長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

今年の2月は……ヘヴィだったぜ!!

2013年02月28日 23時46分35秒 | 日記
 ギャ~、帰ってきた帰ってきた、うちに帰って来られた! 五体満足で帰って来られたぞ~!!
 どうもこんばんは、そうだいでございます。みなさま、今日も一日、ほんっとうにお疲れさまでございました!

 いや~、個人的なことでまことに恐縮とは言いつつもここは個人ブログなので堂々とつぶやいてしまうのですが、ここ2日間は私にとってもかなりハードなスケジュールの襲来とあいなりましたよ。


 君は、その日の浅い夜には帰るつもりでのほほんと出勤したあと、なし崩し的に仕事の量が激増し、結果として「翌日の深夜、翌々日になるかならないかのうちに帰宅する」2日間ぶっ続けの労働になってしまう、という経験をしたことがあるだろうか。


 恥ずかしながら、私は生まれて初めて経験しました、つい数時間前まで! そしてたったいま帰ってきたワケなのよ!!
 要するに、「日勤→夜勤→日勤」となったのでありまして……

 こういうのって、たぶん普通のサラリーマンのみなさまならば20代くらいに味わう荒行なんだろうなァ~、などとボンヤリ想像しながら、せいぜいアホはアホなりに全身全霊を尽くして働かせていただきました。
 もちろん、私の働く現場は場合によっては一瞬の不注意が重大な事故につながる非常にデリケートな職場でもありますので、そこに疲労感を持ちこむことは許されないということで、深夜の仮眠も朝昼夕の食事もしっかりとりつつの2日間だったのですが、まぁそれでも神経は使いますわな。私なんかはまだまだ働かせていただいて半年の上に資格も取得していないペーペーのペーなのですが、いっしょに働いておられる先輩がたにはまったくもって、尊敬の念しか浮かびません。

 しっかしまぁ、この2日間も含めて、今月2月は28日という期間をまるごと使って、私の働く業界がかなり深刻な「人手不足」におちいっている、という状況をまさにこの身をもってまざまざと思い知らされたとんでもねぇ1ヶ月間でしたよ、ええ!! だって、人手不足じゃなかったら私みたいなこわっぱがこんなに手帳真っ黒状態になるわけないもんね。いわば修行中の身でここまで引っぱりだこなのは幸せなことなのですが……うれしいようなうれしくないような。

 でも、このひと月を30すぎの昭和製ボディひとつで正面突破して、『ルパン三世 カリオストロの城』の前半カーチェイスアクションを通過したあと、崖から落下する直前のルパンのフィアットみたいな状況になっているわたくしなのですが、その身でしみじみ実感しているのは、「この仕事でご飯が食べていけるようになったらいいな~」という充実感であります。
 まだ、私が経験していない業界の大変な部分も山ほどあるんですけどね……とにかく、現場が楽しいのがいちばんのやりがいですわ、うん。


 さぁ、じゃあ今夜もひと眠りしまして、明日3月1日は午前6時起きでシャワーにひげそりだ! がんばんべ~や~♪

 ……「レリエル」とか「備中高松城」とか「ちな&たけし」の記事は、いつになったら書けるんだろうか。
 っていうか、実は来月3月にも岡山に出かける予定があるんだぜぇ~、やっぱり演劇鑑賞で!!
 どぉおしよぉお平八郎!!(石橋貴明さんのネタです)



2013年2月のそうだいは、


モーニング娘。『3、2、1 BREAKIN' OUT!』
       『泣いちゃうかも』
       『THE 摩天楼ショー』
       『ワクテカ Take a chance 』
       『SEXY BOY そよ風に寄り添って』
       『女に幸あれ』
       『グルグルJUMP 』

Berryz工房『笑っちゃおうよ BOY FRIEND 』
     『なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?』
     『告白の噴水広場』
     『青春バスガイド』
     『シャイニングパワー』
     『MADAYADE 』
     『ギャグ100回分愛してください』
     『スッペシャルジェネレ~ション』
     『雄叫びボーイ WAO!』
     『抱きしめて 抱きしめて』

℃-ute『Kiss me 愛してる』
   『まっさらブルージーンズ』
   『Danceでバコーン!』
   『JUMP 』
   『世界一 HAPPYな女の子』

スマイレージ『チョトマテクダサイ』

声優・金田朋子さんの『かっぱ寿司に出かけるときの舞』

ヘンリー=マンシーニ 映画『スペースバンパイア』メインテーマ

ゴブリン 映画『サスペリア2(紅い深遠)』メインテーマ
     映画『シャドー』メインテーマ

映画『ロッキー』オリジナルサウンドトラックより『Going the distance 』

ヴァンゲリス『ブレードランナー』オリジナルサウンドトラックより『End Titles 』

ゲーム『信長の野望 蒼天録』オープニングテーマ

泉こなた『勝利だ!アクマイザー3』
水木一郎『勝利だ!アクマイザー3』

円谷憂子『CONFUSED MEMORIES 』

稲垣潤一『ドラマティック・レイン』

串田アキラ『宇宙刑事ギャバン 主題歌』

鬼束ちひろ『帰り路をなくして』

大槻ケンヂと絶望少女達『林檎もぎれビーム!』ライヴコンサートヴァージョン

ちあきなおみ『氷の世界』

倉田てつを『仮面ライダーBLACK 主題歌』

人間椅子『天才バカボン 主題歌』

たかしまあきひこ『ドリフ大爆笑』オープニングテーマ
        『だいじょうぶだぁ』オープニングテーマ

『いっきをピアノで弾いてみた』

近藤真彦『スニーカーぶる~す』
    『ブルージーンズメモリー』

村下孝蔵『踊り子』

林光 NHK 大河ドラマ『山河燃ゆ』オープニングテーマ

湯浅譲二 NHK 大河ドラマ『徳川慶喜』オープニングテーマ

林光 NHK 新大型時代劇『真田太平記』オープニングテーマ

伊福部昭 『地球防衛軍マーチ』
佐藤勝  『メカゴジラ(昭和)のテーマ』
大島ミチル『ゴジラ×メカゴジラ メインテーマ』

杉良太郎『君は人のために死ねるか』
黒豹ミク『君は人のために死ねるか』
    『想い出ぼろぼろ』

実谷なな『ルカルカ★ナイトフィーバー』

初音ミク『イージーデンス』

VOCALOID 斉唱『マシシ芸能社 社歌』

SOUND HOLIC『No Life Queen 』

巡音(めぐりね)ルカ『Requiem 殲滅の詩』……を使った長拳pの第4回 MMD杯本選出品作品『二人の世界』

『イースⅥ ナピシュテムの匣』オリジナルサウンドトラックより『MIGHTY OBSTACLE 』

伊集院光『青春時代クソミュージックボックス 曲だけぶっ通し』

ニーナ=シモン『シナーマン』

マイケル=ジャクソン『SMOOTH CRIMINAL 』

ヨハン=シュトラウス2世『こうもり 序曲』

フレデリック=ショパン『革命エチュード』

フランツ=リスト『ラ・カンパネッラ』


 ご覧の名曲のみなさんの協賛で生き抜きました。すべての関係者のみなみなさまに心より篤く御礼申し上げます。

 Berryz工房の曲はどんなに疲れててもほんとに気楽に聴けるし、ほんの数秒で元気になれるからからいいやね~。バカかっこいい歌詞世界☆
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なんの根拠もない直感  Berryz工房・徳永千奈美とビートたけしは似ている

2013年02月24日 13時47分09秒 | 日記
 ハイッ! どうもこんにちは、そうだいでございます~。最近はもう、あったかい日と寒い日が入れ違いに続いて体調管理も大変ですな~。でも、なんとな~く少しずつ春が近づいてきているような気はしますね。

 相変わらずわたくしめは忙しい盛りなんですけれどもね。

 いや~、次の火曜日の TBSラジオ『JUNK 爆笑問題カーボーイ』が聴きたくってしょうがねぇよ!!
 でも、私はそのオンエア時は夜勤の予定が入っておりまして……リアルタイムでは聴けないですね。

 非常に古色蒼然としたおもむきのある、浅草キッドから爆笑問題への「漫才挑戦状」だったわけなのですが、間髪いれずに「ひねりつぶしてやるよ!!」と応ずる太田さんの返事に、大衆もアツくならないわけにはいかないでしょう。おもしろいなぁ~、ほんと。

 さて、そもそもこの活劇の直接の起因となったのは、同じ TBSラジオの平日帯番組『たまむすび』の22日金曜日放送分で、レギュラー出演している浅草キッドの玉袋筋太郎さんの発言だったわけなのですが、これにたいする爆笑問題は本日・日曜日放送の TBSラジオ『爆笑問題の日曜サンデー』で「受けて立つ!!」と返しました。
 ところが、私はその『日曜サンデー』を聴いてはいなかった……

 なぜならば! そのド裏番組のニッポン放送『ビートたけしのオールナイトニッポン』を聴いていたのだから!! そして、そこにはアシスタントとして、くだんの浅草キッドが出演!! っていうか、正午から『オールナイトニッポン』!?


 タネを明かせば、この『ビートたけしのオールナイトニッポン』は今月2月22日の夜22時から開始された、ニッポン放送の看板番組枠『オールナイトニッポン』の開始45周年を記念した超大型企画『伝説のパーソナリティが今を語る オールナイトニッポン45時間スペシャル』の目玉スペシャル番組のひとつとして放送されたものなのでした。22日から24日の夜22時まで(途中で東京マラソン2013の中継を3時間はさむ)、この45時間スペシャルの各時間帯にパーソナリティとして出演したみなさんは、笑福亭鶴光、中島みゆき、南こうせつ、谷山浩子といった伝説の顔ぶれから今のオードリーにいたるまで、総勢22組!!

 そういった中で正午12時から14時までの2時間を担当した『ビートたけしのオールナイトニッポン』は、先日21日の日中に前もって収録された録音番組ではあったものの、裏の TBSラジオで生放送されていた『爆笑問題の日曜サンデー』(13~17時放送)を完全に意識したパーソナリティ人選になっていたわけだったのです! こいつぁ本気でつぶしにかかっとるねぇ~。
 これにたいして、『日曜サンデー』側はスペシャルウィーク企画として、ダイオウイカ撮影に成功した国立科学博物館の窪寺恒己博士、カルビーの大人気野菜チップス「ベジップス」の開発担当者の柚木英明氏、アベノミクス政策をわかりやすく分析する政治評論家・宮崎哲弥、現在の日本のポップス業界の趨勢について音楽プロデューサー・小室哲哉らを特別ゲストに招くという、こと文化的な内容に特化した『爆問!トークスタジアム』を開催。番組の豪華さでいえば文句なしにスッペシャルなものにはなっていたものの、こと「お笑い」という点に関しては爽やかなまでに「逃げをうった」構成になっていたわけだったのです。相手がたけしじゃあ、ね……

 つまり、今回の浅草キッドによる「漫才挑戦状」騒動は、1度きりのこととはいえ真正面からぶつかることとなった、レギュラー番組も持っている TBSラジオ、ならびに愛憎半ばする因縁を持った好敵手・爆笑問題にたいして、浅草キッドが実に彼ららしい「仁義の切り方」をしたという、友情と熱情にあふれた話題づくりでもあったのではないでしょうか。やっぱり浅草キッドのあんちゃんたちは「粋」だねェ!


 こういうあれこれで周辺をいろどった、『ビートたけしのオールナイトニッポン』2013年エディションだったのですが、実際に聴いてみた内容としましては……まぁ、「ふつうに」おもしろかった?

 1981~90年のレギュラー本放送ののちは、翌1991年、97、2008、そして今回の13年と都合4回単発復活した『ビートたけしのオールナイトニッポン』も、番組のもうひとつの顔だった放送作家の高田文夫が収録当日に疲労でダウンし出演できず(4日後の25日に復帰)、天下のたけしも御歳66ということで、あくまでもたけしが気心の知れた若手のお笑い芸人を相手に呼んで、昔の TVバラエティ全盛期を回顧したり現在の映画監督としての活動の充実ぶりをアピールしたり、昨今の漫才界についての雑感を語ったりするフリートークに終始していました。

 実は、恥ずかしながら……これ、ホントにラジオ好きを標榜している私としましては、特に上の世代の方々にとってはあきれ返られるくらいに恥ずかしい話なんでしょうが、ビートたけしというお人の声をラジオで聴くのは、今回が生まれて初めてだったんですよね、私! 遅い! 遅すぎる~。
 そういう私にとっては、爆笑問題なり浅草キッドなり伊集院光さんなり、私が中高生時代に愛聴していた松村邦洋さんなりがひとつの神話としてことあるごとに語っていた『ビートたけしのオールナイトニッポン』についに出逢えるんだ! と鼻息を荒くしてのぞんだ今回の復活放送ではありましたが、「まぁ、そういう感じよね。」という感想が残った2時間だったのでした。全然それを悲観するつもりはないのですが、往年のビートたけしはやっぱり現在の世界にはいないんですよね。
 私はむしろ、たけしよりも気を吐いていたアシスタントの松村邦洋さんに感動してしまいましたね! 物まねの恐ろしいまでのレベルの高さもさることながら、今なお人類に聴き取れるギリギリの最高速度で突っ走るたけしのトークスピードに笑顔でついていってフォローする、その腕の確かさにあらためて驚いてしまいました。松ちゃんはこと「対ビートたけし局地戦仕様」に関しては、昔から今にいたるまで最高級の信頼度を誇り続けている名機ですよ。同じアシスタントとして出演していた浅草キッドだって、トークについていって話を補足するのに手一杯だったんですから。いや、そりゃあ水道橋博士の正確無比な情報説明も必要ではあるんですけど、それって芸人さんとしてどうなんでしょうか? というくらいの身の引き方でしたよね、浅草キッドのお2人は。
 そういえば、私がリアルタイムで聴いていたパーソナリティで今回の45周年企画に参加したのも、松村さんただ一人だったなぁ。福山雅治と松任谷由実はあんまり聴いてなかったから。今回もお約束で、旬な東京マラソン心停止事故ネタを出していたけれど、松ちゃんには長生きしてほしいです、ホントに!


 さて、今回の初めての出逢いによって、逆に「『ビートたけしのオールナイトニッポン』は遠くになりにけり」という想いを勝手に新たにした私だったのですが、だからといって「お笑い芸人としてのたけしはすでに終わっている」とかいう、後ろ向きにもほどがあることを言いたいのでは決してありません。
 むしろ、かつての「毒舌」「下品」「不謹慎」といったドギツい部分をマイルドにしつつ、人間としての「器のでかさ」のようなところをむき出しにしている現在のオールドたけしの語り口は、異様なまでに世間の耳を飽きさせない説明不可能な絶対的魅力を持っている! この事実に私は心を奪われてしまったのです。
 別におもしろいことをしょっちゅう言っているわけでもないし、何かしらとりたてて目新しいことを語っているわけでもない66歳のおじいちゃんの早口語りであるはずなのに、そこに2時間くらいは余裕でもたせられる「何か」があるのは、すでにはるか昔にお笑い芸人という枠を超越してしまっている、ビートたけしの人生がかもし出す代替不能の話芸なのではないのでしょうか。これはもう……ものすごい。

 思い返せば、1980年代初頭生まれの私は、1990年に終了した『ビートたけしのオールナイトニッポン』レギュラー放送に間に合うことはできず(確か、いちばん最初に聴いたオールナイトニッポンは1995年ごろのウッチャンナンチャンの末期だったかと記憶しています)、そこで存分に発揮されていたというたけしの「毒」を100% 純正で継承した深夜バラエティ番組『北野ファンクラブ』(1991~96年 フジテレビ)も山形にいた身では視聴できるはずもなく、ビートたけしみずからが軍団をさしおいて第一線で活躍していた「黄金期」を体験することはかなわなかったのでした。
 そういう私が少年時代に TVで観ていたビートたけしという存在は、過激な番組にメインで出演していても基本的にはスタジオ後方の司会席にふんぞり返って座りながら、若手のアクション芸やおもしろVTR にツッコミを入れていた『スーパージョッキー』(1983~99年 日本テレビ)と『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(1985~96年 日本テレビ)といったものや、序盤にちょっとおもしろい出し物をして後は番組のコメンテイターに徹する形式の『世界まる見え!テレビ特捜部』(1990年~ 日本テレビ)。そしてすでにお笑い芸人というよりは文化人としての北野武の面が強調されていた『ビートたけしの TVタックル』(1989年~ テレビ朝日)と『平成教育委員会』(1991年~ フジテレビ)といったものがその基本となっていて、そういう意味では10代そこらのガキンチョが心酔するカリスマというよりは、毎日TV に映っていることが当たり前の日常的な風景の一部となっていたのでした。
 そういえば、当時のたけしについては「全然笑えない怖すぎる俳優」としてのイメージも私は強烈にあって、フジテレビのスペシャルドラマ『実録犯罪史シリーズ 金の戦争・ライフル魔殺人事件』(1991年4月放送)だとか TBSのスペシャルドラマ『ビートたけしの実録シリーズ 説得・エホバの証人と輸血拒否事件』(1993年3月放送)、映画の『教祖誕生』(1993年11月公開 監督・天間敏宏)や『JM 』(1995年4月公開 つまんないから気をつけろ!)などでの冷たい演技に戦慄していたもんでしたね~。『金の戦争』なんて、VHS ビデオ買っちゃってたもんね!

 ちなみに、私がそのころ放送されていたたけし番組の中でも特に大好きだったコンテンツの BIG3は、『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(1989~2007年に不定期スペシャル放送 日本テレビ)と『たけし・さんまの世界超偉人伝説』(1992~98年に不定期スペシャル放送 日本テレビ)、そして『たけし・所のドラキュラが狙ってる』(1992~95年 TBS)でしたね~。ネーポン! ネーポン!!
 『ドラキュラが狙ってる』は本当に好きでした……当時の私はこの番組を観るために、毎週日曜日の夜22時には必ず TVのある親父の部屋にお邪魔していたのですが、私はよわい30をすぎた今でも、親父が晩酌に飲んでいたロックウィスキーのかおりがただよう電気の消された暗い部屋と、明るい TV画面の中で展開される楽しい「ドラキュラ裁判コーナー」、そして2人そろって笑い声をあげていたあのひとときを瞬時に思い出すことができます。ありゃ~もう、翌日の月曜日に対する憂鬱な気分も絶妙にあいまって、なんともいえない芳醇な時間帯になっていましたね! 「大人の笑いって、こんなのなのかな~。学校行きたくねぇな~。」なんてボンヤリ感じていたもんです。

 ところが、そんなビートたけしの「円熟期」も、1994年8月2日に突如として発生した「たけし、バイク事故で重傷&芸能活動休止!」という大事件によって転機を迎えることとなります。
 いろんな意見があるのでしょうが、当時まだ中学生だった私にとっては、やっぱり「たけしもここまでか。」と強く感じさせる大ニュースであったことは間違いありませんでした。その後の私は、ちょうどそのころ急速に台頭して日本お笑い界の覇権を掌握しつつあった「ダウンタウン松本人志」という強大勢力におよそ5年間にわたって魂を奪われることとなります。まぁ、そっちについてはまたの講釈!

 それからのたけしについては、私はもう映画監督としての存在感しか認知することができず、本当にこの『オールナイトニッポン』復活の報を聴いて気になってみるまで、20年ちかくものあいだ意識することがとんとなかったのでした。

 しかし、やっぱり今回の『オールナイトニッポン』は聴いてよかった。他ならぬご本人がそのことを強く胸に秘めていることは放送を聴いてよくわかったのですが、今なお人々の心に残り続けている「昔のヤングたけし」にたいして、「現在のオールドたけし」がどのような闘いをいどみ、その結果どのような勝利をおさめたのかという経緯をじっくり聴くことができたのですから。

 やっぱり体力が衰えていくのは老いの宿命というものなのでしょうが、歳をとればとるほど強くなるのは「縁」と「愛」なんじゃないのかしら。

 つまり、現在のたけしは、身内話の気持ち悪さという部分を微塵も感じさせずに「同期や後輩への愛」をおもしろおかしく堂々と語るスキルがあるのです。この、愛のあふれる「バカヤロー」「コノヤロー」「どうしようもねぇな!」の温かみというか、パワーといったらないですよ。
 番組内での、松村邦洋への「お前もちゃんと番組の尺を考えながら物まねができるようになったんだな!」というコメントや、相方のビートキヨシにたいする「あいつは泥まみれのでっかいダイヤモンドの原石なんだよな。泥にまみれすぎだけど。」という言葉は、大爆笑できるものではないのだとしても、やっぱりなんというか、「耳がうれしくなる温度」を持った言葉なんですよねぇ。

 そういえば、確か何年か前に観たたけし軍団総出演の深夜バラエティ番組(テレビ朝日の『朝までたけし軍団』?)でも、たけしが井手らっきょさんにぶつけていた、

「お前はそうやって序盤ではりきりすぎるから、いっつも『お笑いウルトラクイズ』の2日目で熱が出てへたばってたんじゃねぇか! 少しはもてバカ!!」

 という爆笑しながらのツッコミが妙に心に残ったんだよなぁ。これぞ師弟愛。


 ともあれ、こういった感じで特にラジオパーソナリティや司会者としてのビートたけしの健在ぶり、というか今現在を最高地点とする意気軒昂振りを思い知らされた2013年『ビートたけしのオールナイトニッポン』だったのですが、これを聴きながら、

「う~ん、なんか、大しておもしろいわけでもないのに、こういう種類の楽しさでなんとなく聴けちゃってるラジオ番組があったよなぁ。なんだっけなぁ~?」

 というフシギな既視感……じゃなくて「既聴感」にとらわれ、思いをめぐらしてハタとたどり着いたのが、最近忙しい忙しいと言いながらも、なぜかこれだけは疲れて眠ることもなく毎週かかさず聴き続けているという、ラジオ番組のタイトルなのでした。


『BZS1422』(べりーずすてーしょんいちよんにーにー 2012年7月~ ラジオ日本)
・Berryz工房のメンバー・徳永千奈美がパーソナリティを務め、同メンバーの熊井友理奈をレギュラーコメンテイターとするトーク番組


 これこれ、これとおんなじなのよ、聴くこちら側の「ぬるさ」の感じが!
 これはたぶんねぇ、パーソナリティの「語り口」に共通点があるんじゃなかろうかと思うんだ、あたしゃ!!

 とりあえず、この『BZS1422』のパーソナリティである徳永千奈美さんという方についての情報を軽くまとめてみましょう。


徳永千奈美(とくなが ちなみ 1992年5月22日~)は、神奈川県出身のアイドル、歌手。アイドルグループ・Berryz工房(べりーずこうぼう)メンバー。アップフロントプロモーション所属。身長164cm。血液型 O型。愛称は、ちな、ちぃ、ちーちゃんなど。
 Berryz工房やハロー!プロジェクト・キッズ全体では年中者の部類に入るが、年齢の割に素朴な外見であり、舌足らずな話し方でかなりの天然ボケのためか幼い印象を与える。メンバーカラーはオレンジ(公式には発表されていないが、ツアーグッズなどの色が毎回オレンジ)。
 メンバーの中では比較的浅黒い肌の色と、童顔にまったく見合わないスラリとしたモデル体型が特徴。
 9thシングル『ギャグ100回分愛してください』では印象的なフレーズ「のにゅ」を担当。
 ℃-uteのリーダー矢島舞美とは、オーディションの時に徳永から話しかけたのをきっかけに仲が良い。
 2012年10月28日から、他のBerryz工房メンバーと同時に公式ブログの掲載を開始している。
・趣味はネイル
・特技はバドミントン(小学校4年生の時に県大会3位になったらしい)、フラフープ。
・得意科目は学級活動
・好きな色はレッド、黄緑、オレンジ。
・好きな動物はサル。

参加するシャッフルユニット

ZYX-α(ジックスアルファ 2009年~)
 2009年7月に、ハロー!プロジェクトの先輩シャッフルユニット「ZYX 」(ジックス 2003~06年)の後継ユニットとして結成された「ZYX-α」のメンバーに徳永千奈美もエントリーされ、ZYX の楽曲や DREAMS CONE TRUEの『未来予想図Ⅱ』のカヴァーを披露している。
 ※ZYX-α のメンバー構成は、当時のモーニング娘。から新垣里沙と久住小春、Berryz工房から徳永と嗣永桃子と須藤茉麻、当時の℃-uteから梅田えりか、スマイレージから和田彩花と小川紗季(当時)の8名。
 ※梅田と嗣永は前身ユニットの ZYXにも参加していた。
 ※2009年の梅田と久住のハロー!プロジェクト卒業後は6人組体制となったが、2011年1月のコンサート出演以後は活動がとだえている(かといって正式な解散宣言も発表されていない)。
 ※2013年2月現在では小川と新垣もハロー!プロジェクトを卒業しているため、所属しているメンバーは4名ということになっている。

DIY♥(ディーアイワイ 2012年~)
 2012年10月に、ハロー!プロジェクトの自然派バラエティ番組『ハロー!SATOYAMA ライフ』(2012年6月からテレビ東京で放送中)の企画スペシャルユニットのひとつとして結成され、翌11月には別ユニット「 GREEN FIELDS」とのカップリングシングル『フォレフォレ Forest For Rest』(つんく♂プロデュース曲ではない)をリリースしている。
 ※DIY♥のメンバー構成は、Berryz工房から徳永と夏焼雅、℃-uteから矢島舞美と中島早貴、モーニング娘。から飯窪春菜の5名。
 ※ユニット名の「DIY 」は、自らの手で生活環境を快適にしていくという概念「Do It Yourself 」と、「Dance In Yourheart 」をかけたもの。
 ※現在はおもに、放送中の番組と連動したハロー!プロジェクトのライヴコンサートなどで活動している。



 はい、少し前に特集した「完熟アイドル界の覇王」こと菅谷梨沙子さんと同じBerryz工房に所属されておられるお方であります。Berryz工房、結成9周年&10年目突入、まことにおめでとうございま~す!!

 ここまでくるのにだいぶ字数をさいてしまいましたので、さっそく結論からいってしまうのですが、私の好きなビートたけしの語り口と、若干20歳をすぎたばかりのこの徳永千奈美というアイドルのパーソナリティぶりの共通点。それは、


「まったく板につかない標準語&敬語の違和感」!


 ここなんじゃないかと思うんだなぁ~。

 ビートたけしの語り口は早口でもあるし、音声自体はかすれ声で決して聞き取りやすいものではないはずなのですが、それでもプロのアナウンサーや声優がはだしで逃げ出す魅力を持っているのは、常に聴く者に「この人、次の瞬間になにを言い出すのかぜんぜん想像がつかない……」という後先の読めなさと頭の回転の速さ、そして、「この人の本質はどこにるんだろう?」と強い興味をいだかせる日本語の「非日常感」じゃないかと思うんですよね。

 つまり、その圧倒的に特徴のあるしゃべり方から、国民的な規模でマネをされているビートたけしなのですが、そのほとんどのパターンでコピーされているのは「ダンカンバカヤロー」や「コマネチ!」や、最近はあんまり見られなくなったけどあの左肩と首をクイッとまわす動作であり、日本国民のほとんどが興味を持っている「ビートたけしの魅力の正体」にせまる部分を明らかにするものではまったくないのです。およそ40年ちかくの長きにわたって、ビートたけしは見事に自分に対する大衆の追跡を「表層どまり」でまき続けているのです! もちろん、ことあるごとに特集される映画監督としての作品分析も、物まねと同じ表層さぐりのひとつにすぎませんよね。
 そんな中でもただ一人、他の追随を許さない超高解像度の物まねを積み重ねてビートたけしの心のゲートの突破を試み続けているのが松村邦洋さんだと思うのですが、まぁそんな松ちゃんをたけしが嫌いになるはずがありませんやねぇ。愛されるはずですよ!


 そんなわけで、ビートたけしには語れば語るほどその本人の実像がわからなくなる、それでいて興味はまったく尽きることがないという驚くべき魔力があるわけなのですが、それに偶然なのか必然なのかまったく読めない脈絡のなさで急接近しているのが、くだんの『BZS1422』で徳永さんの駆使する日本語の「板についてなさ」なんですよね。ステルスジャパニーズ!!

 徳永さんは『BZS1422』ではメインパーソナリティということで、全編にわたって敬語の日本語を話しているのですが、その舌ったらずなしゃべりかたが、話せば話すほど「この人、プライベートではぜんぜん敬語を使う種類の人じゃないんだろうな」という、確信にも似た強迫観念を聴取者に植え付けるミラクルな逆効果を生んでいるのです。この違和感のすごさったらねぇよ!

 ただし、ここで釘を刺しておきたいのは、『BZS1422』の徳永さんが天然ボケ的に日本語のへたくそさをネタにしていくキャラクターを売りにしている、というわけではまるでないということです。よく我が『長岡京エイリアン』で話題にするアイドルの方々で言うのならば、おそらく『岡井ちゃん、寝る!』の岡井千聖さんや『モーニング女学院』の佐藤優樹さんあたりがそういう芸風をものにしているかと思われるのですが、そういう「日本語の危なっかしさ」を徳永さんが武器にしているわけでは決してありません。そういうのはコメンテイターの熊井友理奈さんが担当しています。うん、実は熊井さんの日本語のおかしさはもっと奥深い問題を持ってはいるんですけれども……

 少なくとも、『BZS1422』の徳永さんの司会術は非常に安定したものになっていて、若干のたどたどしさはあるにしても、大筋でそれ自体におもしろい要素があるわけではない、まったくごく普通の合格点ちょっと上のソツのなさになっています。
 だが、しかし!! それがなぜか違和感たっぷり! それがなぜかおもしろくてな~んか耳をそばだててしまう!

 この感じは明らかに、あの『天才・たけしの元気が出るテレビ』の中で唯一、お笑い芸人ビートたけしのネタ世界が楽しめる名物コーナー「たけしメモ」でたけしが無理矢理駆使していた、「これはイヤですねぇ~!」「これはまいっちゃいますねぇ~!」「なんなんでしょうかねぇ~、これは!」という敬語とまったく同じ「この人が敬語を使っていること自体のおかしさ」なのです。これは、日本語の使い方がうまくない人にはまずできないレベルの話だし、それ以上に声の質、たたずまいなどでなにかしらの「天性の違和感」がなければできない特殊技能の次元のものなのではないのでしょうか。
 おそらく、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』の不世出の超絶コーナー「フリートーク・ハガキトーク」(2009年ごろを最後に休止中?)での、松本人志の駆使していた、異次元な内容の話を平然と標準語の敬語で話すテクニックもこれに通じるものがあったのではないのかと。断言しますが、松本人志のフリートークのおもしろさの本質は「使い慣れた関西弁を使わない違和感と緊張感」にあったと、私は意味もなく確信しております。


 『BZS1422』の徳永さん、おもしろいんですよねぇ~、なんか。
 おもしろキャラという意味では明らかに熊井さんがその責を負っているのでしょうが、私がこの番組を欠かさず聴き続けている理由は明らかに徳永さんの日本語なんだよなぁ。

 徳永千奈美さん、願わくば、そのおかしさをもっと全面的に前に出せるチャンスがおとずれんことを! でも、それってなかなか現在のアイドルとしての活動では目立ちませんよねぇ~。

 でも、楽曲でセンターをとるでもメインヴォーカルになるでもない、ダンスが飛びぬけてうまいわけでもない。それなのに、今現在のBerryz工房ならびにハロー!プロジェクト全体にとって、徳永さんがまったく不可欠な存在であることは間違いがないのです!

 今回も長くなりましたが、最後に私がこういう話題を取り上げるときに必ずひもとくことにしている第一級史料たる、Berryz工房×℃-uteクロストークブック『RIVAL 12少女の10年物語』(2012年)の中から、徳永さんに関する数多くの証言を引用して終わりにいたしましょう。


「例えば普通、アイドルなんてステージ上で舌打ちとかありえないし、『はぁ?』とか普通は NGでしょう? (千奈美は)それが許されるばかりでなく、『そこが好き』って言われてプラスに作用してるのがすごい。そういうのが許されるアイドルって相当いないよ。」(Berryz工房・嗣永桃子)

「(2002年のハロー!プロジェクト・キッズのオーディションで)もうちょっとで出番っていう時にパネルの裏にいたら、どっかからちぃ(千奈美)が出てきて、『緊張するね~』ってぐるんぐるん腕を振り回されて。でも、緊張してた上に人見知りだったから、声をかけてくれて助かりました。」(℃-ute・矢島舞美)

「千奈美とは『一番』がすごい多いんですよ。たぶん一番いっぱい笑ってるし、一番ケンカもしたし。」(Berryz工房・夏焼雅)

「いっしょにいるとすごい助かるんですよ。いろいろズバッと言ってくれるから。例えば℃-uteだったら、仕事で説明がない状態で待たされて『今なんだろう、この時間?』ってときは、みんなモジモジしてるだけだけど、千奈美ちゃんはけっこう大きな声で『今って何の時間ですかね!?』って。」(℃-ute・岡井千聖)

「完全にじゃれ合いだよね。千奈美とのライヴでのコミュニケーションは殴り合いだったりするんですよ。」(Berryz工房・須藤茉麻)

「勉強とかじゃなくて、意外と頭いいんだなって。勘がいいし、あったかい人なんだなって思います。バカなんですけど、みんなをちゃんと見てるから、その余裕がどこからくるのかが本当にわからない。でもそういうところは素直に尊敬します。」(Berryz工房・菅谷梨沙子)

「ちぃはムードメーカーだよね。前に一回Berryz工房の移動バスに舞がひとりで乗ったことがあって、その時にちぃがみんなにからかわれたりしてて、おもしろいなって思った。」(℃-ute・萩原舞)

「千奈美はすっごいプラス思考なんですよ。ファンの人のお悩み相談があるんですけど、超プラスに答えるんです。私にはそんな発想がないと思って、いつも感心しているんですけど。」(Berryz工房・清水佐紀)

「(2002年の初対面のときの印象について)私は千奈美ちゃんは細いなっていうのと、あと、なんでバッグさげたまま唄ってるんだろうって。オーディションで、ショルダーバッグさげたまま唄ってたんですよ。何が入ってるのかな、途中でバッグから何か出すのかなって気になって。結果、何もなかったんですけど。」(℃-ute・鈴木愛理)

「千奈美ちゃんは食べても太らない体質だよね。食べてもつかなくて、肉が。」(℃-ute・中島早貴)

「私も食べること好きなので、(千奈美が)誘ってくれるとうれしくて。」(Berryz工房・熊井友理奈)



 「人間力」っつうもんは、ほんとにおもしろいですな~。
 なんかいい方法ありませんかね~、つんく♂さん!?
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本多知恵子抄  花は散れども名は残る

2013年02月23日 12時38分47秒 | アニメらへん
声優の本多知恵子さんが死去 『キテレツ大百科』みよちゃん役など
 (ナリナリドットコム 2013年2月23日付の記事より)


 『機動戦士ガンダムZZ 』(1986~87年放送)のエルピー=プル役や『キテレツ大百科』(1988~96年放送)のみよちゃん役などで知られる声優の本多知恵子(ほんだ ちえこ)さんが、今月2月18日に多発性ガンのため亡くなったことがわかった。所属事務所の青二プロダクションが22日、公式サイトで明かした。享年49歳。
 公式サイトでは「弊社所属俳優・本多知恵子が、通院加療中のところ薬石効なく、多発性ガンの為平成25年2月18日、永眠致しました。生前、皆様から頂きましたご厚情に心より感謝致します。」と訃報を掲載している。

 本多さんは1983年から声優・女優として活動。 TVアニメ『機動戦士ガンダムZZ 』のエルピー=プル役や『キテレツ大百科』の野々花みよ子(みよちゃん)役(2代目として1991~96年に担当)、『燃える!お兄さん』(1988年放送)の国宝雪絵役、『まじかる☆タルるートくん』(1990~92年放送)の江戸城千鶴役、『サイレントメビウス』(1991~98年の劇場版・TVアニメ版を担当)の闇雲那魅(やみぐも なみ)役、『少女革命ウテナ』(1997~99年の TVアニメ版・劇場版を担当)の薫梢(かおる こずえ)役、『Cosmic Baton Girl コメットさん☆』(2001~02年放送)のメテオ役、『夏目友人帳』(2008~12年)の式神・笹後(ささご)役などを務めた。
 青二プロダクションには昨年11月より所属。公式ブログは昨年12月31日を最後に更新が途絶えていた。

声優の置鮎龍太郎が追悼
 本多さんの訃報を受け、同じ青二プロダクションに所属する声優の置鮎龍太郎(43歳)が、自身のTwitterでコメントを寄せている。

 置鮎は2月22日、「『地獄先生ぬ~べ~』(1996~97年放送)では、(葉月)いずな役でご一緒させていただきました。昨年末に青ニに加入され新年会でもお会いしたばかりだったのに。残念でなりません。本多知恵子さん、心よりご冥福をお祈り申し上げます」とツイート。「塩沢さん(声優の塩沢兼人、2000年に46歳で急逝)の時も事務所にいる時に訃報を受けて、崩れ落ち動けなかったけど、今日も事務所で直接訃報を受け、なんでなんで!? と、パニック、放心」と、辛い胸の内を明かした。 ※()内の言葉はそうだい注



 ……「ナリナリドットコム」でみよちゃんの訃報とは……なんと残酷な天の采配か!!

 もはや、「早すぎる」という言葉を発するのも嫌になるようなご年齢なのですが、それでも言わざるを得ません。早すぎる!!

 よくよく振り返ってみると、私にとっての本多さんという存在は、好きだとかファンになるとかいうアイドルのような目立つ対象とはまったく違う次元にあって、TVをつけてアニメ番組を見れば、必ずそこには魅力的な大人の女性の役や、大人になりきれていない生きていること自体を楽しんでピョンピョンはねまわっている少女の役を演じている本多さんがいるといった、家族や空気のような、そこにいることそのものがごく普通の日常の一部だったのです。

 もちろん、これには私の年齢も大きく関係していて、私が小学生のガキンチョとして TVアニメを観ていたのは1980年代中盤から90年代初頭のこと。前作『 Z』に比べればよっぽどましだとしても、やっぱり当時の私には理解不能だった『機動戦士ガンダムZZ 』はのぞくものの、『燃える!お兄さん』や『キテレツ大百科』のあたりを夢中になって観ていた世代でした。まさしく本多時代のはじまりに私はアニメを観ていたわけですが、最近になって調べてみるまで、そこにおられた声優さんが本多知恵子さんであることは知ることがなかったのです。しかし、知らなくてもその実力の恩恵には確かにあずかっていた! そういえば私、『まじかる☆タルるートくん』が始まったころにいったんアニメ視聴を卒業して実写怪獣特撮の深淵に没入していったんだったっけ……今でもそうなんですが、『タルるートくん』みたいに狡猾にライトなエロをさしこんでくるアニメが大っ嫌いになったんだっけなぁ。そこにも、本多さんはいらっしゃった。

 私がいちばん大好きな本多さんのお仕事は、前にもミネバ=ザビ陛下関連でふれたかと思うのですが、本家の『ZZ 』ではなく、そのパロディとして製作された『機動戦士 SDガンダム』(1988~90年 OVAや劇場版など)シリーズでの「ぷる or ぷるつー」役でした。

 今にして思えば、全盛期の本多さんをしてほとんど「ぷるぷるぷるぷるぷる~☆」としかしゃべらせない、しかもだいたい画面を疾走して横切る出番くらいしか与えないウナギイヌ的なポジションにしてしまうという、製作側の気が違ったとしかいいようのない采配と、それでもおつりがくるくらいに尋常でない豪華さの声優キャスト陣がものすごい作品群でした……『ガンダムペンション破壊命令』なんか、VHSビデオで何百回再生したと思ってんだ、コノヤロー♪

 でも、当時から今にいたるまで、私はどのキャラクターよりも活き活きと生命力をスパークさせていたぷるが大好きですね。いや、別に「衣装を着ていないのが衣装」というその見てくれで好きになったんじゃなくてだな……あくまでもその躍動感によ!?躍動感!!
 全裸ではしゃぎまわるぷるのモデルとなった「エルピー=プル」の原作設定年齢は「10歳」……恐ろしい時代だった……

 ともかく、このときの「ぷる」の輝きには、まさしく原作『ZZ 』でああいった無残な最期を遂げてしまった「エルピー=プル」にたいする、本多さんなりの供養の想いというか、自分が魂を込めて世に出したキャラクターに幸せに生き続けてほしいと願う、菩薩心とか観音力のような非常にあたたかく力強いエネルギーが間違いなくあったと思うんです。そこが私の大好きな部分なんですよね。
 だからこそ、本多さんの「ぷる」とか、佐藤元先生の「みねば」には、単なるパロディと片づけられるはずがない愛がぎっしり詰まっていると感じるんですよ。つまり、『Z 』の『ZZ 』の物語は、実に20年の歳月を経て初めて語られた福井晴敏さんの『機動戦士ガンダム UC』(2007~09年)の発表を待つまでもなく、『 SDガンダム』の世界で成仏できていたはずなのです! 少なくとも、私はそう祈りたい。

 物語の中ではなにかと妹の役が多かったイメージの本多さんでしたが、当時の私にとっては充分に年上のお姉さんでした。


 こういった、ふだんはいて当たり前に感じてしまう、近所の元気なおねえさんのようだった本多さんが、今はもういない。


 人間である以上は必ずいつかおとずれる別れとわかってはいつつも、空虚な想いが心に残ります。
 私自身は、最近の本多さんのご活躍が観られた作品などはチェックしていなかったし、実も蓋もないことを言えば、本多さんの訃報によって私の生活のどこかに支障が出るといったこともありません。
 しかし、私という人間が今こうやって、曲がりまくりなりにも一応は元気なおっさんに仕上がっているという事実にあたって、そのスタート地点のもっとも重要な時期を、優しく、強く、あたたかい光でいろどってくれた本多さんにたいしては、たとえ当時その存在をはっきりとは認識していなかったのだとしても、少なくとも私が死ぬまでには絶対に忘れるわけにはいかない「恩」というつながりがあるのです。それはもう、本多さんが知らなくても、私がふだん意識していなくても確かにある。


 『機動戦士ガンダム』シリーズにおける「宇宙世紀サーガ」においての「エルピー=プルの物語」は、来月3月に劇場公開されるアニメ版『機動戦士ガンダム UC』の第6弾以降にまだまだつむぎ続けられていくし、『地獄先生ぬ~べ~』の登場人物・葉月いずなが主人公となっているスピンオフマンガ『霊媒師いずな』も2007年いらい、掲載マンガ雑誌を変えながら現在にいたるまで連載継続中です。

 ご本人は去っても、彼女の命をくんだ分身たちはまだ生き続けている。俳優という職業に限らずとも、死から逃れることのできないすべての人間にとって、これほど勇気づけられる素晴らしいことがほかにあるでしょうか。


 本多知恵子さん、本当にありがとうございました。これからの新しい世界でのあなたの幸せを、心から祈らせていただきます。
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白黒つけましょうや!!  『新世紀エヴァンゲリオン』の第12使徒レリエルは永久に不滅です パールは血の色

2013年02月20日 23時26分58秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
《前回までのあらすじ》
 第12使徒レリエルのいざなう異次元空間「ディラックの海」にすっとばされ、外部からの電力供給が絶たれたエヴァンゲリオン初号機。なすすべもなく時はすぎ、あとわずかでエントリープラグの生命維持モードも機能を停止してしまう。危うし初号機専用パイロット!
 そんな中、混乱と憔悴の果てに朦朧とする初号機専用パイロットの眼前に突如として広がった風景は……
 なんと、どことも知れぬ夕暮れの古びた電車の座席に腰かけた制服姿の自分と、向かいのロングシートにちょこんと腰かける、半ズボンにTシャツの「少年時代の初号機専用パイロット自身」!? こはいかに、もののけのたぐいのしわざにやあらん?


 2人の乗る電車は線路を走行しているらしく、通過したらしい踏み切りの警報音が、2人以外にはまったく乗客のいない車両内にどことなくうつろにひびきわたる。ドップラー効果で不気味にゆがむサイレンの残響。

初 「誰……誰?」
少 「碇シンジ。」
初 「それは僕だ。」
少 「僕は君だよ。人は自分の中にもうひとりの自分を持っている。自分というのは常に二人でできているものさ。」
初 「二人?」
少 「実際に見られる自分と、それを見つめている自分だよ。碇シンジという人物だって何人もいるんだ。君の心の中にいるもう一人の碇シンジ。葛城ミサト(作戦指揮官)の心の中にいる碇シンジ。惣流アスカ(2号機専用パイロット)の中のシンジ。綾波レイ(0号機専用パイロット)の中のシンジ。碇ゲンドウ(怪しいネルフ総司令)の中のシンジ。みんなそれぞれ違う碇シンジだけど、どれも本物の碇シンジさ。君はその他人の中のシンジが怖いんだ。」
初 「他人に嫌われるのが怖いんだよ。」
少 「自分が傷つくのが怖いんだよ。」
初 「悪いのは誰だ?」
少 「悪いのは父さん(怪しい総司令)だ。僕を捨てた父さんだ。」
初 「悪いのは自分だ。」

(2号機専用パイロットの言葉が挿入)「そうやってすぐに自分が悪いと思いこむ。それが内罰的だっていうのよ!」

初 「何もできない自分なんだ。」

(作戦指揮官の言葉が挿入)「何もできないと思い込んでいる自分でしょ?」
(0号機専用パイロットが初号機専用パイロットをビンタする場面と、0号機専用パイロットの言葉が挿入)「お父さんのこと、信じられないの?」

初 「嫌いだと思う。でも……今はわからない。」

(怪しい総司令の言葉が挿入)「よくやったな、シンジ。」

初 「父さんが僕の名前を呼んだんだ。あの父さんにほめられたんだよ!」
少 「その喜びを反芻して、これから生きていくんだ?」
初 「この言葉を信じたら、これからも生きていけるさ。」
少 「自分をだまし続けて?」
初 「みんなそうだよ! 誰だってそうやって生きているんだ。」
少 「自分はこれでいいんだと思い続けて。でなければ生きていけないよ。」
初 「僕が生きていくには、この世界にはつらいことが多すぎるんだ。」
少 「例えば泳げないこと?」
初 「人は浮くようにはできてないんだよ!」
少 「自己欺瞞だね。」
初 「呼び方なんか関係ないさ!」
少 「嫌なことには目をつぶり、耳をふさいできたんじゃないか。」

(過去に親友に殴られたときの初号機専用パイロットの姿が挿入)
(作戦指揮官の言葉)「人のことなんて関係ないでしょ!」
(怪しい総司令の言葉)「帰れ!」
(重傷に苦悶する0号機専用パイロットの表情や、過去に戦った第3使徒サキエルの姿などがめまぐるしく挿入)

初 「イヤだ、聞きたくない!」
少 「ほら、また逃げてる。楽しいことだけを数珠のようにつむいで生きていられるわけがないんだよ。特に僕はね。」
初 「楽しいこと見つけたんだ……楽しいこと見つけて、そればっかりやってて何が悪いんだよォ!!」

(駅のホームで泣いている少年時代の初号機専用パイロットと、彼を取り残して去ってゆく父こと怪しい総司令のイメージが挿入)

初 「父さん、僕はいらない子どもなの?……父さん!」
少 「自分から逃げだしたくせに。」

(セカンドインパクトやネルフに関する新聞記事の画像などが挿入され、不特定の中年男性の声が複数挿入)「そうだ。この男は自分の妻を殺した疑いがある。」
「自分の妻を殺したんだ!」

初 「違う! 母さんは、笑ってた……」

(作戦指揮官の言葉)「あなたは人に褒められる立派なことをしたのよ。」「がんばってね。」
(怪しい総司令の言葉)「シンジ、逃げてはいかん。」
(作戦指揮官の言葉)「がんばってね。」

初 「ここはイヤだ。ひとりはもう……いやだ。」



 なんじゃぁ、こりゃぁあ!!

 いや~、1996年の1月17日午後6時にこの回が初オンエアされたときには、テレビの前の少年少女はぶっとんだんでしょうねぇ。まさに「事件の目撃者」ですよね。うらやましいなぁ~、いろんな前情報を知っちゃった上での再放送で出会うことしかできなかったわたくしとしましては。確か私が観たのは、地元の山形で受験勉強をちょろまかして深夜に観てたから、1997年の暮れから98年の初めくらいに再放送されたやつだったかなぁ。おっそいねぇ~、しかし!!

 周知の通り、この第12使徒レリエルの登場するエピソードは、非常に遺憾ながらのちの貞本義行によるマンガ版『新世紀エヴァンゲリオン』や、21世紀に開始された『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズでは完全に「なかったこと」にされており、なんとな~くエヴァンゲリオンの世界の全体像からすれば、影の薄い部類に入っているかもしれません。

 でも!! でもよ!? 上のような異常なシーンが巨大ロボットアニメ(まぁ正確にはロボットじゃないけど)のバトルも佳境かと思われたところに突然さしこまれてみてくださいよ! これに度肝を抜かれないわけにはいかないでしょう。
 もしかしたら一般的には、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』という作品が古今未曾有に「とんでもないもの」であるということが決定的になったエピソードは、こののちの第13使徒が登場したエピソードだとされているのかも知れないし、実際にマンガ版や『新劇場版・破』でもそっちのほうがかなり力を入れて語られているのですが、第13使徒がその栄誉に輝くのは絶対に不当です。
 TVシリーズをちゃんと観たら、『新世紀エヴァンゲリオン』の世界が、もう後戻りができないくらいに「やっちゃった」な感じになるのは、明らかに第12使徒レリエルのせい!! レリエル万歳!

 私が思うに、これほどまでに衝撃的な第12使徒レリエルのエピソードがのちのリメイクヴァージョンでことごとく避けられているのは、「物語を短くしたい」とか「エピソードがつまらない」とかいう軽い理由では決してなく、「ここに触れたら TVシリーズ版と同じ轍を踏んでしまう」という、最終的には未完といっていい形で終わってしまった最大の原因のようなものがそこにあったからだったのではないのでしょうか。そして、その核心は間違いなく、今回のこの記事の冒頭にかかげた「主人公と主人公の問答シーン」にあったと思うのです。まさにこの場面こそが、のちにいっさい語られることなくなった「無限の闇」へと『新世紀エヴァンゲリオン』という作品を向かわせてしまった分岐点だったとふんでいるんだなぁ、あたしゃ。だから、ここで舞台が唐突に走行中の電車になったのは、原作者なりのわかりやすい決意表明を込めた隠喩だったんじゃなかろうかと。2人の乗っていたあの電車は、場面が転換した時にはすでに、物語の結末にかかわる重大なポイント(分岐器)を通過していたあとだったのです……


 さて、構成の都合から、この記事では上の問答シーンをひとつながりにまとめましたが、実際のアニメ本編では、この流れには途中にネルフ本部での、今回の「 N2爆雷992個まるごとドン作戦」の指揮をとる開発主任とオペレーターのやりとりが短く挿入されています。正確には、初号機専用パイロットの「楽しいこと見つけて、そればっかりやってて何が悪いんだよォ!!」という名絶叫と父親に取り残された少年時代の彼のイメージとの間ですね。

 この問答シーンは、もはや初号機専用パイロットが「いま何時?」とかいうことを気にしている場合ではないテンパリ具合に陥っていたために具体的にネルフの作戦決行のどのくらい直前のことだったのかははっきりしないのですが、途中に差し込まれたネルフ側のシーンでオペレーターが「エントリープラグ内の予備電源、理論値ではそろそろ限界です。」「プラグスーツの生命維持システムも、危険域に入ります。」と発言しており、それを受けた開発主任が「12分、予定を早めましょう。シンジ君が生きてる可能性がまだあるうちに。」と指示を出しています。こちらのネルフ本部でのやりとりが、もろもろの準備が完了した上での作戦決行予定時刻のギリギリ直前、午前5時くらいのものであることは間違いないでしょう。もちろんこれは開発主任の発言にもあるように、初号機エントリープラグの生命維持モードのタイムリミットをかんがみた時刻推定です。

 つまり、このことからも初号機エントリープラグ内、というか初号機専用パイロットの脳内で展開されたとおぼしき上のあれこれが、いよいよ生命維持モードが危なくなってきて意識が混濁してきた彼が思い描いた、走馬灯のような幻覚であるとも解釈できるわけなのですが、ここで彼に執拗に問いかけを繰り返してくる「少年時代の彼」の姿をした何者かの正体がなんなのか。本編ではまったくその後語られることがなかったグレーゾーンの問題なのですが、私はここで、「こいつぁ明らかに第12使徒レリエルの変装だ!」と高らかに断言させていただきたいと思います。あ、みなさんそう思われてましたか。

 つまり、ここでの主人公の問答を、純粋に彼だけの中で繰り広げられた「自我」と「超自我」とのやりとりとも解釈できそうなのですが(フロイトせんせ~!!)、それではそのあいだ、第12使徒レリエルはただただ初号機専用パイロットの衰弱死を待ちながら『週刊大衆』とか『まんがタイムきらら』あたりをボケラッチョと読んでいただけだった、ということになるのですが……

 そんなわけは、ないんです。それだったら、そのあとのレリエルが、サードインパクトを目指してどんな次の手を打つつもりだったのかがまったくフォローされていない。


 おそらく、このシーンでレリエルは、少年時代の初号機専用パイロットの姿を借りながら、そこを橋頭堡として彼に精神的な問いかけを繰り返し、そこから入手できる情報を元に、「初号機専用パイロットのコピー&肉体の乗っ取り」をはかっていたのではないのでしょうか。


 話はドカンと脱線しますが、私の愛してやまない水木しげるサマの不朽の名作『週刊少年マガジン版 ゲゲゲの鬼太郎』の通算第104~106話に『陰摩羅鬼(おんもらき)』(1968年11月掲載)というエピソードがありまして、この中で「自称・情熱の天才画家」に変装した鬼太郎は、敵の妖怪・陰摩羅鬼の魂が乗り移った女性に、「あなた、なに色が好きですか?」「食べ物はなにがすきですか?」「朝は何時ごろおきますか?」などという、一見どうでもいいような106の質問を繰り出し、その答えによってみちびきだした「106の座標」をキャンバスにうち、それをつなげて陰摩羅鬼の正体が描き出された瞬間に、女性の肉体からキャンバスの絵に陰摩羅鬼の魂を強制的に転送、封印してしまうという脅威の呪法「魂かなしばりの術」を披露します。確かにすごそうな秘術ですけど、なんの疑問もいだかずにバカ正直に106の質問にいちいち答えてくれた陰摩羅鬼もけっこういいやつですね。『ガキの使い』の企画じゃないんだから! 余談ですが、この『陰摩羅鬼』エピソードは、水木しげる自身が1964年に発表した『貸本版 墓場鬼太郎』の第13話『おかしな奴』の大筋をリライトした内容となっています。

 要するに、この「問答シーン」もまた、まさに鬼太郎のごとく、レリエルが初号機専用パイロットの「魂」を抜き出し、それにかわる彼そっくりの「魂」を模造したレリエルが彼の肉体に憑依することを目的とした「質問ぜめからのSF ボディスナッチャー作戦」だったのではなかろうかと! なんという心理作戦!!

 勝手にこのあとの展開を類推させていただければ、おそらくレリエルは、最初に初号機を拉致した時点で、ネルフが必死になんらかの大作戦を講じて初号機の取り返しに乗り出してくることは予想済みでした。それを大前提とした上で、それまでに衰弱した初号機専用パイロットの魂を完璧にコピーしてから彼の肉体を奪い取り、ネルフがなにかしらの作戦を決起したときにテキトーに「ディラックの海ふろしき」と「巨大な白黒球体バルーン」を殲滅されたように見せかけて捨て去り、

「あぁ~、助かった! みんなありがとう、ボク、碇シンジ☆」

 などといった三文芝居をうちながら、初号機ごと救出されたていをとってネルフ本部に潜入し、そこから折を見てサードインパクトに決行に乗り出す、というものだったのではないのでしょうか。

 これはなんつうか、『ゲゲゲの鬼太郎』っていうよりは、むしろ『ルパン三世』に近い作戦なんじゃないっすかね……

 でも、「影を使って敵を異空間にほうり込む」という攻撃法しか見せなかった第12使徒レリエルが、この状況を有効活用して「すべての使徒の目指す最終目的」たるサードインパクトの誘発を狙うのならば、この手段が最短なんじゃなかろうかと思うのですが、いかがでしょうかね~!?

 以上のような精神干渉中、レリエルは額に汗しながら、初号機専用パイロットの思考パターンや記憶を懸命にコピーしていたのです。

「なるほど、『他人に嫌われるのが怖い』……『悪いのは父さんだ』、と……あ、ちょっと待って、まだ書いてる途中だから!
 ……ふむふむ、ちっぽけな蟻んこくらいにしか見えないんですけれども、人類というものも、よくよく見ればいろいろとご苦労なさってるんですねぇ。実に勉強になります。
 あっ、ちょっとここで、親父の音声を聞かせてみましょうか。『よくやったな、シンジ。』っと……あぁ、喜んでますねぇ~。うれしかった出来事を思い出すと、この子は気分がよくなるんですねぇ~。いい子ですねェ~! おぉ~、よしよし。」

 あぁ~、いけない! 衰弱したところを狙ったレリエルの狡猾きわまりない心理作戦によって、初号機専用パイロットの魂のコピーは確実に遂行されていくのでした。これはヤバい! 超ヤバい。

 この問答シーンでの、主人公たる初号機専用パイロットの担当声優・緒形恵美さんの演じきった「1人2役」の名演は、まさしくその後の『新世紀エヴァンゲリオン』の流れを、尋常でない引力で主人公の内面世界にぐぐぐいっとひきこんでしまう原動力たる入魂の仕事となっているわけなのですが、注目すべきなのは、問答を重ねていくうちに、じょじょにパイロットとレリエルとの境界があいまいになっていくこと。もっと詳しく言うのならば、序盤ではいかにも機械的な質問の仕方しかできなかった「にせもの」のほうが、次第に感情を持った言い回しを「習得」していくさまが的確に描写されているということです。いってみればたかだか3分ほど、せいぜい上の文量くらいしかない時間の中でよくぞここまで濃密な演技をみせてくれた! としか言いようがありません。まさしくこのシーンによって、初号機専用パイロットは完全に「ロボットバトルアニメの主人公」という範疇を軽々と超越する人格の厚みを手に入れたのです。まぎれもない、少年と使徒とが展開する生きるための熾烈な闘い。

 それともうひとつ。このやりとりの中では、初号機専用パイロットの記憶の中での存在として、ネルフ関係者を中心とした多くの登場人物の言動がめまぐるしく挿入されていきますが、その中で唯一人、まるでレリエルの質問を代弁するかのようにパイロットに問いかけるセリフを発する人物がいたことには、いやがおうでも注目しないわけにはいきませんね。

「お父さんのこと、信じられないの?」

 他でもない、0号機専用パイロットである、あの日々の「わたしケガしてます」アピールに余念のない色白・青髪・赤い瞳のやにっこい少女です。
 なぜ彼女だけが使徒側に……これがいったい、果たしてどんな意味を持っているのか……とかって謎が謎を呼ぶ展開を今後も引っぱっていこうかと考えてはいるのですが、もうこんな「レリエル特集記事」まで読まれるようなあなたさまならば、もうそのあたりの真相はとっくにご存知ですよね~!?
 でも、こういうちょっとした一瞬の部分でも重大なヒントをしっかり差し込んでくる制作スタッフって、やっぱりプロなのよね~。まさにミステリー小説の文法ですよ。

 余談ですが、私そうだいはこの『新世紀エヴァンゲリオン』の世界を豊潤にいろどっている作曲家・鷺巣詩郎さんによる数多くの名曲の中でも、いくたの耳に残る定番ナンバーを押しのけて、この「問答シーン」の後半に流れていた『 SEPARATION ANXIETY(分離不安)』という BGMがいちばん大好きです。
 この、パーカッションと和音が引き起こすなんともいえない非日常空間のかほり……たまんないですねぇ! これはもう、「未来に残したい いつ聞いても不安になる音楽100選」にぜひとも採用していただきたいものですねぇ。え、そんな100選、ない!?

 ともあれ、レリエルによる精神干渉は順調に進んでいき、上のようなかく乱の末に、やっとのことでエントリープラグ内でつかのまの意識を取り戻す初号機専用パイロット。プラグスーツの手の甲部分で力なく点滅する「バッテリー切れ」のランプ。

「保温も酸素の循環も切れてる。寒い……だめだ、スーツも限界だ……ここまでか。もう疲れた……なにもかも。」

 ここで大事なのは、この初号機専用パイロットの言い回しが、演じる緒方さんの非常に繊細な演技によって、明らかに「過酷な生をあきらめることによる開放の喜び」を含んだものになっていることです。特に「もう疲れた……」のあたりで、少し微笑むようなニュアンスを入れているのが決定的ですね。
 つまり、ここで今回のエピソードの題名となった『死に至る病』というキーワードが効いてくるわけなのですが、無数の先行する(自称)解読本を引き合いに出すまでもなく、この「死に至る病」という言葉は、デンマークの若き哲学者・セーレン=キェルケゴールの著作『死に至る病』(1849年)から引用されたとおぼしきものであり、その意味とはズバリ、「絶望」!
 冒頭にあげたような執拗な問答の結果、レリエルは初号機専用パイロットから「これ以上生き続けていくこと」の希望をもぎとり、絶望という病を植えつけることによって確実に彼を死に至らしめる、言い方をかえるのならば、「スムースに部屋の受け渡しを進める準備」までをも周到に完了させていたのでした! ただし、彼の生きる希望はあくまでも「もぎとられた」ものなのであり、決して彼自身が真の絶望に接して「自分から手ばなした」ものなのではない、ということだけは確認しておきましょう。結局は力ずくの急場しのぎではあったわけなのです。
 ともあれレリエル、主人公をほふる大金星は目前だゼ!!

 もはや完全に濁りきって視界もおぼつかなくなってきた L.C.L.溶液の中で、目をつむり、じょじょに表情を弛緩させていく初号機専用パイロット……
 ここで、動きを止めた彼の顔だけをとらえた画面が延々30秒ちかく続くわけなのですが、もはやこの男子中学生14歳もおしまいなのか……思わず息を呑んでしまう緊張の時間が流れます。

 喜々として瀕死の彼を見送ろうとするレリエル!

「いぃィイ~ッヒッヒッヒ! さぁ、心おきなく天界に召されるがよい、男子中学生! この世に残していくネルフのみなさまのことはまかせなさい、全員なるべく早めにそちらに急行させるようにいたしますからねェ。みなさん、地上に未練のない世界では仲良くやっていけることでしょうよ!! ほらほら、引っ越~せ、引っ越~せ、さっさと引っ越~せ、パンパン~っと♪」


 と、そのとき。
 後ろからレリエルの肩を「むんず。」とつかむ、光り輝く正体不明の腕が。


レ 「え……うわっ、まぶし!! だ、誰ですか、あなたは?」

光 「……さっきから黙ってずっと後ろから見させてもらってたけど、おたくさんこそ、誰? 14歳の子ども相手になにやってんの。」

レ 「え? いや、あの、あなた、なんでまた、この『ディラックの海』に……いらっしゃ……」

光 「だ!! れ!?」

レ 「ハイ、すみません! あの……この子の友だちです。知り合いです。」

光 「知り合いだったらなんで見てるだけなのよ。死にかけてんじゃないの。助けてあげなさいよ。」

レ 「いや、そうですね、そうなんですけど……え、あなたもしかして、エヴァンゲリオン初号機の『中のお方』で……?」

光 「だったらなんなのよ。なんかおかしいの? 私がここにいたら。」

レ 「あ、あの、別にいいんですけど、あの~、な~んでまた、内部電源が切れてるのにそうやってピンピンしていらっしゃるのかなぁ~って……」

光 「詳しいじゃないの。じゃあ、アレも知ってるでしょ。半年くらい前に第3新東京市に初めて来て、わたしにボッコボコにされたあんたの先輩。」 

レ 「え? あの、サキエル兄さんのことですか? えぇ、ハイ一応……確か、あなたサマが、ねぇ……」

光 「そうそう。そのとき、わたし電源切れてたのよ。それでも超余裕。」

レ 「えぇ!? あ、あぁ、そうだったんすかぁ~……ハハ、ハハハ……」

光 「さて、と。じゃあそろそろお祈りも終わった? もうこの世に未練はないわよね(ボキッ、ボキキッ)」

レ 「え!? イヤイヤイヤ、暴力はいけませんよ!! そんなあなた、あからさまに拳を鳴らしちゃったりなんかしちゃったりして、もう……
   あのね! それなら言わせてもらいますけどね!? このガキンチョは自分で『もう疲れた、死んでもいいや。』って言ってるんですよ!! それだったらもう、本人の望むようにスッキリ逝かせてやったほうがいいじゃないですか! そんな、いくらあんたでも、こいつの自由をもぎとる権利はないでしょう!?」

光 「それだったら、その子の発言はわたしが撤回するわ。もう一回ちゃんと責任をもって教育しなおします。」

レ 「え、教育!? あんた一体、何サマなんだ? 単なる乗りもんだろ!? ただのエヴァンゲリオン初号機だろうが!?」

光 「そう、エヴァンゲリオン初号機でもあるし……その子の『保護者』でもあるわ。」

レ 「な……!! そうか、そうだったのか……でも、そんな……ムチャクチャな!!」

光 「(ビシッとレリエルを指差して)ムチャクチャなのは、2秒後のあんたの全身だぜ。」

ド                                                 ン

レ 「は、はわわ~、なぜここで荒木比呂彦せんせ~チック!?」

光 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァアアアア!!!!!!」


ビシッ!! ビキビキビキビキ、バシィイイイイッッ!!

 それと時を同じくして、人類のいる地球世界、第3新東京市のレリエル侵蝕地帯では、なんと「 N2爆雷992個総投下」決行の実に60秒前というタイミングになって、大きな異変が!!

 だいたい、『新世紀エヴァンゲリオン』の世界で地軸の狂いのために、日本の気候が一年中そうなっているという夏の夜明けの時間は、夏至の1週間前の6月中旬ごろの「午前4時24分ごろ」が早いピークだそうなのですが、それ以降はだいたい「午前5時ごろ」が夏の大半のようでしたので、この『長岡京エイリアン』でも、対レリエル N2爆雷投下作戦」の決行時刻は5時ごろに推定させていただきます。

 突然発生した、市街地をとどろかせる地響きとともに、開発主任の説明ではレリエル本体であるといわれていた地上の直径680メートルの暗黒部分がいっきに硬化し、まるで内側から飛び出ようとする「何か」の圧力に耐えられなくなったかのように、いちめんに亀裂を走らせてひび割れた黒い破片を舞い散らせているのです。その切れ目から見えるのは、まるで人間の血液のように赤いレリエルの内部……

 まだ何もやってないのに……驚愕するネルフ陣営!

作戦指揮官 「まさか、シンジ君が!?
開発主任  「ありえないわ! 初号機のエネルギーはゼロなのよ!?」

 ! あの開発主任が一気に動揺している!? これは、この感じはまさか、半年前にも発生してしまった、あの事態なのでは……

 レリエルの地上部分はなをもひび割れを続けますが、それが転移したのか、今度は上空の巨大な白黒物体のほうが不気味な身震いを始めました。これは明らかに、中から何者かが出てこようとしている!! 通常の状態でいることができなくなったかのように、レリエルの球体の表面は、白黒の模様から黒いちめんの状態に変化しますが、それが確認できたかというのもつかのま、

ブツッ!! ブッシャァァアアアア~!

 球体が、あたかもスイカか肉の塊ででもあるかのように爆ぜ、中からはおびびただしい人間の血液そっくりの体液が噴出、そしてその中からは、らんらんとその眼を光らせた、全身血まみれのエヴァンゲリオン初号機が!!
 いとも簡単に内側からレリエルの球体を真っ二つに裂き割り、初号機は自力で中から生還してきた……払暁の天空をにらみながら、「ウオオオォォ~ン!!」と、野獣のような咆哮を繰り返す初号機。それを地上の暗黒部分の淵から眺めながら、身動きひとつできないエヴァンゲリオン2号機と0号機。

2号機専用パイロット 「あたし……こんなのに乗ってるの?」

 間違いない、これは……「暴走」! 半年前の第3使徒サキエルとの決戦いらいながらく絶えていたエヴァンゲリオン初号機の制御不能状態「暴走」が、ここにきて再発してしまったのです。

開発主任 「なんてものを……なんてものをコピーしたの、私たちは。」

 思わずもらした開発主任の言葉を耳にして、隣にいた作戦指揮官は心中でこうつぶやきます。

作戦指揮官 「エヴァーがただの第1使徒のコピーなんかじゃないのはわかる。でも、でもネルフは、使徒をすべて倒したあと、エヴァーをどうするつもりなの?」

 作戦指揮官、もう使徒をぜんぶ倒したときのことを考えちゃってるよ! まだぜんぜん話が早すぎるっつうの!! 使徒ナメんなよ!?


レリエル 「お~、いてぇ……血が出ちゃったよ、もう……まさか、初号機がこんなにルール無用な主人公野郎だとは思いもよりませんでしたよ。野郎じゃないみたいだけど……けっこういいところまでいったんですがねぇ。でもこれで、『新世紀エヴァンゲリオン』は後戻りのできない危険ゾーンに迷い込んでしまいましたよ。初号機と同じく、もはやただの主人公ではいられなくなった男子中学生の行く末もあわせて、草葉の陰から高見の見物としゃれこませていただきますわ! 白黒つけるもなにもありません、わたくし第12使徒レリエルは、『新世紀エヴァンゲリオン』にはぜぇえ~たいに!! 必要不可欠な存在なのだぁ~☆ あ~、痛かった……」

 夜の天使こと、第12使徒レリエル、夜明けとともに死す……ぐっちゃぐちゃにされて。


 私はその奇抜なデザインと攻撃法から、この第12使徒レリエルが数ある使徒のみなさんの中でもいちばん好きなのですが、使徒もエピソード自体もきわめて秀逸なこの対レリエル戦が、のちのリメイク作品でまったく触れられていないのは非常に残念でなりません。でもこれは、よく考えられた上でのカットであるはずなのです。TVシリーズと同じ轍を踏まないための。
 現に、もはやリメイクといえるのかどうかもわからなくなってきた『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズでも、『破』の「第8の使徒」( TVシリーズ版の第10使徒サハクィエルにあたる)の地上に接近してきた1形態にレリエルに似たデザインがちょっとだけ引用されますし、あまり詳しいことは言いませんが、『Q』に登場した「最後の使徒」も、シチュエーションこそまったく違うものの、エヴァンゲリオンとの戦い方がレリエルにかなり似通っている、と言えなくもないのです。

 蛇足ですが、殲滅される直前になって初号機が出てくるのは、本来開発主任が「影にすぎない」と言っていた上空の球体のほうだったのですが、これはおそらく、レリエルが「本体」を球体と地上の暗黒部分のどちらにも自由に移動させることができる性質を持っていたからなのではないのでしょうか。「本体」を自由自在に移動させられる。この描写から、私はレリエルの初号機専用パイロットの肉体乗っ取り説を考えました。


 さぁ、今回もずいぶんと記事が長くなってしまいましたが、この第12使徒レリエルが開いてしまった「初号機専用パイロットの深すぎる内的世界」というパンドラの箱をかかえて、『新世紀エヴァンゲリオン』はいったいどうなっていくのでしょ~か!?

 以下、次回!! ぴえ~。
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別に恨みはないけどね……  勝手に「道尾秀介の小説はもう読まない」宣言

2013年02月16日 23時41分55秒 | すきな小説
 めてを~!! どうもこんばんは、そうだいでございます。みなさま、今日も一日お疲れさまでした~。そこのあなたさま、土曜日といえども、実は働いてたでしょ!? 私もそうだったんですよ~。お互いがんばっとりますなぁ! ガハハ!!

 いや~、隕石こわいね……生半可なハリウッドの CG映画なんか余裕で吹き飛んでしまう、現実の撮影映像のものすごさ! 衝撃波(ソニック・ブーム)ってほんとにとてつもないんですな。あんな音響効果、東宝の怪獣映画にも出てこなかったっすよ!? 空の大怪獣ラドンもびっくり。
 っていうか、「またロシアか!」って感じですよね。確か、我が『長岡京エイリアン』の「エヴァンゲリオン使徒検証シリーズ」の第10使徒サハクィエルのくだりでもちょっと触れたかと思うのですが、超常現象ファンならば知らない者はいないといわれる、1908年6月30日にロシアの中央シベリアで発生した「ツングースカ大爆発」とそっくりじゃあーりませんか。あのときのロシアは帝国でしたけど。
 今回の隕石墜落現象は、ツングースカ大爆発よりもだいぶ西の人里に近い地点で発生したということで人的被害も大きかったわけなのですが、それだけにさまざまな動画が記録されたことは非常に意義深かったと思います。死者の発生が今のところ確認されていないことも不幸中の幸いといいますか。あと、ゾンビの発生が確認されてないこともなによりだね!
 21世紀を生きる私たちだってこんだけ動揺するんですからね……いにしえの人々がこういった天体現象に遭遇して、なにかしらの人智を超えた存在の意志なり、時代が変わる予兆のようなものを感じとるのも無理からぬことですわな~。畏ろしなんどもおろかなり。


 さてさて、今回もだらだらとくっちゃべっていく駄文のお題はタイトルの通り。いささか過激なあおり文句になりましたが、内容はもうまったくそのまんま! 最近ずっと読んでいた、今をときめく人気小説家の道尾秀介さんについてのつれづれでございます。

 あの~、振り返ってみれば昨年2012年の5月から、100万部超えのベストセラー『向日葵(ひまわり)の咲かない季節』を皮切りに、今をときめく直木賞作家の道尾秀介さんの単行本化された作品をざーっと読んでみようというこころみを続けていたのですが、今月になって自分の中である程度の区切りがつきましたので、ここらで一回まとめさせてもらおうと思いました。

 売れっ子作家・道尾秀介さんの諸作品(単行本12作)を約1年間かけて読んだ、私なりの結論。


世間の「~賞受賞!」とか「この~がすごい!」にだまされるな!! 私そうだいは道尾秀介さんの作品はもう読みません


 はい~、こういうことに落ち着いたんですねェ~。これ、「落ち着いた」って言えるのか?

 みなさんもしかしたら、こういうことを言い放っている私がなんか、ビッキビキに青筋をおったてながら道尾さんの単行本を残らず全部ビリッビリにやぶり裂いて粉々にして、水に溶かしてまた固めて千代紙にして折鶴をおって心をしずめようとしている、超荒ブルな姿を思い描いてしまうのではないのでしょうか。

 いやいや、そんなことはないんですよ。なんだか私はここにきて、自分でもビックリするくらいに心おだやかに、実にすがすがしい思いで道尾さんの著作活動にさよならを告げておるのであります。

「うん……なんか、ありがとう! 正直いって感謝はしてないけど、ありがとう……お逝きなさい!」

 みたいな。ヘンにすっきりした気分なんですよねぇ。


 私が読んだ道尾作品というのは、つい昨年に刊行された連作短編集『光』をのぞけば、だいたい初期から刊行された順番に沿っている道尾さん単独名義の単行本12作で、すべてが文庫本になっているものばかりでした。
 リストにまとめてみれば、以下のようになります。ついでになんで、たぶん読むことはないんでしょうが、私が読まなかった道尾さんの最近の著作もそのあとにまとめてみました。ちなみに、2013年2月の時点では道尾さん唯一のエッセイ単行本となっている『プロムナード』(2010年5月 ポプラ社)は、フィクション作品ではないので除外しています。読む義理なかりけりとぞ。



もう読んだ道尾秀介の単行本作品

『背の眼(上・下)』(2005年1月 幻冬舎文庫)
 「霊現象探求所」を構える真備(まきび)庄介とホラー小説作家の道尾秀介が活躍するシリーズの長編第1作
 2004年の第5回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞
 2012年3月に BS日本テレビでスペシャルドラマ化(監督・小松隆志、主演・渡部篤郎)

『向日葵の咲かない夏』(2005年11月 新潮文庫)
 2006年の第6回本格ミステリ大賞・小説部門候補

『花と流れ星』(2009年8月 幻冬舎文庫)
 真備庄介シリーズの短編集
・『流れ星のつくり方』(2005年3月)
 2006年の第59回日本推理作家協会賞・短編部門候補
・『モルグ街の奇術』(2005年8~9月)
・『オディ&デコ』(2009年5月)
・『箱の中の隼』(2006年10~11月)
・『花と氷』(2008年5月)

『骸(むくろ)の爪』(2006年3月 幻冬舎文庫)
 真備庄介シリーズの長編第2作

『片眼の猿』(2006年3~9月 新潮文庫)

『シャドウ』(2006年9月 東京創元社創元推理文庫)
 2007年の第7回本格ミステリ大賞・小説部門受賞

『ソロモンの犬』(2006年12月~07年8月 文藝春秋文春文庫)

『ラットマン』(2007年6~9月 光文社文庫)
 2008年の第21回山本周五郎賞候補

『カラスの親指』(2007年8月~08年4月 講談社文庫)
 2009年の第140回直木賞候補、第30回吉川英治文学新人賞候補、第62回日本推理作家協会賞・長編部門受賞
 2012年11月に映画化(監督・伊藤匡史、主演・阿部寛)

『鬼の跫音(あしおと)』(2009年1月 角川文庫)
 短編集
 2009年の第141回直木賞候補、第22回山本周五郎賞候補
・『鈴虫』(2007年8月)
・『犭(ケモノ)』(2008年4月)
 2009年の第62回日本推理作家協会賞・短編部門候補となるが、長編及び連作短編集部門との同時候補は認められていないので辞退
・『よいぎつね』(2007年4月)
・『箱詰めの文字』(2006年11月)
・『冬の鬼』(2008年3月)
・『悪意の顔』(2007年10月)

『龍神の雨』(2009年5月 新潮文庫)
 2010年の第12回大藪春彦賞受賞、第31回吉川英治文学新人賞候補

『光』(2009年12月~12年4月 光文社)
 連作短編集



読んでいない道尾秀介の単行本作品

『光媒の花』(2007年3月~09年2月 集英社文庫)
 連作短編集
 2010年の第23回山本周五郎賞受賞、第143回直木賞候補
『カササギたちの四季』(2008年4月~09年12月 光文社)
 連作短編集
『ノエル a story of stories』(2008年4月~12年4月 新潮社)
 連作短編集
『球体の蛇』(2009年2~7月 角川書店角川文庫)
 2010年の第142回直木賞候補
『月と蟹』(2009年10月~10年6月 文藝春秋)
 2011年の第144回直木賞受賞
『月の恋人 Moon Lovers』(2010年5月 新潮社)
 2010年5~7月にフジテレビ月曜夜9時枠で放送された連続ドラマ(主演・木村拓哉)の原作
『水の柩』(2010年10月~11年6月 講談社)
『笑うハーレキン』(2012年1~10月 中央公論新社)



 こんな感じなんですけどね。
 道尾さんは、書籍のかたちで読める小説家デビューは2002年(講談社『ショートショートの広場 第13巻』収録作)なのだそうですが、単独名義で最初に単行本を刊行したのが2005年ということで、知名度の高さの割には、思ったよりも著作の数が多くはないんですよね。だいたいの人気作家さんのパターンにおいて、はじめハードカヴァーか新書版ノベルスの形で刊行された単行本は2~3年後に文庫本になって再発売される流れになっているのですが、道尾さんの場合はここ最近になってようやく文庫版の数が未文庫化の単行本の数を上回るようになったばかりという日の浅さなんですよね。若々しいね~。

 私はいちおう、基本的にはそのキャリアに沿って作品を読んできたわけなのですが、最後に読んだ『光』だけが飛びぬけて直木賞受賞後の最新作になっているのは、この『長岡京エイリアン』でも当時つづったかと思うのですが、昨年の6月15日に JR東京駅近くの丸善書店でおこなわれた『光』の刊行記念サイン会にミーハー面をぶら下げて参加したからだったのであります……その当時には、まだ道尾さんの作品は2作くらいしか読んでなかったのにね。女性ファン多かったな~! 確かに、実物の道尾さんは非常に男前でしたわ。

 このサイン会参加からもおわかりのように、なにかと気の早い私はすでにその時点で道尾さんの文庫本をほぼすべて買い揃えて家の片隅に山積みにしていたのですが、それらも消化して、最後にとっておいたハードカヴァーの『光』も読み終えたのが、今月2月の初旬ごろ。つまり、道尾さんの作品に関しては、最長で実に「8ヶ月」寝かせたまんまだった、ってことになんのね……読書ペースが遅すぎるよ~!!
 でも、上には上がある。現在の私の家にはさらに、買ったは買ったのに「4年」読まないままになろうかとしている村上春樹の『1Q84 BOOK1』と『 BOOK2』が!! もちろんハードカヴァーのやつ。だって、めんどくせぇんだもん!! さすがに今年中には読むと思いますけど……


 さて本題に戻りますが、私がことここにいたって道尾秀介の作品を読まないと宣言したのは、いくつかの要因からじょじょに累積してきつつあった、私なりの「もう道尾秀介はたくさん!」という満腹感がピークに達したからなのでありました。いや、満腹感っていうよりは……膨満感? 飽和感? 倦怠感?

 そして、直木賞まで獲得したこの人気作家のどこにそんなに飽きがきてしまったのかといいますと、それは一言でいいあらわすのならば、


「作品世界のカメラピントのガッチャガチャ感」


 ここよね。これについてけなくなっちゃったの。

 私は中学生時代から非常に視力が悪くて、メガネなりコンタクトレンズなりを手ばなせない生活をもうかれこれ20年ちかく続けてきております。
 こういう両目と長年連れ添ってきますと、もはや遠くの文字が読めないとか物の輪郭がボンヤリしているとかいった問題はどうでもよくなってきてしまうのですが、それは見える風景全体が共通のピントでボヤ~ッとしているから慣れることができるのでありまして、たまにメガネを新調したりすると初日によく生じることなのですが、近くの物体と遠くの物体での見え方に大きな差ができてしまうと、私はすぐに酔って気持ち悪くなってしまい、そうそう長時間は新しいメガネをかけ続けられないという状態になってしまいます。そこからじょじょに目を慣れさせていくわけなんですが、目の悪い方にはこの感じ、わかりますかね?

 メガネいらずの視力のいい方ならば、暗いところから明るいところにパッと移動させたとき、またはその逆をしたときに、なかなかレンズのピントが合わなくなっていつまでも写っている対象がボンヤリしたりはっきり見えたりの繰り返しを続けているカメラを想像していただければわかりやすいかと思われます。こういうのは見ていて気持ちが悪いというか、どこを見ればいいのかがわからなくて瞬時にストレスがたまってしまいますよね?

 これなんですよ。私が多くの道尾作品について感じるストレスは、これと感覚がまったくいっしょなんです。要するに、道尾さんが物語の中でクローズアップさせる事象とクローズアップさせない事象とのバランスが、私の感覚とかなりズレているから疲れていたんですね。
 たぶん、道尾さんの諸作品を絶賛する方は、そこらへんのリズムが道尾さんと似通っているのでしょうが……12作品読んで私は確信したわけです。「あぁ、これはお金を払っているんだから、無理して私が合わせようとすることもないんじゃなかろうか。」と。おれは降りるゼ!

 はっきり言わせていただきますと、道尾さんは物語の中に登場する「子ども」にピントを合わせすぎ。しかも、その「子ども」というのも、どうやら道尾さんの実体験から類推した種類の子どもしか出てこないんだから、2~3冊くらい読んだら「あぁこの子、前にも出てたよね。」って感じになってしまうのです。
 道尾さんの作品を読んでいると、あまり物語の筋とは関係のない部分、特に男子から見た女子へのアプローチや男子同士の他愛のない遊びに関するエピソードでかなり詳細な描写が出てきて、「そういや、そんなこともしてたなぁ~。」なんて気分になるのですが、読者の多くの方々は、それが意外と物語全体の雰囲気づくりにも、それをやっている登場人物のキャラクターにもさほど影響を与えてこないことに気づかれるかと思います。そこから感じられるのは、単に「この作者、そんなことよく憶えてたな~。」くらいのフ~ン感だけなんですよね。

 そしてそれとはまったく逆に、道尾さんのピントの合わせなさ加減がテキトーにも程があるのが「大人」なんじゃないかと思うんです。
 たとえば『シャドウ』とか『龍神の雨』の真犯人なんかは、ほんとに「読者をビックリさせるためだけにしか物語に呼ばれてきてないお人形さん」ですよね。いや、そりゃあ世界は広いからそんな人もこの世のどこかにはいるのかも知れませんが、いくら道尾さんが矛盾のない真相の説明をしたところで、真犯人がそういうことする人間に育ってしまった経緯というか、人生の存在がまったく信じられないのです。どんなに予想だにしなかった怪事件だったのだとしても、「読者にわかろうとする興味を持たせない問題」なんだったら全然驚く気にもなれないんですよね。それは、伏線がちゃんと張られているとかいうルール上のことじゃなくて、まず最初にその問題に読者が参加する気になるかどうかの話なんですよ。

 つまるところ、道尾秀介の小説世界にはカメラピントの均等な距離感というか、世界を公平に見渡す遠距離からの視点がない。自分の語りたいこと、見たいことは克明に描写しますが、興味のない物事は「それがないと物語が進まない or 終わらないから仕方なく出してやってる」というくらいのそっけなさで処理しているのです。道尾作品に登場する道尾さんの実年齢より上の世代の登場人物たちの魅力のなさといったら、もう……『ラットマン』なんか、感動とは真逆の涙があふれてきますよ、「あの中高年の無残な扱われかたは何だ!」と。
 現在30代前半の、道尾さんよりも年下の私がそう感じるんですからね。道尾ワールドの「年上蔑視観」は筋金入りですよ~。
 いや、「蔑視」というのは違うか。道尾さんは年上の人々が自分と同じ幼少時代と青春時代を通りすぎてきた、同じように血のかよった人間であることを「無視」しているんです。そして、そこは無視しているくせに物語の歯車には、そのように活きることさえも許されていない哀れな大人たちをバンッバン投入してこき使っているのです。悪代官だ……道尾秀介は、ピーターパンの格好をした悪代官だ!!

 別に私は、小説家たるもの年上の人々を尊敬すべしとか、登場人物全員を平等に扱うべしとか、すべての情景の描写に全力を注ぐべしとか、そんな画一的で優等生的なことを要求しているのではありません。

 ただ、それでごはんを食べて家族をやしなっているプロフェッショナルであるのならば、「自分がつまらない気分でおざなりに書いているもの」を堂々と商品の大事なところに組み入れるなと言いたいんです。直木賞作家だかなんだか知りませんが、あんたが力を抜いてる仕事をお金を払ってでも読もうとするような人間ばっかりの世の中だと思うなよ、と!

 あともうひとつ、たとえ自分の創造したキャラクターだったのだとしても、ミステリー物の真犯人とかハードボイルド物のやくざ者みたいな「汚れ役を引き受けてくれる役」には、それがどんなに下劣な人物だったのだとしても、それなりの礼と愛を尽くすべきだと思うんです。そうしないとキャラクターは必ずうすっぺらくなり、そのうすっぺらさで、作品全体も安っぽい底が知れたものになってしまうんですよ。「鎖の強さはいちばん弱い輪っかの部分で決まる」とはよく言ったものです。

 それらの点もかんがみますと、私が読んだ12の道尾作品のランキングは以下のようになるわけです。


1位 『光』
2位 『向日葵の咲かない夏』
3位 『龍神の雨』の本文じゃなくて新潮文庫版の橋本満輝さんによる解説
4位 『カラスの親指』

……それ以外の作品は、さしあたって読む必要なし


 こういう感じ。

 つまるところ、私が最後に読んだ比較的最新作の『光』は、主人公がモロに道尾さんの投影としか思えない少年になっていたために道尾さん特有の「視界のゆがみ」がうまく少年に重なりあって違和感が薄くなっていたことと、物語の悪役に当たる人物がそれまでの作品に比べればだいぶ人間らしく描かれていたことが決め手になりました。エピローグで判明するちょっとしたサプライズが、果たして読者をびっくりさせる以外にどんな意味があるのかはわかりませんが。
 ベストセラーの『向日葵の咲かない夏』もまた、少年が主人公になっているお得意のパターンであるのですが、「物語の世界がゆがみまくっているのは作者の力量不足じゃなくてこいつのせいです。」という前代未聞の責任転嫁がなされているため、感動からは程遠いものの、その道尾さんの尋常でない度胸のすわり方にミョ~に感心してしまいました。おもしろい人だな~と。こんな作品を読んでバカ正直に陰鬱な気分になる人って、いるんですかね? これは100% 笑いとばしながら読み進められるコメディ小説ですよ。

 3位はほんとにおもしろかった! 『龍神の雨』本編はまさしく箸にも棒にもひっかからない内容なんですが、この解説の良さを知るために必要だった何百ページ分かの状況説明だったんだな、と自分に言い聞かせて心を落ち着けました。
 この橋本さんって、どうやら道尾さんの飲み友達のライターさんらしいんですが、橋本さんにこの解説文の執筆を依頼したというだけで、この『龍神の雨』にかんする道尾さんの仕事は終わっていたと思います。道尾さんは本当にいい交友関係をお持ちですね!

 4位はラスト50ページくらいまでは楽しく読めていたのですが、最後になってどたばたと詰め込まれてきたどんでん返しの結末にもんのすごく納得のいかない点がありましたので、「まぁ時間つぶしにはなるんじゃないっすか。」くらいの評価に落ち着きました。私はつい数年前まである道を目指しておりましたものでね……その展開にはまるでリアリティが感じられない!! どんだけ才能があるんだって話ですよ。そんな奴はそんな感じにうらぶれてはいない。
 ちなみに、私は昨年に公開された映画版の『カラスの親指』は観ておりません。どうやら原作を忠実に映像化したとは言いがたい結末の展開の変更があったらしいのですが、「上映時間160分」じゃあ確かめる気にもなりませんわな。なに、この映画の監督は自分が黒澤明なみの巨匠だとでも思ってるんですか?


 まぁ、結局はいつもどおり、鼻息荒くいろんなことを言わせていただきましたけどね……

 とにかく、いちばんおもしろいと感じた作品がごく最近の『光』だったということもあるし、道尾秀介という小説家が現在進行形で成長しつつある才能であることはわかっています。だから、かなり高い確率で、私がまだ読んでいない最近作のほうに良作がいっぱい隠れていることも充分に考えられます。直木賞受賞作もそこにあるわけですしね。
 そこは私もじゅうじゅうに承知しているつもりなのですが、同時に10作前後も辛抱しながらさほどおもしろくも感じない諸作を読んできたという疲労感もある今現在の実感としては……あんたとはも~付き合っとれんわ! なんですよね。

 まぁ、誰に頼まれたでもなく、私が勝手に読み続けてきただけなんですけれども、いちおうは書店の立ち読みで済ませず、ブックオフも使わずにぜ~んぶ新品で買い揃えたこともありますし、いち消費者として言いたいことは言わせていただこうかな、と思った次第だったのでした。完全に個人的なストレス発散企画になっちったね、コレ。

 道尾秀介先生のこれからのさらなるご活躍を、謙譲の表現ではなく正真正銘、心の底からの実感で「かげながら」応援させていただきます! フレ~、フレ~、み・ち・を~。


今回の教訓
 特別賞あつかいだったホラーサスペンス大賞は別としても、私の読んだこれらの作品に本賞をあたえた「本格ミステリ大賞」と「日本推理作家協会賞」と「大藪春彦賞」は、だいたいその程度の賞だと理解しておこう☆
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