長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

月末なんで、観たお芝居のことだけまとめときますか

2013年03月31日 23時29分48秒 | 日記
 ヘヘイヘ~イ。どうもこんばんは、そうだいでございますよ~っと。みなさま、今日は日曜日でしたけど、しっかり働いてた方、いたでしょ!? 実は私もそうだったんですよ! お疲れさまでしたねぇ。

 さて、そんなこんなで気がつけば、3月ももうおしまいでございます。今月も突っ走ったなぁ~、仕事に趣味にいろいろと。

 実は、今月の前半は先月2月にくらべればいくらか余裕ができて(それでも更新はあまりできなかった……)一息ついていたのですが、やっぱり後半に入ってからは岡山行というビッグプロジェクトと、なぜかそれにひっつく形で激増した演劇鑑賞のために、我が『長岡京エイリアン』で語りたいのに語る時間がないという話題が山積となってしまう事態におちいってしまいました。いっつもどおりの月末になっちゃったね~、結局よう!

 そいでま、前回までの記事をご覧の通り、現状ペースはやっと岡山行の鬼ノ城探訪に入るかはいらないかという状況になっているんですが、このままエッチラオッチラと時間軸に沿って話を進めていたら、リアルタイムの4月の話にいつ入ることができるのかわかったもんじゃないタイムパラドックスが生じてしまうと! ただでさえ話題が21世紀っぽくないのに、さらに時間の流れ自体が遅くなっていっちまうワケよ。

 ということですので、ちょっと岡山で観たお芝居『月の影にうつる聲(こえ)』については、また鬼ノ城探訪に続けて後日に記しますが、それから千葉に帰ってきて、それ以降に東京でたて続けに観た3本のお芝居の感想みたいなものを3月中にずずずいっとまとめてしまいたいと思います。も~、どんどん記憶力が衰えていってちまってよう、最近!


劇団山の手事情社公演『ひかりごけ』(演出・安田雅弘 原作・武田泰淳) 劇場……文化学院講堂(御茶ノ水)

 会場の文化学院っていうのは、不勉強なことに私は今まで知らなかったんですけど、1921年開校のそうとうに歴史のある専修学校だったんですね。それでも御茶ノ水にある校舎は14階建てのきれいなビルで、会場となった講堂ホールは13・14階に位置する場所だったわけなのです。こりはつまり、空中の劇場だよチミ!
 ただし、今回の『ひかりごけ』での劇場のつくり方はさすがというかなんちゅうか、通りいっぺんではない味つけがほどこされていました。別にネタばれとかそういう話でもないので詳しく記してもいいことかと思うのですが、私なりにせっかくチケット代を払って観劇して体験した、よそのお芝居ではなかなか出くわさない演出だと感じたことだったので、ここではあえて語らないことにしたいと思います。

 ただ、その~……その演出が良かったのかどうかというと、少なくとも私はあんまりピンとはきませんでした。
 『ひかりごけ』の物語の前半と後半とに思いっきり距離感をつくるための仕掛けなのかと思ったのですが、観ていてさほどガラッと変わった印象を持てなかったというか。ただ、前半と後半とで登場人物がだいぶ違っているはずなのに、そこを4名の男性俳優が2役のようにして演じている以上、それほどの変化が生じないことは作り手側も折り込み済みだったはずで……う~む、よくわかんない。

 私が山の手事情社さんの公演を観るのは、実に5~6年ぶりくらいでそうとう久しくご無沙汰だったのですが、それまで観た多くの公演では、1997年以降に山の手事情社さんが創出したという「四畳半」という演技スタイルが、ともかく物語を「ヘンな感じにする」異化作用に富んだシステムになっていたかと記憶しています。でも、こと今回の『ひかりごけ』に関しては、氷点下が当たり前の極寒の地で遭難してしまった物資ゼロの男たちという極限状況と、俳優の身体にかなり無理を強いているらしい「四畳半」とがかなり違和感なくフィットしてしまったために、「山の手事情社の作品」というよりも限りなく「武田泰淳の作品のそのまんまの舞台化」に近いものになってしまったような気がしたのです。後半の裁判シーンになると、遭難から助かった船長以外の登場人物は「四畳半」にとらわれないラフな演技になってたし。

 『ひかりごけ』の筋は確かに非常にサスペンスフルで、皮肉に満ちた終盤のやりとりもおもしろいと思うんですが、かなり久しぶりに山の手事情社さんの公演を拝見した私としましては……ちょっと物足りなく感じてしまいました!

 ただ、おしまいのおしまいに逆転した船長とそれ以外の登場人物との体の動き方、というところは、すぐに意味がつかめなくてすごく印象に残りました。こういう一刺しが大好きなのよね~!
 あと、後半に一瞬だけ、戦前ドイツのサイレント映画『カリガリ博士』をほうふつとさせる演出がさしこまれたのがちょっとおもしろかったです。「なぜ、いまカリガリ?」みたいな。ただ船長役の浦広毅さんのメイクが濃すぎたからだけだったのかも知れませんが。


なかじま愛子企画『沼子と田んぼ』(演出・富永まい 脚本・西野大介) 劇場……駒込ラ・グロット

 駒込ラ・グロットは、私も来るのが今回で何回目かになる地下のコンクリート空間なのですが、どうしても演技スペースの都合で客席が「最大15名くらい」になっちゃうんですよね。つまりは、演者さんが目と鼻の先。
 で、私は実は冷たいコンクリート製の壁が特徴的なこの場所が、演劇を楽しむ場としてはどうかな……という気持ちをこれまで持っていました。声の反響の問題はなくてセリフはかなり良く聞こえるのですが、逆に反響がまったくないし壁の質感がなんか怖いし、多少狭く感じもするしで、たぶんここでは、よっぽどのことでなければ上演するたいていの作品がその内容にかかわらず暗い感じになってしまうんじゃなかろうかと思っていたんですね。

 でもねぇ~、今回の『沼子と田んぼ』は、ある局面ではそういった雰囲気を軽くぶっとばす明るさがあったし、ある局面ではそういった周囲の暗さを実に自然に作品に取り入れる巧妙さがあったしで、会場が駒込ラ・グロットである必然性をしっかり持っている作品だと観ました。いいですねぇ~、そういう「ならでは感」! せっかくヘンな空間でやるんですからね。

 お話はコンパクトな会場にあわせてか上演時間70分、役者3名というスケールになっていて、内容はまさしく「大人の寓話」というかなんというか、単純で牧歌的な設定のようでいて、次第に主人公の沼子(演・中島愛子)という女性を取り巻く残酷な構図が透けて見えるようになってくるブラックな童話といったおもむきがありました。

 ちょっとおもしろかったのが、この作品を観てのお客さんによっての感じ方の大きな違いで、私はこの作品を「おもしろいながらも、話が進むにつれて笑えない恐ろしさが垣間見えてくる非常にホラーな物語」ととらえていたのですが、たまたま同じ回を観ていた女性の知り合いの方と終演後にお話をさせてもらったところ、彼女は私とはまったく逆に、「ちょっと怖いけどそれもひっくるめて楽しい、ひたすら明るい物語」と感じたと言っておられました。

 なぜそこまでに観る人によって「明るさ」と「怖さ」が逆転しているのかと考えてみますと、それは男女によって、この物語のとらえ方が違ってくるからなんじゃないかと思うんですね。
 主人公の沼子に感情移入すると、この物語の真相を知らずに陽気に生きる沼子の笑顔で終わるエンディングは、社会の構図がどうであろうと快活に生活していく現実世界の人々に近い生命力を感じさせるものとなります。
 しかし、私は沼子と不思議な共同生活を送っている田んぼ(演・佐久間淳也)という謎の中年男性のぶざまな末路のほうに感情移入してしまったために、そんな田んぼがクライマックスにつぶやいた負け惜しみのような言葉に背筋の凍るものを感じとってしまったのです。

 私はことさらに、男女で感性が違うとかそういうことを言いたいわけではないのですが、この『沼子と田んぼ』はそれほどのとらえ方の差が生じるくらいに「女の生活」と「男のロマン」との表裏一体のせめぎあいを極限にまで単純化した童話なのであり、その2者の共存に危機をおよぼす釣り人(演・田口愛)の登場によって、その対立の構造はいっきに崩壊の階段をあゆんでいくのでした。

 この作品は、とにかく本公演を企画した主演の中島愛子という女優のかもしだす「ぽかぽか陽気」なくしてはまったく成立しえないものであり、そういう意味では、その味わいを利用して逆にシニカルなお芝居をつくったところに「さすが、自分の武器を知ってるなぁ~!」と感服してしまいました。「おのれを知る」って、なかなかできないことですよね。
 あと、その中島さんに寄り添う田んぼを演じた佐久間さんのバカバカしさもとっても良かったのですが、まさに遅効性の猛毒のように、観終わって家に帰ってからじわじわと「あれ、あの人おもしれぇな!」と笑えてきてしまったのが、その中島さんと佐久間さんとの生活を引き裂く役を演じた田口愛さんでしたね。なんか、非常に不可解なことをなんの躊躇もなく普通の顔をしてやりのけるところに、往年の板尾創路をほうふつとさせる危険な香りを感じてしまいました。おもしろい! あの田口さんって人、おかしいぞ!! あまりにナチュラルな狂気のさしこみ方に、思わず気づくのが遅くなってしまいました。いい3人芝居でしたね~。


テアトル・ド・アナール第2回公演『従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインがブルシーロフ攻勢の夜に弾丸の雨降り注ぐ哨戒塔の上で辿り着いた最後の一行「およそ語り得るものについては明晰に語られ得る。しかし語り得ぬことについて人は沈黙せねばならない。」という言葉により何を殺し何を生きようと祈ったのか? という語り得ずただ示されるのみの事実にまつわる物語』(演出&脚本 谷賢一) 劇場……こまばアゴラ劇場(駒場) ※公演は来月4月7日日曜日まで上演

 ツッコまねぇぞ、おれは! 誰がツッコむか、そんなもん!!
 私は基本的に、そういうセンスが心の底から大っ嫌いなので、普通だったらチラシを見た時点で行くこともないお芝居のほうにササッと分類されるものになっていたはずだったのですが、俳優の榊原毅さんが出演している作品であるというそのワンポイントのみから生じた「てこの原理」で、一転して奇跡の観劇リスト入りということになりました。

 それで観たんですが、おもしろかったですねぇ~、やっぱ榊原さんが。
 別に、私が劇団に所属していたときに大変お世話になったからひいきしてるわけじゃないんだからねっ!? 本当におもしろいんですよ。

 劇中では、登場する男性俳優5名のうち、主人公のウィトゲンシュタインをとり囲むように存在する3名の戦友が、まるで彼の磁場に引き寄せられるかのように、それぞれの好むと好まざるとにかかわらず彼の哲学的な物語の重要な歯車となっていくのですが、榊原さんの演じる、ウィトゲンシュタインら4名の兵士の上官(部隊長)という人間のみが、彼らの思索の影響をなんら受けることなく、実に能天気に第1次世界大戦ライフを謳歌しているのです。
 この、「てめーら、なにグジグジ言ってんだ! 死ぬときゃ死ぬ、勝つときゃ勝つ! さぁ、戦争やんぞ!!」という異分子キャラクターが今回、よりによって生命エネルギーに満ち満ちている榊原さんの肉体を得てしまったがために、おそらく作者さんとしては重たい話にひと笑いをさしこむコメディリリーフ程度に考えていたのかもしれませんが、にもかかわらず予想を超えた異常な発育を遂げてしまい、結果としては作品全体の本筋にたいして「それを言っちゃあ、おしめぇよ。」的なメガトン級インパクトを投下してしまうトランプのジョーカーになってしまったのではないのかと感じてしまったのです。

 もちろん、榊原さんの役をそれほど大きくとらえずに、戦争物によくいる「筋肉でものを考える部隊長キャラ」程度に受け流す方もお客さんの中にはいてもおかしくないでしょうし、そこ以上に悩めるウィトゲンシュタインの物語に没入するのが正しい作品の楽しみ方なのかも知れません。
 でも! 私は主人公近辺のグジャグジャしたあれこれよりも遥かに!! 榊原隊長の口から出る言葉に人の耳と心をつかむ「何か」があると強く感じました。それがいくら知的でなく、どれほど矛盾したフィーリング論だったのだとしても。なんでかって……やっぱ、私がキリスト教信者じゃないから?

 なんかアフタートークでの語り口を聞いていても、作・演出の谷さんはしきりにウィトゲンシュタインの物語をいかに演劇化するかというあたりに力を入れていたように見受けられたのですが、その努力の成果はよくわかんなかったものの、ともかく、谷さんが榊原さんをキャスティングしたことだけは文句なしに称賛させていただきたいと思います。よくぞやってくださいました! それが果たして、作品全体のバランスにとって良かったのかどうかは私はかなり疑問なんですけど、それでも、作者のイメージの舞台化だけという見る価値ゼロのものにおとしめなかったんですから、それでいいじゃないですかと! 現場の化学反応、ばんばんざい!!

 もちろん、榊原さん以外の役者さんがたも非常に達者だったんですけど、なんかね~。どっかの戦争映画かなんかで見たことのあるテクニックの展覧会を見せられても……って感じで。

 やっぱ、魂? お芝居のどこを楽しむかっていうのは当然ながら人それぞれかとは思うんですが、少なくとも私が観たいのは、「このステージを、記憶したセリフの羅列と自分がやって安心する技術の連続だけでは終わらせねぇぞ。なんとしても、それ以上のなにかに挑戦してお客さんに喜んでもらう! なにかって、なんだかはよくわかんねぇけど!!」という、尋常でないレベルのおもてなしスピリットなんですよ。それがあれば、その輝きが一瞬でも観られたのならば、私はもう大満足。



 とまぁ~、3月の5連続お芝居はこんな感じでございました。

 簡単にパパッとまとめてしまいますと、私個人の満足度としましては、

1位『月の鏡にうつる聲』
2位『さくらん少女』
3位『沼子と田んぼ』

 という順位になりますかね~。とにかく、総じて収穫の多い観劇ラッシュでした。

 だ・か・ら! 肝心のトップの感想はいつになるんだっつぅの~!!
 気長に待っててくださ~い……って、とっくに終了しているお芝居の感想を先延ばしにしているこのブログって、いったいなんなんでしょうか。

 理屈を超えた不可解性、それが『長岡京エイリアン』!! ほへ~。
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全国城めぐり宣言 第17回(たぶんそのくらい) 「備中国 鬼ノ城」……じゃなくて、「備中国 経山城」!

2013年03月28日 23時17分00秒 | 全国城めぐり宣言
 はいは~い、どうもこんばんは~。そうだいでございます。みなさま、今日も一日お疲れさまでした!
 いやはや、もう月末なんですよ! 早いですねぇ~、時のたつのが。桜ももう満開でございます。

 あの~、今月もやあぁ~っぱり忙しいんですけど、なにが忙しいって、仕事のあいまを縫って観に行きたいと考えてる演劇の公演がむっちゃくちゃ集中しちゃってんの!
 だいたい私の場合、ペースとしては2ヶ月に1本くらいの割合でお芝居を観るのが普通の感じなんですが、いったい何が原因なのか、前回に紹介した℃-ute中島早貴さん主演の『さくらの花束 さくらん少女』からカウントすると、ひぃ、ふぅ、みぃ……あらら、たった1週間のあいだに「5本」お芝居を観る予定がつまっちゃってんのよねぇ~!! これ、お仕事の都合でどうしても観にいけなくて2本断念した上での5本なんですよ。
 別に春先に演劇が盛んになる、っつうこともないはずなんですが……まァ、そういう時期はそういう時期として、素直にそのムチャクチャぶりを楽しみますか! 仕事、お芝居、仕事、仕事、お芝居……あ~楽しい。


 さてさてそんなわけですので、できればこの『長岡京エイリアン』で逐一取りあげていきたい話題が満載の月末なんでありますが、そこはちゃんと、順番どおりにあまさず扱いたいのが私の貧乏性なところなんであります。だって、いちいちお金も使ってるんだからよう。
 ということなので、今年の1月のように仕事の忙しさにかまけて体験記のまとめを滞らせることのなるべくないように! ちゃっちゃと3月の岡山行のお城探訪&演劇鑑賞のつれづれをつづってしまうことにいたしましょうや! いや、備中高松城とダンス公演のことは、またリアルタイムがヒマになった時に本腰入れて取り組みますです、ハイ。あ、でも、記憶の鮮度が……


 前回に触れましたとおり、今月24日の日曜日、日中に池袋の劇場「シアターグリーン」で『さくらん少女』を観終えた私は、夕方ごろに JR東京駅に向かい、夜9時のバス出発を待って駅前の「喫茶室ルノアール」で1~2時間ほどボンヤリしました。
 いや~、実は私、ひとりでそういう喫茶店に入って時間をつぶすのって、所在がないやら店員さんの視線が気になるやらであんまり得意ではないのですが、その点ルノアールは実に居心地がいいですねぇ、やっぱ! 広い店内を見まわしても、私と同じくボンヤリしている人もいれば読書をしている人もいるし、なんの遠慮もなく長話を楽しんだり、数人でパソコンを囲みスカイプ通信(……っていうんですか? アレ)でなにかの打ち合わせをしている若者たちもいるといったあんばい。あ~気楽でいいやコリャ。なんだか深夜バスに乗る気が失せてきたぞ~。
 考えてみれば、電車に乗って千葉からはるばる池袋まで行って、本物に初めて出会うアイドルさんのお芝居を約2時間楽しんだっていう時点で、十二分に家に帰ってその日をシメていいレベルのイベントだったんですよね。それがこれから、深夜バスで0泊3日の旅なのよ。しかも、その内容たるや……

 いや、いや、もう身体はバス駐車場の近くにあるし、なんてったって安くはないバス代をもう払っちゃってるんですよ! そして、行く先の岡山では素晴らしい時間が待っている……はず! ここはもう、雄々しくバスに乗り込んで明日のためにさっさと寝る以外に選択肢はないのであります。出発、しゅっぱつ~!!

 ところが……バスの中ではあんまり眠れなかった。
 別にバスの設備がどうこうってことはなかったんですが、やっぱり深夜の高速バスって、「お隣さん」が大事なのよねェ~!
 ……消灯時間にパソコンいじるなって、出発のときに運転手さんが言ってただろうが……あっ、やっと閉じたと思ったら、スリープだかシャットダウンだかなんだかわかんない表示の点滅ランプが異常にまぶしく感じる!!
 挙句の果てには、私のかけ毛布までひったくって寝ようとする始末! 貴様、俺の皮下脂肪の少なさをナメんなよ!? まぁ、車内はむしろ暑かったからいいけど!
 ところが、お隣さんはやがて、本当の自分のかけ毛布が自分のおしりの下にあったことに気づき、手にしたかけ毛布を、ラブレターを渡しかねている乙女のようにもじもじさせます。え、わたし? わたしは完全に見ないフリで無視ですよ! ちゃんと一声、「すみません。」って言って返せよ!
 そしたらこやつ、なんにも言わないで私のかけ毛布を小さくたたんで、自分と私とのあいだに「そっ。」と置いてやんの! そのあとは完全しらんぷり!!
 小さい!! なんといじらしい小心者ヤローなんだ!! もう充分おもしろかったから怒らねーけど、そんなかけ毛布もういらねぇよ、バカヤロー☆
 よっぽど、その後生大事にかかえているパソコンを、開くほうとは反対側に「パキッ♡ 」と折ってやりたくなりましたが、ここは一期一会の縁なのだからと冷静になることにいたしまして、「タチの悪いウィルスにひっかかれ、タチの悪いウィルスにひっかかれ……」と一心不乱に祈りながら目をつむることにいたしました。せいぜい、そのせせっこましい人生をチビチビ送っていきやがれ!

 とまぁ、そんなわけでいつにない疲労度で目的地の岡山駅前に到着したのですが、去年の3月と同じく、春先とはいえ早朝6時の岡山はやっぱり極寒。さすがに前回の1月にくらべればいくらかマシとはいえ、私がその日着ていたジャケットだけではちょっと物足りない気温となっていました。
 でも! 去年の経験を引っぱりだすのならば、岡山はお昼近くになってからの陽気の勢いがハンパないんですよね~! ジャケットさえもいらないくらいの暑さだったんですから。

 っつうことで、まずは多少の寒さをガマンしながら岡山駅に入って、前回の備中高松城探訪でもお世話になった「吉備線」に乗り込むことにしました。今回も、その押しボタン式開閉ドアの味わいはそのままでしたね~。車両も、あれはきびだんごを意識しているんでしょうか、全体が「朱」か「白」か「桃」のどれかに彩色されている車両が交互に連結しているのは、いかにもシンプルですがいつ見てもかわいらしいですね。

 今回、私がお城探訪のために向かった目的駅は、岡山駅から吉備線に乗って40分ほど、前回お世話になった備中高松駅を過ぎて、そのひとつ先の足守(あしもり)駅もさらに過ぎた7駅目の「服部駅」でした。岡山市街地から北西に16キロほど行った、総社市(そうじゃし)の東の玄関に位置し、もちのろんで、無人駅。

 服部駅を出ると、そこには前回の備中高松駅や足守駅とさほど違いのない、というか、さらに農地化した風景が広がっていました。広々とした田んぼ、向こうにそびえる山々、そこを一直線に貫く高架式の岡山自動車道。ほんとに、見れば見るほど私の実家にそっくり! また、春先なので全体的に色彩が茶色っぽいのが「ザ・寂寥」って感じで最高ですねぇ。それに、その日が月曜日だったのが関係してるのかどうかわかんないんですが、午前中は見渡すかぎり外に人がいないいない! 車はたまに通り過ぎるんですが、しばらくのあいだは誰ともすれちがわなかったですね。う~ん、一人旅ムードは満点。

 さて、服部駅から北を向くと、農地をこえた数キロ先には東西に際限なく山々がならんでいるのですが、今回私の行く山はどこかな、っと……

 あ、すぐに見つかった。

 眼前の山地は全体的に深い緑一色に染まっているわけなのですが、たったひとつ、服部駅から見ればほぼ真正面に位置する山の頂上付近だけが、なにやら人工的にそう作られたかのような「黄土色」になっているのです。
 削られたのか? いや、違う。あれは……城の城壁だ!!

 5~6キロは離れている地点からでもすぐに識別できるあの巨大な山城、その名は……「鬼ノ城(きのじょう)」!!
 気がつけば、鬼ノ城の上空に広がるのは灰色の曇天。なにやら雲行きも怪しくなってきたような……雰囲気がおどろおどしい!
 そして、鬼ノ城へ通じる道のところどころには、私の来訪を、まるで哀れな生贄が自分の運命を知らずに迷い込んで来るかのようにいまや遅しと待ち受けていた、鬼の眷属ともみまごう不吉な鳥たちの愉悦にむせぶ叫び声が!


チュン、チュン。


 すずめか!! そこはカラスにしとけやァア!
 すずめなんて、何年ぶりに見ましたかね……『ハロモニ。劇場』の「高橋愛チュン」以来じゃないかな。千葉の市街地ではほんとに見られないんですよねぇ。心が和むよね。

 鬼ノ城は岡山県も力を入れてアピールする観光地のひとつになっているようで、駅としては最も近い距離にある服部駅の出口にも、鬼ノ城など、近隣の名所名跡への道筋を丁寧に紹介する大きな案内板が設置されていました。

 それによると、「鬼ノ城まで5.5km 」。う~ん……最寄り駅?

 まぁともかく、そのくらいはまったく想定内の歩行距離であります。服部駅に降り立ったのが午前7時30分で、岡山に来た主要な目的であるお芝居が岡山市で上演されるのは夜19時! も~半日近く余裕があるんですからね~。
 しかも、私も典型的な30すぎの運動オンチ男とはいえ、5~10キロくらいの距離は日々の生活でしょっちゅう折を見ては歩いているんであります。まぁ、その大半は「道に迷ったから」なんですけど……それはそれとして、5.5キロなんて日常茶飯事なんですよ!

 だが、しかし。私はこの時点で、ある重大なポイントを見落としていた……いや、それはもしかしたら、そのことを考えるのがあまりにも恐ろしかったために、自分でもまったく意識していないうちに「見ないことにしていた」のかも知れない。


それは……鬼ノ城は山の城。そう、山の道には「角度がある」のだ!!


 やっぱり……山なのよね~。
 服部駅から北に歩いて2キロほど行くと、そこには広大な敷地と豊富な自然資源を利用した「砂川公園」というレジャー施設があります。散策のほかにもキャンプやバーベキューなどができる楽しそうな場所なのですが、ちょうどそのあたりが、山頂に鬼ノ城をいただく「鬼城山(きのじょうざん)」のふもとに位置しています。そのため、公園に入ったあたりからゆるやか~に坂道が続いていくようになり、砂川公園の目玉でもある自然の河川「砂川」を利用したウォータースライダー場を横目に見ながら公園の北端を出ると……

 もう、右も左も山、山、山。そして、右手の鬼城山に続く道は、さっそく傾斜角30°はあろうかという、「坂道ですが、なにか?」状態。
 「鬼ノ城・駐車場まで3.5km 」。坂の入り口にはこんな無情な表示板が。
 まぁ、ほんとに傾斜が30°あるのかどうかはわかりませんが、感覚としては私の地元にある蔵王スキー場のゲレンデに近い「壁感」がありましたよね。

 ここで私は痛感しました。登山の準備なんてロクにしてこなかったけど、ひとつだけ念のために、軽くて丈夫な「作業用安全ブーツ」を履いてきて本当に良かった……県外に旅行に行くからといって、しゃれっ気を出して重い靴とかを選んでたら、おそらく夜19時開演のお芝居の会場に私の姿はなかったでしょう。南無八幡大菩薩!

 「駐車場まで」とあるように、鬼ノ城は山頂付近の城域まで車で登ることができるアスファルトの道があるのですが、さっそく入り口には「大型車は乗り入れられません」という表示がかがげられております。そして、当然のごとくの一本道。ところどころに対向車が待機するスペースがもうけられています。
 だもんで、入り口から未舗装の山道というわけではないのでそういう意味では大変ではないはずなのですが、アスファルトだって坂は坂!!

 も~、基本的に態勢はマイコージャクソンの『スムース・クリミナル』のアレみたいなななめっぷりですよ。うしろで何が爆発してるんだって話ですよ。


「がんばらなっくっちゃ~あ、がんばらなっくっちゃ~。がんばらなくっちゃぁあ~……」


 いくらなんでもリアルタイム世代ではないのにもかかわらず、私の脳内には無限ループで『ピンポンパン体操』のフレーズが!! もちろん、歌唱しているのは久住小春さんのやつです。

 もう、頭を上げて山々を見渡す余裕が、なくなるなくなる! 見る見るうちに目に入るのは、地面の灰色だけになっていくという、このわかりやすい過酷さ。それでもがんばってぐぐっと顔を上げてみたとて、真正面にはやっぱり灰色の坂がドーンと、山肌で見切れるまでず~っと!!

 あぁ~、もう、かえ……るわけにはいかんっ!! ここまで来たからには必ずや山頂まで……

 もはや「千葉からはるばる来ただけのものはなんとしても全部見尽くしちゃる!!」という貧乏人の意地のみがメインエンジンという状態なのですが、とにかく急がずに1歩1歩を短めに、しかし確実に前に進める作業のみに集中して、遥かなる坂を登りつめていくこととなりました。
 遥かなるったってオメー、たかだか3.5km よ! 終わりはちゃんとあるんだから……え、まだ500メートルしか登ってないの? あと3キロか……

 空はかろうじてまだ泣き出してはいないのですが、依然として余談を許さない曇天。気温もさほど上がっていないのに、勝手に私の体温だけがうなぎのぼりになっているせいでジャケットさえもがいらない汗だく状態におちいっております。

 しまった……服部駅から砂川公園までは震えるくらいの寒さだったので、ほうぼうに置いてあった自動販売機には何の関心も示さずにスルーしていたのですが、山道に入って熱くなり水分に渇望しだしたとたんに周囲は自販機なんかあるわけナッシングな環境に!!
 そうだった、事前に調べておいたところ、ガイド文はしきりに「山道から山頂にかけては自販機がいっさいないので水分の確保に注意しておくこと!」という警告を発していました。ついさっきまでいらないと思ってたんだけどよぉ~、やっぱ人間に水は必要なんだな~これが!!

 だ~が、しかし! こういうときもあろうかと、私のカバンの中にはなんと、私にしては奇跡的な準備のよさで、岡山出発の前日に知り合いの方からおすそ分けでいただいた「おミカンさま」が4つも格納されていたのだァアア!!

 はわわ~、ありがたやありがたや……「蜜あふるる柑の木の実」と書いて「蜜柑(ミカン)」と読む! っていうか、「甘い木の蜜」なんだぜ、蜜柑って!! スゲくね!?
 まだ何の苦労も知らなかった幼いころ。私は日本昔話の『わらしべ長者』で、のどが渇いて困っていた旅のお姫様が主人公からミカンをもらって喜ぶというくだりを読むたびに、「だっせー、お姫様なんだからノドかわいたらフツーにポカリとかアクエリアス飲めよ! ミカンは食い物なんだよ!」などというアホンダラなツッコミをしていました。認めたくないものです。

 ミカンがなかったらどうなっていたことやら……ともかく、人の縁というものは思いもかけないところで自らを助けるものであります。これからもがんばって生きていこう!

 さて、そんなこんなで私が初期型のアシモのような歩みで坂を登っていると、視界にはたまに谷川や水害防止のための小規模なダムが見え隠れし、道ばたにはそれ以上に高い頻度で、足元に番号の刻み込まれた意味ありげなお地蔵さまの石像が並んでいます。最終的にちゃんといくつあったのかは確認しなかったのですが、3.5km の山道に少なくとも「23基」はお地蔵さまが並んでいましたね。だいたい150メートルに1地蔵ということですか。
 番号がふられている以上、おそらく山道での自分の現在位置を確かめるというきわめて実用的な意味合いがもっとも強いのでしょうが、ひとつ残らずしっかりと赤いべべが着せられていて、にこやかに笑っているもの、ちょっとイラッときているもの、顔が削れてなくなっているもの、どうしてそうなったのかはまるでわからないのですが首と胴体とでバカッと2つに割れた形跡のあるものなど……やっぱりこの鬼城山には、これほどの地蔵チームを必要としなければ鎮められない「何か」が今なお存在しているとしか思えない気分になってきます。って言ったって、あたしゃ鬼よりも熊のほうがよっぽど怖いっすけどね! つい先月の豆まきで鬼、やったし!!

 いっぽう、車道では15分に1台の割合で車が通っていくのですが、こちらも私と同じように「ヴヴヴいぃ~んん……」といううなり声をあげながら、けっこうキツそうな1速状態でえっちらおっちら坂を登っていくミニバンやワゴンがほとんどです。

 そのうちの1台が私の隣でスピードを落としたのでふと顔を上げると、そこにはいかにも人のよさそうなおじさんの笑顔が。
 「山登り? 今日はこれから天気が良くなるけぇね、頂上は最高よぉ~! がんばりんさい~。」

 そう快活に語っておじさんの車は去っていったのですが、いちおう空元気で「ハイ、がんばります!」と答えはしたものの、私のノドには「乗っけてくれ!」という叫びがかなりギリギリまで出かかっていました。
 おじさんのワゴン車には明るい色づかいで「総社市 新生活交通 雪舟くん」という文字がペイントされていました。どうやら、山奥に住む方々の生活の足として機能している公共交通機関のようですね。おじさんも、がんばりんさいよ~。ちなみに、「雪舟くん」というネーミングの由来は室町時代の水墨画僧・雪舟等楊(せっしゅう とうよう 1420~1506年)が岡山県総社市の出身だったからのようです。

 そしてなんとえらいもんで、おじさんから「天気が良くなる」と聞いた瞬間に空模様は青空がチラホラと見えるようになってきました。さらに坂道のハードさにはっきりした変化はないものの、ハッと気がつけばかたわらには「鬼ノ城・駐車場まで1km 」という表示板が!

 きたきたきた~! もう、あと100メートルを10回、10回ぃい~!!

 も~、早くもここまでの時点で本格的山登り感がとんでもないことに。ちゃっちゃと鬼ノ城を探訪して、ちゃっちゃと下山しちゃおう、こうなったら! あとは岡山市の市街地で、何時間でもお芝居の時間まで休んでればいいんだから。

 そういった超及び腰気分で鬼ノ城までのラストスパートに気合いを入れた私だったのですが、「残り1キロ」の看板を通り越してしばらくすると、すぐにまた次の表示板が見えてきました。

 なんだ、ありゃ? 妙に間隔が短いけど、何が書いてあるんだろう。
 なにげなく目に入れて通り過ぎようとした私だったのですが、そこに示された驚愕の情報に直面して、私は凍りついてしまいました。


「← 経山城 / 鬼ノ城 →」


 !!?? 経山城!? なにそれ、「きょうざん」? 「つねやま」? どっちでもいいけど、鬼ノ城だけじゃねぇの!? 他にあるの、城!?


 これには参りました……鬼ノ城だけをちゃちゃっと、というふうには簡単にいかない事態が早くも出来!
 城だと……そういわれたら、行かずにはいられねぇじゃねぇかァ!! そこに城があるのならば、たとえ時間がいくらかかろうと、この両の脚がムチャクチャになろうと探訪するのが私の業病なのだ。

 よし、それならまず鬼ノ城はおいといて、行ってやろうじゃねぇか、その「経山城」とやらに!


 思わぬ伏兵の登場に私の城好き魂は大いに火がつき、同時に両足はドン引きするのでありました。

 っつうことで、次回は「経山城探訪」からの、いけたら「鬼ノ城探訪」まで!!
 も~なんか、「このペースでいつになったら完成するのか」とか、そんなのもうどうでも……
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3月岡山行の序章!?  劇団ゲキハロ特別公演 『さくらの花束 さくらん少女』

2013年03月26日 21時03分51秒 | すきなひとたち
 いえぇ~いい、ぽんぽぉお~んんっ☆ どうもこんばんは、そうだいでございます。みなさま、今日も一日お疲れさまでございました!!

 いや~、行ってきた行ってきた、岡山!! いやはやなんとも、今回も得がたい素晴らしすぎる経験ばっかりの0泊3日となりましたなぁ~。

 そして、もう脚がボロッボロのガッタガタ……

 実は、前回の備中高松城探訪でもそれなりに足を使って疲れたつもりではいたのですが、いやいやあんなのまだまだヒヨッコでしたわ!
 山はこわいね~! そして、そのこわさ以上に魅力があるんだよねぇ~!!
 そういえば、私の父は山が好きなんだそうですが、なんか、今回の探訪は山の中でヒ~ヒ~言いながらも、「あの父にしてこの子あり、か……」と思わせるクライマーズ・ハイな瞬間がいっぱいありましたよ。
 山登り、いいね……もう私も30半ばが近づいてるんでムリはできないはずなんですが、今回は思いっきり無理しちゃいましたよ! 高速バスの強行軍とはまた違ったムリ、それが山登り! 予想以上の道の傾斜角度、予想以上の歩行距離、そして、まったく予想できない目的地の光景。いや~よかったよかった。ついでに言えば、無事に生きて下山できてほんとによかった……


 さて、そんなこんなで早速、息をもつかせずにここ数日の岡山行のまとめをしたいところなのですが、ここはまず、出発の日となった3月24日日曜日のあれこれから、しっかりと順を追って話を進めていきたいと思います。

 でも、そうなると岡山とはまるで関係のない話から始めることになっちゃうのよね……


 出発の24日、私は夜に東京からバスで出発するまでの時間つぶしとして、東京のどこかでお芝居を観るという計画を思いつきました。
 今となって、岡山での尋常でないカロリー消費ペースのことを振り返ってみれば、出発の日は半日くらい絶対安静で昼寝する必要があったかと思うのですが……そ~と~久しぶりに仕事のない日中だったんもんでねぇ。こういうときにぜいたくに時間を使えない私の貧乏性っぷりが見て取れますねい。

 実はこの時点で、私の中で観たいと思っていたお芝居はいくつかあったのですが、結局、この岡山行直前という重要な局面で私が選択したのは、これでした!


劇団ゲキハロ・特別公演 『さくらの花束』(2013年3月14~24日 池袋シアターグリーンにて)


 アイドルか~! ここでアイドルのお芝居えらんじゃったか~!!

 この『さくらの花束』の主演は、天下の実力派アイドルグループ・℃-ute(きゅーと)のみなさんなんですよ……私が大好きな岡井千聖さんが所属してるんですよ……そして、私が映像でない本物の℃-uteさんを肉眼で確認するのはこれが初めてなんですよ。

 明らかに容量オーバーだろうが……これから体力的にけっこうハードなスケジュールが待ってるっていうのに、その出発前に別の日に独立させてもおかしくないイベントをブチこんでどうするのだ!?
 しかし、『さくらの花束』はこの24日が公演最終日だったのです。これで深夜バスの時間にも間にあう午後からの回があるのですから、これで観に行かないわけにはいかなかったのよねェ。このチャンスを逃がさずして、いったい何が『長岡京エイリアン』かと!!

 とかなんとかいいつつも、当日券が売り切れちゃってたら意味ないよなぁ、などと弱気になりながら、岡山行のためのあれこれを入れたカバンを片手に池袋に向かったのですが、念のために開場時刻よりもちょい早めに行ったのが功を奏したのか、チケットは思いのほか簡単に手に入りました。

 それではここで、「劇団ゲキハロ」と今回の『さくらの花束』についてのうんぬんかんぬんを整理してみましょう。


劇団ゲキハロとは

 演劇界のスタッフと、ハロー!プロジェクトのコラボレーションによる舞台公演。
 Berryz工房と℃-uteとスマイレージのいずれかの主演、もしくは共演による作品になっている。
 現在、第1~12回公演のすべてが DVD商品化されている(第9回の DVDは菅谷梨沙子主演ヴァージョンのみを全編収録しており、その他の主演映像はダイジェスト収録)

第1回公演 2006年11月『江戸から着信!? タイムスリップ to 圏外!』(主演・Berryz工房 会場・池袋シアターグリーン)
                               脚本・前川知大(イキウメ)、演出・岩井秀人(ハイバイ)
第2回公演 2007年6月『寝る子は℃-ute』(主演・℃-ute 会場・池袋サンシャイン劇場)
                   脚本&演出・塩田泰造(劇団大人の麦茶)
第3回公演 2007年11月『リバース! 私の体どこですか?』(主演・Berryz工房 会場・池袋サンシャイン劇場)
                          脚本&演出・伊藤えん魔(ファントマ)
第4回公演 2008年10月『携帯小説家』(主演・℃-ute 会場・池袋サンシャイン劇場)
                 脚本&演出・太田善也(散歩道楽)
第5回公演 2008年11月『Berryz工房 VS Berryz工房』(主演・Berryz工房 会場・池袋東京芸術劇場中ホール)
                        脚本&演出・楠本柊生元帥(劇団第14帝國)
第6回公演 2009年6月『あたるも八卦!?』(主演・℃-ute 会場・ル・テアトル銀座)
                 脚本&演出・川原万季(散歩道楽)
第7回公演 2009年9月『サンクユーベリーベリー』(主演・Berryz工房 会場・池袋サンシャイン劇場)
                   脚本&演出・塩田泰造(劇団大人の麦茶)
第8回公演 2010年8月『おばぁちゃん家のカレーライス スマイルレシピ』(主演・スマイレージ 会場・六本木俳優座劇場)
                                  脚本・坪田文(空間ゼリー)、演出・三原光尋(映画監督)
第9回公演 2010年9~10月『三億円少女 華麗なる七人』(主演・Berryz工房 会場・池袋サンシャイン劇場と大阪の2都市公演)
     脚本&演出・塩田泰造(劇団大人の麦茶) ※ゲキハロ史上初の複数都市公演であるとともに、公演ごとに主演者が変わる(Berryz工房の7人のうちの誰か)という演出の作品だった
第10回公演 2011年6~7月『大正浪漫・ハイカラ探偵王 青いルビー殺人事件』(主演・モーニング娘。の田中れいな 会場・六本木俳優座劇場)
     脚本・加藤淳也(映像脚本家)、演出・小中和哉(映画監督) ※Berryz工房の清水佐紀と須藤茉麻が共演
第11回公演 2011年9~10月『戦国自衛隊 女性自衛官死守セヨ&女性自衛官帰還セヨ』(主演・Berryz工房&℃-ute 会場・池袋サンシャイン劇場と大阪の2都市公演)
     『死守セヨ』脚本&演出・塩田泰造(劇団大人の麦茶)/『帰還セヨ』脚本・林誠人(映像脚本家)、演出・鈴木早苗( TVドラマ演出家) ※この公演は、半村良の SF原作小説の設定をもとにしたオリジナル作品2本が交互に上演されるという形式となっており、Berryz工房と℃-uteのメンバーがシャッフルされてどちらかの作品に出演するというキャスティングになっていた
第12回公演 2012年9~10月『キャッツ♡ アイ』(主演・Berryz工房&℃-ute 会場・池袋サンシャイン劇場と大阪の2都市公演)
     『盗む側にドラマがある。』脚本・太田善也(散歩道楽)、演出・鈴木早苗/『盗まれる側にもドラマがある。』脚本&演出・塩田泰造(劇団大人の麦茶) ※この公演は、北条司の原作をもとにして2つの視点から物語を進行させていくという2パターン交互上演形式となっていた


劇団ゲキハロ特別公演『さくらの花束』(2013年3月14~24日 池袋シアターグリーンの劇場3館にて同時上演)
 主演・℃-ute、脚本・坪田文(空間ゼリー)、演出・大岩美智子(劇団ジュークボックス)
 「シアターグリーン大・中・小劇場内を大移動!! 3つの演劇を同時上演! ℃-uteは全てに出演します。」(チラシより)
『さくらの花束 チルチルサクラ』シアターグリーン大劇場「ビッグツリーシアター」(客席167席)での上演
 ・作品の共通の舞台となる「私立仙緑寺(せんりょくじ)女子高等学校」のある教室で展開される物語
『さくらの花束 桜色に頬染めて』シアターグリーン中劇場「ボックス・イン・ボックスシアター」(客席104席)での上演
 ・仙緑寺女子高の生徒会室で展開される物語
『さくらの花束 さくらん少女』シアターグリーン小劇場「ベースシアター」(客席70席)での上演
 ・仙緑寺女子高の演劇部室で展開される物語



 とまぁ、こんな感じなんですけれどもね。なんか、ここ数年はやけにトリッキーな企画の公演が多いね!

 今回の『さくらの花束』がゲキハロの第13回公演でなくて「特別公演」になっているのは、おそらくこれまでの公演に比べて劇場の観客キャパ数が極端に小規模になっているからなのではないのでしょうか。サンシャイン劇場はキャパ800で、六本木俳優座劇場もキャパ300。それにたいして、今回の『さくらの花束』は最大の劇場でもキャパ160強ですからね。

 だが、そこがいい!! お芝居の会場はやっぱり小さければ小さいほどいいんです! 椅子は座り心地がいいほうがよかったけど。
 いや~、あの℃-uteのみなさんをそんなに近くで観られるとはねぇ。岡山でなにか良からぬことがあるのではないか……と、おのれの珍しい幸せっぷりに不安になりつつも、そんな「距離の近さ」を絶対基準に考える私が選んだのは、迷わずいちばん小さい規模の劇場となるベースシアターでの『さくらん少女』だったのでありました。キャパ70って! 近い、近い~。
 しかも、私がゲットしたのはかなりの前列。いいんですかねぇ~、どうもすみません!

 しかして、私がふらっと思いつきで鑑賞した『さくらん少女』の実態たるや……

 ℃-uteのダンス&演技方面担当・中島早貴さんのほぼオンステージ! ぐわ~、なっきぃい~♡


 この、池袋シアターグリーン内の3館で上演される『さくらの花束』それぞれの作品は、チラシの文章によると、とある地方都市にある仏教系のちょっとダサい中高一貫女子校「私立仙緑寺女子高等学校」での、卒業式が終わってから同級生どうしが町で集まりはしゃぐお別れパーティに行くまでの数時間、同じ学校の中の「3年 A組教室」「生徒会室」「演劇部の部室」で起きる出来事をそれぞれの視点でとらえるという、「ほぼ同時刻進行」の並列した物語になっています。
 つまり、さっきまでビッグツリーシアターの教室にいた生徒が「ちょっと演劇部の部室に行ってくる。」と言って舞台を離れたかと思ったら、今度はその彼女がベースシアターの演劇部室にひょっこり顔を出したり、演劇部室にいる生徒たちが「さっき生徒会室に行ったら○○さんと××さんがいて、あなたのこと探してたけど?」とかいう会話をしたりといったぐあいで、そういった役者の出入りが全編にわたって繰り広げられる展開となっているのです。
 これで、役者さんと同じようなフットワークでお客さんも3劇場を出たり入ったりすることができたら、それはそれでおもしろかったんでしょうが、それだと同じビルの上下階に位置する3劇場なんで、通路の大混乱やおじさん客の足オールパンパン筋肉痛の惨劇は避けることができなかったわけで……いい、いい、お客さんはじっくり腰をすえて、女優のみなさんの奮闘を応援することにいたしましょう。

 さて、結局のところ私がギリギリ観ることができたのは3作のうちのひとつだけ、『さくらん少女』だけでした。
 それに比べて、会場の客層は明らかに「どの公演もちゃんと全部、しかもそれぞれ複数回観ている可能性が特濃な男性ファン」のみなさまで埋め尽くされておりましたので、もしもこの記事をお読みになっているみなさまの中で『さくらの花束』全体のレビューのようなものを確かめたかった方がいらっしゃったのだとしたら、そういった向きには私の以下の感想文はあまり役に立たないものになるかと思われます。完全に『さくらん少女』だけに関しての観劇記になっておりますので。
 っていうか私だって本当に、『さくらん少女』のあとにもし機会があったら、他の2作品も観たかったですよ……最終日だからムリだったんですけど。いい感じに「不完全」な物語になってるんですよね~。3つ観てはじめて完全な絵になると! うまくできとるね~。まぁ、私は足りない部分は妄想で埋めます。

 この『さくらん少女』にも、チラシの文句のとおりに℃-uteのメンバーは全員出演します。
 ただし! はっきり言わせていただければ「主演・℃-ute」という言い方は、ことこの『さくらん少女』にかんしては看板に偽りありですな。

 なぜならばァ! 『さくらん少女』の主演は、中島早貴ただひとり!! ただひとりの娘が、小さい身体を引っぱりまわして70人のお客さんを相手におよそ80分間ものあいだ闘っていた……


「失敗というのは……いいかよく聞けッ! 真の失敗とはッ! 開拓の心を忘れ! 困難に挑戦することに無縁のところにいる者たちのことをいうのだッ!
 このレースに失敗なんか存在しないッ! 存在するのは、冒険者だけだッ!」


 この超有名な至言をつつしんで、『さくらん少女』の中島さんにさしあげたいです。もう、うまいヘタの次元の話じゃなくなってるの。


 この『さくらん少女』の舞台となっている仙緑寺女子校の演劇部室の中では、上演開始からず~っと、卒業生であるのにもかかわらず卒業式出席をボイコットした演劇部長の朝倉かのこ(演・中島早貴)がひとり悦にいってぶつぶつ独り言をくっちゃべっており、

「演劇部で作・演出・主演などをつとめた華やかな経験を持つ私が卒業式をボイコットしたんだから、そりゃ~もう会場は大変なことになってるに違いない。でも、私はそんなしもじもの友だちの大混乱を尻目に、意気揚々と新しい世界に飛び出していくのよ! 大人たちがその才能に思わずこぞって目をうばわれてしまう、天才的大女優としてねェ~♪」

 などといった主旨の、野望と妄想とが実に青春的な配合を見せる発言をとめどなくその口から飛びたたせていきます。こういったあたりと、朝倉部長がことあるごとに吹いて遊んでいるシャボン玉のイメージとのオーバーラップが実に心憎いですよね。

 余談ですが、上演中に中島さんが吹いたシャボン玉は薬剤の濃度が高かったためかそうとう長時間にわたって会場内にふ~わふ~わ浮かんでいたものが多く、私の座席の頭上にまで割れずに飛んできたものもいくつかありました。
 ……まぁ、一瞬頭の中に、そのシャボン玉を「パクッといただく」選択肢も浮かんだのですが、それをやったら正真正銘鉄筋コンクリート造りの「人でなし」に見事ホールインすると思いましたので、それはとどまりました。さすがに、そんなことするお客さんは誰もいなかったですよね。でも、私とおんなじことを考えた方はいたよね、よね!?

 話を戻しまして、こういった朝倉部長の現実世界の重力を完全に無視したむちゃくちゃな飛躍発言の数々は、別に彼女を探しに来たわけでもないのに、不幸にもふらっと部室に寄ってきてしまったために彼女のワンマンステージに付きあわされることになってしまった演劇部後輩の椎名(演・一岡伶奈)と出口(演・野村みな美)の2人が来てもしずまることはなかったかに見えたのですが、彼女たちの「え……部長が卒業式にいなかったなんて、ぜんぜん気がつかなかったです。」「誰も騒いでなかったよね……」といったクールな証言によって次第に雲行きがあやしくなっていき、朝倉のクラスメイトである佐伯みちる(演・鈴木愛理)が現れたあたりから、完全に冷水をぶっかけられたようなスピードダウンにおちいってしまいます。

 誰も気にしてない。親友だと思っていた相手もそんなに親しくない。演劇の世界にひたっている自分の姿を見て周囲の人間の大半は気持ち悪がる。ヤンキーっぽい生徒・金子(演・萩原舞)にいいように使いまわされている。挙句の果てには、卒業式の後のお別れパーティに誘われていなかった……

 物語が進み、部室にさまざまな人間が顔を出していくにつれて、朝倉には驚くほどのつるべ打ちで、自分の思い描いているイメージとはまるで正反対の、現実の世界での卑小な実態をあばきだす発言がぶつけられていきます。上にあげたことのほかにも、朝倉の威勢をくじくあまりにも冷徹な事実は次々と提示されていくのですが、朝倉は演劇部の後輩として自分を慕っているはずだと一方的に思い込んでいる椎名と出口の前でこれらの現実を認めることだけは自分のプライドが決してゆるさないと、まったくフォローできていない状況の中でも必死に取り繕って虚勢を張り続けようとします。しかし、この部長のあまりにもぶざまな右往左往ぶりに振りまわされ、しかも彼女の無責任な助言によって大いに心を傷つけられる経験を味わってしまった2人の後輩は、ついに……

 だいたい、『さくらん少女』はこんな感じのお話になっていたのですが、あらためて見てみると、タイトルの「さくらん」に込められている意味の恐ろしさが身に迫ってきますよね。まさしく、本人の望むと望まざるとにかかわらず、ひとりの夢を見すぎた少女の「狂い咲き」のていがいやおうなく展開されていくのが、この『さくらん少女』の残酷すぎる見どころなのでした。

 この『さくらん少女』には、中盤の退場はあるものの、ほぼ出ずっぱりで独り舞台をつとめあげる中島さんと、その他の℃-uteメンバー4名、そして先ほど名前の挙がった演劇部後輩の2名の計7名が出演するのですが、出番の多さで言うのならば、中島さんに2人の後輩がついてきて、その後ろに鈴木愛理さんと萩原舞さんがついてくるかといったあんばいで、重要な発言はするものの、他のメンバーである岡井さんと矢島リーダーはちょっとだけの登場にとどまっていました。
 調べてみると、どうやら他の2作品にはハロー!プロジェクトとは直接の関係のない3名の女優さんが出演していたらしく、実際に彼女たちの演じていた女生徒の名前はしょっちゅうセリフの中に出てきていたのですが、この『さくらん少女』には彼女たち本人は姿を見せていません。

 そして、重要なのは中島さんをささえる2人の後輩が、ハロプロ研修生(旧称・ハロプロエッグ)の野村みな美さん(13歳)と一岡伶奈さん(14歳)だってことなんですね。つまり、『さくらん少女』は℃-uteとほぼ同年代の女優さんの共演がまったく入っていない、100%「アイドルだけのお芝居」になっている、ということなんです。100%アイドルというこの濃密さは、他のゲキハロ作品でもいまだかつてまったくなかった奇跡の数値のはずです。


 私の感じた印象を正直に言ってしまいますと、『さくらん少女』において出番の少なかった中島さん以外の℃-uteメンバー4名は、短時間と少ないセリフの中で、うまく自分たちのキャラクターを「できあがらせる」ことに成功していました(特に萩原さんのヤンキーっぷりは水を得た魚のようでしたね!)が、出番もセリフも膨大だった中島さんと2人の後輩は、ところどころで「息切れ」を感じてしまうような局面もあったように見受けました。セリフにつまってしまう、自分のセリフを言うまでにヘンな時間のあきができてしまう、早口すぎて聞き取りにくい部分がある、うんぬんかんぬん……特に、さすがに公演最終日だし午前の部を上演した後の回でもあったのでこなれたものはあったのですが、開演直後の中島さんの妄想全開の独り舞台にはところどころでエンジンのかかりを待つようなたどたどしさがあり、「イタいコ」になりきれない中島さんの正直さが見え隠れしていたような気はしました。そのへんに、「本業・女優」ではないウソのつけなさのようなものはあったわけです。野村さんと一岡さんもお芝居は初舞台だったらしいし! アフタートークでも触れられていたけど、2人はほんとに中高生には見えない外見の幼さだったなぁ~。

 だが、しかし。
 後半残り20分ぐらいからの中島さんのスパート具合を見て、これに感動しない者が果たしているのだろうか。

 自分の望んだ世界が現実にはまるで存在していないという事実に、そして自分の理想に賛同してくれる状況がひとつもないという事実に直面してしまった朝倉はクライマックスで、序盤の「ワンマン舞台」とはまったく本質の違う「ほんとうのひとり」としてのうそいつわりのない魂の告白を涙ながらに吐露するのですが、ここでの渾身のさけびを前にして観客は思わず息をのみ、ここまで作中の「朝倉かのこ」というキャラクターに血肉をあたえた中島早貴という人物のとてつもなさに直面してしまうのです。
 つまり、中島さんは自分の演じる人物の「大事なところをしっかりおさえている」と。ここさえできていたのならば、少々の技術のあ~だこ~だなんてファッキンどうでもいいことなのです。序盤のおぼつかなさだって、それが朝倉という人の「味わい」になるんですからね。

 そんな中島さんもさることながら、中島さんの演じる朝倉部長に最終的な決定的致命傷を与える役割をになった2人の後輩の根性のすわり方にも大きな拍手を送りたいです! 中盤まで単なる調子のいいツッコミキャラでしかなかった2人は、後半のある出来事がきっかけで猛然と朝倉部長に食いかかっていき、朝倉のプライドのかろうじて残されていた最後のひとかけらを突き崩すことに。このときの、観客さえもが凍りつくやりとりのものすごさは、演技では出しきれない、ほんとの事務所の先輩後輩ならではの息のつまり方があったと思います。そこをもって、キャスティングのいやらしさを指摘するつもりは毛頭ありません。だって、そのおかげで並大抵の女優さん同士ではなかなか観ることができない「一触即発の空気」が見事にできあがっていたんですからね! 当然、これは中島さんと2人の後輩、そしてこの3名がつむぎだした約1時間の細心の積み重ねがあったからこそ生み出された仕事なのです。

 あと、これはさすがに昨年にデビューした野村&一岡ペアと中島さんとの間には見られなかったのですが、やはり「アイドルやって10年間。」という、『プライベートライアン』のような死線をかいくぐった中にしか生まれない絆というべきなのか、どんなキャラクターを演じているのだとしても、℃-uteのメンバー同士のやりとりにはなんとも言えない「間の絶妙さ」というか、見ていて思わずホッと安心してしまう息のピッタリ感があるんですよね、誰が誰とからんでも! 今回の『さくらん少女』の場合は、うざったそうにする鈴木愛理さんに勝手に親友だと思い込んでいる中島さんがまとわりつく一連のやりとりが特に素晴らしかった!! 思わず『ドリフ大爆笑』の志村・加藤コントを観ているのかと見違えてしまうジャストフィット感がありましたね。

 いや~、すごいなアイドル。いやいや、その道をきわめた℃-uteがすごいんですね。

 もうね、現在の℃-uteくらいの域に達すると、「アイドル芝居」という言葉に対するイメージが180°逆転するものにおがめてしまうわけなんですね。
 つまり、「プロの女優」とはまったく違う道をたどってエンタテインメントの世界に生き残り続けてきた彼女たちである以上、そのお芝居はふつうの演劇の範疇からはちょっとはずれた、毛色の異なるものにはなります。
 異なるものにはなるんですが、アプローチの仕方は違ってもやっぱり、「観る人を感動させる」という最終目的地には必ず狙いあやまたずたどり着くものになるんですよね。そこがプロなんですよ、うん!

 でも、他の2作品での℃-uteメンバーの活躍っぷりは確認できなかったのですが、少なくとも今回の『さくらの花束』公演における中島さんのエネルギー消費量は絶対にとんでもないことになってますよ!? 心身ともに。
 それは、別にセリフが多いとか主演だとか毎回泣く演技が必要だとか、そういうふうに簡単に割り切れることではなくて、アイドルとしての番組収録とかコンサートイベントのお仕事もしっかりとはさみながら、10日間の日程の中で4日も「1日3回公演」のスケジュールをかかえながら、しっかりと毎公演で血のかよった「自分でない別人」を生み出しては送り出していくという、全体的な「生きるエネルギー」のものすごさなんですよね。ちょっと母性までも感じさせるような、壮絶な命の輝きですよ。

 中島早貴、いまだ未成年の19歳!! とんでもねェ~娘ッコだよコリャ。


 今回の『さくらの花束』は「特別公演」だったわけなのですが、劇団ゲキハロ……これは次回もチェックしなければなりませんな。
 キャパ800人クラスの劇場になったら、また作品の印象も変わってくるんでしょうけどね、とにかく今回の『さくらん少女』は大当たりだったな~。

 中島さんの演じた朝倉かのこというキャラクターは極端な例ではありましたが、人は誰でも、程度の差こそあれ若い時分に「根拠のないエネルギー」の放出に身をまかせる時期があり、朝倉かのこほどの急激さではないにしても、次第にその「根拠のなさ」と「現実の生み出す根拠」との差を知るようになり、その軋轢にきしむ我が身を鍛えて成長していくのだと思います。

 果たして、この卒業の日を迎えたあとに朝倉かのこがどんな女性になっていくのか。
 興味は尽きませんが、女優の道を目指し続けるのだとしても、あの日を境に憑き物が落ちたように別の生き方を選ぶのだとしても、どちらにしろ彼女が、ある通過儀礼をくぐり抜けた「より強い人間」になったことは間違いないでしょう。それはひとえに、ラストシーンで仙緑寺女子校の校歌を朗らかに唄う中島さんの笑顔が力強く証明しています。

 私はこの作品を観て思わず、大好きな辻村深月先生の短編『チハラトーコの物語』(講談社『光待つ場所へ』に収録)の主人公を連想してしまいました。それにくらべれば、『さくらん少女』のほうがだいぶ甘口で可能性にも満ちたお話になるわけなのですが、それでも、自分の理想を常におびやかす現実から時に逃げ、時に勇気をもってぶちあたる人物像には大いに通じるものがあったと思います。こういう、人間のしたたかさと愛おしさですよね。こういうのって、女性にしか描けない世界なのだろうか? いやいや、んなこたぁねぇだろ!


 「根拠のないエネルギー」。

 これね、ちょっとおぼえといてください。なぜならば、奇しくも私が『さくらん少女』の翌日に岡山で観たお芝居のほうでも、大いにそこらへんを突く内容になっていた!! ……と、私が勝手に思い込んでいるからなのであります。こっちも感動、したよね~!!


 っつう~ことでま、『さくらん少女』観劇でかなり幸先のいいスタートになった3月のひとり岡山ツアー、過酷さと孤独さと心強さとがぐっちゃぐちゃまぜごはん状態になった0泊3日の全貌は、また次回のココロだ~い。


 ……いつになったら終わるかな……っていうか、1月の備中高松城のほうは!?
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また岡山に行ってきま~す……

2013年03月24日 11時37分39秒 | 日記
 春だねぇ……桜が咲き始めてるねぇ……

 突然ですが、今晩、深夜バスに乗って岡山に行ってきます。

 もちろん、その目的はいつもの演劇鑑賞と……お城めぐり!!


 ホントにねぇ……今年1月の岡山行もまともに記事にできてないのにねぇ。

 今回も1月に負けずにステキな強行軍になりそうなのですが、これで千葉に帰ってきたら、ロケットえんぴつみたいな要領で備中高松城の記事もドバドバっと書けることになるんじゃないんでしょうかね。


 そんじゃあ、今回の岡山行の記事はいつになったら手がつけられるんでしょ~か!? 誰か教えてモナム~ル!!

 ほんじゃま、気楽にぴゃぴゃ~っと行ってきま~す。

 今回はガチンコの山城だから、お天気がいいとうれしいナ~!!
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菅野美穂さんが結婚する……  メモだけ公開!! 恐怖のそうだい大河ドラマ 『洛炎戦国記』 第3クール

2013年03月22日 23時23分23秒 | 日本史みたいな
仮タイトル 『洛炎戦国記(らくえんせんごくき)』

・原作 …… 今谷 明 『戦国三好一族 天下に号令した戦国大名』(1985年 洋泉社)


第27回『消えない亡霊』
おもなトピック …… 細川氏綱の挙兵、晴元政権による鎮圧 ※天文十一(1542)年十二月~天文十二(1543)年八月
おもな登場人物
 細川 氏綱(うじつな 29歳)…… 細川道永の従弟・尹賢の遺児で(尹賢は道永の自害のすぐ後に細川晴元によって殺害されていた)、道永の養子でもあった人物。長く晴元政権の追求を逃れて潜伏していたが、道永・尹賢派の残党を集めて和泉国の堺周辺で挙兵し、少勢ながらも執拗なゲリラ作戦を展開する
 三好 範長(21歳)     …… いまや晴元政権内で最大勢力の地位を不動のものとするが、決起した細川氏綱の討滅を晴元に命じられながらも、氏綱の「細川道永の後継者」という利用価値に注意する
 細川 晴元(29歳)     …… 氏綱のゲリラ活動に畿内全域の道永派残党が呼応することを非常に恐れ、三好範長に早期の討滅を命じる
 本願寺 証如(27歳)    …… 氏綱の挙兵に大いに動揺する晴元に見切りをつけ、三好範長との友好関係を強化する

第28回『三好の棟梁』
おもなトピック …… 三好範長と政長の和解、足利将軍家侍女密通事件 ※天文十三(1544)年二~八月
おもな登場人物
 三好 範長           …… 影響力を拡大させることにより主君・晴元への政治的プレッシャーをより強いものにするが、引き続いて忠実な家臣を演じることにより、畿内地方の各勢力の動静をうかがう
 三好 政長(出家して宗三 37歳)…… 三好範長の離反を恐れる晴元の命令により、表面上は出家して宗三(そうざ)と号し家督を嫡男・政勝(まさかつ 9歳)に譲るが、実質的な権力は依然として晴元に保障されたままとなっている
 細川 晴元           …… 常に三好範長の政権離脱を恐れてさまざまな努力を重ねるが、足利将軍家侍女密通事件の犯人だった範長の家臣を処刑したことにより、範長との溝をより深くしてしまう
 足利 義晴(34歳)       …… 自身の嫡男である菊幢丸(きくどうまる のちの足利義藤~義輝 9歳)の侍女と三好範長の家臣が密通していたことを知って激怒し、2人を極刑に処することを管領・晴元に命じる

第29回『将軍の力』
おもなトピック …… 太閤・近衛稙家(たねいえ)の歌会挙行、三好範長の丹波国反乱鎮圧 ※天文十四(1545)年正~七月
おもな登場人物
 足利 義晴         …… 表面上は平和な晴元政権の運営に安住しつつも、晴元にかわる細川氏綱の政権樹立を期して畿内地方の各勢力との連携をはかる
 三好 範長         …… 管領・晴元の忠実な家臣として丹波国の内藤国貞の反乱を鎮圧しつつ、有力大名の波多野家と友好を深めて丹波国を支配下におさめる
 近衛 稙家(44歳)     …… 朝廷の最高権力者であり、かつ将軍・足利義晴の義兄として幕府との外交を一手に引き受ける公家の実力者。自身が主催した歌会の席で三好範長の才能を見抜き、管領・晴元からの乗りかえを考える
 内藤 国貞(くにさだ 52歳)…… 丹波国守護代。もと細川道永派の武将として細川氏綱のゲリラ活動に呼応して丹波国世木城(せぎじょう 現在の京都府南丹市)で挙兵するが、三好範長の総攻撃を受けて落城し行方をくらます

第30回『氏綱の波紋』
おもなトピック …… 幕府家臣・細川藤孝(ふじたか)の元服、足利菊幢丸の元服と室町幕府第13代将軍就任 ※天文十五(1546)年正~十二月
おもな登場人物
 遊佐 長教(56歳)…… 将軍・足利義晴の密命を受け、畿内各地の細川氏綱を支持する勢力と呼応して河内国で挙兵し、一時は三好範長を阿波国に敗走させるほどの大勝利を得て晴元政権を追い詰める
 細川 氏綱(33歳)…… 将軍・足利義晴と河内国守護代・遊佐長教のバックアップを受けて本格的に挙兵し、はじめて晴元政権をおびやかす存在となりにわかに政権樹立の野望に燃える
 足利 義晴(36歳)…… 遊佐長教と細川氏綱の挙兵を受け、管領・晴元の追及をのがれるために京を脱出して山城国瓜生山城(うりゅうさんじょう 現在の京都市左京区)に籠城し、自身の万一の事態に備えて嫡男の菊幢丸(11歳)を元服させて足利義藤(よしふじ)とし、将軍位を譲って大御所となる
 三好 範長(25歳)…… 予想以上の規模となった遊佐・氏綱連合軍の挙兵に一時は大敗して領国の阿波国に撤退するが、一族の威信をかけて態勢を立て直し、兵2万を率いて摂津国に再上陸する

第31回『新たなる野望』
おもなトピック …… 三好範長の摂津国原田城(現在の大阪府豊中市)占拠、氏綱軍武将・池田信正の降伏 ※天文十六(1547)年二~六月
おもな登場人物
 三好 範長         …… 2万の大軍を率いて摂津国の遊佐長教・細川氏綱勢力を押しつぶしながら、近江国守護・六角定頼の援軍を受けて京の治安を回復させる
 細川 氏綱         …… 阿波国から上陸した三好範長軍や近江国の六角定頼軍の攻撃を受け、次第に苦境に立たされてゆく
 池田 信正(のぶまさ 55歳)…… 氏綱派の武将として居城の摂津国池田城(現在の大阪府池田市)に籠城し三好範長軍に抵抗するが、猛攻に耐え切れず開城降伏する
 伊勢 貞孝(さだたか 44歳)…… 室町幕府政所(まんどころ)執事。大御所・足利義晴の腹心として共に山城国・瓜生山城に籠城するが、三好軍の進撃によって悪化していく戦況に危機感をいだき、管領・晴元との講和の道を模索する

第32回『天下の座』
おもなトピック …… 摂津国舎利寺(しゃりじ 現在の大阪市生野区)合戦、管領・細川晴元と大御所・足利義晴の和睦 ※天文十六(1547)年七~十一月
おもな登場人物
 細川 晴元(34歳)…… 三好範長とともに摂津国内を転戦し、舎利寺合戦での範長軍の大勝利を受けて氏綱の勢力を一掃するが、反乱の真犯人でもあった大御所・足利義晴とは穏便に和睦して京に帰還する
 細川 氏綱(34歳)…… 復讐に燃える三好軍と激突した舎利寺合戦で大敗し、捲土重来を期して行方をくらます
 足利 義晴(37歳)…… 氏綱の敗走を知り、晴元軍の総攻撃を恐れて瓜生山城を放棄し近江国坂本に亡命するが、近江国守護・六角定頼や朝廷の仲介によって晴元と和睦し、京に帰還する
 足利 義維(39歳)…… 京での足利義晴父子の危機に便乗して、三好範長に自身の政権復活を強く要求するが、管領・晴元と義晴の和睦の報によってその希望を断たれる

第33回『まむしの孤独』
おもなトピック …… 美濃国加納口(かのうぐち 現在の岐阜県岐阜市)合戦、斎藤利政の三女・帰蝶姫と織田信長の婚姻 ※天文十六(1547)年九~天文十八(1549)年二月
おもな登場人物
 斎藤 利政(54歳)     …… 美濃一国を手中におさめるが、隣国の越前・尾張国からの外圧に悩まされ、尾張国の織田家との婚姻和睦を思い立つ
 斎藤 義龍(よしたつ 21歳)…… 斎藤利政の嫡男。利政の後継者として成長するが、自分が利政でなく美濃国守護・土岐頼芸の子なのではないかとの疑念にさいなまれる
 織田 信秀(のぶひで 38歳)…… 美濃国の隣国・尾張国の実質的支配者。美濃国守護・土岐頼芸を助ける名目で斎藤利政との決戦に及ぶが加納口合戦で大敗し、利政との一時和睦の道を模索する
 織田 信長(14歳)     …… 織田信秀の嫡男。斎藤利政の三女・帰蝶姫と政略結婚するが、父・信秀の和睦策に反抗する

第34回『長慶(ながよし)、誕生』
おもなトピック …… 池田信正の切腹、三好長慶の挙兵 ※天文十七(1548)年正~十月
おもな登場人物
 三好 範長(改名して長慶 27歳)…… 三好宗三を重用し続けることを理由に、管領・晴元に対してついに挙兵し、細川氏綱を旗頭にすえることによって畿内全域の晴元離反を推し進める
 細川 晴元           …… 長慶と細川氏綱が手を結んだことに激しく動揺するが、なすすべもないまま京にとどまる
 遊佐 長教(58歳)       …… 舎利寺合戦後に娘を婚姻させることによって長慶に接近し、細川氏綱を擁しての管領・晴元に対する挙兵をそそのかす
 三好 宗三(そうざ 41歳)   …… 出家・隠居後も管領・晴元に取り入っていたために本家の長慶の不満の対象となり、結果的に畿内全域での反晴元派の挙兵を引き起こすきっかけとなってしまう

第35回『麒麟の怒り』
おもなトピック …… 三好長慶と宗三の摂津国攻防戦、摂津国江口(現在の大阪市東淀川区)合戦 ※天文十八(1549)年正~六月
おもな登場人物
 三好 長慶             …… 一族を挙げての総進撃を的確に統括し、因縁の宿敵だった三好宗三を滅ぼして京を制圧する
 三好 宗三(42歳)         …… 管領・晴元との補給路を長慶に断たれた末に江口合戦で大敗し、ついに淀川で討ち取られる
 細川 晴元             …… 宗三討死の報を知って長慶の上洛に恐怖し、大御所・足利義晴一家を奉じて近江国坂本(現在の滋賀県大津市)の常在寺に亡命する
 十河 一存(そごう かずまさ 18歳)…… 三好元長の四男で、長慶の三弟。讃岐国の大名・十河家を継ぎ、初陣となった江口合戦で宗三軍撃破の先鋒をつとめる

第36回『義晴死す』
おもなトピック …… 火縄銃の実戦初投入、将軍・足利義藤の山城国中尾城入城 ※天文十八(1549)年七月~天文十九(1550)年七月
おもな登場人物
 足利 義晴(40歳)     …… 三好長慶から京を奪回するべく東山の如意ヶ嶽(現在の京都市左京区)に中尾城を築城するが、急病に倒れ近江国穴太(あのお 現在の滋賀県大津市)の宝泉寺で無念の死を遂げる
 三好 長慶         …… 細川氏綱を擁して京を制圧し、管領・晴元にかわる政権体制を構築する
 足利 義藤(14歳)     …… 父・義晴の非業の死を受けて長慶への復讐心を燃やし、完成した中尾城にみずから入城し、新兵器の火縄銃を実戦投入しつつ京への侵攻をはかる
 三好 政康(まさやす 23歳)…… 三好長慶の大叔父にあたる武将。江口合戦まで三好宗三に従って長慶と敵対していたが、宗三の討死と管領・晴元の京放棄をうけて長慶に寝返る

第37回『日本の都』
おもなトピック …… 河内国守護・畠山政国の紀伊国亡命、フランシスコ=ザビエル和泉国堺に上陸 ※天文十九(1550)年八~十二月
おもな登場人物
 三好 長慶          …… 兵四万という大軍を上洛させて将軍・足利義藤の籠城する山城国中尾城に圧力をかけ、一戦も交えずに義藤軍を近江国に撤退させる
 足利 義藤          …… 新兵器・火縄銃と堅固な要塞・中尾城を擁しつつも、自軍の管領・細川晴元の戦意喪失により近江国坂本への撤退を余儀なくされる
 畠山 政国(49歳)      …… 河内国守護で先代の畠山稙長の弟。三好長慶の義父である守護代・遊佐長教に反して将軍・足利義藤への加勢を企てたために、長教によって強制的に出家・隠居させられて紀伊国に亡命。長教に深い恨みをいだく
 フランシスコ=ザビエル(45歳)…… スペイン帝国のカトリック教会イエズス会の宣教師。キリスト教布教のために明帝国を経由して日本の薩摩国に入国し、肥前国平戸・筑前国博多・周防国山口などをへて和泉国堺に上陸するが、三好軍と義藤軍とが対峙する非常事態のために上洛をはばまれる

第38回『暗殺の宴』
おもなトピック …… 将軍・足利義藤の上洛工作、大和国の大名・筒井順昭(じゅんしょう)の暗殺 ※天文二十(1551)年正~六月
おもな登場人物
 三好 長慶    …… 近江国に積極的に出兵して将軍・義藤を圧迫するが、義藤の放った暗殺者と丹波国の三好政勝のゲリラ活動に悩まされる
 足利 義藤    …… 長慶軍の侵攻を避けて近江国朽木谷に潜伏しつつも、暗殺工作と丹波国の三好政勝の軍勢を頼りに上洛の機会をうかがう
 伊勢 貞孝(48歳)…… 室町幕府政所執事。近江国に逃れた将軍・義藤を見限って長慶に寝返り、幕府の機能を長慶政権に大きく移譲させる役割を果たす
 遊佐 長教(61歳)…… 2人の娘を三好長慶と大和国の大名・筒井順昭に嫁がせて河内国の支配を安定させるが、将軍・義藤に呼応した前河内国守護・畠山政国のはなった暗殺者により、婿の順昭ともども暗殺される
 三好 政勝(16歳)…… 父・宗三を滅ぼした長慶を強く憎み、将軍・義藤の密命を受けて丹波国で挙兵し京に攻撃を仕掛ける

第39回『大和から来た男』
おもなトピック …… 京・相国寺合戦、大和国人・岩成友通(いわなり ともみち)の三好家士官 ※天文二十(1551)年七~十一月
おもな登場人物
 三好 長慶    …… いったんは三好政勝の京侵攻を許しつつも、兵四万を動員して相国寺(現在の京都市上京区)の合戦で政勝軍を壊滅させ、将軍・義藤の上洛の道を断つ
 三好 政勝    …… 将軍・義藤の軍事的な最後のよりどころとして兵三千を率いて京に攻め入るが、長慶軍の四万という圧倒的物量に耐え切れず敗戦し、再び丹波国に姿を消す
 足利 義藤    …… 軍事的に最も信頼していた政勝軍の壊滅の報を知り、現時点では武力面で長慶に勝つことは不可能であると悟る
 岩成 友通(23歳)…… 大和国出身の浪人。松永久秀の信用を得て三好長慶の奉行衆に採用され、長慶の警護役をつとめる



 きたきた~! みんなの大好きな信長サンが出てきましたよ~。
 その他、ぼちぼち『信長の野望』でもおなじみの名前が出てくるようになってきましたね。盛りあがってまいりました!!

 でも、もうふつうの大河ドラマでいったら半年すぎちゃってるんですけど……このペース、大丈夫か?

 まぁそれはそれとして気にしないことにしときまして、ますますヒートアップする第4クールはまた次回の講釈で~っす。
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