長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

明智小五郎にも帰ってきてほしいオレの事件簿  Vol. KIKI (奇々)

2012年07月31日 10時53分30秒 | ミステリーまわり
 どうもこんにちは~、そうだいです!

 っても~、資料が膨大すぎて完成までに月はまたぐは試験はまたぐわ!!
 恐るべし、明智小五郎……「金田一耕助よりは少ないだろ。」とタカをくくったわたくしが大間違いでした。

 というわけで、ドカドカ~ンと始めちゃうぞぉ~!


まさかこんなに膨大だったとは!? 明智小五郎ものメディア化作品リスト ~昭和・前アマチ期~
 ※江戸川乱歩による原作小説における明智小五郎の事件簿リストは、こちら!

映画『一寸法師』(1927年3月 監督・志波西果&直木三十五! 連合映画 モノクロ無声作品)
 初代・明智小五郎   …… 石井 漠(40歳 1962年没)
 ヒロイン・山野百合枝 …… 白川 珠子(?歳)
 ※江戸川乱歩のメディア化作品でも最古のもので、原作小説の連載終了直後に映画化されたという、メディアミックスのご先祖様
 ※最初の明智小五郎を演じた石井漠は俳優ではなくダンサーで、日本にモダンダンスを導入したパイオニア
 ※石井漠の唯一の映画主演作であり、同時に小説家・直木三十五の唯一の映画監督作でもある(脚本も直木による)

映画『一寸法師』(1948年8月 監督・市川哲夫 松竹 モノクロ作品)
 2代目・明智小五郎  …… 藤田 進(36歳 1990年没)
 ヒロイン・山野百合枝 …… 草島 競子(?歳)
 ※長編『一寸法師』(1926年)の2度目の映像化にして、江戸川乱歩作品の戦後初のメディア化
 ※『一寸法師』はこののち、1955年にも新東宝でリメイク(3度目)されているが、新東宝版の探偵役は明智小五郎ではなく「旗竜作」というオリジナルキャラクターになっている(ただし、旗探偵の助手のひとりに当時23歳の天知茂が!)

映画『氷柱の美女』(1950年3月 監督・久松静児 大映 モノクロ作品)
 3代目・明智小五郎  …… 岡 譲司(当時の芸名は岡譲二 47歳 1970年没)
 ヒロイン・畑柳倭文子 …… 美奈川 麗子(?歳)
 助手・村井文代    …… 相馬 千恵子(?歳)
 ※『吸血鬼』(1930年)の初映像化
 ※明智小五郎の妻・文代が、夫婦関係のない単なる助手「村井文代」に変更されている
 ※岡譲司は、小野寺昭、稲垣吾郎とともに「明智小五郎と金田一耕助の両方を演じた」数少ない俳優のひとり

ラジオドラマ『蜘蛛男』(1950年4月 NHK第2「灰色の部屋」全4回)
 4代目・明智小五郎 …… 菅井 一郎(42歳 1973年没)
 蜘蛛男       …… 江藤 勇(43歳 没年不詳)

映画『怪人二十面相 第1部・人か魔か?』『第2部・巨人対怪人』『第3部・怪盗粉砕』(1954年12月 監督・弓削進 松竹 モノクロ作品)
 5代目・明智小五郎  …… 若杉 英二(?歳)
 初代・怪人二十面相  …… 沼尾 鈞(きん ?歳)
 初代・小林芳雄    …… 細谷 一郎(?歳)
 初代・中村警部 …… 須賀 不二男(35歳 1998年没)
 ※内容は原作『怪人二十面相』(1936年)をもとにしたもので、『少年探偵団』シリーズ最初の映像化
 ※松竹の映画版『怪人二十面相』シリーズ第1作で、3部(44、42、42分)にわかれて公開された

映画『青銅の魔人 第1部』『第2部・謎の夜光時計』『第3部・恐怖の天守閣』『完結篇 決闘獅子ヶ島』(1954年12月~55年1月順次公開 監督・穂積利昌 松竹 モノクロ作品)
 5代目・明智小五郎  …… 若杉 英二(?歳)
 2代目・怪人二十面相 …… 諸角 啓二郎(?歳)
 2代目・小林芳雄   …… 高山 武男(?歳)
 初代・中村警部    …… 須賀 不二男(35歳)
 ※内容は原作『青銅の魔人』(1949年)をもとにしたもので、『少年探偵団』シリーズ2度目の映像化
 ※松竹の映画版『怪人二十面相』シリーズ最終作で、4部(32、28、28、38分)にわかれて公開された

ラジオドラマ『少年探偵団シリーズ』(1956年4月~57年12月 ニッポン放送 全450回)
 6代目・明智小五郎  …… 勝田 久(28歳 2012年7月現在もご存命!)
 3代目・怪人二十面相 …… 城 達也(24歳 1995年没)
 ※明智小五郎を演じた勝田久は、『鉄腕アトム』の「お茶の水博士」役としても有名
 ※「ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団……」の唄い出しで有名な主題歌

映画『少年探偵団 第1部・妖怪博士』『第2部・二十面相の悪魔』(1956年11月 監督・小林恒夫 東映 モノクロ作品)
 7代目・明智小五郎  …… 岡田 英次(36歳 1995年没)
 4代目・怪人二十面相 …… 南原 宏治(29歳 2001年没)
 3代目・小林芳雄   …… 小森 康充(?歳)
 2代目・中村警部   …… 神田 隆(38歳 1986年没)
 ※原作『妖怪博士』(1938年)を中心に『少年探偵団』シリーズの諸要素をミックスしたもので、『少年探偵団』シリーズ3度目の映像化
 ※東映の映画版『少年探偵団』シリーズ第1作で、前編(58分)と後編(55分)にわかれて公開された

映画『少年探偵団 第1部・かぶと虫の妖奇』『第2部・鉄塔の怪人』(1957年5月 監督・関川秀雄 東映 モノクロ作品)
 7代目・明智小五郎  …… 岡田 英次(36歳)
 5代目・怪人二十面相 …… 加藤 嘉(よし 44歳 1988年没)
 3代目・小林芳雄   …… 小森 康充(?歳)
 2代目・中村警部   …… 神田 隆(39歳)
 ※内容は『鉄塔王国の恐怖』(1954年)と『赤いカブトムシ』(1957年)をあわせたもので、『少年探偵団』シリーズ4度目の映像化
 ※東映の映画版『少年探偵団』シリーズで、前編(52分)と後編(61分)にわかれて公開された
 ※怪人二十面相だったなんて……おら、知らねぇ!!

映画『少年探偵団 第1部・二十面相の復讐』『第2部・夜光の魔人』(1957年8月 監督・石原均 東映 モノクロ作品)
 8代目・明智小五郎  …… 波島 進(34歳 没年不詳)
 6代目・怪人二十面相 …… 小牧 正英(45歳 2006年没)
 3代目・小林芳雄   …… 小森 康充(?歳)
 2代目・中村警部   …… 神田 隆(39歳)
 ※内容は『青銅の魔人』(1949年)と『夜光人間』(1958年)をあわせたもので、『少年探偵団』シリーズ5度目の映像化
 ※東映の映画版『少年探偵団』シリーズで、前編(34分)と後編(45分)にわかれて公開された
 ※怪人二十面相役の小牧正英は、小牧バレエ団の主宰者で日本のバレエ界の発展に絶大な貢献を果たしたダンサー

TV ドラマ『連続少年探偵劇 少年探偵団 ユキ夫の冒険』(1957年10~12月 日本テレビ 全10回 モノクロ作品)
 9代目・明智小五郎  …… 千葉 耕市(26歳 2001年没)
 ※毎週木曜日18:15~50に放送されていた子ども向けサスペンスアクション
 ※『少年探偵団』シリーズを原作としているシリーズ6度目の映像化らしいが、内容の詳細は不明

映画『少年探偵団 第1部・透明怪人』『第2部・首なし男』(1958年2~3月 監督・小林恒夫 東映 モノクロ作品)
 8代目・明智小五郎  …… 波島 進(35歳)
 7代目・怪人二十面相 …… 伊藤 雄之助(38歳 1980年没)
 4代目・小林芳雄   …… 山手 弘(?歳)
 2代目・中村警部   …… 神田 隆(39歳)
 ※原作は『透明怪人』(1951年)、『少年探偵団』シリーズ7度目の映像化
 ※東映の映画版『少年探偵団』シリーズで、前編(51分)と後編(56分)にわかれて公開された
 ※怪人二十面相役の伊藤雄之助は、昭和を代表する「怪優」として知られる

映画『蜘蛛男』(1958年6月 監督・山本弘之 大映 モノクロ作品)
 2代目・明智小五郎 …… 藤田 進(46歳)
 蜘蛛男       …… 岡 譲司(56歳)
 初代・波越善四郎警部   …… 松下 猛夫(?歳)
 ※『蜘蛛男』の初映像化
 ※明智小五郎役の藤田進は松竹版の『一寸法師』(1948年)に続いて2度目ということになるが、前作との関連は特にない
 ※蜘蛛男役を、かつて明智小五郎を演じたことのある岡譲司が担当しているあたりが、非常に「わかっている」キャスティング

TV ドラマ『怪人二十面相』(1958年11月~60年6月 日本テレビ 全81回 モノクロ作品)
 10代目・明智小五郎  …… 佐伯 徹(?歳)
 8代目・怪人二十面相 …… 原田 甲子郎(こうしろう ?歳)
 ※毎週日曜日19:30~20:00に放送されていた子ども向けサスペンスアクション
 ※『少年探偵団』シリーズの8度目の映像化

映画『少年探偵団 敵は原子潜航艇』(1959年3月 監督・若林栄二郎 東映 モノクロ作品)
 11代目・明智小五郎  …… 梅宮 辰夫(21歳)
 9代目・怪人二十面相 …… 植村 謙二郎(45歳 1979年没)
 5代目・小林芳雄   …… 清水 良太(?歳)
 2代目・中村警部   …… 神田 隆(40歳)
 ※東映の映画版『少年探偵団』シリーズの最終作(『少年探偵団』シリーズの9度目の映像化)
 ※原作は『海底の魔術師』(1955年)だが、月ロケットの開発をめぐる展開を加えて大幅なアレンジがほどこされている
 ※明智小五郎役の梅宮辰夫にとっての映画初主演作で、当時の年齢「21歳」は、明智小五郎を演じた俳優の中では史上最年少
 ※梅宮辰夫は、2012年7月現在に存命している「映像作品で明智小五郎を演じた俳優」の中で最長老ということになる。さすが辰ニィ!
 ※小林少年をのぞく少年探偵団のメンバーはオリジナルだが、「みっねら~る むっぎっちゃっ☆」でつとに有名な松島トモ子(13歳)が団員として出演している

TV ドラマ『少年探偵団』(1960年11月~63年9月 フジテレビ 全152回 モノクロ作品)
 12代目・明智小五郎  …… 富田 浩太郎(35歳 2004年没)
 13代目・明智小五郎  …… 若柳 敏三郎(?歳)
 10代目・怪人二十面相 …… 大平 透(31歳)
 5代目・小林芳雄   …… 清水 良太(?歳)
 ※毎週木曜日19:30~20:00に放送されていた子ども向けサスペンスアクション
 ※『少年探偵団』シリーズの10度目の映像化
 ※明智小五郎の役は、1961年11月に富田浩太郎から若柳敏三郎に交代している
 ※原作者の江戸川乱歩の存命中に制作された最後の映像化作品
 ※大平透は、2012年7月現在に存命している「映像作品で怪人二十面相を演じた俳優」の中で最長老ということになる。さすがホーマー!

舞台公演『黒蜥蜴』(1962年3月に東京・サンケイホールで上演)
 14代目・明智小五郎 …… 芥川 比呂志(32歳 1981年没)
 初代・女賊黒蜥蜴  …… 初代 水谷 八重子(56歳 1979年没)
 ※江戸川乱歩の小説をもとにした三島由紀夫による戯曲『黒蜥蜴』の初舞台化

ミュージカル映画『黒蜥蜴』(1962年3月 監督・井上梅次 大映 カラー作品)
 15代目・明智小五郎 …… 大木 実(38歳 2009年没)
 2代目・女賊黒蜥蜴 …… 京 マチ子(38歳 ご存命!)
 ※幾度となくメディア化された『黒蜥蜴』の初の映像化
 ※三島由紀夫の戯曲のミュージカル映画化で、楽曲の作詞も三島由紀夫が手がけている
 ※本作が、明智小五郎の登場する初のカラー映像作品となる

ラジオドラマ『月と手袋』(1963年12月 NHK第1「おたのしみ劇場」1回)
 16代目・明智小五郎 …… 桜井 英一(29歳 1997年没)

TV ドラマ『名探偵明智小五郎シリーズ 怪人四十面相』(1966年4~6月 日本テレビ 全13回 モノクロ作品)
 17代目・明智小五郎  …… 中田 博久(23歳)
 11代目・怪人二十面相 …… 天津 敏(あまつ びん 45歳 1979年没)
 ※毎週日曜日19:30~20:00に放送されていた子ども向けサスペンスアクション
 ※『少年探偵団』シリーズ11度目の映像化だが、時代設定は「1966年現在」になっており内容はほぼオリジナル
 ※タイトルから見て、1958~60年に放送された日本テレビ版『怪人二十面相』の正式な続編らしいが、キャスティングも一新されており具体的にどうつながっているのかは不明

TV アニメ『わんぱく探偵団』(1968年2~9月 フジテレビ 全35回 モノクロ作品)
 18代目・明智小五郎  …… 江角 英明(32歳 2004年没)
 12代目・怪人二十面相 …… 若山 弦蔵(35歳 もちろん現在もナイスヴォイスは健在!)
 6代目・小林芳雄   …… 菅野 直行(?歳)
 ※江戸川乱歩作品の初アニメ化
 ※『少年探偵団』シリーズを原作としているが、少年探偵団メンバーの設定は小林少年以外はアニメオリジナル
 ※1956~57年に放送されたラジオドラマ『少年探偵団シリーズ』の TVアニメ版という位置づけ(歌詞は違うが主題歌のメロディが同じ)
 ※アニメ制作は手塚治虫の「虫プロダクション」が担当したが、虫プロダクションが手がけた最初の「非手塚作品」シリーズだった

舞台公演『黒蜥蜴』(1968年4月~69年10月に東京・東横劇場など全国で上演)
 19代目・明智小五郎 …… 天知 茂(37~38歳 1985年没)
 3代目・女賊黒蜥蜴 …… 丸山 明宏(32~34歳)
 ※三島由紀夫の戯曲の舞台化で、天知茂と丸山明宏のキャスティングは三島由紀夫の意向による
 ※のちに TVドラマの世界で絶大な人気を誇ることとなる「天知小五郎」の最初の登場
 ※丸山明宏はこののち、1971年に「美輪明宏」に改名

ラジオドラマ『心理試験』(1968年7月 NHK第1「文芸劇場」1回)
 20代目・明智小五郎 …… 湯浅 実(ゆあさ まこと 33歳)

映画『黒蜥蜴』(1968年8月 監督・深作欣二 東映)
 21代目・明智小五郎 …… 木村 功(45歳 1981年没)
 3代目・女賊黒蜥蜴 …… 丸山 明宏(33歳)
 ※三島由紀夫の戯曲の映画化(脚本・成沢昌茂)で、『黒蜥蜴』2度目の映像化
 ※同じく主演・丸山明宏の舞台版が評判になっているさなかでの制作・公開となった

舞台公演『黒蜥蜴』(1969年7月に大阪・新歌舞伎座で上演)
 22代目・明智小五郎 …… 岡田 真澄(33歳 2006年没)
 3代目・女賊黒蜥蜴 …… 丸山 明宏(34歳)
 ※明智小五郎のキャスティング以外はおおむね天知茂版と同じ公演

舞台公演『黒蜥蜴』(1969年9月に長崎・長崎市公会堂で上演)
 23代目・明智小五郎 …… 勝部 演之(かつべ のぶゆき 31歳)
 3代目・女賊黒蜥蜴 …… 丸山 明宏(34歳)
 ※天知茂版の九州ツアーで、長崎公演のみ明智小五郎のキャスティングが変更されていた

映画『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』(1969年10月 監督・石井輝男 東映)
 15代目・明智小五郎  …… 大木 実(45歳)
 主人公・人見広介   …… 吉田 輝男(33歳)
 孤島の鬼・菰田丈五郎 …… 土方 巽(ひじかた たつみ 41歳 1986年没)
 ※もはや説明の必要もない日本を代表するカルト映画
 ※物語の大筋は長編『孤島の鬼』(1929年)と『パノラマ島奇談』(1926年)をあわせたものになっており、そこに長編『闇に蠢く』(1926年)や短編『人間椅子』『屋根裏の散歩者』(ともに1925年)『蟲』(1929年)などをブチこんだ、まさしく「江戸川乱歩全集」的作品……って、かたよりすぎ!!
 ※『孤島の鬼』に明智小五郎は登場しないが、『パノラマ島奇談』に明智に酷似したキャラクター「北見小五郎」が登場する
 ※明智小五郎役の大木実は過去にも映画で明智を演じたことはあったが(1962年版『黒蜥蜴』)、特に前作との関連はない

TVドラマシリーズ『江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎』(1970年4~12月 全26話 テレビ東京)
 24代目・明智小五郎 …… 溝口 舜亮(この作品のみ「滝俊介」名義 27歳)
 2代目・波越警部  …… 山田 吾一(37歳)
 7代目・小林芳雄  …… 岡田 裕介(20歳)
 波越亜沙子     …… 橘 ますみ(24歳)
 平井教授      …… 山村 聡(60歳)
1、『殺しの招待状』(4月放送、『蜘蛛男』2度目の映像化)
 蜘蛛男 …… 伊丹 十三(36歳 1997年没)
2、『首泥棒』(4月放送、『魔術師』の初映像化)
 魔術師 …… 日下 武史(39歳)
3、『黄金仮面』(4月放送、初映像化)
 怪盗黄金仮面 …… 団 次郎(現・時朗 21歳)
 ※この作品が団時朗の俳優デビュー作であり、『帰ってきたウルトラマン』(1971年)に主演する以前のキャリア
 ※団時朗はのちに TVドラマシリーズ『少年探偵団』(1975~76年)で怪人二十面相も演じている
4、『ダイヤモンドを喰う女』(4月放送、『黒蜥蜴』3度目の映像化)
 4代目・女賊黒蜥蜴 …… 野川 由美子(25歳)
5、『花嫁泥棒』(5月放送、『地獄の道化師』の初映像化)
 ヒロイン・野上あい子 …… 弓 恵子(33歳)
6、『吸血鬼』(5月放送、2度目の映像化)
 ヒロイン・畑柳倭文子 …… 佐々木 愛(26歳)
7、『二つの顔の男』(5月放送、『猟奇の果』の初映像化)
8、『貴女は覗かれている』(5月放送、『人間椅子』の初映像化)
 ヒロイン・女流作家佳子 …… 有沢 正子(33歳)
9、『緑衣の鬼』(6月放送、初映像化)
 ヒロイン・笹本芳枝 …… 城野 ゆき(25歳)
10、『屋根裏の散歩者』(6月放送、3度目の映像化)
 主人公・郷田三郎 …… フランキー堺(41歳 1996年没)
 ※『屋根裏の散歩者』はそれまでに TVと映画で1度ずつ映像化されているのだが、資料が散逸していて明智小五郎が登場しているのかどうかは判別できなかった
11、『復讐鬼・黄金仮面』(6月放送)
 ※脚本家・石森史郎による『黄金仮面』の完全オリジナル続編
12、『白髪鬼』(6月放送、3度目の映像化)
 白髪鬼・里見重之 …… 西村 晃(47歳 1997年没)
 ※江戸川乱歩の『白髪鬼』はそれまでに TVと映画で1度ずつ映像化されているのだが、明智小五郎が登場するのは本作が初
13、『一寸法師』(7月放送、4度目の映像化)
14、『人喰い人間』(7月放送、『化人幻戯』の初映像化)
 ヒロイン・大河原由美子 …… 工藤 明子(26歳)
15&16、『怪人二十面相 夜光人間』『怪人二十面相 悪魔の燈台』(7月放送、『少年探偵団』シリーズ12度目の映像化)
 13代目・怪人二十面相 …… 三上 真一郎(29歳)
 ※『怪人二十面相』(1936年)と『夜光人間』(1958年)をもとにしている
17、『夜の墓場に踊る美女』(7月放送、『夢遊病者の死』の初映像化)
 ヒロイン・黒沼妙子 …… 赤座 美代子(26歳)
18、『土曜日の夜 何かが起こる』(8月放送、『幽霊』の初映像化)
 ヒロイン・仁科冴子 …… 清水 まゆみ(30歳)
19、『呪いの黄金仮面』(8月放送)
 ※脚本家・石森史郎による『黄金仮面』、『復讐鬼・黄金仮面』の完全オリジナル続編
20、『恐怖の毒蜘蛛』(8月放送、『芋虫』の初映像化だが、むちゃくちゃオリジナル展開)
21、『復讐のメロディーが聞こえる』(8月放送、『悪霊』の初映像化)
 ヒロイン …… 二本柳 俊衣(としえ 26歳)
22、『怪人ゴリラ男』(9月放送、『恐怖王』の初映像化)
23、『紅い血をなめる女たち』(9月放送、『妖虫』の初映像化)
24、『拝啓地下帝国殿下』(9月放送、『大暗室』の初映像化)
 ヒロイン・星野真弓 …… 鮎川 いずみ(19歳)
25、『白昼夢 殺人金魚』(12月放送 『白昼夢』の初映像化だが、ものすんごいオリジナル展開)
最終話『白昼夢 殺人狂想曲』(12月放送 『指』の初映像化)

 ※テレビ東京で毎週土曜日21:00~56に放送されており、最終2話ぶんだけ、9月の放送終了後しばらくたった12月に、毎週金曜日21:00~56の時間帯で連続放送された
 ※江戸川乱歩作品初の本格的 TVシリーズで、時代設定は「1970年現在」に変更されている
 ※20代の若き犯罪学者・明智小五郎が、ちょい年下の小林青年と、波越警部の妹・亜沙子(本作のオリジナルキャラクター)とともに事件解決に挑むといった設定になっており、明智小五郎の師匠のようなかたちで、犯罪学の権威「平井教授」というオリジナルキャラクターが登場している(言うまでもなく、「平井」は江戸川乱歩の本姓)
 ※小林少年が「ある程度成長した、明智小五郎の青年助手」に設定された最初の作品
 ※小林青年役の岡田裕介は本作で俳優デビューを果たし1980年代まで活動していたが引退、そののちに映画プロデューサーをへて「東映社長」に就任し現在にいたっている。どどど、どんだけ~!?

TVドラマシリーズ『明智探偵事務所 江戸川乱歩全集より』(1972年4~10月 全25話 NHK総合 )
 25代目・明智小五郎 …… 夏木 陽介(36歳)
 8代目・小林芳雄  …… 西園寺 章雄(25歳)
 助手・吉川文代   …… 田村 奈巳(30歳)
1、『すりかえ大作戦』(4月放送、『黒蜥蜴』4度目の映像化)
 5代目・黒蜥蜴 …… 倍賞 美津子(25歳)
2、『親なし犬』(4月放送、『少年探偵団』シリーズ13度目の映像化)
 14代目・怪人二十面相 …… 米倉 斉加年(まさかね 37歳)
3、『十字路』(4月放送、2度目の映像化)
 ※江戸川乱歩の長編『十字路』は1956年に1度映画化されていたが、劇中に明智小五郎が登場するのは今回が初
4、『人殺し夢の酔醒め』(4月放送、短編『二廃人』の初映像化)
 ヒロイン …… 賀川 雪絵(現・ゆき絵 24歳)
5、『望郷怨歌』(5月放送、『妖虫』の2度目の映像化)
 ヒロイン・殿村京子 …… 小山 明子(37歳)
6、『遥かなる天女の栖(すみか)』(5月放送、長編『畸形の天女』の初映像化)
 ※原作となった『畸形の天女』は、1953年に連載された探偵小説家4名による連作小説で、江戸川乱歩はその第1回を執筆した
7、『二十七年の履歴書』(5月放送、脚本家・中島貞夫のオリジナル作品)
8、『倭文子(しずこ)、その愛』(5月放送、『吸血鬼』3度目の映像化)
 ヒロイン・畑柳倭文子 …… 甲 にしき(29歳)
9、『うらおもて心理試験』(5月放送、『心理試験』に『指環』『D坂の殺人事件』をあわせた内容)
 ※『心理試験』はそれまでに TVと映画で1度ずつ映像化されているのだが、明智小五郎が登場するのは本作が初
10、『呪われた手紙』(6月放送、長編『悪魔の紋章』の初映像化)
11、『三文王子の暗殺ロック』(6月放送、脚本家・福田善之のオリジナル作品)
12、『花を枯らしたのは誰』(6月放送、『幽霊』の2度目の映像化)
 ヒロイン・梅崎里枝 …… 加茂 さくら(34歳)
13、『ジョーカーを引いた男』(6月放送、『ペテン師と空気男』の初映像化)
 ヒロイン …… 赤座 美代子(28歳)
14、『二十面相只今参上』(7月放送、『少年探偵団』シリーズと短編『堀越捜査一課長殿』をあわせたもの)
15、『夏の恋』(7月放送、『陰獣』の初映像化)
 ヒロイン・小山田静子 …… 鰐淵 晴子(27歳)
16、『かみかけて命大切』(7月放送、詳細不明!)
17、『湖畔亭殺人事件』(7月放送、『湖畔亭事件』の初映像化)
18、『誰がために探偵はある』(7月放送、『一寸法師』の5度目の映像化)
 ヒロイン・山野百合枝 …… 弓 恵子(35歳)
19&20、『走れ二十面相 前編』『走れ二十面相 後編』(8月放送、『少年探偵団』シリーズと短編『兇器』をあわせたもの)
 ヒロイン …… 北林 早苗(28歳)
21、『二十面相の母』(8月放送、『少年探偵団』シリーズをもとにしている?)
 ヒロイン …… 清川 虹子(59歳 2002年没)
22&23、『塔は見ていた 前編』『塔は見ていた 後編』(9月放送、『幽鬼の塔』の初映像化)
 ヒロイン・川井奈津子 …… 佐藤 友美(31歳)
24、『月と手袋』(10月放送、『月と手袋』の2度目の映像化)
 ヒロイン …… 永野 路子(26歳)
 ※『月と手袋』は1962年に1度 TVドラマ化されているが、資料が散逸していて明智小五郎が登場しているのかどうかは判別できなかった
最終話『さらば青年探偵団』(10月放送 『押絵と旅する男』の2度目の映像化)
 ヒロイン …… 中山麻理(24歳)
 ※『押絵と旅する男』は1964年に1度映画化されていたが、劇中に明智小五郎が登場するのは今回が初

 ※ NHK総合で毎週月曜日20:00~21:00に放送されていた
 ※時代設定は「1970年代現在」に変更されており、明智小五郎とともに事件解決に乗り出す原作の「少年探偵団」は、佐藤蛾次郎(27歳 わかっ)や、俳優業を始めた直後の萩原健一(21歳 ショーケン!)などが名を連ねる「青年探偵団」に改変されていた(明智文代も、妻でない単なる助手「吉川文代」になっている)
 ※製作局が NHK大阪だったため、物語の舞台が大阪府になっている
 ※怪人二十面相役の米倉斉加年が別の役名でほぼレギュラー出演していたようなのだが、その役が「二十面相でない完全な別人」なのか「二十面相の変装」なのかは不明
 ※この作品は1972年に製作・放送されたのだが、当時の TV放送局には放送回の全てを記録保存する慣習がなかった(撮影に使用するフィルムが高価だった)ため、『明智探偵事務所』の映像資料はいっさい現存していない
 ※NHK の看板番組である大河ドラマでさえ、全話を保存するようになったのは1976年の『風と雲と虹と』からだった(ただし、前年1975年の『元禄太平記』は NHKでは保存されていなかったものの、主演の江森徹が自宅で全話録画していたため奇跡的に復活できた。グッジョブ!!)
 ※『江戸川乱歩全集より』とありながらも、大幅なアレンジが加えられたり脚本家のオリジナル作が入ったり、その上 NHKのゴールデンタイムに放送されるドラマという制約もあったためか、全体的に江戸川乱歩らしさが希薄だった本作は評判はかんばしくなかったらしい



 ……とまぁ、こんなわけでして。

 スタートしたばかりのこの時点で、明智小五郎25名、怪人二十面相14名、小林少年8名って!! 明智先生、もう「二十面相」超えちゃってます!
 複数回、明智小五郎を演じていらっしゃる俳優さんはボチボチいるんですが、まだまだ「明智といえばこのお方!」という顔は出てきていないようですねぇ。

 さぁ、次回はいよいよ、明智小五郎の大ブレイク期に突入~……する、予定。

 今回もアツくなりそうですね~。
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キャー、コゴロ~!!  名探偵・明智小五郎の事件簿そうざらえメモ

2012年07月27日 22時57分25秒 | ミステリーまわり
 みなさん、どうもこんちくわ!! そうだいでございます~。 

 いやはや、いろいろといそがしい。
 最近こればっかりしか言っていないような気がするんですが、いよいよほんとに忙しくなってきてまいりました!

 それなのに、こんな企画に手を出してしまうおのれの愚かしさよ……でも、これくらいしか息抜きになるものがないんですもの~。

 ところが、これから始まる一連の企画は、そんな息抜き程度でやれるサイズのものではまるでなかったのでありまする……明智先生、金田一先生にくらべたらそんなに作品数も多くないから大丈夫だろう、とナメてかかってしまってすみませんでした!!

 と、いうことで! これから数回は月をまたぎまして、名探偵・金田一耕助の1世代先輩にあたられるスーパー名探偵こと、明智小五郎神先生のいろいろをとりまとめてみたいと思っちゃいました!!

 ご存知の方も多いかとは思いますが、現在も絶大な人気をたもち続けておられる明智先生は、金田一先生に勝るとも劣らない数で多くの研究サイトがすでに林立しております。

 それなのに、なんでまたこの『長岡京エイリアン』でやっちゃうのかしら!?

 好きだからさ!! それ以外の何者でもないんですなぁ……やってしまえい!

 まず今回は、言わずと知れた原作者こと、偉大なる江戸川乱歩の筆によってつづられた「原典の中の明智小五郎」の事件簿をとりまとめてみたいと思います。前回の金田一先生の「原作版」事件簿と同じ趣向でございますね。 

 んじゃあいっきましょうかぁ~、スッタートぉ~い。



これにてアルティメット!? 名探偵・明智小五郎の事件簿


1、短編『D坂の殺人事件』(1924年9月 コゴロー24歳?)
 1925年1月掲載

2、短編『心理試験』(1925年2月 25歳)
 1925年2月掲載

3、短編『黒手組』(1925年3月 25歳)
 1925年3月掲載

4、短編『幽霊』(1925年5月 25歳)
 1925年5月掲載

5、短編『屋根裏の散歩者』(1925年8月 25歳)
 1925年8月掲載

ex.1、短編『お勢登場』(1926年7月)
 1926年7月に掲載された江戸川乱歩の独立短編
 ※原作に明智小五郎は登場しないが、1994~95年に公開された映画『RAMPO 』(監督・黛りんたろうとか奥山和由とか)で、主人公のお勢が明智小五郎と対決している

ex.2、短編『鏡地獄』(1926年10月)
 1926年10月に掲載された江戸川乱歩の独立短編
 ※原作に明智小五郎は登場しないが、2005年に公開されたオムニバス映画『乱歩地獄』の第2話『鏡地獄』(監督・実相寺昭雄)に明智小五郎が登場している(演・浅野忠信)

ex.3、中編『パノラマ島奇談』(1926年10月)
 1926年10~27年4月に連載された江戸川乱歩の独立中編だが、物語の終盤に明智小五郎に酷似した「北見小五郎」という人物が登場する
 ※原作に明智小五郎は登場しないが、のちに制作された多くの映像化作品で、北見小五郎に代わって明智小五郎が登場している

6、中編『一寸法師』(1926年12月 26歳)
 1926年12月~27年2月連載

ex.4、中編『陰獣(いんじゅう)』(1928年8月)
 1928年8~10月に連載された江戸川乱歩の独立中編
 ※原作に明智小五郎は登場しないが、のちに制作された多くの映像化作品に明智小五郎が登場している

7、長編『蜘蛛男』(1928年8月 28歳)
 1929年8月~30年6月に連載
 ※大人向け原作での明智小五郎の名サポーター・波越善四郎警部が初登場する作品

ex.5、短編『芋虫』(1929年1月)
 1929年1月に発表された江戸川乱歩の独立短編
 ※原作に明智小五郎は登場しないが、2005年に公開されたオムニバス映画『乱歩地獄』の第3話『芋虫』(監督・佐藤寿保)に明智小五郎が登場している(演・浅野忠信)

ex.6、長編『孤島の鬼』(1929年1月)
 1929年1月~30年2月に連載された江戸川乱歩の独立長編
 ※原作に明智小五郎は登場しないが、のちに制作された多くの映像化作品に明智小五郎が登場している

8、短編『何者』(1929年11月 29歳)
 1929年11~12月連載

9、長編『猟奇の果(はて)』(1930年1月 30歳)
 1930年1~12月連載

10、長編『魔術師』(1930年7月 30歳)
 1930年7月~31年5月連載
 ※のちに明智小五郎の妻となるヒロイン・文代が初登場する作品

11、長編『吸血鬼』(1930年8月 30歳)
 1930年9月~31年3月連載
 ※明智小五郎の永遠の「あやしい助手」こと、小林芳雄少年が初登場する作品

12、長編『黄金仮面』(1930年9月 30歳)
 1930年9月~31年10月連載

ex.7、長編『盲獣(もうじゅう)』(1931年2月)
 1931年2月~32年3月に連載された江戸川乱歩の独立長編
 ※原作に明智小五郎は登場しないが、本作などを元にして2004年に公開された映画『盲獣 VS 一寸法師』(監督・石井輝男)に明智小五郎が登場している(演・塚本晋也)

ex.8、長編『恐怖王』(1931年6月)
 1931年6月~32年5月に連載された江戸川乱歩の独立長編
 ※原作に明智小五郎は登場しないが、江戸川乱歩の没後の1972年8月に、探偵小説家・氷川瓏(ひかわ ろう 1913~89)によって子ども向けにリライトして出版された作品『恐怖の魔人王』に明智小五郎が登場している

ex.9、長編『蠢(うごめ)く触手』(1932年4月 32歳)
 1932年11月に刊行された書きおろし長編
 ※休筆中だった江戸川乱歩の原案をうけて、乱歩と親しかった小説家の岡戸武平(おかと ぶへい 1897~1986)が執筆した代作長編

13、長編『黒蜥蜴(くろとかげ)』(1934年1月 34歳)
 1934年1~11月連載

14、長編『人間豹』(1934年1月 34歳)
 1934年1月~35年5月連載

15、長編『怪人二十面相』(1936年1月 36歳)
 1936年1~12月に連載された、江戸川乱歩初のジュブナイルもの作品

16、長編『少年探偵団』(1937年1月 37歳)
 1937年1~12月に連載されたジュブナイルもの

17、長編『悪魔の紋章』(1937年10月 37歳)
 1937年10月~38年10月連載

18、長編『妖怪博士』(1938年1月 38歳)
 1938年1~12月に連載されたジュブナイルもの

19、長編『暗黒星』(1939年1月 39歳)
 1939年1~12月連載

20、長編『地獄の道化師』(1939年1月 39歳)
 1939年1~12月連載

21、長編『大金塊』(1939年1月 39歳)
 1939年1月~40年2月に連載されたジュブナイルもの

22、長編『青銅の魔人』(1949年1月 49歳)
 1949年1~12月に連載されたジュブナイルもの

23、長編『地底の魔術王』(1950年1月 50歳)
 1950年1~12月に連載されたジュブナイルもの

24、長編『透明怪人』(1951年1月 51歳)
 1951年1~12月に連載されたジュブナイルもの

25、長編『怪奇四十面相』(1952年1月 52歳)
 1952年1~12月に連載されたジュブナイルもの

26、長編『宇宙怪人』(1953年1月 53歳)
 1953年1~12月に連載されたジュブナイルもの

27、長編『鉄塔王国の恐怖』(1954年1月 54歳)
 1954年1~12月に連載されたジュブナイルもの

28、短編『兇器』(1954年6月 54歳)
 1954年6~7月連載

29、長編『化人幻戯(けにんげんぎ)』(1954年11月 54歳)
 1954年11月~55年10月連載

30、長編『影男』(1955年1月 55歳)
 1955年1~12月連載
 ※大人向け長編としては明智小五郎最後の事件

31、長編『海底の魔術師』(1955年1月 55歳)
 1955年1~12月に連載されたジュブナイルもの

32、長編『灰色の巨人』(1955年1月 55歳)
 1955年1~12月に連載されたジュブナイルもの

33、短編『月と手袋』(1955年4月 55歳)
 1955年4月掲載
 ※大人向け短編としては明智小五郎最後の事件

34、中編『黄金の虎』(1955年9月 55歳)
 1955年9~12月に連載されたジュブナイルもので、「魔法博士3部作」の第1作(翌年の長編『魔法博士』とは無関係)

ex.10、長編『十字路』(1955年11月)
 1955年11月に刊行された江戸川乱歩の書きおろし独立長編
 ※原作に明智小五郎は登場しないが、江戸川乱歩の没後の1972年7月に、作家・氷川瓏によって子ども向けにリライトして出版された作品『死の十字路』に明智小五郎が登場している
 ※乱歩の『十字路』は、探偵小説研究家・渡辺剣次(1919~76)の原案をもとに執筆されたものだったが、渡辺はリライトした氷川の実弟

35、短編『天空の魔人』(1956年1月 56歳)
 1956年1月に掲載されたジュブナイルもの

36、長編『魔法博士』(1956年1月 56歳)
 1956年1~12月に連載されたジュブナイルもの(怪人二十面相でない怪人物が活躍する「魔法博士3部作」とは無関係)

37、長編『黄金豹』(1956年1月 56歳)
 1956年1~12月に連載されたジュブナイルもの

ex.11、長編『赤い妖虫』(1956年2月 56歳)
 江戸川乱歩の独立長編『妖虫』(1933年12月~34年10月連載)をもとにして、作家・氷川瓏によって子ども向けにリライトして1956年2月に刊行された長編
 ※原作『妖虫』に明智小五郎は登場しないが、リライト版やその後の多くの映像化作品には明智小五郎が登場している

ex.12、長編『大暗室』(1956年4月 56歳)
 江戸川乱歩の独立長編『大暗室』(1936年12月~38年6月連載)をもとにして、作家・武田武彦(1919~98)によって子ども向けにリライトして1956年4月~57年3月に連載された長編
 ※乱歩の『大暗室』に明智小五郎は登場しないが、リライト版やその後の多くの映像化作品には明智小五郎が登場している

38、中編『まほうやしき』(1957年1月 57歳)
 1957年1~3月に連載されたジュブナイルもので、「魔法博士3部作」の第2作

39、長編『魔人ゴング』(1957年1月 57歳)
 1957年1~12月に連載されたジュブナイルもの

40、長編『サーカスの怪人』(1957年1月 57歳)
 1957年1~12月に連載されたジュブナイルもの

41、長編『魔法人形』(1957年1月 57歳)
 1957年1~12月に連載されたジュブナイルもの

42、長編『赤いカブトムシ』(1957年4月 57歳)
 1957年4月~58年3月に連載されたジュブナイルもので、「魔法博士3部作」の最終作

43、長編『夜光人間』(1958年1月 58歳)
 1958年1~12月に連載されたジュブナイルもの

44、長編『奇面城の秘密』(1958年1月 58歳)
 1958年1~12月に連載されたジュブナイルもの

45、長編『搭上の奇術師』(1958年1月 58歳)
 1958年1~12月に連載されたジュブナイルもの

ex.13、長編『緑衣(りょくい)の鬼』(1958年3月 58歳)
 江戸川乱歩の独立長編『緑衣の鬼』(1936年1月~37年2月連載)をもとにして、作家・氷川瓏によって子ども向けにリライトして1958年3月に刊行された長編
 ※乱歩の『緑衣の鬼』に明智小五郎は登場しないが、リライト版やその後の多くの映像化作品には明智小五郎が登場している
 ※乱歩の『緑衣の鬼』は、イギリスの探偵小説家・イーデン=フィルポッツの長編『赤毛のレドメイン家』(1922年)を翻案した作品

46、長編『鉄人Q』(1958年4月 58歳)
 1958年4月~59年3月に連載されたジュブナイルもの

ex.14、長編『三角館の恐怖』(1958年7月 58歳)
 江戸川乱歩の独立長編『三角館の恐怖』(1951年1~12月連載)をもとにして、作家・氷川瓏によって子ども向けにリライトして1958年7月に刊行された長編
 ※乱歩の『三角館の恐怖』に明智小五郎は登場しないが、リライト版やその後の多くの映像化作品には明智小五郎が登場している
 ※乱歩の『三角館の恐怖』は、アメリカの探偵小説家ロジャー=スカーレットの長編『エンジェル家の殺人』(1932年)を翻案した作品

47、長編『ふしぎな人』(1958年8月 58歳)
 1958年8月~59年12月に連載されたジュブナイルもの

ex.15、短編『二銭銅貨』(1958年9月 58歳)
 江戸川乱歩のデビュー短編『二銭銅貨』(1923年4月掲載)をもとにして、作家・氷川瓏によって子ども向けにリライトして1958年9月に刊行(リライト版『暗黒星』に併録)された短編
 ※乱歩の『二銭銅貨』に明智小五郎は登場しないが、リライト版に明智小五郎が登場している

48、長編『仮面の恐怖王』(1959年1月 59歳)
 1959年1~12月に連載されたジュブナイルもの

ex.16、長編『幽鬼の塔』(1959年2月 59歳)
 江戸川乱歩の独立長編『幽鬼の塔』(1939年4月~40年3月連載)をもとにして、作家・氷川瓏によって子ども向けにリライトして1959年2月に刊行された長編
 ※乱歩の『幽鬼の塔』に明智小五郎は登場しないが、リライト版に明智小五郎が登場している
 ※乱歩の『幽鬼の塔』は、ベルギーの探偵小説家・ジョルジュ=シムノンの「ジュール=メグレ警部シリーズ」の第3長編『サン・フォリアン寺院の首吊り男』(1930年)を翻案した作品

ex.17、長編『時計塔の秘密』(1959年8月 59歳)
 江戸川乱歩の独立長編『幽霊塔』(1937年3月~38年4月連載)をもとにして、作家・氷川瓏によって子ども向けにリライトして1959年8月に刊行された長編
 ※原作『幽霊塔』に明智小五郎は登場しないが、リライト版に明智小五郎が登場している
 ※乱歩の『幽霊塔』は、イギリスの探偵小説家・アリス=マリエル=ウィリアムスンの長編『灰色の女』(1898年)を、日本の小説家・黒岩涙香(るいこう)が翻案した長編『幽霊塔』(1899~1900年連載)を、さらにリメイクした作品。ややこしっ

49、中編『かいじん二十めんそう(『たのしい二年生』連載版)』(1959年10月 59歳)
 1959年10月~60年3月に連載されたジュブナイルもの

50、長編『かいじん二十めんそう(『たのしい一年生』連載版)』(1959年11月 59歳)
 1959年11月~60年12月に連載されたジュブナイルもの

51、長編『電人M』(1960年1月 60歳)
 1960年1~12月に連載されたジュブナイルもの

52、長編『二十面相の呪い』(1960年4月 60歳)
 1960年4月~61年3月に連載されたジュブナイルもの

53、長編『怪人と少年探偵』(1960年9月 60歳)
 1960年9月~61年9月に連載されたジュブナイルもの

54、長編『空飛ぶ二十面相』(1961年1月 61歳)
 1961年1~12月に連載されたジュブナイルもの

55、長編『黄金の怪獣』(1962年1月 62歳)
 1962年1~12月に連載されたジュブナイルもので、1965年に70歳で逝去した江戸川乱歩の遺作
 ※名探偵・明智小五郎と少年探偵団(と怪人二十面相)の最後の事件


以上、全55事件(ex.もあわせると72事件)中、
・大事件(長編)…… 41事件(74%、ex.もあわせると73% )

・繁忙期 …… 25歳(1925年)~60歳(1960年)
       ※ただし、太平洋戦争前後の1940~48年には活動の記録がない



 まぁ、「長編だから大事件」っていったって、戦後のほとんどの長編は「変質者と少年のポルカ」なんですけどね。やめないでけれ~!

 雑感は、つづり始めたらきりがないので、涙をのんで今回は割愛。


 さぁ次回は、「メディア化された明智小五郎の事件簿」だど~。

 やれるか? やれんのか!?
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キャー、コースケ~!!  名探偵・金田一耕助の事件簿そうざらえメモ

2012年07月23日 22時35分34秒 | ミステリーまわり
 はへはへ~。どうもこんばんは、そうだいでございます。

 暑い……暑さがまた戻ってきましたよ。試験勉強もいいかげんに佳境に入ってきたんですが、いっしょに気温までヒートアップしてきちゃったもんだからしょうがねぇ! 昭和うまれの扇風機ひとつで乗り切っていけるかどうか……やるしかねぇか!!

 ということで、世間は『27時間テレビ』だとか『バットマン ライジング』だの、『へルタースケルター』だの真野恵里菜さんのハロー!プロジェクト卒業宣言だのと気になる話題は山ほどあるらしいのですが、今現在のわたくしは完全に隔絶した生活をあゆんでいるような、いないような。

 んも~決めたぞ! 今年の夏の私のキャッチフレーズ。

「ロンドンオリンピック? ぜんっぜんおぼえてないや……夏」

 これだな!!
 非国民よばわりされてもやむなし。今年の夏はわき目も降らずに試験勉強&仕事探し&今のお仕事に邁進させていただきたいと思い……あれ!? もうこの時点でわき目ふりまくりですか。

 試験の本番までもう2週間きってるんでねぇ。死なない程度に無理するぞ~っと。


 さてさて、今回のお題はといいますと、人間、極限状態に近づくと走馬灯のようにめぐりめぐる過去の記憶に逃避してしまうということで、私が子どものころから大好きな名探偵・金田一耕助の事件簿をまとめただけのメモをつづっていきたいと思いま~っす☆

 コースケ先生関連の話題はこの前にもさんざんやったばかりだったんですけども、今回は映像化作品という視点からはちょっとはずれまして、小説家・横溝正史が執筆した「原典」の時間軸にのっとった金田一先生の活動歴をならべてみようというこころみであります。
 そういうことなんで、時間はそれらの作品が執筆されたときのものではなく、「作中の事件が発生したとされる」時間にのっとっていますので、あしからず。

 じゃあもう、暑いからさっさといっちゃおうぜぇ~!!



これでコンプリート!? 名探偵・金田一耕助の事件簿

ex.1、中編『仮面劇場』(1933年6月)
 1938年10~11月に連載された横溝正史の「由利麟太郎もの」中編
 ※1978年9~10月に放送された『横溝正史シリーズⅡ』の第8作(主演・古谷一行)で、金田一耕助ものに改変されてドラマ化

ex.2、中編『真珠郎』(1936年7月)
 1936年10月~37年2月に連載された横溝正史の「由利麟太郎もの」中編
 ※1978年5月に放送された『横溝正史シリーズⅡ』の第2作(主演・古谷一行)など、金田一耕助ものに改変されて3度ドラマ化されている

1、長編『本陣殺人事件』(1937年11月 コースケ24歳)
 1946年4~12月連載
 1975年の映画『本陣殺人事件』(監督・高林陽一 ご冥福をお祈りします……)など、5度映像化されている

ex.3、短編『木乃伊(ミイラ)の花嫁』(1938年3月)
 1938年3月に掲載された横溝正史の「由利麟太郎もの」短編
 ※1983年8月に放送された『名探偵金田一耕助の傑作推理 ミイラの花嫁』(主演・古谷一行)で、金田一耕助ものに改変されてドラマ化

ex.4、短編『悪魔の家』(1938年6月)
 1938年6~7月に連載された横溝正史の独立短編
 ※1995年9月に放送された『名探偵金田一耕助の傑作推理 悪魔の花嫁』(主演・古谷一行)で、金田一耕助ものに改変されてドラマ化

ex.5、短編『薔薇王』(1939年4月)
 1939年4~5月に連載された横溝正史の独立短編
 ※1989年10月に放送された『名探偵金田一耕助の傑作推理 薔薇王』(主演・古谷一行)で、金田一耕助ものに改変されてドラマ化

2、短編『百日紅(さるすべり)の下にて』(1946年9月 33歳)
 1951年1月掲載

3、長編『獄門島』(1946年10月 33歳)
 1947年1月~48年10月連載
 1977年の映画『獄門島』(監督・市川崑)など、6度映像化されている

4、短編『車井戸はなぜ軋(きし)る』(1946年10月 33歳)
 1949年1月に掲載された独立短編を、1955年5月に金田一耕助ものに改稿
 2002年4月に『名探偵金田一耕助の傑作推理 水神村伝説殺人事件』(主演・古谷一行)として1度だけドラマ化されている

5、短編『黒蘭姫』(1946年11月 33歳)
 1948年1~3月連載
 1958年3月に『金田一耕助探偵物語 黒百合姫』(主演・高塔正翁)として1度だけラジオドラマ化されている

6、短編『蝙蝠と蛞蝓(こうもりとなめくじ)』(1946年11月 33歳)
 1947年9月掲載

7、短編『暗闇の中の猫』(1946年11月 33歳)
 1947年3~6月に連載された独立短編を、1956年6月に金田一耕助ものに改稿

ex.6、短編『空蝉処女(うつせみおとめ)』(1946年?月)
 1946年?月に発表された横溝正史の独立短編
 1991年2月に放送された『名探偵金田一耕助の傑作推理 魔女の旋律』(主演・古谷一行)で、金田一耕助ものに改変されてドラマ化

8、中編『黒猫亭事件』(1947年3月 34歳)
 1947年12月掲載
 1978年9月に『横溝正史シリーズⅡ』(主演・古谷一行)の第7作として1度だけドラマ化されている

9、中編『殺人鬼』(1947年4月 34歳)
 1947年12月~48年2月連載
 1988年7月に『名探偵金田一耕助の傑作推理 殺人鬼』(主演・古谷一行)として1度だけドラマ化されている

10、長編『悪魔が来りて笛を吹く』(1947年9月 34歳)
 1951年11月~53年11月連載
 1979年の映画『悪魔が来りて笛を吹く』(監督・斎藤光正)など、6度映像化されている

11、長編『八つ墓村』(1948年5月 35歳)
 1949年3月~51年1月連載
 1977年の映画『八つ墓村』(監督・野村芳太郎)など、9度映像化されている
 ※『八つ墓村』の「9度」は横溝正史作品の中でも最多の映像化回数

ex.7、長編『怪獣男爵』(1948年8月)
 1948年11月刊行の書きおろしジュブナイル長編『怪獣男爵』
 ※横溝正史のジュブナイルものの代表作「怪獣男爵シリーズ」の第1作
 ※小説は小山田博士と等々力警部が活躍する独立長編だったが、1989年2月にリリースされたオーディオドラマ『金田一耕助の冒険2 怪獣男爵』(唯一のメディア化)では金田一耕助ものに改変(主演・神谷明)

12、短編『女怪(じょかい)』(1948年9月 35歳)
 1950年9月掲載
 1996年4月に放送されたドラマ『横溝正史シリーズ 女怪』(主演・片岡鶴太郎)など、2度ドラマ化されている

13、長編『犬神家の一族』(1948年10月 35歳)
 1950年1月~51年5月連載
 1976年の映画『犬神家の一族』(監督・市川崑)など、8度映像化されている
 ※8度の映像化は、横溝正史作品の中で最多の『八つ墓村』に次ぐ映像化回数

14、長編『夜歩く』(1948年10月 35歳)
 1948年2月~49年12月連載
 1978年7~8月に放送された『横溝正史シリーズⅡ』(主演・古谷一行)の第5作など、2度ドラマ化されている

ex.8、『夜光怪人』(1949年2月)
 1949年5月~50年5月に連載された横溝正史の「由利麟太郎もの」ジュブナイル長編
 ※1976年10月の朝日ソノラマ文庫からの出版にあたり、横溝正史の承諾を得て小説家・山村正夫が金田一耕助ものに改変している

15、短編『人面瘡』(1949年7月 36歳)
 1949年12月に掲載された独立短編を、1960年7月に金田一耕助ものに改稿
 2003年3月に『名探偵金田一耕助の傑作推理 人面瘡』(主演・古谷一行)として1度だけドラマ化されている
 
16、中編『死仮面』(1949年10月 36歳)
 1949年5~12月連載
 1986年5月に『名探偵金田一耕助の傑作推理 死仮面』(主演・古谷一行)として1度だけドラマ化されている

17、短編『鴉』(1949年11月 36歳)
 1951年7月掲載
 1996年3月に『名探偵金田一耕助の傑作推理 黒い羽根の呪い』(主演・古谷一行)として1度だけドラマ化されている

ex.9、『カルメンの死』(1950年1月)
 1950年1~3月に連載された横溝正史の「由利麟太郎もの」最後の中編
 ※1958年2~3月に放送されたラジオドラマ『金田一耕助探偵物語 カルメンの死』(唯一のメディア化)では金田一耕助ものに改変(主演・高塔正翁)

18、長編『大迷宮』(1950年8月 37歳)
 1951年1~12月に連載されたジュブナイル「怪獣男爵シリーズ」の第2作
 ※金田一耕助が横溝正史のジュブナイル作品に登場した最初の事件(シリーズ前作の『怪獣男爵』には出ていない)

19、長編『黄金の指紋』(1950年8月 37歳)
 1951年6月~52年8月に連載されたジュブナイル「怪獣男爵シリーズ」の最終作

20、長編『迷路荘の惨劇』(1950年10月 37歳)
 1956年8月掲載の短編を1975年5月に長編化
 1978年10月に放送された『横溝正史シリーズⅡ』(主演・古谷一行)の第9作など、2度ドラマ化されている

21、長編『仮面城』(1951年4月 38歳)
 1951年4月~52年3月に連載されたジュブナイルもの

22、長編『女王蜂』(1951年5月 38歳)
 1951年6月~52年5月連載
 1978年の映画『女王蜂』(監督・市川崑)など、7度映像化されている

23、長編『金色の魔術師』(1951年7月 38歳)
 1952年1~12月に連載されたジュブナイルもの

24、短編『燈台島の怪』(1951年7月 38歳)
 1952年8月に掲載されたジュブナイルもの

25、中編『幽霊座』(1952年7月 39歳)
 1952年11~12月連載
 1997年1月に『名探偵金田一耕助の傑作推理 幽霊座』(主演・古谷一行)として1度だけドラマ化されている

26、短編『湖泥(こでい)』(1952年10月 39歳)
 1953年1月掲載
 1996年1月に『名探偵金田一耕助の傑作推理 呪われた湖』(主演・古谷一行)として1度だけドラマ化されている

27、短編『睡(ねむ)れる花嫁』(1952年11月 39歳)
 1954年11月掲載

28、短編『黄金の花びら』(1953年1月 40歳)
 1953年1~2月に連載されたジュブナイルもの

29、短編『花園の悪魔』(1953年4月 40歳)
 1954年2月掲載
 1958年1月に『金田一耕助探偵物語 花園の黒蝶』(主演・高塔正翁)として1度だけラジオドラマ化されている

30、長編『不死蝶』(1953年7月 40歳)
 1953年6~11月に連載された中編を1958年3月に長編化
 1978年7月に放送された『横溝正史シリーズⅡ』(主演・古谷一行)の第4作など、2度ドラマ化されている

31、短編『生ける死仮面』(1953年8月 40歳)
 1953年10月掲載

※この時期・1953年8月に、金田一耕助は自身にとっての最後の事件となる『病院坂の首縊りの家』事件の発端にかかわることとなる

32、長編『幽霊男』(1954年1月 41歳)
 1954年1~10月連載
 1954年の映画『幽霊男』(監督・小田基義)で1度だけ映像化されている

ex.10、『蝋面博士』(1954年1月)
 1954年1~12月に連載された横溝正史の「三津木俊助もの」ジュブナイル長編
 ※1976年11月の朝日ソノラマ文庫からの出版にあたり、横溝正史の承諾を得て小説家・山村正夫が金田一耕助ものに改変している

33、短編『堕ちたる天女』(1954年5月 41歳)
 1954年6月掲載

34、短編『廃園の鬼』(1954年5月 41歳)
 1955年6月掲載
 1958年1~2月に『金田一耕助探偵物語 廃園の鬼』(主演・高塔正翁)として1度だけラジオドラマ化されている

35、長編『迷路の花嫁』(1954年5月 41歳)
 1954年4~9月連載
 1993年9月に『名探偵金田一耕助の傑作推理 迷路の花嫁』(主演・古谷一行)として1度だけドラマ化されている

36、短編『蜃気楼島の情熱』(1954年9月 41歳)
 1954年9月掲載

37、短編『首』(1954年10月 41歳)
 1949年7月に掲載された独立短編を、1955年5月に金田一耕助ものに改稿
 1984年3月に『名探偵金田一耕助の傑作推理 獄門岩の首』(主演・古谷一行)として1度だけドラマ化されている

38、長編『悪魔の手毬唄』(1955年7月 42歳)
 1957年8月~59年1月連載
 1977年の映画『悪魔の手毬唄』(監督・市川崑)など、7度映像化されている

39、長編『吸血蛾』(1955年9月 42歳)
 1955年1~12月連載
 1956年の映画『吸血蛾』(監督・中川信夫)など、2度映像化されている

40、長編『三つ首塔』(1955年9月 42歳)
 1955年1~12月連載
 1956年の映画『三つ首塔』(監督・小林恒夫と小沢茂弘の共同)など、5度映像化されている

41、短編『蝋美人』(1956年3月 43歳)
 1956年2月掲載
 2004年4月に、内容を別の短編『雌蛭』(1960年9月掲載)と組み合わせた作品『名探偵金田一耕助の傑作推理 白蝋の死美人』(主演・古谷一行)が1度だけドラマ化されている

42、短編『猟奇の始末書』(1956年3月 43歳)
 1962年8月掲載

43、長編『毒の矢』(1956年3月 43歳)
 1956年1月に掲載された短編を同年3月に長編化

44、短編『黒い翼』(1956年4月 43歳)
 1956年2月掲載

45、長編『死神の矢』(1956年5月 43歳)
 1956年3月に掲載された短編を同年5月に長編化
 1989年3月に『名探偵金田一耕助の傑作推理 死神の矢』(主演・古谷一行)として1度だけドラマ化されている

46、短編『夢の中の女』(1956年7月 43歳)
 1956年7月掲載

47、短編『鏡が浦の殺人』(1956年8月 43歳)
 1957年8月掲載

48、短編『傘の中の女』(1956年8月 43歳)
 1957年6~7月連載

49、短編『七つの仮面』(1956年9月 43歳)
 1948年2月に掲載された短編を1956年8月に金田一耕助ものに改稿

50、短編『女の決闘』(1956年9月 43歳)
 1957年1~3月に連載された短編『憑かれた女』を1961年1月に改稿

51、短編『華やかな野獣』(1956年10月 43歳)
 1956年12月掲載

52、短編『霧の中の女』(1956年10月 43歳)
 1957年1月掲載
 1957年3月に『月曜日の秘密 霧の中の女』(主演・岡譲二)として1度だけドラマ化されている

53、中編『トランプ台上の首』(1956年11月 43歳)
 1957年1月に掲載された短編を1959年2月に中編化
 2000年10月に、内容を中編『黒猫亭事件』と組み合わせた作品『名探偵金田一耕助の傑作推理 トランプ台上の首』(主演・古谷一行)が1度だけドラマ化されている

54、短編『泥の中の女』(1957年2月 44歳)
 1957年2~3月に連載された短編『泥の中の顔』を1960年9月に改稿
 1957年3月に『月曜日の秘密 泥の中の顔』(主演・岡譲二)として1度だけドラマ化されている

55、短編『洞(ほら)の中の女』(1957年3月 44歳)
 1958年2月掲載

56、短編『鞄(かばん)の中の女』(1957年4月 44歳)
 1957年4月掲載
 1957年4月に『月曜日の秘密 カバンの中の女』(主演・岡譲二)として1度だけドラマ化されている

57、短編『鏡の中の女』(1957年5月 44歳)
 1957年5月掲載

58、長編『魔女の暦』(1957年5月 44歳)
 1956年5月に掲載された短編を1958年8月に長編化

59、中編『貸しボート十三号』(1957年7月 44歳)
 1957年8月に掲載された短編を1958年9月に中編化

60、短編『赤の中の女』(1957年8月 44歳)
 1929年8月に掲載された独立短編を1958年5月に金田一耕助ものに改稿

61、短編『檻(おり)の中の女』(1957年8月 44歳)
 1957年8月に掲載

62、長編『支那扇(しなおうぎ)の女』(1957年8月 44歳)
 1957年12月に掲載された短編を1960年7月に長編化
 1964年2月に1度だけラジオドラマ化されている(主演・北村和夫)

63、長編『悪魔の降誕祭』(1957年12月 44歳)
 1958年1月に掲載された短編を同年7月に長編化
 1988年12月にリリースされたオーディオドラマ『金田一耕助の冒険 悪魔の降誕祭』(主演・神谷明)ほか、原型となった短編版も1度ラジオドラマ化されている

64、短編『柩(ひつぎ)の中の女』(1958年3月 45歳)
 1958年3月に掲載
 1958年4月に『金田一耕助探偵物語 壺を持つ女』(主演・高塔正翁)として1度だけラジオドラマ化されている

65、短編『瞳の中の女』(1958年5月 45歳)
 1958年6月に掲載
 1979年のセルフパロディ映画『金田一耕助の冒険』(監督・大林宣彦)の前日譚にあたる

66、短編『火の十字架』(1958年5月 45歳)
 1958年4~6月に連載

67、短編『薔薇の別荘』(1958年5月 45歳)
 1958年6~9月に連載
 1998年3月に、内容を独立短編『神楽太夫』(1946年3月)と組み合わせた作品『名探偵金田一耕助の傑作推理 悪魔の仮面』(主演・古谷一行)が1度だけドラマ化されている

68、長編『悪魔の寵児』(1958年6月 45歳)
 1958年7月~59年7月に連載

69、短編『香水心中』(1958年8月 45歳)
 1958年11月に掲載
 1987年5月に『名探偵金田一耕助の傑作推理 香水心中』(主演・古谷一行)として1度だけドラマ化されている

70、中編『霧の山荘』(1958年9月 45歳)
 1958年11月に掲載された短編を1961年1月に中編化
 1985年5月に『名探偵金田一耕助の傑作推理 霧の山荘』(主演・古谷一行)として1度だけドラマ化されている

71、長編『迷宮の扉』(1958年10月 45歳)
 1958年1~12月に連載されたジュブナイルもの

72、長編『壺中美人(こちゅうびじん)』(1959年5月 46歳)
 1957年9月に掲載された短編『壺の中の女』を1960年9月に長編化

73、長編『スペードの女王』(1959年7月 46歳)
 1958年6月に掲載された短編『ハートのクイン』を1960年6月に長編化

74、長編『扉の影の女』(1959年12月 46歳)
 1958年12月に掲載された短編『扉の中の女』を1961年1月に長編化
 1958年5月に、原型となった短編版が『金田一耕助探偵物語 扉の中の女』(主演・高塔正翁)として1度だけラジオドラマ化されている

75、短編『猫館』(1960年6月 47歳)
 1963年8月に掲載

76、長編『悪魔の百唇譜(ひゃくしんふ)』(1960年6月 47歳)
 1962年1月に掲載された短編『百唇譜』を同年10月に長編化
 1994年8月に『名探偵金田一耕助の傑作推理 悪魔の唇』(主演・古谷一行)として1度だけドラマ化されている

77、短編『日時計の中の女』(1960年6月 47歳)
 1962年8月に掲載

78、短編『雌蛭(めびる)』(1960年8月 47歳)
 1960年9月に掲載
 2004年4月に、内容を別の短編『蝋美人』と組み合わせた作品『名探偵金田一耕助の傑作推理 白蝋の死美人』(主演・古谷一行)が1度だけドラマ化されている

79、長編『仮面舞踏会』(1960年8月 47歳)
 1974年11月に刊行された書きおろし長編
 1978年6月に放送された『横溝正史シリーズⅡ』(主演・古谷一行)の第3作など、2度ドラマ化されている

80、長編『白と黒』(1960年10月 47歳)
 1960年11月~61年10月に連載
 1962年11月に単発ドラマ『白と黒』(主演・船山裕二)として1度だけドラマ化されている

81、長編『夜の黒豹』(1960年11月 47歳)
 1963年3月に掲載された短編『青蜥蜴(あおとかげ)』を1964年8月に長編化

82、短編『蝙蝠男(こうもりおとこ)』(1961年2月 48歳)
 1964年5月に掲載

83、長編『悪霊島』(1967年6月 54歳)
 1978年7月~80年3月連載
 1981年の映画『悪霊島』(監督・篠田正浩)など、3度映像化されている

84、長編『病院坂の首縊りの家』(1973年4月 60歳)
 1975年12月~77年9月連載
 1979年の映画『病院坂の首縊りの家』(監督・市川崑)など、2度映像化されている


以上、全84事件(ex.もあわせると92事件)中、
・大事件(長編)…… 34事件(40%、ex.もあわせると38% )

・繁忙期 …… 33歳(1946年)~47歳(1960年)



 いや~、さすがは金田一先生!! 珠玉の事件簿であります。100ちかい事件に関わってきてたんですねぇ。

 先生が本格的に探偵としての活躍を開始したのは30代に入ってからということで意外と遅咲きなんですが、戦争から復員して日本の土を踏んだ瞬間からさっそく『百日紅の下にて』事件の解決に関わっているわ、その足で『獄門島』に直行しているわで、とてつもないバイタリティを感じさせるものがあります。

 金田一耕助という人物の年齢は、作品の中ではたった1度の本人の発言(『悪魔の手毬唄』)でだけしか言及されていないのですが、そののちの横溝先生のエッセイや発言からも、「大正2(1913)年の1~3月生まれ」であることでほぼ確定のようです。リップサービスで違うこともおっしゃってたようですけど。

 横溝先生は死の直前まで金田一耕助の事件簿の次回作の構想を練っておられたようで、それらの「知られざる事件」はおそらく、1960~70年代の「初老になった金田一耕助」の活躍を描くものになる予定だったようですね。読めなかったのは実に惜しいですけど、79歳で亡くなるギリギリまで長編を書く気マンマンだったとは……さすがは「探偵小説の鬼」!!

 そのエネルギー、あやかりたいもんですなぁ~。


 金田一耕助&横溝正史の叡智とタフネスを勝手にさずかって、この夏をのってけェ~いイェイイェイ♪
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超いきなり銀河小説劇場  『奇跡の星』 第1回

2012年07月21日 23時12分46秒 | ほごのうらがき
 たとえば、夢とか。


 夜に見るほうの夢のことなんだが、自由にどの時代のどの世界にでも行ける、なんて子どものころに教えられてきた夢の世界も、最近のおれの場合はだいぶ変わってきた。

 昔、おれがこの星にやってきたころ。夢に出てくる世界は当然ながら、おれがついさっき出てきたばかりのおれの星が舞台だった。小学生だったころにしょっちゅう遊んでいた広場とか、高校生のときにガチガチに緊張しながらたどり着いたインターハイの試合会場だとか。
 そこによく出てくる顔ぶれだって、ごく当たり前におれの星のおれの周囲にいた人たちだけだった。家族、親戚、親友、先輩、後輩、上司、部下、彼女、妻になった彼女、子どもたち……

 それが、最近はどんどん夢に出てこなくなっていく。実の父親としてはあるまじきことなんだが、最初に消えてしまったのは、おれの赴任が通達された3ヶ月前に生まれた長女だった。
 無理もないことだとは、自分に言い聞かせている。おれが長女と一緒に暮らしていたのはその3ヶ月だけだった。通達されるやいなや、恒星間高速ラインの乗船手続きやら有人ステーションの隊長免許の取得やら、惑星探索基地の辺境伯就任式典やらで家を離れることになり、そのまんま宇宙に追い出されることになってしまったからだ。

 あれからどのくらいの時間がたったのか。あまり思い出して気持ちのいいものではないので数えたくはないのだが、おれがこの星に来てかれこれ30年の歳月が経った。

 30年だ。夢の風景が変わるのも仕方のないことなんじゃないだろうか。おれの星のすべての経験が過去のことになりつつあるのだが、そのかわりにおれの頭の中にドカドカ押し入ってくる新しい情報はというと、なにもかもがまるごと、思い出したくもないこの星の地獄絵図だけなのだからどうしようもない。
 ところが、情けないことにおれのこれまでの人生の成分は、時間でいうと半分以上がこの星のものになってしまった。そう考えてみれば、数字上の比較で見たらおれはもうおれの星の人類ではない。どちらかといえば宇宙人だ。この星の最初の人類になってしまったみたいなもんだ。

 はっきり言って、おれもまさか30年もこの星にいることになるとは考えてもみなかった。赴任して最初の5~6年くらいは「話が違う」とかなんとか、おれもいきまいて星間通信モニターに映った上司なり役人なりをどなりつけることが日課だったのだが……なにもかもが後の祭りであることは明らかだった。殴りたいにも相手は3光年遠くにいる。

 別におれの星の偉い人たちを弁護するつもりはないのだが、おれが30年もこの星にいなければならなくなる事態になるとは、おれの赴任当時には誰にも予想できなかったのだ。この星の実状は完全におれたちの想像の域を超えてしまっていた。

 多少の知的生物が生息していることはもちろん観測済みだったわけなのだが……驚いたことに、この星には「神」がいた。

 最初のうちは骨のあるやつがいるな、などとポテナを口に放りこみながらのんびりかまえていたのだが、フタを開けてみればご覧の有様だ。おれたちは惑星開発どころか、原住生物の統括管理さえおぼつかないままで、みすみす30年という時間を失っている。

 おれ自身の辺境伯としての不甲斐なさ……そんなもののせいにして自暴自棄になるのもとうの昔に飽きてしまった。無能だったら30年もこんな星にはいられないし、正直言って真意はよくわからないのだが、一向におれを更迭しようとしないおれの星の態度も、一応はおれの仕事を認めていてくれるあかしなのだろう。こちらはクビでもなんでもいいから、早くここからおれを開放してくれる知らせがほしいのだが。

 だが、思えば星間通信モニターに映るおれの星の風景も、おれの記憶の中にあるものとはだいぶ変わってきてしまった。たまに面会できる妻も家族も年をとったし、いなくなる顔もちらほら出てきている。それにひきかえおれはと言うと、惑星開発技官の宿命として肉体上は加齢しない身体になってしまっている。この星にいるかぎりは「永遠の20代後半」のままということなのだ。外見上は若いわけだが、いまさらおれの星に帰還しても話題の合う若者はいないだろう。むかし、80年間「向こう」にいたというプファルツ中将にお会いしたことがあったが、同じ生き方をしている同志がひとりもいないというのは過酷な現実だ。

 竜宮城を経験してしまった浦島太郎にとっての「いるべき場所」は、果たして彼がかつて生まれ育った漁村だったのかどうか。
 今まさしく、おれはこの問題に身をもって対峙しているわけなのだが……答えはやっぱり、おれがいつも単座戦闘機の窓から眺めている風景、ということになるのだろう。この星で30年間生きている。これは夢でもなんでもない、否定しようのない事実なのだ。


プシ、


 後ろの入り口が開く音がした。おとといにメンテをしたおかげで開きがスムースになって気持ちがいい。

「R2の調子はどう?」

 振り向かなくたって、ドアが反応した時点で誰が入ってきたのかはわかっている。いおるだ。

「……今のところ使えるのは40% ってところだな。」

「150ばかし持ってきたいんだけど。たぶんあんまり減らさないで返せるから。」

「散歩か?」

「交渉よ、こうしょう。」


 交渉だと。何度聞いても笑える冗談だ。おれはここでやっと振り向いて、いおるの姿を捉えた。

 あいかわらず、基地の中でもいおるは耐圧スーツを身につけている。もともとこの星は条件がかなりいいので、船外だってそれほど厳重にスーツを着用しなくてもいいし、むろん基地の中では着る必要はまるでない。好きで着つづけているのだろう。
 耐圧スーツは頭の上から強化ブーツのつまさきまで、身体にぴったり密着したデザインで統一されている。
 大昔のSF マンガのヒロインではないのだが、いおるもやっぱり身体のラインは隠しようもない。細い首、こぢんまりした肩、ほっそりした腕にほどよく肉のついた胸に、これまたほどよくくびれたウエストからの丸い腰。
 見飽ききっているはずなのだが、それでもどうしてもそのスタイルの良さ、特に筋肉のたっぷりついたふとももからキュッとしまったふくらはぎに移っていく、いおるの脚にいつも目がいってしまうのが、我ながら情けない。


「だいぶ進んでるみたいでけっこうだな。ろくな武装もしないで行って大丈夫なのか。」

「武装の段階なんてとっくに抜けてるのがわたしのやり方なの。まだわかってないのね。」


 いおるの眼が何百万回目かのいたずら好きな光を輝かせる。そう、いおるの最大の特徴は、その大きな両目だ。
 少しだけつり目ぎみになっている大きな二重まぶた。まつげは自然に、けれどもめいっぱい主張しながら天井めざしてそりかえっている。そのまつげが微妙にゆれ、目が半月のように細くなったときこそが、いおるのいおるらしさが発揮される瞬間だ。
 その両目の中に光るエメラルドグリーンの瞳もまた、自然と見る者の動悸を早まらせてしまう不思議な力を持っている。顔というか、全体的に白いいおるの肌がさらにその碧さをきわだたせるのだが、そういった色の取り合わせをいおるの顔以外によその世界で見たことは、おれはいまだにない。なんとなく癪なのだが、おれの星でもこの星でも見たことがない。

 しかし正直言って、おれはいおると長く付きあいすぎてしまった。いまさらいおるのその瞳にまどわされてしまうこともなくなったし、その奥にあるいおるなりの「戦法」のようなものも、おおかた見えすいてくるようになってしまったわけだ。


「なんでもいいさ……とにかくおれの邪魔はするなよ。」

「邪魔ってどういうこと? あなたより先に『町』をとるってこと? それとも、わたしが『町』に寝返ってあなたを殺すってことかな。」

「どっちもできるわけないだろうが。寝返る? 宇宙人と一緒になって同じ星の人間を攻撃するやつなんて聞いたことがないぞ。」

「あなたが知らないだけじゃないの? 腕っぷしでどうにもならないことは、あなたが30年以上かけて証明し続けてるじゃない。だったらわたしはあなたの方法以外の手でいく。それだけよ。」

「……別に止めはしないさ。ただ、お前だってこの星に来て20年になるってことだけは忘れるなよ。」


 部屋じゅうに、高い周波数で細くこまやかな振幅を持った不気味な音が鳴り響いた。何者にも崩されることのないルールを持った、例えるのならば、数多くの血塗られた歴史の舞台の傍らにいながら、自分自身はまったく汚されることなく現在に生き残ってきた、帝立博物館のガラスケースの奥に眠っている陶磁器のような、調和と狂気を同居させたリズム。
 まわりくどい言い方になって悪いが、要するにこれが、いおるの笑い声だ。

 癇にさわる高笑い。20年間見せつけられてきたいつものやり方だ。
 よくもまぁ飽きもせずにやれるもんだ。しかもよりによって、そんないおるに、おそらくは宇宙の中でいちばん飽きがきているこのおれを相手にして。

 うつむいてため息をつこうかと思った瞬間、いおるはおれに馴れ馴れしく飛び込んできて、おれの腰に腕をまわしながら、自分の顔を遠慮なく寄せてきた。まぁ、これも予想がつく流れだ。


「あなた、自分とこのわたしの身体をよく見てみてよ。時間はわたしたちのために待ってくれてるのよ。だからわたしはそのご好意にあまえてるだけ。こんな星にとばされてるんだもの、おいしい部分はちゃんとフルに使わなきゃ。」

「何が言いたいのかさっぱりわからないんだが……お前はつまり、計画がまったく進まないこの星の状況を変えたくないのか。」

「今のわたしたちが時間にこだわってるってことほどシュールな冗談はないんじゃない?」

「若いままでいられるのなら、目標を達成して自分の星に帰ることができなくなってもいいってわけか?」

「わかってないのね。」


 首をかしげながらフンと息をついたとき、なぜか一瞬だけいおるの香りが鼻にささった。


「交渉だの目標だのなんて、わたしにとってはどうでもいいの。永遠の若さだなんてほしくもないわ。」

「じゃあ何なんだ? どうしてお前は20年以上もこの星にいる。」

「楽しいからに決まってるじゃない。楽しいからここにいるし、楽しいからあなたと別行動をとってるのよ。飽きたら次に何をするのか……それを考えるのも楽しいかな。」

「のんきな言い訳だな。どうせ飽きてもなにもできないだろうが。計画が終わらなければ、おれたちはこの星を出ることだってできないんだ。」

「出なくてもいいんじゃない?」


 コツ。
 いおるの強化ブーツが床をひとつたたく。


「……どういうことだ。」

「ここをわたしたちの星にしたらいいのよ。征服でもなく降伏でもなく、いちばん楽しい方法でね。」


 いおるの眼が、また碧く輝いた。


《つづく》
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あっぱれ深月大先生!! めでたいめでたい真夏日

2012年07月17日 23時03分07秒 | 日記
 はわわ~!! や、焼け死ぬる心地す……どうもこんばんは、そうだいでございます~。

 ンも~、ヤバいったらヤバいったら。試験も半月後で時間もないっつうのに、日が出てるあいだは暑さで集中力がハンパなくガタおちの介……ドラキュラ伯爵じゃないんですから、深夜から夜明けまで猛勉強っていうのも、眠る時間がなくなるからにんとも辛いし。

 いよいよ試験の受験票も届いてしまいました。いやがおうにも高まる切迫感。あせらずにマイペースでいこうじゃないか、と我が身に言い聞かせていながらも、にぎるコップの牛乳にはなぜかカタカタと波紋が……これはおびえのあらわれか、はたまた武者震いか? あっ、単なるカルシウム不足か。

 まぁ~いいや。ただただ全力を賭けるだけであります。まずは、試験当日にちゃんと万全の体制で試験会場にたどりつけるように健康に気をつけることにいたしましょう。
 いやいや、これ、冗談じゃなく気をつけなきゃいけないみたいですからね、今年の夏は。だって、私、7月の半ば、やっと関東地方も梅雨明けしたとか言われている今日の時点でだいぶ夏バテぎみなんですから! 8月こえぇ~。

 勉強に専念するのが筋なのかも知れませんが、最近は今の仕事と次の職探しと食事と睡眠と~っと、こんなわかりやすいサイクルで生活しとります。ちっきしょう、試験が終わったらなにして遊ぼうかしらん!?

 今年だけで一発合格したいな~。そしたらけっこうカッコいいんだけどなぁ~。
 でも不安だな~不安だな~。1日がもし24時間じゃなくて36時間くらいあったとしら、別に勉強時間は増やさないんだけど、「合格祈願のための般若心経写経タイム」に8時間ほど使いたいくらいに不安だな~。

 でもまぁ……本気出すのは今しかねぇということで。やるなら今しかねぇ~♪
 いっちょ、オトコ見せたるかい~っと。適度に命けずらせていただきます。


 そういえば!! 今日も暑いさなか働いていたら、休憩時間中に何人かの友人のみなさまから次々とこんなメールをいただいたんですよ。持つべきものはフレンズ!

「辻村深月さん、直木賞とったよ~☆」

 ええっ!? とと、とっちゃったの、辻村先生!! 私とほぼ同い年なのに!? 遅かりしよな、おれ!! いや、辻村先生が速すぎるのか。
 そんなこんなで、あわてて家に帰ってネットニュースを見てみたらば。


直木賞は辻村深月さんの『鍵のない夢を見る』
 (産経ニュース 2012年7月17日の記事より)


 第147回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考委員会が17日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は鹿島田真希(かしまだ まき)さん(35)の『冥土めぐり』(『文芸』春号)に、直木賞は辻村深月(つじむら みづき)さん(32)の『鍵のない夢を見る』(文芸春秋)にそれぞれ決まった。平成生まれでは初、男性では史上最年少の直木賞作家となるか注目されていた朝井リョウさん(23)は受賞を逃した。

 鹿島田さんの受賞作『冥土めぐり』は、脳に病気を抱える夫と、妻が8年ぶりに1泊2日の小旅行に出る様子を描いた。夫の介護に明け暮れる妻。幼少時に家族と訪れたホテルに泊まり、裕福だった自身の過去と向き合う物語だ。
 辻村さんの受賞作『鍵のない夢を見る』は、泥棒、放火、誘拐などと、5つの各編ごとに「犯罪」をモチーフにしてまとめた短編集。地方や郊外を舞台に、女性を主人公にして普通の人に魔がさす瞬間を巧みな心理描写を交えて綴っている。

 芥川賞選考委員の奥泉光(おくいずみ ひかる)さん(56)は、鹿島田さんの作品について「現在日本の経済状況を縮図としてとらえた作品。個人史だが、社会を写し出すような広がりをもっている。」と絶賛。一方、直木賞選考委員の桐野夏生さん(60)は、辻村さんの作品について「非常に粒ぞろいの短編。田舎に住んでいて報われない暮らしをしている女性の現在がよく書かれている。」と評価した。
 2人は同夜、東京・丸の内の東京会館で記者会見。鹿島田さんは「何度も書き直して時間も労力もかけたので本当に取りたかった。」、辻村さんは「信じられないくらい光栄。」と喜びの言葉を語った。



 うむむ……あっという間に直木賞作家におなりんさった。私の実感としてはほんとに「あっという間」なのですが、多くの作品も文庫化されているし、一般的な認知は広まっていますしね。「2004年デビュー」ということが若いのか、満を持してなのか……いやいや、やっぱ若いか! 10年たってないし。

 うれしいです。しみじみ、うれしい。

 残念なことに、私自身は受賞作を読めるような状況になるのは1ヵ月後くらいになっちゃいそうなんですけれども、『鍵のない夢を見る』の世界に迷い込むのが今から本当に楽しみです。実はもう、先月に買っておいて手を伸ばして取れる距離のところに置いてあるんだよォ~。なに、この拷問!?

 そうかそうか。目先のことにしか反応できない私なんぞは、先月についついムカッときて、辻村先生がとばっちりをくったファッキンどうでもいい話題にプリプリいきまいたりしちゃってましたけど、あれも今日のこの超ハッピーニュースを受け取るための「通過儀礼」みたいなもんだったんじゃなかろうかと。まさしく「禍福はあざなえる縄のごとし」! 神さまはちゃんといるんじゃのう……アンタは、エラい!

 いっしっしっし……NHK はん。逃がした魚はジンベイザメ級でおましたなぁ。「またこの次なんて あるワケないじゃん♪」


 ただその、いちファンである私から偉そうな口をたたかせていただければ、直木賞はあくまでも「発表後の世間の評価」のひとつであるわけなのでありまして、今回の受賞作だけが他の一連の作品に比べて飛びぬけておもしろいというのでもなく、その受賞前後で辻村先生の本質が大きく変わるということでもないのだと思います。

 もちろん、世間からの視線が変化するくらいで動じるような小説家でないことは百も承知ですので、いまさら私ふぜいから申し上げることは何もないんですけれども、それでもしいて申すのならば、


願わくば、辻村深月先生よ、これからも辻村深月のままであれ。
大地が足元にあり、大空がはるか高くにある人の子、人の母のままであれ。


 これだけだねェ~、あたしののぞみは。

 これからどんな人生がひらけているのか。じぇんじぇん違う世界にいる先生とわたくしですけれども、年齢がほぼ同じということなんでひとつ、勝手に「人生エンジョイ競争」を始めさせていただきたいと思います。イエ~イ、おれは何十周回遅れだ~い☆


 連日、アホみたいに暑い日々とアホみたいに哀しいニュースばかりでダウンしかけていたのですが、これでまた立ち上がるエネルギーをいただきました。
 明日からもまた、がんばっていきまっしょいと!!

 私の来月の試験、一発合格したら辻村先生のおかげ! 失敗したら……太陽がまぶしかったせい、ってことで。久保田早紀~。
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