長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

突然炎のごとく……!!  総力特集 「せかいのサメ」 第5集

2013年11月07日 15時22分10秒 | 日記
ここでは、世界に400種生存していると言われるサメのうち、代表的な種を紹介します。

 暖かい海の覇者・メジロザメファミリー!! そのヴァリエーション、まさにとどまるところを知らず……


メジロザメ目(つづきその1 ヨゴレ・クロトガリザメ・クロヘリメジロザメ・オグロメジロザメ・ツマグロ・ツマジロ・ハナグロザメ・ペレスメジロザメ・ナガハナメジロザメ・ハナザメ)

ヨゴレ(汚れ) Carcharhinus longimanus
メジロザメ科メジロザメ属

別名 …… ヨゴレザメ
英名 …… Oceanic Whitetip Shark (オーシャニック・ホワイトティップ・シャーク)
体長 …… 1.7~4.0メートル

形態
 メジロザメ類の中では特徴的な外見で他種と区別しやすい。体型は流線形。頭部は平らでカーブする。背ビレと胸ビレが非常に大きい。円いカーブを描く各ヒレの先端部には、明瞭な白い斑点が見られる。境界は不鮮明で、汚れのように見えることからその和名がついた。両アゴで歯の形が異なり、上アゴの歯は幅広の三角形で鋸歯状縁をもつ。下アゴの歯は細身の三角形で、先端付近にのみ鋸歯状縁をもつ。

体型
 巨大で丸い背ビレと、同じく大きくて長い胸ビレのため、識別は容易である。鼻づらは長くて幅広い。

体色
 背側の体色は灰色から褐色で、暗い黄色がかることもある。腹側は白色。背ビレと胸ビレの先端にはっきりとした白い点があることが特徴である。

分布
 最も広く分布するサメの一つで、世界中の熱帯、亜熱帯、温帯の外洋に生息し、沿岸部には少ない。地中海にはいない。摂氏20℃以上の水温を好む。たいていは海表面から水深150メートルの海域に生息する。

生態
 外洋性のサメで、普段は海表面近くをゆっくりとしたスピードで遊泳する。基本的には単独で行動し、ブリモドキやコバンザメ、シイラをともなって泳ぐことが多い。また、逆にコビレゴンドウの群れに混じって行動することも報告されている。餌生物は主に硬骨魚類で、他に頭足類(イカ、タコ)や甲殻類、海鳥、ウミガメ、エイ、クジラなどの哺乳類の死骸が含まれる。また、海に浮遊するゴミを食べることもある。外洋という餌が乏しい不毛な環境に生息するヨゴレは機会選択的捕食者であり、好奇心旺盛で貪欲と見なされる。餌を見つけると動きが活発になり、「狂乱索餌」と呼ばれる狂騒状態になることもある。性別に分かれて行動することで知られるが、基本的には群れない。

 胎盤を形成する胎卵生である。妊娠期間は10~12ヶ月で、1回に産む個体数は1~14尾。産まれたときの幼体の体長は60~65センチメートル。オスは1.7~1.9メートル、メスは1.8~2.0メートルで成熟し、成熟年齢は4~7歳であるという。

危険性
 成魚は人間に対して危険である。海中で遭遇した場合は、細心の注意を払って行動する必要がある。沿岸性のものではホホジロザメ(第1集参照)、イタチザメ、オオメジロザメ(ともに第4集参照)が人間に危険とされているが、外洋性の種ではヨゴレは最も危険なサメ類のひとつである。海岸近くに接近してくることはめったにないといわれる。
 しかし、襲撃は沿岸ではなく外洋で行われるため、残された記録は多くない。1942年にイギリスの客船ノバスコシア号が南アフリカ沖のインド洋で沈没し858名が死亡した事故や、1945年にフィリピン海でアメリカの重巡洋艦インディアナポリスが沈没し約800名の乗員が死亡した事故では、その多くがヨゴレの犠牲になったとされる。
 2010年11~12月に、エジプトの紅海沿岸のリゾート地シャルム・エル・シェイクで海水浴客が相次いでサメに襲撃され死傷する事件が起こった。沿岸での被害ではあるが、これはヨゴレによるものと考えられている。

水産
 日本では毎年14トン程度が水揚げされ、そのほとんどがマグロ延縄(はえなわ)による混獲である。資源量は減少傾向にあり、大西洋、アメリカ、中西部太平洋で規制対象になっている。個体数は、ドキュメンタリー番組などでは乱獲のためにかつての1割程度しかいないと報じられるが、研究者の調査データではそこまで減ってはいないともいう。
 肉はフィレの他、干し肉、薫製、魚肉練製品などに加工される。ヒレはフカヒレに利用される。脊椎骨や皮も利用される。


クロトガリザメ(黒尖鮫) Carcharhinus falciformis
メジロザメ科メジロザメ属

英名 …… Silky Shark (シルキー・シャーク)
体長 …… 2.0~3.5メートル

体型
 すらりとした細身の流線型に、長くて丸みを帯びた頭部が特徴。胸ビレがやや大きい。他のメジロザメ科のサメ類とよく似ているが、第1背ビレは胸ビレの終わりの位置からはじまり、見わけるための貴重な目印となる。楯鱗(じゅんりん 鮫肌のこと)は小さく密に重なり合い、なめらかな体表面を構成している。英名の「 Silky(絹のような)」はここに由来している。

体色
 背側は茶色がかった暗い灰色で、腹側は白色である。

分布
 熱帯から亜熱帯にかけて世界中の海洋に広く分布しているが、地中海には現れない。特に摂氏23~24℃の水温を好む。主に水深500メートルまでの海域に生息する。基本的に外洋性であるが、沿岸にも出現する。

生態
 あらゆる種類の魚類や頭足類(イカ・タコ)、甲殻類などを餌としている。マグロ類の群れに寄りつき、キハダやその他小型のマグロ類をよく捕食する。
 胎卵生。約1年の妊娠期間を経て、体長80センチメートルの幼体を1回に2~14尾程度産む。産まれた子どもは沿岸域で成長し、大きくなると外洋に泳ぎ出す。寿命は22歳以上と考えられている。
 漁獲されてはいるものの、はっきりと個体数が減少したという情報はない。

人との関わり
 クロトガリザメはそのサイズから人間にとって潜在的に危険であると考えられているが、外洋性であるため海中で遭遇する機会はまれである。ただし、頭を持ち上げて背中を湾曲させるメジロザメ類特有の威嚇の姿勢を見せることがある。


クロヘリメジロザメ(黒縁目白鮫) Carcharhinus brachyurus
メジロザメ科メジロザメ属

英名   …… Copper Shark (コパー・シャーク)、New Zealand Whaler (ニュージーランド・ホエーラー)、Bronze Whaler (ブロンズ・ホエーラー)、Blacktipped Whaler、Cocktail Shark、Cocktail Whaler
体長   …… 2.0~3.3メートル
生息年代 …… 中新世(約2300万年~500万年前)から現在

 英名「 Whaler(捕鯨者)」は、19世紀の太平洋の捕鯨船乗組員が、クジラの死骸に群がる本種を見たことに由来する。短縮して「 Bronze 」、「 Bronzie 」、「 Cocktail 」とも呼ばれる。

体型
 他の大型メジロザメ類によく似ており、区別は難しい。
 大型でほっそりした流線型の身体を持ち、頭部の後方が少し盛り上がっている。頭部は長くて尖り、目は比較的大きく、瞬膜(水平方向に動いて眼球を保護する半透明の膜)がある。

 第1背ビレの後端はほぼ三日月型に反り返っていて後縁はへこみ、胸ビレのほぼ終わりの上方から始まる。胸ビレは大きく、鎌型で尖った三日月型をしている。第2背ビレは小さくて低く、尻ビレの反対側に位置する。2枚の背ビレの間に隆起がないことが特徴である。尾ビレの下葉はよく発達し、上葉の先端付近には深い欠けがある。

 口角にはわずかに溝があり、上アゴの歯列は29~35本で下アゴは29~33本。歯には鋸歯状縁があり、上アゴの歯は特徴的なカギ形で、後ろに傾く。下アゴの歯は直立している。成体オスの上アゴの歯はメスや幼体に比べて長く細い弧を描き、より細かい鋸歯状縁がある。エラは5対でかなり長い。
 特に同属のドタブカに似ているが、上アゴの歯の形状、背ビレ間に隆起がない、ヒレに模様がないことで区別できる。

体色
 背側は明るい茶色から黄色がかった灰色をしていてメタリックな光沢があり、ピンクが交じることもある。ヒレの先端やエッジに黒い斑点が見られるがそれほど目立たず、死後は全体が急速にくすんだ灰褐色に変色する。腹面は白く、側面には明瞭な白い帯がある。

分布
 メジロザメ属では唯一、熱帯よりも温帯の水温12℃以上の海域を中心に分布する。隔離分布しているため、いくつかの個体群に分れているとみられる。海岸の浅瀬から水深100メートル以深の外洋まで幅広い範囲に生息する。
 西大西洋ではメキシコからアルゼンチン、東大西洋では地中海、モロッコ、カナリア諸島から南アフリカ、西太平洋では東シナ海から日本(北海道を除く)、ロシア南部、オーストラリア南部、ニュージーランドからケルマディック諸島まで、東太平洋ではカリフォルニア湾からチリ北部まで生息する。アルゼンチン、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドではよく見られるが、他の地域での出現は珍しい。多くの地域で他種のメジロザメ類と混同されているため、正確な分布は不明である。

 浅瀬や港湾などの浅い場所によく出現するが、大陸棚外の外洋にも生息し、岩礁や離島でも見られる。低い塩分濃度に耐え、三角江や大河の下流でも確認されている。幼体は年間を通して水深30メートル以内の浅瀬に生息するが、成体は沖合に生息し、春から夏にかけて沿岸に大群で現れる。
 両半球の個体群とも、水温・繁殖・餌などによって季節回遊をするが、移動パターンは年齢や性別によって異なる。メスの成体と幼体は冬を低緯度海域で過ごして春には高緯度海域に戻り、妊娠中のメスはそこで出産する。オスの成体は年間を通して低緯度海域にいるが、晩冬から春にかけて高緯度海域に回遊し、出産を終えたメスと交尾する。1320キロメートルを回遊した記録もあるが、毎年同じ海域に戻る。

生態
 頻繁に見られる種だが、他の種と見間違えられやすいこともあって、ほとんど研究されていない。雌雄は別々に暮らし、季節回遊を行う。群れで狩りを行い、さまざまな種類の魚類、小型のサメ、エイ、頭足類(イカ・タコ)などを捕食する。海面より海底での摂餌を好む。
 軟骨魚ではツノザメ・アカエイ・ガンギエイ・シビレエイ・ノコギリエイなどを食べる。2メートルを超えた個体では頭足類・軟骨魚が重要な餌となり、幼体はエビなどの甲殻類やクラゲも捕食する。海獣(哺乳類)は襲わないが、まれに漁網に絡まったイルカを捕食する。

 素早く活動的で、単独か2匹で見られる他、緩くまとまった数百匹の群れを作ることもある。群れは繁殖や大量の餌の獲得に起因すると考えられる。より大型のサメに捕食されることがある。
 多数の個体が協力して狩りをする姿も観察されている。小魚の群れを追い込んで球状にし、各々のサメが口を開けて突入することで捕食する。マグロなどより大きな魚に対しては、翼型のフォーメーションで追跡することで獲物同士を近づけ、特定の標的を順番に攻撃する。南アフリカのフォールス湾では、本種が地引網漁船を追跡することが報告されている。

 他のメジロザメ類のように胎卵生であり、使い切った卵黄嚢を胎盤に転換する。メスの右側の卵巣だけが機能するが、子宮は両側が機能する。南半球では10~12月(春から初夏)に高緯度沖合で交尾が行われる。出産は6~1月と10~11月をピークとしているようである。メスは沿岸・海峡・湾などの浅瀬を幼体の成育場として用いる。成育場は十分な餌とより大型のサメからの保護を条件としている。
 妊娠期間は12ヶ月とされているが、より長い15~21ヶ月という報告もある。1年おきに出産し、1回に産む個体数は7~24尾だが、平均して15尾前後である。出生時の幼体の体長は60~70センチメートル。メジロザメ属でも最も成長の遅い種で、オスは2.0~2.4メートルの13~19歳、メスは2.2~2.5メートルの19~20歳で性成熟すると報告されている。寿命は最低でもオスで30歳、メスで25歳。

人との関連
 大型で強力ではあるが、餌が存在しなければ凶暴になることはないため、特に危険なサメとはみなされていない。だが、人間の釣りの獲物を奪い取ったり、本種が豊富なオーストラリアでは海水浴客に噛みついた事例もある。2011年9月、西オーストラリア州バンカー湾での死亡事故は本種によるものと証言する目撃者がいた。他の大型で活動的なサメ類と同じように飼育は難しく、水槽の壁に衝突して傷つき、感染症から死に至ることが多い。
 商業漁業がニュージーランド・オーストラリア・南アフリカ・南米・中国などで行われており、混獲されることもある。刺し網・底延縄、稀に底引網や遠洋延縄で捕獲され、肉は食用とされる。釣りの対象ともなる。

 成熟が遅く繁殖力が低いため、乱獲の影響を受けやすく個体数が減少しており、IUCN(国際自然保護連合)は保全状況を「準絶滅危惧」としている。オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカでは漁業がよく管理されており、これらの地域では「軽度懸念」とされている。ニュージーランドでの漁獲量は1995年の40トンをピークに減少を続け、2001年には20トンに半減しているが、明確な原因は不明である。
 東太平洋では本種は珍しく、漁獲データも少ないため情報不足とされている。だが、カリフォルニア湾では高い漁獲圧によって全てのサメ類の漁獲量が減少している。1970年代からは漁獲される本種のほとんどが幼体で占められている。他の危機として、成育場となるべき沿岸の開発による生息地破壊、水質汚染、養殖業者による駆除などがある。


オグロメジロザメ(尾黒目白鮫) Carcharhinus amblyrhyncos
メジロザメ科メジロザメ属

英名 …… Grey Reef Shark (グレイ・リーフ・シャーク)
体長 …… 2.5メートル

体型
 一般的なメジロザメ類と同様に、スマートな流線型をしている。
 大きく幅の広い鼻づらをしており、背ビレは胸ビレの終わる位置、もしくはそのやや前方から始まる。目は大きくて丸く、歯は三角形でギザギザが入っているて、上アゴの歯は斜めに傾いていて、下アゴの歯は細くて鋭い。

 メジロザメ属のサメは外見が似たものが多く、海中で見分けることは困難だが、本種はその尾ビレのエッジが特徴的に黒いことで区別が可能である。同じく暖かい海域に生息するツマグロともよく似ているが、こちらは背ビレの先端が黒い。また、本種はツマグロよりもやや大型である。

体色
 英名「グレイ・リーフ・シャーク」の通りに背側は灰色をしており、腹側は白色である。背ビレの先端には白い点がある。

分布
 紅海、インド洋から太平洋の北オーストラリア、ハワイ、タヒチまでの暖かい海域で普通に見られる種で、大西洋や地中海にはいない。大陸や島の沿岸からあまり離れない所で生活し、熱帯のサンゴ礁や入り江によく現れ、水深280メートルまでの海域に生息する。

生態
 活動的で速く泳ぎ、社会性を持つ。また、海底にじっと横たわっていることも可能である。オグロメジロザメは一日中群れを組んでおり、特に幼体や若い成体は大規模な群れを形成する。狭い水路の入口や入り江に集まるが、夜になると群れは解散するらしい。主にサンゴ礁の魚類やイカ、カニなどを食べる。傷ついて弱った獲物の臭いを嗅ぎつけると、遠くにいてもすぐに集まってくる。気性はやや荒く、興奮すると動きが急激に活発になり、仲間同士で獲物を奪い合うようにして貪り食う。

 12ヶ月の妊娠期間のあと、1回に体長45~60センチの幼魚を1~6尾出産する。8年ほどで成熟し、今までに分かっている最高齢は25歳。ダイバーにとっては大変なじみの深いサメである。

人との関わり
 パラオなど熱帯のサンゴ礁によく出現し、ダイバーと鉢合わせすることも多い。普段はおとなしくゆったりと泳いでいるので、刺激しないように距離を取れば襲われる危険は低い。ただし、血の臭いや水がバシャバシャと跳ねる音などは、サメに弱った獲物がいると察知させるので、ケガをした状態で海に入ったり、餌用などに死んだ魚を持って泳いだりすることは避けた方が良い。興奮すると動きは素早くなり、攻撃的になる。この場合は腹部や脚などの大きな血管がある部分を噛まれないようにして、早急に水から上がらなければならない。
 このサメは、その他にも縄張りへの侵入者に対する威嚇行動をとることで知られている。ダイバーがこれを無視すると、激しい攻撃に転じて襲いかかってくる。

 世界中で、フカヒレを取るために多くのオグロメジロザメが漁獲されている。漁獲量の規制が行われているにもかかわらず、高値で取引されるフカヒレであるため、違法に操業する密漁船が数多く存在する。これはオグロメジロザメに限らず、多くのサメ類が同じ状況に置かれている。正確な生息数を把握することは困難だが、あきらかにサメの繁殖速度を上回る勢いで乱獲が行われており、確実にその個体数を減らしていることが予想される。


ツマグロ(端黒) Carcharhinus melanopterus
メジロザメ科メジロザメ属

英名 …… Blacktip Reef Shark (ブラックティップ・リーフ・シャーク)
体長 …… 0.9~2.0メートル

体型
 小型で幅広い、短い頭部を持つ。
 成熟サイズはオスが0.9~1.0メートル、メスが1.0~1.1メートル。流れるような身体のラインは、多くのメジロザメ科のサメ類に共通するものである。

体色
 背側が灰色を帯びた明るい茶色で、腹側は白色である。和名や英名の由来にもなっている、背ビレ、胸ビレ、尾ビレの先端にある明瞭な黒色の斑紋がトレードマークである。黒斑の周りは白くなっており、コントラストがはっきりしているので目立つ。特に背ビレには大きな黒い斑点があり、容易に見分けられる。身体の側面には、背中から伸びた1本の白い横縞が見える。

分布
 主にインド洋、紅海、太平洋、東地中海といった暖かい海の浅瀬に分布する。特にサンゴ礁では普通に見られる種で、非常に浅い水深のところまで進入する。

生態
 チョウチョウウオやカワハギ、ボラなどのサンゴ礁で生活する魚類を餌とする。身体の大きさにかかわらず活発に泳ぎ回り、単独か数尾の群れで行動する。水面からジャンプしたり(ブリーチング)、顔だけを出して辺りの様子を伺ったり(スパイ・ホッピング)することが知られている。また、自分の腸を体外に露出させて食べカスなどを洗い流すという珍しい生態も持っている。胎卵生で、16ヶ月の妊娠期間を経てメスは1回にに2~4尾の幼体を産む。産まれたての幼体は30~50センチメートルほどの大きさである。

人との関わり
 ダイバーに興味を示して近寄ってくることもある。基本的にはおとなしい性格で、いきなり噛みついたりするようなことはほとんどないが、他のメジロザメ科のサメ類と同様に、恐怖を感じると体をS 字状に屈曲させて威嚇行動をとる。この行動を見たら、人間はすみやかにその場から立ち去るべきである。ツマグロは人を積極的に襲う種ではないが、恐怖を感じると攻撃してくることがあり、注意が必要である。また、浅瀬にも進入するので、足を噛まれないように十分注意を払いたい。

 飼育が容易なため、多くの水族館で飼育・展示されている。
 ツマグロは混獲などにより個体数を減らしている。また、そのヒレはフカヒレスープに使われるため、ヒレだけを切り落とされて海に捨てられることが多い。ヒレを切り落とされたサメは泳ぐことが困難になって死亡する。妊娠期間が長い上に1回に産む個体数が少ないので、一度個体数が減ると個体群の大きさを元に戻すには大変な時間がかかる。

 近似種に、ヒレの先端が白いツマジロがいるが、こちらはツマグロよりも大型で、かつ気性も荒く、危険なサメに入れられているので注意しなければならない。


ツマジロ(端白) Carcharhinus albimarginatus
メジロザメ科メジロザメ属

英名 …… Silvertip Shark (シルヴァーティップ・シャーク)
体長 …… 1.6~3.0メートル

形態
 平均的なサイズは2.0~2.5メートルで、雌雄ともに1.6~1.9メートルで成熟する。出生時の幼体のサイズは60~70センチメートル。
 体型はやや細身の流線形。頭部は長く、先端は扁平で丸い弧を描く。2枚の背ビレ間に隆起線がある。
 大型である分優位種であるためか、同属のツマグロよりも見かける機会は少ない。なお、同じメジロザメ科にヒレの先端が白いネムリブカがいるが、こちらも同じサンゴ礁や岩礁域に生息しているものの、体長1.6メートルほどの小型なおとなしいサメである。

体色
 背側が濃い灰色で、腹側は白色である。全てのヒレの後方のエッジが白くなっていることが最大の特徴である。

分布 
 インド洋、太平洋の熱帯海域に分布し、大西洋では未確認である。海表面から水深800メートルまでで見られる。サンゴ礁によく現れ、ドロップオフ(岩礁が垂直に近い形で深場まで落ちている地形)でもみられる。
 近親交配を避けるために回遊したり、群れをつくる場合もあるという。

生態
 広い種類の魚を捕食する。餌生物には小型のサメやエイ、イカ、タコも含まれる。
 胎盤を形成する胎卵生。南半球では夏に交尾し、約1年の妊娠期間を経て翌年の夏に出産する。1回に産む個体数は1~11尾。
 好戦的な種で、しばしば身体に同種間での闘争の傷痕がみられる。

人との関わり
 水産上重要ではないが、フカヒレやかまぼこの原料にされることもある。
 ツマジロに関わる人身事故はほとんどなく、本種が故意に人を襲った事例は1件のみ報告されている。しかし大型な個体になると攻撃的になる場合もあり、危険だとされる。あくまでも人間を襲って致命傷を与える可能性はあり、十分な注意が必要である。


ハナグロザメ(鼻黒鮫) Carcharhinus acronotus
メジロザメ科メジロザメ属

英名 …… Blacknose Shark (ブラックノーズ・シャーク)
体長 …… 0.9~2.0メートル

分類
 1988年にクロトガリザメやツマグロを含む5種のメジロザメ類と近縁であると提唱された。1992年の遺伝子酵素を用いた分子系統解析では、この種がメジロザメ属の最も基底に位置すると結論づけられた。2008年のリボソームDNA 解析では、カマストガリザメとの類縁が示唆された。その他にも様々な説があるが、その系統的位置はいまだに確定していない。

分布
 熱帯から亜熱帯の西部大西洋沿岸(南北アメリカ大陸東海岸の大陸棚)に生息し、北はノースカロライナからバハマ、メキシコ湾、カリブ海を経て、南はブラジルにまで分布する。沿岸の海草藻場、砂底、サンゴ礁によく見られる。年齢・性別ごとに住み分けており、幼魚は浅瀬で、成魚は水深10~70メートルの海域で見られる。南大西洋フロリダ半島の東側やメキシコ湾では、夏は北に、冬は南あるいは沖合いに回遊する。

形態
 細い流線型の体に、長く先端の丸い頭部と大きい目を持つ。鼻孔には、水流を制御するためによく発達した「前鼻弁」がある。上アゴの歯列は24~26本、下アゴは22~24本で、中央には1~2本の癒合した正中歯列がある。歯は三角形で傾き、鋸歯状縁がある。上アゴの歯は下アゴの歯よりも頑丈である。5対のエラは短い。
 第1背ビレは胸ビレの後端上部から始まり、小さくやや鎌型で先端が尖っている。第2背ビレは第1背ビレの半分ほどの大きさである。2枚の背ビレ間に隆起はない。胸ビレは短く先細りになる。 身体は厚い鮫肌に覆われており、5~7本(幼魚は3本)の隆起線が並行に走っている。
 平均的な体長は1.3~1.4メートルで、体重は10キログラム。最大全長2.0メートル、最大体重19キログラムの記録がある。

体色
 背面は黄色か緑がかった灰色もしくは茶色で、腹面は白から黄色である。和名・英名は幼魚の鼻先にある黒い斑点に由来したものだが、成魚では不明瞭になる。第2背ビレと尾ビレ上葉の先端が黒く、さらに尾ビレ下葉の先端も黒い個体もいる。

生態
 素早く泳いで小魚を捕食する。主にタイ、アンチョビ、ハコフグ、ハリセンボンなどの硬骨魚であるが、タコなどの頭足類も食べる。素早いため、ペレスメジロザメのような大型のサメから餌を掠め取ることもできるが、逆に大型のサメの餌となることもある。アンチョビやボラと共に大規模な群れを形成することもある。帰巣本能が強く、幼魚も成魚も毎年同じ水域に戻る。
 背を反らせて胸ビレを下げ、口を開けて大きく左右に泳ぐという、メジロザメ類特有の威嚇行動をダイバーや他の個体に対しておこなっている様子が観察されている。

 他のメジロザメ類のように胎卵生で、卵黄を使い切った胎児は卵黄嚢を胎盤に転換する。アメリカ沿岸では、オスは毎年、メスは1年おきに繁殖すると考えられているが、ブラジル北東部ではメスも毎年繁殖する。秋に交尾・受精し、翌年の春から夏にかけて幼魚が産まれる。妊娠期間はブラジルで8か月、アメリカで9~11か月である。
 メスは、湾内やマングローブのような浅い成育場で1回に1~6匹の幼魚を産む。成育場としてアメリカ・サウスカロライナ州のブルズ湾が知られている。幼魚の体長は40~50センチメートル。メスはオスよりも成長が遅く、寿命が長く、最終的な成長サイズも大きい。フロリダ半島の東側では体長90センチメートル、オスは4.3年、メスは4.5年で性成熟する。メキシコ湾では体長85センチメートル、オスは5.4年、メスは6.6年で性成熟する。寿命は16~19歳。

人との関連
 人への攻撃は報告されていないが、威嚇行動をしてきた場合は注意すべきである。ゲームフィッシュとされている。アメリカ、ベネズエラ、ブラジルで刺し網や延縄によって漁獲・混獲され、肉は干物や塩漬けにされる。エビのトロール網漁の際に幼魚が大量に混獲されており、大きな問題となっている。
 アメリカでは、1993年から大西洋・メキシコ湾のサメ類に対する漁業管理計画によって漁獲が制限されており、年平均62トンが漁獲され、商務省の海洋大気庁は、資源量評価から大西洋とメキシコ湾で乱獲が起きていると判断し、2009年に本種に「6065匹」の漁獲枠を設ける代わりに、大西洋での刺し網の使用を禁止した。ブラジル北部での個体数は安定しているが、カリブ海ではデータがない。IUCN(国際自然保護連合)は全世界での保全状況を「準絶滅危惧」としている。


ペレスメジロザメ(ペレス目白鮫) Carcharhinus perezi
メジロザメ科メジロザメ属

英名 …… Caribbean reef Shark (カリビアンリーフ・シャーク)
体長 …… 3.0メートル

分布
 カリブ海および大西洋西部、アメリカ合衆国フロリダ州、バハマからブラジル沖にかけての暖海域に分布する。沿岸の浅い海で生活し、サンゴ礁の海底や外縁を遊泳する。

形態
 典型的なメジロザメ属の体型をしており、ややどっしりとした流線型である。特に目立った特徴が無く、メジロザメ属の他のサメとの区別が難しい。

体色
 背側は青みがかった濃い灰色で腹側は白色。胸ビレ、腹ビレ、尾ビレの先端は黒色である。

生態
 サンゴ礁に生息する硬骨魚類やエイ、甲殻類を捕食する。メスは1回に4~6尾の幼体を出産する。幼体の大きさは60~70センチメートル程度。個体数が豊富であるにもかかわらず、その生態はあまり知られていない。


ナガハナメジロザメ(長鼻目白鮫) Carcharhinus signatus
メジロザメ科メジロザメ属

英名 …… Night Shark (ナイト・シャーク)
体長 …… 1.8~2.8メートル

 英名の「 Night shark 」は、主に夜に捕獲されることから名付けられた。

分布
 大西洋の大陸棚外縁、上部大陸斜面の深海に生息し、西はアメリカのマサチューセッツ州からアルゼンチンまで(メキシコ湾・カリブ海を含む)、東はアフリカ大陸のセネガルからナミビア北部にまで分布する。アメリカでは特にフロリダ海峡でよく見られる。
 深海性で、水深2000メートルでの確認報告があるが、水深26メートルにまで浮上してくることもある。アメリカ南東部では、主に水深50~600メートルの海域で捕獲される。ブラジル北東部では水深40~370メートル、西アフリカでは水深90~290メートル、水温摂氏11~16℃の場所で観察される。キューバでは季節によって漁獲量が変動するため、季節回遊している可能性がある。

形態
 身体は細く、長く尖った頭部を持つ。鼻孔には発達した前鼻弁がある。眼は大きくて丸く、生きている時は緑色に光っている。不完全ながら瞳孔と瞬膜がある。口角に溝はなく、上下のアゴに30本ずつの歯列があり、中央には上アゴで1~2本、下アゴで1本の正中歯列がある。上アゴの歯は細く尖がり、後ろの歯ほど後方に傾く。基底の後縁のみに鋸歯状縁がある。下アゴの歯は直立して滑らかである。5対のエラは比較的短い。
 胸ビレは全長の1/5ほどと長く、先細りで先端は丸い。第1背ビレは比較的小さく三角形で尖り、胸ビレ後端の上方から始まる。第2背ビレは第1よりもさらに小さく、臀ビレよりわずかに前にある。2枚の背ビレ間には隆起がある。皮歯(鮫肌)はそれほど密ではない。個々の皮歯は菱形で、幼体で3本、成体で5~7本の隆起線が平行に走っている。

体色
 背面は灰青色から褐色、腹面は白色である。各ヒレに模様はない。側面に薄い縞があり、背面には黒い小さな斑点が散らばることもある。

生態
 高速で泳ぎ、ボラ・サバ・マナガツオ・ハタ・トビウオのような活動的な硬骨魚を捕食する。イカやエビも食べる。狩りは夜に行われ、特に日暮れと夜明けに活発になる。捕獲記録からは、群れで日周鉛直移動をすることが示され、日中は水深280~370メートル、夜間は180メートルよりも浅い海域に移動する。排卵・妊娠中のメスはあまり見つからないが、これは摂餌を止めて群れから離れているためと考えられる。より大型のサメが天敵となる。

 他のメジロザメ類のように胎卵生であり、使い切った卵黄嚢を胎盤に転換する。メスは右側の卵巣だけが機能するが、子宮は両側が機能し、胎児ごとの部屋に分かれている。生態に関する情報はブラジル北東部から得られたものが主であり、他の地域ではあまり分かっていない。ブラジル北東では夏に交尾が行われる。
 妊娠期間は1年で、1回に産む個体数は4~18尾で、通常は12尾以上である。出生時の幼体の体長は50~70センチメートルで、初年度に25センチメートル(全長のおよそ38%)の成長を示す。この急速な成長率は、外敵に対して弱い時期を短くして捕食リスクを減らすためと考えられ、同じような戦略は同属のクロトガリザメにも見られる。雌雄で成長速度に差はない。オスは体長1.8メートル、メスは体長2.0メートル、およそ10歳で性成熟する。オスで28年、メスで30年生きると推定される。

人との関連
 深海性のため、人への攻撃は報告されていない。 大きいヒレがフカヒレとなるほか、肉・肝油・魚粉などが利用される。西太平洋ではメカジキやマグロなどの遠洋延縄で混獲されるのみだったが、1991年からブラジル北東部でも延縄漁が始まり、本種が大量に捕獲されている。この海域で混獲される軟骨魚類の90% が本種であり、さらにはその89% は幼魚である。この海域での研究から、本種が魚食性であるために高濃度の水銀を体内に蓄積していることが示された。92% の個体の水銀レベルがブラジル政府の規制を超えていたため、WHO(世界保健機関)の基準からすると摂取量を「0.1キログラム/日以下」に抑える必要がある。
 繁殖力が低く、現在の漁獲圧のもとで減少しているため、IUCN(国際自然保護連合)は保全状況を「危急種」としている。キューバの伝統的サメ漁では重要種だったが、1970年代からその漁獲量は減少している。同様に、アメリカ南東部での遠洋延縄では、サメ類全体に対する本種の割合が1980年代前半に26.1% だったのが、1990年代前半には3.3% 以下に激減している。
 1999年、アメリカ海洋大気庁の漁業管理計画が改定され、本種を含む19種の保持が禁止された。しかし、ブラジルなどでは漁業は制限されていない。


ハナザメ(花鮫) Carcharhinus brevipinna
メジロザメ科メジロザメ属

英名 …… Spinner shark (スピナー・シャーク)
体長 …… 3メートル

分布
 世界規模の水深30メートル以深の暖海に広く生息する。

体色
 背側が灰色で、腹側が白色である。

生態
 魚類や、イカやタコなどの頭足類を捕食する。

人との関わり
 人間を襲ったという記録はない。釣りにおいて、身体を回転させ水面に飛び出し強い引きをみせることで知られている。
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