ろすための「人形まわし」も行われていたために木偶茶屋と呼ばれるようになった。




≪いよいよ本格再始動か!? 本文マダヨ≫
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あらためて立ち返ろう読書メモ 小説『陰陽師鬼談 安倍晴明物語』

2025年07月16日 22時27分58秒 | すきな小説
『陰陽師鬼談 安倍晴明物語』(2000年10月)
 『陰陽師奇談 安倍晴明物語』(おんみょうじきだん あべのせいめいものがたり)は、荒俣宏の時代伝奇小説。当初は『夢々 陰陽師鬼談』という題名で角川書店から単行本が出版されたが、2003年8月に角川文庫で文庫化された際に改題された。
 のちに出版された『帝都物語』シリーズの解析書『帝都物語異録』(2001年12月 原書房)での荒俣の解説によると、本作は荒俣が『帝都物語』の執筆を開始した1979年ごろに並行して執筆した伝奇ロマン連作小説『平安鬼道絵巻』がベースになっている。また荒俣は、本作で安倍晴明をヒーローとして描いたため、その反対に陰陽師を悪役にした小説を書こうと思い立ち『帝都物語』の魔人・加藤保憲が誕生したと語っている。


あらすじ
 そこに立った子どもは、不思議な面立ちをしていた。その顔は、最近都で流行り出した舞楽の面のようだった。風が吹くと、赤毛がふわりとふくらむ。異国の香りを漂わせるその風貌には、高貴なたたずまいと、恐ろしく異質なあやかしの気配とが同居していた。
 今をさかのぼる千年前、平安の世で活躍した陰陽師・安倍晴明の秘められた物語。


おもな登場人物
聖徳太子厩戸皇子(しょうとくたいしうまやどのみこ 574~622年)
 飛鳥時代の第三十一代用明天皇(?~587年)の第二皇子。叔母の第三十三代推古天皇(554~628年)の摂政として、大臣・蘇我馬子(551~626年)と共に政治を行い、遣隋使を派遣して中国大陸の隋帝国(581~618年)から進んだ文化や制度をとりいれて「冠位十二階」や「十七条憲法」を定めるなど、天皇を中心とした中央集権国家体制を確立した。また、中国伝来の仏教を厚く信仰して興隆に努め、没後には聖徳太子自身も日本の仏教で尊崇され、「太子信仰」となっていった。
 伝説によると、六歳の時(579年)に空を飛ぶ黒馬に乗って朝鮮半島に渡り陰陽学を学び、法華経を日本に持ち帰ったとされる。

橘大郎女(たちばなのおおいらつめ ?~?年)
 聖徳太子の妃。第三十代敏達天皇(538~85年)の皇子・尾張皇子(?~?年)の娘で推古天皇の孫にあたる。聖徳太子との間に1男1女をもうけた。聖徳太子の妃たちの中で最も気丈な性格で、大臣・蘇我馬子の権力増大を容認し、異国の仏教や陰陽学に過度に傾倒して夜叉を使役する夫の行動に疑念を抱く。

吉備 真備(きびのまきび 695~775年)
 奈良時代の学者・公卿。養老元(717)年に遣唐使留学生として阿倍仲麻呂らと共に唐帝国に入り、陰陽学・天文学・兵法・陣法・暦数などを学びながら皇帝皇子の家庭教師を務めた。天平七(735)年に数多くの漢籍を携えて帰国し朝廷で重用され大納言まで昇進し、天平勝宝四(752)年に藤原清河の率いる第12次遣唐使に参加して再び唐に渡り、かつての盟友・阿倍仲麻呂と共に帰国しようと図る。唐にて「奇門遁甲の術」や「夢買いの術」を習得する。

阿倍 仲麻呂(あべのなかまろ 698~770年)
 奈良時代の学者・貴族。養老元(717)年に遣唐使留学生として阿倍仲麻呂らと共に唐帝国に入り、陰陽学・宿曜経などを学びながら皇帝皇子の家庭教師を務め、そのまま帝国の首都・長安で高官として勤め上げた。天平勝宝四(752)年に藤原清河の率いる第12次遣唐使が来唐した際に、唐皇帝玄宗に日本への帰国を申し出るが許可されず、清河やかつての盟友・吉備真備と共謀して翌年に無断帰国を図る。陰陽学の師である唐の伯道仙人の愛弟子だった、龍宮の龍王の娘・龍女との間に嫡男・満月丸をもうけている。

鑑真(がんじん 688~763年)
 唐帝国の高僧。日本に僧侶の授戒制度を伝えるべく渡海を目指すが5回失敗して失明してしまう。藤原清河や吉備真備らの遣唐使の帰国船に内密に乗船し、天平勝宝六(754)年についに悲願の来日を果たした。日本の南都六宗のひとつ「律宗」の開祖となった。

藤原 秀郷(ふじわらのひでさと 885?~991?年)
 平安時代中期の豪族、武将。下野国大掾・藤原村雄の子。承平年間(931~38年)に近江国の瀬田大橋で、全長20丈(60m)の白い大蛇と琵琶湖の龍神に遭遇する。

平 将門(たいらのまさかど 903~40年)
 平安時代中期の関東地方の豪族。第五十代桓武天皇の皇胤。下総・常陸国で発生した平氏一族の抗争を関東地方全体を巻き込む戦乱へと拡大させ、京の朱雀天皇に対抗して「新皇」を自称し、東国の独立を宣言したが、朝廷の派兵した武将・藤原秀郷らによって討伐された。その死後に日本を代表する大怨霊のひとりとなったが、同時に守護神・鎮守神としても民衆から大事に尊崇・信仰された。
 秀郷に討ち取られた将門の首は京へ運ばれたが、首の無くなった身体は自分の首と秀郷を追って下総国から武蔵国までやって来た。秀郷は将門の身体を埋めて封印し、そこを「骸(からだ)明神」として祀った。これが現在の「神田明神」の始まりであるとされる。

安倍 晴明(あべのせいめい 921~1005年)
 平安時代の大陰陽師、天文博士にして、日本最大の白魔術師。当時の呪術コンサルタントとして皇族や貴族・民衆の間で絶大な信望を集めた。
 本作の設定では、遣唐使として唐帝国に渡り陰陽学を修めた貴族・阿倍仲麻呂と龍宮の龍王の娘・龍女との間に生まれた子・満月丸の曽孫にあたり、幼少期は童子丸と名付けられ摂津国阿倍野で「狐の子」と呼ばれ貧しい生活を送っていた。しかし10歳の時(930年)に仲麻呂と龍女の陰陽学の師である伯道仙人や龍女の父・龍王と出逢い、龍王の末娘の息長姫(おきながひめ)と婚姻する。その後、龍王から授かった秘宝を駆使して応和元(961)年に内裏の怪事件を解決し、朝廷に仕えるようになる。のっぺりとした狐のような顔をして、明るい赤毛の男。
※本作では晴明は阿倍仲麻呂の直系の子孫とされているが、阿倍家は飛鳥時代の7世紀初期に「布勢系」と「引田系」に分かれており、晴明は布勢系で仲麻呂は引田系であるため、これは架空の設定である。また、晴明が「阿倍」姓を「安倍」姓に改めたというのも架空の設定で、実際に安倍姓になったのは平安時代初期の8世紀末~9世紀前半のこと(晴明誕生の約100年前)とされている。

息長姫(おきながひめ)
 龍宮の龍王の末娘で、安倍晴明の6歳年上の正妻。亀に化けて摂津国住吉の浦に現れた時に子どもに捕まり、いじめられていたところを童子丸(のちの晴明)に助けられ、一目惚れして婚姻した。晴明に嫁ぐ際に「鯛ノ女(たいのめ)」と「海松ノ巫女(みるのみこ)」という侍女を龍宮から連れてきている。

賀茂 保憲(かものやすのり 917~77年)
 平安時代中期の貴族・陰陽師。同じく陰陽師の丹波権介・賀茂忠行の嫡男。安倍晴明の陰陽道の兄弟子にあたる。父・忠行と同じく『白衣観音経』を修めた陰陽道の達人で、当時の陰陽道の模範とされるほどの評価を得ており、また暦道も究め、日本の暦法の発展は彼がいなければあり得なかったといえる。
 天慶四(941)年に造暦の宣旨を受けて以降、暦博士・天文博士・陰陽博士・陰陽頭・穀倉院別当・主計頭を歴任し、天延二(974)年には造暦の功により従四位上に叙せられる。これは当時の陰陽師の中では異例に昇進が早く、従五位下だった父・忠行よりも位階が上になっていた。
 陰陽道のうち、暦道を子・光栄に、天文道を安倍晴明に継がせて、陰陽道宗家を二分した。
※本作では忠行・保憲父子の出た賀茂家は吉備真備の子孫とされているが、これは後世の創作である。

芦屋 道満(あしや どうまん 958?~1009年以降)
 平安時代中期の法師陰陽師(民間の陰陽師)。播磨国岸村(現・兵庫県加古川市)の出身とも伝えられているが、実像については不明な点が多い。
 本作では、朝鮮半島からの渡来人の血を引き、播磨国天下原(あまがはら)の古墳で先祖の霊や怨霊を鎮めていたが、応和元(961)年に内裏の怪事件を解決するために、新内裏造営の責任者である右大弁・橘元方に招聘されて京に上り、安倍晴明・賀茂保憲と対決する。3体の式神を使役していたが、意図して封印し京には連れて来なかった。乱れた長髪で手作りの紙製の冠をかぶり、くっきりした二重まぶたで唇の厚い青年。法師陰陽師ではあるが、朝廷にとり立てられて陰陽寮の博士になることを密かに望んでいる。星の仏である虚空蔵菩薩の法力を借りる「求聞持法(ぐもんじほう)」を得意とする。

源 高明(みなもとのたかあきら 914~83年)
 平安時代中期の公卿。第六十代醍醐天皇の第十皇子。左大臣。皇族出身という高貴な身分に加えて学問に優れ朝儀にも通じており、また当時の政界実力者だった右大臣・藤原師輔やその娘の中宮・安子の後援も得て朝廷で重んじられた。しかし師輔・安子父娘の死後には藤原家に忌まれ、安和二(969)年の政変「安和の変」で失脚し、政界から退いた。京の内裏の北東に位置する右京四条に壮麗な豪邸を構えていた。

渡辺 源次 綱(わたなべのげんじ つな 953~1025年)
 平安時代中期の武将。第五十二代嵯峨天皇を祖に持つ嵯峨源氏の子孫で、渡辺家の始祖。武将・源頼光の4人の重臣「頼光四天王」の筆頭として知られる。京の一条堀川戻橋で美女に化けた大鬼・茨木童子と対決する。左源太と右源太という郎党がいる。主君の頼光から、源氏重代の名刀「髭切(ひげきり)」を拝借している。

源 頼光(みなもとのよりみつ 948~1021年)
 平安時代中期の武将で渡辺綱の主君。鎮守府将軍・源満仲の嫡男で清和源氏第三代。名前はしばしば「らいこう」とも読まれる。父・満仲が史上初めて武士団を形成した摂津国多田(現・兵庫県川西市)を相続し、その子孫は「摂津源氏」と呼ばれる。
 のちに実の兄弟である丑御前の抹殺を父・満仲に命じられる。
※本作における丑御前の反乱は天暦十(956)年に起きた事件に設定されているため、頼光の年齢と合っていない。

源 丑御前(みなもとのうしごぜん 941年~)
 源満仲の息子で、頼光の弟。身長8丈(約2.4m)で2本の長い牙と四方に伸びた黒髪の間に2本の角を持つ異形の姿で、瞳は炎のように赤く輝いている。大きな杉の木を引き抜く怪力と韋駄天のように素早く走る脚力を持ち、その恐ろしい声には大和国の山中の熊もおびえる。
 清和源氏の家に生まれながらも、自分を強引に日本に連れてきた吉備真備の末裔である陰陽師を深く恨む牛頭天王の神意を胎内に宿したという母親の夢告と、3年3ヶ月にわたる異常に長い妊娠を大いに畏れた父・満仲が生まれた丑御前を殺すように命じ、それを不憫に感じた母が、乳母の須崎の方に密かに丑御前を連れて大和国の山中に逃れるようにはかった。天慶四年辛丑の年の三月二十五日丑の日の丑の刻に生まれたため「丑御前」という幼名を名付けられた。
 乳母・須崎の方とその夫・勝馬、2人の息子のひのくま宗虎の3人を家臣に従え、自分を殺そうとした父・満仲への復讐心に燃えて関東地方にくだり、かつて平将門が拠点とした下総国の相馬御所で将門の霊意を得て挙兵する。
※本作では丑御前は源頼光の弟と設定されているが、天慶四年生まれの丑御前は、天慶の次の年号の天暦年間生まれの頼光よりも明らかに年上である。

源 満仲(みなもとのみつなか 912~97年)
 平安時代中期の武将。武蔵権守。六孫王経基の嫡男で清和源氏第二代。多田源氏の始祖。
 牛頭天王の祟りを受け3年3ヶ月の異常な妊娠期間を経て生まれた異形の息子・丑御前を恐れて殺そうとするが失敗し、大和国の山中に逃れて16歳となった丑御前の抹殺を、同じ息子の頼光に命じる。

芦屋 宗源(あしや そうげん)
 安倍晴明の若い弟子の陰陽師。晴明に従いながらも、源満仲・頼光父子の策謀に加わり宇治の橋姫と契ろうとする晴明の企てを、晴明の正妻の息長姫に密告する。黒いひげをたくわえ眼光の鋭い行者風の青年。式神を駆使することができる。芦屋道満との関係は不明。

坂田 金時(さかたのきんとき 956~1011年)
 平安時代中期の武将。武将・源頼光の4人の重臣「頼光四天王」の一人。幼名・金太郎。駿河国の足柄山(現・静岡県小山町)で育ち、天延四(976)年に足柄峠を訪れた源頼光にその力量を認められて家来となった。武者としての誠を重んじる実直な性格で、実の息子または兄弟である丑御前を策謀に陥れて殺そうとする満仲・頼光父子に真っ向から異を唱える。
※本作における丑御前の反乱は天暦十(956)年に起きた事件に設定されているため、金時の年齢と合っていない。


おもな専門用語
亀卜(きぼく / かめうら)
 古代中国大陸の殷王国の時代(紀元前16世紀~紀元前1046年)から広く行われていた、亀の甲羅に火を当てて生じる亀裂の形や方向を見て神意を読み取る占術。中国大陸に伝わる、洛水の神亀の甲羅に大地を治める秘法が記してあったという古代神話に由来する。のちに新しい占術「易」が開発されてからも亀卜の権威は保たれ、易で意見がまとまらない場合や国家の一大事の最終決断には亀卜が用いられた。
 古代日本でも亀卜は占術の最高権威とされ対馬国の卜部家が伝承していたが、手順が難解煩雑であるために滅多に行われなくなり、次第に衰退した。

易(えき)
 古代中国大陸の周王国の時代(紀元前1046~紀元前256年)に開発された占術で、50本の細い棒「筮竹(ぜいちく)」を無作為に分けて神意を読み取る。殷王朝の亀卜よりも簡単・確実に占うことができる。

陰陽(いんよう / おんみょう)
 中国大陸で古代から伝えられてきた思想で、世界を動かしている昼の天に輝く太陽の力「陽」と、夜の暗い空に浮かぶ太陰(月)の力「陰」のこと。この世にあるすべての事物、森羅万象の成り立ちは、この陰と陽の力のバランスの変化によって生まれる。

五行(ごぎょう)
 天に輝く5つの惑星「青の木星」、「赤の火星」、「黄の土星」、「白の金星」、「黒の水星」のこと。この世界のすべての事物はこの5種類に分類できるとされ、方角に関しては中国大陸から見て青い海のある東が「木」、暑く赤い大地のある南が「火」、白い雪の降り積もる崑崙山脈や天山山脈のある西が「金」、暗い夜空のある北が「水」、黄砂の大地の広がる中央が「土」となる。また、季節については春が「木」、夏が「火」、秋が「金」、冬が「水」、それらの4季節の変わり目となる終わりの2週間が「土」となる(土用の丑の日の語源)。

相性(あいしょう)
 五行同士にある力関係のことで、相性が良いもの同士は力を出し合い、相性が悪いもの同士は力をそぎ合う。「木と火」、「火と土」、「土と金」、「金と水」は相性が良く、「木と土」、「火と金」、「土と水」、「金と木」、「水と火」は相性が悪い。

陰陽学(いんようがく)
 古代中国大陸に伝わる「陰陽」と「五行」の思想に基づき、亀卜や易の吉凶の判定を体系化したり、実際の天文の運行に合うように研究・改良を進めてきたりした学門のこと。漢帝国の時代(紀元前206~紀元後220年)までは陰陽の関係が重視されてきたが、唐帝国の時代(618~907年)になると五行の分類が注目されるようになり、この時の五行研究が遣唐使を通じて日本に伝来することとなった。同時に、西洋占星術と起源を同じくするインド発祥の占術「宿曜経(すくようぎょう)」を広めていた仏教の僧侶たちも陰陽学を吸収し修めるようになった。日本に陰陽学を伝えたのは朝鮮半島の僧侶たちだったとされている。
 日本では天武天皇(?~686年)が在位五(676)年に、陰陽学を学び実践する役所「陰陽寮」を開設し、そこから日本独自に陰陽学を修める宮廷官僚を「陰陽師(おんみょうじ)」、陰陽師たちの学問と技術を「陰陽道(おんみょうどう)」と呼ぶようになった。

民間陰陽師(法師陰陽師)
 古代朝廷は日本の陰陽道を独占するために陰陽寮の官人のみに陰陽師を限定し、もともと日本に陰陽学を伝えていた僧侶が陰陽師になることを禁止したが、それ以前に中国大陸から渡来していた仏教系の陰陽学はすでに民間に広く伝わっており、朝廷の傘下に入ることを嫌った呪術師たちが法師陰陽師となり、陰陽寮の陰陽師と対立する存在となっていった。

夜叉(やしゃ)
 もとは人を喰う邪悪な存在であったが、仏法を守護する四天王のひとり毘沙門天に敗れ配下にくだり、仏法を学んで悟りを開き仏法の守護者となった鬼神や精霊たちのこと。陰陽学を修めた僧侶「方士(ほうし)」に奉仕し、方士に使役されて四方位から襲ってくる外敵や悪霊を撃退したり、墓に眠る先祖の霊を守護したりする役目を担った。人々に不老長寿をもたらし、金銭を儲けさせる神通力を持っている。人間の大人と同じくらいの背丈で身体は青黒く、腕が4本あり、頭髪は炎のように燃え上がっている。非常に気前の良い性格。

蘇民将来(そみんしょうらい)
 8世紀中期に中国大陸から日本に伝来した、祇園社の牛頭天王に祈願する際に護符と八角形の柱に記す名前で、牛頭天王は疫病や天変地異をもたらし人々を呪う強力な祟り神であるが、この護符を持つ民に対しては災厄や疫病を祓い福を招く神になるとして信仰されている。陰陽道では「天徳神」と同一視され、民衆は蘇民将来の子孫であることを示すために茅の輪を身に着けていたという。

簠簋内伝金烏玉兎集(ほきないでんきんうぎょくとしゅう)
 龍宮の龍王が所有していた、陰陽学と天文知識を伝える秘伝書。星の動きを知り、未来を予知し、大地の祟りを鎮めることができる禁断の秘術が記されている。

摩睺羅伽(まごらが)
 仏教を守護する護法善神「天龍八部衆」の一尊。サンスクリット語で「偉大なる蛇」を意味するマホーラガが名前の語源。もとは古代インドの音楽の神で、ニシキヘビのような大蛇を神格化したものである。本作では、日本に持ち出された『簠簋内伝金烏玉兎集』を取り返そうとする龍王の命により、百本の脚を持つ巨大なムカデの姿となり近江国の三上山に出現した。

宿曜経(すくようぎょう)
 陰陽学とは全く異なる、西洋占星術と起源を同じくする古代インド発祥の星の知識を駆使する占術の経典で、仏教の秘儀と共に高僧・三蔵法師玄奘(602~64年)が中国大陸に伝えた。大乗仏教の一尊である、叡智の仏・文殊菩薩の教えとされる。中東アジアの古代メソポタミア文明を発祥とする、天を12に区分してそれぞれに聖獣を配置した「黄道十二宮」などの天文学も導入されており、陰陽学と共に日本の陰陽道の重要知識のひとつとなった。

緊那羅(きんなら)
 もとは古代インド神話に登場する、夜叉と共に創造神ブラフマー(梵天)のつま先から生まれた音楽の神だったが、護法善神「天龍八部衆」の一尊となった。歌と踊りに秀でて特に歌が美しいといわれる。男性のキンナラは半人半馬だが、女性のキンナリーは美しい天女で、ときおり地上に舞い降り水浴びなどして遊ぶという。
 日本では、神でも人間でも動物でも鳥でもない半身半獣の生物とされるため「人非人」とも呼ばれ、半人半鳥の音楽神・乾闥婆(ガンダルヴァ)と同様に帝釈天(インド神話のインドラ)の眷属となっている。
 本作では、京の内裏の北東にある左大臣・源高明の邸宅に巣食う、仏教の力で人間になることを夢みる零落した小鬼として登場する。

乾闥婆(けんだつば)
 もとは古代インド神話に登場する、英雄神インドラ(帝釈天)に仕える半人半鳥の音楽の神ガンダルヴァで、女好きで性欲が強いが処女の守護神でもあるとされる。女性のガンダルヴァも存在する。酒や肉を喰らわず香りを栄養とし、自身の身体からも冷たく濃厚な香気を発する。サンスクリット語でガンダルヴァとは「変化が目まぐるしい」という意味であり、蜃気楼のことをガンダルヴァの居城にたとえて「乾闥婆城( gandharva-nagara)」とも呼ぶ。古代ギリシア神話の牧神パンと同源であると推定されている。仏教では護法善神「天龍八部衆」の一尊となっている。
 本作では、他の娘の家に泊まり込むようになった夫を強く恨んだ妻が化身した、白髪で全身が青い鬼女として登場する。

三十番神(さんじゅうばんじん)
 日本の仏教と陰陽道の中でできた守護神の概念。天台宗の宗祖である伝教大師最澄(762~822年)が、日本の国土と法華経の布教を守るために、月に1日の持ち回りで守護する30の仏神を定めたもの(例:毎月の一日は熱田大明神、二日は諏訪大明神、三日は広田大明神など)。特にその中でも、日本の王都である平安京を守護する役割が分担されており、将軍塚に鎮座して朱雀以東を守る青龍八神、石清水八幡宮に鎮座して九条以南を守る朱雀八神、鳴滝川に鎮座して西洞院以西を守る白虎八神、一条以北を守る玄武八神がいる。

式神(しきがみ)
 単に「式」ともいう。吉凶を占い、魔を祓う陰陽師に使役される目に見えぬ鬼といわれ、陰陽師が創った人造人間ともいわれる。人を呪う時に式神が放たれ、式神は呪う相手にとり憑き、生命をおびやかす。呪われた人は一瞬でも早く、より強力な陰陽師に頼んで相手に式神を打ち返さない限り、助からない。

十二神将(じゅうにしんしょう)
 式神の中でも、特に安倍晴明が使役していた式神たちのこと。もともと晴明の邸宅の南門の梁に棲みついていたが、晴明の正妻・息長姫が彼らを忌み嫌ったため、晴明が自身の邸宅に近い京・一条堀川戻橋の下に置いて必要時に召喚していた。

茨木童子(いばらきどうじ)
 平安時代中期に、大江山(丹波国にあったとされるが、現在の京都市と亀岡市の境にある大枝山という説もある)を本拠に、貴族の子女を誘拐するなど乱暴狼藉をはたらき京の都を荒らし回ったとされる鬼のひとりで、鬼の棟梁・酒呑童子(しゅてんどうじ)の最も重要な家来。舞の上手な美女に化けて、武将・源頼光の4人の重臣「頼光四天王」の一人である渡辺綱と一条堀川戻橋で闘った故事が、後世の説話集や能、謡曲、歌舞伎などで語り継がれている。
 本作では、もと晴明の式神十二神将のひとりだったという設定で、宇治の橋姫と同一人物となっている。

橋姫(はしひめ)
 日本各地に古くからある大きな橋にまつわる多くの伝承に現れる鬼女・女神。外敵の侵入を防ぐ橋の守護神として祀られていることもあり、古代の水神信仰が起源といわれている。橋姫は嫉妬深い神ともいわれ、橋姫の祀られた橋の上で他の橋を褒めたり、または女の嫉妬を語ると必ず恐ろしい目に遭うという。これは「愛らしい」を意味する古語の「愛(は)し」が「橋」に通じ、愛人のことを「愛し姫(はしひめ)」といったことに由来するなどの説がある。橋姫伝説の中でも、京都府宇治川の宇治橋、大阪市淀川の長柄橋、滋賀県瀬田川の瀬田大橋などが特に有名である。
 本作では、渡辺綱の実母という設定で登場し、綱を生んだ後に他の女性を愛した夫が橋姫を捨てたために深く恨み、貴船明神に丑の刻参りを行って鬼女に化身した。そののちに宇治橋に移ったとされているが、もと晴明の十二神将のひとりだったという設定も加わり、茨木童子と同一人物となっている。

牛嶋神社(うしじまじんじゃ)
 現在の東京都墨田区向島の隅田公園内にある、東京本所総鎮守の神社。社格は武蔵国郷社。
 平安時代中期の貞観年間(859~79年)に慈覚大師円仁(794~864年)が当地を訪れた際に、須佐之男命(スサノオ / 牛頭天王)の化身の老翁から託宣を受けて創建したとされる。明治時代以前は「牛御前社」と呼ばれていた。例祭は毎年9月15日。
 この神社には弘化二(1845)年に奉納された絵師・葛飾北斎の大絵馬『須佐之男命厄神退治之図』があったが、大正十二(1923)年の関東大震災で現物は焼失し、現在は原寸大の白黒写真が本殿内に掲げられている。なお、同作は2016年に色彩の推定復元が行われ、すみだ北斎美術館にて展示されている。
 境内には「撫牛(なでうし)」と呼ばれる牛の石像があり、自分の身体の悪い所と同じ部分を撫でると病気が治ると言い伝えられている。また本殿前の鳥居は「三ツ鳥居」と呼ばれる珍しい形態の鳥居である。
 アクセスは、都営地下鉄浅草線の本所吾妻橋駅から徒歩で約10分。
 本作では浅草川(現・隅田川)で討たれた丑御前を祀るためにこの「丑御前神社」が創建されたという設定になっているが、本作における丑御前の反乱は天暦十(956)年に起きた事件に設定されているため、社伝とは合っていない。


≪な、なんじゃ、この基本情報の膨大さは!? 本文マダヨ≫
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なんで今さら!? 10年前の Jホラー映画を観てみよう ~映画『零 ゼロ』~

2025年07月14日 23時40分49秒 | ホラー映画関係
ゲーム『零』シリーズとは
 『零(ゼロ)』は、テクモ(現コーエーテクモ)から発売された日本のサバイバルホラーゲーム『零(ゼロ)』(2001年発売)を第1作とするシリーズである。シリーズ全体のブランド名は「 project zero」。
 カプコンの『バイオハザード』(1996年)のヒットから始まったサバイバルホラーゲームブームの時流にあった2001年12月に PlayStation 2で第1作『零』が発売され、日本国外版、リメイク、外伝なども含めて数多くシリーズ化され現在に至っている。
 シリーズ最大の特徴は、カメラを攻略アイテムや武器にしている点、西洋文化を背景にしたホラーゲームが多かった中で日本の文化もしくは和洋折衷の世界観にした点、幽霊や心霊現象による恐怖を演出している点などであり、映画『リング』(1998年公開)が火付け役となった Jホラーブームの時流に重なっていた。シリーズのソフト累計発売本数は、2014年時点で130万本。

 正統シリーズの第1作『零』、第2作『零 紅い蝶』(2003年)、第3作『零 刺青ノ聲』(2005年)、第4作『零 月蝕の仮面』(2008年)、第5作『零 濡鴉ノ巫女』(2014年)の5作品は、内容はそれぞれで独立しているが、登場人物の設定を中心に世界観や時間軸が繋がっている。
 時代設定は『零』が1986年、『紅い蝶』が1988年夏、『刺青ノ聲』が1988年12月、『濡鴉ノ巫女』が2000年前後となっている。『月蝕の仮面』は1980年代とされているのみで正確な時系列関係は不明である。
 正統シリーズ5作の他に、外伝作品として2012年にホラーゲーム『心霊カメラ 憑いてる手帳』(ニンテンドー3DS )が発売されている。シリーズの中では第4作『月蝕の仮面』の次に制作されたが、AR技術やジャイロセンサーなど3DS 本体の機能を駆使した作品となっている。

 ゲーム以外のメディアミックスとしては、2004年7月にゲーム第2作『零 紅い蝶』を基にしたテーマパーク向けホラーアトラクション『4D 零』、2014年には大塚英志の小説『零 女の子だけがかかる呪い』を原作としたホラー映画『零 ゼロ』、ホラーマンガ『零 影巫女』、2021年12月に第1作『零』を基にしたホラーアトラクション『デリバリーお化け屋敷 絶叫救急車 Ver.零』などが展開された。


映画『零 ゼロ』(2014年9月公開 105分 角川大映)
 『劇場版 零 ゼロ』は、大塚英志によるホラー小説『零 女の子だけがかかる呪い』(2014年8月刊 角川ホラー文庫書き下ろし)を原作とした青春ミステリーホラー映画である。制作と配給は角川書店。興行収入1.2億円。

 原作小説の作者である大塚による角川ホラー文庫版のあとがきによると、本作の映画化を前提としたゲーム『零』シリーズの制作スタッフとの打ち合わせの場では、すぐにオーストラリアの幻想映画『ピクニック at ハンギング・ロック』(1975年 監督ピーター=ウィアー)の名が挙がり、そこから「女学校の寄宿舎の物語」や「少女が一人だけ生還する」といった設定が引用されたという。また、同じく寄宿制学校の物語ということで、萩尾望都の少女マンガ『トーマの心臓』(1974年連載)を翻案した青春幻想映画『1999年の夏休み』(1988年 監督・金子修介)や、「同じ演劇を繰り返し上演する」設定として、吉田秋生の少女マンガ『櫻の園』(1985~86年連載)やそれを原作とする映画(1990年版と2008年版の2作あり)のイメージも話題に上ったという。そのため大塚は、ゲーム開発スタッフの心の中に密かにあった、もう一つの『零』を小説化したと語っている。

 また大塚は、本作公開日の翌日に発売された『零』シリーズ第5作『零 濡鴉ノ巫女』のテーマが「水」であることから、本作も民俗学者・折口信夫の『水の女』(1927~28年発表)に代表される「神の花嫁」研究を物語の骨子にしたと語っている。
 原作小説は、大塚の妻で小説家の白倉由美の文章や、シンガポールのマンガ家フー・スウィ・チンのイラストもイメージ源にして執筆された。角川ホラー文庫版にはフーの挿絵も収録されている。

 監督・脚本を務めた安里麻里は、「都会的な女子高生ホラーではない、もうちょっとフィクション度の高いもの」を目指したという。ゲームの『零』シリーズが原作であることについては、「ゲームが持つ特殊な世界観は面白いチャレンジだった」と語り、また「今回の映画は女の子のために作られているような、女の子のためのホラーといってもいい側面があると思う」、「普段ホラーは見ないというような女の子にも見てほしい」と語っている。

 本作の内容はゲームの『零』シリーズとは直接の関係は無いが、主人公のミチが使用する小道具などとしてカメラが重要な役割を果たし、作中では二眼レフカメラ型、蛇腹が下開きで縦長方形のフォールディングカメラ型、左開きで横長方形のスプリングカメラ型、観音開きで横長方形のコンパクトカメラ型の4種類のカメラが登場する。
 本作の撮影ロケ地には、女学園の外観に旧・福島県尋常中学校「安積歴史博物館」(福島県郡山市)、女学園の女子寮の外観に明治四十一(1908)年竣工の旧・皇族有栖川宮別邸「天鏡閣」(福島県猪苗代町)、貯水場のシーンに1932年竣工の旧・芦山浄水場跡(茨城県水戸市)が使用された。
 安積歴史博物館は2022年3月に発生した福島県沖地震で被災したため、2025年7月現在まで休館となっている。


あらすじ
 2月10日。ある地方の山の上にある、ミッション系の全寮制女学園。女生徒のカスミは、同級生の中でも最も美しいアヤに憧れを抱いていた。アヤは「午前0時になる千分の一秒前。写真にキスをすれば、同じ呪いにかかる。」と語る。そして写真にキスをした少女は、次々と失踪してしまうのだった。これは神隠しなのか、それともアヤがかけた呪いなのか。女の子だけにかかる呪い、その正体とは……


おもな登場人物
月守 アヤ(つきもり あや)…… 中条 あやみ(17歳)
 本作の主人公。女学園の高等科3年生。女学園の中で最も美しいと評判の少女で、周囲からは憧れのカリスマ的存在。卒業間近の2月3日から1週間、寮の部屋に閉じこもってしまう。

風戸 ミチ …… 森川 葵(19歳)
 もう1人の主人公。女学園の高等科3年生。写真撮影が趣味で、卒業後に写真家を目指して東京に上京しようか悩んでいる。友人が次々と神隠しに遭ったことを機に、アヤと共に事件の謎に迫る。

鈴森 リサ …… 小島 藤子(20歳)
 女学園の高等科3年生。同級生のアヤに憧れる。イツキの親友。好きな色はオレンジ。金持ちの御曹司との見合いの縁談が進んでいる。

菊之辺 イツキ …… 美山 加恋(17歳)
 ネイルサロンを開くことを夢見る女学園の高等科3年生の生徒。親友のイツキが憧れているアヤに嫉妬し、生徒達が失踪するのはアヤが呪いをかけたせいだと信じている。

野原 カスミ …… 山谷 花純(17歳)
 女学園の高等科3年生。ミチの友人で、アヤに憧れを抱いている。やや内気な性格。卒業後は短大に進学する予定。

藤井 ワカ …… 萩原 みのり(17歳)
 女学園の高等科3年生。アイドルになることを夢見るマイペースな生徒。眼鏡をかけている。

リツコ …… ほのか りん(17歳)
 女学園の高等科3年生クラスの学級委員長。

麻生 真由美 …… 中村 ゆり(32歳)
 女学園の教師を務めるシスター。花の園芸栽培に詳しい。弟で学園の用務員の崇と同部屋で生活している。

麻生 崇 …… 浅香 航大(22歳)
 真由美の弟で、女学園の用務員。右足が不自由で常に引きずって歩き、人との会話が苦手で寡黙。園芸栽培が得意である。

メリーさん …… 中越 典子(34歳)
 女学園のふもとの町に住んでいる、全身をゴスロリ風衣装でかためてウィッグをつけた女性。女学園の卒業生だと自称しており、彼女が在学していた頃から「午前0時の呪い」の噂は存在していたと語る。遅くとも明治時代から町にある古い写真館の家の娘だったが、現在は写真館は廃業して地元のコンビニに加工パン食品をおろす工場でパート勤務をしている。本名は草薙和美。写真撮影が趣味の小学生の息子・進がいる。

学園長 …… 美保 純(54歳)
 全学園生徒70名弱、教員シスター4名のミッション系の全寮制女学園「セイジツ学園(字が不詳)」の学園長。

唐津 九郎(からつ くろう)…… 渡辺 裕也(31歳)
 女学園の失踪した生徒5名の葬儀を執り行った業者の、スキンヘッドの男。死体に触るとその死体の声(残留思念)が聞こえる、イタコに近い霊能力を持っている。普段は不愛想だが正義感が強く、困っている人は放っておけない性格。「黒鷺宅配便」と名入れのされた黒塗りのクラシックカーを運転している。
 ※本作の原作を担当した大塚英志が同じく原作を務めるホラーマンガ『黒鷺死体宅配便』(作画・山崎峰水 2000年から角川書店のマンガ雑誌にて連載中)の主人公で、映像作品に登場したのは本作のみとなる(2025年7月時点)。

槙野 慧子(まきの けいこ)…… 柳生 みゆ(23歳)
 唐津と共に葬儀会社で働く、金髪に染めた髪の毛をハーフツインにした女性。アメリカに留学してエンバーミング(遺体衛生保全技術)の資格を取得している。陽気な性格で、アニメキャラのコスプレのような衣服を着ている。
 ※唐津と同じく『黒鷺死体宅配便』のレギュラーキャラクターで、映像作品に登場したのは本作のみとなる(2025年7月時点)。


≪原作小説と映画版との主な相違点≫
・原作小説の女学園の校名は「聖ルーダン女学園」だが、映画版の女学園は「セイジツ学園(字が不詳)」。
・聖ルーダン女学園は有名大学への進学率の高いお嬢様学校だが、セイジツ学園は大学進学の言及がある卒業生はいない(短大進学か就職)。
・原作小説のミチには、片方の目で霊が見える特殊能力があり、それを嫌って常に左右どちらかの霊が見える方の目に黒い眼帯をつけている(見える目は変わる)が、映画版のミチにその設定はなく物語の途中から両目で霊が見えるようになる。
・原作小説のカスミは高等科3年生クラスの学級副委員長となっているが、映画版ではその設定は言及されない。
・原作小説の女学園のシスターの名前は「鷺宮足穂(さぎのみや たるほ)」だが、映画版では「麻生真由美」となっている(弟の名前はどちらも崇)。
・失踪した生徒たちの遺体の発見される時間的推移と遺体の状況、リサが発見された経緯が、原作小説と映画版とで違う。
・原作小説ではアヤは謹慎の名目で女学園内の聖堂の塔に監禁されていたが、映画版では自主的に寮の自室に引きこもっている。
・原作小説ではメリーさんの本名は「山田和美」だが、映画版では「草薙和美」(息子の名前はどちらも進)。
・原作小説でいう神社が映画版の貯水場、「オフィーリアのアルバム」がメリーさんの実家の写真館の所蔵写真に置き換えられている。
・原作小説ではメリーさんと鷺宮足穂との因縁関係が明らかになるが、映画版ではメリーさんと麻生真由美との関係は全く言及されない。
・原作小説の方が唐津九郎と槙野慧子の出番が多い。2人が乗る車は原作小説ではワゴン車だが、映画版ではクラシックカー。
・原作小説では学級委員長のリツコが重要な役割を果たすが、映画版ではほぼ出番はない。
・原作小説では女学園に伝わる『オフィーリアの歌』の歌詞の内容が重要な意味を持つが、映画版では歌自体は唄われるものの物語には特に関係してこない。




≪やらんとすることはわかるんですけどね……本文マダナノヨ≫
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わかるのに4年かかりました ~小説『ゴジラ シンギュラポイント』いまさら感想~

2025年07月12日 23時03分43秒 | 特撮あたり
 え~、どもどもこんばんは、そうだいでございます。毎日毎日、あっちぃっすね……
 もういい加減、私の住む東北地方南部も梅雨明けしていいでしょっつうか、もう明けてんじゃなかろうかという疑惑も濃厚なのですが、夏が始まったとしか思えない猛暑がすでに始まっております。日差しが実にキツイ!

 「夏」と言えば、辻村深月先生原作の映画『この夏の星を見る』(監督・山元環)が今月の4日からついに公開……されてるはずなのですが、なんと私の住む山形県では公開予定日が1ヶ月後の8月16日からということになっとりまして……もう夏も後半じゃねぇかァ!
 しかも、私の経験では県庁所在地の山形市(映画館は3館)で公開されてなくても、お隣の天童市のイオンシネマではやってるというフォローがあったのですが、今回は私の家から100km くらい遠くにある鶴岡市の映画館でしかやる予定がないというていたらく。なんじゃ、このひどい扱いは!? ダメだずねぇ~!
 まぁ、しょうがないので来月のお盆明けに1泊で温泉かどっかに泊まりつつ映画を観るというステキな旅行の口実にさせていただきました。やったぜ~。今年のお盆はあんまり休めなさそうな気配がしてるんで、ちょうどよかったっすよ。鶴岡市の「まちなかキネマ」っていう映画館も、いつか行きたいと思ってたんで好都合!
 映画そのものを観るのはしばらくお預けなのですが、楽しみにしつつ7月を乗り切っていこうと思うとります。ま、暑い暑い言ってるうちにあっという間に8月も過ぎるでしょ。


 そんでもって今回は、そういった2025年のつれづれとはまっっっったく関係のない『ゴジラ シンギュラポイント』の小説版を最近やっと読み終わったよ、という話のまとめでございます。予想通り、前回は設定資料とおまけを並べるだけで終わっちゃったし……ちゃっちゃといこう!

 2021年の春から夏にかけて TVアニメシリーズとして放送されていた『ゴジラ シンギュラポイント』でしたが、「シリーズ構成・円城塔」という大看板にたがわず、その内容はなんとあの、「昭和ゴジラシリーズ最大の鬼子」ともいえる「正義の巨大ロボット・ジェットジャガー」を科学的に説明のつく存在に仕立て上げて、さらにはゴジラによる世界崩壊を止める最期の希望にするという、とんでもないチャレンジに挑む大野心作だったのです!
 いや~、これには放送当時の私も、毎週毎週固唾をのんで見守っておりました。まさか、よりによってゴジラシリーズの中でも最も触れ方の難しい「禁忌きっず」ジェットジャガーを真正面からフィーチャーするとは……その心意気や、最高なり!

 リアルタイムで視聴していた頃は、正直言ってお話について行くのが精いっぱいで、紅塵とかオーソゴナル・ダイアゴナライザーとか謎のインド民謡『 ALAPU UPALA』とかの聞きなれない要素に翻弄されまくりだったのですが、実はそういったディープな SF&ミステリー的な流れとバランスを取るかのように、往年のゴジラシリーズのスター怪獣のゲスト出演も散りばめられていて、少なくとも定石ハズしばっかりで終わってしまった感のあるアニメ映画版『ゴジラ』3部作とは比較にならない満足度がありました。さすがに、私が最も愛する三つ首のあのお方までは出られませんでしたが(小説版では……?)、メカゴジラを出すようで全く出さなかったアニゴジへの当てつけのように、最終話の最後の最後で起動メンテ中のロボゴジラを見せたサービス精神は素晴らしかったと思います。エンディングアニメもお遊び感いっぱいでしたよね!

 正直申しまして、このシンギュラポイント版のゴジラのデザインは非常に個性の際立ったもので、私も今もって「好き」とは言えないクチなのですが、それはもうムッキムキの外国人力士にしか見えないアニゴジ版やハリウッド版のゴジラも同じことなので(異様に小顔なマイゴジも好きじゃないです)、そこはもう何も申しますまい。それ以外の幼体ゴジラたちとかアンギラスとかのリデザインは素晴らしかったですよね。ムビモンのソフビ、ゴジラ・ウルティマとサルンガ以外は全部買いましたよ~。マンダはちょっと深海魚っぽくなって気持ち悪かったけど。ラドンはなんか平成以降のギャオスみたいなポジションになってましたね……数はいいから、強いのを1頭ドンっと出してほしかった! ちっちゃいのがひと山いくらっていう出演の仕方って、やらされたラドンさんやギャオスさんはどんな気分なんですかね……ラドンさんなんて、来年で芸歴70年なんだぜ。

 とにもかくにも、本作は物語の芯の部分を、あの日本を代表する前衛 SF小説家の円城塔さんが手がけているということで、ちょっとするとインターネット上の AIが意志を持ち始める過程や、日本の房総半島と東京を舞台にした怪獣災害と、そこから遥か遠く離れたインドの地下秘密基地での動向が同時進行で語られる多角的視点、そして何よりも主人公のメイとユンの2人が全く直接には出逢わずにネット上で連絡を取りながら各自で解決策を模索していくという徹底したリモート展開がかなり複雑に交錯しているので、放送しているエピソードを1回でも、いや、1分でも見逃すとついていけなくなる可能性のある、TVシリーズとしては非常にハードルの高いクオリティの作品、それこそが、この『ゴジラ シンギュラポイント』だったのです。今振り返っても、よく最終回までやりきって完結させたな、というギリギリな構成だったと思います。
 これはやっぱり、一見かなり面食らいがちな円城塔先生の世界観を、ゴジラをはじめとした非常に認知度の高い東宝怪獣たちのリニューアル復活や、加藤和恵さんと石野聡さんによるかなり見やすいポップなキャラクターデザインで、用意周到に何重にもくるんで娯楽作品に仕上げたという作戦が成功したのではないでしょうか。まさにこの作品は、円城塔ワールドの骨格と東宝ゴジラシリーズの血肉、そのどちらが欠けても面白くならない理想的なコラボレーションだったのです。なんと言っても、まず骨組みに円城塔を招聘するというギャンブラーな姿勢が最高ですよね! 安易なお祭り作品にはしないぞという。

 作品の内容について考えてみますと、本作は、物語のパターンでいえば典型的な「歴代怪獣総登場もの」と言えると思います。

 1954年の初代『ゴジラ』いらい70年以上続いているゴジラシリーズ、というか日本の特撮作品の歴史なのですが、非常にざっくりと内容で分類しますと、以下の5種類に分けることができるのではないでしょうか。もちろん、2つ以上の分類がミックスされている作品もいっぱいあるので、人によっては違う解釈になる作品もあるのでしょうが、わかりやすい作品を例に挙げますと、


A、単体怪獣の災害もの …… 『ゴジラ』(1954年)、『ゴジラ』(1984年)、『シン・ゴジラ』(2016年)、『ゴジラ -1.0』(2023年)など

B、2大怪獣の対決もの …… 『ゴジラの逆襲』(1955年)、『キングコング対ゴジラ』(1962年)、『ゴジラ VS キングギドラ』(1991年)、『ゴジラ×メカゴジラ』(2002年)など

C、地球怪獣 VS 侵略者もの …… 『怪獣大戦争』(1965年)、『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(1972年)、『大怪獣総攻撃』(2001年)、『キング・オブ・モンスターズ』(2019年)など

D、歴代怪獣総登場もの …… 『怪獣総進撃』(1968年)、『ゴジラ ファイナルウォーズ』(2004年)、小説『ゴジラ 怪獣黙示録』(2017年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)など

E、主人公の成長ファンタジーもの …… 『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年)、『オール怪獣大進撃』(1969年)、『小さき勇者たち ガメラ』(2006年)など


 どうですか? これに沿って好きな特撮作品を考えてみると面白いですよね? 意外と数種類のハイブリッドになってる作品がほとんどですが。

 今回の『シンギュラポイント』も、私は Dタイプだと言いましたが、よくよく考えてみると主人公チームおよびジェットジャガーの成長物語ということでE ともとれるし、他の怪獣たちに比べて明らかにゴジラだけが別格に恐ろしい脅威になっているので、ゴジラ一強という意味ではA ともいえるわけなんですよね。最終話でのゴジラ VS ジェットジャガーの決戦の構図はB の醍醐味だし……結局ほぼ全部じゃねぇかァ!!

 まぁまぁ、かくのごとく、この『ゴジラ シンギュラポイント』という作品は、おなじみの東宝スター怪獣たちが新たなスタイルでアップデートされるお祭りタイトルでありながらも、様々な面で前代未聞な挑戦をしている、ものすごい野心作なのでございます。まずジェットジャガーをゴジラの相手にしているという時点でとんでもないことですし! これ、言うまでもなく『フェス・ゴジラ4 オペレーション・ジェットジャガー』(2023年)の前の作品ですからね。

 本作が、ただの歴代怪獣総登場ものの更新にとどまらないことは、作中で明に暗に示されたさまざまな設定を見てもあきらかなのですが、パッと思い出せるものを挙げるだけでも、

1、出現する怪獣たちに明らかなフェイズと棲み分けが存在する。
2、ゴジラが成長に合わせて形態変化する。
3、怪獣たちが常識外なスピードで巨大化する理屈が「紅塵」で説明される(そしてジェットジャガーも!)。
4、怪獣たちの出現で世界の秩序が崩壊する過程が克明に描かれている。
5、「1954年に回収された巨大生物の骨」という謎が通底している。

 というおもしろ要素があるのです。お話が特撮でもあり SFでもあり、ミステリーでもあるんですよね。
 これらの一つ一つを見てみると、全てが過去のゴジラシリーズ作品へのオマージュだったり、あまり詳細に触れられなかったモヤっとした部分にあえてスポットライトを当てるような、過去に残された宿題への回答だったりしていることがよくわかります。単に円城塔先生がゴジラシリーズという食材の調理に挑みましたという話じゃなくて、先生、そうとう前から食材がどの土地でどう生まれ、どう育ち実ったのかを綿密に調べ上げた上でキッチンに立ってるなという気迫がひしひしと伝わってくる陣容になっているんですね。ただ仕事を受けたから、自分のやりたいようにやってるんじゃねぇんだぞと!

 上のポイントの2、は明らかに『シン・ゴジラ』でのゴジラの「蒲田くん」や「品川くん」形態を意識した設定であると思われるのですが、それだけに留まらず、「水生(魚類)」→「半陸生(両生類)」→「陸生(爬虫類)」→「完全ゴジラ」というふうに、地球上の生物の進化過程を超高速で追ったものになっているのが興味深いですね。鳥類はラドン、節足動物はクモンガに任せてんのかな……本来は陸海空オールオッケーな究極怪獣だったはずのバラダギ様が、なんかカエルみたいなぺたぺた四足歩行をしていたのはおいたわしくもありましたが、まぁこういう作品にゲスト出演できただけでも儲けものでしたよね。本来は護国聖獣にもなるはずだったのに……

 ポイントの4、に関しては、これはもう「そこを映画でやれや」という全特撮ファンからの総ツッコミを受けていた、アニゴジの前日譚的小説『怪獣黙示録』(2017年)をあらためてちゃんと映像化したという、ファンの留飲を大いに下げる粋なはからいだったと思います。当然ながら、『怪獣黙示録』のほうは「人類がゴジラによって地球から追い出される」という最悪の結果を招いてしまったわけなのですが、メイやユン、そしてジェットジャガーの大活躍によって、そこまでいかずにおよそ2ヶ月間ほどの世界的大混乱で済んだのは、非常に幸運だったと思います。ほんと、本作のゴジラ・ウルティマもほっといたらアニゴジのゴジラ・アースみたいになってたんでしょうね……そういえば、本作の最終話でサプライズ出演していたロボゴジラも、その昭和メカゴジラを彷彿とさせる正統派的なデザインからして、アニゴジが不必要に生んでしまったメカゴジラファンの方々の怨念に配慮したサービスだったのではないでしょうか。メカゴジラを怪獣型でなくするという発想自体はぶっ飛んでて好きなんですけど、ね……

 ポイント1、もけっこう面白い設定なんですよね。これは、『怪獣総進撃』やハリウッド版ゴジラのモンスター・ヴァースの世界観を大いに意識したアイデアなのではないでしょうか。
 ここは小説版でかなり明確に強調されている部分なのですが、本作に出現する怪獣たちは、全てがゆるやかな「連携」をとって地球に進出しているという特徴があります。要するに、それまでの過去の同じ分類の諸作は、たまたま同じ時期に全く性質も出現した理由も違う怪獣が世界各地に並び立って(中には X星人のような侵略者の意志で動いているものも混じっていますが)、会ったらなんとなく縄張り争い的なノリで闘うといった設定どまりにしていたように見えていました。ところがこの『シンギュラポイント』に登場する怪獣たちは、まるで全員が「紅塵」という全く新たなエネルギー体の先兵もしくは触手であるかのように、地球の陸海空にそれまであった古いエネルギー(生き物)を破壊するという同じ目的で動いているように見えるのです。そして、そこを小説版はさらに明確にし、「怪獣たちが会話しないまでも、意志のレベルで通じ合いながら各自で成長・活動している」とみられる描写も明らかにしているのでした。これは要するに、あの怪獣たちが『エヴァンゲリオン』シリーズ(旧もシンも)における使徒のような関係にある、ということなのではないでしょうか。新しいですね!

 とは言いましても、作中でもマンダとゴジラ・アクアティリス、ラドンとゴジラ・ウルティマあたりが闘っている描写もあったにはあったのですが、これはどっちかというと「喰うものと喰われるもの」の関係がはっきりした、肉食動物と草食動物のからみのような絶対的な論理(ゴジラが勝つに決まってる)の上で行われている日常の風景のようなもので、『キング・オブ・モンスターズ』のラドンのように「あわよくばオレが怪獣王に!」などという面白すぎる個性があるものでないことは明白でしょう。
 つまり、そういった小競り合いはあったとしても、怪獣たちが構成する「新たなる生態系」自体が一つの脅威となって旧世界を侵略しているという状況に変わりはないわけで、「勝った方が我々の敵です」じゃなくて、「闘っている場そのもの」が地球の敵なのです。よそでやっとくれ!!




≪完成マダヨ≫
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わかるのに4年かかりました ~小説『ゴジラ シンギュラポイント』いまさら資料編~

2025年07月10日 20時46分12秒 | 特撮あたり
『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年4~6月放送 全13話 TOKYO MX ほか)
 『ゴジラ シンギュラポイント』は、ボンズおよびオレンジの共同制作による SF特撮 TVアニメシリーズ。TOKYO MX、BS11、Netflix にて放送・配信された。
 「ゴジラシリーズ」としては2017~18年に公開されたアニメ映画『 GODZILLA』三部作以来となるアニメ作品であり、日本で制作されたゴジラ作品では初の TVアニメシリーズである。
 本作は、第53回星雲賞(メディア部門)を受賞した。

 監督を担当した高橋敦史は、映画『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』(2017年)での、原作マンガに基づきつつ物語を一から作る点や、SF要素を盛り込みつつエンターテインメントとしても成立させたアプローチから抜擢された。
 シリーズ構成を手がけた円城塔は、SF要素を組み込みつつ設定のリアリティを重視できることと、SFアニメシリーズ『スペース☆ダンディ』(2014年)で高橋と製作した経験があることから声がかかった。円城は当初、SF考証の監修としての参加であったが、設定と考証の繰り返しの末に別の脚本家への依頼が難しくなったため、ストーリー全体の構成と全話の脚本執筆を兼ねることとなった。この他、高橋とはスタジオジブリ作品、『青の祓魔師』、『ドラえもん』などで面識のあった山森英司、加藤和恵、沢田完がそれぞれ主要スタッフとして参加している。

 本作は、アニメ映画『 GODZILLA』3部作(2017~18年)との差別化や、完全な SFに振るかファンタジーに寄せるかで議論が重ねられたが、最終的には円城のアイデアを元にして、2030年の日本という現実の延長線上にある世界観を舞台に、天才的な才能をもった一般人の主人公2人が周囲の人間と協力してゴジラの脅威に立ち向かう本格的 SF作品となった。

 本作の主人公たちは頭脳でゴジラに対抗する設定だが、これは過去のゴジラシリーズの主人公の多くが非戦闘的なタイプであったことや、作品に謎解きの要素を加えようとした高橋の提案による。また、本作のゴジラはシリーズ初となる核エネルギーとは無縁の存在となっている。
 当初、円城の提示した脚本は映像化するには情報量が多く難解な部分もあったため、アクションやロボット、過去の東宝作品の表現といった要素を加えることで、受け手に配慮した作品作りが行われている。


おもなスタッフ
監督 …… 高橋 敦史(48歳)
シリーズ構成・SF考証・脚本 …… 円城 塔(48歳)
キャラクターデザイン原案  …… 加藤 和恵(40歳)
キャラクターデザイン・総作画監督 …… 石野 聡(50歳)
怪獣デザイン …… 山森 英司(53歳)
音響監督   …… 若林 和弘(56歳)
音楽     …… 沢田 完(53歳)
制作     …… ボンズ、オレンジ
主題歌『 in case...』(歌・BiSH)
エンディングテーマ『青い』(歌・ポルカドットスティングレイ)


小説『ゴジラ シンギュラポイント』(2022年7月刊 集英社)
 TVアニメシリーズ『ゴジラ シンギュラポイント』の構成・SF考証・脚本を担当した円城塔による小説。物語はジェットジャガーユング&ペロ2のナラタケ側と怪獣側の視点から語られ、本作におけるゴジラの目的や「ミサキオク」の地下に保管されていた骨の秘密などの詳細をうかがい知ることができる。なお、本作の時間設定は「2030年7月」となっており、作中では逃尾市の伝承の中に、ゴジラやラドンの他にヘドラらしき緑色の怪獣もいる言及がある。


おもな登場人物、キャラクター、怪獣、専門用語(キャスティングは TVアニメシリーズのもの)
神野 銘(カミノ メイ)…… 宮本 侑芽(24歳)
 本作の主人公のひとり。存在しない物質で構成された存在しない幻想生物を考える学問「ビオロギア・ファンタスティカ」を研究する大学院生。明るく朗らかな性格だが、物忘れが多いなど天才らしからぬ抜けた側面も持つメガネ女子。
 国際会議で不在だった笹本教授の代理として、旧嗣野地区管理局「ミサキオク」で突如鳴り始めたアラームの原因を調査依頼されたことが契機となり、ゴジラら怪獣たちとの戦いに関わる。

ペロ2(ペロツー)…… 久野 美咲(28歳)
 銘が、オオタキファクトリーのホームページからパソコンにダウンロードしたユン開発のコミュニケーション支援AI「ナラタケ」から生まれた犬型人工知能。銘のパソコンに住み着き彼女をサポートするが、メイの研究ノートを勝手に共著『幻想生物学序説』としてアップしたり明らかに独自の自我が芽生えているかのような動きを見せる。オオタキファクトリーの作業用ロボットにハッキングしてボディを操り、ラドンに襲われていた銘たちを助ける。

有川 ユン …… 石毛 翔弥(30歳)
 本作の主人公のひとり。何でも屋の側面も持つ町工場「オオタキファクトリー」に勤務するエンジニア兼プログラマー。24歳。プログラミングやロボット製造など多くのことに精通し、「ナラタケ」に代表される高度支援AI を開発する。常に冷静だが人との接し方に難のある性格である一方、危機の際には自ら立ち向かう勇気を持っている。
 幽霊屋敷と噂される、とある無人の洋館の調査を行ったことがきっかけで電波を発する怪獣の存在を知り、銘と同様に怪獣と関わることになる。

ジェットジャガー(ユング)…… 釘宮 理恵(41歳)
 ペロ2と同様に「ナラタケ」から生まれた人工知能。ユンのスマートフォンにインストールされたことで個性化し、冷静な性格と優れた情報整理能力を活用してユンをサポートする。ジェットジャガーに移植されてからは、青空を見上げながらボディを得たことに思いをはせたり子どもの遊びに付き合ったりと、独自の感情や人格に近いものが形成され始めているかのような動きを見せている。

加藤 侍(カトウ ハベル)…… 木内 太郎(27歳)
 オオタキファクトリーの社員でユンの相棒。銘の高校時代の同級生であり、銘たちから「バーベル」とあだ名されるほど筋トレが趣味。
 ジェットジャガーを製作し整備・修理を行うほか、ラドンを誘き寄せるためにジャイロを改造した電波発信機をジェットジャガーに取り付けた。

大滝 吾郎 …… 高木 渉(54歳)
 「おやっさん」の愛称で呼ばれるオオタキファクトリーの社長。特許や資格、納品実績を多数保有する世界的科学者である一方、UFO や未確認生命体に目が無く、若いころから宇宙人襲来を予見して裁判沙汰を起こしてきた変人。ひらめきや勘に優れ、昔気質だが積極的に最先端技術を受け入れるところもあり、私財を投じてジェットジャガーを製造する。多くの怪しげな未確認生物を記録した古史料やゴシップ記事を収集している。

佐藤 隼也(サトウ シュンヤ)…… 阿座上 洋平(29歳)
 外務省から「ミサキオク」内偵の主任職員として出向してきた官僚。ミサキオクの地下に安置されていた巨大生物の骨の存在を知ったことをきっかけに、日本や世界各地で頻発する怪獣出現の原因を独自に探り始め、その過程で葦原道幸の過去を探ることになる。

鹿子 行江(カノコ ユキエ)…… 小岩井 ことり(31歳)
 外務省国際情報統括官組織第零担当情報分析員で佐藤の上司。陸上自衛隊の松原一佐とは旧知の仲。スティーヴンから持ち掛けられたアーキタイプ開発事業への出資を検討するために、葦原道幸を調査する。国家機密情報に詳しい。

海 建宏(カイ タケヒロ)…… 鈴村 健一(46歳)
 「独立自営ジャーナリスト」を自称し、SNS 上で動画チャンネル『極東怪獣チャンネル』を運営している素性不明の男。銘に接触して李からの招待状とアーキタイプを渡し、李のいるドバイへ行くよう勧めた。ラドンとアンギラスの調査を行いユンや侍と出会う。

李 桂英(リー ケイエイ)…… 幸田 夏穂(53歳)
 国際的合弁会社「シヴァ共同事業体」に出向している、計算化学を専門とする顧問研究員。葦原道幸の研究資料を基にアーキタイプ研究を行っている。ペロ2がネットにアップした銘の論文を見たことがきっかけで彼女を短期滞在型研究員としてドバイへ招聘し、彼女と共に葦原が残した「特異点」と「破局」についての謎を解こうとする。

松原 美保(マツバラ ヨシヤス)…… 志村 知幸(57歳)
 陸上自衛隊一佐。陸海空自衛隊の統合運用部隊である「怪獣対処統合任務部隊」に陸上自衛隊の代表として所属し、ゴジラ上陸後は駆除作戦の指揮を執る。妻との間に2人の息子がいる。物静かだが気さくな性格の男性で、外国語の習得能力が高い。

ティルダ=ミラー …… 磯辺 万沙子(63歳)
 シヴァ共同事業体の代表。李たちを利用して「オーソゴナル・ダイアゴナライザー」を開発する。人命よりも研究の完成を優先する非情な性格。

マイケル=スティーヴン …… 三宅 健太(43歳)
 ティルダに協力するイギリス保守第一党の政治家。何事も卒なくこなすエリート。自身はティルダと仲が悪く、海と協力関係にある。

葦原 道幸(アシハラ ミチユキ)…… 井上 和彦(67歳)
 ミサキオクの創設者。旧嗣野地区(現・逃尾市内)の漁村に生まれ、20歳代だった頃の1954年に巨大な生物が赤い海から出現し上陸する様子を目撃し、探し出した巨大生物の骨を研究、監視するためにミサキオクを設立した。50年前に紅塵やアーキタイプの研究を行っており、その際に「特異点(シンギュラポイント)」や「破局」と呼ばれるものを発見していたが、計算爆発を起こして現在は行方不明。

怪獣
 2030年に謎の音声電波が受信されたことを皮切りに確認されるようになった、既存の生態系を逸脱した巨大生物。円城塔の小説版では、すべての怪獣は個体や種に関係なく共通の記憶情報を共有しながらも互いに競合する関係であることが明かされる。太平洋マリアナ海溝と大西洋バミューダ海域から大量に発生した紅塵とともに出現し、海ではマンダ、沿岸部ではラドン、内陸ではアンギラスが群れを形成して世界全域の人類を襲った。それらの怪獣が定着した地域には、クモンガの群れも発生するようになる。

ゴジラ・アクアティリス
 本作におけるゴジラの第0形態。名前のアクアティリスはラテン語で「水生」の意味。
 深度900メートルの深海を速力50ノット(時速92.6km )で泳ぐ姿が潜水艦によって確認された。2030年7月29日に、東京湾内に侵入しようとしたマンダの群れを捕食しながら速力80ノットで東京湾に侵入し、8月9日に上陸する。モササウルスのような体型で四肢はヒレ状に、長い尾は先端に水かきの付いた尾ビレになっており水棲に適化している。ワニのように口吻が長く、触覚のように細いツノが頭部にある。表皮は赤く、通過すると付近の海は紅塵で赤く染まる。
 形態が『メカゴジラの逆襲』(1975年)に登場した水棲恐竜チタノザウルスに似ている。

ゴジラ・アンフィビア
 身長20m、全長50m。東京・築地に上陸したゴジラ・アクアティリスが陸生に適応した形態に変態した、ゴジラの第1形態。名前の「アンフィビア」はラテン語で「両生類」の意味。
 イグアナのような顔つきになり、四肢は爬虫類に似た形の脚となり四足歩行で進む。2030年8月10日に自衛隊の総攻撃を受けるが、口から -20℃以下の可燃性ガスを吐き、自衛隊の砲撃に引火して直径500m 範囲を焼き尽くし、爆風は直径4km に及んだ。さらに自分自身も爆炎に包まれ、炭化層の外殻に覆われたサナギのような状態になり活動停止する。体色は茶褐色で頭のツノの形状もアクアティリスから変化している。
 形態、特に頭部が『大怪獣バラン』(1958年)に登場したむささび怪獣バランに似ている。

ゴジラ・テレストリス
 身長30m。2030年8月20日に、サナギの状態となり活動停止していたゴジラ・アンフィビアが外殻を剥がして変態した、ゴジラの第2形態。名前のテレストリスは、ラテン語で「陸生」の意味。
 前脚は小さくなり後脚だけで立ち上がり二足歩行形態となっている。軟質の触手を体表から伸ばして自衛隊の砲弾を包み、爆発させて本体への衝撃を和らげるリアクティブアーマーのような防御能力を持ち、背ビレを青白く発光させながら口元に光の高熱リングを形成して吐き出す能力も見られる。角や尾ビレがなくなり頭部が小さくなっている。表皮は青い鱗状だが眉間から背ビレに沿って赤いラインがある。
 青みがかった体色と恐竜のような体型が、『キングコングの逆襲』(1967年)に登場した恐竜ゴロザウルスに似ている。光輪を口から吐く特徴は、ゴジラの幼体であるミニラへのオマージュである。

最強怪獣ゴジラ・ウルティマ
 身長50~100m 以上。2030年8月21日の自衛隊の総攻撃を受けたゴジラ・テレストリスが、翌22日に変態して究極の姿となったゴジラの第3形態。名前のウルティマは、ラテン語で「終わり」を意味する。
 千葉県逃尾市(にがしおし)で古くからその伝承が残っており、同市に太平洋戦争以前から存在する旧嗣野地区管理局電波観測所「ミサキオク」の地下には、ゴジラ・ウルティマの全身骨格が保管されていた。円城塔の小説版では、ゴジラ・ウルティマは当初このミサキオクにある同族の骨を完全破壊するために東京に上陸していたことが明らかにされた。
 自衛隊との交戦中にゴジラ・テレストリスから変態し、分厚い鎧が蛇腹状に重なったような強固な外皮で自衛隊の砲撃を寄せ付けず、背ビレと口内を青白く光らせ、口の前方に7つの光輪を放射して重力レンズで空間を1ヶ所に収縮させ、光輪の中央を貫くように熱線を発射し、東京を一瞬で火の海に変えた。紅塵をともなう生物共通の特徴である何重にも生えた歯が口腔内にあり、上アゴより下アゴの方が横幅が大きく張り出している。
 変態した直後はビルほどの大きさだったが、紅塵を吸収し続けて最終的に100m を超える巨体となった。人間ほどの大きさの巨大昆虫メガヌロンが背ビレ付近に寄生している。

電波怪獣ラドン
 体高5m、翼長10m。白亜紀後期の翼竜ケツァルコアトルスに似た飛行する怪獣。千葉県逃尾市で古来から残る伝承の中では、ゴジラと共にその存在が認識されていた。デンキウナギなどに見られる発電器官に類似した層状組織が細胞内にあり、胃に対応する器官がない。細胞組織から放射性物質ラドンが検出されたことが報道される中で、いつの間にか「ラドン」と呼ばれるようになった。鳴き声を使って高周波の電磁波を発信し、自身も特定の波長に反応する。獰猛な性質で動物や人間を襲い、電波に反応して電柱のトランスなどの電波の流れるものや電磁波を出すものを襲撃する習性があり、高音にも反応する。
 クチバシにはエラのような器官が発達しており、多数の歯が口腔内に密生している。後頭部のトサカは翼竜プテラノドンと同様に1本で、頭部や背ビレ、翼竜ランフォリンクスのような尻尾には半透明の被膜がある。
 2030年7月6日以降に数頭が千葉県逃尾市周辺で確認され、20日に2万頭を超える群れが赤く染まった房総半島南部沖の海中から出現し、身体から紅塵をまき散らしながら房総半島を襲撃した。その後、マリアナ海溝から出現した群れが環太平洋全域の沿岸を襲撃し、30日には大西洋バミューダ海域から出現した別の群れがアメリカ西海岸のニューヨーク、ワシントンDC、シカゴ、中米、南米大陸東岸を襲撃した。出現する時期によって個体の大きさや頭部の形状、体内器官の構造などが違う。

ジェットジャガー
 全高5.4m~。オオタキファクトリーが製造した搭乗型ロボット。オオタキファクトリーの社長である大滝吾郎が、「地球を守る活動」のために開発した。
 当初は千葉県逃尾市の逃尾商店街の七夕祭りの出し物として、胸部のコクピットで操縦するアトラクション仕様であったが、ラドン戦においてタブレットからの遠隔操縦ができるようにユンによってプログラムが再設定された。
 ラドン戦後に、損傷した下半身を作業用ロボットの三脚ホイールに接続し、バックパックには電波発信装置を取り付けた「ジェットジャガータンク」に改装された。アンギラス戦では捕鯨砲を武器として戦った。
 その後、さらなる修理改良によって大型の脚部に換装して全高7m に大型化し、制御AI としてユングを移植して戦闘に特化した無人機ロボットにバージョンアップされた。ユングとして会話することもできる。

未来予知怪獣アンギラス
 体高6m。ラドンの死体を求めて千葉県逃尾市に出現したと思われる、陸棲四足歩行の怪獣。背面部に大きな硬いトゲを無数に持ち、現実世界の生物の神経伝導速度では不可能な反応速度で動くことができる。前足は蹠行、後足は趾行と歩行形態が異なる独特な四肢を持ち、背中の装甲は尻尾の根元でツバメの尾羽根のように二股に分かれている。短時間で体長がさらに巨大化していた。最大の武器は、攻撃を受ける際に未来の危機を察知して体色が虹色に変化し、細かく背中のトゲを高速振動させることで敵の攻撃を跳ね返す能力と、高い跳躍力。
 2030年8月にはアメリカのニューメキシコ州でも群れが確認された。ラドンと同様に、群れによってトゲの数や形状、皮膚などの形態が大きく違っている。

マンダ
 全長210m。最高速力70ノット(時速約120km)で海中を泳ぎ、東京湾の浦賀水道沖で漁船を転覆させた、巨大なウミヘビのような海棲怪獣。東洋の龍に酷似した姿をしており、四肢と4本のツノ、2本の長いヒゲを持つ。全体的に爬虫類よりも魚類を彷彿とさせる形態だが、頭部付近についた短い前脚や赤いエラのような形状のヒレなどは、両生類のアホロートルを連想させるものとなっている。
 2030年7月27日に複数の個体が房総半島沖とドーバー海峡に出現し、群れを成して周囲を紅塵に染めながら隅田川やテムズ川を遡上していった。長い尾を武器とし、浦賀水道沖では13頭の群れが出現して漁船や海上保安庁のヘリコプターなどを襲った。8月にはアメリカ西海岸にも群れが出現した。

再生怪獣クモンガ
 全長2.8 m。2030年8月初めに東京湾沿岸の造船所に2体現れた虫型の怪獣。胴体部分が硬い甲殻に覆われて盛り上がり、クモというよりもヤシガニのような形態をしている。8本の脚のうち、特に巨大な2本の前脚は返しがついたトゲのような形状になっている。肉体を切断されても再生して活動を継続できる強い生命力を持ち、破壊された肉体を断面から溢れ出た体液で元の姿を形成させることもできる。その際に、ヘドラのような形状の新たな頭部と瞳が体液から形成されていた。群生して口から糸状の粘液を吐いて巣を作り、そこで捕らえた人間を繭のように糸で包み、体液を失ってミイラ化した状態の食料としてまとめて備蓄する。紅塵をまとわず、本作の中で唯一、人間を捕食する描写のあった怪獣。
 怪獣の中で最も現実世界に適化した種であり、現実世界の物質(人間など)を摂取して生命活動ができる反面、現実世界の法則性に縛られている。
 前脚がカマキリのように巨大な鋭い鎌状になった「カマンガ」形態、背中にトンボのような2対の羽を持ち飛行できる「ハネンガ」形態、クモンガ・カマンガ・ハネンガすべての性質を備える最強形態「ゼンブンガ」に変態できる。

モスラ
 ゴジラウルティマが出現した時に、翼長15cm ほどの大量の小さな個体が、紅塵に染まった空を舞っていた。小説版には登場しない。

メガヌロン
 ゴジラ・ウルティマの背ビレ付近に群生している、大人の人間ほどの大きさの巨大昆虫。
 小説版には明確には登場しないが、「ゴジラの体表にはまた新たな怪獣の幼体たちの姿が見え」という描写が存在する。

サルンガ
 体高7m、全長21m。シヴァ共同事業体が管理しているインド北方ウパラの研究施設の地下深くにあるアーキタイプ粒子の地底湖から出現した。
 丸いイボに覆われた緑色の皮膚を持ち、ヒヒとトカゲをかけ合わせたような姿をした四足歩行の怪獣で、猿のように長い四肢を持ち、四足歩行やナックルウォーク、鉄骨を飛び移ってよじ登るなど極めて高い運動能力を示す。性格は獰猛で攻撃的。サルンガの出現に合わせて紅塵も上昇し、さらに紅塵を煙幕のように使って身を守る様子から、紅塵をコントロールする能力も推測される。紅塵のエネルギーを吸収して巨大化し、最終的には体高10m を超えていた。
 名前の由来は、額の青い模様がヒンドゥー教の女神ヴィシュヌが使う天の弓「シャランガ」のように見えることから。

ブロブ / グレイグー
 ゴジラと共に出現した、紅塵を吸収して成長する植物怪獣。これらが自生する空間では時空間に歪みが生じる。小説版には登場しない。

ロボゴジラ( ROBOGODZILLA)
 対怪獣用決戦兵器。ミサキオクで発掘されたゴジラの骨格をベースに人工兵器で武装し、電子頭脳で制御されている。その製造にはスティーヴン、海、葦原が関係している。最終話のラストシーンにのみ、まだ起動していない状態で登場した。
 小説版には登場しないが、その代わりにエピローグで「三つの頭があってヒレが翼のように広がった金色の怪魚」が釣れたことを報じるスポーツ新聞の記事と、江戸時代末期の慶応二(1866)年に全身を固いウロコでおおわれたカメとイタチを合わせたような怪生物「豊年魚」が大坂の淀川に出現したことを報じる瓦版についての言及がある。

オーソゴナル・ダイアゴナライザー
 シヴァ共同事業体が開発した、アーキタイプの「フェイズ13」の段階にある存在。触媒のような働きを持ち、他のアーキタイプを結晶に変質させて分解・消滅させる性質がある。怪獣に対する唯一の対抗策として考えられているが、完成形でなければ完全な結晶化はできない。
 1954年版『ゴジラ』などに登場した超兵器オキシジェン・デストロイヤーに酷似した容器に入っており、略称も同じ「 OD」である。小説版では、オキシジェン・デストロイヤーとオーソゴナル・ダイアゴナライザーの関係が明らかにされている。

紅塵
 複雑な構造を持つ分子が集合してできた赤い砂のような物体。活性状態と非活性状態を持ち、通常の生物種の代謝系との反応が確認されない。
 後に、アーキタイプの13のフェイズのうち「フェイズ1」の段階のものであることが判明するが、サルンガがコントロールしたり、ラドンの生命活動を安定させるなど、ゴジラなどの怪獣がその巨大化した体躯と生態を維持するために必要なエネルギー源となっている。
 日本では、ラドンが出現した逃尾市のある房総半島南部沖の海域を赤く染め、漁業や農業に深刻な被害を与えた。

アーキタイプ
 紅塵を原料とする、従来の物理法則を超越した合成方法不明な新素材。強靭性や軽量性、優れた属性や剛性を備え、時には自己再生もすると言われ、エネルギー保存の法則を破るメカニズムを有する。時間逆行現象すら可能とする媒質で、過去へ送り込んだ光子を媒質に再度入射することでさらにエネルギーを増幅させることが可能とされており、李たちはこれを「葦原カスケード」と呼んでいる。

特異点(シンギュラポイント)
 ラドンをはじめとする未知の怪獣や紅塵が出現する、地球上の物理法則の破綻した正体不明の地点。60年前にインド・ウパラにあるシヴァ共同事業体の地下洞窟で発見されたが封印されていた。


 ……ヒエ~あいかわらず長くなってしまい大変に申し訳ございません!!
 あの、ごくごく簡単な私的感想文みたいなもんは、また次回に、ほんとにさらっと。
 やっと小説読めた……やっぱり円城塔はオモチロイなぁ!!


≪特別ふろく 更新しました!2025年度版・東宝怪獣の作品登場回数ランキング!!≫
※2024年3月公開のハリウッド映画『ゴジラ×コング 新たなる帝国』までの歴代東宝特撮映画と東宝怪獣の登場する特撮作品( TVアニメシリーズ『ゴジラ シンギュラポイント』も含む)と、小説『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年10月刊)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年4月刊)に複数回登場した怪獣をまとめ、その回数をランキング付けしています。
※登場した作品によって性質が全く異なる怪獣であったとしても、同じ名前の場合は同じ怪獣として加算しています(例:宇宙超怪獣と超ドラゴン怪獣、護国聖獣み~んないっしょ)。
※同じ作品内に複数個体登場した場合は「1回」とカウントしています(例:メガヌロンやカマキラスの群体、モスラの幼虫と成虫など)。
※同じ「ゴジラの幼体」として登場するミニラとベビーゴジラは、性質の違いから別の怪獣として区別しています。
※『ゴジラ シンギュラポイント』に登場したゴジラ幼体の各形態は、そのモデルとなった東宝怪獣のリブート出演とみなしカウントします(チタノザウルス、バラン、ゴロザウルスとする)
※『ゴジラ VS スペースゴジラ』(1994年)に登場したフェアリーモスラと、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)に登場したモンスターX / カイザーギドラは、それぞれモスラとキングギドラの形態の一つと解釈して合算しています。
※アニメ『 GODZILLA 』三部作に登場した異星人エクシフは X星人、ビルサルドはブラックホール第3惑星人として合算しています。
※2019年以降に展開している上西琢也監督の『 G vs.G』シリーズおよび中川和博監督の『フェス・ゴジラ』シリーズへの出演はカウントしません。面白いですけど!
※円谷プロのウルトラシリーズで有名な「東宝怪獣の着ぐるみの改造」によって造形された怪獣はカウントしませんが、『ウルトラQ 』第23話『南海の怒り』に登場した「大ダコ スダール」だけは、改造もへったくれもなくまんま同じ形態なので、例外としてカウントに入れました。まぁ、ハレのピン仕事だし、いいじゃないの……
※怪獣の名前の前につく肩書は、最初に登場した時のものを使用しています。
※2018年までの時点で1作品にしか登場していない怪獣は省略しています(例:ショッキラス、サルンガなど)
※過去作の映像の流用のみで新規撮影がない作品はカウントしていません。市販の玩具を利用して撮影された TVドラマ『ゴジラアイランド』(1997~98年放送)もカウントしていません。
※アメリカ映画が発祥となっている怪獣キングコングは、東宝特撮映画もしくはゴジラと共演した作品のみをカウントしています。また、ゴジラが登場していないモンスター・ヴァース作品『キングコング 髑髏島の巨神』(2017年)出身の怪獣(スカルクローラーなど)は東宝怪獣とみなさずカウントしません。

第1位 水爆大怪獣ゴジラ(41作)
 注意:ハリウッド映画『 GODZILLA』(1998年)に登場した怪獣は、強足怪獣ジラのほうに加算しています。あしからず……

第2位 巨大蛾怪獣モスラ(19作)
 『モスラ』(1961年)、『モスラ対ゴジラ』(1964年)、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『ゴジラ VS モスラ』(1992年)、『ゴジラ VS スペースゴジラ』(1994年)、『モスラ』(1996年)、『モスラ2 海底の大決戦』(1997年)、『モスラ3 キングギドラ来襲』(1998年)『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年)、『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(2003年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『 GODZILLA 星を喰う者』(2018年)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)、『ゴジラ×コング 新たなる帝国』(2024年)

第3位 宇宙超怪獣キングギドラ(11作)
 『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)、『怪獣大戦争』(1965年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(1972年)、『流星人間ゾーン』(1973年)、『ゴジラ VS キングギドラ』(1991年)、『モスラ3 キングギドラ来襲』(1998年)、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 星を喰う者』(2018年)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)

同 スーパーロボット怪獣メカゴジラ(11作)
 『ゴジラ対メカゴジラ』(1974年)、『メカゴジラの逆襲』(1975年)、『ゴジラ VS メカゴジラ』(1993年)、『ゴジラ×メカゴジラ』(2002年)、『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS 』(2003年)、『GODZILLA 怪獣惑星』(2017年)、『レディ・プレイヤー1』(2018年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『GODZILLA 決戦機動増殖都市』(2018年)、『ゴジラ VS コング』(2021年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

第5位 空の大怪獣ラドン(10作)
 『空の大怪獣ラドン』(1956年)、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)、『怪獣大戦争』(1965年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『ゴジラ VS メカゴジラ』(1993年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

第6位 暴竜アンギラス(8作)
 『ゴジラの逆襲』(1955年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(1972年)、『ゴジラ対メガロ』(1973年)、『ゴジラ対メカゴジラ』(1974年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

第7位 知的宇宙人 X星人(7作)
 『怪獣大戦争』(1965年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、アニメ『 GODZILLA 』三部作(2017~18年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 大宇宙ブラックホール第3惑星人(7作)
 『ゴジラ対メカゴジラ』(1974年)、『メカゴジラの逆襲』(1975年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、アニメ『 GODZILLA 』三部作(2017~18年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

第9位 海魔 大ダコ(6作)
 『キングコング対ゴジラ』(1962年)、『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965年)、『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(1966年)、『ウルトラQ 』(1966年)、『戦え!マイティジャック』(1968年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 守護龍マンダ(6作)
 『海底軍艦』(1963年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

同 大グモ怪獣クモンガ(6作)
 『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

同 原始怪獣ゴロザウルス(6作)
 『キングコングの逆襲』(1967年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『行け!ゴッドマン』(1972~73年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

第13位 妖虫メガヌロン、古代昆虫メガニューラ、超翔竜メガギラス(5作)
 『空の大怪獣ラドン』(1956年)、『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』(2000年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

同 地底怪獣バラゴン(5作)
 『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 かまきり怪獣カマキラス(5作)
 『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年)、『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』(1969年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 ちびっこ怪獣ミニラ(5作)
 『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』(1969年)、『行け!グリーンマン』(1973~74年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)

同 サイボーグ怪獣ガイガン(5作)
 『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(1972年)、『ゴジラ対メガロ』(1973年)、『流星人間ゾーン』(1973年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

第18位 むささび怪獣バラン(4作)
 『大怪獣バラン』(1958年)、『怪獣総進撃』(1968年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

同 大怪力怪獣キングコング(4作)
 『キングコング対ゴジラ』(1962年)、『キングコングの逆襲』(1967年)、『ゴジラ VS コング』(2021年)、『ゴジラ×コング 新たなる帝国』(2024年)

同 人造人間フランケンシュタイン、サンダ、ガイラ(4作)
 『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965年)、『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(1966年)、『行け!ゴッドマン』(1972~73年)、『行け!グリーンマン』(1973~74年)

同 凶悪怪獣ガバラ(4作)
 『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』(1969年)、『行け!ゴッドマン』(1972~73年)、『行け!グリーンマン』(1973~74年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 大亀怪獣カメーバ(4作)
 『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』(1970年)、『行け!ゴッドマン』(1972~73年)、『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS 』(2003年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 強足怪獣ジラ(4作)
 『 GODZILLA』(1998年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

第24位 ロボット怪獣モゲラ(3作)
 『地球防衛軍』(1957年)、『ゴジラ VS スペースゴジラ』(1994年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 巨大エビ怪獣エビラ(3作)
 『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 公害怪獣ヘドラ(3作)
 『ゴジラ対ヘドラ』(1971年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 昆虫怪獣メガロ(3作)
 『ゴジラ対メガロ』(1973年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 電子ロボット ジェットジャガー(3作)
 『ゴジラ対メガロ』(1973年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

同 伝説怪獣 キングシーサー(3作)
 『ゴジラ対メカゴジラ』(1974年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 恐竜怪獣 チタノザウルス(3作)
 『メカゴジラの逆襲』(1975年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)、『ゴジラ シンギュラポイント』(2021年)

同 ベビーゴジラ、リトルゴジラ、ゴジラジュニア(3作)
 『ゴジラ VS メカゴジラ』(1993年)、『ゴジラ VS スペースゴジラ』(1994年)、『ゴジラ VS デストロイア』(1995年)

同 ゴジラ細胞生物セルヴァム(3作)
 アニメ『 GODZILLA 』三部作(2017~18年)

第33位 南極怪獣マグマ(2作)
 『妖星ゴラス』(1962年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 宇宙大怪獣ドゴラ(2作)
 『宇宙大怪獣ドゴラ』(1964年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 怪鳥 大コンドル(2作)
 『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 合成怪獣グリホン(2作)
 『緯度0大作戦』(1969年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 大いか怪獣ゲゾラ(2作)
 『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』(1970年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 大蟹怪獣ガニメ(2作)
 『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』(1970年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 バイオ怪獣ビオランテ(2作)
 『ゴジラ VS ビオランテ』(1989年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 魔獣バトラ(2作)
 『ゴジラ VS モスラ』(1992年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 完全生命体デストロイア(2作)
 『ゴジラ VS デストロイア』(1995年)、『 GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)

同 魔海獣ダガーラ(2作)
 『モスラ2 海底の大決戦』(1997年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)

同 宇宙怪獣オルガ(2作)
 『ゴジラ2000 ミレニアム』(1999年)、『 GODZILLA 怪獣黙示録』(2017年)
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