長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

ボウズにまつわるエトセトラ  今年も一年、おつかっしゃぁ~っしたぁ~

2013年12月31日 22時27分16秒 | 日記
 と、いうわけでございまして、今年2013年もおしまいでございます。

 え~……いろいろとやり残したことばっかのまんまなんですが! みなさま、一年間ほんっとうにお疲れさまでございました!!

 あたしゃ忙しかったよ、まぢで……なんかもう、思い起こせば今年は1月のド頭から「忙しい、忙しい」っておんなじことしかつぶやいてなかったような気もするんですが、ほんとにそうだったんだから仕方がねぇんだよなぁ。

 よく、「忙しいのは本人に能力がない証拠」とか、利いた風な口を叩いてるビジネス書がありますが、てめぇが想定してるような『信長の野望 嵐世記』みたいなぬるま湯ヌルヌルの仕事場なんて、この日本のどこにも存在してねぇんじゃねぇの!?
 能力がない人間が忙しくしてたら、効率は落ちるは失敗は続くはで即効つぶれるんじゃアホがぁあ!! 現実は『信長の野望 天翔記』のごとき超ムズ難易度なのよ~!!

 今年一年、我が身を通して得た結論。
「慣れれば慣れるほど、仕事は難しくなる。仕事場も楽しくなくなる。でも、そこを楽しく切り抜けてこそ、仕事!!」

 ……ま、アルバイト待遇ですけどね。ギャフン☆


 アルバイト待遇と申すのならば、かえりみれば、私は大学を卒業した2002年からず~っとこういう生活形態のまんまでございます。
 それはまず、私が2011年の春まで劇団の俳優としての生活を主軸においていたから、という理由だったのですが、それも齢30をこえ、退団と同時に演技の道をきれいさっぱりあきらめてしまい、その後は惰性で当時やっていたアルバイトを続けながら、およそ1年間くらい「なぁ~にしよっかなぁ~。」とフラフラしている期間がありました。

 思い起こせば、我が『長岡京エイリアン』が「ウィンドウズ Me」という、ロビンソン=クルーソー的いかだ船を拠点によちよち歩きを始めたのも、いよいよ自分の俳優としての道に勝手に不安を見いだすようになった末期、2010年の夏ごろのことで、2011~12年に気でも狂ったかのように横浜の桜木町のあたりを文字通りフラフラさまよっていた頃を克明に記録している当時の記事は、読みかえすたびに慄然としてしまいます。地震もあったしね……いろいろと不安定な、悩みばかりの暗中模索の日々だったのでしょうが、心に迷いがあるからと言って、ほんとに日に20~30km の距離を、足の裏を血まめだらけにしてさ迷い歩くこともなかったんじゃなかろうかとも思えるのですが……バカだからしょうがねぇか。あのとき眼に焼き付けた、東急東横線とか京急線沿いの町なみの風景はもう生涯忘れることはできないでしょう。また歩いてみたいけど……忙しいのよね!

 そして、具体的に現在の私が勤務させていただいている業種に向けての歩みが始まったのは、去年2012年の夏ごろからだったのですが、当時はそれまでのアルバイトと、その新しい職場とのかけもちを続けるという流れになり、まぁまぁ時間にも余裕を持ちつつ、様子見のような感じでいこうか~、なんて目論見でスタートしたわけです。

 ところが! 私がやってみたいと思い立ったお仕事は、「様子見」なんていう甘ちゃんな心構えでできる職場ではまるでなかったわけでありまして。
 その後、忙しくなるは忙しくなるは。千葉に住んでいるわたくしが、今日は神奈川、明日は埼玉。拘束時間は丸一日で電車の始発で出発~の、日が暮れて退勤~のの毎日がドバドバ~ッと、ね。

 そんな日々が続いての、今年2013年の春。私はアルバイトを今やっているほうの一本にしぼりまして、と同時に仕事場も千葉県内の一箇所に固定してもらうという、現在にいたる生活パターンにやっと落ち着いたわけだったのでありました。

 そんでま、先ほどの教訓に戻るわけなんですね。慣れれば慣れるほど底が見えなくなる、それがお仕事! タイトロープを楽しくわたり通す、それがお仕事!!


 まだまだ修行中なんでありまして、このお仕事で私がプロになれるのかどうかは、まだわかりません。でも、もっと喰らいついていかなきゃわたくしの男がすたる、という意味不明な熱情はいや増しに増しておる次第でございまして……ま、いつクビになるような大失敗をやらかすのか、おのれで戦々恐々としながら「お、お邪魔しまっす~……」とヘーコラしながら毎日出勤しているていたらくなんですが、まぁ、来年2014年もできるだけ、このお仕事は長~く続けさせていただければなぁ~、なんて。

 明日? 1月1日? もォ~っちのろんで出勤ですよ!! 悠長におもちなんか食ってられませんって! 「常在戦場」、「人間至る所に青山あり」ですよ、あなた!! 「にんげんいたるところにあおやまあり」って読んじゃダ~メダメよ~♪


 そういえば、年の瀬に仕事場で、いつもお世話になっている上司のお方と、こんなやりとりをしました。

私 「あの、私いろいろ思うところがありまして、来年の正月が落ち着いた頃にでも、髪を思いっきり切ってボウズ頭にしたいんですが、いかがでしょうか?」

上 「ボウズ、ですか……ちょっとこの職場では前例がないんでねぇ……」


 結局、いきなりボウズ頭の人が勤務しだすとお客様にどんな影響を与えるか予想がつかない、という結論になりまして、私のボウズ頭2014計画はいったんは白紙、ということとなりました。
 まぁ、そりゃそうでね、ボウズ頭になってから「やっぱやめよう。」はきかないし、私だってボウズ頭にならなきゃ酸素呼吸ができなくなっておっ死ぬ、っていうほど急を要してるわけでもないんでね。早々に撤回させていただきましたが。

 個人的には、来年2014年はいろいろ勝負の年にしたい部分もあったり、願掛けじゃないけど、いろんな周囲の物事に対して気合いを入れなおしたいという思いもあったのでボウズ頭に「また」したい、と考えてみたのですが、まぁ、昔と今とでは私が身を置いている世界が違いすぎる、ということなんでしょうね。

 昔……そう、劇団時代の私は、その時間のまるまる全てをボウズ頭で過ごしていたものでした。


 「私とボウズ頭」という、他人様にとってはファッキンどうでもいいトピックで自分の記憶をひもといてみますと、中学生時代にいちおう運動部に入っていたのでボウズ頭にした時期はあったのですが(いうまでもなく安定の補欠部員でした)、劇団で俳優として活動にするにあたって、本格的に約10年くらい続けることになったボウズ頭生活の始まりは2001年の8月、私が大学4年生だったときのことでした。

 そのとき私は、大学の先輩にあたる演出家の関美能留さん主宰の劇団「三条会」が、富山県東砺波郡利賀村(現・南砺市)で開催される「第2回 利賀演出家コンクール」に出場するにあたって選んだ課題戯曲『ひかりごけ』(作・武田泰淳)の舞台化に、出演者として参加したのですが、男性の俳優は全員スキンヘッドでいく、という荒波に乗るかたちで、きれいさっぱりとツルッツルになりました。

 コンクール参加の2~3日前、千葉県での最終稽古を終えた夜10時ごろだったかと思うのですが、それまでふつうに髪の毛を伸ばしていた私は、同じく出演する女優さんがたに、稽古場で笑いながらかわりがわりにバリカンを入れられるという倒錯ぎみな断髪式をへて丸坊主になりまして、そのまんま舞台機材でいっぱいになった2台くらいの車に、野心みなぎる劇団のみなさんといっしょに乗り込み、意気揚々と闇の信濃路を北上していくのでありました……若いねぇ、どうにも。

 そして、私はその勢いのまんま翌2002年の初頭に正式に三条会の劇団員となり、就職活動なんてまるまるスルーで大学卒業という運びになりました。
 当時、別に「ここの劇団の男性俳優だったら、髪型は絶対にスキンヘッドなのだ!」というルールはなかったのですが、1年間のスケジュールの中の、どこかに必ず『ひかりごけ』を上演する予定が入る年が長く続いたり、公演と公演のあいだのスパンが短すぎて(毎月1作とか)、男性俳優の髪の毛がサマになるまで伸びる時間がないから仕方なくまた剃っちゃう、といったパターンが定着してしまったため、私もずいぶんと長いこと、ツルツルに剃って舞台本番にのぞんで、稽古をしながら髪の毛がじわじわ伸びてきたところでまたツルツル、といった繰り返し生活を続けることになりました。

 他の俳優さんでは、頭髪のような密度にも耐えられるような高性能の電気シェーバーを買って手軽に済ませるという方もおられたのですが、私はず~っとT字カミソリを使っていましたね。舞台本番とか劇場入りの前日とか、旅公演の出発前とかに、風呂場でひとりしずかに頭を剃りあげていく時間が、なんとな~く好きだったんですよね。別にそれで精神が統一されるとかいう高尚な効能はなかったんですが、それで自分がやっと舞台に上がる覚悟を持てるようになったような気になったりして。ダメなんだけどなぁ~、そんなその場しのぎな心意気じゃよう!!
 それはともかく、貝印でしょ、ジレットでしょ、シックでしょ……近所のコンビニとかスーパーで売ってるようなT字カミソリはぜ~んぶ使いましたよね。ゆっくりやったら切れないですからね、基本的に全部いいんですけど、やっぱり一番は何かと聞かれたら、そりゃあ「キレてな~い」の「シック プロテクターディスポ」ですよね、結局! どんなにすべっても血が出ないんだもの、ほんとに。てぇしたもんだ!


 個人的にいきますと、そういうパターンに微妙な変化が訪れたのは、自分で記憶するかぎりでは2004年の秋ごろからで、私は、当時大人気だった、髪型が特徴的なある有名人のものまねを劇中で披露する機会が増えるようになったんですよね。
 それが、ひと言ふた言やる程度じゃなくてワンシーンのセリフをまるまるその人のマネでいくという長さだったため、その助けにするために、いつものスキンヘッドの上にそのシーンでだけカツラをかぶって演じるという変化が生じたわけです。

 んで、それ自体はワンクッションでのカツラという扱いだったのですが、そこから発展したのかしなかったのか、2008年頃から、劇団の俳優たちの中でも、私だけは基本的に「カツラをかぶって演技をする」というポジションにおさまることとなりました。「髪の毛がフサフサに生えている男性」を演じることになったわけです。

 ところが、ここがボウズ頭の奥深いところで、カツラをかぶることになったから自分の頭髪は伸び放題で OKになる、ということでは決してありませんでした。要するに、カツラがしっかり固定されるためには、下の自毛がフサフサでもスキンヘッドでもいけません。どっちもカツラが上すべりすることになりますから。特にスキンヘッドは、舞台上で汗が流れ出すとカツラがおもしろいようにズレるズレる。頭髪があるのにスキンヘッド以上に「ハゲてるっぽい人」のイメージが強調されるという、この恐るべきパラドックス!!

 結局、カツラが最もピタッと固定されるのは、個人的な経験からいくと「スキンヘッドにしてから2日後のざらざらボウズ頭」という結論に達したわけだったのですが……自分でもビックリするくらいに役に立たない知識だね、これ。

 つまり、カツラをかぶるようになったからといって、私のボウズ頭ライフにさほどの異状が生じたわけではなかったということだったのですが、そんな2008年からさらに3年後、私は劇団を退団するという選択をもって、ボウズ頭にもいったんの終止符を打つこととなりました。
 と、いうことは……2001年の夏から、2011年の春。「10年弱」ですね。私がボウズ頭だった期間は。

 まぁ、私の全人生の「3分の1」なんですから長かったはずなんですけど、あっという間だったというかなんというか。

 今回の「ボウズ2014作戦」も泡と消えたことですし、私にとって、あれほど呼吸するように当たり前に存在していたボウズ頭も、今となってははるか遠くになりにけり、という感覚が強くなりました。

 最近はもう、電車に乗ればボウズ頭にスーツ姿の会社員さんがいてもそう珍しくはない風潮ではあるのですが、やっぱりそうそう軽々しくはボウズ頭になれない現場もあるわけで、ね。
 個人的には「生涯最後のボウズ頭にしようかな。」と考えてもいたので、それがついえた以上、もう今後ボウズ頭にはならない可能性もありますし、まずそれ以前の段階の話で、「ハゲてナチュラルボウズになる」危険性が急速に高まりつつある昨今、なんの気もなしに貴重な日々を過ごしていた「若き日のボウズ頭」は……もはや追憶の彼方ですわな。


 2013年も、いろいろありました。いろいろ進みました。いろいろ遠くなりました。

 そして、何かに近づきつつある手ごたえはつかめました。


 まだまだ、「明日の確証」なんていうぜいたくな買い物はできない毎日ではありますが、最低限ぶんどる物はぶんどってやったという満足感はあります。
 そして、「おぼえてろ、バカヤロー!!」という思いを握りしめて、いざ来年へ。


 みなさま、今年も『長岡京エイリアン』をご愛顧いただきまして、誠にありがとうございました。
 どうぞ、良いお年をお迎えくださいませ!!
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えーかげんにせんかい!! 先月のモーニング娘。&Berryz工房 日本武道館2デイズまとめ  その2

2013年12月29日 23時43分17秒 | すきなひとたち
 と、いうことでして、ね……年末も差し迫ってきたというのに、いまっだに、先月にあったコンサートの体験記をまとめられていないとは、はなはだ汗顔の至りでございまして、ハイ。

 んも~、四の五の言わずにどんどんいっちゃいましょうかね! 年賀状も書かなきゃいけんのだ、こちとら!! ぴょぴょ~っと。


2013年11月29日『Berryz工房 10周年記念・日本武道館スッペシャルライブ2013 やっぱりあなたなしでは生きてゆけない』

1、酷寒! 一日ちがっただけでなんでこんなに寒いのか!?
 当日券の販売待ちがキツいキツい! 次からはちゃんと予約しようか……

 これにはまいっちゃいましたね、ホントに!
 前日のモーニング娘。コンサートがあった28日は、そりゃまぁ日が暮れれば季節相応に寒くなってきたんですが、日中はちょっと歩けばすぐにあったかくなるような陽気でねぇ。国内外を問わない観光客のみなさんでにぎわう江戸城の本丸公園とか二ノ丸公園を散策したり、本丸天守閣跡のベンチでビル街を眺めながら、うつらうつら……なんていう、軽い行楽がとっても心地いい気温だったのですが。

 今日は寒い!! 変わらず天気はいいのに、風がちょっと吹くだけでこんなに寒くなるかね、しかし!?

 そんななか、前日と同じように開場の1時間前(16時30分)に開始される当日券チケットを購入するべく、私は14時40分にいつもの列ができる場所に向かったのですが、当然のように行列はまだできておらず。かなり本気モードで「カゼをひかしにかかっている」寒風にひとり対峙しながら、およそ2時間立ち尽くすこととなりました。ホント、翌日に元気に出勤できたのが幸運だったといいますか、バカはカゼひかないといいますか。

 ただし、早めにスタンバイした甲斐はいちおうはあったようで、ぽつぽつ人が並ぶようになったのはもっと後の15時30分ごろからだったのですが、最終的に当日券販売開始時間のころには、先頭の私から見て最後尾が見えないくらいの行列ができあがっていました。おそらく100人は並んでいたことになるはずなのですが、そこらへんに、前日とはちょっと違う「初武道館!」というテンションがすでに見え隠れ。

 そういえば、あらためて見回してみても、日本全国から馳せ参じたお客さんの雰囲気は、午前中のグッズ販売の時点から明らかに「ベテランムード」むんむんな猛者といった方々で埋め尽くされており、男性率、年齢ともに、前日からはるかに高くはね上がっている印象を持ちました。女性も若い方もいないわけじゃないんですが、なんか発散するオーラの濃度が違うのよね!!

 それにしても、寒かった……冬のコンサートでの当日券待ちは、ちょ~っといろいろ準備をしてのぞまなきゃいけませんでしたね。反省材料だ!


2、このコンサートは真正面から観たかった! お望みどおりのチケット入手であたしゃ幸せもんだよぉ
 今日は、ほぼステージ正面の「2階席・南西スタンド」! 昨日とはまったく違う光景で超ラッキー

 そんなんで、文字通りの一番乗りでゲットした今回の当日券だったのですが、結果としては、だいたい真正面の真ん中くらいからステージが観られる2階席スタンド! あの、座ってみて感じたんですが、こんないいお席がどうして当日まで残っていたのでしょうか!?
 もちろん、決してメンバーが間近に見られるということはないんですが、ステージの真裏という「ヘンな座席」を体験した次の日に、こんなにスタンダードな位置からコンサートを楽しめる座席に着けるとは……2日間、日本武道館という聖地をホントにまったく違う角度から堪能することができました。感謝、感謝! アイドルコンサートの神さまに大感謝よ!!

 今回のBerryz工房コンサートも、前日のモーニング娘。と基本的に同じ「ステージ中央から花道が出て前方にもうひとつステージ」という舞台設定になっていたのですが、前日「メンバーが前に行っちゃうと寂しいなぁ。」なんて思っていたら、今日はそんな前に出たメンバーを待ち受ける場所だってばよお客さん!! あたしゃほんとに幸せもんだよぉ。


3、2回聴いてわかった! オープニングアクト『イジワルしないで 抱きしめてよ』が名曲な理由
 Juice=Juice の存在にほの見える、往年の『志村けんのだいじょうぶだぁ』的バラエティ感覚

 前日に引き続いて、コンサート前のオープニングアクトは新人グループのJuice=Juiceが担当。披露した曲は、前日ではコンサート中盤の中継ぎゲストとして歌唱していた新曲『イジワルしないで 抱きしめてよ』だったんですが……これがまぁ~いい曲なんだ、ほんと!!

 なにがいいって、「アダルト」っていう言い方がものすご~っく似合う、1980年代末期、平成元年くらいの歌謡曲がまとっていた雰囲気を、見事に復古させたって感じの曲なんですよね! この再現率がめっちゃくちゃ高い! 高いっていうことは、つまり……ダサい!! 「アーバン」じゃあ、ちょっとおしゃれすぎるんだよなぁ。「アダルト」なんです、あくまで。「アダルト」、「シティ派」、「ファジー」!! ファジーは関係ねぇか。

 えぇ、えぇ、いいんです、ダサくて。ダサいのの何が悪いのかって話ですよ! つんく♂プロデュースの本質は、「ダサいのを、あえて今やる」!! この、ともすれば世間の嘲笑さえも浴びかねない、時代に乗りきれない不器用な生き方の葛藤、そこから生み出される泥まみれの美しさではありませんでしたか!? 何を言っておるのでしょうか、私は。

 やっぱり歌っていうのは、時代とかそこに生きている人々の好みにおもねるだけじゃあ記憶に残らない。必ずどこかに、「うん?」と引っかかりを持たせるような「違和感」がないといけないと思うんですよね。これはちょっと、リアルタイムでの売上とは必ずしも直結しない厳しさがあるんですが、必ず時を越えて「生き残る」要素になるはずなんです。他ならぬ、Berryz工房のデビュー曲『あなたなしでは生きてゆけない』がそうであったように。

 違和感! そう、Juice=Juiceの『イジワルしないで 抱きしめてよ』は、モーニング娘。の EDMとも、Berryz工房のはっちゃけサウンドとも違う大きな「質感の差」があり、それはすなはち、かつて燦然たる輝きを放ちまくっていたテレビバラエティ番組、たとえば『志村けんのだいじょうぶだぁ』(1987~93年)とか『とんねるずのみなさんのおかげです』(1986~97年)とかで、今までギャハギャハ大騒ぎしていたゲストアイドルが一変して、番組終了15分前くらいに真面目な「本業モード」になってアダルトな新曲を唄うという、ドライアイスもくもくの歌コーナーが唐突に挿入されるような違和感を生じさせているのでした。

 こういうのって、ホントに大事! 今回の場合でいうと、モーニング娘。とかBerryz工房に限定されない、ハロー!プロジェクト全体で提供する総力エンタテインメントの充実感というか、「引き出しの多さ、幅広さ」を力強くアピールしてくれるわけなんですね。

 歌コーナーって、今のバラエティ番組でもやってるんですかね? やってないんだろ~ね~。ああいう刺身のつまみたいな要素こそが、「楽しい番組」の隠し味だと思うんだよなぁ、うん。
 そういう一見どうでもよさそうな部分を削っちゃうと、なぜか本体もつまんなくなるんですよね~。コンテンツの「ありあまる感」って、大事!


4、気合い入りまくり! Berryz工房、信頼と実績のパフォーマンス
 いや、いいに決まってんだろ!! EDM なぞどこ吹く風、ひたすらBerryzな肉弾戦

 Juice=Juiceのオープニングアクトに続いてすぐにコンサートが始まるかと思ったら、なんとそこで会場に流れ出したのは、『 Hello!のテーマ Berryz工房バージョン』(2004年)の音源のみ!! 落語の出囃子がフルコーラス!

 「国家斉唱」、というわけか……ハロプロキッズ時代からの古参ファンのみなさんなんか、大号泣ものなんだろうなぁ。できれば起立して胸に手を当てて聴きたかったのですが、立ってはいけないファミリー席だったので自粛しました。

 そして、もはや「最初がこれじゃないわけがない」という確信さえ持たせてしまう、定番の『あなたなしでは生きてゆけない』とともに満を持してメンバー7人が登場し、コンサート開始!!
 菅谷さんだ! 本物の菅谷さんがそこにいるぞ!! でも、メンバーの中でも最初に目がいっちゃうのが熊井友理奈さんなのは、なぜなのだろうか!? タッパって大事なのよね~。

 選曲はもう、2曲目の『 ROCK エロティック』(2013年)から、『ゴールデン チャイナタウン』(2013年)、『アジアン セレブレイション』(2013年)、『 Loving you Too much 』(2012年)、そして『ジンギスカン』(2008年)とねぇ~。もう、1夜かぎり2時間半ほどのコンサートの、一瞬一秒さえをも惜しむかのようなハイテンションのつるべ打ち! とばしてますね~。

 これでヘトヘトにならないほうがおかしい、といったギリギリのタイムスケジュールを華麗に舞い唄うゴールド衣装の7人だったのですが、特に挙げるのならば、序盤からいつも以上にキレッキレなダンスを惜しげもなく繰り出し、「スナイパーに狙われてるのをよけ続けてんのか?」というくらいの残像度で最後まで動き抜いていた清水佐紀キャプテンと、定評のある汗だくスタイルと「くまらないトーク」で「シングルジャケットで見るBerryz工房の歴史」という単独 MCをこなし……て、いた? こなしていた!! 熊井さんのお2人がものすごく輝いていた前半戦でしたね。

 いや~、あんなにがんばられちゃったら、こっちもがんばんなきゃって気になりますって! でも、ファミリー席で実に良かった。立って応援してたら、どうなっとったことか……


5、竹ちゃんどころじゃなかった! 須藤茉麻、魅惑の二の腕
 これが大人の魅力というものなのか!? ついつい目がいってしまう「白い恐怖」

 おそるべきことでした……須藤さんが、「しぼる」とはちょっぴり違う方向性で体型を「仕上げてきていた」! ありがとうございます!!

 むちむち、むちむち……あぁ、あの白が網膜から消えてくれない!!
 むむう、夕べの竹ちゃんのふとももが「時分の花」というのならば、須藤さんのむちむちは、もはやエターナルな「まことの花」になりつつあるとでもいうのか!?

 素晴らしい! 実に素晴らしいのですが……願わくば須藤さん、「そのへんにしといてください」!!


6、コントだってお手のもの! 大舞台で堂々と笑いをとりにいく引き出しの多さ
 エンタテインメントの宝庫……すべての娯楽を、この7人がやりこなす

 そう思ってたら、そんな須藤さんのうまみを見事に活用したコント寸劇きたー!!

「おまえのようなむちむちのハロプロ研修生がいるか!!」

 ってわけなんですが、堂々と「須藤」とプリントされたTシャツを身にまとい、ハロプロ研修生(本物)といっしょに『彼女になりたいっ!!!』を満面の笑顔で熱唱する須藤さん。
 たしか、『行け 行け モンキーダンス』(2008年)でもいちばんテンションが高かったの、須藤さんだったんですよね。好きなんですね、そういうの……

 でも、完全にファンサービスと割り切ってさばさば参加していた菅谷さんとは対照的に、ノリノリで植木等いらい伝統の「お呼びでない?」キャラをこなしていた須藤さんの度胸には瞠目してしまいました。
 順番は前後するけど、このコントの前にあった、℃-uteの4人をゲストに迎えての「ハロー!プロジェクト・キッズ時代の各メンバーの写真」披露コーナーでも鉄板のオチに使われてたし……

 やっぱこのお方、たぶん嗣永さんあたりがどんなに努力しても会得できない「天賦のなにか」を持ってるんでしょうね。しみじみ、いろんな才覚がまんべんなく集結しているBerryz工房の希少性を目の当たりにした気分でした。

 それにしても、本人たちどころか、ファンまでもがどこか緊張しているこの日本武道館コンサートの中盤に、ここまで堂々と能天気なコントをぶちこんでくるとは!! ファンの疲労をいやし、肩に入った力をほぐす配慮を忘れないBerryz工房。どこまでひたすら陽気な7人組なんだ!


7、急襲!! 金子りえ
 先輩だけにいいところは取らせない! ハロプロ研修生、情念の名演技

 コントは、清水・徳永・須藤・熊井・菅谷の5名が混ざったハロプロ研修生が『彼女になりたいっ!!!』を唄った後に「なんか違う人が入ってる~!」と騒ぎ出し、そこに「ももち」こと嗣永さんが登場して、研修生がこれからアイドルとしてブレイクしていくためのちょい黒めのアドバイスを訓示しつつ、最後はなぜか全員で『ももち!許してにゃん♡ 体操』を歌唱するという流れになっていました。

 そこはもう、「この勝負の日に悠長にコントやりますか、フツー!?」というぜいたくなひとときだったのですが、私はもう、前半でベテラン5人を相手に敢然として「チッ(舌打ち)、おい、徳永ぁあ!! もういいって!!」というツッコミをぶっぱなした、ハロプロ研修生筆頭・金子りえさんの存在感に圧倒されてしまいました。一同敬礼、筆頭の御登場である!

 金子さん、いいね!! まさしく「おまえのような16歳がいるか!!」って感じの迫真のキレ芸に、一瞬にして魂をもぎ取られてしまいました。
 今現在アイドル業界でもてはやされている風潮からしてみると、そのかなり古典的なお顔立ちはけっこう異端な感じなんですが、あの大女優・山田五十鈴さえも髣髴とさせる「和風の情炎」をあらわにした眉間のしわは、必ず金子さんに宿った天賦の才として花ひらくことになるでしょう! 今後のさらなる活躍がものすご~く気になる人ですね。

 いやホント、映画の『清須会議』で剛力さんがやってた役、あれ金子さんがやるのが一番良かったんだってばよ!! 黒澤映画に出てても違和感のないハロプロアイドル、金子りえ!!


※我が『長岡京エイリアン』が今回の記事を投稿した前日の12月28日。
 金子りえさんのお父様が、りえさんのハロプロ研修生卒業を自らのフェイスブックで報告されました。ハロー!プロジェクトからの正式な発表はまだありませんが、おそらく事実であると思われます。りえさん、5年間本当にお疲れさまでございました。
 金子りえさん、あなたの未来は限りなく広大で明るい。これからもさらに、もんのすごい美人になってくぞ~!!


8、殺す気ですね、これ……怒涛の選曲リスト&メドレー
 座って観るファミリー席で本当によかったです

 そういったにぎやかなコントがあった後は、ただ一人コントに参加しなかった夏焼さんによる、非常にしんみりした MCと『あいたいけど……』のソロ歌唱がありました。う~ん、心憎いまでに、いろんな角度から攻めてきますね!

 そして、それが終わったあとは、もう……

17曲目 メドレー ……『 BOMB BOMB JUMP 』(2011年)~『素肌ピチピチ』(2006年)~『世の中薔薇色』(2012年)~『夏わかめ』(2004年)~『かっちょええ!』(2004年)~『すっちゃかめっちゃか~』(2013年)
18曲目『スッペシャル ジェネレ~ション』(2005年)
19曲目『一丁目ロック!』(2011年)
20曲目『 cha cha SING 』(2012年 Berryz工房・ハロプロ研修生)
アンコール『なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?』(2005年)、『友情 純情 oh 青春』(2004年)

 って感じでして。え~……正直言いまして、「なんだかわかんないけど、ものすごかった!!」という、カヌーが転覆して激流にもまれた末に生還できた人とまったく同じ感想しか口にできません!!
 まさしく、これを「も~ぉう! すっちゃかめぇっちゃか~♪」と形容せずしてなんと形容できましょうか。その曲は唄われませんでしたけど。

 疲れた……楽しかったことは大前提なんですけど、わたくしといたしましては、実のところ「全ての曲にノリノリで追いつけた」とは言いがたく、息も絶え絶えで喰らいつくか、もしくは勉強不足だったためにあまり知らない曲の登場で戸惑ってしまう局面が多かったという、深い課題が残りました。「う~ん、もっと楽しめたはずなのに!」という反省が目立ちましたね。あと、単純に体力が後半バテちった! やっぱ、私にとっては「2日目がBerryz工房」というスケジュールは容量オーバー気味でした……

 いや~、もし今後またコンサートに参戦するとしたら、もっとしっかりせねば。これはそのまんま、約2年前に私が生涯最初の日本武道館、モーニング娘。第6代リーダー高橋愛さんの卒業コンサートを体験したときに感じた教訓でもありました。なんでも一発目はアップアップです。
 でもさ、経験がまだまだ浅いから確たることは言えないんですけど、Berryz工房さんのコンサートって、他のアイドルグループに比べて「オイ!オイ!」の掛け声とかサイリュウムの振り方とかのバリエーションが多くて、難易度ちょい高めじゃない!?
 歴史も長いですしね……Berryz工房は、やはり奥深い!! 日々の勉学に励むべし。


9、サイリュウムは7本必要でした! 各メンバーにそれぞれの見せ場がしっかり用意
 2本だけしか買わなかったわたくしが大馬鹿者でした……次回の課題だ!!

 今回の2時間半におよぶコンサートを通じて感じたのは、やっぱり動かしようのないBerryz工房というグループの特異性「キャラクターがバラバラすぎ!」が、そのまんまひとつのグループとしての個性になっているという奇跡でした。

 たいていどこのアイドルグループもそうかと思うんですが、モーニング娘。だって℃-uteだって、メンバー各人の個性は尊重しつつも、やっぱりひとつのグループとしての統一感だったり共通のカラーはあるはずです。アメリカ合衆国みたいな、州ごとに半ば独立していつつも最終的には星条旗で一致団結!みたいな。

 それに対して、このBerryz工房ときたら……まるで神聖ローマ帝国か、足利幕府みたいなガッタガタの学級崩壊感!! でも、決めるところでは必ず足並みがそろうという、恐るべきカッチョよさ!!
 これはもうね、ドリフターズ、モンティパイソン、ビートルズといった綺羅星のごとき天才集団にしか与えられていないポテンシャルの高さですよ。

 だって、菅谷さんと嗣永さんが、ふつうにやってたら目立たないんですからね。このお2人の個性が追い抜かれかねないグループって、どういうこと!?
 菅谷さんは、ほんとに奥ゆかしいエースだったね……また「氷室衣舞」みたいな感じで、ソロの武者修行やってくんないかしら? プロポーションとヘアスタイルが安定してきつつある今そういうお仕事をやったら、ももちみたいにご新規さんをいっぱいゲットしてこられると思うんだけどなぁ。2014年の動きに注目したいです!

 とにかくね、Berryz工房ほど「誰推し」とか言ってる場合じゃないグループはないってことですよ。
 私は今回、いつものごとく急場しのぎで「オレンジ」と「緑」の「とっくま」サイリュウムを会場で買って両手に持ったのですが(Tシャツは「赤」でした)、2色じゃぜんぜん足んなかった……7色出せるオリジナルペンライトはサイリュウムの10倍以上のお値段の3500円だったので、ついつい二の足を踏んでしまったのですが、ケチって大失敗でした。メンバー全色ないと楽しめんかったわ!!

 それとも別の話になるんですが、やっぱり、コンサートに行くたんびに、いちいち半日ももたないケミカルライトを買うのは不経済だとも痛感いたしましたので、これからは電池式のマイペンライトを増やしつつ、コンサートにのぞんでいきたいと思います! まずはこの前、ドンキホーテでオレンジのペンライト(ルミカ製)を購入したったぞ! 夢はバカバカしくも、ふくらみますねぇ。


10、たんなる通過点! Berryz工房はまだまだ奥深い
 声援のバリエーションが多い、多い! レベル高かったなぁ~

 あ、これ、さっき言っちゃってましたね。



 そんなわけで、11月28・29日、私の激動の「2日連続日本武道館」スケジュールは無事に終了いたしました。

 うん、体力もちませんでした!! そりゃいちおう、現場で倒れるとか翌日お仕事を休むとかいう影響はなかったわけなんですが、精神的に最後の最後までコンサートを楽しみきる余裕はなくなってましたね。精も根も尽き果てちゃった!
 あと、冬のコンサートは当日券だのみの私にとっては、暑い真夏以上にキツかったです……コンサートは春か秋ごろがいいな!

 やっぱ、日本武道館は「1シーズンに1日」かな……結局、今年2013年は春にモーニング娘。田中エース卒業コンサート、夏に℃-ute、そして冬にこの2日連続と、なんと「4回」もの頻度で江戸城田安門(今年にかぎって工事中でせまいせまい!!)をくぐったことになるわけで、私にとっては非常に意義深いアニバーサリーイヤーとなりました。

 さぁ、来年2014年は何回、日本武道館に行けることになるでしょうか。もしかしたら、日本武道館以外の会場におもむくという新展開があるのやも? ちょっと中野サンプラザのカウントダウンコンサートには行けそうにないんですが、また実り多い年になるといいですねぇ。まぁ、そのためには何はなくとも日々のお仕事なんですけどね!


 Berryz工房が今もBerryz工房として活動し続けているという、この当たり前のようでいてじぇんじぇん当たり前でない奇跡のある世界の中で私が呼吸をしていること、これもまた奇跡なりけり!!

 いろんなことに感謝しつつ、また明日からもがんばっていこ~☆ 宗教番組か、このシメは!!
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美人妻と低予算で行くハリウッド版パノラマ島奇譚  映画『ジュラシック・パーク3』

2013年12月27日 22時14分24秒 | 特撮あたり
映画『ジュラシック・パーク3』(2001年7月公開 アメリカ 93分)

 『ジュラシック・パーク』(1993年)、『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2』(1997年)に続く、シリーズ第3作である。
 シリーズの前2作が「マイケル=クライトンによる SF小説の映画化」という形をとっていたのに対し、この作品では基本的に映画オリジナルのストーリーが展開されている。また、「自然への畏怖を忘れた人間の傲慢」といった哲学的テーマも薄れ、家族向けの娯楽作品としての色あいが強くなっている。監督も前2作のスティーヴン=スピルバーグから、ILM の特殊効果スタッフ出身のジョー=ジョンストンに代わった。
 物語は、クライトンの原作小説2部作の恐竜活躍シーンのうち、映像化されていなかった部分を継ぎ合わせた形で進行する。原作第1作で執念深く主人公らを追跡した T-レックスの役割は、本作ではスピノサウルスが担っている。ただし、人間が「神の真似事」をすることへの批判精神は、原作小説および先の映画版2作から引き続き受け継がれ、主人公は再び第1作のアラン=グラント博士となった。
 映画版第1作でフェミニズム的性格の強い女性として描かれたサトラー博士は、本作ではアメリカ国務省のエリート官僚の妻となっているが、かつての同僚だったグラント博士との親交は続いている。
 総製作費9000万ドル、世界での興行収入は3億6880万ドルだった。

 その後、シリーズ全3作のプロデューサーであるキャスリーン=ケネディは、2009年製作予定でシリーズ最新作となる『ジュラシック・パーク4』の準備を進めていたが、原作者のマイケル=クライトンが2008年11月に死去したことにより、「彼の死は、もうシリーズに手を出すのはやめよう、というサインなのかもしれない。」と発言して続編製作から手を引き、今後も製作されない可能性を示俊している。


主なスタッフ
監督 …… ジョー=ジョンストン(51歳)
脚本 …… アレクサンダー=ペイン(40歳)、ジム=テイラー(38歳)
製作総指揮 …… スティーヴン=スピルバーグ(54歳)
特殊効果 …… スタン=ウィンストン(55歳 2008年没)
VFX  …… インダストリアル・ライト&マジック( ILM)


主な登場人物
アラン=グラント博士 …… サム=ニール(53歳)
 古生物学者。8年前のジュラシック・パーク事件(第1作)の当事者の一人だった。本作では、カービー夫妻の依頼でサイトB(イスラ・ソルナ島)を訪れる。
 イスラ・ヌブラル島の事件によって注目を浴びているものの、ヴェロキラプトルが独自の言語を用いて意思疎通を行っているという自説で学界から失笑を買っており、研究費に困窮している。ジュラシック・パークの恐竜は、カエルの遺伝子を元に「再現」されたものであって研究対象にはならないと考えており、「天変地異が起ころうとも絶対にもう恐竜の島へは行かない。」と断言していた。が、カービーが提示した巨額の報酬につられて、着陸しないという条件でイスラ・ソルナ島上空へのフライトに同行する。
 ジュラシック・パーク事件と前後して恐竜に対する考えが変わったらしく、著作の内容も変化したという。本人いわく、「事件前は私も恐竜が好きだったが、喰われかける前と後では違う。」とのこと。そのため、第1作のように、恐竜に積極的に好奇心を見せるような行動は少ない。パークを作った人間の行動を「神の真似事」と評して嫌悪している。

ポール=カービー …… ウィリアム=H=メイシー(51歳)
 カービー・エンタープライズの社長を名乗る男。本人いわくアウトドア派で、グラント博士にサイトBのガイドを依頼する。
 しかし、その正体は小さなタイル塗装屋の主人。アウトドア派というのも嘘で、実際にはカラコルム山脈のK2山の標高すら知らない。サイトBで行方不明になった息子エリックの捜索を現地警察やアメリカ政府に拒否されており、自力で探すために、グラント達を騙して小型飛行機で島を訪れる。しかし、グラントがサイトBを訪れたことがあると勘違いしていた。

アマンダ=カービー …… ティア=レオーニ(35歳)
 ポールの離婚した元妻。ポールと共に、グラントにサイトBのガイドを依頼する。

エリック=カービー …… トレヴァー=モーガン(14歳)
 カービー夫妻の息子。物語の2ヶ月前に、サイトB上空でパラセーリングに行って消息不明になる。
 インジェン社が遺した施設と非常食を頼りに、単身で2ヶ月もの間生き残っていた。ヴェロキラプトルの群れに囲まれたグラントをガス手榴弾を用いて救ったり、小型の肉食恐竜を避けるために T-レックスの小便を回収するなど、たくましい活躍を見せる。グラントと気が合う。

ビリー=ブレナン …… アレッサンドロ=ニヴォラ(29歳)
 グラント博士の助手。グラントと共にサイトBを訪れる。
 研究のためにヴェロキラプトルの卵を勝手に回収し、一行を危険に晒してしまう。そのことを知ったグラントは、「ここ(サイトB)を造った連中と何ら変わらない。」と糾弾した。中盤、エリックを救うためにプテラノドンの群れの中に飛び込み彼を救うが、自らはプテラノドンに追い立てられながら姿を消す。しかし終盤で、重傷を負いながらもグラント達と共に救出された。パラグライダーが得意で、かつて命を救われた古いバッグをお守りとして大事に持っている。

エリー=デグラー(旧姓サトラー)…… ローラ=ダーン(34歳)
 グラント博士の親友。もと古植物学者で、8年前のジュラシック・パーク事件(第1作)の当事者の一人だった。現在でもアランとの親交は続いているが、アメリカ国務省のエリート官僚と結婚しており、2人の幼い息子がいる。

ユデスキー …… マイケル=ジェッター(48歳 2003年没)
 サイトBに行くためにカービー夫妻が雇った男。飛行機の操縦を担当する。銃は持っているが戦闘は専門外。ヴェロキラプトルに襲撃され、他の人間をおびき出すための罠に使われたうえで殺された。

クーパー …… ジョン=ディール(51歳)
 サイトBに行くためにカービー夫妻が雇った男。銃撃のプロらしい。飛行機内でサイトB着陸に激しく抗議したグラント博士を殴って気絶させる。着陸後にスピノサウルスの襲撃を受けジャングルの中で応戦するが、全く歯が立たないまま捕食され死亡し、最初の犠牲者となる。

ベン=ヒルデブランド …… マーク=ハレリック(?歳)
 2ヶ月前にエリックとともにサイトB上空でパラセーリングをした男。アマンダの新しい恋人だった。エリックと共に島へ降下し、木に引っかかったところまではビデオカメラの映像で生存が確認される。しかし、何らかの理由で降りることができず、木からぶら下がったまま死亡し、ミイラのような遺体となって発見された。

マーク=デグラー …… テイラー=ニコルズ(?歳)
 エリーの夫。アメリカ国務省に勤務しているエリート官僚。


登場する恐竜・翼竜

トリケラトプス(体長9メートル)
 前2作に続いて登場した。本作で初めて群れで行動する姿を主人公たちに目撃されるが、遠景のみの登場で特に物語に絡むこともなく、これまでにも増して存在感がうすかった。

コリトサウルス(体長10~13メートル)
 本作で初登場した大型草食恐竜。体型も習性もパラサウロロフスによく似ているが、頭部の突起の形状が異なる。主人公たちが群れの中に乱入したために混乱する。

ステゴサウルス(体長7~9メートル)
 前作に続いて登場した。群れで行動する姿を主人公たちに遠景で目撃されるのみで、特に物語に絡むことはなかった。

パラサウロロフス(体長10~13メートル)
 前2作に続いて登場した。第1作のように群れで行動する姿を主人公たちに遠景で目撃されるのみで、特に物語に絡むことはなかった。

ブラキオサウルス(体長25メートル)
 第1作に続いて登場した。本作では群れで活動する生態が強調され、特にリーダーと目されるオスの個体も確認されている。

スピノサウルス(体長15~18メートル)
 本作で新たに登場した大型獣脚類で、肉食恐竜では最大の体長を誇る。前2作では最強の恐竜だったティラノサウルスさえも凌駕する戦闘力を持つとされ、本編中でも両者の格闘が描かれる。
 ただし現在、スピノサウルスは魚食と推定されており、本作で見られるような獰猛な性格は疑問視されている。これは、シリーズを通して学術的な立場から助言をしている古生物学者ジャック=ホーナーが、ティラノサウルスを戦闘能力の低い腐肉食性の動物と考えているためのバランス策であるが、実際にはホーナーの言うように、身体のサイズだけがその動物の強さを示すわけではない。本作の製作・公開時にスタッフや俳優が、「スピノサウルスは腕が大きく、鋭い爪を持っているので T-レックスよりも強い。」といった内容のコメントをしているが、実際のスピノサウルスの腕は本作で描写されるほど大きくはない。
 古生物や恐竜への造詣が深い SF研究家の金子隆一は、本作の日本版パンフレットの中で「実際はティラノの圧勝」と解説している。のちに、日本のアニメ映画『ドラえもん のび太の恐竜2006』でも T-レックスとスピノサウルスの対決は見られたが、ここでは金子の主張どおりの結果に終わった。

ティラノサウルス・レックス(体長11~13メートル)
 前2作に続いてシリーズ共通の強敵として登場するが、本作では「最強」の座をスピノサウルスに譲り、出番も少なくなっている。

ヴェロキラプトル(体長2メートル)
 前2作に続いてシリーズ共通の強敵として登場し、特に本作では、独自の言語のようなものを駆使して統制のとれた集団活動を行う高い知性が強調されている。
 映画製作当時、ヴェロキラプトルの化石から羽毛状の痕跡が発見されたため、本作のヴェロキラプトルの一部の個体には、頭に毛が生えているという変化が見られる。また、メスしか飼育されなかったイスラ・ヌブラル島のジュラシック・パークと異なり、サイトBでは恐竜が自然繁殖していることから、本作のラプトルでは雌雄の差もカラーリングやデザインによって区別されている。

コンプソグナトゥス(体長0.7~1.4メートル)
 前作『ロスト・ワールド』では「トリアシクス」という架空の種名で登場し、集団で人間を襲う獰猛な小型肉食恐竜として描写されていたが、本作では昆虫を捕食しながら移動する姿しか見られなかった。ただし、サイトBで2ヶ月生活したエリックがこの種を強く警戒していることから、コンプソグナトゥスが危険な存在であることに変わりはないと思われる。

アンキロサウルス(体長5.5~10.7メートル)
 本作で初登場した大型草食恐竜。群れで行動する姿を主人公たちに遠景で目撃されるのみで、特に物語に絡むことはなかった。

プテラノドン(翼長7~9メートル)
 本作の中盤に群れで登場し、サイトBの「翼竜飼育ドーム」跡地で主人公たちを執拗に追い回す脅威となった。

ケラトサウルス(体長4.5~6.0メートル)
 本作で初登場した中型肉食恐竜。グラント博士らが衛星携帯電話を回収するためにスピノサウルスの糞をあさるシーンに数秒間だけ登場した。ここでのケラトサウルスの外観は、同じく登場するティラノサウルスのデータをもとに造形されたと思われるが、実際のケラトサウルスは骨格に厚みがなくより華奢であり、両目も顔の前方を見るようには付いていない。




《ティア=レオーニはいいよな~♡  あぁ、途中。》
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ハリウッド版パノラマ島奇譚、その後  映画『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2』

2013年12月23日 23時30分15秒 | 特撮あたり
映画『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2』(1997年5月公開 アメリカ 129分)

 スティーヴン=スピルバーグによる映画『ジュラシック・パーク』(1993年)の続編。
 マイケル=クライトンの SF小説『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2』(1995年)の映画化だが、その内容には原型をとどめないほどの大幅な変更がなされている。そのため、映画公開の際には原作ファンから強い批判を受けた。もっとも、本作は小説の執筆と同時進行で制作されており、クライトンから「私も自由に書くから、映画も自由に作っていい。」と言われていたという。アカデミー賞・視覚効果賞にノミネートされた。
 前作『ジュラシック・パーク』の評価が高かったために期待された本作品は、その反動からか酷評される結果となった。第18回ゴールデンラズベリー賞においては「最低続編賞」、「最低脚本賞」、「最低人命軽視と公共物破壊しまくり作品賞」の3部門にノミネートされた。
 ちなみに、監督のスティーヴン=スピルバーグが自作の続編を再び監督した作品は、今のところ『インディ・ジョーンズ』シリーズと本作のみである。
 総製作費は7千300万ドルで、世界での興行収入は6億1864万ドル。日本国内での興行収入は58億円だった。


主なスタッフ
監督 …… スティーヴン=スピルバーグ(50歳)
原作 …… マイケル=クライトン(54歳 2008年没)
脚本 …… デイヴィッド=コープ(33歳)
撮影 …… ヤヌス=カミンスキー(37歳)
美術 …… リック=カーター(45歳)
音楽 …… ジョン=ウィリアムズ(65歳)
特殊効果 …… スタン=ウィンストン(51歳 2008年没)
VFX  …… インダストリアル・ライト&マジック( ILM)


主な登場人物
イアン=マルコム博士 …… ジェフ=ゴールドブラム(44歳)
 本作での恐竜調査隊の一員。数学者でカオス理論学者。4年前のジュラシック・パーク事件(前作)の当事者でもあった。
 原作小説では自身の理論の研究のために島を訪れるが、映画版では恐竜に対して強い恐怖感を抱き続けており、物語の序盤でハモンドから恐竜の生態調査チームに勧誘されるが、島を訪れることをいったんは拒否する。しかし、恋人のサラが参加してすでに島に上陸していることを知り、「調査隊ではなく救助隊だ。」と言って、サラを連れ帰ることを目的に、再び恐竜の世界へと足を踏み入れることになる。

サラ=ハーディング博士 …… ジュリアン=ムーア(36歳)
 恐竜調査隊の一員。イアンの恋人で古生物学者。イアン達より先に、単身でサイトB(イスラ・ソルナ島)を訪れていた。
 勇敢だが向こう見ずで、恐竜に対しても大胆な行動を見せるが、その行動が原因でエディが命を落とした。また、T-レックスの嗅覚についての知識があるにもかかわらず、T-レックスの幼体の血が付着した上着を着続けていた。その結果、T-レックスの親2頭がキャンプを襲い、多くのハンターが死亡した。
 映画版では言及されないが、サラが前作に登場したジュラシック・パークの専属獣医ハーディングの娘であるという示唆が、原作小説ではなされている。

ケリー=マルコム …… ヴァネッサ=リー=チェスター(?歳)
 イアンの娘。学校では体操部に所属しており、鉄棒が得意。父親のイアンに止められたが、こっそり隠れてサイトBについて来た。母親は既にマルコムと離婚しており登場しないが、黒人の血を強く引いており、ニックにも「似ていない親子」と評されている。

ニック=オーウェン …… ヴィンス=ヴォーン(27歳)
 恐竜調査隊の一員。カメラマンとして参加していたが、実際はハモンドに、インジェン社の恐竜捕獲計画を妨害する目的で雇われていた。自身は女性が多いのでグリーンピースに所属していたとうそぶくが、実は「アースファースト(地球救済会)」に所属していた過激な自然保護テロリスト。T-レックスの幼体をトレーラーに連れ帰ったことで親2頭の襲撃を招いたり、装填されていた銃弾を勝手に抜いたためにハンター達が壊滅的な被害を受けるなど、彼の行動によって調査隊とハンターメンバーの多くが命を落とした。ローランドからテロリストと呼ばれ激昂したり、恐竜の檻を壊したことでキャンプが被害にあっても全く悪びれる様子を見せずに「お前たちが悪い。」と言い張るなど、とにかくハンター団を敵視している。

エディ=カー …… リチャード=シフ(42歳)
 恐竜調査隊の一員。精密機械のエキスパート。かつては評判のいい大学教授だったが、物作りの現場に身を置きたいと考え転身したという異色の経歴を持つ。劇中に登場する調査隊の特殊トレーラーは彼の設計によるものである。映画版では、サラを撃退しようと襲い掛かるステゴサウルスに対し毒殺用の銃を向けたものの、「(彼らは)子どもを守ろうとしてるだけだ。」と、撃つことをためらっていた。ティラノサウルスにトレーラーごと崖から落とされたイアン達の救出に尽力するが、無惨な最期をとげる。

ジョン=ハモンド …… リチャード=アッテンボロー(73歳)
 インジェン社およびハモンド財団の会長。かつて前作でジュラシック・パークを建設した実業家。恐竜の保護とルドローの計画の阻止のためにサイトBに調査隊を派遣するが、彼の軽率な行動のためにマルコムが「調査隊じゃなくて救助隊」に参加する羽目になり、また、多くの人命が失われた。原作小説によれば、コスタリカの漁師も多数犠牲になっている。

アレクシス(レックス)=マーフィ …… アリアナ=リチャーズ(17歳)
ティモシー(ティム)=マーフィ  …… ジョゼフ=マゼロ(13歳)
 ハモンドの孫の姉弟。4年前のジュラシック・パーク事件(前作)の当事者だった。冒頭、ハモンド邸でイアンと再会する。

ピーター=ルドロー …… アーリス=ハワード(?歳)
 ハモンドの甥で、ハモンドに代わりインジェン社の社長になった。会社を立て直すためアメリカ本土のサンディエゴにジュラシック・パークの再建を計画し、恐竜ハンター団を雇ってサイトBを訪れる。叔父にも増して金の亡者であり、また恐竜や自然へのロマンといった意識も全く持っていない。

ローランド=テンボ …… ピート=ポスルスウェイト(51歳 2011年没)
 ルドロー社長に雇われた恐竜ハンター団のリーダー。「史上最強の猛獣」である T-レックスを狩ることだけを目的にハンターに加わり、ティラノサウルス狩りに情熱を燃やす。ニックいわく、「『白鯨』(メルヴィルの海洋小説)のエイハヴ船長のような」人物。最後は相棒のアジャイを失った後悔の念から、ルドローと袂を分かつ。
 演じたピート=ポスルスウェイトは、スピルバーグ監督から「世界一の役者」と高く評価されており、次作『アミスタッド』(同じく1997年)にも出演している。

ディーター=スターク …… ピーター=ストーメア(43歳)
 ルドロー社長に雇われた恐竜ハンター団の一員。ローランドから副隊長を任せられる優秀なハンターだが、スタンガンでコンプソグナトゥスをいたぶる冷酷な人物。皮肉にも、馬鹿にしていたコンピーの大群に捕食されて死亡する。ちなみに、このディーターの死亡シーンは、前作の原作小説で描写されたハモンドの死亡シーン(映画版の前作ではハモンドは死亡しない)を映像化したものになっている。

ロバート=バーク …… トーマス=F=ダフィ(?歳)
 ルドロー社長に雇われた恐竜ハンター団の一員。古生物学者。名前と、髪も髭も伸ばし放題のその容貌から、モデルはアメリカの古生物学者ロバート=T=バッカーであると思われる。

アジャイ=シドゥ …… ハーヴェイ=ジェイソン(?歳)
 ルドロー社長に雇われた恐竜ハンター団の一員。短髪に黒縁メガネの中年男性。ローランドとは旧知の仲で、サイトBでは彼の相棒として行動している。ヴェロキラプトルに襲われて死亡したらしいが、映画本編では途中でローランドとはぐれて以降登場せず、その最期は描写されていない。


登場する恐竜・翼竜

コンプソグナトゥス(体長0.7~1.4メートル)
 冒頭から登場し、サイトB(イスラ・ソルナ島)の海岸に訪れた旅行者家族の幼い娘に襲いかかるが、この描写は前作の原作小説『ジュラシック・パーク』の冒頭部分をもとにしている。劇中ではピラニアのように集団で、人間のような自分よりも大きな生物に襲いかかる獰猛な恐竜として描かれているが、実際には昆虫を食べていたと推測されている。
 その他、マイケル=クライトンの原作小説2部作においては「コンピー」と呼ばれ、アパトサウルスなど草食恐竜の糞を食べる、いわゆる掃除屋として描かれた。小説版では、この恐竜は「プロコンプソグナトゥス」であったが、その後、プロコンプソグナトゥスが実在しないことが判明した。そこで、映画版の本作では良く似ているコンプソグナトゥスになったが、映画オリジナルの設定として、現実には存在しない「コンプソグナトゥス・トリアシクス」という種になった。これは、習性のまったく違う本来のコンプソグナトゥスに配慮したためである。
 小型肉食恐竜という点で、前作におけるディロフォサウルスの役割を踏襲している。

ステゴサウルス(体長7~9メートル)
 イアン達がサイトBで最初に遭遇した恐竜。群れで行動するおとなしい性質の草食恐竜だが、幼体を守る時には一転して尾のトゲを武器に激しい攻撃を加える。

パラサウロロフス(体長10~13メートル)
 前作『ジュラシック・パーク』にも登場していた恐竜。前作では遠景にわずかに映るだけだったが、本作ではパキケファロサウルスと共に、本作の見所のひとつである捕獲シーンで活躍する。

パキケファロサウルス(体長4~8メートル)
 頭突きでジープのドアを破壊する活躍を見せるが、劇中のような突進による頭突きを実際に行えたかについては、いまだに異論も多く結論は出ていない。前作のディロフォサウルスのように、実物よりも小さい個体が登場している。

ガリミムス(体長4~6メートル)
 前作『ジュラシック・パーク』に続いて登場した。

マメンチサウルス(体長20~35メートル)
 バイクに乗った恐竜ハンターが、本種の股の間をくぐり抜けるシーンがある。
 巨大草食恐竜という点で、前作におけるブラキオサウルスの役割を踏襲している。

ティラノサウルス・レックス(体長11~13メートル)
 原作小説と同じくオス・メス・幼体の3体が登場する。前作よりも出番が大幅に増え、クライマックスまでイアン達を苦しめる。

トリケラトプス(体長9メートル)
 前作『ジュラシック・パーク』に続いて登場し、本作での個体は元気に活動していたが、出番はやはり少なかった。

ヴェロキラプトル(体長2メートル)
 体色が、前作『ジュラシック・パーク』の灰一色から黒い縦縞模様が入った茶褐色に変更され、原作小説により近いものになっている。本作でも、鋭い爪と高い機動力を武器に人間を最も多く殺す恐竜として描写されている。
 物語終盤では、アメリカ本土のサンディエゴにティラノサウルスのオスを運んできた貨物船が、航海中に何者かによって乗組員全員を惨殺され、無人となった状態で港の桟橋に激突する。ブリッジの操舵手は手首だけを残して食いちぎられていた。原作小説ではヴェロキラプトルや一部の小型肉食恐竜が船に密航して島から本土へ渡る描写があったが、本作は船内を無人にした真犯人が何者なのか、全く説明されずに物語が終わる。

プテラノドン(翼長7~9メートル)
 本作のエンドロール直前に登場するが、物語の中で人間と絡むシーンはなく、次作『3』への伏線となるような顔見せ程度にとどまった。


舞台となった島
 本作の舞台となるのは「イスラ・ソルナ島」という島で、スペイン語で「皮肉の島」という意味を持つ。この島は、「 Las Cinco Muertes(五つの死)」と呼ばれる、全体で「 C」を描くように連なる5つの諸島のひとつで、前作の舞台となったジュラシック・パーク跡地のある「イスラ・ヌブラル島」の南西140キロに位置する。
 原作小説では、コナン=ドイルの古典的 SF小説『ロスト・ワールド(失われた世界)』(1912年)にちなんで、島の周縁がそびえ立つ断崖絶壁でぐるりと囲まれ、航空機を使うかロッククライミングをしなければ島の内部に入り込めない地形になっている。しかし、映画版ではごく普通に船で海岸から上陸することができるように描写されている。
 イスラ・ソルナ島には、観光ではなく恐竜のクローニングと飼育を目的とした研究施設が建てられていた。この島で育った恐竜はいずれイスラ・ヌブラル島のジュラシック・パークに運ばれる予定であったが、ハリケーンの通過によって施設は壊滅状態となった。その際に島のジャングル地帯に解き放たれた恐竜たちは独自の繁栄を遂げている。




《途中なんだなぁ……どうにも。》
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色あせないハリウッド版パノラマ島奇譚  映画『ジュラシック・パーク』  まぁ……資料編だよね

2013年12月21日 23時10分17秒 | 特撮あたり
映画『ジュラシック・パーク』(1993年6月公開 アメリカ・ユニバーサル映画 126分)

 原作小説は、アメリカの SF作家マイケル=クライトン(1942~2008年)が1990年に発表した小説。バイオテクノロジーを駆使して現代に蘇った恐竜たちが巻き起こすパニックサスペンス。
 原作では、ハモンドをはじめとして多くの登場人物が恐竜に襲われ死亡する。小説版ではヴェロキラプトルを「知力が高く厄介な存在」と設定し、最大の脅威として描いており、これは続編となる小説版『ロスト・ワールド』(1995年)でも同様である。
 原作では登場する恐竜の種類数は映画版よりも多く、翼竜の飼育ドームは後に第3作『ジュラシック・パーク3』(2001年)で映像化された。
 原作・映画ともに「生命倫理や生命の進化・歴史」に関する哲学的テーマが存在する。

 映画版はアメリカ本国をはじめ世界各国で大ヒットし、全世界興行収入「9億1469万ドル」は世界歴代14位の記録であり、スティーヴン=スピルバーグ監督にとっても史上最大のヒット作である(2013年現在)。総製作費は6千300万ドル、日本国内での興行収入は83億円。
 映画用デジタル音響システムである、「 dts デジタルサウンド」を採用した最初の配給作品である。

 マイクル=クライトン自身も映画版の脚本に参加しており、おおまかなストーリーは原作に準拠したものとなっている。原作自体のモチーフは本来はカオス理論であったが、子どもでも楽しめる娯楽作品という興行上の理由から、映画版は恐竜復元に重点が置かれており、登場する数学者イアン=マルコムの自然に対する考え方が分かりやすく改変されている。
 原作小説で生き残る登場人物(ドナルド=ジェナーロ、ロバート=マルドゥーン)が死亡し、死亡する登場人物(ジョン=ハモンド、ヘンリー=ウー)が生き残るという変更がある。
 ハモンドの孫たちについて、原作では兄であるティムが「弟」に変更されている。これは、ティム役を演じたジョゼフ=マゼロの演技力を高く評価したスピルバーグ監督が、ジョゼフの出演を前提にキャスティングを行ったためである。

 映画本編中で、アラン=グラントはトリケラトプスを発見して「子どもの頃からいちばん好きな恐竜だ。」と語っているが、スピルバーグ監督本人も同様の発言をしている。


主なスタッフ
監督 …… スティーヴン=スピルバーグ(46歳)
原作 …… マイケル=クライトン(50歳 2008年没)
脚本 …… マイケル=クライトン、デイヴィッド=コープ(30歳)
撮影 …… ディーン=カンディ(47歳)
美術 …… リック=カーター(41歳)
編集 …… マイケル=カーン(57歳)
音楽 …… ジョン=ウィリアムズ(61歳)
VFX  …… インダストリアル・ライト&マジック( ILM)、ティペット・スタジオ
VFXスーパーバイザー …… デニス=ミューレン(46歳)
恐竜スーパーバイザー …… フィル=ティペット(42歳)


主な登場人物
アラン=グラント博士 …… サム=ニール(45歳)
 モンタナを中心に発掘研究を進めている古生物学者。多数の恐竜の卵の化石を発見し、恐竜に母性本能があった可能性を主張する。T-レックスに関して「動いている相手しか襲わない」「雨に弱い」という持論を持つが、続編小説では否定された。ハモンド財団傘下のインジェン社から、恐竜の育て方についての助言を求められており、発掘作業中だったためにジュラシック・パークの視察には乗り気でなかったが、映画版では「3年分の発掘作業資金」という好条件により承諾した。原作小説では子ども好きの設定だが、映画版では一転して子ども嫌いとなっている。ただし、いざとなると命がけで子どもたちを助けようとするなど、本心から嫌っているわけではない。
 グラントのモデルは、モンタナ州立大学ロッキーズ博物館の古生物学者ジャック=ホーナーであるという指摘がある。

エリー=サトラー博士 …… ローラ=ダーン(26歳)
 グラント博士の研究助手。古植物学が専門。映画版と原作小説とでは設定が異なり、映画ではグラントの恋人だが、小説では別の男性とすでに婚約している。なお、映画第3作ではグラントとは別人の夫と幼い息子たちが登場しており、小説版の設定を継承した形になっている。小説では「勇気のある女性」という設定を強調して描かれているが、映画ではフェミニストな面が強調されている。

イアン=マルコム博士 …… ジェフ=ゴールドブラム(40歳)
 テキサス出身の数学者。複雑系、いわゆる「カオス理論」の専門家。自然を模倣しようとするジュラシック・パークの複雑なシステムは必ず破綻する、と視察前から主張し続ける。物語における第二の主人公のような立ち位置で、カオス理論を通して、自然を支配しようとするジュラシック・パークのエゴイズムを糾弾した。皮肉屋でハモンドとは犬猿の仲。映画版ではサトラー博士を口説こうとするなど、原作小説に比べて軽い一面も持つ人物として描かれている。
 映画版では生還するが、原作小説では、T-レックスに襲われて負った傷が元で意識を失い、そのまま死んだように描写されていた。しかし、続編小説では病院に収容されて奇跡的に蘇生しており、こちらでも生還している。
 自らの生活様式をとことん追求し、服装からコーラの飲み方にまでこだわりを持つ。モデルは、アメリカの数学者で高次元ポアンカレ予想を解決したスティーヴン=スメイル博士とも、サンタフェ研究所のスチュアート=カウフマン博士とも言われている。ちなみに、原作小説ではカオス理論を用いてパークの欠陥を暴く場面があったが、映画版ではカットされている。
 離婚経験者で子持ちであるという設定は、続編『2』で反映されている。

ジョン=ハモンド …… リチャード=アッテンボロー(69歳)
 インジェン社およびハモンド財団の創始者。
 主人公側から批判される立場であることに変わりはないが、映画版と小説版では正反対の性格を持つ。
 映画版では、純粋に人々を楽しませることに情熱を傾け、「まやかしや小細工のない、誰が見ても驚愕する物を作る。」との信念からパークを建設する。金儲けに固執する顧問弁護士のジェナーロを、「このパークは金持ちのためだけに作ったのではない。」とたしなめるシーンもあり、原作小説におけるキャラクターとは正反対に設定されている。ふだんは子ども好きの好々爺だが、計画が狂うと激高することもあり、パークでの事故発生後も遺伝子操作による恐竜復活の正当性を主張し続けていたが、最終的には自らの過ちを認めた。スピルバーグの思いが強く込められたキャラクターであり、性格描写も自身をモデルにしている。グラント達と共に生き残り、映画版の続編『2』では島の恐竜たちを保護する立場にまわった。
 原作小説では、悪辣なビジネスマンとしての色合いが強い。典型的な山師であり、その商才は一方的に弁舌を振るう強引な金集めの面で強力に発揮される。ジュラシックパーク建設に際しては、遺伝子操作で造り上げた手の平サイズの超小型ゾウを披露して出資者を説得していた。子ども向け娯楽パークの建設もあくまで金儲けのための手段としてしかとらえておらず、ヒステリーを起こして子どもたちへの怒りを心中で吐く場面もある。自己中心的かつ頑迷なその性格から、パークのほとんどのスタッフに信頼されておらず、マルコムは続編小説で「ハモンドは単なる詐欺師だった。」と言い切った。恐竜を「自分の高価な財産」と考え、凶暴なラプトルの処分や緊急時の対恐竜用武器の装備、性質をおとなしくするための遺伝子改良はおろか、生態解明のための解剖すら許さない。ラプトルが脱走した際にも、マルドゥーンに「わしの恐竜に何をするつもりだ!」と食って掛かり、「(この状況では)主語が逆ですね。」と返されていた。原作小説では、クライマックスに小型肉食恐竜コンプソグナトゥスの大群に襲われて死亡した。

ドナルド=ジェナーロ …… マーティン=フェレロ(45歳)
 ジュラシック・パーク建設に出資しているインジェン社の顧問弁護士。映画版では中盤でティラノサウルスの餌食となるが、原作小説では狡猾な性格がさらにクローズアップされており、最後まで生き残る。利己主義者であり、自分の手は決して汚さず、パークの失敗も責任転嫁しようとした。拝金主義者であるという点では映画版も小説版も共通している。

ヘンリー=ウー …… ブラッドリー=ダリル=ウォン(32歳)
 ジュラシック・パークに常勤する遺伝子学者。恐竜のクローン再生の最大の功労者であると同時に、コンピュータにも強く、パークの管理システムにも精通している。映画版では中盤に船で本土に帰ってしまうため出番は少なかったが、原作小説ではパークのシステム復旧に尽力し、クライマックスでラプトルからエリーを助けようとして身代わりになり死亡した。
 ハモンドの熱意に乗せられてクローン研究に参加しているが、恐竜をソフトウェアのように扱うやり方に、グラントは違和感を覚える。

デニス=ネドリー …… ウェイン=ナイト(37歳)
 ハーバード大学卒のシステムエンジニア。巨漢の肥満者で度の強い眼鏡を着用している。本作における事件のキーパーソン。映画では強欲で間抜けな悪党に描写される。塩基解読用のスーパーコンピューターの並列処理を実現するなど優秀な人物だが、高慢で扱いづらい厄介者とされており、ハモンドは彼の仕事を一切評価していない。
 恐竜の胚を他の会社に横流しするというスパイ取引を企むが、パーク脱出の途中でディロフォサウルスに襲われ死亡する。

ロバート=マルドゥーン …… ボブ=ペック(47歳 1999年没)
 ジュラシック・パークの恐竜監視員。元はアフリカのハンティングガイド。動物園における野生動物のコンサルタントとしても実績を重ねていた。動物の恐ろしさを知らないハモンドを内心では嫌っている。一部の恐竜は動物園で管理できる代物ではないと主張し、対戦車誘導ミサイルなどの強力な兵器を管理本部に要求していた。ハモンドの孫たちの救出を承諾するなど勇敢な性格だが、映画版ではラプトルによって殺害される。原作小説では生還できた。

レイ=アーノルド …… サミュエル=L=ジャクソン(44歳)
 ジュラシック・パークのチーフエンジニア。原作小説での名前は「ジョン」。兵器開発に携わった後に世界の大手アミューズメントパーク建設に次々に参加し、その異色な経歴はハモンドからも認められている。マルドゥーンと並んで、現場の立場からハモンドに積極的に意見する人物。カオス理論を理解しておりジェナーロに解説するほどだが、本人はマルコムの理論を否定している。
 パークのシステムダウン後、電源復旧のために発電所に向かったところをラプトルに襲われて死亡する。

レックス=マーフィ …… アリアナ・リチャーズ(13歳)
 ハモンドの孫。ハモンドの娘である母は、映画版では夫と離婚している。映画版ではしっかりもののお姉さんだが、原作小説ではわがままで手を焼かせるティムの妹となっている。勝気で野球好き。口が悪い。映画版ではコンピューターに明るく、ヴィジターセンターのドアロックの復旧を行っている。

ティム=マーフィ …… ジョゼフ=マゼロ(9歳)
 レックスの兄。幼いながらも恐竜について深い知識を持った少年。原作小説ではグラントやマルドゥーンも感心するほど賢く、クライマックスでパークの全システムを再起動させる役も彼だった。映画版ではレックスの弟となり、年相応の饒舌な少年になっている。

ジェリー=ハーディング …… ジェラルド=R=モーレン(58歳)
 ジュラシック・パークに常駐している獣医で、恐竜の生態について現時点で最も多くの知識を会得している人物。物語の最後まで生き残る。
 原作小説版でファーストネームは言及されていないが、映画版では、スピルバーグ作品に多く関わる本作の共同プロデューサーであるモーレンがハーディングを演じたことから、彼の名前を取って「ジェリー」というファーストネームに設定された。
 映画版・小説版双方の続編に登場するサラ=ハーディングの父である。


恐竜の再生
 なぜ恐竜のDNA 欠損部位の補完に、原作小説の発表当時もっとも恐竜に近縁と考えられていた爬虫類ではなく、両生類のカエルを用いたのかについては、作中では説明がない。おそらくは「性転換する性質」を小説の内容に織り込むための都合と思われるが、爬虫類であるワニなどにも、成長中の環境によって性転換する種がいることが知られている。なお、2013年現在の学説に基づけば、恐竜の直系の子孫である鳥類をベースとして用いるのがより適切かもしれない。

生物再生の現実性
 琥珀に閉じこめられて地質年代を経た血球の核のDNA は損傷が激しいと考えられる。生物遺体のDNA 情報は「521年で半減」という割合で失われるという研究があり、これに基づけば数千万年前の恐竜時代のDNA情報はほぼゼロとなる。ただし、琥珀中ではなく剥製や永久凍土中に保存されている絶滅生物のDNA から情報を復元して、マンモスなどの絶滅生物のクローニングを目指す研究は実際に行われている。


映画に登場する恐竜
 映画化に際して、登場する恐竜の種類は、原作小説の15種から7種(ブラキオサウルス、トリケラトプス、ティラノサウルス、ディロフォサウルス、ガリミムス、ヴェロキラプトル、パラサウロロフス)に減った。

ヴェロキラプトル(体長2.0メートル)
 映画版での造形は顔つきがズングリとしており、むしろデイノニクス(体長2.5~4.0メートル)に近いものになっている。これは、当時ヴェロキラプトルとデイノニクスは同一種であるとする説があったためであるが、その後この説は否定されている。略称は「ラプトル」で、この呼称はティラノサウルスの「 T-レックス」とともに以後メジャーになった。狩猟本能に長け空腹でなくとも殺戮をし、サルをも凌ぐ高い知能を持つ動物であると設定されている。主に後脚の大きく鋭い鉤爪を使って獲物を襲う。本編での独特の鳴き声はイルカやセイウチといった海生動物の鳴き声を混ぜ合わせたものである。ちなみに実際のヴェロキラプトルは、長い尾を除けば中型犬程度の大きさであり、本作における「ラプトル」は規格外に大きく設定されているが、これについてはスピルバーグ自らが確信犯的に大きなサイズにしたと言及している。なお、デイノニクスやヴェロキラプトルは近年、羽毛のある恐竜であったと考えられている。

ブラキオサウルス(体長25メートル)
 本編中では、後脚で立ち上がったり、アゴを左右にスライドさせて咀嚼する描写があるが、どちらも実際には骨格の構造上不可能であると考えられている。『2』には登場しないが『3』で再登場する。

パラサウロロフス(体長10~13メートル)
 湖の岸でブラキオサウルスとともに群れている遠景のみの登場だったが、『2』以降ではより多く活躍している。

トリケラトプス(体長9メートル)
 病気で倒れている1頭だけが登場した。『2』以降にも登場しており、『3』では群れで活躍する。

ティラノサウルス・レックス(体長11~13メートル)
 本編中での鳴き声は「ゾウの赤ん坊の鼻息」、「ワニの唸り声」、「虎の咆哮」といった複数の動物の声を混ぜ合わせたものだった。「 T-レックス」という呼び名は本作以降メジャーなものになった。
 作中では、静止している獲物を視認できないとされている。この設定はクライトンによる続編小説では変更されたが、映画版では『3』まで継承された。また、本作では時速50キロ以上で疾走し、トップギアで走行するジープに追いつきそうになるシーンがあるが、『2』以降では走る速度が抑えられ、市街地を走行する普通車やバスよりも遅く、走る人間にさえなかなか追いつけなくなっている。しかし、この「動きが素早い」という設定は、視覚の設定とは逆に続編小説においてのみ継承された。

ディロフォサウルス(体長5~7メートル)
 本編中に登場した個体は、大きさが実物の成体よりも大幅に小さい。呼称は「スピッター(唾吐き)」。吐く毒は、素早く蛇毒血清で処置しなければ失明の可能性がある強力なもので、映画ではより強力な致死性に設定された。本作に登場する恐竜の中では最もデザインや習性が脚色されている。鳴き声は通常は白鳥のもので、威嚇時はガラガラヘビとタカとサルを混ぜ合わせたもの。

ガリミムス(体長4~6メートル)
 鳴き声はウマをもとにしている。


舞台となった島
 本作でジュラシック・パークが建設されたのは「イスラ・ヌブラル島」という架空の島であり、中米にあるコスタリカの沖合200キロの海域に位置している。同じくコスタリカ本土から南西550キロに位置するココ島がモデルだとされている。
 イスラ・ヌブラル島は12キロ、5キロ四方、面積35平方キロと比較的小さく、最も高い位置でも標高600メートルしかない。
 撮影に使用されたハワイの島々同様に、イスラ・ヌブラル島は火山活動が活発であるため、部分的に地熱が非常に高いこの島は濃い霧に覆われ、ジュラシックパークの施設は島の地熱エネルギーを利用している。イスラ・ヌブラル島は熱帯雨林に覆われており、2つの川が島の東と北に伸びている。島の中心には広大な人造湖があるが、映画本編では登場していない。

コンピュータグラフィックス
 当初、遠景の恐竜の映像は主にゴー・モーション技術で製作し、CG 恐竜はごく一部のみで使用される予定だったが、ILM のメンバーが密かに開発していたフルCG のティラノサウルスを見たスピルバーグ監督が、全面的にCG を使うことに方針変更した。その意気込みは、ライブアクションのシーンを削ってCG 製作に予算を回すほどであった。
 しかし、テストフィルムを古典的なストップモーション・アニメで製作し、恐竜の動作をデジタル入力するツールを開発、恐竜の動作の表現に苦心するCG スタッフたち自身が恐竜の動作をしてみたり、動物園に足を運んで観察を重ねるといった努力もなされ、こうした貢献は「アカデミー視覚効果賞受賞」という形で報われることになった。
 スピルバーグは、ハワイとユニヴァーサル・スタジオでの実写部分の撮影終了後にポーランドに移動し、次作『シンドラーのリスト』(同じく1993年)の撮影を開始したため、盟友ジョージ=ルーカスが視覚効果、音響効果、編集などのポストプロダクションを統括した。パラサウロロフスの水場として、ルーカスの制作拠点スカイウォーカー・ランチに実在する池が映る。なお、ルーカスは本作でのCG を見て、映像技術的な限界を理由に延期していた『スター・ウォーズ』新三部作の製作に取りかかった。
 スピルバーグは、俳優たちがガリミムスの群れと並んで疾走する場面をステディカムで撮影することに固執し、不規則で揺れの激しい手持ちカメラのシーンにCG を合成するプロセス上に、「カメラトラッキング(ブルースクリーンではなく実写映像上での合成)」という新たな概念を生んでいる。ここでは、俳優の目線をもとにトラッキングしたガリミムスを通過させている。
 映画本編におけるCG 使用シーンの合計時間はわずか7分間である。ただし、一瞬であるもののティラノサウルスに踏み潰されるツアーカーや蹴散らされる倒木といった恐竜以外の素材もCG で製作され、アクションシーンでスタントマンの顔だけを俳優の顔と取り替えるといった処理も可能にしている。また、俳優がティラノサウルスに喰われるシーンでは、ティラノサウルスが咥えた瞬間から俳優をCG モデルに置き換えており、これが史上初めてデジタル・スタントマンが映画に使用された例である。

アニマトロニクス
 大部分の恐竜のシーンはアニマトロニクスを使用して製作されており、特にスピルバーグ監督がこだわったのが、原寸大のティラノサウルス・レックスのアニマトロニクスであった。担当したスタン=ウィンストンは、航空シミュレーターの専門会社の協力を得て油圧駆動システムを製作、高さ6メートル・重量6トンのアニマトロニクスを完成させた。しかし、そのパワーと重量では動作時の反作用でスタジオの床を破壊してしまうため、深さ1.8メートルのコンクリート床を持つ水中撮影用ステージにボルトで固定され、その周囲にセットを組んで撮影するという処置が取られることになった。さらに雨のシーンでは表皮に使われたフォームラバーが水を吸って重くなり、重量過多で油圧システムの故障が頻発し、スタッフは連夜の修理と乾かし作業に追われることになった。
 幾多の困難がありながらも、俳優と恐竜が絡むシーンにおいてアニマトロニクスは絶大な効果を発揮し、CG が更に進歩した続編2作においても、アニマトロニクスは継続して使用された。


 ……いや~もうホント、文句のつけようのない歴史的作品でございますな。

 そんじゃまた、本作に関するつれづれは例によって例のごとく、まったじっかい~。
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