長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

突然炎のごとく……!!  総力特集 「せかいのサメ」 第4集

2013年11月05日 23時53分03秒 | 日記
ここでは、世界に400種生存していると言われるサメのうち、代表的な種を紹介します。

 デカけりゃいいってもんじゃないよ!? ホホジロ兄さんよりもハイスペック&デンジャラスなサメたち、ここに集結!!


メジロザメ目(メジロザメ・オオメジロザメ・イタチザメ・ヨシキリザメ・レモンザメ・ニシレモンザメ)
 現在の地球上で最も繁栄しているサメ類で、197種もある。そして、全く無害なものから、大変危険な種までかなり幅広い。その一部は、淡水にも生息している。


メジロザメ(目白鮫) Carcharhinus plumbeus
メジロザメ科メジロザメ属

別名 …… ヤジブカ
英名 …… Sandbar Shark (サンドバー・シャーク)
体長 …… 1.3~3.0メートル

形態
 オスは体長130~180センチメートル、メスは体長140~180センチメートルで成熟する。第1背ビレが極めて大きく、背中から直立している。

体色
 背側は灰褐色で、腹側に行くにつれて白色になる。

分布
 全世界の温帯から熱帯の海域に広く分布している。大西洋では最もよく見られる大型ザメの種。
 大西洋の東岸および西岸、地中海、アフリカ沿岸、ペルシア湾、紅海、インド洋、東南アジアから東アジア、オーストラリア、ハワイ、ガラパゴス諸島そして太平洋の東岸にまで生息し、水深280メートルまでの海底近くに生息し、海表面までは上がってこない。

生態
 現在、繁栄に最も成功しているサメ類のひとつと考えられている。
 英名の「 Sandbar 」が指す通り、ゴツゴツした岩場やサンゴ礁よりも平らな砂地を好むようである。大陸棚や島の周囲に生息するが、漁港や河口付近にも出現する。底生の小魚や頭足類(イカ、タコ)、甲殻類を主な餌としている。エイや小型のサメも捕食対象になる。夜間、活発に泳ぎ回って餌を探す。水温の変化や海流の影響を受けて「渡り」をすることが知られている。

 胎卵生。メスは8~12ヶ月の妊娠期間を経て、1回で体長60センチメートルの幼体を6~13尾産む。産まれてからしばらくはオオメジロザメなどの大型ザメの捕食対象になるが、成魚になると天敵はほとんどいない。

人との関わり
 小さな餌を好むことと、海岸や海の表面にあまり近づかないことから、人間に対する危険性はほとんどない。ただし、やや大型のサメなので、全く危険でないとは言いきれないので、無駄な手出しはするべきではない。


オオメジロザメ(大目白鮫) Carcharhinus leucas
メジロザメ科メジロザメ属

別名 …… ウシザメ、シロナカザメ
英名 …… Bull Shark (ブル・シャーク)
体長 …… 1.6~4.0メートル

体型
 流線型だががっしりした体つきをしている。鼻面は英名「ブル・シャーク」のとおり、とがらずにずんぐりと丸くカーブし、非常に短い。目は小さい。歯は三角形で、ギザギザが入っている。
 メスがオスよりも大きく、成魚のメスは体長1.8~2.4メートル、体重130キログラム程度、オスは平均体長1.6~2.3メートル、体重95キログラム程度である。メスの寿命は約16年であるのに対し、雄は約12年である。

体色
 背側は暗い灰色をしており、腹は白い。若い個体の場合はヒレの先も白い。

分布
 紅海、モルディブ、地中海をのぞいたあらゆる熱帯、温帯の海に分布する。淡水域にも進入することができ、ミシシッピ川、ザンベジ川、アマゾン川を3500キロメートルもさかのぼったニカラグア湖や、グアテマラの淡水湖にも生息している。日本でも、沖縄県周辺の海域や河川で生息が確認されている。

生態
 肉食性の傾向が強い雑食性で、口に入るものなら何でも食べる。そのために、繁栄に最も成功しているサメ類のひとつといわれ、全世界に分布している。
 非常に危険なサメで、死亡した例を含め人間を襲った記録も極めて多く、気性も荒いことから、ホホジロザメ(第1集参照)、イタチザメ、ヨシキリザメなどと並んで最も危険なサメ類のひとつである。淡水域まで侵入し、大型のホホジロザメやイタチザメと較べて、狭い場所や浅い場所にも入り込むため、人間が襲われる可能性は最も高いといえる。特に濁った海では、エサと見間違えて人を襲う可能性が高くなる。

 このサメの最も突出した能力は淡水に適応できることで、そのためよく川をさかのぼってくることがある。漁業やスポーツフィッシングの対象になっているが、現在、ニカラグア湖にいたオオメジロザメは、フカヒレの乱獲に遭ってほぼ絶滅している。他の地域では個体数が減ったという情報はないものの、乱獲に対しては弱いと思われる。

 胎盤形成型の胎卵生。妊娠期間は10~11ヶ月で、1回に産む個体数は1~13尾。母胎から産まれるときの幼体のサイズは体長60~80センチメートル。


イタチザメ(鼬鮫) Galeocerdo cuvier
メジロザメ科イタチザメ属(1属1種)

別名 …… サバブカ、イッチョー(沖縄方言)
英名 …… Tiger Shark (タイガー・シャーク)、Leopard shark(レパード・シャーク)、Maneater shark(人食い鮫)、Spotted shark
体長 …… 2.2~7.5メートル

名称
 英名「 Tiger shark 」は、若い個体に表れるトラのような垂直の縞模様に由来する。また、「レパード・シャーク」という名称は、カリフォルニアドチザメ(メジロザメ目ドチザメ科)やトラフザメ(第3集参照)にも使われる。

体型
 イタチザメの頭部は角張っていて、扁平で尖らない。腹面に見える多数の小さな黒い点は「ロレンチーニ器官」と呼ばれる電気受容器である。
 メジロザメ科ではヨシキリザメと並んで、身体の模様などから比較的見分けがつきやすい。頑丈な体つきをしており、身体の前半は非常に太く、後半は尾部に向かって細くなる。上アゴの唇に顕著で長いシワがある。2枚の背ビレから尾の付け根にかけて2本の隆起線が走っている。
 両アゴの歯はほぼ同形で、全ての歯が口角側に欠けをもち、ハート型、トサカ型と形容される特徴的な形状である。エッジは顕著な鋸歯状。白亜紀(1億4550万年~6550万年前)に生息していた古代ザメのスクアリコラックス(体長5メートル)も、イタチザメとよく似た歯をもっていた。上アゴに18~26本、下アゴに18~25本の歯がある。口角に向かうにつれてサイズは小さくなる。獲物に喰らい付いた後、頭を振ることによって歯列が肉を鋸のように切断するので、クジラなどの大きな動物からも肉片を食いちぎることができる。また、亀の甲羅ですら噛み砕くことが可能である。

 サメ類の中でも大型の部類に入る。成熟するとオスが全長2.2~2.9メートル、メスが全長2.5~3.5メートルになり、重量は400キログラム前後となるが、大きなものは600キログラム程度にまで成長する。また、普通のサイズを3.3~4.3メートル、体重3.9~6.4キログラム以上とする文献もある。最大サイズは全長7.5メートル、体重807キログラムとされる。未確認だが、全長9.1メートルという報告もある。

体色
 背側の体色は暗い灰色や薄い褐色、また、オリーブ色(暗い黄色)がかっていることもある。腹側は白色である。幼魚では明瞭な黒色斑の豹柄模様があるが、成長するにつれてドットパターンと横縞模様の組み合わせへと変化して色も褪せていき、不鮮明となる。成魚では模様は退色し、灰色地一色になる。

分布
 地中海など一部の地域を除き、世界中のあらゆる温帯・熱帯海域に分布する。日本では南は八重山諸島から、北は神奈川県の相模湾まで報告がある。近年、青森県や秋田県からも確認が報告されている。

 イタチザメは沿岸域の視界が悪い濁った場所を好む。川の河口や港、入り江、サンゴ礁、島の周囲もその生活場所に含まれる。沿岸性が強いが、海洋のさまざまな環境に適応しており、沖合や外洋にまで出ることもある。海面付近でよく見られ、波打ち際などの非常に浅い場所にも現れる。イタチザメがどれほどの水深まで生息しているかに関してはよく分かっていないが、水深370メートルまで潜行するとされている。

生態
 捕食性・腐食性の両方をもつイタチザメは食べるものを選り好みしない機会選択的捕食者で、おそらくはサメの中で最もその傾向が強い種である。ありとあらゆる海洋生物を捕食するだけでなく、死骸や産業廃棄物など、普通食べられないものまで何でも飲み込む様子から、「ヒレのついたごみ箱」と呼ぶ研究者もいる。
 イタチザメの胃の内容物からは、非常に多種の硬骨魚類、サメ・エイなどの板鰓類(同種のイタチザメを含む)、無脊椎動物(イカ・タコなど)が見つかっている。イタチザメは他のどの種よりも海産爬虫類を捕食し、とくにウミガメを捕食することはよく知られているが、他にウミヘビやイグアナも餌生物に含まれる。鳥類では海鳥や海に落ちた渡り鳥を食べる。哺乳類ではアシカやアザラシ、イルカ、クジラなど海産のものはもとより、陸生のものも胃に収まっていることがある。また、人間も捕食対象の例外ではない。このうち、海から遠い場所に住む陸生生物に関しては、川から流されてきたか海に投げ捨てられて漂流しているものの死骸を食べているのであろう。同様に、胃の内容物にクジラなど自身より大きな生物の一部が見られるのも、死骸を食べていると考えられるが、まれに生きている巨大な個体を襲うことも報告されている。2006年には、ハワイ沖で25尾ほどのイタチザメが病気で弱ったザトウクジラを攻撃する様子が観察された。
 イタチザメの胃からは、生物以外にも木やサンゴなどの天然由来の物質や、人の活動によって生じた産業廃棄物、例えばビニール袋、プラスチックボトル、缶、金属片など、さまざまなゴミが見つかることもある。

 その高い雑食性ゆえに、非常にサバイバル能力の高いサメ類のひとつである。何でも食べるためかなり大型に成長することもある。ゆっくりと泳いでいるが、獲物を襲う時にいきなり速くなるという。たいていは単独で行動し、夜は特に活動的になり、海表面や岸近くまで寄ってきて活発に餌を探す。群れをつくることもあるが、単に餌を求めて集まっている場合もある。

繁殖
 メジロザメ科では唯一の非胎盤形成型胎卵生種である。胎児は胎盤を介して母親から栄養を受け取るのではなく、自身の卵黄を消費する方式であるが、それに加えて母体から子宮ミルクを分泌するとも考えられている。他のメジロザメ科のサメは胎盤形成型であることから、イタチザメが原始的であるのか、もともと胎盤形成型だったものが胎盤を失ったのかは分からないが、メジロザメ科と近縁のヒレトガリザメ科が胎盤形成型であることから、後者の説が支持されている。
 妊娠期間は14~16ヶ月。サメとしては高い出産率を誇り、1回に産む個体数は10~82尾、平均的には30~35尾である。北半球では、交尾期間は3~5月で、翌年の4~6月に出産する。交尾は出産直前のメスも行うため、2年に1度のペースで出産すると考えられる。南半球では出産は夏季の11~1月に行われる。出生時は体長50~90センチメートル。寿命はおよそ50歳と推定される。
 幼魚はすらりとしてあまり成体に似ておらず、成長は遅い。

水産・漁業
 イタチザメは対象・混獲を問わず、世界中で漁獲されている。肉やヒレ、肝油、皮、軟骨が主な利用部位である。肉質はあまり上等ではないが、生、冷凍、乾物、塩蔵、燻製などの形で消費される。一方で、ヒレ、皮、肝油は上等とされ、高値で取引される。とくにヒレはフカヒレに加工され高値となるため、ヒレを目的とした漁獲圧を高める原因になることもある。カジキやマグロの延縄(はえなわ)漁でよく混獲される。大型個体は延縄にかかった魚をしばしば食害するため、駆除の対象に挙げられる地域もある。
 商業目的の他、スポーツ・フィッシングの対象になる。

危険性
 イタチザメは非常に危険なサメ類のひとつで、ホホジロザメに次いで人や船の被害が多い。特に熱帯地方では最も危険なサメとされており、沖縄やオーストラリア、ハワイでは被害が顕著である。その性格は好奇心旺盛で攻撃的であり、人間にも積極的に近づいてくる。イタチザメが危険なのは、あらゆる生物を捕食することに加え、普通餌にしないものでも躊躇せずに食べるその習性にあると言える。

 水中でイタチザメに遭遇した場合、必ずしも攻撃を受けるとは限らないが、最大限の注意を払わなければならない。血の臭いのする餌でサメをおびき寄せる(銛で突いた魚を持っていた場合も含む)、サメに触れるなどして人がサメを挑発した場合に限らず、何もしていなくても遊泳中やサーフィン中の人間が攻撃される場合があり、そのうち少なからず死亡した例もある。
 2012年3月に日本の鹿児島県・奄美大島沖で起きた延縄漁船転覆事故では、乗員2名がイタチザメに襲われ、鋭利な刃物で切られたような傷を負い、筋肉と骨の一部がそぎ取られている。乗員の証言では、両脚をかまれながらもサメ2尾と格闘し、両腕で締めつけるなどして殺したという。

 1975年6月公開のサメパニック映画『ジョーズ』(スティーヴン=スピルバーグ監督)の前半で、イタチザメが賞金稼ぎのハンターによって仕留められるシーンがある。しかし本作でのイタチザメは、消化器官検査の結果、人を食べてはおらず、メキシコ湾にいた個体がたまたま流れ着いただけのものと判明した。

駆除
 主にオーストラリアのクイーンズランドやハワイなどの熱帯地方では、しばしば人を襲う危険なサメであること、漁業被害を与えるなどの理由から駆除が行われている。沖縄県の宮古島や石垣島周辺では、夏の台風などの影響で陸地から泥を含む濁った水が海に流れ込み、それに引き寄せられたイタチザメが大量に出現するため、地元の漁師がこの時期だけ駆除を行なっている。駆除活動がイタチザメの生息数に及ぼす影響については影響が見られないとする報告もあるが、駆除後の2~3ヶ月間は漁業における漁獲高が確保され、効果が見られるという声もある。


ヨシキリザメ(葦切鮫) Prionace glauca
メジロザメ科ヨシキリザメ属(1属1種)

別名 …… アオブカ、ミズブカ、アオタ、アオナギ
英名 …… Blue Shark (ブルー・シャーク)
体長 …… 1.8~4.0メートル

体型
 全長6メートルになるという記述もあるが、公式な記録ではない。体型は細身の流線形。頭部は長く円錐形である。目は比較的大きい。
 両アゴで歯の形が異なり、上アゴの歯は幅広の三角形で鋸歯状縁を備え、先端は口角に向かってやや傾く。下アゴの歯は細身の三角形。

体色
 背側は鮮やかな藍青色(インディゴ・ブルー)で、英名「 Blue Shark 」や日本の別名「アオブカ」などの由来になっている。腹側は白い。

分布
 世界中に最も広範な分布域を持つサメ類のひとつ。世界中の熱帯から温帯海域に広く分布する。外洋の海表面から水深350メートルまで見られ、水温は摂氏12~20℃を好むが、7~11℃の冷たい海や、21℃以上の温かい海にも適応できる。高度回遊性のあるサメ類であり、非常に長い距離を回遊する。太平洋や大西洋を股にかけた大規模な回遊もおこなう。
 日本近海のヨシキリザメは黒潮と親潮がぶつかる潮目のやや南の海域で生まれ、幼魚のころまで潮目の海域で成長する。成熟期前になると、オスは南の海域に、メスは北の海域に分かれて生息する。成熟して成魚になると、メスは南下してオスと同じ海域に生息するようになるが、交尾期以外は、雌雄で分かれて生活しているといわれている。理由はよく分かっていないが、サメの天敵はサメ自身であるので、自分より大きな個体から捕食されるのを防ぐためだともいわれている。

生態
 比較的小型の硬骨魚類やイカが主要な餌生物であり、他に無脊椎動物(タコなど)、小型のサメ、クジラなどの哺乳類の死骸、まれに海鳥も捕食し、機会選択的な捕食を行う。他のメジロザメ類には見られない特徴として、肉食であるにもかかわらず、エラには鰓耙(さいは)と呼ばれるプランクトンをこしとる機能があって、海の資源を最大限に利用することができる。
 天敵には、カリフォルニアアシカやアオザメ(第1集参照)、ホホジロザメがいるが、大型個体になると天敵はほとんどいない。

 オスは4~5年、体長1.8~2.8メートルで、メスは5~6年、体長2.2~3.2メートルで成熟する。
 胎盤形成型の胎卵生。妊娠期間は9~12ヶ月。メスは胎内の卵殻腺に精子を長期間保存しておくことができる。1回に産む個体数は母体のサイズによって4~135尾とかなり異なり、平均は約35尾。産まれてくる幼体は体長35~50センチメートルである。寿命は20歳と考えられている。

漁業
 日本では最も水揚量が多いサメとなっており、1992~2009年の水揚量は8700~16000トンである。マグロ延縄漁などでの混獲が主で、ヨシキリザメ自体が漁業対象になることはほとんどない。スポーツ・フィッシングの対象になる。

 ヨシキリザメの肉には独特の弾力があり、かまぼこやはんぺんといった魚肉練り製品の材料として欠かせず、またヒレも中華料理の高級食材であるフカヒレの原料になる。日本国内において食用となるサメ類の9割は気仙沼漁港で水揚げされるが、その大半はヨシキリザメとネズミザメ(モウカザメ 第1集参照)である。
 ヨシキリザメの魚肉は水っぽく、サメ独特のアンモニア臭もネズミザメより強いものの、資源量が豊富で、加工品としての需要が高いためネズミザメよりも高額で取引されるという。また、宮城県や岩手県ではフカヒレの加工が盛んで、香港や台湾などへも輸出されている。近年は、軟骨をコラーゲンなどの摂取を目的とした健康食品に加工販売することも行われている。

 他のサメ類に比べて最もひんぱんに混獲されるサメであるが、個体数が非常に多いため、現在までの漁獲量調査の結果では、まだ減少の兆しはないと判断できる。

危険性
 ヨシキリザメは人間や船を襲うこともあり、人に対して危険性が高いと言える。攻撃前の行動パターンとして、遊泳者の周囲をゆっくり旋回することが知られている。ときには15分以上にわたり何度も旋回を行った後、攻撃に移行する。最初の咬みつきはいわゆる試し咬みの場合がある。常に攻撃的であるとは限らないが、このサメがゆっくりと接近してきた場合は注意が必要である。
 漁師には漁の邪魔になるという理由で嫌われているが、その優雅な姿形のために、自然愛好家や写真家の間ではなかなか人気の高いサメであり、ダイバーの中には、このサメとあえて一緒に泳ぐ人もいる。

 また、食料として見た場合、ヨシキリザメの体内に含まれる微量の水銀に注意する必要がある。 厚生労働省は、ヨシキリザメを妊婦が摂食量を注意すべき魚介類の一つとして挙げており、ヨシキリザメの摂食は週に2回まで(1週間当たり160グラム程度)を目安としている。


レモンザメ(檸檬鮫) Negaprion acutidens
メジロザメ科レモンザメ属

別名 …… マーブカー(沖縄方言)
英名 …… Sicklefin Lemmon Shark (シックルフィン・レモン・シャーク)
体長 …… 2.0~3.8メートル

名称
 1981年に日本での生息が確認され、レモンザメの和名が与えられた。沖縄地方では、最もよく見られるサメであることからマーブカー(真鱶 「普通のサメ」という意味)と呼ばれていた。
 英名は「 Sicklefin lemon shark 」であるが、ニシレモンザメと同様に「 Lemon shark 」と呼ぶこともあるので注意が必要である。

体型
 ほとんどニシレモンザメと変わらない。体型は紡錘形だが、ずんぐりと太く重量感のあるがっしりしたサメで、幅よりも短い長さの頭部は丸く扁平。第2背ビレは第1背ビレとほぼ同じ大きさをしており、どちらも後ろ側がカーブしている。胸ビレと腹ビレも大きく湾曲する。
 上アゴの歯は細長く伸び、縁は滑らかであるが大型な個体では鋸歯状縁をもつこともある。下アゴの歯もほぼ同形だが、鋸歯状縁はない。
 視力や知能が発達しており、好奇心旺盛で活発である。

体色
 背側はレモンのように薄く黄色がかった灰褐色で、腹は白い。

分布
 太平洋中部のオーストラリアからインド洋、紅海にかけての熱帯・亜熱帯海域や、大西洋の熱帯海域に広く分布している。日本では八重山諸島以南、西表島(いりおもてじま)や石垣島などで見られる。生息水深帯は0~92メートルだが、特に水深10~30メートル程の浅さを好む。サンゴ礁や砂泥の入り江、マングローブといった比較的浅い場所で生活する。

生態
 ニシレモンザメに似ているが、ニシレモンザメは主にアメリカ大陸付近とアフリカのセネガル地方のみに生息するのに対し、レモンザメは太平洋からインド洋にかけて広く生息する。

 普段の動きは緩慢で、海底で休んでいることもある。夜行性で夜の珊瑚礁を活発に泳ぎ回るが、若いうちは昼間に見かけることも多い。表層面付近にいることを好み、しばしば入り江の砂状の海底にいることがある。狭い海域にとどまって生活し、回遊はしない。
 普段は単独で行動するが、餌を食べる時には集団となることがある。底生の硬骨魚類や小型のサメ、エイ、甲殻類、頭足類(イカ、タコ)などを捕食する。

 胎卵生。1回に産む個体数は1~14尾、妊娠期間は10~11ヶ月で、産まれてくる幼体は全長45~80センチメートル。雌雄とも体長2.2~2.4メートルで成熟する。

漁業
 日本では八重山諸島など一部の熱帯海域でしか見られず、水産上重要ではない。漁獲された場合は、ヒレはフカヒレに、肉はかまぼこなど練り製品の原料になる。沖縄では網や籠にかかった魚を食い荒らしたりすることから、漁師からは嫌われている。

危険性
 積極的に人を襲うことは無いものの、大型であることと、好奇心が旺盛で活動的であり、人を恐れずに近寄って来る場合があり、突然襲いかかる危険性もあるので注意が必要な種である。

展示
 丈夫であるため、水族館でよく飼育される。


ニシレモンザメ(西檸檬鮫) Negaprion brevirostris
メジロザメ科レモンザメ属

英名 …… Lemon Shark (レモン・シャーク)
体長 …… 3メートル

体型
 ずんぐり、がっしりしたサメで、第2背ビレは第1背ビレとほぼ同じ大きさをしている。幅よりも短い長さの頭部と、大きな目を持つ。
 体長は太平洋やインド洋に生息する同属のレモンザメと同じで、最大でも3メートルほど。レモンザメとほとんど形態的にも違いはないものの、レモンザメほど第1背ビレの湾曲カーブがきつくないことが識別ポイントとなっている。
 多くのサメは呼吸のために常に泳ぎ続ける必要があるが、本種は停止しても呼吸ができる。
 本種にはよくコバンザメが付く。

体色
 背中は黄色っぽい茶色だがレモンザメよりも黄色味が濃く、腹は白い。

分布
 レモンザメと同様に暖海の沿岸部に生息し、西大西洋はアメリカ・ニュージャージー州以南の南ブラジル、メキシコ湾、カリブ海を中心とした南北アメリカ大陸一帯および、東大西洋はセネガル以南のアフリカ大陸沿岸、東太平洋ではメキシコからエクアドルの沿岸に生息している。中でも最も頻繁に見かけるのはカリブ海である。

生態
 昼夜を問わず動き回り、沿岸近くを好む。動かずにじっと海底にいることも可能である。成熟するまで幼体はマングローブに入って大型魚などの外敵から身を隠す。サンゴ礁をすみかとすることも多い。近親交配を避けるためや、性別や大きさによって回遊することも知られている。
 鋭い歯を持ち、食性は八割が沿岸域の硬骨魚類だが、大きければエイや小型のサメも食べる。群れを形成することもある。

 12ヶ月の妊娠期間があり、50~70センチメートルの幼魚を1回で8~12尾出産する。メスは2年ごとにしか幼魚を産めない。非常に成長が遅く、12~15年で成熟するといわれている。

人との関わり
 レモンザメと同様に、人間に対して潜在的な危険があるとされる。積極的に人を襲うことはないが、群れが狂乱状態になりながら餌を食する「狂乱索餌(きょうらんさくじ)状態」に陥ったときに、周辺にいた人間に突然襲いかかったという例もあり、注意を要する。

 本種は「頭のいいサメ」として研究者の間で有名で知能が高く、視力も良く飼育が容易なため、多くの水族館で飼育されたり、様々な実験施設でサメの知能テストの実験台に使われている。
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