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長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

あれから10年……時は来たれり!!ぬらっと再始動 ~ぬらりひょんサーガ 第38回~

2021年07月25日 13時42分26秒 | ゲゲゲの鬼太郎その愛
 いや~、今日もあっちいっすね! みなさま、酷暑にもめげず、お元気でやってますか? そうだいでございます~。
 東京オリンピック、始まりましたね! 始まってしまいましたね……無論のこと、実際に世界レベルの真剣勝負が繰り広げられれば盛り上がることは確実なのでしょうが、それにまぎれて、そこにいたるまでの苦~い教訓の数々を忘れては絶対にいけないと思います。だいたい感染者数だって落ち着いてないんだし、いくら開放的についついなりがちな真夏だからといって、ゆるんじゃいかんものはいかんと! 外に出たって汗かくばっかりなんだもんね、おうちの中で応援しながら、ゆったりと過ごす夏にしましょうかね。

 外出といっても、映画もなんか、是非とも観たいなぁ~ってのが最近なくてねぇ。『ゴジラ VS コング』も観なきゃいかんとは思っているんですが、私ど~も、あのゴジラが感情豊かになってるノリが好きじゃないんですよ。ほんと、マンガチックに「ワシが地球を守らな!」みたいな義務感に燃えているアツい怪獣王ってのが、なんかね……もちろん、それもれっきとしたゴジラの伝統的な「顔」のひとつなのはよくわかるのですが、『ゴジラの逆襲』(1955年)の「いっさいのコミュニケーションを拒否する狂犬ゴジラ」が大好きなわたくしといたしましては水が合わず。まぁ、そうこう言ってもいつかは観に行くんだろうけれども、今すぐってほどじゃないんだな。

 そして、映画といえばもうひとつ気になるのが、今回の記事にもつながる、間もなく封切りの『妖怪大戦争 ガーディアンズ』ですよ。
 言わずと知れた三池崇史監督による、2005年公開の神木隆之介主演のお祭り映画『妖怪大戦争』の続編だそうですが、さぁ、今回のアップデートはどうなることやら。
 2005年版は、わたくし的には「荒俣宏原作」、「加藤保憲復活(嶋田さんじゃないけど)」、「クリーチャーデザイン韮沢靖」、「大映妖怪映画復古」、「川姫がともかくエロい」、そして「大スクリーンで謹聴する水木センセイのありがた~いお言葉」というトピック満載で非常に楽しめたのですが、今回の2021年版は、妖怪大翁なき今、果たしてどこまで当時のテンションに肉薄できるのか……地味に、8月13日の公開に合わせて2005年版がテレビ放映できるのかどうかも気になりますよね。作品は絶対におもしろいんですが、大人の事情が、ほら……
 それにしましても、なにはなくともこの『ガーディアンズ』に関して私が声を大にして叫びたいのは、ただひとつ!

なんで、親父のほうがぬらりひょんを演じてくれないんだよォオオ!!

 いやいや、「ぬらりひょん役に大森南朋」って……違うだろー!! そこは麿さんでしょ! 麿さんでしょ! 麿さんでしょー!!
 「高齢のため体調を考慮した」とは言わさんぞ! 『ルパンの娘』を見てみい、あんなに生命力に満ちあふれた78歳がいるか!!
 キャラクター上、島津惟新入道義弘がドはまり役というほどにバーバリー&超硬派の麿さんよりも、ヒョロっとして頼りなさそうな大森さんのほうが「大映調ぬらりひょん」に合っているのでしょうが、そこは麿さんのぬらりひょんが観たかったなぁ~。まぁ麿さんには、いつの日か実写版『ゲゲゲの鬼太郎』で正真正銘、悪の親玉でありながらちょっぴりコミカルなドジっ子要素もあるアニメ第3期風ぬらりひょんを演じていただくことにいたしましょう。絶対、ハマる!!

 思い起こせば、私が愛してやまない大妖怪ぬらりひょん様への愛が高じて、マンガ『ぬらりひょんの孫』のレビューのつもりが、あれよあれよという間にぬらりひょんそのもののイメージ変遷の歴史を江戸時代からたどるというロング企画『ぬらりひょんサーガ』を、我が『長岡京エイリアン』にて30回以上にわたってやらかしてから、はや10年近くの歳月が経ちます。
 10年近く前、すなはち2011年の秋の段階までのぬらりひょん史を、なんとかアホはアホなりに納得のいくまでほじくり返し、2013年にはマンガ『ぬらりひょんの孫』の最終回までを通観したあれこれをまとめたわけだったのですが、それ以降もおぬら様のアグレッシブな進化は止まるはずもなく、様々な媒体での多彩な活躍は続きました。

 そしてついに、今年の『ガーディアンズ』公開をもって、アニメ第6期『ゲゲゲの鬼太郎』での活躍、『鬼太郎』以外のメディア作品へのゲスト出張に加えて「実写映画への出演」というカードが揃いましたので、満を持して『ぬらりひょんサーガ』の最新アップデートをやろうじゃないかという運びとあいなりました。
 ほんとは、これに加えて新しいぬらりひょん主演作品が世に出て大人気になるくらいのムーブメントがあったら申し分なかったのでしょうが、まぁ欲は言えませんよね。去年になんか話題になってた『ぬらりひょんの棲む家』は、あれサスペンスミステリーだもんなぁ。

 ということで、一回止めたエンジンを再びブルンブルンと再起動させて「ぬらりひょんの歴史 それから」を始めるわけなのですが、なんせ10年も前の企画ですので、まずどこまで話を進めたのかを振り返ってみましょう。


≪まとめ1≫ きぃちがいじゃがしかたがない☆ ~我が『長岡京エイリアン』とおぬら様、因縁の歴史~

『ぬらりひょんサーガ』(2011年9月~12月)
 ※スタート当初のタイトルは『純粋「ぬらりひょんの孫」批判』だったが、「そもそもぬらりひょんってどんな妖怪なんだろう?」といういらぬ詮索から泥沼にはまり、いっこうに『ぬらりひょんの孫』の話が始まらなかったために改題した。
第1回 …… 瀬戸内海の毒にも薬にもならない伝承妖怪ぬらりひょん
第2回 …… 佐脇嵩之『百怪図巻』の老人妖怪ぬらりひょん(1737年)、鳥山石燕『画図百鬼夜行』の「ぬうりひょん」(1776年)
第3回 …… 浮世草子『好色敗毒散』の「噓の精」ぬらりひょん(1703年)、『菅江真澄遊覧記』(1801~22年)の「百鬼夜行のメンバー」記述、藤沢衛彦『妖怪画談全集』の「妖怪の親玉」記述(1930年)
第4~7回 …… 水木しげる『墓場の鬼太郎』の孤高の爆弾魔ぬらりひょん(1967年)、蛇骨婆のパートナー設定、鬼太郎の秘技「鬼太郎憑き」&「先祖流し」展開
第8回 …… アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第1期のぬらりひょん(1968年)、映画『大映妖怪3部作』(1968~69年)の百鬼夜行モブぬらりひょん
第9回 …… 『墓場の鬼太郎・大妖怪ショッキング画報』(1967年)、佐藤有文『いちばんくわしい日本妖怪図鑑』、山田野理夫『おばけ文庫』(1976年)での「いつの間にか家にいる」属性
第10回 …… 水木しげる『新ゲゲゲの鬼太郎』での「墓の下高校校長」ぬらりひょん(1978年)
第11回 …… 実写ドラマ『ゲゲゲの鬼太郎』での「初・悪の親玉」&「初・女装」ぬらりひょん(1985年)
第12回 …… アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第3期での1回こっきりの千葉耕市ぬらりひょん(1985年)&朱の盤のパートナー設定
第13~14回 …… アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第3期とアニメ映画版『ゲゲゲの鬼太郎』での第一次青野武ぬらりひょん、マンガ『最新版ゲゲゲの鬼太郎』、実写Vシネマ『ゲゲゲの鬼太郎』(1987年)でのぬらりひょん
第15回 …… 水木しげる『鬼太郎国盗り物語』(1991~92年)での「真の妖怪総大将」ぬらりひょん
第16回 …… 特撮ドラマ『忍者戦隊カクレンジャー』での「妖怪忍者軍団の頭領」ぬらりひょん(1994年)
第17・18回 …… マンガ『地獄先生ぬ~べ~』に登場した「客人神」ぬらりひょん(1995年)
第19~21回 …… アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第4期の西村知道ぬらりひょん(1996~97年)
第22回 …… ゲーム『ゲゲゲの鬼太郎 異聞妖怪奇譚』の滝口順平ぬらりひょん(2003年)、映画『妖怪大戦争』の忌野清志郎ぬらりひょん(2005年)
第23回 …… 京極夏彦『ぬらりひょんの褌』(2006年)
第24回 …… ほしの竜一『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪千物語』でのぬらりひょん(2007年)
第25~27回 …… アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第5期とアニメ映画『ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!』での第二次青野武ぬらりひょん(2007~08年)
第28回 …… マンガ『GANTZ 大阪編』(2006~08年)のガチムチラスボスぬらりひょん
第29回 …… 実写映画『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』の緒形拳ぬらりひょん(2008年)
第30~33回 …… マンガ『ぬらりひょんの孫』(2008~12年)での「妖怪任侠組織・奴良組の総大将」ぬらりひょん

『今さらですが……「ぬらりひょんの孫」にささげるバラード』(2013年9~10月 全4回『ぬらりひょんサーガ』第34~37回としてカウントします)
※マンガ『ぬらりひょんの孫』の2012年以降の展開(「百物語組編」と「御門院家編」)の感想を総括した内容。アニメ版1・2期(2010・11年)の大塚周夫ぬらりひょんには触れず。


 とまぁ、こんなわけだったんですが。いや~ホント、ヒマだったんだなぁ、当時の私……若さって、こわいネ!
 ひるがえってお次は、それ以降のおぬら様の主な活躍を見てまいりましょう。10年も経てば、いろんなチャレンジがあったんですねぇ。


≪まとめ2≫ 2012年以降の主なおぬら様のメディア活動
アニメ映画『妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』(2015年12月公開 声・子安武人)
3DCGアニメ映画『GANTZ:O』(2016年10月公開 声・津嘉山正種)
実写アニメ混成映画『妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』(2016年12月公開 演・斎藤工)
アニメ第2期『鬼灯の冷徹』(2018年5月放送回 声・龍田直樹)
ドラマ『妖怪シェアハウス』(2020年8~9月放送 全8回 演・大倉孝二)
実写映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』(2021年8月公開予定 演・大森南朋)

そして……TVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第6シリーズ(2018年4月~20年3月放送 全97話 フジテレビ)Wikipedia より
 2015年の原作者・水木しげる没後初の TVシリーズであり、アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』(第1シリーズ)放送開始50周年を記念して制作された。目玉おやじ役は、第1シリーズより長年にわたって同役を担当した田の中勇が2010年に逝去したことに伴い、本作では第1・第2シリーズ・『墓場鬼太郎』の3作品で鬼太郎役として主演を務めた野沢雅子が担当。他のメインキャストも従来のシリーズ同様に一新された。
 メインスタッフも一新されているが、過去のシリーズで脚本・演出・作画等で参加したスタッフが一部続投や再び制作に携わってもいる。音楽は実写映画第2作『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』(2008年)も手掛けた高梨康治が担当している。
 本シリーズでは、インターネットやSNS、スマートフォンの普及により、妖怪を含む「見えないもの」を信じられなくなったり、傲慢な人間が増えた21世紀の社会を舞台にしている。それに合わせエピソードも原作の風刺色が強く退廃的な作風や、過去のシリーズ同様にユーモラスなシーンも織り交ぜながら、21世紀の世相の暗い部分の影響下での人間の心の闇などを取り入れたものが多くなっている。それだけに善良な人間と悪辣な人間の対比も歴代より際立っており、妖怪と関わったり怒らせたりした悪人たちには、個々に因果応報的な報いがもたらされることがほとんどである。その際も鬼太郎たちは、反省したり悔い改めようとしない身勝手で卑劣な人間には無用の情けを一切掛けず愛想を尽かして見捨てる事が少なくない。また、鬼太郎自身の性格やゲゲゲの森は、これまでのシリーズと比べてかなり人間に対し閉鎖的に描かれており、鬼太郎は妖怪と人間はあまり交わるべきでないと考え、ゲゲゲの森は約200年以上も人間が入ったことがない異次元的な空間に存在する(作中では東京都調布市の神社裏にある森から基本的に妖怪だけが入れるようになっている)。
 また第3シリーズの天童ユメコ以来となる人間のヒロインとして、本シリーズでは中学生の犬山まながレギュラー登場する。まなはユメコ同様にオリジナルキャラだが、調布市に住んでいて父親の実家が境港市であるなど、原作者の水木しげるに関連した設定が付加されている。従来からの妖怪側のヒロインであるねこ娘は、本シリーズでは成人女性に近いスタイルの美女として描かれ、ファッションや頭髪もアレンジされて第4シリーズに近いカラーリングとなった。この他ねずみ男の衣装は第3シリーズと同じ濃い空色となっている。

 大半の事件は各話ごとに解決するが、それとは別個に大まかに話数クールの節目ごとに区切る形式にて複数の章が描かれている。まず第1話からは、謎の存在「名無し」が鬼太郎たちと敵対する最初の大きな黒幕的存在として登場し、第11・12話で八百八狸軍団が襲来する「八百八狸編」などの幾つかの大きなストーリーの進展と共に、まなを標的にする描写が増えていく。第27話からは大妖怪バックベアード率いる西洋妖怪軍団が登場する「西洋妖怪編」が描かれ、原作からアレンジされた西洋妖怪キャラの一人として、ねこ娘とまなに次ぐヒロインとなる魔女アニエスが、第27~37話に鬼太郎ファミリーの仲間として登場した。「西洋妖怪編」にも名無しが日本妖怪と西洋妖怪の戦いを利用する存在として裏で関与していた。アニエスは「西洋妖怪編」終了後も鬼太郎たちに重要な情報を伝えたり、決戦時に助っ人として駆け付けるなど要所で活躍する。第38話からは通常通りの単発形式と同時進行して「名無し最終決戦編」が描かれ、第47~49話で、名無しの正体とまなを狙っていた理由も明かされたうえで決着がつけられた。しかし、この「名無し最終決戦編」クライマックスでねこ娘とまなの身に起きた出来事は、間接的に鬼太郎ファミリーの次の戦いへのきっかけとなり、第50話からは鬼太郎ファミリーと地獄から脱獄した極悪妖怪「大逆の四将」と、妖怪を憎む鬼道衆の末裔・石動零の三つ巴戦へと展開していく「地獄の四将編」が描かれる。第56・57話では、鬼太郎に倒されたバックベアードの水面下での復活計画が企てられていることが判明した。「地獄の四将編」は、クライマックスとして四将の中でも特に強力な九尾の狐(玉藻前)との決戦へ突入し第75話で決着となったが、第76話からは鬼太郎の宿敵ぬらりひょんと側近の朱の盆が登場する「最終章ぬらりひょん編」が描かれ、ぬらりひょんが大逆の四将を地獄から脱獄させ、石動零の人生を狂わせた張本人だったことが判明し、鬼太郎ファミリーと対峙する。単発の事件も描かれながら、ぬらりひょんは復活したバックベアード率いる西洋妖怪軍団を利用すると同時に日本の総理大臣も巧みに妖怪を憎む心境へと誘導し、関っている全ての妖怪と人間を泥沼の戦争状態へと陥れていく。最終話で総理、バックベアード、ぬらりひょんなど各首謀者の死によって事態は収束するが、その代償としてまなが鬼太郎を助けるために記憶を失い、その10年後に鬼太郎と再会して記憶を取り戻し、そこから鬼太郎ファミリーやアニエスなどの妖怪たちとの交流が再開される場面で終了した。
 次回予告の決めゼリフは「見えない世界の扉が開く」。

 2021年3月7日に行われたオンラインイベント「まんが王国とっとり 生誕99年水木しげる生誕祭」にて、翌2022年に水木しげる生誕100年を迎えるのを受けて立ち上げられた「水木しげる生誕100周年記念4大プロジェクト」の一環として、本シリーズの劇場版に当たる新作アニメ『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の制作が発表された。


 ……いや~なんてったって、最大のトピックは大塚明夫ぬらりひょんの堂々たるご登場でございます。こっちは1年半待たされましたっつーの! でも待っただけの甲斐は十二分にありました。最終章のラスボスという最上級待遇で、しかも前章「地獄の四将編」を裏から操っていた黒幕という立場にふさわしいワルっぷりでしたね。
 ここでさらっと、明夫ぬらりひょんの情報と歴代ぬらりひょんとの比較も。


≪まとめ3 アニメ第6期『ゲゲゲの鬼太郎』における明夫ぬらりひょん登場回≫
第76『ぬらりひょんの野望(土転び)』・77『人間消失!猫仙人の復讐(猫仙人)』・82『爺婆ぬっぺっぽう(ぬっぺっぽう)』・85『巨人ダイダラボッチ(七人同行、ダイダラボッチ)』・89『手の目の呪い(手の目)』・92『構成作家は天邪鬼(天邪鬼)』・94『ぶらり不死身温泉バスの旅(埴輪武者、寝肥り)』・95『妖怪大同盟』・96『第二次妖怪大戦争』・97最終話『見えてる世界が全てじゃない』
 の10話。()の中にあるのは、そのエピソードに登場したゲスト妖怪。

≪まとめ4 歴代アニメ版『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズにおける、ぬらりひょんの活躍貢献度≫
 第3期・千葉&第一次青野ぬらりひょん「全115話中15話登場(貢献度13%)」
 第4期・西村ぬらりひょん「全114話中18話登場(貢献度16%)」
 第5期・第二次青野ぬらりひょん「全100話中12話登場(貢献度12%)」
 第6期・明夫ぬらりひょん「全97話中10話登場(貢献度10%)」


 なるほど~。最終章のみのご登板ということで、登場話数じたいは準レギュラー化した歴代の中では最も少ない10話でしたか。でも、だからといって明夫ぬらりひょんの印象が薄いとか、他のおぬら様に比べてパワーダウンしているとか感じた人は、いないのではないでしょうか。
 まず風貌からして、1970年刊行の『水木しげる妖怪画集』でのシリアスな「ダークぬらりひょん」(初出は1968年9月刊行の『週刊少年マガジン』第38号掲載の『日本妖怪大画集』)を可能な限り忠実に取り入れた迫力ある姿で、同じ水木しげる先生の筆になるものでも、『墓場の鬼太郎』ベースのニヤけた「たれ目ぬらりひょん」とはまるで違う眼光の鋭さ! そして明夫ぬらりひょんのオリジナリティは見た目だけにとどまらず、最大の違いはなんといいましても……

 おっと、このまま一気呵成に明夫ぬらりひょんの考察になだれ込んでしまいそうな勢いなのですが、そこはグッと踏みとどまりまして、明夫ぬらりひょんの前に絶対に避けては通ることができない、「あのお方」バージョンのぬらりひょんの業績を振り返っていきたいと思います。あせらず、ゆっくり! いや、アニメ第6期が放送終了して1年以上経ってるし、今さらあせるも何も、ねぇ……

 え?「あのお方」って、明夫ぬらりひょんを差し置いて語らなきゃならないような超VIP 待遇の人なんているのか、ですって? そりゃもうあーた、上のぬらりひょん声優さんがたのお名前を読んでみてください。なぜ、歴代の声優さんは苗字表記なのに、大塚明夫さんだけが「明夫ぬらりひょん」なのか。それは……

アニメ版『ぬらりひょんの孫』(2010年)、『ぬらりひょんの孫 千年魔京』(2011年)における、偉大なる父・大塚周夫ぬらりひょん

 そう、周夫ぬらりひょん!! 彼を抜きにして、明夫ぬらりひょんを語ることはできないからなのだ!! ちかぬら、ちかぬら!!

 えっ、『ぬらりひょんの孫』の話はもう終わったでしょ?って思われた方も多いことでしょう。私もてっきりそうだと思っていたのですが、よくよく記事を読み返してみますと、当時のわたくしはDVD もTV も満足に視聴できない環境にあったため、すでに放送終了していたアニメ版第1期も、放送が佳境に入っていた『千年魔京』もまるで観ていなかったんですよね……なんと中途半端な!!

 ということですので、約10年ぶりに再始動した『ぬらりひょんサーガ』の開幕は、まさに切れ味悪く「ぬらっ。」とした、アニメ版『ぬらりひょんの孫』における周夫ぬらりひょんのまとめから始めていきたいと思いま~っす! さぁ、息子さんのほうにいけるのはいつかナ~!?
 10年前の作品から始めるのか……これぞ、『長岡京エイリアン』クオリティ。
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福地蔵人と慶長遣欧使節に関する覚書

2021年07月22日 08時59分23秒 | 日本史みたいな
『メキシコの大地に消えた侍たち 伊達藩士・福地蔵人とその一族の盛衰』(2004年 新人物往来社)
大泉光一(1943年~)
 国際関係論学者、青森中央学院大学教授。インスティトゥート・デ・エストゥディオス・ウニベルシタリオス経営大学院准教授。
 長野県諏訪市に生まれ、宮城県柴田郡大河原町で育つ。2006年『支倉常長 慶長遣欧使節の真相 肖像画に秘められた実像』で和辻哲郎文化賞受賞。
 危機管理、国際テロなどが専門だが、支倉常長について長く研究をしており、「支倉は伊達政宗により徳川幕府打倒のために派遣された」という説を唱えている。
おもな著書
『支倉常長 慶長遣欧使節の悲劇』(1999年 中公新書)
『伊達政宗の密使 慶長遣欧使節団の隠された使命』(2010年 洋泉社歴史新書y)
『暴かれた伊達政宗「幕府転覆計画」 ヴァティカン機密文書館史料による結論』(2017年 文春新書)


近世の日本とメキシコの関係史まとめ
天文十八(1549)年
八月
 イエズス会宣教師フランシスコ=ザビエル(43歳)、日本にキリスト教を伝える。

1553年
 薩摩国出身の日本人キリシタン・ベルナルド(日本名不詳)、ポルトガル王国コインブラに渡りイエズス会に入会する(のちに司祭、日本人初のヨーロッパ渡航者)。

1564年
十一月
 スペイン王国領メキシコ副王ドン・ルイス=デ=ベラスコ=マルケス=デ=サリナス侯爵(30歳)、ミゲル=レガスピに東南アジアのフィリピン諸島の征服を命じる。
 ミゲル=レガスピ、フィリピン諸島冒険の経験のあるアンドレス=デ=ウルダネータを伴い5隻の艦隊(乗組員380名)を率いてメキシコ・ハリスコ州ナビダ港から遠征に出発する。

1565年
六月
 ミゲル=レガスピとアンドレス=デ=ウルダネータのフィリピン遠征艦隊、フィリピン諸島セブ島に到着し征服を開始する。
 アンドレス=デ=ウルダネータ、フィリピン遠征軍から離れ乗組員200名を率いて太平洋を航海し、黒潮に乗って日本列島の房総半島・犬吠埼を発見する。
九月
 アンドレス=デ=ウルダネータ率いるガレオン船、アメリカ大陸のカリフォルニア海岸に到着する。
十月
 アンドレス=デ=ウルダネータ率いるガレオン船、スペイン王国領メキシコのアカプルコ港に帰還する(マニラ・ガレオン航路の確立)。

1570年
六月
 ミゲル=レガスピのフィリピン遠征軍、フィリピン諸島のルソン島マニラを占領する。

1571年
三月
 ポルトガル国王、日本人の奴隷売買を禁止する勅令を発するが、実効性は薄かった。
五月
 スペイン王国領メキシコのフィリピン遠征軍、ルソン島マニラを拠点としてフィリピン諸島を征服する。

1585年
一月
 ローマ教皇グレゴリオ十三世(83歳)、日本におけるイエズス会以外の宣教師によるキリスト教布教を禁止する小勅書を発布する。

1586年
十一月
 ローマ教皇シクスト五世(65歳)、フィリピン諸島のフランシスコ会をメキシコ管区から独立させ、日本・中国と合わせた「大聖グレゴリオ管区」とする。

天正十八(1590)年
七月
 豊臣秀吉(54歳)、関東大名・北条家の相模国・小田原城を陥落させ関東地方を制圧する。
 豊臣秀吉、甥・豊臣秀次を総大将として奥州平定軍五万を東北地方に送り諸大名の臣従をうながす。
 東北大名・伊達政宗(23歳)、豊臣秀吉に臣従する。
八月
 陸奥国大名・葛西左京大夫晴信(56歳)、豊臣秀吉に臣従しなかったために豊臣家武将・木村伊勢守吉清の攻撃を受け没落する。
 葛西家家老・福地対馬守安通、豊臣軍に敗れ討死する(43歳 福地蔵人の縁者とみられる)。
 木村伊勢守吉清、葛西家の旧領30万石を所領する。
十月
 木村伊勢守吉清の所領(葛西家旧領)で、吉清の施政に反抗する領民が一斉蜂起する(葛西大崎一揆)。

天正十九(1591)年
八月
 伊達政宗(24歳)、陸奥国葛西旧領で発生した一揆を鎮圧し、首謀者20名を桃生深谷に集めて処刑する(その中に葛西家家老の福地家の縁者もいた)。

文禄元(1592)年
 太閤・豊臣秀吉(56歳)、朱印船貿易制度を制定する。
五月
 スペイン王国領フィリピン・マニラ総督ゴメス=ペレス=ダスマリニャス(73歳)、スペイン国王に対日本人暴徒のためのマニラ防衛兵増員を要請する。

慶長元(1596)年
九月
 太閤・豊臣秀吉(60歳)、土佐国浦戸港に漂着したスペイン船「サン・フェリペ号」の積荷を没収する(サン・フェリペ号事件)。
十二月
 太閤・豊臣秀吉、「サン・フェリペ号事件」に関連した示威行為としてフランシスコ会宣教師26名を長崎・西坂で処刑する(二十六聖人殉教)。

慶長三(1598)年
七月
 スペイン王国のフランシスコ会宣教師ジェロニモ=デ=ジェズース=デ=カストロ、島原半島口之津から日本に入国し畿内地方に潜伏する。
八月
 太閤・豊臣秀吉、京・伏見城で死去(62歳)。
十一月
 豊臣家大老・徳川家康(55歳)、潜伏していたフランシスコ会宣教師ジェロニモ=デ=ジェズース=デ=カストロを伊勢国で捕縛し京・伏見城に召喚する。
 徳川家康、宣教師ジェロニモにスペイン王国領メキシコと徳川家の通商条約の締結交渉を依頼する(提示条件はフィリピン~メキシコ航路上の日本港の使用許可)。

慶長八(1603)年
六月
 スペイン王国のフランシスコ会宣教師ルイス=ソテロ(28歳)、フィリピンからガレオン船「サンティアゴ号」で日本に入国し徳川家領内(伏見・江戸・駿府)での布教活動を開始する。

1606年
 スペイン王国領フィリピン・マニラの在留日本人約1500名、日本人水夫がスペイン人に殺害された事件によって暴徒化する。

1607年
一月
 ポルトガル国王、インド副王に日本人奴隷の解放を命ずる。
七月
 スペイン王国領フィリピン・マニラの聴訴院、スペイン国王に「日本人は傲慢で凶暴な性格の持ち主である。」と報告する。

慶長十三(1608)年
二月
 スペイン王国領フィリピン・マニラ、在留日本人の暴動を受けて日本人のマニラ追放を決定するが、実効性は薄かった。
六月
 ローマ教皇パオロ五世(55歳)、1585年の教皇グレゴリオ十三世の小勅書を無効とし、日本における全カトリック修道会のキリスト教布教を許可する小勅書を発布する。
八月
 ドン・ロドリゴ=デ=ビベロ(44歳)、フィリピン臨時総督に就任し、江戸幕府との外交関係の改善をはかりマニラ暴動で逮捕した日本人を全員釈放する(日本とフィリピンとの関係の改善)。
 大御所・徳川家康(65歳)、フィリピンとの貿易港として相模国浦賀を選定し、外交顧問のオランダ人・三浦按針(43歳)を派遣して洋式船の建造を開始する。

慶長十四(1609)年
九月
 前フィリピン臨時総督ドン・ロドリゴ=デ=ビベロ(45歳)、ガレオン船「サンフランシスコ号」にてメキシコに帰還する途上で台風により座礁、日本の房総半島・上総国大多喜藩領岩和田海岸に漂着する。
十二月
 前フィリピン臨時総督ドン・ロドリゴ=デ=ビベロ、京・伏見城で大御所・徳川家康(66歳)に謁見し、日本メキシコ間の通商交易協定の提案を受ける。

慶長十五(1610)年
一月
 大御所・徳川家康(67歳)、宣教師ルイス=ソテロ(35歳)を対メキシコ大使として親書を託すが、前フィリピン臨時総督ドン・ロドリゴ=デ=ビベロ(46歳)はソテロを好まず大使を宣教師アロンソ=ムニョスに交代させる。
六月
 大御所・徳川家康、前フィリピン臨時総督ドン・ロドリゴ=デ=ビベロのメキシコ送還を目的とする、京と大坂の商人と町人23名で編成した「田中勝介使節団」を乗せた小型帆船「サン・ブエナベントゥーラ号」(120トン)を浦賀から出航させる。
十月
 宣教師ルイス=ソテロ(35歳)、出羽国米沢城で伊達政宗(43歳)に謁見する。
十一月
 前フィリピン臨時総督ドン・ロドリゴ=デ=ビベロと田中勝介使節団を乗せたサン・ブエナベントゥーラ号、スペイン王国領メキシコのアカプルコ港に到着する。
十二月
 田中勝介使節団、スペイン王国領メキシコ副王ドン・ルイス=デ=ベラスコ=マルケス=デ=サリナス侯爵(76歳 ロドリゴ=デ=ビベロの伯父)に謁見する。徳川家康の日本メキシコ通商交易協定案、財政難を理由に却下される。
 田中勝介使節団、メキシコ市内のフランシスコ修道会「サン・アウグスティン修道院」に滞在する。
 田中勝介ほか5名、メキシコ市内のサンフランシスコ教会にてカトリックの洗礼を受ける(勝介の霊名はフランシスコ=デ=ベラスコ)。

慶長十六(1611)年
三月
 スペイン王国領メキシコ副王ドン・ルイス=デ=ベラスコ=マルケス=デ=サリナス侯爵(77歳)、メキシコ艦隊司令官セバスティアン=ビスカイノ(63歳)を答礼大使とする江戸幕府への答礼使節団を乗せたサンフランシスコ号を出航させ、田中勝介使節団17名も随行する(3名がメキシコ残留)。
 メキシコに残留した田中勝介使節団のルイス=デ=ベラスコとフアン=アントニオ(どちらも日本名不詳 関西地方出身の商人か)、メキシコ副王ドン・ルイス=デ=ベラスコ=マルケス=デ=サリナス侯爵の召使となり(フアン=アントニオは侯爵の衣装係)、メキシコ副王の任期を終えた侯爵と共にスペイン王国に渡る(日本人初の大西洋横断)。
六月
 メキシコ艦隊司令官セバスティアン=ビスカイノを答礼大使とする答礼使節団、日本の浦賀港に到着する。
 セバスティアン=ビスカイノ、江戸城の将軍・徳川秀忠(32歳)に謁見する。
七月
 セバスティアン=ビスカイノ、駿河国・駿府城の大御所・徳川家康(68歳)に謁見する。
 江戸幕府、セバスティアン=ビスカイノに伊達政宗(44歳)の仙台藩領三陸海岸の港湾測量を依頼する。
 スペイン国王フェリペ三世(33歳)、日本人司祭ペドロ=アントニオ=デ=荒木を含めたフランシスコ修道会宣教師12名を日本に派遣する。
十月
 フランシスコ会宣教師ルイス=ソテロ(37歳)、伊達政宗と会談し伊達家領内での布教活動の許可を得る。
十一月
 セバスティアン=ビスカイノ、仙台藩・青葉城で伊達政宗に謁見し、三陸海岸の港湾測量の依頼とメキシコとの通商条約締結に関する協議を行う。

慶長十七(1612)年
三月
 大御所・徳川家康(69歳)、江戸幕府の直轄地である江戸・京・駿府でのキリスト教信仰を禁止し、キリシタンの家臣23名を追放する。
六月
 大御所・徳川家康、メキシコに対して貿易は望むがキリスト教の布教は許可しない方針を親書で示しセバスティアン=ビスカイノ(64歳)に託す。
八月
 江戸幕府、五ヶ条のキリシタン禁制令を全国に発布する(八月六日令)。
九月
 宣教師ルイス=ソテロ(37歳)、江戸幕府のスペイン王国宛親書をたずさえ伊達家家臣・支倉六右衛門常長(41歳)らと共に幕府の建造した「サン・セバスティアン号」で浦賀港から出航するが同日夜に難破し渡航は失敗する。これを機に、徳川家康のメキシコ貿易への意欲とルイス=ソテロへの信用は失われる。
 セバスティアン=ビスカイノの乗るサンフランシスコ号、浦賀港を出港し日本近海の「金銀島」の探索を行うが発見できず。
十月
 セバスティアン=ビスカイノのサンフランシスコ号、暴風雨により損傷し浦賀港に寄港する。
 ビスカイノ、サンフランシスコ号の修理と渡航の資金援助を江戸幕府に求めるが明確な返答を得られず、徳川家康への謁見もできず。
 仙台藩主・伊達政宗(45歳)、ビスカイノらのメキシコ帰還を全面支援する協定を結び、仙台藩に招く。

慶長十八(1613)年
 この年、スペイン王国にてルイス=デ=ベラスコ=マルケス=デ=サリナス侯爵の衣装係だった日本人フアン=アントニオに子フアン=デ=パエス誕生か。
三月
 仙台藩主・伊達政宗(46歳)、セバスティアン=ビスカイノ(65歳)と江戸幕府船奉行・向井将監忠勝(30歳)の協力を得て、月ノ浦にてガレオン船「サン・フアン・バウティスタ号」(500トン)を建造する。
六月
 徳川幕府、江戸からのキリシタン追放を開始し、フランシスコ会宣教師ルイス=ソテロ(39歳)も捕縛され火刑の宣告を受ける。
七月
 仙台藩主・伊達政宗、捕縛されたルイス=ソテロがメキシコ渡航に必要不可欠な人間であると江戸幕府に説得し、助命と釈放に成功する。
八月
 ルイス=ソテロ、江戸を発ち仙台に到着する。
九月
 伊達政宗、セバスティアン=ビスカイノと共に家臣・支倉六右衛門常長(42歳)やフランシスコ会宣教師ルイス=ソテロ、江戸幕府から船奉行・向井将監忠勝の家臣ら約180名で編成した「慶長遣欧使節」を乗せたサン・フアン・バウティスタ号を月ノ浦港から出航させる(うち日本人は約140名、その中に19歳の仙台藩士・福地蔵人もいた)。
 ※この時、ソテロは昨年に江戸幕府から預かったスペイン王国宛親書も保管しており、伊達家大使だけでなく日本国大使の立場にもなれるように工作していた。
十二月
 ビスカイノ、支倉常長ら慶長遣欧使節団を乗せたサン・フアン・バウティスタ号、スペイン王国領メキシコのカリフォルニア半島メンドシノ岬サカトゥラ港に到着する。
 大御所・徳川家康(70歳)、十五ヶ条のキリスト教禁止令を発布し日本国内でのキリスト教信仰と外国人宣教師の布教活動を禁止する。
 伊達政宗、江戸幕府のキリスト教禁止令に形式上は従いながらも実質的な弾圧は行わず黙殺する。

慶長十九(1614)年
一月
 セバスティアン=ビスカイノ(66歳)や支倉六右衛門常長(43歳)ら慶長遣欧使節団を乗せたサン・フアン・バウティスタ号、スペイン王国領メキシコのアカプルコ港に到着する。
三月
 支倉六右衛門常長ら慶長遣欧使節団、メキシコ市に到着し、スペイン王国領メキシコ副王ドン・ディエゴ=フェルナンデス=デ=コルドバ=マルケス=デ=グアダルカサール侯爵に謁見する。
 メキシコ副王グアダルカサール侯爵、慶長遣欧使節団のうち主要約20名をスペイン王国に派遣することを決定し、残る約120名はアカプルコ港のフランシスコ会修道院に滞在することとなる。
四月
 メキシコ市のサンフランシスコ教会にて、慶長遣欧使節団の日本人のうち42名が洗礼を受け、すでに受洗していた64名が堅信の秘跡を受ける(支倉の家臣である仙台藩士・福地蔵人は受洗せず)。
五月
 支倉常長やフランシスコ会宣教師ルイス=ソテロ(40歳)ら慶長遣欧使節の主要約20名、メキシコ市を出発してスペイン王国に向かう(福地蔵人はメキシコに残留したとみられる)。
六月
 支倉常長やルイス=ソテロら慶長遣欧使節の主要約20名、ベラクルスのサン・フアン・デ・ウルア港から大西洋に出港する。
七月
 支倉常長やルイス=ソテロら慶長遣欧使節の主要約20名、キューバ島ハバナ港に到着する。
八月
 支倉常長やルイス=ソテロら慶長遣欧使節の主要約20名、キューバ島ハバナ港からスペイン王国に向けて出港する。
十月
 支倉常長やルイス=ソテロら慶長遣欧使節の主要約20名、スペイン王国南部のサン・ルカール・デ・バラメダに到着する。
 支倉常長やルイス=ソテロら慶長遣欧使節の主要約20名、スペイン王国最大の商業都市・南部アンダルシア州都セビリア市に到着する。
十一月
 キリシタン大名・高山右近重友(62歳)と盟友の元丹波国亀山城主・内藤ジョアン忠俊(64歳)、その娘ルチアと忠俊の妹ジュリア(47歳)、江戸幕府の命によりスペイン王国領フィリピン・マニラに追放される。
 大坂冬の陣、開戦。
十二月
 支倉常長やルイス=ソテロら慶長遣欧使節の主要約20名、スペイン王国の首都マドリードに到着するが、日本の一大名の使節という扱いとなり形式的な待遇を受ける。

元和元(1615)年
一月
 支倉常長(44歳)やルイス=ソテロ(41歳)ら慶長遣欧使節の主要約20名、スペイン王国国王フェリペ三世(36歳)に謁見する。
 支倉常長、伊達政宗のスペイン王国との通商条約締結と伊達家領内でのキリスト教布教許可をフェリペ三世に提示するが判断を保留される。
二月
 支倉常長、マドリードの王立跣足会女子修道院付属教会で洗礼を受ける(霊名フェリペ=フランシスコ)。
 支倉常長、スペイン王国「サンティアゴ騎士団」への加入を望むが却下される。
 宣教師ルイス=ソテロ、慶長遣欧使節のローマ教皇への謁見の許可をフェリペ三世に申請する。
 キリシタン大名・高山右近重友、スペイン王国領フィリピン・マニラで死去(63歳)。
四月
 大使サンタ=カタリナと慶長遣欧使節のメキシコ残留組約120名(江戸幕府船奉行・向井将監忠勝の家臣も含む)を乗せたサン・フアン・バウティスタ号、スペイン王国領メキシコのアカプルコ港から日本に向けて出港する。
 フェリペ三世、支倉常長やルイス=ソテロら慶長遣欧使節の主要約20名のローマ教皇への謁見を許可する。
五月
 ローマ教皇庁、宣教師ルイス=ソテロによるキリスト教の日本布教の可能性の説得に強い疑問を持つ。
 大坂夏の陣、開戦。
六月
 マドリードでの慶長遣欧使節の宿泊先となっているサン・フランシスコ修道院、使節団の乱暴狼藉と長期の逗留による財政逼迫をスペイン王国に訴える。
八月
 支倉常長やルイス=ソテロら慶長遣欧使節の主要約20名、ローマに向けてスペイン王国首都マドリードを出発する。
 サン・フアン・バウティスタ号の大使サンタ=カタリナ、日本の浦賀港に到着するが徳川家康・秀忠父子には謁見できず冷遇され帰国の途に就く(事実上のスペイン王国との国交断絶)。
 サン・フアン・バウティスタ号で帰国した江戸幕府船奉行・向井将監忠勝の家臣、江戸幕府に支倉常長ら伊達家家臣のスペイン王国への交渉内容に関する疑惑(伊達家独自の外交交渉の可能性)を報告する。
十月
 支倉常長やルイス=ソテロら慶長遣欧使節の主要約20名、ジェノヴァ共和国を経由してローマに到着し、教皇パオロ五世(63歳)に謁見する。
 教皇パオロ五世、慶長遣欧使節を歓待するが、支倉らの主君・伊達政宗がキリスト教信者でないことを理由に(スペイン王国からの要請もあり)伊達家との通商条約締結には応じず。
十一月
 支倉常長の小姓・小平外記、ローマの聖ヨハネ大聖堂で洗礼を受ける(霊名パオロ=カミルロ=シピオーネ)。
 支倉常長や小平外記ら慶長遣欧使節、ローマ市民権証書を授与される。
十二月
 支倉常長、サンタ・マリア教会で堅信式を受ける。

元和二(1616)年
一月
 支倉常長(45歳)やルイス=ソテロ(42歳)ら慶長遣欧使節の主要約20名、ローマを出発してスペイン王国首都マドリードを目指し帰途につく。
四月
 慶長遣欧使節に参加していた伊丹ペトロ宋味と野間フランシスコ半兵衛、使節から離脱しスペイン王国バレンシア州アリカンテ港に滞在する(その後の消息は不明)。
 支倉常長やルイス=ソテロら慶長遣欧使節の主要約20名、スペイン王国首都マドリードに到着するが六月にサン・フアン・バウティスタ号で日本に帰国するよう命じられる。
 大御所・徳川家康、死去(74歳)。
六月
 支倉常長、伊達家との通商条約締結の返答が得られていないとして日本帰国を拒否し、セビリア近郊のフランシスコ会ロレト修道院に寄寓する(使節の内15名は先に帰国させ、側近5名と共にとどまる)。
 スペイン王国、伊達家への返答は保留したまま支倉常長らに強制国外退去を命じる。
七月
 支倉常長ら、セビリアを発ちメキシコへの帰国の途に就く。
八月
 伊達政宗(49歳)、支倉常長ら慶長遣欧使節を帰国させるために、重臣・横沢将監吉久と宣教師サンタ=カタリナら約200名を乗せたサン・フアン・バウティスタ号をスペイン王国領メキシコに向けて浦賀港から出航させる。
九月
 支倉常長ら、スペイン王国領メキシコのメキシコ市に到着する。

1617年
二月
 伊達家重臣・横沢将監吉久と宣教師サンタ=カタリナを乗せたサン・フアン・バウティスタ号、スペイン王国領メキシコに到着する(船体はかなり破損し、船員の半数は洋上で病死していた)。

1618年
四月
 支倉常長(47歳)やルイス=ソテロ(44歳)ら慶長遣欧使節の主要約20名、新任のフィリピン総督ドン・アロンソ=ファハルドと共にサン・フアン・バウティスタ号でスペイン王国領フィリピンに向けてアカプルコ港から出航する。
六月
 支倉常長やルイス=ソテロら慶長遣欧使節の主要約20名、新任のフィリピン総督ファハルドと共にスペイン王国領フィリピンのマニラ港に到着し、サン・フランシスコ・デル・モンテ修道院に寄寓する。
 スペイン王国領フィリピン総督ファハルド、オランダ艦隊の攻撃に備えるフィリピン沿岸防衛の目的でサン・フアン・バウティスタ号を買い上げる(のちオランダ艦隊との砲撃戦でマニラ沖に沈没)。

元和六(1620)年
 セバスティアン=ビスカイノ(72歳)、メキシコ市からメキシコ・ハリスコ州のアバロス村の領地へ一族と共に移住する(この時、ビスカイノに従って福地蔵人も移住したと思われる)。
 慶長遣欧使節団から残留した仙台藩士・福地蔵人(25歳)、アウアカトラン郡のアルカルデ・マジョール(群奉行)であるアロンソ=サンチェス=エンシオを代父として洗礼を受ける(霊名ルイス=デ=エンシオ)。
 ルイス=福地蔵人、カトリックに改宗してメキシコでの結婚の権利を獲得し、スペイン人とメキシコインディオの混血女性(メスティーサ)であるカタリーナ=デ=シルヴァと結婚する。
八月
 支倉常長(49歳)や横沢将監、ルイス=ソテロ(46歳)と別れフィリピンから出航し、日本の長崎港を経由して仙台に帰国する。
 支倉常長、帰国後に一族郎党をキリシタンに改宗させる。
十月
 伊達政宗(53歳)、慶長遣欧使節を徳川家康の主導によるものであると弁明し、江戸幕府から支倉常長らの帰国許可を得て伊達家への責任追及を回避する。
十二月
 伊達政宗、江戸幕府に呼応し伊達家領内でのキリスト教弾圧を開始する。

元和八(1622)年
五月
 メキシコに残留した元田中勝介使節団のルイス=デ=ベラスコ(日本名不詳)、スペイン海軍から除隊しメキシコに戻る。
七月
 伊達家家臣・支倉常長、死去(52歳)。
八月
 宣教師ルイス=ソテロ(48歳)、フィリピンを出航して日本の薩摩国に潜入するが捕縛され、長崎・大村に収監される。

元和九(1623)年
八月
 徳川家光(19歳)、江戸幕府第三代征夷大将軍に就任する。
十月
 将軍・徳川家光、江戸で翌十一月にかけてキリシタンの大量処刑を断行する。

寛永元(1624)年
二月
 ルイス=デ=ベラスコ=マルケス=デ=サリナス侯爵の日本人召使フアン=アントニオ、スペイン王国からメキシコに渡りグアダラハラ市に定住する。
 伊達政宗(56歳)、仙台藩広瀬川でイエズス会宣教師ディエゴ=デ=カルヴァリョ(46歳)らを「水籠めの刑」で処刑する。
三月
 江戸幕府、スペイン王国との交易を全面禁止し、国内在住のスペイン人を追放処分とする。
八月
 スペイン王国領フィリピン・マニラのヤコボ朝長(42歳)とトマス西六左衛門(34歳)、ドミニコ会に入会し司祭となる。
 宣教師ルイス=ソテロら、長崎・大村で火刑に処される(49歳)。

1628年
 セバスティアン=ビスカイノ、メキシコ市にて死去(80歳)。
十二月
 スペイン王国領フィリピン・マニラのルチア内藤、アジア初の女子観想修道院「聖クララ会修道院」に日本人として初めて入会する。

1631年
十一月
 メキシコ・グアダラハラ市の日本人住民フアン=アントニオ、セバスティアン=ビスカイノ司令官の息子ドン・フアン=ビスカイノから黒人奴隷フアンを買い取る。

寛永十(1633)年
二月
 江戸幕府第三代征夷大将軍・徳川家光(28歳)、第一次鎖国令を発布し、全ての日本人キリシタンと海外に5年以上居住した日本人の帰国を禁じる。

1634年
五月
 ルイス=福地蔵人(39歳)、スペイン人実業家フランシスコ=デ=レイノソの出資を受けグアダラハラ市で小売業経営を始める。

寛永十二(1635)年
 江戸幕府、第三次鎖国令により日本人の海外渡航を全面禁止する。

寛永十三(1636)年
 メキシコ軍総司令官ドン・ロドリゴ=デ=ビベロ子爵、死去(80歳)。
五月
 伊達政宗、死去(70歳)。

寛永十四(1637)年
十月
 肥前・肥後国境で島原の乱が発生する(翌十五年二月に終結)。

1638年
 日本人フアン=デ=パエス(25歳 日本名不詳)、ルイス=福地蔵人(43歳)の娘マルガリータ=デ=エンシオ(18歳)と結婚する。
 フアン=デ=パエス、義父ルイス=福地蔵人のもとで中古衣料販売を始める。

寛永十六(1638)年
七月
 江戸幕府、ポルトガルとの交易を禁止し、ポルトガルの支援を受けたイエズス会の活動も禁止する。

寛永十七(1640)年
 ルイス=福地蔵人(45歳)の娘婿の日本人フアン=デ=パエス(27歳)、メキシコ・グアダラハラ市郊外のサポパン村のコレヒドール(代官)に就任する。
三月
 伊達家藩士・支倉勘三郎常頼、キリシタン禁制を破った罪により所領没収のうえ切腹を命ぜられる(42歳)。常長の次男・権四郎常道、キリシタン信仰の罪を逃れ逃亡し消息不明となる。

1642年
五月
 グアダラハラ市郊外タパティア村の日本人アウグスティン=デ=ラ=クルス(日本名不詳 慶長遣欧使節団のひとりだった可能性が高い)の死去に際し、友人のルイス=福地蔵人(47歳)が遺言執行人となる。

1643年
 ルイス=福地蔵人(48歳)、独立して事業家となる。
 ペドロ=フェルナンデス=デ=バエサ(40歳)、グアダラハラ市聴訴院長(市長)に就任する。

1645年
 ルイス=福地蔵人(50歳)、グアダラハラ市聴訴院長ドン・ペドロ=フェルナンデス=デ=バエサ(42歳)の後援を得て、中国人移住者フランシスコ=デ=カスティリョと共同出資しグアダラハラ市とその近郊でのヤシ酒の独占販売を始める。

1650年
 サポパン村コレヒドールのフアン=デ=パエス(37歳)、闘牛飼育販売業と銀取引業、サトウキビ製糖業を開始する。
十月
 ルイス=福地蔵人(55歳)、グアダラハラ市聴訴院長ドン・ペドロ=フェルナンデス=デ=バエサ(47歳)の不正蓄財汚職事件の法廷で証言を行う。

1654年
六月
 サポパン村コレヒドールのフアン=デ=パエス(41歳)、グアダラハラ市のメトロポリタン大聖堂のマジョールドモ(執事)に就任する(死去まで)。

1655年
二月
 グアダラハラ市聴訴院長フェルナンデス=デ=バエサ、死去(52歳)。

1666年
九月
 もと仙台藩士のルイス=福地蔵人、メキシコ・グアダラハラ市で死去(71歳)。

寛文八(1668)年
六月
 支倉勘三郎常頼の嫡男・常信、父の切腹により28年間断絶していた支倉家を再興させる。

1675年
十二月
 日本人商人フアン=デ=パエス、病気療養先のテピケ村で死去(62歳)。


≪まだ全部できてませ~ん≫
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連ドラに短し、映画に長し…… 映画『仮面ライダーアマゾンズ 最後ノ審判』 ~本文~

2021年07月11日 21時22分58秒 | 特撮あたり
 はい~どうもみなさま、梅雨のおもっ苦しいお天気が続いておりますが、豪雨にもめげずお元気でいらっしゃいますでしょうか? なんらかの被害に遭われていないことを祈っております、そうだいでございます。
 コロナやだな~コロナやだな~とグチり続けて、ついに2年目になってしまいました。それなのに、くだんの東京オリンピックはもう目前! 東京とは比較にもなりませんが、こちら山形もちょっと油断するとすぐに感染者が増えちゃいますからね。気を緩めて思いっきり羽を伸ばしたり、何の気兼ねもなく県外に遊びに行けるのは、いったいいつになることなのやら……わたしの場合、最短、車で30分もかからないうちに宮城県に行けるのですが、そっちに行けないぶん、2~3時間かけて山形県内の庄内地方の温泉に毎週末通い倒しております。なにソレ?

 もっともわたくし、この春は温泉というよりも、突如として己の中に沸き立った「即身仏拝観ブーム」に身を焦がしておりまして、米沢市のおひとりに白鷹町のおひとり、そして庄内地方のなんと5名さまもの即身仏にお会いできたのは、本当に幸せな道ゆきでございました。ただ一つだけまことに残念なのは、数あるレジェンド即身仏の中でも最重要人物であるといっても過言でない、注縄寺の鉄門海上人が現在公開中止となっていることでした。お会いできず無念……個人的にはやっぱり大日坊の真如海上人のオーラが別格だったのですが、安置されているお寺全体の雰囲気も含めてとんでもない「異世界」感を醸成していたのは、鉄龍海上人のおわす南岳寺でしたね……あそこはなんたって長南年恵さんの霊堂もありますからね。山育ちの私としては、ああいういかにも南国アジアっぽい(絶対南国じゃないけど)雑多な空気が珍しくて。いや~、どこもかしこも濃厚なお寺さま&お堂でした。ついでに行った白鷹町の黒鴨温泉もスゴいところだった~! 昭和のタイムカプセルみたいな旅館でしたね。温泉も即身仏様もどちらも、とにかくやってるうちに行っとかないとダメですよ。もうホントに、刻一刻と少なくなってますからね。一回しめちゃうと再開はかなり難しいんだよね。

 とまぁ、そんなこんなでタイトルとまったく関係の無い与太話を長々としてしまいましたので、いいかげんにチャッチャと本題に入りたいと思います、ハイッ!

 まさしく、「平成仮面ライダーシリーズのラフレシア」といった惨状を呈する(誉め言葉ですよ)伝説を築きあげた、『仮面ライダーアマゾンズ』シリーズ2シーズン全26話。その文字通りの完結編として満を持して世に出たのが、今回とりあげる映画『仮面ライダーアマゾンズ 最後ノ審判』なのでございました。これは観ないわけにはいかないでしょう!!
 私も結局、シーズン1の配信当初(2016年)から信頼できる親友に「絶対に観たほうがいいよ!!」と勧められていたものの、この血塗られたアマゾンズサーガの完結を見るまでに5年もの歳月が経ってしまいました……でも、知らずに生き続けるよりは、まだマシということで!

 んで、過去2シーズンにおける、もはやギリシア悲劇の域に到達しているといってもいいくらいに壮絶な運命だらけの群像劇は、ゼウスなみに理不尽な大神・小林靖子の手になるチェス盤上の戦争という様相を呈していて、まぁそれを良いと感じるのかどうかは別としましても、他の追随を許さないオリジナリティを誇っていたかと思われます。
 やっぱりね、日曜日の朝に放送できる『仮面ライダー』は、『仮面ライダー』じゃあないと思うんですよね、私みたいなおじさんは……そういう意味で、やっぱり『仮面ライダーアマゾンズ』は、いつか必ず生まれなければならない、怪奇特撮ドラマであるはずの「平成仮面ライダーシリーズ」が語ることをしばらくやめていた陰の部分をあえてギッチギチに詰め込んだ、毒素の煮こごりみたいな「けじめ」の物語だったのではないのでしょうか。
 やたらバカっぽい、お祭り騒ぎ的な陽の部分では映画『仮面ライダージオウ Over Quartzer 』が、そして陰の部分ではこの『最後ノ審判』が、平成仮面ライダーシリーズに引導を渡すという重要な役割を担ったのではなかろうかと思うのですが……まぁ、問題はその次に来るべき、まったく新しい「令和の仮面ライダーシリーズ」が果たして誕生しているのかということなんですよね。どうでしょうかね!?
 とまぁ、2シーズンの内容が内容なだけに、やたらとハードルが上がってしまったこの完結編なのですが、その出来のほどや、いかに?

同情もするが、ちょっと「おもしろかった!」とは言えない……

 ……そんな感想だったのでありました。
 う~ん、もともと、多くのファンが望んでいたかと思われる「仁と悠の決着」という大ネタがクライマックスに用意されていることは明らかでありましたから、決して作品に緊張感がなかったというわけでもなく、無論のこと、そこをちゃんと語り尽くしてくれたのは、完結編としての責務をまっとうした、称賛されるべきグッジョブポイントだったかと思います。ここが語られる限り、『最後ノ審判』はどうなっても決して駄作にはなりえない約束がなされていました。

 ところが、振り返るまでもなく仁と悠の対決の構図は、『トムとジェリー』のごとくシーズン1でもシーズン2でも最終回に持ってこられた展開でありました。いくら最後とはいえ、それだけで新作映画1本100分間をもたせるわけにもいかず……ふつうの平成仮面ライダーだったら、もしかしたらお互い新しいパワーアップフォームを披露して対決、という伸ばし方もあったでしょうが、アマゾンズの戦いは素朴・シンプルが身上ですからね。アマゾンオメガにいたっては、アルファとの最終決戦ではニューオメガからふつうのオメガに戻っているという念の入りよう!! 確かに、ニューオメガの印象って、総じてあんまり強そうじゃないですよね。
 そこで、仁 VS 悠の構図に加えて、別のオリジナルストーリーを加えて物語にボリュームを持たせようという話になったのでしょうが……そのオリジナルストーリーというのが、なかなか難しかったんですよね。
 ぐだぐだ言うのもなんなので、この映画において、私があんまりピンとこないなと感じたポイントを、ざっとまとめてみましょう。


1、わざわざ根絶しかけているアマゾンを作って食料にするの、なんで!?

 これが、この『最後ノ審判』最大の疑問にして、ウィークポイントかと思われるのです。ほんとに、なんで!?
 橘局長がしょうこりもなく進めている「アマゾン畜産計画」は、あくまでも仁 VS 悠というメインイベントから見ればサイドストーリーに過ぎないわけなのですが、この話が出てくるたんびに、いちいち頭の片隅に引っかかってくるんですよね。「それ、もうかるの!?」と。

 整理してみますと、シーズン1から始まった「アマゾンズサーガ」に欠かせない存在となっている「アマゾン」という概念は、原典『仮面ライダーアマゾン』(1974~75年放送)における「獣人」にほぼ相当するもので、要するに仮面ライダーシリーズでいう「怪人」のポジションとなります。だもんで、アルファ、オメガ、シグマ、ネオ、ネオアルファといったメインキャラクターだけがアマゾンなのではなく、むしろ大多数のアマゾンから見たら、仮面ライダーっぽい容姿の彼らの方が「やたらカッコつけて見境なく暴れまわる異常なアマゾン」というマイノリティに見えてくるわけです。主人公も敵も「アマゾン」って、ややこしいな……でも、このボーダーラインの曖昧さこそが、『アマゾンズ』なんですよね。どっちが善なのか悪なのかがわからない。

 そして、さらにややこしいことに、シーズン1、シーズン2、そして『最後ノ審判』に出てくるアマゾンは、なんとそれぞれ出自がビミョ~に違う! この絶妙なすわりの悪さよ!!
 簡単に言うと、シーズン1のアマゾンは「実験体」と呼ばれるもので、野座間製薬という頭のおかしな大手製薬会社が創造してしまった、きわめて人間に近い姿に擬態できる「新生物」です。しれっと神の所業!!
 実験体アマゾンは、シーズン1の始まる2年前に4000体が野座間製薬の実験施設からいっせいに脱走しますが、志道真とゆかいな駆除隊の涙を誘う地道な駆除活動や、シーズン1の佳境で発動されたトラロック作戦によって激減し、シーズン1の5年後にあたるシーズン2の物語の中で、最後の実験体タイプであるモグラアマゾン(マモルくん)が死亡したことにより絶滅します。つまり、トータル7年間の内に4000体が駆除されたわけです。
 いっぽう、シーズン2で新たに登場した「溶原性細胞」型のアマゾンは、ある強力な「オリジナル」と呼称されるアマゾンの細胞を体内に取り込んだ「ふつうの人間」が、肉体と精神をアマゾン細胞に支配されてアマゾンに変身してしまうものです。シーズン1の実験体アマゾンはあくまでも、原典における獣人と同じ「新生物」なのですが、シーズン2の溶原性細胞型アマゾンは、「もと人間」ということになるのです。そういう意味合いでは、シーズン2のアマゾンは、むしろショッカーの改造人間に近いわけで、バラアマゾンのエピソードのような哀感もただようわけなんですね。シーズン1のカニアマゾンレストランのようなコミュニティさえ築けない孤独なふたり……!
 んで、シーズン2の溶原性細胞型アマゾンは、シーズン2の序盤で、その感染源が企業向けウォーターサーバーとして供給された同一水源の天然水であると判明し流通を止めた時点で、万単位の人間が溶原性細胞を摂取していると、シーズンきっての忠臣である加納さんが報告しています。ただし同時に「調査した水の半数から溶原性細胞が見つかった」とも言っているので、実際にアマゾン化した人間はもう少し抑えられるかもしれません。そして、シーズン2の2年後にあたる『最後ノ審判』の序盤で黒崎隊長が「残るアマゾンは(アルファとオメガの)2体」と言っているので、万単位いる可能性があった溶原性細胞型アマゾンは、なんと2年間の内に絶滅したようです。こう比べると、4000体の絶滅に3倍以上の7年もかけたシーズン1の志道駆除隊が、黒崎隊などの4C に比べて弱小チームのような印象を持つかもしれませんが、4C は精鋭部隊がいくつもあるみたいだし、殉職者がむちゃくちゃ多い4C にたいして、志道駆除隊の生存率は異常に高いです。まぁ、腕1本が食われたりトンボになったり、そのトンボに殺された挙句にアマゾンシグマになったりと相応のリスクはありますが……

 んでんで、肝心の『最後ノ審判』におけるアマゾンはなんなのかと言いますと、橘局長が御堂園長に主導させているアマゾン畜産計画にもとづいて、切子聖園の地下礼拝堂に隔離されている「創造主」のアマゾン細胞を摂取することによってアマゾン化した切子聖園の孤児たちということになるのです。つまり、やり方はシーズン2の溶原性細胞と同じなので、切子聖園のアマゾンたちも、れっきとした「もと人間」です。
 数に関して言うと、ご丁寧にも切子聖園の孤児たちは名前がそのまんま畜産物としての生産番号にもなっていて、劇中で名前を呼ばれている孤児でいちばん若いのが「ハイチ(81)くん」であることや聖園の規模からみて、多く見積もっても通算100人前後が関の山かと思われます。そして、だいたい50~60番台までの孤児たちが劇中で出荷されていました(イツミ、ゴロウ、ムクなど)から、聖園にいた未覚醒のアマゾンたちは20~30人といったところでした。

 前置きが長くなりましたが、つまり、かつて最大で万単位いたらしいアマゾンは、『最後ノ審判』の時点では、世界で1ヶ所しかない生産施設(切子聖園)の、たった1人しかいない「創造主」のアマゾン細胞をもとにほそぼそと作っては喰われ、作っては喰われして、ストックはせいぜい20~30人ということになるのです。
 そんなの、ホイホイ食っていいものなのか? 生産コストが高すぎない?

 橘局長の口ぶりでは、「世の中にあぶれまくっているアマゾンを食用にして人類に役に立てよう」みたいな印象なのですが、そもそもアマゾンはその橘局長の有能な部下たちによって順調に絶滅しかけているし、シーズン1の新生物と違って、いくら孤児とはいえ、その気になってさかのぼればちゃんと人権がある子ども達をわざわざアマゾンにして食べているってんですから、「多いから食う」じゃなくて「食うために作ってる」という本末転倒ぶりと、その法的リスクの見合わなさは、誰がどう見てもおかしいですよね。それでよくもいけしゃしゃあと政治家にすすめられるもんだよ!
 なんだ? 橘局長はシーズン2でネオに殺されかけてから、記憶が止まっているのか? 黒崎隊長の2年間の活動報告を聞いていないのか? 加納さんロスがこれほどまでに大きいとは……

 橘局長は、アマゾンの畜産化を「野生のイノシシの家畜ブタ化」に例えて説明していましたが、実情をもっと正確に言うのなら「人間の食べ物を増やすために人間をブタにして食べる」わけで、食糧問題の解決のために人口減少問題にブーストをかけるという、ウロボロスな珍回答になっているわけでした。しかも、若々しい未来有望な少年少女をアマゾンにして食べているのは、そろいもそろって子供を産む可能性のカケラもなさそうな高齢者ばっか……それをなんで、よりにもよって日本でやんの!?
 脚本家は、「若者を食い物にする老害」ということを言いたいのでしょうか。でも、こんな小学生でも恥ずかしくて言う気をなくすような見えすいたメタファーに変換するのって、プロとしてどうなんだろう。ちょっとこれ、「原作 石ノ森章太郎」ってクレジット、はずしたほうがいいんじゃない? 石ノ森先生はこんなセンスのかけらもない設定は0コンマで却下するでしょう。そんなこと描いたら、速攻で手塚先生に「あいつもヤキがまわったなぁ!!」ってバカにされちゃいますからね。

 おかしいだろ……政治家の佐古島さんだって、同情の余地もないいやらしい雰囲気のオヤジではありますが、ムクを見て「すぐ殺して食べたいな」という思考になるほど狂ってはいないでしょう。絶対もったいないでしょ!! 新型スマートフォンぶん投げて鳥を捕まえようとしてるみたいなもんですよ。他にもっと使い道あるだろ~!

「あの~橘くん、この娘、テイクアウトでいいかな!? 今ちょっと食欲なくて……いやいや大丈夫、家帰ったら絶対食べるから!!」


2、橘局長がアマゾンの覚醒対策とオメガ対策をまるでしてないの、なんで!?

 結局のところ、『最後ノ審判』の残念な点の本質は、シーズン2からの引継ぎに失敗している設定が多いこと。もっとはっきり言えば、小林靖子作品じゃないことなんじゃないかと思うんです。監督もレギュラー出演陣も音楽も継続でありながら、肝心の小林さんだけが脚本でなく「監修」とは! でも、こうなっちゃったのは、やっぱりシーズン2で小林さんがやり尽くしたからなんでしょうねぇ。
 確かに、仁と悠の物語は、シーズン2の最終回では決着つかずで終わるのですが、両者とも、異形のアマゾンとして「この世に生まれたことの罪」を背負いながらさまよう後ろ姿で終わっています。つまり、小林さんとしては、ヒーロー特撮らしく白黒はっきりつける対決は描かず、フィクションのようにきれいに死ねない結末に、両者の人間らしい生きざま、泥臭さを投影したかったのではないでしょうか。最後まで、実にヒーローらしくない幕切れ。それこそが『仮面ライダーアマゾンズ』の最後なのではないかと。純粋な愛のために美しく散る若者2人と、罪を背負いボロボロになりながらもしぶとく生き続けるおじさん2人(悠はまだおじさんじゃないけど)……あなたがあこがれるのは、どっち!?

 ということなので、おそらく小林さんにとって『最後ノ審判』は蛇足以外の何ものでもないと思うんです。それを無理矢理再起動させたのですから、それはテンションの高さや、世界設定の密度に差が出るのも当たり前なのでありまして。
 ただ、そんな事情があったのだとしても、劇場版の脚本は、細かい点があまりにもずさんなのではないでしょうか。「100分しかないんだから、多少のアラは見逃して! ちゃんと仁と悠の決着つけるから♡」という言い訳が聞こえてきそうですが、そもそも1、で言及したように、アマゾンを畜産化してどうこうなんて言える残頭状況じゃないのに、それでもゴリ押しでアマゾンを増やそうとする脚本家の魂胆がまったくわからない。しかも、それを主導しているのが、毎日スイーツバイキングだけを心のよりどころとしてヒーコラ言いながらアマゾン狩りを続けていた黒崎隊長の、直接の上司なんですもんね。

 もしもあなたが4C の駆除隊員だったとします。文字通り命をかけて2年間、数千を超えるアマゾンを駆除してきました、そしてあともう少しでほぼ全てのアマゾンを駆逐できるぞ、死んでいった数多くの同僚たちの墓参りももうすぐだぞ、隊長をビックリさせるサプライズパーティの特大いちごケーキとプレゼントの超高級ひげそりの手配はもう大丈夫だな、という時に、突然会社から、

「ごめーん、今度からアマゾン作るわ。草食だからたぶん安全なんだけど、もし暴走するやつが出たら処分してくれる? どうせ、これから君らヒマでしょ?」

 と言われたら、ハイそうですかと配置につけますか!? 絶滅させろと言ってた人が、これから作るネって言い出すのよ!? わけわかんないでしょ!! お前がやれバカヤロー☆

 ただし、劇中の時点で橘局長はアマゾン畜産化計画の「あ」の字も黒崎隊に伝えていなかったらしく、切子聖園の脱走者の暴露で事の真相を知った志道から、謎の新型アマゾンを作っているのが自分の上司だと教えられた黒崎隊長は、終盤で橘局長に(その所業の割にはだいぶ甘々な)制裁をくらわせます。因果応報!

 でもだとしたら、橘局長は、自分の計画ならびにその本質が集中している切子聖園の存在を知られると困る相手が多すぎますよね。まず悠はこんなことを知ったら絶対に計画をつぶしにかかって来ますから警戒は必須なんですが、その悠を追わせている自分の配下にも、切子聖園付近には来てほしくないわけです。カウントされていないアマゾンが5~6体うろうろしてたら、さすがに黒崎隊長もおかしいと思いだすでしょう。
 え……悠は自分以外のアマゾンの存在をかなり鋭敏に感じ取ることができる能力があるんでしょう? じゃあ、「創造主」がいる切子聖園なんか、秒で勘づくんじゃないですか。でも、来たからと言って、黒崎隊に切子聖園ちかくに出張られても困るんでしょ? 詰んでない、これ?

 そして、実際の橘局長はそれに輪をかけたずさんさで悠と黒崎隊の両方を放任しており、悠が逃げ込んだ湖が「たまたま」切子聖園の近辺で、その追撃に乗り込んだ黒崎隊が「たまたま」脱走アマゾンに遭遇した挙句に、畜産計画を知ってしまうという破綻ロードを突き進むこととなります。いやいや、どっちも聖園に近づけさせないような手をうっとけよ……

 しかもその一方で、切子聖園の子どもが覚醒アマゾン化した場合の対応もまた、まるで考えていないようなのがどうしようもない。
 聖園の卒園者を「調理」するレストランは、どうやら聖園からそんなに離れていない林の中にある洋館なのですが、処理を担当するのは、ろくな具も持ち合わせておらず16、7歳の小娘ひとりを押さえつけることさえ手こずる、ただ顔が怖いだけのひ弱なおじさん2人。そして肝心カナメの調理に関しても、そんなにおいしくないようで残食が多すぎです。いやいや、おいしくなかったら、もうなにもかも成立しないじゃんか~!! ネオアルファを開発する予算なんかあったら、腕のいいコックさんを雇えよ~!!

 ずさんアンド、ずさん!! たぶん、橘局長は切子聖園を作った時点で頭がぷしゅ~となって、その先のことはなんにも考えられなくなったのでしょう。そりゃ飼い犬(ひげチワワ)に脚も撃たれるよ……


3、橘局長の「シグマ計画」へのこだわりは、どこに行っちゃったのか?

 ちょっとね、1、と2、の説明であまりにも字数がかさんでしまいましたので、その他のポイントは、かなりはしょってまとめたいと思います。でも、この作品で気になることの大部分は、もう言いました。

 シーズン2の終盤で橘局長があんなに威勢よく言っていた「新たなシグマ計画」とは、いったい何だったのか?
 シーズン1と2を見る限り、シグマ計画とは、アマゾン細胞を人間の死体に移植して生体兵器を開発するプロジェクトだったようなのですが、『最後ノ審判』の中で明確にアマゾンシグマやカラスアマゾンの衣鉢を受け継いだようなキャラクターは登場しません。橘局長、口ばっかしで変節したか?
 でも、カラスアマゾンことイユの肉体が、二度目の死亡後も他のアマゾンのように溶解もしくは変色しなかったことを考えると、もしかしたら同様に死亡後も遺体に変化が見られなかったネオアルファこと御堂園長が、シグマタイプの最新型だった可能性はありますよね。十二分に生体兵器してたし。なるほど、それなら園長の、あの異様なまでの感情のとぼしさにも説明がつく! あ、いやでも、クライマックスでの対アルファ戦ではあんなにハッスルしてたしな……
 あっそうか、橘局長は切子聖園まわりの守備に関しては完全にネオアルファに一任していて、黒崎隊がなくともいつか来るオメガに対処できるようにしていたのか。まぁ、結局ネオアルファはオメガそっちのけで大好きなアルファに夢中になりすぎて自滅したんですけどね。ダメじゃん!! イユを超えるドジっ子だ。


4、ネオアルファが「おれは人間だ。」ってあの場面で言うの、なんで!?

 いやいや園長、それを言ってる自分の姿を鏡で見てみてよ~! 人間なわけないじゃん!!
 これに関して私が言いたいのは、園長の言い分が正しいかどうかではなく、言うタイミングとして「ほぼ勝ちが確定している側が言うことじゃないよな」という違和感なんです。
 逆に、アルファに殺されかけた園長が「ま、待て! おれは人間だ。人間は殺さないはずだよな!?」と言うのならしっくりくるのですが、どっちかっていうと園長優勢でしょ? なんでそんなこと言ったんだろ。そこは「冥途の土産に教えてやろう」っていうところだろう!


5、シーズン以上に画面が暗くて悠の顔がぜんぜん見えないの、なんで!?

 シーズン1・2の画面の暗さは、あくまでも色調の範囲の狭さであって、物がよく見えないというストレスはなかったかと思うのですが、『最後ノ審判』は特に切子聖園内シーンの照明が弱いですよね。あれ、劇場で見ていたら確実に私は眠くなっていたと思います。それで、ネオアルファの断末魔で目が覚めてガックリくるパターンだよ、絶対あれは!!


6、映画の時間上、ムクの洗脳が解けるのが急すぎて御堂園長の運営方針じたいが貧相に見える。

 まんま、そういうことです。
 ムクもムクで、そのくらいは想定内なんじゃないの?と思っちゃいますけどね。それを見ちゃうくらいでショック受けてたら、おすまし顔で卒園なんてできないだろ。でも、確かに自分の身になってみたら、せっかく命をささげてるのに、おのこしされるのはイヤですよね。私も、食べ物はちゃんと最後まで食べることにしよう。


7、切子聖園の「儀式」の呪文歌が、映画『ドラキュラ』(1992年)のサントラ曲に似ていてうさんくさい。

 これも、まんま。
 ていうか、『最後ノ審判』を観るような人って、ほぼ100%それまでのシーズン1と2も観ている人ですよね。じゃあ、アマゾンになるのに儀式なんてぜんぜん必要ないってことはもうわかっちゃってるわけで、ああいった茶番以外の何物でもないやり取りを延々と見せられるのは、かったるいですよね。
 あれは、御堂園長の雰囲気づくりのための演出なのだろうか……作詞も園長!? 趣味、悪!!


 ……とまぁ、今回もいろいろぐじゃぐじゃ言わせていただきましたが、ラストの、愛する人を残し、ひとりバイクでいずこへともなく去っていく悠の後ろ姿は、仮面ライダーとしか言いようのない完璧なショットになっていたと思います。小林太郎さんのエンディングテーマも、ちゃんと原典『アマゾン』エンディングの「ダダダ!」をおさえていて最高だったし。

 とにかく惜しむらくは、限られた100分間に濃密な展開を詰め込み過ぎて設定の破綻が目立ったこと。かといって、全13エピソードのシーズン3にすれば、それはそれで薄まり過ぎただろうし……難しいもんですね!
 ただし、悠と仁の対決と、正攻法なチームワークでアマゾンを倒す志道駆除隊の最後の戦いを劇場版で描き切ったのは、素晴らしいファンサービスになったと思います。なにげに、ナイフと己の肉体だけでわけのわかんないアマゾンに近接戦を挑む高井望さん、やっぱり最強だわ……

 命のやりとり、本当に生きるための闘い。数々の感動を与えてくれた『仮面ライダーアマゾンズ』シリーズ、どうもありがとうございました。
 みんなも、食べ物は残さず食べよう!! EAT,KILL ALL!!
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連ドラに短し、映画に長し…… 映画『仮面ライダーアマゾンズ 最後ノ審判』 ~まずはおなじみ資料編~

2021年07月08日 23時15分22秒 | 特撮あたり
映画『仮面ライダーアマゾンズ 最後ノ審判』(2018年5月19日公開 100分 東映)
 キャッチコピーは「全てを守りたい 全てを殺したい」、「真の仮面ライダーを生きる覚悟はあるか」。
 配信版『仮面ライダーアマゾンズ』シリーズの続編かつ完結作にあたり、仮面ライダー映画では初となる4DX / MX4Dでの上映も公開された。
 本作は「人間対アマゾン」という対立構図となる。「生きるというのは食べること」という『アマゾンズ』シリーズのテーマを昇華させるため、「食べられる側のアマゾン」をテーマの主軸とし、アマゾンに食われる人間たちを描いてきた配信版の逆転でアマゾンを食べる人間たちを描くこととなった。脚本の高橋悠也が以前から構想していた「畜産」というテーマを『アマゾンズ』の世界観で描くため、高橋が捉えていた仁の「アマゾンを生み出した創造主」という立ち位置のキャラクターから「神である一方で罪を背負っている」というイメージで描き、アマゾン牧場という畜産施設に礼拝堂のイメージを合体させることで高橋が目指していた『アマゾンズ』を描くこととなった。
 興行収入は1.8億円。

 本作に登場するアマゾンは、切子聖園の地下礼拝堂にいる「創造主」から生み出され、共通して腕に個体識別番号の腕輪を装着している。
 アマゾンたちのスーツは前シーズンのスーツを改造したものとなっている。腕輪は、畜産されている牛や豚が番号が付いた識別用のタグを付けていることから、番号で整理されているイメージを付けるために設定された。

あらすじ
 シーズン2の物語から2年が経過し、4Cによるアマゾン殲滅作戦は佳境を迎えていた。4Cの黒崎隊に追いつめられた悠(仮面ライダーアマゾンニューオメガ)は、悠を守るためにあえて4C に身を置いていた美月の助けで何とか命からがら逃げおおせるも、黒崎の銃撃に遭い負傷した美月と共に、山奥の切子村にある切子聖園という養護施設に入居しているムクという少女たちに助けられる。悠たちは、切子聖園の園長である御堂英之助の計らいで施設に身を隠すこととなるが、そこにアマゾンたちが出現。子供たちを守ろうとする悠だったが、その目の前で御堂が仮面ライダーネオアルファに変身して圧倒的な力でアマゾンを撃退してしまう。
 一方そのころ、4Cの代表である橘は政治家・佐古島に取り入り新たな計画を実行に移そうとしていた。それは、アマゾンを家畜として生産し、富豪たちに最高の食材として提供するアマゾン畜産計画。そしてそのアマゾンとは、まさに悠たちが身を隠している切子聖園の子供たちだった。
 悠と美月を保護するようにと美月の母・令華から命令を受けた駆除班、悠たちを駆除しようとする4C、未だ行方の知れない仁(仮面ライダーアマゾンアルファ)。やがて切子聖園の秘密が暴かれる時、悠と仁の最後の決着が幕を開ける。

おもな登場キャラクター&キャスティング
水澤 悠(仮面ライダーアマゾンニューオメガ)…… 藤田 富(26歳)
 27歳。本作でも引き続き主人公として登場する。シーズン2からの2年間、4Cから追われ、美月と共に湖に落ちて気を失ったところを切子聖園のムクたちに拾われる。当初は妙に居心地の良いそこに惹かれたが、アマゾン襲撃を契機に、園の真実を知ることとなる。

水澤 美月 …… 武田 玲奈(20歳)
 24歳。4C 黒崎隊の隊員として悠を追っていたが、隊を裏切って悠を身を挺して庇い、彼とともにムクたちに拾われる。

ムク(リスアマゾン)…… 国府田 聖那(こくふだ せいな 16歳)
 切子聖園で生活している少女。ナンバー69。穏やかな性格で、4Cに追われていた悠と美月を匿い施設で共に過ごすことを提案する。自分たちを「幸せを運ぶ天使」だと自認している。
 自分が家畜として作られた存在であることも受け入れており、それに対する疑問も抱かず「誰かの命になって役に立てるのなら構わない。」と生に対する執着を見せず悠を困惑させるが、彼と出会ったことやアマゾン畜産計画の犠牲となった仲間を見たことで信念が揺らぎ、アマゾン化してしまう。
 食べられるために生まれてきた家畜アマゾンの不条理さを物語る象徴として置かれた。
 リス型のアマゾン。凶暴性は低いため、戦闘向きではない。ニートンブーツを履かせることで可愛らしさを出している。

ハイチ …… 大西 統真(13歳)
 切子聖園で生活している幼い少年。ナンバー81。他者を人見知りし、挨拶もおぼつかない態度を見せるが、美月とは打ち解けている。本性を現したネオアルファに追われ、地下礼拝堂の「創造主」に救いを求める。
 切子聖園の子供たちの名前の由来は腕輪にある家畜としての「番号」から来ており、そのまま数字が生まれた順番となっているため、ハイチが作中で一番幼い。

御堂 英之助(仮面ライダーアマゾンネオアルファ)…… 姜 暢雄(39歳)
 養護施設「切子聖園」の園長。親のいない少年少女たちを施設で引き取り、新たな家族である里親が名乗り出ると彼らを送り出すといった日々を過ごしている。淡白な口調ながら園児や悠たちにも物腰は柔らかく接する穏やかな性格に見えるが、ルールを破るものに対しては本性を現し、一人称も「俺」に変わり厳しく冷徹な性格を覗かせる。
 無用な詮索を好まず、悠が食人を行わないアマゾンであると知った時も施設のルールである「何があったかは聞かない。」を守り施設に留まるよう説得した。しかし同時に自分たちの正体を詮索されることも好まず、地下礼拝堂に立ち入ろうとする悠を制止している。
 その正体はアマゾン畜産計画を立案・実行していた生物学者。脚本の高橋による悠がアマゾンを「守る」人、仁がアマゾンを「殺す」「壊す」人という解釈から、アマゾンを家畜として「活かす」人であり、倫理観の破綻した人物の多い『アマゾンズ』の世界で、人類としての常識を背負った人と位置づけられており、人類が日常的に育てた肉を食べている問題を背負っている。ただし、畜産されたアマゾンが被害者の側に立ち、それを利用する人間に悪を感じさせることが本作のテーマでありながらも、同時に悠と仁の決着を描く完結篇でもあるため、分かりやすい悪役の役割を担うキャラクターとなった。仁の伝説を追い求めた末に、自分なりのやり方で彼を超えようとしていた。
 特殊な状況下に置かれている施設の子供たちとの対比から、ごく普通に見える少年少女に対して「見るからに悪い人」にするため、鋭い眼光で常軌を逸した雰囲気の出せる姜が選ばれた。御堂を演じる姜は、監督の石田から一貫して冷徹な人物として演じ、分かりやすい芝居はしないようにと指示されたという。
 ニューオメガ以上に機械的な装甲を持ち、頭部はフェイスガードで保護されているのが特徴である。距離を問わない攻撃が得意で、ニューオメガが苦戦するアマゾンをいとも容易く倒してみせた。迷彩色のミリタリーテイストのアーマーで全身のラインを構成している。

黒崎 武 …… 三浦 孝太(34歳)
 4C のアマゾン駆除部隊の一つである黒崎隊の隊長を務める。2年間の追跡を経て、悠(オメガ)を駆除するために追い詰める。

札森 一郎 …… 籾木 芳仁(26歳)
 政府から派遣された、黒崎隊付きの官僚。黒崎と共に悠(オメガ)を追う。

志藤 真 …… 俊藤 光利(44歳)
 48歳。悠と仁を除く実験体アマゾンを全て駆除した後は任を解かれたが、水澤令華の命で招集され、悠を4C から守るためにバックアップする。

福田 耕太 …… 田邊 和也(32歳)
 42歳。本作では4C 黒崎隊を離れ、志藤の駆除班と再合流している。

高井 望 …… 宮原 華音(22歳)
 29歳。志藤の駆除班に再び所属している。

三崎 一也 …… 勝也(31歳)
 42歳。志藤の駆除班に再び所属している。

水澤 令華 …… 加藤 貴子(47歳)
 50歳。本作では悠への異常な執着心と愛情から志藤たち駆除班を再招集し、彼を生き残らせようと画策する。

天条 隆顕 …… 藤木 孝(78歳 2020年没)
 野座間製薬会長。82歳。本作の時点では、杖と車椅子で生活している状態まで回復している。

橘 雄悟 …… 神尾 佑(48歳)
 4C 局長。50歳。本作では4C に悠と仁の駆除を命じ、自身の主導するアマゾン畜産計画を推進するため、政治家の佐古島に協力を要請する。

佐古島 晋作 …… 嶋崎 伸夫(65歳)
 橘が接触した有力政治家。アマゾン畜産計画を円滑に進めようとする橘から切子聖園の視察を進言される。

ミナ(ウミヘビアマゾン)…… 鈴木 つく詩(22歳)
 切子聖園から脱走し、廃屋に潜んでいた子供たちの中でリーダー格の少女。ナンバーは37。アマゾン態に変身できるが人間を食べた経験はない。偶然迷い込んだ駆除班を襲撃し、拘束する。
 ウミヘビ型のアマゾンで、ウミヘビ状の右腕を伸張させて捕縛し、しなやかな両脚で敵を締め上げる攻撃を行う。全身に長いウミヘビを1匹巻き付けたデザインになっている。

サンゴ(トラアマゾン)…… 河野 晴日(17歳)
 切子聖園から脱走し、廃屋に潜んでいた子供。まともに動けないほどに衰弱している。ナンバーは35。アマゾン態に変身できるが人間を食べた経験はない。
 トラ型のアマゾンで、鋭い爪と牙で敏捷性を活かした素早い接近戦を得意とする。スーツはシーズン2のゾウアマゾンの改造で、上半身に黄色い毛皮を巻いている。

ヨージ(カミツキガメアマゾン)…… 林 タケル(15歳)
 切子聖園から脱走し、廃屋に潜んでいた子供たちの中で最も幼い少年。ナンバーは42。アマゾン態に変身できるが人間を食べた経験はない。偶然迷い込んだ駆除班を襲撃し、拘束する。
 カミツキガメ型のアマゾンで強靭な顎と強固な甲羅を持ち、皮膚は弾丸を弾くなど攻防に秀でている。スーツはシーズン2のゾウムシアマゾンの改造で、スーツをダークレッドに塗りなおすことで同じスーツを共用しているサメアマゾンとも違和感がない配色にしている。

鷹山 仁(仮面ライダーアマゾンアルファ)…… 谷口 賢志(40歳)
 45歳。本作では当初、消息不明となっていたが、悠たちとある場所で再会する。

バッファローアマゾン
 突如として切子聖園を襲撃したバッファロー型のアマゾン。施設の出身者だった可能性がある。
 スーツはシーズン2のゾウアマゾンの改造で、腰に革布を巻いている。

サメアマゾン
 突如として切子聖園を襲撃したサメ型のアマゾン。水中での戦いを得意としているが、劇中では地面を泳ぐように移動する能力を見せた。施設の出身者だった可能性がある。
 スーツはシーズン2のゾウムシアマゾンの改造で、上半身にサメに近い生物のエイのニュアンスを入れた肩アーマーを装着している。

イツミ …… 岡本 莉音(17歳)
 切子聖園の園児。ナンバー53。悠と美月が保護された日の翌朝、品の良い老夫婦に迎えられ卒園するが……

ゴロウ …… 奥田 夢叶(ゆめと 17歳)
 切子聖園で生活している少年。ナンバー56。ムクと同日に新しい家族に迎え入れられ卒園するが……

おもなスタッフ
監督 …… 石田 秀範(55歳)
脚本 …… 高橋 悠也(40歳)
音楽 …… 蓜島 邦明(65歳)
主題歌『EAT,KILL ALL』歌唱・Project.R(小林太郎、NoB)


 ……いやホント、感想はまんま、この記事のタイトルに尽きちゃうんですけれどもね。
 詳しいつれづれは、また次回に~!
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仮面ライダーアマゾンズ シーズン2

2021年07月01日 23時07分45秒 | 特撮あたり
『仮面ライダーアマゾンズ シーズン2』(2017年4~6月配信 全13話)

脚本 …… 小林 靖子(52歳)
音楽 …… 蓜島 邦明(64歳)
監督 …… 石田 秀範(54歳)、田﨑 竜太(53歳)、金田 治(67歳)
主題歌『 DIE SET DOWN』(歌唱・小林太郎)

 『仮面ライダーアマゾンズ』は、「仮面ライダー」シリーズの VOD(ビデオ・オン・デマンド)向けオリジナルビデオ作品で、シリーズ第4作『仮面ライダーアマゾン』(1974~75年放送)のリブート作品である。シーズン2(全13話)は2017年4月7日から6月30日まで、Amazonプライム・ビデオにて毎週金曜日に配信された。

シーズン2について
 シーズン1から引き続いて脚本を担当した小林靖子は、「シーズン1が『野生と養殖』の物語であったが、シーズン2は『少年と少女』の物語である。」と語っている。また、プロデューサーの白倉伸一郎は、「シーズン1は、『生きること』にスポットを当てていたが、シーズン2は『人であること』に焦点を当て、シーズン1よりハードになっている。」と語っている。白倉はテレビでも放送されたシーズン1とは対照的に、テレビで放送できない内容にすることを考えており、監督の石田秀範は肉体的にも精神的にも痛々しい刺激的な表現を志向したという。
 シーズン2の物語の舞台は、世界観こそ一緒であるものの前期とまったく異なる物語にするためにも、シーズン1の5年後と設定され、「シグマ少女」という小林の設定のもと、ボーイ・ミーツ・ガールを物語の主軸とした。小林は、鷹山仁や駆除班などのシーズン1の登場人物をまったく出さないことを想定していたが、プロデューサーの武部直美の意見によりシーズン1の登場人物も引き続き登場することとなった。
 2018年5月12日には、シーズン2を再編集した映画『仮面ライダーアマゾンズSeason2 輪廻』が公開された。

シーズン2のあらすじ
 シーズン1におけるトラロック事件から5年が経ち、実験体アマゾンのほとんどは駆逐され、世界は平和になりつつあった。だが、今度は人間に感染する新種のアマゾン細胞「溶原性細胞」が蔓延し、普通の人間がアマゾン化するという事態が発生していた。これに対し、政府は新たな駆除組織「4C」を結成し、アマゾン化した人間を秘密裏に駆逐していた。
 そんな中、「アマゾンに育てられた」という孤児の少年・千翼は、4C に保護され教育を受けていたが脱走。アマゾン狩りをして収入を得る不良少年グループ「 TEAM X」に拾われ、その戦力として仮面ライダーアマゾンネオに変身し、アマゾンたちと戦っていた。だが、生まれつき食人衝動に駆られる千翼の前に、カラスアマゾンに変身して戦う謎の少女・イユが現れる。千翼は人生で初めて「食べたい」と思わない彼女に惹かれるが、イユの正体はアマゾン化してしまった実の父親に殺され、4C の手でシグマタイプとして蘇らされた人造アマゾンであった。イユをただの兵器として扱わせないため、千翼は4C に復帰し、戦闘部隊の一つ「黒崎隊」の一員となる。その一方、溶原性細胞を蔓延させている元凶がトラロック作戦から生き残ったマモル(モグラアマゾン)であると知った志藤たち旧駆除班は再集結し、同じくマモルを止めるために表舞台に姿を現した水澤悠(仮面ライダーアマゾンオメガ)、そして悠と向き合うために4C に加入した水澤美月とともに、再びアマゾン狩りを始めるのだった。


おもな登場人物やアマゾン(並んで演じる俳優の名前と年齢も表記)
千翼(ちひろ 仮面ライダーアマゾンネオ)…… 前嶋 曜(20歳)
 シーズン2の主人公。幼少期に4C(フォーシー)に保護されており、その時の現場の状況からアマゾンに育てられたと目される少年。外見年齢は18歳ほどだが、アマゾン細胞の力によって成長が驚異的に早く、実年齢と比較すると通常の人間よりも大きく差がある。
 生まれつき食人衝動に駆られており、自身の暴走を防ぐために他人から触れられることを嫌う他、食事という行為そのものも嫌悪し水と飲料状の栄養補助食品しか口にしない。幼少期に何者かに母親を食い殺された様子を見た記憶を持つが、母親を捕食したのは実は自分自身ではないかという疑いを捨てきれずにいる。普段は物静かだが、他のアマゾンと同等に扱われると猛反発し、敵のアマゾンとの戦闘でも凄まじ過ぎる勢いで攻撃を仕掛けるほどの凶暴性を内に秘めている。
 対アマゾン用の戦士として4C に保護・育成されるが、橘によってモルモットのように扱われたために間もなく脱走。その後は自分を迎え入れた不良集団 TEAM X(チームキス)に所属し、アマゾン狩りの動画実況配信をコンテンツとしてアフィリエイト収入を得る活動に助力する代わりに住処を提供されていたが、戦いの中でイユに出会い、彼女を人間として扱うことを条件に4C に復帰し、彼女が所属する黒崎隊に入隊する。

星埜 イユ(カラスアマゾン)…… 白本 彩奈(14歳)
 父親の誕生日の日に、アマゾンとなった父親に一家ごと殺された後、ヒトの死体にアマゾン細胞を移植した「第4のアマゾン」シグマタイプとして蘇った少女。享年16歳。父親に殺された際にえぐられた左目は義眼となっている。黒崎隊とともにトラロックで生き残ったアマゾンを狩っている。シーズン1で仮面ライダーアマゾンシグマとなった淳とは違ってタンパク質を摂取する必要があり、感情を持たないため相手の言葉や行動を反射的に繰り返す癖がある。
 死体ゆえに感情を持たないが、父親の好きだった歌を口ずさむ時だけが唯一、生前の人間性がうかがい知れる。生前は料理が好きで、ケーキ作りなどをクラスの友達と共にしていた。

星埜 始(はじめ ハゲタカアマゾン)…… 山崎 潤(43歳)
 イユの父親。細胞生物学を専門とする啓践大学の理工学部生命科学科教授であり、鷹山仁の大学時代の師でもあったが、自身の誕生日の日にハゲタカアマゾンと化し、自分の家族を惨殺する。その直後、生前に面識があった水澤悠によって殺された。アマゾン化する前は家族を愛する穏やかな人物だった。

水澤 悠(はるか 仮面ライダーアマゾンオメガ)…… 藤田 富(とむ 25歳)
 シーズン1の主人公。25歳。アマゾン細胞がヒト型に成長した実験体とも、人間にアマゾン細胞を移植した仁とも異なる、アマゾン細胞にヒトの遺伝子を与えた第3のアマゾン。
 4C に最大級のターゲットとして狙われており、4C の戦闘員になった美月、過去に因縁のあるイユと千翼の前に姿を現す。美月に対して「溶原性細胞によって生まれたアマゾンを狩ることに協力はするが、マモルたちの心情も理解して欲しい。」と協力を約束し、千翼に対してはイユに気をつけるよう警告する。溶原性細胞根絶のために志藤たち元駆除班と行動を共にし、元駆除班のスポンサーからネオアマゾンズドライバーを受け取り、仮面ライダーアマゾンニューオメガへと変身する。
 好戦的で本能のままに実験体アマゾンを駆除していたシーズン1に対し、変身時の発声に落ち着きが見えたり戦闘方法にも大きな変化が見られるなど、5年の時を経て人間的な成長も伺える。

水澤 美月 …… 武田 玲奈(19歳)
 22歳。水澤令華の実娘で、悠の義妹。
 シーズン1の最終話で悠と決別した後、アマゾン駆除部隊「4C 」の青山隊に所属してアマゾンを狩っており、圧裂弾を扱えるほどの実力を持つ。

黒崎 武 …… 三浦 孝太(33歳)
 4C の駆除部隊の一つである黒崎隊の隊長を務める。過去にアメリカで特殊部隊に所属していた経歴を持つ。主な使用武器はアサルトライフル。極めてクールかつドライな性格で、忠実に命令を遂行することのみを旨としており、生死を賭けたアマゾン駆除をしているため、いつも気だるそうでやさぐれた言動が目立っている。偏頭痛持ちであるのか、よく頭痛薬を服薬している。かつて悠とマモルの仲間だった福田に、アマゾンの仲間だったという理由で不信感を持っている。休日はスイーツバイキングに興じるなど、甘いものが好き。

札森 一郎 …… 籾木 芳仁(25歳)
 政府から派遣された黒崎隊付きの官僚。戦闘能力は皆無で、常にできるだけ前線に出ることを望んでいないため、ネットウォッチングを自分の仕事として黒崎隊に所属し、インターネットの情報からアマゾンの居場所を探すなどの任務にあたる。呑気かつマイペースで、話し相手の神経を逆撫でするような言い回しも少なくない。休日はメンズエステに通っている。

福田 耕太 …… 田辺 和也(31歳)
 40歳の男性。旧駆除班ではサブリーダー的存在で、バンの運転や狙撃など、主に後方支援を担当。寡黙で愛読の文庫本を駆除現場にまで持参し、待機時にもひとりで読み耽るほどの読書家だが、内には仲間思いの熱い性格を秘める。元警視庁特殊部隊出身で、その当時から志藤の部下であった。母が認知症を患い介護施設に入っているために介護費用を必要として旧駆除班に参加していた。戦闘時の主な武器は特殊部隊時代から使用しているライフル。
 旧駆除班の解散後、引き続き母親の介護費用を捻出するために4C の駆除部隊「黒崎隊」に所属し、狙撃担当としてアマゾンを狩るが、悠やマモルのようにかつての仲間であるアマゾンを倒すことへの躊躇を否めず、それを橘や黒崎に見抜かれたことで美月とともに隊との別行動を命じられ、その中で旧駆除班や悠ら野座間製薬側と再び共闘することとなる。

福田の母 …… 泉 晶子(70歳)
 認知症を患い、小川福祉病院の介護施設に入居している。足がすでに不自由となり車椅子で生活している。

本田 …… 宮城 大樹(27歳)
 黒崎隊の隊員。

藤尾 …… 笠原 紳司(43歳)
 4C の駆除部隊の一つである藤尾隊の隊長。アマゾンを嗅覚で探知する犬バロンを利用してアマゾン探査を行っている。

中島 …… 左 光哲(現・林光哲 26歳)
 藤尾隊の隊員。アマゾンを嗅覚で探知する犬バロンと共に、美容室 Tuberoseの張り込み捜査を行う。

赤松 竜二 …… 内田 章文(36歳)
 4C きってのエリート部隊である赤松隊の隊長を務める。黒崎隊と共に逃走した千翼の追跡任務に当たる。

橘 雄悟 …… 神尾 佑(47歳)
 48歳の男性。野座間製薬株式会社国際営業戦略本部長。現在は、新たに設立された4C の局長を務めている。
 イユをシグマタイプのアマゾンとして蘇らせたのは、あくまでもビジネスとして合理的に商品化させたに過ぎず、アマゾン細胞に人間の遺伝子を組み込ませた野座間製薬とは違うと製薬を批判している。

加納 省吾 …… 小松 利昌(44歳)
 47歳の男性。ロボットのような挙動をみせ、何を考えているか全くわからない能面のような風貌だが、通常は令華に淡々と冷徹に職務を遂行し、付き従う優秀な秘書。
 現在は野座間製薬から派遣され、新たに設立された4C の局長となった橘の秘書を務めているが、ひそかに令華に情報を流している。

長瀬 裕樹 …… 赤楚 衛二(23歳)
 不良集団 TEAM Xのリーダー。17歳の高校生で、イユとは元同級生。ニックネームはヒロキ。三崎からのあだ名は「ボクちゃん」。合点がいかないことに直面すると激しく憤慨する荒々しい気性の持ち主。両親との不和から家を飛び出し、高校にも行かずアマゾン狩りをネット配信したアフィリエイト収入で生活している。

山下 琢己(ヒヒアマゾン)…… 三浦 海里(20歳)
 不良集団 TEAM Xのメンバー。16歳。ニックネームはタク。Aroma Ozone を飲んだことで溶原性細胞に感染し、ヒヒアマゾンと化す。

北村 健太 …… 堂本 翔平(23歳)
 不良集団 TEAM Xのメンバー。17歳。ニックネームはケンタ。母親の再婚相手と反りが合わず、長らく連絡を取っていない。

志藤(しどう)真 …… 俊藤 光利(43歳)
 かつて旧駆除班のリーダーだった男性。46歳。元警視庁特殊部隊員で、現在4C に所属している福田は警視庁時代からの部下。ビールと柿の種が好物。
 現在はバーのオーナーとなっており、店内にTEAM X のメンバーと千翼を住まわせている。アマゾン狩りの動向は今も気にしており、再び三崎と望を呼び寄せ自身もアマゾン狩りを始める。正体は明らかにされていないが、武器の調達などを援助している人物がいる。

高井 望 …… 宮原 華音(21歳)
 旧駆除班の紅一点。27歳。三崎からのニックネームは「のんちゃん」。ぶっきらぼうで男勝りな性格で、志藤並みに毒舌で口が悪く女性らしさも皆無に等しいが、内面は優しい心の持ち主。

三崎 一也 …… 高木 勝也(30歳)
 40歳。口髭をたくわえた飄々とした男性。元詐欺師で、多額の借金により追われる身となったことから旧駆除班に入っていた。

マモル(モグラアマゾン)…… 小林 亮太(18歳)
 かつて「M」の識別コードで野座間製薬に管理されていたアマゾン。
 シーズン1のトラロックから生き残ったアマゾンたちと共に、Aroma Ozone の水源を調査しに来た駆除班の前に現れ、溶原性細胞によりアマゾンとなった者を仲間として迎え、人間を狩ろうとしていることを明かした。しかし自身は三崎の腕を食したことがトラウマとなり、食人ができなくなっている。
 5年前と比べて、言動にかつての無邪気さと純粋さが感じられなくなり、大人びた雰囲気を放つようになった。悠に対しても、以前のような単純な仲間意識ではなく「守りはしてくれるが、戦ってはくれない。」と不満を持っており、仲間のアマゾンたちを狩る仁を殺すことが出来なかった悠を強く批難し、信用しなくなっている。
 シーズン2では、それまでの5年間の戦闘によって全身の筋力が増大し、両肩のアーマーも羽根のように大きく硬く成長してパワーアップしている。また、マモルのすさんだ精神状態を表現するため、狂気をイメージしたサイケデリックなカラーリングになっている。

島田(スズメバチアマゾン)…… 西 祐一郎(33歳)
 シーズン1のトラロックから生き残ったアマゾンたちと共にマモルに従って行動する、眼鏡をかけた男性。人間と敵対するが、マモルやカオリと同様になんらかの心理的要因から食人ができない身体になっている。

カオリ(アリアマゾン)…… 中村 有沙(24歳)
 シーズン1のトラロックから生き残ったアマゾンたちと共にマモルに従って行動する、ロングヘアの女性。人間と敵対するが、マモルや島田と同様になんらかの心理的要因から食人ができない身体になっている。

鷹山 仁(仮面ライダーアマゾンアルファ)…… 谷口 賢志(まさし 39歳)
 シーズン1のもう1人の主人公。43歳。元・野座間製薬特殊研究開発本部の細胞生物学者で、爆発事故により実験体アマゾンの逃亡を許す事態となってしまったことに責任を痛感し、全てのアマゾンを葬り去るため、自らの身体にアマゾン細胞を移植し後天的にアマゾンとなった。
 シーズン2でも引き続きアマゾン狩りを行い、悠とも衝突しているが、目が白濁し変身前後を問わず視力が著しく低下している。そのために戦闘スタイルも、自身へのダメージをも厭わない力任せで荒々しいものに変化している。

泉 七羽(ななは)…… 東 亜優(26歳)
 仁の最愛のパートナー。30歳。徹底的に透徹した精神を持つ現実主義者。トラロックで生き残ったアマゾン狩りのために放浪する仁を持ち前のサバイバル技術でサポートしつつ、仁のトラロックによる後遺症が全快するまで介抱していた。

水澤 令華 …… 加藤 貴子(46歳)
 48歳の女性。野座間製薬株式会社特殊研究開発本部長に就いており、アマゾンプロジェクト最重要責任者だった。
 トラロック後に野座間製薬が4C への出資などの理由で経営難に陥り、事業の縮小や多額の賠償金で生活が困難になったため、悠がいた時代の自宅を売却した。その一方で野心はまだ失っておらず、天条と協力し旧駆除班のバックアップや溶原性細胞オリジナル態の調査を行っている。

天条 隆顕 …… 藤木 孝(77歳 2020年没)
 野座間製薬の会長である男性。80歳。現在は老衰が進み病床に臥せっている。ほとんど寝たきりになりながらも相変わらず生物としてのアマゾンの可能性に憑りつかれており、令華や元駆除班たちに裏から支援を行っている。

ヒョウアマゾン1
 溶原性細胞に感染した元人間のアマゾン。TEAM X のアマゾン狩りに選ばれる。普段は警察官の姿をしている。俊足で追い詰め、両腕にあるクローで敵を仕留める。

クワガタアマゾン …… 白井 珠希(31歳)
 溶原性細胞に感染した元人間のアマゾン。結婚式場の花嫁が式の最中に発症し、花婿や参列者たちを食い殺した。腰部などから長い肢を伸ばして敵を捕らえ、先端にある爪で攻撃する。
 デザイン発注時に生物的モチーフが指定されていた唯一の新種アマゾン。花嫁のアマゾンであるため、ベールとウェディングドレスを着たクワガタの怪人としてデザインされた。

カマキリアマゾン1
 溶原性細胞に感染した元人間のアマゾン。結婚式場の参列者の女性が変身する。両手にある鋭利な鎌で敵を引き裂く。

サイアマゾン1
 溶原性細胞に感染した元人間のアマゾン。結婚式場の参列者の女性が変身する。体重を活かした突進で敵に頭部の角を突き立てる。

ヘビアマゾン1
 溶原性細胞に感染した元人間のアマゾン。結婚式場の参列者の女性が変身する。右腕が蛇の尻尾状になっており、鞭のようにして相手を攻撃する。

ウニアマゾン
 溶原性細胞に感染した元人間のアマゾン。Aroma Ozone の営業所を調査しようとした青山隊とイユの前に現れた。サラリーマンのスーツを着ている。身体を球体状に丸め、空中を高速で飛行する攻撃を得意とする。
 全身から尖ったトゲが突き出て服が破れているようにデザインされ、ムラサキウニやバフンウニのイメージで構成されている。

野乃森院長(ゾウアマゾン)…… 川嶋 秀明(48歳)
 溶原性細胞に感染しアマゾン化した、野乃森耳鼻科の院長。長い鼻からチューブ状の器官を伸ばし、人間の耳に挿して脳髄を吸う。駆除しようとする千翼とイユとの戦闘になるが、食いかけていた人間を千翼に差し出したことで食人衝動を芽生えさせ、その隙に逃走する。
 パートナーであるゾウムシアマゾンとの対比としてマッシブなデザインになっている。

ゾウムシアマゾン
 溶原性細胞に感染しアマゾン化した、野乃森耳鼻科の看護師。長く伸びた口先からチューブ状の器官を伸ばし、人間の耳に挿して脳髄を吸う。駆除しようとする千翼とイユと戦う。
 ナース服を着たアマゾンであるため、角張った感じにならないようにシンプルなデザインとなった。

周也(バラアマゾン)…… 藤本 涼(33歳)
 溶原性細胞に感染した元人間のアマゾン。全身に咲いているバラの花びらをギロチンのように鋭利にして人間の体を切り裂き、頭部を好んで食する。また、右腕のツタはハサミのようになり、敵を切り刻む。
 Tuberose に勤務する婚約者のエミリが客を殺害し、アマゾン化した彼の棲むアパートに遺体の頭部を運んでいた。エミリの殺人が4C の藤尾隊に嗅ぎつけられたことで正体が判明し、4C を迎え撃つ。エミリを誤射した藤尾隊に逆上し、ほぼ全員を虐殺したところで駆けつけた千翼とイユと戦闘になるが、モグラアマゾンに変身したマモルに助太刀され逃走した。
 アマゾンでは初の植物モチーフ。高貴なバラのイメージを意識する一方で、触手の不気味さも合わせてデザインされている。

エミリ …… 落合 恭子(29歳)
 美容室 Tuberoseに勤務する美容師の女性。溶原性細胞に感染しバラアマゾンと化した婚約者の周也のために、来店する客を殺害してはその頭部を食料として提供していた。

サイアマゾン2
 溶原性細胞に感染した元人間のアマゾン。普段は他の2体のアマゾンと共に只野解体工業の作業員の姿をしており、閉園したふれあい動物パークの敷地内を拠点として近隣の人間を無差別に拉致し捕食していた。

ヒョウアマゾン2
 溶原性細胞に感染した元人間のアマゾン。普段は他の2体のアマゾンと共に只野解体工業の作業員の姿をしており、閉園したふれあい動物パークの敷地内を拠点として近隣の人間を無差別に拉致し捕食していた。
 スーツはヒョウアマゾン1を黒く塗り直したもの。

カマキリアマゾン2
 溶原性細胞に感染した元人間のアマゾン。普段は他の2体のアマゾンと共に只野解体工業の作業員の姿をしており、閉園したふれあい動物パークの敷地内を拠点として近隣の人間を無差別に拉致し捕食していた。

ヘビアマゾン2
 溶原性細胞に感染した、赤松隊の隊員の一人が変異したアマゾン。札森は千翼がアマゾン態となって暴走した際に飛び散った体液から感染したと推測している。


作中の専門用語
アマゾン
 シーズン2では、シーズン1から登場している実験体アマゾンに加えて、溶原性細胞が人に感染してアマゾンと化した新種のアマゾンが登場する。
 溶原性細胞の感染によりアマゾン化した者は、変身しても人間時に着用していた衣服がそのまま残ること、致命傷を受けて死亡しても肉体の溶解が起きず、黒く変色した死体が残ること、電気や対アマゾンガスによる攻撃は効かず、物理的な攻撃しか通用しないこと、人体の特定の部位を食すのを好むことといった点が、実験体アマゾンと異なる。発症すると自身にとって大切な人物や親しい者を最初に捕食しようとする傾向がある。
 新種アマゾンのデザインは、共通のコンセプトとして衣服を着ている。新種アマゾンの発注は生物モチーフではなく、警官アマゾンや医者アマゾンなど職業名や人物で指定されていたため、デザインを担当した小林大祐は生物的モチーフの選定から行わなければならず苦労したと語っている。

野座間製薬株式会社
 国内トップレベルの大手製薬会社。長年にわたりアマゾン細胞を研究開発していたが、現在は実験体アマゾン流出の責任が明るみに出て多額の賠償金を負っている。そのため事業も縮小し、トラロック事件の補償金と4C への出資によって経営が一気に悪化した。

旧駆除班
 5年前まで最前線でのアマゾン駆除を請け負っていた特殊部隊。高額の報酬と引き換えに雇われたプロの傭兵たちが所属していた。4C の創設にあたり旧駆除班は解散となっていたが、志藤の呼びかけによってマモルや悠、福田を除くメンバーが再集結し、TEAM X のヒロキを加え活動を再開する。4C の黒崎隊長からは「中古車チーム」と揶揄されている。志藤が所有する地下式クラブ「 latin club leon」を拠点とする。

溶原性細胞
 新種のアマゾン細胞。感染することで人間をアマゾン化させる。溶原性細胞に感染した者が発症すると体表に黒い腫瘍が浮かび上がり、理性も喪失する。悠によると、アマゾン細胞と人間の遺伝子がある条件を満たすことで変異したものとされている。また、人間の体内に入っても特定の条件を満たさなければ感染した者をアマゾン化させることはない。溶原性細胞はウイルスよりも大きいが、水分がなければすぐに死滅する。ゆえに接触感染や空気感染での二次感染は起こりにくいことから、橘は溶原性細胞の感染源が同一であると推測。調査の結果「 Aroma Ozone(アロマオゾン)」というメーカーが展開していた業務用ウォーターサーバーの水に溶原性細胞が含まれることが判明し、感染者は万単位と推測している。

4C(フォーシー)
 野座間製薬と日本政府の共同出資によって新たに設立された、対アマゾン用の特務機関特定有害生物対策センター( Competitive Creatures Control Center)の略。当初はアマゾンの残党狩りが目的だったが、溶原性細胞による新種のアマゾンが出現した後は、これに対応する任務に就くようになった。ノザマペストンサービスの旧駆除班よりも規模が拡大され、「黒崎隊」をはじめとする複数の駆除部隊や機動部隊、情報部などが存在する。局長は橘が務めており、加納は橘の秘書となっている。千翼の復帰まではアマゾンの気配を探知できるメンバーが不在だったためにアマゾンへの対処が後手に回りがちで、「政府より市民( TEAM X)の方がちゃんとアマゾン狩りをしている。」と揶揄されていた。

黒崎隊
 黒崎武が率いる4C のアマゾン駆除部隊。主要メンバーに札森や福田たちが所属し、アマゾンであるイユや千翼も配属され、後に美月も編入される。

赤松隊
 赤松竜二が率いる4C きってのエリート駆除部隊。

圧裂弾
 4C が扱う対アマゾン用の兵器。一撃でアマゾンを確実に粉砕する威力を持ち、一体のアマゾンに命中するとそのアマゾンから弾丸の中の起爆性が非常に高い成分が拡散され、他のアマゾンにも命中し大爆発する。その脅威的な破壊力から、市街地での使用は禁止されている。

TEAM X(チームキス)
 千翼が所属している若者たちの不良集団。フォロワー数は500万人を超え、アマゾンを狩る様子を実況した動画をネット上にアップしては、多額のアフィリエイト収入を得ている。アマゾンである千翼の能力によって4C よりもアマゾンを発見しやすいため、黒崎隊は彼らの動向を追うことでアマゾンのいる現場を特定していた。
 千翼の居場所を特定した4C によってスマホやバイクを破壊され、千翼の離脱とタクがヒヒアマゾン化して駆除されたこと、そのタクに襲われて片足を失ったケンタの入院、五体満足で生き残ったヒロキが志藤の旧駆除班入りを志願したことによって事実上の解散となる。
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