長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

『軍師官兵衛』  視聴メモ 第34回『九州出陣』

2014年08月28日 23時29分20秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第34回『九州出陣』(2014年8月24日 演出・尾崎裕和)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 官兵衛 孝高  …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

浅井 茶々姫     …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

安国寺 恵瓊     …… 知力80、統率力31
 (演・山路和弘)

吉川 元春      …… 知力58、統率力85
 (演・吉見一豊)

大友 宗麟      …… 知力78、統率力73
 豊後国の戦国大名。一時は九州地方の大半を支配していたが、島津氏の侵攻により滅亡寸前にまで追い込まれている。(演・上條恒彦)

島津 義久      …… 知力95、統率力88
 九州地方南部を支配する戦国大名。北部への侵攻を続け、九州全域の統一のために大友氏を滅ぼそうとする。(演・永澤俊矢)

蜂須賀 小六 正勝  …… 知力74、統率力90
 (演・ピエール瀧)

豊臣 秀長      …… 知力83、統率力75
 (演・嘉島典俊)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

榊原 康政      …… 知力45、統率力78
 (演・中村育二)

加藤 清正      …… 知力63、統率力81
 (演・阿部進之介)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

吉川 元長      …… 知力58、統率力78
 吉川元春の嫡男。(演・出合正幸)

大友 義統(よしむね)…… 知力60、統率力46
 大友宗麟の嫡男。(演・増田修一朗)

小早川 隆景     …… 知力83、統率力77
 (演・鶴見辰吾)

豊臣 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)


ざっとの感想

○おぉ、私が愛してやまない歴史ドラマ『大友宗麟 心の王国を求めて』(2004年1月放送 主演・松平健)以来、実に10年ぶりに実写作品に大友宗麟が出てきてくれたぞ! しかも演じる俳優は上條恒彦さん。村上ヨシキヨ~!!
 ただ、このエピソードの時期の宗麟はもう完全に「燃え尽き症候群」な感じの最晩年で、「へいへい、どーせあたしゃ女好きのロマンチスト暴君ですよ……」といったすねぐあいでイケイケドンドンの島津4兄弟に押されっぱなしだったわけです。もっと、まだ存命していた無二の右腕・立花道雪と肩を組みながら「おれたちに明日はねぇ! エイメェエン!!」と絶叫して大砲「国崩し」をぶっぱなしまくる、神も仏もあったもんじゃない全盛期が観たかった……ほんと、一時期は西日本で最強の「王」だったんですからね。
 でも、当時の宗麟の年齢が57歳だったのに対して、上條さんの実年齢は74歳ですか。う~ん、メンタル的な衰えもコミコミで、ギリギリ OKかな!?
 ちなみに、『心の王国を求めて』での秀吉役は片岡鶴太郎さん。黒田孝高は出てきませんでした。

●大友宗麟の引見式での、ダーイシ三成と福島正則とのガンのとばしあいがハンパない! いやいや、早い早い、まだ天正年間だってば!! 秀吉まだ生きてるよ~!?

○官兵衛の義理の兄弟ということで、いつもの戦国ものよりもやや出番が多かった蜂須賀小六正勝がついに死去。享年61。でも、病身になってもピエールさんだから、恰幅はめちゃくちゃいいですよね。
 演技力うんぬんというよりも、とりあえず小柄な秀吉の脇にひかえるこわもてといった風格でインパクトの強かった小六さん、お疲れさまでした。にしても、映画にドラマにラジオに CMに雪だるまオラフに、最近のピエールさんの忙しさといったら、どうだい!? なにをかそれほどいき急ぐことやは、ある!?

○秀長「小六が逝って、兄者を支える古株は、いまや官兵衛とわしだけになってしもうた……」
 ズコー!! 前野長康とか仙石秀久とか山内一豊とか浅野長政とか、みーんないっしょに総ズコー!!
 秀長さんよう、いくらその場にいたのが官兵衛だけだったからといって、そのリップサービスはあんまりなんでないかい……
 ハッ!? もしかしたら、この兄弟のことだから小六の死を逆手にとって、そこらへんのベテラン勢をわざとひとりずつ大広間に呼んで、秀長の「いまや○○とわしだけになってしもうた」のテンプレートで各自の忠誠度を上げるカウンセリングを行っていたのではないのか!? それの官兵衛ヴァージョンがこのシーンだったというわけか。

ダーイシの内心「ふぁわわ……これで何人目だっけ? 天下人って、マジめんどくせーな……」

 さすがは日本史上でも一、二を争う人たらし! やることが細かい!! だいたい、秀長の「わし」よりも「官兵衛」のほうを先に言う言い方からしてあざとすぎるもんね。すげぇ兄弟。トップアイドルのファンサービスなみの心遣いですよね。

○うわー、今週も秀吉と官兵衛の家康談義シーンで、例の不安さをあおる陰謀 BGMが流れたぞ! 私この曲大好きなんですよね~。
 これから毎週どこかのシーンでこれが流れるのかなぁ。うれしいけど……なんかイヤ! そんな陰謀だらけの秀吉政権編!! でも、ほんとにそんな感じなんだもんねぇ。

○又兵衛「戦わずして勝ちを得る。殿(官兵衛)の策でござりまする。」
 いや~、今のところ、『軍師官兵衛』における後藤又兵衛基次は、黒田長政あたりならば軽くいなせるインテリ系になっていますが……上の表を見てもおわかりのように、『信長の野望』シリーズにおける又兵衛は、「知力値が10台」という全国でも珍しい脳筋野郎! 今までの又兵衛観とはあまりにも正反対な言動に毎回ビックリです。
 実際、どっちが史実に近いんだろうね……脳筋っていうイメージの源は、本人じゃなくて長政サイドだもんね。敗者に口なし。

●糸姫が茶々姫に「侍女だと思ったし。」と言われた件に関して、おねの方が笑って済ませていたのは、能天気すぎるというか、そこが逆に怖いというか……だって、「部下の息子のヨメ」が笑われた問題なんじゃないですよ、「ダンナの盟友の娘」が笑われた問題なんですよ!? これは笑って済ませられないだろう、普通!!

○息子の小西行長が出ないうちに、なんと母ちゃんの小西マグダレーナが先に初登場! そんなん、あり!? なんという出たがり母ちゃんか……それにしても、母ちゃんがみんなにマグダレーナって呼ばれてるのって、息子にしてみたらそうとうキッツいなぁ。

○吉川元春ひとりの反秀吉感情にとどまらず、まず今まで正真正銘の宿敵同士だった大友の援軍を毛利がつとめるという話自体がおかしなことなんであってね……毛利軍のテンションが低いのも当たり前なわけです。
 ただ、秀吉もそこは十二分に承知している上で、秀吉政権への忠誠のほどを確かめるために毛利家にあえてムチャ振りをしているのですから、非常に高度な政治戦が九州征伐では働いていたんですね。島津がどのくらい強いのかはわからないけど、九州を統一するのは当たり前で、問題はそのために誰がどのくらいがんばるのか? 戦争そのものよりも、そこを秀吉はにらんでいたわけだったのです。
 とはいえ、そんな上層部と現場の板ばさみにあう、調整役の官兵衛の立場はイヤですねぇ~! こんな出張仕事、ぜったいにしたくねぇよ……なんの見返りも約束されてねぇし!!

●いや~、バカにしてる。『軍師官兵衛』は、島津4兄弟を完っ全にバカにしてますね! どっからどう見ても、マンガにしか出てこない骨つき肉がよくにあう野蛮人集団じゃねぇか!! 戦国大名の陣所がなんでラグビー部の部室みたいな汗くささになってんだよ!!
 デビュー以来20年以上も演じる役柄の IQが上がっていない永澤さんが長兄・義久役だとか、残りの3人がノンクレジット扱いになっていて、特に兄弟の中でも軍師のような立場だった三弟・歳久にいたっては顔さえ画面に映っていないとかいう問題も腑に落ちないのですが、いっちばんダメなのは、全員が標準語でしゃべってるってことなんですよね! 『葵 徳川三代』みたいに、多少平易になっていてもいいから、島津はとにかく薩摩弁でしゃべらなきゃダメでしょうが!! 標準語じゃあ絶対にいけないんだよなぁ……ホントに、心の底からこれにはがっかりです。
 島津の恐ろしさは外見とか腕っぷしじゃないんですよ、その郷土に育てられた精神性なんですよ……

○『軍師官兵衛』において秀吉の母を演じる女優がいない、という設定を逆にうまく利用した、秀吉ひとり泣きシーンでしたね。そこはまぁ、竹中秀吉の脳裏に浮かんでいるのは、市原悦子さんの大政所ですよねぇ。悦子さんは亡くなってないけど。

○吉川元春が総大将で小早川隆景と黒田孝高が副将って、どんだけ最強な援軍なんじゃァア!? これにはさすがの島津4兄弟もビックリ。
 まるで『信長の野望』の天下統一寸前、陸奥国か薩摩国あたりを攻めているときの自軍のオールスター感謝祭っぷりを観ているような気になってくる布陣ですよ。でも、こうなってるときの『信長の野望』ほど、「いくさはむなしい……」と無常を感じるひとときもないんですよね。つまんねー……

○いやぁ、なんだかんだいっても、寺尾さんは若々しいですよ! 右目以外は。
 なんといっても、黒田長政が一発で落ちてしまう声の色っぽさがいいですよね。たいしたこと言ってないのに「うわー、おれ、ものすごい人に声かけられちゃった!」って舞い上がっちゃうもんねぇ。ガキなのね~、ガキなのよ~。
 なんかもう、顔が左右非対称でも別にいいんですけど、とにかくあの右目の三白眼っぷりが怖くて怖くて……徳川家康なんだけど、伊達政宗みたいに眼帯つけててくんないかなぁ、寺尾さん!? 『軍師官兵衛』に政宗は出てこないような気がするから、たぶんかぶんないでしょ?

●蜂須賀正勝に続き、あの猛将・吉川元春もついに死去! 演じた吉見一豊さんの魅力がふんだんに楽しめたラストエピソードでしたねぇ。
 にしても、この一大事でもまったく姿を見せなかった毛利家総帥・毛利輝元って、いったい……
 なんかさぁ、みんなして、輝元くんをバカにしすぎなんじゃないの!? そりゃまぁ、関ヶ原合戦では確かにあんな感じだったけどよう。『葵 徳川三代』で輝元を演じた宇津井健さんはよかったねぇ。バカ殿に見えて実は……っていう、ね。


結論、「第35回がとてもたのしみです。」

 なんか、うすうすそう感じてはいたんですけど、今回で確信しました。『軍師官兵衛』の大坂城、せますぎ!! なんなの、あの本丸大広間のギュウギュウづめ感!? あれ、どの大河ドラマの大坂城もあんな感じだったっけ? もっとデカくなかった!?
 政権発足当初からぎすぎすしまくりだし……秀吉政権、もっと明るくいかないとダメよ! そりゃ視聴率も13% に急落しますわいな。

 って思ってたら、なんか次回予告では秀吉がさらにブラックな笑みを浮かべておりました……ギャー最高!! もっとやって~♡
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おまえなんか……大っ嫌いだけど大好きだっ  ~映画『ゴジラ VS キングギドラ』~

2014年08月27日 22時56分37秒 | 特撮あたり
映画『ゴジラ VS キングギドラ』(1991年12月14日公開 103分 東宝)


 『ゴジラ VS キングギドラ』は、ゴジラシリーズ第18作、東宝創立60周年記念作品。制作費15億円、配給収入14億5千万円。観客動員数は約270万人。
 キャッチコピーは、「世紀末、最大の戦いが始まった。」「お前だけには絶対負けない!」。

 前作『ゴジラ VS ビオランテ』(1989年)の成功を受けて、昭和ゴジラシリーズの人気怪獣で子どもたちのリクエストが多かったキングギドラが登場することとなった。ゴジラとキングギドラの対決は、シリーズ第12作『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(1972年)以来19年ぶりで、1対1の対決は本作のみである。オリジナル作品のタイトルとして初めて「キングギドラ」が冠されている。ゴジラは本作で、前作の身長80メートルから100メートルに巨大化した。
 特撮撮影ではミニチェア・フルセットではなく各シーン、各セットでの切り替えに合わせたミニチェア・セットとなった。東宝第9スタジオで新宿副都心、福岡市街、札幌、綱走原野のセット、第7ステージでは海底、本編の MOTHER内部の撮影と厚みを増す撮影となった。特に新宿での最終決戦は、撮影用カメラを3台使用し、当時完成したばかりの東京都庁を舞台にバトルを展開し破壊、造られた都庁ミニチェアは完成に1カ月かかり、その高さは5メートルを超え東宝特撮史上最高の石膏ビルとして大きな話題となった。
 前々作、前作ではシリーズ刷新の意味合いも込めて当時の人気作曲家が映画音楽を担当したが、「やはり最も有名なテーマを超えるものを造るのは難しい」という意向から、本作では『メカゴジラの逆襲』(1975年)以来16年ぶりに音楽を伊福部昭が担当、ゴジラのテーマ曲が前面に押し出された他、キングギドラのテーマ曲や『宇宙大戦争』(1959年)、『キングコング対ゴジラ』(1962年)、『怪獣総進撃』(1968年)で用いられた映画音楽が伊福部自らによる編曲を経て再び用いられている。この映画のために当時すでに廃れていた、大型ステージを貸しきってオーケストラの録音を再度実行するという非常に手間のかかるレコーディング作業が行われた。
 東宝特撮映画の顔ともいえる俳優の土屋嘉男がゴジラシリーズでは『怪獣総進撃』以来23年ぶりに、佐原健二が『メカゴジラの逆襲』以来16年ぶりに出演している。さらに、『ウルトラマン』シリーズや『仮面ライダー』シリーズで著名な小林昭二がゴジラシリーズに初出演した。その他には特別ゲストとして、『ノストラダムスの大予言』(1974年)以来17年ぶりに山村聰が内閣総理大臣役で出演している。
 DVD版での監督・大森一樹のコメントによれば、23世紀の日本の増長や一企業の原子力潜水艦の所有などは、当時バブル経済真っ只中の日本がどこまで肥大化するかわからないことに対する不安と警鐘の意味合いがあったという。ただし、ちょうど公開の時期を境にして日本はバブル崩壊により長期の不況に突入したので、現実と内容とのずれが生じている。また、セリフで23世紀でもソヴィエト連邦が存在していることになっているが、本作が劇場公開された直後の1991年12月25日にソヴィエト連邦は崩壊した。
 物語は、タイムトラベルをして過去のゴジラ誕生の歴史を変えようとするなど、ゴジラシリーズの中でも意外性に満ちている。また、ゴジラが放射能を浴びて怪獣になる前の「ゴジラザウルス」という恐竜も登場し、ゴジラ誕生の秘密が明らかになっている。ただし、タイムパラドックスに関する矛盾も多く、批判もある。タイムトラベルの設定は、当時大ヒットした映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズからアイディアを流用したと関係者は語っており、本作はこの他にも、「人間そっくりのアンドロイド」(『ターミネーター』シリーズ)や「巨大ロボットを操作して戦うヒロイン」(『エイリアン2』)、「スピルバーグという名前の登場人物」など、アメリカの SF映画からヒントを得た要素も多く見受けられる。

 大森の当初の構想では、「日本が実は核兵器を保有しており、日本の核で恐竜がゴジラになる。」という筋書きだった。しかし、これを知った製作の田中友幸が、「被爆国である日本が核兵器を持つとは何事だ。」と反対したため、国家でなく一企業が日本国外に核を保有しているという設定に変更された。これに田中は、「日本国内には無いんだな。」と確認した上で同意したという。
 本作のラゴス島でのアメリカ軍の描写について、アメリカの退役軍人団体からクレームがついたほか、ゴジラ誕生の理由をアメリカの水爆実験と明言している点、さらに当時、貿易摩擦で悪化していた対日感情からアメリカの配給会社も難色を示し、本作はアメリカで劇場公開されないどころか英語版すら製作されなかった。本作がアメリカで公開・ソフト化されたのは1998年になってからである。

 本作の公開当時に出版された、田中文雄によるノベライズ版(朝日ソノラマ)は、物語は映画版にほぼ準じるが、冒頭には未来人が金星で「宇宙大怪獣キングギドラ」の死骸から体組織を回収して愛玩用ペット「ドラット」を開発するというシーンが追加されていた。


あらすじ
 1992年7月。突如として東京上空に巨大な UFOが飛来した。後日、富士山麓に着陸した UFOの中から、ウィルソン、グレンチコ、エミーと名乗る3人が姿を現す。彼らの言い分によると、自分達は23世紀の「地球連邦機関」の使者であり、21世紀に復活したゴジラによって日本が壊滅的打撃を被る前に、ゴジラを抹殺する目的でやって来たのだという。
 彼らは、ノンフィクションライターである寺沢健一郎が著書『ゴジラ誕生』の中で記した、「ラゴス島に生息していた恐竜が、1954年にビキニ環礁で行われた核実験によりゴジラへと変異した。」という仮説に基づき、そこから恐竜を別の場所に移動させてゴジラを誕生させないようにするという計画を立てた。
 そこで、未来人のエミー、護衛のアンドロイド「 M11」と共に寺沢、国立超科学研究センター・ゴジラ対策チームの三枝未希、古生物学者の真崎教授らは1944年のマーシャル諸島・ラゴス島へと赴き、太平洋戦争中の日本軍ラゴス島守備隊をアメリカ軍から救った1頭の恐竜「ゴジラザウルス」を目撃する。恐竜は計画通りに未来人の手によってベーリング海へと転送され、これによりゴジラは歴史から完全に抹殺されたものと思われた。
 しかし、寺沢たちが1992年現在に戻ってくると、ゴジラの消滅と同時に、太平洋上には新たな怪獣キングギドラが出現していた。その裏には、後に地球一の超大国へと肥大化し、世界経済を一手に支配することとなる日本の国力を消耗させんとする、未来人の策略があったのだった。


おもな登場人物
寺沢 健一郎 …… 豊原 功補(26歳)
 本作の主人公。超常現象専門のノンフィクションライター。「太平洋戦争時代に日本軍の兵士が恐竜を見た」というネタを追っていくうちに、ゴジラ誕生の仮説を立て『ゴジラ誕生』という本を出版しようとしたことから、今回の一件に深く関わっていく。
 都心郊外に自らの著書の収入で建てた一軒家に住んでいるクールな青年ライターだが、ウィルソンを殴り合いで倒すほど、血気盛んで喧嘩の腕っ節も強い。

エミー=カノー …… 中川 安奈(26歳)
 本作のもう一人の主人公。23世紀の「地球均等環境会議」の穏健派メンバー。日本人女性で、1992年に MOTHER でウィルソンやグレンチコらと共にタイムワープしてやって来た。当初は現代人への警告のためにウィルソンたちに同行し、ゴジラを抹殺する作戦に協力した。しかし、新たに出現させたキングギドラで、現代の日本を攻撃して国力を消耗させようとするウィルソンたちに反発し、寺沢たちに協力する。
 自分を力ずくで連れ戻そうとしたアンドロイド M11に野次をぶつけまくりながら追い払おうとしたり、メカキングギドラに乗り込んでゴジラに戦いを挑むなど、気丈でアクティブな女性である。実は、寺沢の子孫にあたる。
 エミーを演じた中川安奈は、演技に関して『エイリアン』シリーズのシガニー=ウィーバーも意識したという。

土橋 竜三 …… 小林 昭二(61歳 1996年没)
 内閣安全保障室室長。保障室内に再編成されたゴジラ対策本部「 Gルーム」の中心人物で、想像を超える2大怪獣の対策に就く。キングギドラに対抗するため、ゴジラを再び誕生させてはと提案してしまう一幕もあったが、自身で決行することはなかった。

真崎 洋典 …… 佐々木 勝彦(47歳)
 東都大学古生物学教授。穏やかな人柄で、恐竜の研究を専門とし、一部の恐竜は6550万年前の大量絶滅を生き延びたとする「恐竜生存説」を提唱している。寺沢の取材を受けたことから、寺沢や未希と共に未来人のゴジラ抹殺作戦に参加することとなる。その後も、国立超科学研究センターに出向して協力した。

ウィルソン …… チャック=ウィルソン(45歳)
 23世紀から来た未来人で「地球均等環境会議」の過激派メンバー。20世紀の日本の国力を消耗させる作戦を遂行するため、地球連邦機関の MOTHER を奪い、1992年にグレンチコたちと共にやってきた。日本の将来を救うためと偽ってゴジラを歴史から抹殺した後、自分たちが操るキングギドラで日本を攻撃する。

グレンチコ …… リチャード=バーガー(28歳)
 23世紀から来た未来人で「地球均等環境会議」の過激派メンバー。ウィルソンの相棒で、共にキングギドラを操る。20世紀の人類を「救いようのない原始人ども」と評する。

M11 …… ロバート=スコットフィールド
 アンドロイド。見た目は笑顔も見せる普通の白人男性だが、機械の操作、戦闘などで人間を大きく超えた能力を発揮する。英語と日本語で会話できる。表皮は焼けるが、炎の中でも活動できる。

新堂 靖明 …… 土屋 嘉男(64歳)
 帝洋グループ会長。太平洋戦争中は日本陸軍少佐・ラゴス島守備隊隊長だった。その際はアメリカ軍の猛攻の前に玉砕寸前となったが、戦闘中に現れたゴジラザウルスがアメリカ軍を蹴散らしたために事実上救われ、ラゴス島撤退直前には傷ついたゴジラザウルスに涙を流しながら謝罪と感謝の言葉を送る。日本に帰国後は帝洋グループを創設して日本を経済大国として復興させたが、自らの企業で原子力潜水艦を所有するなど、企業としての行動は暴走してしまっていた。

池畑 益吉 …… 上田 耕一(50歳)
 福岡県・博多で焼き鳥屋台を営む老人。太平洋戦争中は新堂の部下で、ラゴス島にてゴジラザウルスに遭遇した。その時の経験から「恐竜ワールド」博覧会に抗議する演説をしたことを機に、寺沢の取材を受ける。

藤尾 猛彦 …… 西岡 徳馬(45歳)
 物理学者で国立超科学研究センター所長。45歳。突如出現した MOTHER に対する会議に参加し、内閣安全保障室に協力する。常識人で、新堂がベーリング海へ原子力潜水艦を向かわせたと知った際には彼を強く非難している。


登場する兵器・用語
F-15J
 航空自衛隊の制空戦闘機。キングギドラと襟裳岬の上空で戦う。ゴジラシリーズの中では、本作で初めて対怪獣戦を行った。

92式メーサー戦車
 前作『ゴジラ VS ビオランテ』で初登場。所属は陸上自衛隊特殊武器科部隊だが、のちに国際連合 Gフォースも保有することとなる。車体に8輪駆動8輪操舵のタイヤを装備した完全自走式の装輪戦車で、牽引式のトレーラータイプだったかつての66式メーサー車とは大きく印象が異なる。亀を思わせる外観の大きな砲塔上部に、メーサー光線を照射するパラボラ型砲身を搭載している。その他、運転席上部には怪獣出現時の緊急走行を考慮してパトライトを装備し、前照灯とは別に、砲身基部に大型のサーチライトが2基ある。
 武装は500万ボルトメーサー砲(射程12キロメートル)1基だが、のちに超低温レーザー砲1基と8連装ミサイルランチャー2基に換装された改造型も活躍している(『ゴジラ VS デストロイア』)。全長16メートル、全幅9.5メートル、全高4.8メートル、重量85トン、最高時速70キロ。
 対怪獣迎撃の中核として配備されるが、『ゴジラ VS キングギドラ』では札幌市でゴジラと交戦して壊滅的な損害を受けた。

むさし2号
 帝洋グループが、日本が何らかの理由で核汚染した際に核シェルター代わりにするために極秘建造した原子力潜水艦。核ミサイルを搭載している。平時は東南アジアの軍事施設に保管され、乗組員は軍事訓練を受けた帝洋社員。未来人の策謀により、ベーリング海に転送されたゴジラザウルスをゴジラとして復活させようとしたが、同海域で起きた原子力潜水艦の核燃料漏れによりすでに怪獣化していたゴジラに遭遇し撃沈され、ゴジラはこの核エネルギーを吸収し、さらに強大化した。
 製作当初はミニチュアが新造される予定だったが、予算の都合により1984年版『ゴジラ』で使用されたソ連原子力潜水艦のミニチュアが再利用された。

MOTHER(マザー)
 23世紀の地球連邦機関が開発した巨大円盤型タイムマシン。外観はキノコ雲に似た円盤型で、現代人には UFOとして認識された。元々は地球連邦機関が所有していたものを、ウィルソンら「地球均等環境会議」が強奪して使用した。船内には白人型の武装アンドロイドが多数警備にあたり、KIDS やスカイモビル、フライングスクーター(本編には未登場)などが収容できるパーキングドームをはじめ、3次元映像投影装置、上階の通路へ乗員を上昇させる光を照射する装置など、現代の科学力を遥かに超えた設備を持つ。防御用のバリアも備えている。また、緊急時には20分後に23世紀に戻ることができる緊急避難装置がある。全高100メートル。

KIDS(キッズ)
 地球連邦機関が開発した3次元映像投影装置を搭載した小型タイムマシン。乗員定員5名。普段は MOTHERのパーキングドームに収容されている。
 潜望鏡のようなテレビカメラにより艇外を偵察し、機体前部には他の物体を別の時代・場所にワープさせるテレポートビームが発射されるパラボラヘッドが内蔵されている。ワープは生物も可能だが、動かない状態であることが必要とされる。後にメカキングギドラのコクピットに改造された。

BABY(ベイビー)
 バックパック型の飛行ユニット。使用者はこれを背負いヘルメットをかぶり、手にした専用リモコンを操作することで、空中浮遊し低速移動できる。劇中ではエミー、M11、寺沢が使用した。
 脚本では、この他に一人乗り飛行マシーンのフライングスクーターが登場予定だったが、本編では使用されなかった。

国立超科学研究センター
 藤尾猛彦が所長を務める民間組織。ゴジラを監視・研究する「ゴジラチーム」を編成し、防衛庁と連携して対ゴジラ兵器の研究開発も行っている。
 後に人員の多くが国際連合 G対策センターに統合され、対ゴジラ専門機関として発展する。

内閣安全保証室・Gルーム
 土橋竜三が中心となって再建された日本政府のゴジラ対策のための総本部。前作『ゴジラ VS ビオランテ』の同名の部署より規模が拡大したため専用の司令室を持つようになり、有事の際には防衛庁長官や幕僚長らもここの席に着き、指揮を執る。

ラゴス島
 太平洋マーシャル諸島のルオット島とクェゼリン島に挟まれた小さな島(本作の架空設定)。太平洋戦争中にはゴジラの前身であるゴジラザウルスが棲んでおり、攻め込んで来たアメリカ軍や、本島の日本軍守備隊だった新堂と池畑たちに目撃された。

23世紀の地球
 エミーの話によると、ゴジラは23世紀まで出現しておらず、21世紀に日本は経済大国となり、南アメリカやアフリカといった赤字国の国土を買収して領土を拡張。22世紀末には地球一の大国となった。また、核兵器は21世紀末に地球上から全て破棄され、各国は武力でも日本の暴走を抑えることは不可能になったという。

地球連邦機関
 英語表記は EUO(Earth Union Organization)。23世紀の地球統合機関。しかし、この組織ですら日本の肥大化は止められなかった。20世紀の日本の国力を消耗させる作戦を計画したウィルソンらに MOTHERを強奪されている。のちにキングギドラをサイボーグ化させた。

地球均等環境会議
 23世紀の国家間の力の格差を無くすことを目的とする運動グループ。世界中から穏健派・過激派までさまざまなメンバーが参加している。


おもなスタッフ
製作      …… 田中 友幸(当時の東宝映画会長 82歳 1997年没)
脚本・監督   …… 大森 一樹(40歳)
特技監督    …… 川北 紘一(50歳)
音楽監督    …… 伊福部 昭(78歳 2006年没)
プロデューサー …… 富山 省吾(40歳)
撮影      …… 関口 芳則(45歳)
助監督     …… 米田 興弘(38歳)
特技助監督   …… 鈴木 健二(35歳)
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『軍師官兵衛』  視聴メモ 第33回『傷だらけの魂』

2014年08月25日 19時57分04秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第33回『傷だらけの魂』(2014年8月17日 演出・大原拓)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 官兵衛 孝高  …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

浅井 茶々姫     …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

高山 右近 重友   …… 知力71、統率力75
 (演・生田斗真)

荒木 道薫      …… 知力52、統率力83
 (演・田中哲司)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

安国寺 恵瓊     …… 知力80、統率力31
 (演・山路和弘)

蜂須賀 小六 正勝  …… 知力74、統率力90
 (演・ピエール瀧)

豊臣 秀長      …… 知力83、統率力75
 (演・嘉島典俊)

加藤 清正      …… 知力63、統率力81
 (演・阿部進之介)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

小早川 隆景     …… 知力83、統率力77
 (演・鶴見辰吾)

千 利休
 (演・伊武雅刀)

豊臣 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)


ざっとの感想

●ダーイシ三成よ、わかるか……あんたの全身ホワイトのファッションセンス、秀吉家臣団の中で浮きまくりなんだよ。目立ちたがりがそういう孤立のしかたをするのはよくないもんなんだ。ほら、みんな集まっても、だぁれもイジってくれないだろ。ツッコミ待ちしてるみたいな無口さが、さらに周囲の感情を逆なでするという悪循環。わかるだろ……わからなかったら……やっぱりおまえは関ヶ原だ。
 そうか、秀吉政権の崩壊の原因は、三成のかなくななファッションセンスだったのか!

●秀吉の「天下惣無事令」、言い換えれば「ケンカをやめねぇと、オレがぶん殴る!!」とでもいうべきジャイアニズムにあふれた日本統一宣言がついに発令されたわけだったのですが、史実からくるイメージだったら、いっちばんブラックな顔をして「ものはいいようだな、ヘヘヘ……」とほくそ笑んでいそうな官兵衛が、いっちばんピュアで真剣なまなざしをして「これで戦乱のない平和な時代がおとずれるんだっ!」と信じきっている、そのウソ臭さがたまりませんね。
 『軍師官兵衛』は、いろんな矛盾をかかえながら黒田孝高を NHK大河ドラマの主人公、つまりは「多くの視聴者の共感を得て、応援してもらえる好人物」に仕立て上げなければいけないわけでね。タイヘンよね~、そこは。

●うん、わかった。秀吉が側室の中でも、特に茶々姫にご執心なのは、「ぜんぜん自分のことを好きになってくれないから」なのね。わかりました。
 でも……いいんじゃない、そんな、常にまゆ毛がガルウィング全開になってるひと。もうあきらめたら? 京極龍子さんのほうが断然いいと思うけどなぁ、私は。

○天才絵描き少年・岩佐又兵衛8歳あらわる! いいねぇ~、子どもは自分のやりたいことをやっているときの表情が、いちばん。完全に無表情でしたけどね。

●「今度、オレが負けた戦争のことを人前で話すからよぉ、そのときにオレが捕まえて1年間監禁してたおまえも来てくんない?」って官兵衛に持ちかける村重の狂気がまったくわけわかんない! いったいどのツラさげて……でも、それが狂気ってものなんだよねぇ。ある意味、村重らしいよねぇ。

○「オメーもおめおめ生きてるじゃねぇか、コノヤロー!」という村重の渾身の切りかえしが茶々姫にクリーンヒット!! 戦国の敗者として、自分の生きざまを笑いものにする勝者たちへみごとに一矢報いたかたちになった、村重トークショーでの暴走ハプニングでした。
 でも、こんなにシリアスなシーンでも、立ち上がった瞬間に立ちくらみでフラッとなるという小細工ギャグをはさみ込んでくる竹中さんは化け物だ! 空気呼んでちょーだい☆

○高山重友の、「あなたは、村重殿の魂を救おうとなされたのですね。」という言葉に明らかに困惑の色を浮かべる官兵衛。「いや、別に……ただ、簡単に死んでほしくないから笑っただけなんだけど?」
 確かに、死にたいけど自分で死ぬことはできないから他人に殺してもらおう、っていう考えは究極のめんどくさがりですよね。横着すな!!

○自分を認知しようとしない父親を追跡し、その脱力したプライベートを盗み見てスケッチするという、ものすごい芸術家ぶりを発揮する又兵衛少年! こいつは確かに、村重の子だ……これにはさすがの村重も、涙せずにはおられなかった。「おまえも、いろいろとこれから苦労するぞ。あと、そういうの恥ずかしいから、やめて!」
 でも、それを本人に見せろと官兵衛に言われた又兵衛は、「ヤベ、完全に怒られるモードだわ、これ……」と、ビクビクしながら村重に会ったんでしょうね。それでなぜか感動の抱擁みたいになったもんなんだから、もうなにがなにやら。

○重友「黒田シメオン、ゲットだぜ!」
 いや~、1人キリシタンにするのに10年くらいかかっちゃったよ。でも、かなりの大口だから、よしとしよう! お疲れさんっした!!

○大坂を訪れた瞬間から、完全に秀吉にヘーコラする道にシフトチェンジした小早川隆景& AKB47ペア。こういう切り替えの早さが処世術の真髄なんだよね~。にしても、完全に事前リサーチしているはずなのに、秀吉の黄金茶室を初めて聞きました、見ましたみたいな顔をして白々しくビックリしつつヨイショしたおす2人の姿に涙を禁じえません。ああ、中国地方の覇者よ、いずこ……

○またしても、人形みたいにまばたきもせず、なんの感情も浮かべずに官兵衛を見つめる竹中秀吉の不気味演技が炸裂して今エピソードも終了。いや~、これが毎週観られると思うと、たまりませんね! 深夜に人目を忍んでやってた『恋のバカンス』(1994~95年)とか『デカメロン』(1997年)じゃないんですからね、天下のNHK の大河ドラマなんですからね! うれしいねぇ、秀吉、死んでほしくないねぇ。


結論、「第34回がとてもたのしみです。」

 今回は新たな登場人物もまったくおらず、これまで積み重なってきた「有岡城編」の総決算というかたちで、コンパクトにまとまったエピソードになりましたね。これでついに、荒木村重も退場ということになりました。田中哲司さん、お疲れ様でしたね。
 でも、今まで家臣モブみたいな扱いしかされてこなかった村重に、ここまでスポットライトが当てられたということはすばらしかったと思います。私としては、もっと謀反の動機に戦国武将ならではの野心が混じってもよかったと思ったのですが、明智光秀以上に織田信長に強い想いを抱いている屈折したキャラクターとして魅力的に輝いたのはよかったですね。

 あ、そういえば、前半でほぼレギュラーになりながらも、意味のあるセリフはほぼゼロに近かった丹羽長秀とか瀧川一益がまったく触れられずにフェイドアウトしてる……
 いやホント、なんで勝野洋さんと川野太郎さんがキャスティングされてたんだろうね。とんだ役不足だったね、うん。
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つはものどもが 夢のあと  ~ゲーム『 AKB1/48 アイドルと恋したら……』のおまけDVD の感想3~

2014年08月24日 23時07分48秒 | すきなひとたち
 はいは~い、今度こそ! 今度こそおしまいよ~!! さっそくいっちゃいましょう。


プレイステーション・ポータブル専用ゲームソフト『 AKB1/48 アイドルと恋したら……』(バンダイナムコゲームス 2010年12月発売)
初回限定生産版BOX 収録特典メイキング DVD
2010年8月時点での AKB48正規メンバーが出演している。


ディスク3「チームB メイキング」(各メンバー約5~6分、合計82分)の続きから

佐藤 夏希(当時20歳 現在ネイルサロン経営)
 この方もね、ご本人よりも、夏希さんの座席の後ろのテーブルでダベッてる演技をし続けているエキストラの若者たちが気になる気になる! カメラの奥でず~っとだらけた姿勢でヘラヘラくっちゃべってると思ったら、撮影終了の合図とともにシャキッと全員立ち上がって、礼儀正しくお互いに「ありがとうございました、お疲れ様でした!」みたいな挨拶をしあってさっさと消えていくという……えらいねぇ~! 夏希さんは、まぁ……プレイヤーに近すぎるかな、ちょっと。しゃべりが流暢すぎて若干、告白というよりも何かを売りつけられそうな危険なかおりをはらんでいましたね。実際、カフェで2人っきりで大事な話って言われて、行ってみたらそっちだったっていう可能性も低くはない世の中ですよね。こわいね~。

鈴木 まりや(当時19歳 現チームK兼 SNH48チームS2)
 いいひとそうだなぁ~、この方も! でも、確かにペアウォッチにしたいって言ってるのに「どっちもくれ。」って言われたら、7回くらいは「えっ?」って聞きたくなりますよね。それ、OKってことなのか? それを言ってるうちは、プレイヤーも彼氏じゃなくて単なるファンのまんまだと思うんですが……いいじゃねぇか、なぁ! 彼女が色違いのウォッチつけてたって。それはそうと、なんだかナンジャタウンの撮影はかなり時間が押していたようで、撮影後の彼女のインタビュー中ずっと後ろで見切れているスタッフさんたちがバタバタと後片づけをしていたり、インタビューの質問が彼女のコメントに対して食い気味になっていたのが、ちょっとかわいそうだった……セリフおぼえらんなかったんだから、しょーがないでしょ~よ!

近野 莉菜(当時17歳 現 JKT48チームK3)
 かわいくて、学校の自転車置き場で告白で、おしりで自転車を倒してしまうというドジっ娘……これはもう、本ゲーム屈指の好シチュエーションなのではないのでしょうか!? これで OKしない人なんか、いるのか!? これで彼女にしないんだったらもうあれよ、恋愛ゲームなんかやってないでさっさと剃髪して遁世したほうがいいよ! どんだけ煩悩がないんだって話よ!! しかしあれよ、当時こんなにピュアでキャピキャピしてた女の子が、今は異国の地でアイドル稼業を続けてるわけなのよ。すごいなぁ~人生って。大人になるにつれてどんどん美人になっていくお顔ですよね、近野さんって。がんばってほしいねぇ。

平嶋 夏海(当時18歳 現在女優)
 さすがは当時の時点ですでに48名もの大所帯になっている AKB48といいますか、各人各様に特徴的な個性を出し合って競っている中で、こういうポヨ~ンとしたなごみ系の方もいらっしゃって、ご自身もその立場と重要性をしっかり自覚して活動しておられると。そんな、キャラクターとそれを演じているプロフェッショナルなご本人の両面をうかがわせるメイキング映像でした。ポヨ~ンとしているのに足取りがやけにスタスタしている! この方は賢いだろ~。さすがは結成メンバーですよ。新撰組の井上源三郎さんみたいなイメージがあります。しかしこの恋愛ゲーム、なにげにバス撮影が多いよなぁ。予算的な問題とかもあるんでしょうが、こうなると逆に電車シチュエーションが皆無なのが気になってきますよね。あと、マイカードライブもないか。

増田 有華(当時19歳 現在女優)
 そうか、関西弁で攻めてるのは彼女ひとりか! だからたこ焼きオープンカフェ。う~ん、大阪枠が1人しかいなかったら、そりゃシチュエーションはそうなるか。でも、「関西弁」とか「たこ焼き」とか「ギャグ攻め」とかっていう特徴は確かにはっきりしていておぼえやすいんですが、じゃあ増田さんの個性はなんなんだ? となると、意外となんにもわかんない映像になっていたりして……武器がいっぱいあるっていうのも考えもんですなぁ。大阪の方は年がら年中おもしろくて明るくて当たり前っていうイメージとか、大変ですよね。

宮崎 美穂(当時17歳 現チームK)
 このシチュエーションというか、告白の仕方は個人的に私は大嫌いなんですが、それは宮崎さんのせいなんじゃなくて、やっぱりその空間をメタにしちゃうという戦法が、告白という土壇場から逃げているようにしか見えないからなんじゃないだろうか。距離を置いているようなしゃべり方をしたところで、結局最終的には自分が告白するしかないわけなんですもんね。こんな告白のされ方したら、相手は嫌な気分になるばっかりだと思うんだけどなぁ。じゃあそこにいるお前はなんなんだ?みたいな。もっと演技力のあるメンバーにふればいいシナリオだったのか……いやいや、誰がやってもダメなやつだと思いますよ、これ。あと、人はなぜ虫をそんなに恐れるのだろうか。いいじゃねぇか、スタッフさんに任せてほっときゃ……演技を止めるんじゃないよ!

渡辺 麻友(当時16歳 現チームB)
 いよいよ、48名のメンバーのメイキング映像をぜんぶ観通すという長い道のりもゴールを迎え、その掉尾を飾る48人目となりました。そしてその最後の刺客となるのが、「神7」のルーキーともいえる新鋭・まゆゆさん! 戦国武将でいえば伊達政宗、新撰組でいうのならば文句なしの沖田総司ポジションといったあたりの「アブない後輩」でしょうか。それにしてもこのゲーム中での渡辺さん、いったいなにを言ってるんでしょうか。いくら恋愛ゲームだからといっても、生身のアイドルがあえてゲームキャラみたいな頭がおかしいとしか思えないことをぶつぶつ言わなくてもいいと思うんだけど……まぁ、それが好きだっていうプレイヤーがいるんなら文句を言う筋合いもないんですが。完全に独り言だもんなぁ。プレイヤーが目の前にいてもいなくてもどうでもいいみたいな言い回しだもんねぇ。これを「アニメ声」って言っちゃうとプロの声優の方に大変失礼だと思うんですが、どう聴いてもオフの時の渡辺さんのしゃべり方のほうがいいに決まってるのにねぇ。ご本人はしきりに緊張してると言って表情が硬かったのですが、どっちかっていうと「私は今なにを言ってるんだろう……」という自嘲で冷めているような視線が印象的でした。渡辺さんが聡明で自覚的なアイドルであることはよくわかった! でも、私個人はその売り方のどこがいいんだかさっぱりわかんない……という感想を持ちました。まぁよう、ゲームなんか1秒もプレイしてないんだからでかい口はたたけねぇけどよう!



 ……いや~、終わった終わった。48人ぶん全員のメイキング映像を観終えました。ゲームそのものは持ってさえいないのに。発売されてから4年後なのに!

 この記事を作っている2014年8月現在、このゲームに参加した48名の AKB48メンバーの方々のうち、今も AKB48もしくはその傘下のアイドルグループに引き続き現役で所属して活躍しておられるのは、すでに卒業が確定している方も含めて「30名」。卒業した方は「18名」という内訳になっております。
 そりゃもう、20代中盤になれば充分ベテランと言われる女性アイドル業界なので卒業される方もいっぱいいて当然なわけですが、こうなるといまだにアイドルを続けている30名がどんだけすごい方々なのか、ということがしみじみ実感できますよね。てぇしたもんだよぉ。

 ともかく、今回はゲームをまったくやっていないし、AKB48自体にそんなに熱意も知識もないわたくしめがメイキング映像だけを観てメンバーの方々の魅力をさぐってみようという企てだったのですが、観てみてよくわかったのは、このゲームが製作された2010年夏の段階で、すでにグループの中でそうとうな格差ができあがっていたのだなぁ、ということでした。そして、やっぱり「同じグループ」という意識はチーム単位で形成されているようで、48名の AKB48でひとつの集まりという認識は、メンバーにもファンにもそんなに強くはないんだろうなぁ、ということでした。同期どうしで横のつながりはあるんでしょうけど、チームごとのカラーの違いがはっきりしているようでしたし。現在のチームがどうなっているのかはわかんないのですが、私は比較的チームK の体育会系な上下関係のはっきりしていそうな空気が好きになりました。チームA は大御所ばっかりで気が重いし、チームB はなんか……話できなさそうな人がいる。

 この映像を観る前、私はこれが AKB48史上初の本格的ゲームソフトであるということから、メンバー全員がテンションを上げてこの初仕事に臨んでいるんだろうなぁ、と予想していました。
 しかし、こうやって一通り観てみますと、もうこの時期には大御所陣はドラマやら CMやらのもっと大きな仕事にも慣れてずいぶんと余裕をもってチャチャッとこなしているといった印象で、若手は若手で劇場公演のセットリストをこなすのに大変な中で現場入りしたり、緊張したり演技の仕事がそもそも初めてだったりしてわけのわかんないままセリフを言っているといった感じ。結局、これを「けっこう大事な仕事である」と意識して実力を発揮できていたのは、おそらく指原さんや柏木さんあたりの中堅どころだったような気がします。キャラクターもしっかりついてきたし、本人も自覚的にそれを使ってさらに版図を広げていこう、という戦略眼と、それを実現するだけのテクニックも備わってきたという時期にマッチしていたのでしょうね。

 そんなわけで、案外それほど古くなっていないというか、現在のポスト前田&大島時代の担い手が容易にうかがえる映像資料になっていたとみたのですが、印象的だったのは、「もうアイドルをやめる」という心境に至っていた小野さんが誰よりも輝いていたというか、演技のうまさやアイドルとしての魅力とは別のところで「いい感じ」になっていたところでした。終わりが見えているからこそ自分の生き方が明瞭に把握できてきた、ということなんでしょうかねぇ。でも、いつやめるとかを決めていないうちから毎日をそういう気概で生きていける方が最高なんだよなぁ。
 いずれにせよ、まだ学校に通っていて当たり前の年ごろから、そういう自分の人生とか才能に向き合って生きているプロのアイドルの方々には、本当に頭が下がりますよ……ほんとに、普通に世間一般で暮らしていればモテモテでやっていけるのに、どうしてあえて「あの子に比べたらブスだ」とか「ダンスがヘタ」とか「オンチ」とかととやかく言われる世界に飛び込んでいくのでしょうか。でも、それが人間のあくなき野望とフロンティアスピリッツのあらわれなのかも知れないし。すごいよねぇ。


 さぁ、こうしてゲーム第1弾の特典 DVDの観賞は終了したのですが、実は私の手元には、その続編となる第2弾の特典 DVDもあっちゃったりなっかしちゃったりして、ちょんちょん!

 これもまた、15年以上続けてきた我が一人暮らしライフの大事な供養の一環なのでありまして。当然のこと、そちらのほうもちゃーんとメンバー全員のメイキング映像をとくと見届けきってから、気持ちよく処分したいと思います。
 今回のゲーム第1作の約1年後。彼女たちはいったい、どんな成長をとげていたのでありましょうか!? またシナリオ48パターン作らなきゃいかんのか? 予算は? ロケーションは? そして、赤いキャップをかぶったディレクターのお兄さんは、果たして続投できるのであろうか!?

 だぁれからも記事を期待されていないという、この荒涼とした状況をよそに、きわめて自己満足なこの企画はもうちょっとだけ続くのであった! おヒマな~ら~、読んでね。


 ……っていっても、ファンでもないやつのメイキング見ただけの感想だぜ。なんだよ、これ……
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つはものどもが 夢のあと  ~ゲーム『 AKB1/48 アイドルと恋したら……』のおまけDVD の感想2~

2014年08月22日 22時20分25秒 | すきなひとたち
 そんなこんなでいってみましょう、ゲームもやっていない人間がメイキング DVDだけを観た感想、その続き!
 ほんとに、いったい何が私にこの記事を書かせるというのだろうか……やっぱ、狂気ってヤツ~!? いえーい☆


プレイステーション・ポータブル専用ゲームソフト『 AKB1/48 アイドルと恋したら……』(バンダイナムコゲームス 2010年12月発売)
初回限定生産版BOX 収録特典メイキング DVD
2010年8月時点での AKB48正規メンバーが出演している。

ディスク2「チームK メイキング」(各メンバー約5~6分、合計82分)の続きから

大島 優子(当時21歳 現在女優)
 板野さんとはまさに正反対というか、その表情、その一挙手一投足にいたるまでが全て「努力!」で裏打ちされているというオーラが、このメイキング映像を観ただけでも伝わる伝わる。「女優」にこだわる発言もそうだし、常に笑顔を絶やさない心意気もそうだし、「ハリウッドに住もう。」という稀有壮大な夢だからこそ、ぐっと視線に力を込めて真剣に言葉にする気合といい。あぁ、アイドルという職業は、いつもその身を惜しげなく燃焼させ続けていなくてはならない宿命にあるのだな、という真理を雄弁に物語るたたずまいでした。こちらのハイスピードカメラ演出は、効果絶大でしたね!

小野 恵令奈(当時16歳 現在引退)
 この方もまた、ゲームソフトが発売された時期には AKB48にいないという非常に特異なケースになるわけなのですが、すでに2010年7月に卒業を発表した後の撮影だったためか、何かがふっ切れたかのような自由で魅力あふれる演技を見せてくれています。それでいてゲームやるころには日本にいないっていうんだから、ファンにはこれほど辛い話もありませんよね……ある意味で、どのメンバーも差し置いて本作最大の見どころになったことは間違いないでしょう。しかし、ほんとに聡明な人だったんですね。セリフ覚えも演技論も、本番中のまなざしも、16歳という若さなのにしっかり筋が通っている。ただ、聡明だったからこそアイドルをやめたんだろうな、と感じられなくもないはかなさもあったりして。それが「時分の花」というやつだったんでしょうか。おそらくそれは、2012~14年に復活した時には、すでに遠いものになっていたんでしょうね……そんな、あまりにも哀しい、流星の一瞬のまたたきを見せてくれたメイキング映像でした。アイドルって、ほんとに奥が深いなぁ~!

菊地 あやか(当時17歳 現チームA・2014年9月卒業予定)
 なんというか、ご本人のカラッとした陽性の魅力を最大限に引き出す、「手料理で告白」というド直球ストレートなシチュエーションがすばらしいですね。もう悩むな考えるな、とにかく攻めていけ! といったおもむきですよね。いいですよ~。アイドルが出てくる恋愛シミュレーションゲームって、やっぱりこういうのがないとねぇ。情報によると彼女が好きなアーティストは Berryz工房だということなのですが、思わず首をぶんぶん上下に振って納得してしまう前向き一本槍・小細工なしのお人柄でした。将来いいお母さんになるだろうね~。

田名部 生来(当時17歳 現チームB)
 私ね、つい先月この方の出演している演劇を観てきたんですよ(『やわらかい服を着て』)。そこで、決して出番は多くないんだけど実にうまく自分のポジションを理解して他の役者さんをサポートしていた実力といい、あえて「 AKB48」という肩書きをいっさい宣伝に出さずに「田名部生来」という名前だけで参加している心意気といい、かなりできた方だと感服つかまつった次第だったのであります。
 ところが……どうだい、この4年前のていたらくは! セリフ覚えがわる~い!! おそらく、このときのディレクターさんの「セリフ……おぼえてない?」という冷徹なダメ出しに彼女なりにそ~と~忸怩たるものをおぼえて、そこから演技の道にのめりこむようになったんでしょうなぁ~。これぞ、女優・田名部生来のほろ苦い誕生の瞬間をとらえた映像ってわけよ!! 貴重ねぇ。
 それにしても、「 AKB48が恋愛ゲームをやる以上は、だれかがこれをやらねば……」という空気の中で、人柱のようにメイドカフェのメイドさんをやることになった田名部さんの捨て身の告白には、同情を禁じえません。こんな告白をされて、ど~応えりゃいいのよう! OKだったとしたら、田名部さんのメイドのシフト時間が終わるまで秋葉原をほっつき歩いて待ってなきゃいかんのか!? カンベンしてや~!!

中塚 智実(当時17歳 現在女優)
 まぁ美人! 色白だし、若さがみなぎっていますねぇ。ふつうの方なら完全に周囲に引かれてしまいそうなピンクのショートパンツに頭にリボンといういで立ちも、中塚さんだったらまったく問題なく見えます。しかし、そんな気合入りまくりの彼女に対して、海までデートに来ておいて午前中で帰ろうとするとは……プレイヤーはいったい何があってそんなことを言い出したんだろう!? 家族にご不幸でもあったのか!?
 それにしても、こんなに容姿に恵まれているのに AKB48時代に比較的目立たないように見えたのは、なぜだったのだろう。天は二物を与えず?

仁藤 萌乃(当時18歳 現在女優)
 なんか、真夏のバス内での撮影はかなり過酷だったようで、時間が経つにつれてどんどん髪の毛のボリュームが減ってきて声も低くなっていたのに苦労のほどを感じ取りました。いや、う~ん……バスの中で告白って、なくね!? それはそれとして、バスを実際に走らせながらの撮影って、いろいろ走る路線とか、停車して映像をチェックする場所とかをちゃんと決めてから出発しないといけないんでしょうか。おもしろいねぇ。

野中 美郷(当時19歳 現チームB・2014年9月卒業予定)
 高橋さん、松原さんに続いて3人目の AKB48劇場シチュエーションになるのですが、これはちょっと、メイキング映像を観るかぎりはファンにとってうれしいのかどうかわかんなかったです。というのも、アイドルとしての仕事モードで告白されてるみたいというか、全体的に野中さんのオフィシャルな見解を聞いてるみたいで、恋愛ゲームとして現実味がなさすぎるような気がするんですね。そりゃもちろん、「劇場といえば野中さん!」という実績があっての選択ではあったのでしょうが。撮影後の彼女の素のコメントでの、「私でゲームに参加される方……愛してます!」の言い方のほうがよっぽど殺傷能力が高いよなぁ。

藤江 れいな(当時16歳 現 NMB48チームM)
 この方もおきれいな方ですね~。色白でほほを赤らめて告白! これはかなり甚大な効果を与えますよね~。とにかく前向きな姿勢と、「あなたを信じます。Yes!」という解釈不能な勢いが非常にほほえましいです。この若さが、成長するにつれてどのような自信と実力をそなえていくのか、前途は洋洋ですな。ファンの方は幸せ者ですねぇ。

松井 咲子(当時19歳 現チームA)
 今でこそ、ソロのピアノ曲集もリリースして「松井さんといえばピアノ」というイメージを確立した彼女なのですが、メイキング映像で本人が「ピアノを披露するのは滅多にないことなので……」と語っていたように、2010年の夏の時点では、この撮影の直前の7月の代々木第一体育館コンサートでショパンの『革命エチュード』を弾いたのがほぼ初公開という形で、まだまだ開拓したての状況だったようです。しかし、撮影現場に入ってからの急な振りに対応してしっかり『ポニーテールとシュシュ』のイントロを弾ききったのはさすが現役音大生といった腕前でしたね。落ち着いてて確かに美人なんですが……やっぱり、歯がこわいな。

峯岸 みなみ(当時17歳 現チーム4キャプテン)
 17歳の若さでありながらも、栄光の結成メンバーの重要な1人ということで、驚くほど落ち着いた姿勢で撮影に臨んでいますね。そして、完璧にセリフを自分のものにして演じ切るその余裕! 他のベテランメンバーのみなさんも、演技で自分の空気を創っている点では全員そうなのですが、それにプラスして、峯岸さんは「ファンの喜ぶツボはどこか」というポイントを確実に意識して演じているふしがあって、そこがアイドルとして頭ひとつ抜きんでていると感じました。セリフ覚えの速さを褒められた時に、「ファンの人の名前とかも、人よりは早く覚えられるかもしんない。」とすかさず自己アピールを差し込む対応能力の的確さには恐れ入りました。プロサッカー選手並みの瞬発力! こわいなぁ、この人!!

宮澤 佐江(当時19歳 現 SKE48チームSリーダー兼 SNH48チームS2メンバー)
 うん、女の子が10人以上集まったら、いるいる、こんな子! といった感じで、照れ隠しやテンションを上げるためにビッグマウスキャラを炸裂させていく明るい方なんですね。「だからぁ、男の人を好きにさせればいいんでしょ? フられんのは得意だぜ!」とか「元気で、明るくて、うるさくて、バカで……きっと女の子らしいところはひとつもないと思うんですけど。」とか、大きく出る発言がありつつも、しっかり自虐ネタや謙虚なコメントも入れてまとめるところに、むしろ際だって女の子らしいかわいらしさと繊細さを見るような気がしました。横浜で自転車デート……実に楽しそうではあるんですが、真夏は暑そうだな~! 非常に彼女らしいカラッとしたシチュエーション選択がすばらしいですね。

米沢 瑠美(当時19歳 現在引退)
 いやいや、2人カラオケデートで20分も待たせちゃった女の子に告白はされないだろう! せっかく「カラオケ」といういかにもありがちでドキドキなシチュエーションだったのに、その設定はリアリティが著しく損なわれるよなぁ。ただ、ニコニコして撮影に臨みつつも、ディレクターとの打ち合わせで「45分は待てないなぁ。帰るかも。」と応える現実観や、セリフで「最近さぁ、なんか急に会ってくれるようになったよね……?」と聞くときの絶妙な流し目&微笑に、とてつもない女子度の高さをうかがいました。あと、撮影後のコメントの、「ゲームの米沢瑠美を泣かせないように、いい男になってね! うふふ……」という一言にもビビッときましたね。冗談交じりとはいえ、プレイヤーに「いい男になれよ」と発破をかけるメンバーなんか、他にいないよね!? なんか米沢さんは、本質的に「恋愛禁止のアイドル」とは相容れない要素を魅力の源泉にしているのではなかろうか……峯岸さんに通じるデンジャラスさを感じたぞ! 女よねぇ~。


ディスク3「チームB メイキング」(各メンバー約5~6分、合計82分)

石田 晴香(当時16歳 現チームK)
 苦手だ~! この人は、私とっても苦手です。たぶん世の中にはこういうキャラクターがたまらなく好きという方もいらっしゃるんでしょうが、これを「素直な性格」とか「隠し事ができない性分」と解釈できるほど私は寛容じゃないんだなぁ、としみじみ実感します。そ~と~気に入らない仕事だったんだろうな……そりゃ、観覧車の密室に3人の男と機材といっしょに詰め込まれてギュウギュウという状況での撮影がキツくないとは思いませんが、終了後のインタビューでそんなに露骨に態度を悪くしなくてもいいんじゃないだろうか。5分間程度とはいえ、他のどのメンバーにも邪魔されずに自分の好感度を上げる千載一遇のチャンスであるかもしれないこのメイキング映像を、そんなに無下にどぶに捨ててしまうのは、それは「正直」とは言わないよな。ただひたすら、性格の悪そうなしろうとさんにしか見えませんでした。

奥 真奈美(当時14歳 現在引退)
 ともかくなんというか、多くの日本人男性にとっては現実味が薄いと思われる容姿に恵まれた奥さんなんですが、それにさらに輪をかけてセリフ回しにも現実味が薄いため、なんかこの人の告白を OKしたら魂を抜き取られるみたいな、『世にも怪奇な物語』(ポオのやつです)とか『アウターゾ~ン』的なバッドエンドに誘導されそうで怖いわ! でも、この時期の彼女はひじょ~に年齢相応にすくすくと身体を大きくしていらっしゃったようで……ほんと、白人の血を引く女の子って、骨の太さがまるで違いますよね。脂肪とはにわかに信じがたい密度を持ってるんだ、全身が! 全力でぶつかってこられたら、「かわいい!」よりも「かってぇ!!」のほうでインパクトが大きいという。そりゃ戦争に負けるわけだわ……いや、イタリアとは戦ってなかったけど。奥さん、芸能生活お疲れさまでございました。

河西 智美(当時18歳 現在歌手)
 チームBのメイキング映像に入ってたて続けに「……プロか?」と疑問をいだいてしまう局面が多かったため、ふつうにゲームソフトの内容を理解した上で礼儀正しくセールストークを展開する河西さんにホッとしてしまいました。でも実際、こんなにソツのないしゃべりかたができる18歳なんて、そうそういないよね……それがアイドルとして正解なのかはわかりませんけども。確かに、「ま、半分くらいの人がフるわけじゃないですか、とものこと。」という彼女のコメントに、「どういう計算? AKB48ファンの半分はあなたのファンってこと!?」と思ってしまう瞬間もありましたが、その後にすかさず「だから、他の子(メンバー)を OKしようかなと思ってた人にも、『あぁ、ちょっと河西えらんじゃったな。』っていうふうに思えるように頑張りたいと思います。」と語り、他のメンバーのファンもこれを機会に自分の傘下に併呑してくれるわという野望をしっかり明言している度胸には感心しました。今回のゲームを確実に自分の成長の糧にしようとする努力はすばらしいですよね。プレイヤーの部屋に来ての告白……う~ん、小細工いっさいなしの直球勝負!! かわいいというよりも、すがすがしいな。

柏木 由紀(当時19歳 当時チームBキャプテン、現チームB兼 NMB48チームN)
 このゲームが発売された2010年の時点でのいわゆる「神7」に肉薄する勢いで猛追し、翌2011年版の「神7」入りを果たした柏木さんが登場。まぁ~ノリにノッてますね。この撮影で江の島の砂浜を舞台に、海の家のソファでくつろいでいた板野さんと、砂浜での灼熱の暑さもなんのそのと張りきっていた柏木さんの総選挙順位が逆転するというロケーション関係に、歴史の潮流を感じてしまいました。桶狭間か!? ともかく、このゲームソフトのムービーシーン撮影というお仕事を最も有効に利用したのは、アイドル稼業にだいぶ慣れてきたビッグネーム連でも、ただただ慣れない演技とハードスケジュールにあたふたする若手陣でもなく、そろそろ道を開けてもらおうかと、虎視眈々と先輩方の背中を見つめていた中堅層であったことをまざまざと思い知らされる、柏木さんの気合十分のプロモーション映像でした。勝利は、好機を逸しない者の頭上に輝く!

北原 里英(当時19歳 現チームK副キャプテン)
 雨の公衆電話ボックスか! すばらしいシチュエーションだなぁと感心していたら、単なる雨やみ待ちの時間つぶしでした。なんだよ! でも、雨上がりの駅前デート待ちという非常にウィットな背景設定で、雨のにおいが伝わってきそうな風情と、それにマッチした北原さんのやさしい演技はそうとうに相性が良かったですね。美人ですよね~。美人なのに、ご自分の容姿にはなんだか厳しいようで、自分の撮影映像を見るのに気が引けていたり、「やっぱ遠目のほうがね……良いのではないかという結論が出まして。」という謙虚を通り越して自虐的なコメントも寄せていたのが印象的でした。いやいやいや! あなたはそんなこと考えなくていいでしょ! どんどん前に出ていかなきゃ。もっと遠目になったほうがいい人は、あなたじゃないですよ。それにしても、雨の空気で重たくなったロングヘアって、すてきだなぁ。

小林 香菜(当時19歳 現チームK)
 いいひとだぁ~、絶対にいいひとだ、この方は! 「トイレ直後に告白」というひどすぎるシチュエーションもテンションひとつ下げずに快諾して、即撮影って……菩薩か!? さすがに台本を渡されたとくは絶句していたようですが。でもすごいですよ、指原さんのときにも触れましたが、そんなシナリオを提示しても彼女ならばショックを受けずにやり通すという信用を勝ち得ているんですもんね。かなりベテランのメンバーなのにこんな汚れ役を……小林さんに幸あれですよ、ほんとに! インタビュアーも絶賛してましたけど、これは演技力というよりも、台本の非現実性を「ひたすら陽気に告白」という非現実性でさらにコーティングして、「これほど異常に表裏のない人だったのならば、本当に排泄と告白も同一ベクトル線上にあるのかもしれない……」という現実性にメタモルフォーゼせしめている奇跡的なパワープレイへの賛辞だったのではないのでしょうか。そりゃあ付き合ってみたくなりますよ、そんなとてつもない価値観のお人。ちょっとこわいけど。

小森 美果(当時16歳 現在引退)
 「私プロなんでね! アヒル口の。」という前振りから見せたアヒル口が濃厚に森田まさのりチックだったという劇的なキスシーン撮影から始まりましたが、かわいくておもしろいなんて、最高ですよねぇ。こういう方が過酷なアイドル人生を歩むだなんて……それは16歳なんですから確実に失われていくものもあるわけで、子どもがだんだん大人になっていく過程を見るようなせつなさがありますよね。幸せになっていただきたいもんです。
 いいかげん、ここまで延々とメイキング映像を見続けてきますと、もう各メンバー以上に親しみがわいてくる、基本的に赤いキャップをかぶったディレクターと重たそうなステディカムスーツに上半身を固めたカメラマンのイケメンお兄さんコンビなのですが、プレイヤーがカメラ視点なわけですから、カメラマンの振り向きや移動はセリフこそないものの、間違いなく主人公の演技であるわけです。だから、ある意味ではディレクターさんも各メンバーに対するものの48倍の熱量をもってカメラマンに演技指導をしなければならないわけで、私はむしろ、小森さんの撮影の直前にぼそぼそっと打ち合わせていたディレクターとカメラマンの会話が聞きたいですよ、本気で! もうお笑いコンビとかプロ野球バッテリー並みのツーカーぶりですよね。お仕事、ご苦労様でございます!

佐藤 亜美菜(当時19歳 現在女優)
 告白を通り越しての「赤ちゃん」発言か……ご本人も苦笑交じりに語っていましたが、完全に結婚までをも視野に入れたセリフに、男はどう感じるのであろうか。うれしいはうれしいんだろうけど、まぁビックリはしますよね。また、鉢植えを持ち出して話し出すからね。鉢植えをプレゼントしちゃったプレイヤーの失策ということで、これは OKするしかないか! なんか、断ったらこわそうだし……眼力の人ですよね、亜美菜さんは。トークもやっぱりうまいなぁ。 AKB48を卒業しても自身がパーソナリティのラジオ番組が終わらないっていうのも、実力のほどを感じさせますよね。

佐藤 すみれ(当時16歳 現 SKE48チームE)
 なんか、ものすご~くメイキング映像慣れしてるというか、緊張してるとは口で言いながらもかなり堂々と仕事をこなしているのでそうとうな逸材だなと思ってたら、この方、小学1年生から子役として芸能界に入ってたのか! しかも、われらがモーニング娘。第8期オーディションで最終候補まで残ったんですと!? そりゃ告白シーンなんてお手のもんですわ……でも、私個人としましては、まったくソツなく、しかもかわいくやりおおせていたすみれさんよりも、むしろ校舎の屋上で彼女に告白を勧めていた、絵に描いたように典型的な「いっちゃいなよー!」隊の2人の女子高生のほうがよっぽど気になるのであった。あの方々は、どのような半生を経てこの役に選ばれたのであろうか!? 赤いキャップのディレクターさんにも、名もなき ADさんにも礼儀正しく挨拶をしたり指示を聞いたり……おじさんは応援してるぞ、がんばって仕事つづけろよー!!



 ……ということで、いよいよチームBまできてメンバーも残すところあと数名なのですが、またしても字数がかさんでまいりましたので、非常に中途半端なのですが、ここでまたお開きとさせていただきます!
 残る7名と全体のちょこちょこっとした感想は、まったじっかい~!!

 この忙しい盛りに、ブログ3回分もついやして何の感想文をつづっているんだ、おれは……
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