どうもこんばんは~いっと。そうだいでございます。みなさま、今日もお疲れさまでした!
え~っと……今、11月の22日ですか。
このアルバムがリリースされたのって、いつだったっけな。(CD ジャケットの裏を確かめて)……9月25日って、プリントされてますね。
……2ヵ月後にレビューかよ!! いったいどこのどなたが読んでくれるんだよ、こんな記事ぃい~。
でも、いいんですよ、個人ブログなんですからね。自分が満足すればいいんでい! そして、もはや残り1週間さえもきってしまったモーニング娘。の日本武道館コンサートに間にあえば、まぁいいのだ。
ほんじゃま、雄々しく参りましょう、音楽にまったく通暁していない人間がへなちょこな言い回しで送ります、音楽アルバムレビュー!!
あの、言うまでもないことですが、レビューするにあたりましては、あくまでも「わたくし個人の価値観」にのっとりまして、オリジナルバージョンと今回の「updated バージョン」とで、どっちのほうが好きだとかということは、言っちゃいます! 言うけど……それで怒ったりしないでね? 記載した情報に私の勘違いがあったら、ごめんなさい!
なんかもう、このアルバム、ネット上のいたるところで、きわめて詳細で素晴らしいレビューとか、賛否両論の議論が花ざかりじゃん?
そんな中、遅れに遅れてこれをアップする理由がアップする本人にもわからない状態なんですが……やっぱ、しいて挙げるのならば、2013年に満を持してこの作品をを世に問うたモーニング娘。とつんく♂さんへの敬意と愛情しかありませんよね、原動力なんて。
っちぇなわけで、いってみよ~う♪
『The Best!Updated モーニング娘。』収録曲
全作詞&作曲・つんく♂
1、『 LOVE マシーン updated 』
……7thシングル(1999年9月リリース)のニューバージョン
のっけからラスボスを相手にしてしまいました!
言うまでもなく、モーニング娘。というグループが本格的にブレイクする起点となった、2013年現在にいたる永き歴史のいしずえとも言える名曲であります。これに現メンバー10名が挑戦!
オリジナル版は無論、マッキングゴールドこと後藤真希エースが初参加した作品であるわけなのですが、それ以上に、1・2期メンバーの低音のきいたヴォーカルのつるべ打ちという感じで、あらためて聴くとびっくりするくらいにアダルトな雰囲気になっています。さすがは、初代リーダー・中澤裕子体制。
そんなオリジナル版に引き比べて今回の updated バージョンを聴いてみると、確かにモーニング娘。という集団が「ヴォーカルダンスグループ」から「アイドルグループ」に変身したという証拠が確かめられるような気がして感慨深いものがあります。
つまりは、歌声が隠しようもなくキャピキャピして若返っているということになるのですが、それでも器用に、いつもよりもやや低めの音程をマスターしている現メンバーの相性のよさは、さすがと言うほかありません。歴史的名曲へのチャレンジにもまったく動じずにおのれを貫き通している第8代リーダー・道重さゆみさんの一発でわかる合いの手もさることながら、鞘師、譜久村、鈴木、そして工藤さんといった面々がちゃんと個性を出しているのがとてもいいですね。
結局、この曲はある程度の「年齢的あせり」が似合う世代の歌声がむちゃくちゃフィットする応援歌であると思いますので、それをまだまだ若いアイドルグループが唄うこと自体が不思議な話になるわけなんですが、この曲、もともとオリジナル版がピコピコサウンド中心なもんだから updated バージョンにそれほど新奇さがなくて、最終的には好みの問題になっちゃうんですよね。低音の魅力か、若さか!
まぁ、そうなったらやっぱ、updated バージョンに軍配を上げるほかはないわな。無理を申すのならば、また5年後くらいに唄いなおしたら、完勝できるはず! 工藤さんなんか、どうなってんだろうなぁ。
2、『 I WISH updated 』
……10thシングル(2000年9月リリース)のニューバージョン(9~11期メンバーの歌唱)
オリジナル版は、のちに第4代リーダーとなる吉澤ひとみさんを輩出した第4メンバー4名が初めてソロパートを受け持った本格的なデビュー曲でありますが、全体的に見れば、当時人気絶頂にあったエース格の後藤真希さんをメインヴォーカルにすえた、いわば「ごっちん包囲網」のようなパート布陣になっていました。敵味方ってわけじゃないけど、しっかり闘ってます。ただし、かなりあどけなさの残る、ど頭とどラストでの加護亜依さんのソロパートがものすごく印象的です。いつ聴いても……というか、今聴くからこそ、思わず涙が出る。
それに対して updated バージョンはといいますと、明らかに「小田さく包囲網」とでも言うべきパート割りになっていまして、オリジナル版の各所でごっちんと他メンバーを代表する初代リーダー・中澤裕子とのソロ合戦が展開されていた雰囲気は、そのまま小田さんと現エースの鞘師里保さんとの対峙に受け継がれていますね。
ただ、加護さんという天才的異端はいたものの、実質的には「1 VS その他」となっていたオリジナル版に対して、updated バージョンは「1 VS 9期4名 VS 10期4名」という『三国志』みたいな構図になっていまして、しかも小田・鞘師ラインの他にも鈴木・譜久村の両巨砲や工藤さんのハスキーボイスあたりがはっきり目立っているため、オリジナル版よりも唄っているメンバーの個性がはっきりわかる、実にいい updated になっていると感じました。
なので、わたくし的には、『 I WISH 』は updated バージョンのほうが好き!
でも、実は演奏の点では、明確に作品世界がグッと広がる盛り上がりが用意されているオリジナル版のほうが、幸福感がいっぱいで捨てがたいものがあるんですが……私、ヒップホップ的な「Yo!」とか「ヒャウィゴ!」みたいな合いの手が大っ嫌いなので、こっちも updated のほうがいいかな。
でも、鳴り物入りの updated の中では、この『 I WISH 』が EDM色がいちばん出てなくて地味なんですよね。歌手の個性を絶対的に信頼している目立たなさです。え……それって、道重リーダーが唄ってないから?
3、『恋愛レボリューション21 updated 』
……11thシングル(2000年12月リリース)のニューバージョン
これはもうあなた、updated バージョンの勝ちなんでないのかい!?
あらためてオリジナル版のほうを聴いてみますと、意外に落ち着いた感じというか、まだ育ちきっていない第4期の空白があるためか、10人体制だったはずなのに今ひとつ曲のノリに乗り切れていない静けさがあるんですよね。これがまた、およそ1年後の4thアルバムに収録された『恋愛レボリューション21 13人バージョン』になると格段ににぎやかになるんですけど、その成長幅の大きさがモーニング娘。の魅力の源泉であるわけなのです。
オリジナル版は、モーニング娘。前期におけるブレイク最大の功労者と言ってもさしつかえはない、ダンス☆マンによる古きよきディスコ調編曲が特徴的なのですが、うん、今回の EDM調のほうが、私は好きですね。「ぴゅわわわ~ん」とか「ぎゅぎゅぎゅいぃ~ん」といったうるさい援護射撃が合ってるような気がします。
ちょっと、鉄板で勝ちにいったという感じで、佐藤さんや生田さんあたりの冒険があんまり聴けなかったのが物足りなくもあるんですが、正調での現メンバーの元気のよさがしっかり反映されているかっこいい傑作になったと思います。ディスコでも EDMでも、どっちでも「ダサかっこいい」を狙ってるわけなんですから、方向性はもともと合ってるんですよね。勢いがあっていいんじゃないのでしょうか!
さぁ、これがこれからどんどんコンサートの現場でブラッシュアップされていくと、どういう成長ぶりを遂げていくのでありましょうか……モーニング娘。をオリジナル音源だけで知ったような気になってはいけない、そして、グループの進化の証人になる権利を持っているという自分自身の幸せを噛み締めなくてはならないという思いを新たにさせる一曲でした。薄気味悪い言い回しで申し訳ないですけど、要はコンサートがほんとに楽しみだっつうことよ!
4、『ザ☆ピ~ス! updated 』
……12thシングル(2001年7月リリース)のニューバージョン
実際にどういう結果になったのかは度外視しても、まず、この名曲に挑戦した現メンバーとつんく♂さんの胆力を評価したいですよね、なにはなくとも。
オリジナル版は第2代リーダー・飯田圭織体制になって初のシングルで、メンバー9名の個性が充分に成長し、その中でも安定の魅力をたもつ安倍なつみさんと後藤さんとのエース対決が堪能できる、パーフェクトでハイテンションな名曲となっています。終盤での、「終わった?」と見せかけてまた始まる後奏のリフレインも、実に「6回」も繰り返されるという悪ノリもいいところな演出で、まさしく「何をやっても許される」黄金期を象徴する一曲になっているわけですね。
そんな強敵に満を持して闘いを挑んだ updated バージョンだったのですが、う~ん、そんなことは決してないんでしょうけれども、全体的に「ビビッてるの?」と感じてしまうような奥ゆかしさがあるといいますか……なんか、ぶっ飛んだ歌詞に対してテンションがさほど高くないんですよね。テンションの高さでオリジナル版にかろうじて拮抗しているのは、いろんな意味で直接の「師匠」にあたる石川梨華さんの伝統ある「語り」を継承していた道重リーダーくらいでしょうか。
要するに、鞘師エースと譜久村サブリーダーの歌唱が生真面目なんですよね。誠実なのはいいんですが、ちょっとオリジナル版のはっちゃけ魂を受け継いでいるとは言いがたい硬さがあるというか。後奏のリフレインも、たったの3回でヘンな音声加工が入って打ち切られてるし。
これだったら、もっと歌声に個性のある鈴木さんや佐藤さんを思い切って前面に押し出したほうが良かったのでは……と感じてしまうものがあり、とにかく「この曲にそのパート割りですか?」という疑問が残ってしまいました。
これはもう……オリジナル版のほうがいいかな。
updated バージョンの曲調もかなり丁寧に構成されているとは思うんですが、そもそも、この EDM版の「じょじょに盛り上げていく」という計算自体がこの曲にそぐわないというか、これで、序盤から生バンドでドカンと攻めているオリジナル版に勝てるわけがないんですよね。
この、黄金期の絢爛っぷり。実は、当時は「うるせぇな。」と思って好きではなかったんですが、今となっては懐かしいですな。
5、『そうだ! We're ALIVE updated 』
……14thシングル(2002年2月リリース)のニューバージョン
今回のアルバム構成における、いわゆる「黄金期」の名曲群との激しい闘いの、ついにラストバウトとなる一曲です。
とはいえ、同じ「黄金期」とくくっても、このオリジナル版でのメンバー13名の構成するモーニング娘。は、およそ2年半前に『 LOVE マシーン』を世に問うたモーニング娘。とはまるで雰囲気の違う集団に変容しており、それは「初代リーダー・中澤裕子の勇退」と、「第4期のはるかな成長&新たなる第5期の本格的始動」が起点となった若返りと多人数化が非常に大きかったというわけだったのです。つまりは、2013年現在に続く「成長し、世代交代する少女中心のアイドルグループ」というモデルの誕生です。
そして、オリジナル版の曲全体に満ち溢れる元気の良さといちずさは……いつ聴いても胸を熱くさせるものがあります。まるで歌劇のひとくだりでもあるかのように曲調がぐいぐい変わる大曲なのですが、「努力 未来 A BEAUTIFUL STAR!」や「しっ あわせに なり~たい~♪」といったあたりのインパクトのあるフレーズが各所でキマッている、終盤までテンションがまったく落ちない名曲です。『 LOVE マシーン』から、対象が「人類全体」にまで果てしなく拡大してしまった応援歌なんですね、これ。ゆえに暑苦しくもあるんですが。
さて、これに updated バージョンがどう挑戦したのかといいますと。
「ぺっぺれ ぺっぺれ ぺっぺれ ぺ~れ♪ ぺ~っ ぺ~っ ぺ~、カモ~ナッ!!」
おお、なんだ、この、今にも『ヤッターマン』あたりが始まりそうな、力の抜けきった間奏は!
なるほど。ひたすら熱いオリジナル版に対して、みごとに斜めにいった変化球のような脱力系! 確かに、こっちのラフさのほうが現メンバーに似合いそうでいいですね。
ただし、この曲を聴き比べて痛感したのは、現メンバーには、かつての第1~5期あたりがそのクソ度胸をつちかうこととなった伝説のバラエティ番組『ハロー!モーニング。』、特にコントコーナー『ハロモニ。劇場』あたりの、「おもしろいかどうかわかんないけど、やります!!」という、「死地から生まれる底なしの明るさ」を身につける機会が絶対的に少ないんじゃなかろうか、ということでした。
もちろん、現メンバーだって当時に劣らない忙しさでお仕事をこなしているでしょうし、当時以上に大変な内容の現場にも幾度も立っていることでしょう。しかし! その地獄のような日々を逆に原動力にして、「笑い」に昇華してしまおうというウェルメイドなバラエティ番組は必ずや、本人たちのスター性をぐんと開花させる大いなる逆境になるはずなのです。現場報告メインのファンクラブ会報みたいな番組だけじゃあダメ、ゆるいトークバラエティだけでもダメ!
だって見てみてよ、あの第4期の異常な成長速度のはやさを。あれはご本人たちの天才性だけじゃないはずですよ。世の中のみなさんにキャラクターを憶えてもらうためにも、全然別のおちゃらけたキャラを演じているようで、実は「素の自分」がはっきりさらけ出されてしまうコントって、ほんとにいいんですよ! 歌唱力がないメンバーでもどんどん前に出られるし。ねぇ、チャーミーさん!?
保田圭さんに匹敵する迫力を持つ鈴木香音さんがいるのは、よくわかりました。でも現メンバーには、吉澤ひとみさんにあたるグループ全体のムードメイカーがまだ出てきていないような気がするんですよね。かなり競り合いましたが、やっぱりオリジナル版のほうが好きかなぁ。
6、『 THE マンパワー!!! updated 』
……25thシングル(2005年1月リリース)のニューバージョン
安倍なつみさんと後藤真希さんという伝説的両エースがグループを去り、いよいよ「勢い」だけには頼っていられない新時代に突入したモーニング娘。の、まるでこれからの波風の高い未来を予兆するかのような2005年ドあたまの「怪曲」こそが、このオリジナル版であります。
あっ、何を今さらですが、東北楽天ゴールデンイーグルスさん、2013年日本一、まことにおめでとうございます!
その8年前に世に出た、ゴールデンイーグルスの「初代公式応援歌」こそが、他ならぬこれであったのですが……
正直言いまして、私はこのオリジナル版が、モーニング娘。の全楽曲の中で最も「好きくない」曲なんですよねぇ~。嫌いとは言わないけどさぁ、捨て曲とは言わないけどさぁ、といった感じです。まさか、私個人が東北地方の出身だということも潜在意識化で関係しているのだろうか?
ともかく、これが出たときは「あぁ、モー娘。も《検閲削除》たなぁ。なんでイメージソングじゃなくて公式応援歌なんだ? こんなお経みたいな歌、誰が唄うか!!」などと、ネガティヴな印象しか受けなかったものでした。
バランスが難しいかとは思うんですが、シングル A面曲というものは、やっぱりある程度はリリースされた瞬間に心をグッとつかむ即効性が必要になると思うんです。それがハッタリなのだとしても。
この曲、「あとで聴いたら意外といい」とか、「じわじわくる中毒性がある」とかいう遅効性成分しか配合されてないんだもんねぇ。こんなの、毒だったら絶対に2時間サスペンスドラマに出られねぇぜ!? 効いてくる前にドラマ終わっちゃうんだもの。
前の『そうだ! We're ALIVE 』ではうまくいっていた「歌詞のあいまいさ」も、こっちではけっこう、悪いほうにいっちゃってるような気がするし。ドライな曲調がとにかく他人事感満載で、な~んか元気がもらえないというか。当時のMV では、メンバー12名が「勝利の女神」みたいな衣装を着て踊ってましたが、女神さまって、あんなにビジネスライクな応援しかしないんけ? まぁ、そっちのほうが敵味方に公平で神さまっぽいけど。
まぁ、そんなこんなで、それが「曲だけの評価になっていない」という、多分に不当なものであることは私本人も十二分に理解してはいるのですが、かなり悪い印象しか持てていないこの『 THE マンパワー!!!』。オリジナル版と updated バージョンとの対決はどうなったかっつうと。
うん、これはオリジナル版の勝ちだな。その根拠は、「メインを張っているツインボーカルの気合い覚悟の度合い」。これだけかと思われます。もともとがテクノなんですから、EDM になってもあんまり差がなくてボーカルの争いになっちゃうんですよね。このアルバムの中でも、特にアレンジ色がうすい一曲だと感じました。
だとしたら、なんでまたこんな曲をつんく♂さんは updated リストにピックアップしたのか? それはもう、オリジナル版の収録時に見られた、火花が散りまくってスタジオがボヤさわぎになりそうな、当時の「をんなの一騎打ち」の空気を現メンバーに体感してほしかったからだったのではないのでしょうか。さすがは、ミュージシャン出身のプロデューサー!
オリジナル版の「2005年における高橋愛 VS 藤本美貴」と、 updated の「2013年における鞘師里保 VS 小田さくら」。どっちの対決のほうがアツいのかっつうと……言わずもがな、ですよね。
スター性とか歌唱力で両者を比較するのは、 updated のほうに圧倒的な不利があると思います。いや、にしても鞘師さんをさしおく勢いでこの曲をモノにしている小田さんの成長率がとんでもないんですが、モノにした上でしっかり自分の個性を主張しあっているオリジナル版のおふたかたには大きく譲るものがあるでしょう。
なんてったって「2013年時点」。つまりは、どちらも2001年デビューだったオリジナル版ペアにたいして1~2年のキャリアの幼さがある updated ペアなんですから、テクニックで比較するのは酷というものかと。私がもっと重要にとらえたいのは、この曲を歌唱するメインボーカルとしての「緊張感」の差なんです。
かたや、「あらかた知ってる人もいなくなってきたし、そろそろ終わりだろうなぁ。」という、世間の冷めた空気を肌身で感じるなか、新年1発目のシングル A面曲として世に出たグループ史上類を見ない異色作。かたや、特にアルバムの看板というわけでもなく、収録曲のひとつとして唄いなおされた珍味。
これはもう、大学入試一次試験と中間テスト、または、1954年の初代ゴジラと『ゴジラ対メガロ』のゴジラほどの差があるんじゃなかろうか。ご本人たちの実力の問題ではなく、背負っているものの重さの話でちょっと勝負にならない、ということだと思うんです。
この曲も、2~3年後にまた唄われたらおもしろいんだろうなぁ!
7、『歩いてる updated 』
……31stシングル(2006年11月リリース)のニューバージョン(道重さゆみのソロ歌唱)
まさに、「そうきたかぁ!!」という updated バージョンですね。ソロかぁ! でも、ソロだよなぁ、やっぱ。
オリジナル曲は、第4代リーダー・吉澤ひとみ体制下での唯一のオリコンシングルチャート首位獲得タイトルであり、これと、第5代リーダー・高橋愛体制で同じく唯一の首位獲得タイトル『しょうがない夢追い人』(39thシングル 2009年5月リリース)と比較すると、それぞれの時代のグループの「色」がほの見えてくるようで非常に興味深いですね。私はつねづねプラチナ、プラチナ言ってますけど、吉澤時代も、いいんですよね……この時期があったから高橋時代の実力が育って、ひいては今現在のモーニング娘。があるわけなのです。
この曲を聴けば、どうして今現在のモーニング娘。があれほどまでに「ダサい」とか「K-POP みたい」とかと言われている EDM路線を維持しているのか? という疑問の答えのひとつが理解できるのではないのでしょうか?
つまり、歌唱力とはまた別のお話で、声質やくせに独特な「現実感のなさ」がありすぎる道重リーダーという存在が、最もムリなく生きることができる世界、それこそが EDMの軽く、なつかしく、どこかに「現実逃避」のうしろめたさのある「隠れ里」のようなささやかな聖域だったのではないのかと。
そういえば、日本の歴史の中でもひときわ「隠れ里」としてのリアリティを持っていたという、江戸時代における「隠れキリシタンの村」は、江戸幕府の崩壊後に本場のカトリック教徒が来日して、その250年以上にわたる辛酸の労苦をねぎらうために訪れたものの、子孫代々に受け継がれた命がけの「伝言ゲーム」の繰り返しの結果、もはやカトリックとはまったく別の「異教」のレベルにまで変質してしまっていたのだそうです。
それと同じで、モーニング娘。の EDM路線も、本場海外の「EDM」というものとはまったく別の種類の音楽になっているのだとか。ナンをちぎって食べる本格インドのカレー料理と、丸美屋の「ドキドキ!プリキュア カレー ポーク&野菜 甘口」ほどの違いというべきか。
ともかく、今の「さゆルビー期(また使ったった!)」の本質のひとつがはっきりと垣間見える一曲になったと聴きましたし、モーニング娘。と道重さゆみの歩みを知れば知るほど「泣ける」感動作になっていると思います。前の『 THE マンパワー!!!』とはまた別の理由で勝負にならないオリジナル版と updated バージョンなのですが、ここはやっぱり updated のほうに軍配を上げたいと思います。
あっぱれ道重さゆみ、天下一のアイドルふるつわものよ。
8、『恋愛ハンター updated 』
……49thシングル(2012年4月リリース)のボーカルアップデートバージョン
9、『 One・Two・Three updated 』
……50thシングル(2012年7月リリース)のボーカルアップデートバージョン
10、『ワクテカ Take a chance updated 』
……51stシングル(2012年10月リリース)のボーカルアップデートバージョン
11、『 Help me!! updated 』
……52ndシングル(2013年1月リリース)のボーカルアップデートバージョン
12、『ブレインストーミング updated 』
……53rdシングル(2013年4月リリース)のボーカルアップデートバージョン
13、『君さえ居れば何も要らない updated 』
……53rdシングルのボーカルアップデートバージョン
14、『わがまま 気のまま 愛のジョーク』
……54thシングル(2013年8月リリース)
別に、字数がかさんできたからいっしょくたにまとめちゃうわけじゃあないんですが、これらの7曲はひっくるめてまとめちゃいましょう。
「そんなに、田中エース色をやっきになって消そうとしなくてもいいじゃないか!」
まぁ、将来的にいつか「シングルコンプリート集」とか「 updated じゃないほうを収録したベスト盤」が出る可能性も充分にあるかと思うので別にかまわないんですが、私そうだいは非常に古い種類の人間ですので、やっぱりその、長年にわたってグループのエース格として活躍し続けてきた田中れいなさんの功績を讃えるような内容のオリジナルフルアルバム……あったほうが良かったと思うんですよね。
その雰囲気が、今回の『 updated 』のばたばたでまるごと払拭されちゃったからねぇ。なんか不憫のような気がして。
でも、今回の updated のおかげで突如として発生した、広大な「れいなパート」という沃野を争奪する9・10・11期メンバーの映画『清須会議』みたいな熾烈な争いが、聴けば聴くほどものすごくおもしろいですね。田中信長、本能寺の変にたおれる!
さぁ、秀吉になるのは一体、誰なのでしょうか? 盛り上がってまいりました!!
15、『ウルフボーイ』
……アルバムオリジナル曲
好きだなこの曲、なぜかわからん!!
ということで、いよいよラストの『ウルフボーイ』についてと、アルバム全体に関する総まとめ、そして、余力があったら「おまけ」みたいなものは、またまた先送りの次回ということで!
うわ~ん、まだ終わんないよう! これ、愛情の大きさがうんぬんとかじゃなくて、ほんとに私の文章力の問題よ。
♪わぁかぁっちゃ いぃるけぇど やぁめらぁれない
あ、そーれ!!
え~っと……今、11月の22日ですか。
このアルバムがリリースされたのって、いつだったっけな。(CD ジャケットの裏を確かめて)……9月25日って、プリントされてますね。
……2ヵ月後にレビューかよ!! いったいどこのどなたが読んでくれるんだよ、こんな記事ぃい~。
でも、いいんですよ、個人ブログなんですからね。自分が満足すればいいんでい! そして、もはや残り1週間さえもきってしまったモーニング娘。の日本武道館コンサートに間にあえば、まぁいいのだ。
ほんじゃま、雄々しく参りましょう、音楽にまったく通暁していない人間がへなちょこな言い回しで送ります、音楽アルバムレビュー!!
あの、言うまでもないことですが、レビューするにあたりましては、あくまでも「わたくし個人の価値観」にのっとりまして、オリジナルバージョンと今回の「updated バージョン」とで、どっちのほうが好きだとかということは、言っちゃいます! 言うけど……それで怒ったりしないでね? 記載した情報に私の勘違いがあったら、ごめんなさい!
なんかもう、このアルバム、ネット上のいたるところで、きわめて詳細で素晴らしいレビューとか、賛否両論の議論が花ざかりじゃん?
そんな中、遅れに遅れてこれをアップする理由がアップする本人にもわからない状態なんですが……やっぱ、しいて挙げるのならば、2013年に満を持してこの作品をを世に問うたモーニング娘。とつんく♂さんへの敬意と愛情しかありませんよね、原動力なんて。
っちぇなわけで、いってみよ~う♪
『The Best!Updated モーニング娘。』収録曲
全作詞&作曲・つんく♂
1、『 LOVE マシーン updated 』
……7thシングル(1999年9月リリース)のニューバージョン
のっけからラスボスを相手にしてしまいました!
言うまでもなく、モーニング娘。というグループが本格的にブレイクする起点となった、2013年現在にいたる永き歴史のいしずえとも言える名曲であります。これに現メンバー10名が挑戦!
オリジナル版は無論、マッキングゴールドこと後藤真希エースが初参加した作品であるわけなのですが、それ以上に、1・2期メンバーの低音のきいたヴォーカルのつるべ打ちという感じで、あらためて聴くとびっくりするくらいにアダルトな雰囲気になっています。さすがは、初代リーダー・中澤裕子体制。
そんなオリジナル版に引き比べて今回の updated バージョンを聴いてみると、確かにモーニング娘。という集団が「ヴォーカルダンスグループ」から「アイドルグループ」に変身したという証拠が確かめられるような気がして感慨深いものがあります。
つまりは、歌声が隠しようもなくキャピキャピして若返っているということになるのですが、それでも器用に、いつもよりもやや低めの音程をマスターしている現メンバーの相性のよさは、さすがと言うほかありません。歴史的名曲へのチャレンジにもまったく動じずにおのれを貫き通している第8代リーダー・道重さゆみさんの一発でわかる合いの手もさることながら、鞘師、譜久村、鈴木、そして工藤さんといった面々がちゃんと個性を出しているのがとてもいいですね。
結局、この曲はある程度の「年齢的あせり」が似合う世代の歌声がむちゃくちゃフィットする応援歌であると思いますので、それをまだまだ若いアイドルグループが唄うこと自体が不思議な話になるわけなんですが、この曲、もともとオリジナル版がピコピコサウンド中心なもんだから updated バージョンにそれほど新奇さがなくて、最終的には好みの問題になっちゃうんですよね。低音の魅力か、若さか!
まぁ、そうなったらやっぱ、updated バージョンに軍配を上げるほかはないわな。無理を申すのならば、また5年後くらいに唄いなおしたら、完勝できるはず! 工藤さんなんか、どうなってんだろうなぁ。
2、『 I WISH updated 』
……10thシングル(2000年9月リリース)のニューバージョン(9~11期メンバーの歌唱)
オリジナル版は、のちに第4代リーダーとなる吉澤ひとみさんを輩出した第4メンバー4名が初めてソロパートを受け持った本格的なデビュー曲でありますが、全体的に見れば、当時人気絶頂にあったエース格の後藤真希さんをメインヴォーカルにすえた、いわば「ごっちん包囲網」のようなパート布陣になっていました。敵味方ってわけじゃないけど、しっかり闘ってます。ただし、かなりあどけなさの残る、ど頭とどラストでの加護亜依さんのソロパートがものすごく印象的です。いつ聴いても……というか、今聴くからこそ、思わず涙が出る。
それに対して updated バージョンはといいますと、明らかに「小田さく包囲網」とでも言うべきパート割りになっていまして、オリジナル版の各所でごっちんと他メンバーを代表する初代リーダー・中澤裕子とのソロ合戦が展開されていた雰囲気は、そのまま小田さんと現エースの鞘師里保さんとの対峙に受け継がれていますね。
ただ、加護さんという天才的異端はいたものの、実質的には「1 VS その他」となっていたオリジナル版に対して、updated バージョンは「1 VS 9期4名 VS 10期4名」という『三国志』みたいな構図になっていまして、しかも小田・鞘師ラインの他にも鈴木・譜久村の両巨砲や工藤さんのハスキーボイスあたりがはっきり目立っているため、オリジナル版よりも唄っているメンバーの個性がはっきりわかる、実にいい updated になっていると感じました。
なので、わたくし的には、『 I WISH 』は updated バージョンのほうが好き!
でも、実は演奏の点では、明確に作品世界がグッと広がる盛り上がりが用意されているオリジナル版のほうが、幸福感がいっぱいで捨てがたいものがあるんですが……私、ヒップホップ的な「Yo!」とか「ヒャウィゴ!」みたいな合いの手が大っ嫌いなので、こっちも updated のほうがいいかな。
でも、鳴り物入りの updated の中では、この『 I WISH 』が EDM色がいちばん出てなくて地味なんですよね。歌手の個性を絶対的に信頼している目立たなさです。え……それって、道重リーダーが唄ってないから?
3、『恋愛レボリューション21 updated 』
……11thシングル(2000年12月リリース)のニューバージョン
これはもうあなた、updated バージョンの勝ちなんでないのかい!?
あらためてオリジナル版のほうを聴いてみますと、意外に落ち着いた感じというか、まだ育ちきっていない第4期の空白があるためか、10人体制だったはずなのに今ひとつ曲のノリに乗り切れていない静けさがあるんですよね。これがまた、およそ1年後の4thアルバムに収録された『恋愛レボリューション21 13人バージョン』になると格段ににぎやかになるんですけど、その成長幅の大きさがモーニング娘。の魅力の源泉であるわけなのです。
オリジナル版は、モーニング娘。前期におけるブレイク最大の功労者と言ってもさしつかえはない、ダンス☆マンによる古きよきディスコ調編曲が特徴的なのですが、うん、今回の EDM調のほうが、私は好きですね。「ぴゅわわわ~ん」とか「ぎゅぎゅぎゅいぃ~ん」といったうるさい援護射撃が合ってるような気がします。
ちょっと、鉄板で勝ちにいったという感じで、佐藤さんや生田さんあたりの冒険があんまり聴けなかったのが物足りなくもあるんですが、正調での現メンバーの元気のよさがしっかり反映されているかっこいい傑作になったと思います。ディスコでも EDMでも、どっちでも「ダサかっこいい」を狙ってるわけなんですから、方向性はもともと合ってるんですよね。勢いがあっていいんじゃないのでしょうか!
さぁ、これがこれからどんどんコンサートの現場でブラッシュアップされていくと、どういう成長ぶりを遂げていくのでありましょうか……モーニング娘。をオリジナル音源だけで知ったような気になってはいけない、そして、グループの進化の証人になる権利を持っているという自分自身の幸せを噛み締めなくてはならないという思いを新たにさせる一曲でした。薄気味悪い言い回しで申し訳ないですけど、要はコンサートがほんとに楽しみだっつうことよ!
4、『ザ☆ピ~ス! updated 』
……12thシングル(2001年7月リリース)のニューバージョン
実際にどういう結果になったのかは度外視しても、まず、この名曲に挑戦した現メンバーとつんく♂さんの胆力を評価したいですよね、なにはなくとも。
オリジナル版は第2代リーダー・飯田圭織体制になって初のシングルで、メンバー9名の個性が充分に成長し、その中でも安定の魅力をたもつ安倍なつみさんと後藤さんとのエース対決が堪能できる、パーフェクトでハイテンションな名曲となっています。終盤での、「終わった?」と見せかけてまた始まる後奏のリフレインも、実に「6回」も繰り返されるという悪ノリもいいところな演出で、まさしく「何をやっても許される」黄金期を象徴する一曲になっているわけですね。
そんな強敵に満を持して闘いを挑んだ updated バージョンだったのですが、う~ん、そんなことは決してないんでしょうけれども、全体的に「ビビッてるの?」と感じてしまうような奥ゆかしさがあるといいますか……なんか、ぶっ飛んだ歌詞に対してテンションがさほど高くないんですよね。テンションの高さでオリジナル版にかろうじて拮抗しているのは、いろんな意味で直接の「師匠」にあたる石川梨華さんの伝統ある「語り」を継承していた道重リーダーくらいでしょうか。
要するに、鞘師エースと譜久村サブリーダーの歌唱が生真面目なんですよね。誠実なのはいいんですが、ちょっとオリジナル版のはっちゃけ魂を受け継いでいるとは言いがたい硬さがあるというか。後奏のリフレインも、たったの3回でヘンな音声加工が入って打ち切られてるし。
これだったら、もっと歌声に個性のある鈴木さんや佐藤さんを思い切って前面に押し出したほうが良かったのでは……と感じてしまうものがあり、とにかく「この曲にそのパート割りですか?」という疑問が残ってしまいました。
これはもう……オリジナル版のほうがいいかな。
updated バージョンの曲調もかなり丁寧に構成されているとは思うんですが、そもそも、この EDM版の「じょじょに盛り上げていく」という計算自体がこの曲にそぐわないというか、これで、序盤から生バンドでドカンと攻めているオリジナル版に勝てるわけがないんですよね。
この、黄金期の絢爛っぷり。実は、当時は「うるせぇな。」と思って好きではなかったんですが、今となっては懐かしいですな。
5、『そうだ! We're ALIVE updated 』
……14thシングル(2002年2月リリース)のニューバージョン
今回のアルバム構成における、いわゆる「黄金期」の名曲群との激しい闘いの、ついにラストバウトとなる一曲です。
とはいえ、同じ「黄金期」とくくっても、このオリジナル版でのメンバー13名の構成するモーニング娘。は、およそ2年半前に『 LOVE マシーン』を世に問うたモーニング娘。とはまるで雰囲気の違う集団に変容しており、それは「初代リーダー・中澤裕子の勇退」と、「第4期のはるかな成長&新たなる第5期の本格的始動」が起点となった若返りと多人数化が非常に大きかったというわけだったのです。つまりは、2013年現在に続く「成長し、世代交代する少女中心のアイドルグループ」というモデルの誕生です。
そして、オリジナル版の曲全体に満ち溢れる元気の良さといちずさは……いつ聴いても胸を熱くさせるものがあります。まるで歌劇のひとくだりでもあるかのように曲調がぐいぐい変わる大曲なのですが、「努力 未来 A BEAUTIFUL STAR!」や「しっ あわせに なり~たい~♪」といったあたりのインパクトのあるフレーズが各所でキマッている、終盤までテンションがまったく落ちない名曲です。『 LOVE マシーン』から、対象が「人類全体」にまで果てしなく拡大してしまった応援歌なんですね、これ。ゆえに暑苦しくもあるんですが。
さて、これに updated バージョンがどう挑戦したのかといいますと。
「ぺっぺれ ぺっぺれ ぺっぺれ ぺ~れ♪ ぺ~っ ぺ~っ ぺ~、カモ~ナッ!!」
おお、なんだ、この、今にも『ヤッターマン』あたりが始まりそうな、力の抜けきった間奏は!
なるほど。ひたすら熱いオリジナル版に対して、みごとに斜めにいった変化球のような脱力系! 確かに、こっちのラフさのほうが現メンバーに似合いそうでいいですね。
ただし、この曲を聴き比べて痛感したのは、現メンバーには、かつての第1~5期あたりがそのクソ度胸をつちかうこととなった伝説のバラエティ番組『ハロー!モーニング。』、特にコントコーナー『ハロモニ。劇場』あたりの、「おもしろいかどうかわかんないけど、やります!!」という、「死地から生まれる底なしの明るさ」を身につける機会が絶対的に少ないんじゃなかろうか、ということでした。
もちろん、現メンバーだって当時に劣らない忙しさでお仕事をこなしているでしょうし、当時以上に大変な内容の現場にも幾度も立っていることでしょう。しかし! その地獄のような日々を逆に原動力にして、「笑い」に昇華してしまおうというウェルメイドなバラエティ番組は必ずや、本人たちのスター性をぐんと開花させる大いなる逆境になるはずなのです。現場報告メインのファンクラブ会報みたいな番組だけじゃあダメ、ゆるいトークバラエティだけでもダメ!
だって見てみてよ、あの第4期の異常な成長速度のはやさを。あれはご本人たちの天才性だけじゃないはずですよ。世の中のみなさんにキャラクターを憶えてもらうためにも、全然別のおちゃらけたキャラを演じているようで、実は「素の自分」がはっきりさらけ出されてしまうコントって、ほんとにいいんですよ! 歌唱力がないメンバーでもどんどん前に出られるし。ねぇ、チャーミーさん!?
保田圭さんに匹敵する迫力を持つ鈴木香音さんがいるのは、よくわかりました。でも現メンバーには、吉澤ひとみさんにあたるグループ全体のムードメイカーがまだ出てきていないような気がするんですよね。かなり競り合いましたが、やっぱりオリジナル版のほうが好きかなぁ。
6、『 THE マンパワー!!! updated 』
……25thシングル(2005年1月リリース)のニューバージョン
安倍なつみさんと後藤真希さんという伝説的両エースがグループを去り、いよいよ「勢い」だけには頼っていられない新時代に突入したモーニング娘。の、まるでこれからの波風の高い未来を予兆するかのような2005年ドあたまの「怪曲」こそが、このオリジナル版であります。
あっ、何を今さらですが、東北楽天ゴールデンイーグルスさん、2013年日本一、まことにおめでとうございます!
その8年前に世に出た、ゴールデンイーグルスの「初代公式応援歌」こそが、他ならぬこれであったのですが……
正直言いまして、私はこのオリジナル版が、モーニング娘。の全楽曲の中で最も「好きくない」曲なんですよねぇ~。嫌いとは言わないけどさぁ、捨て曲とは言わないけどさぁ、といった感じです。まさか、私個人が東北地方の出身だということも潜在意識化で関係しているのだろうか?
ともかく、これが出たときは「あぁ、モー娘。も《検閲削除》たなぁ。なんでイメージソングじゃなくて公式応援歌なんだ? こんなお経みたいな歌、誰が唄うか!!」などと、ネガティヴな印象しか受けなかったものでした。
バランスが難しいかとは思うんですが、シングル A面曲というものは、やっぱりある程度はリリースされた瞬間に心をグッとつかむ即効性が必要になると思うんです。それがハッタリなのだとしても。
この曲、「あとで聴いたら意外といい」とか、「じわじわくる中毒性がある」とかいう遅効性成分しか配合されてないんだもんねぇ。こんなの、毒だったら絶対に2時間サスペンスドラマに出られねぇぜ!? 効いてくる前にドラマ終わっちゃうんだもの。
前の『そうだ! We're ALIVE 』ではうまくいっていた「歌詞のあいまいさ」も、こっちではけっこう、悪いほうにいっちゃってるような気がするし。ドライな曲調がとにかく他人事感満載で、な~んか元気がもらえないというか。当時のMV では、メンバー12名が「勝利の女神」みたいな衣装を着て踊ってましたが、女神さまって、あんなにビジネスライクな応援しかしないんけ? まぁ、そっちのほうが敵味方に公平で神さまっぽいけど。
まぁ、そんなこんなで、それが「曲だけの評価になっていない」という、多分に不当なものであることは私本人も十二分に理解してはいるのですが、かなり悪い印象しか持てていないこの『 THE マンパワー!!!』。オリジナル版と updated バージョンとの対決はどうなったかっつうと。
うん、これはオリジナル版の勝ちだな。その根拠は、「メインを張っているツインボーカルの気合い覚悟の度合い」。これだけかと思われます。もともとがテクノなんですから、EDM になってもあんまり差がなくてボーカルの争いになっちゃうんですよね。このアルバムの中でも、特にアレンジ色がうすい一曲だと感じました。
だとしたら、なんでまたこんな曲をつんく♂さんは updated リストにピックアップしたのか? それはもう、オリジナル版の収録時に見られた、火花が散りまくってスタジオがボヤさわぎになりそうな、当時の「をんなの一騎打ち」の空気を現メンバーに体感してほしかったからだったのではないのでしょうか。さすがは、ミュージシャン出身のプロデューサー!
オリジナル版の「2005年における高橋愛 VS 藤本美貴」と、 updated の「2013年における鞘師里保 VS 小田さくら」。どっちの対決のほうがアツいのかっつうと……言わずもがな、ですよね。
スター性とか歌唱力で両者を比較するのは、 updated のほうに圧倒的な不利があると思います。いや、にしても鞘師さんをさしおく勢いでこの曲をモノにしている小田さんの成長率がとんでもないんですが、モノにした上でしっかり自分の個性を主張しあっているオリジナル版のおふたかたには大きく譲るものがあるでしょう。
なんてったって「2013年時点」。つまりは、どちらも2001年デビューだったオリジナル版ペアにたいして1~2年のキャリアの幼さがある updated ペアなんですから、テクニックで比較するのは酷というものかと。私がもっと重要にとらえたいのは、この曲を歌唱するメインボーカルとしての「緊張感」の差なんです。
かたや、「あらかた知ってる人もいなくなってきたし、そろそろ終わりだろうなぁ。」という、世間の冷めた空気を肌身で感じるなか、新年1発目のシングル A面曲として世に出たグループ史上類を見ない異色作。かたや、特にアルバムの看板というわけでもなく、収録曲のひとつとして唄いなおされた珍味。
これはもう、大学入試一次試験と中間テスト、または、1954年の初代ゴジラと『ゴジラ対メガロ』のゴジラほどの差があるんじゃなかろうか。ご本人たちの実力の問題ではなく、背負っているものの重さの話でちょっと勝負にならない、ということだと思うんです。
この曲も、2~3年後にまた唄われたらおもしろいんだろうなぁ!
7、『歩いてる updated 』
……31stシングル(2006年11月リリース)のニューバージョン(道重さゆみのソロ歌唱)
まさに、「そうきたかぁ!!」という updated バージョンですね。ソロかぁ! でも、ソロだよなぁ、やっぱ。
オリジナル曲は、第4代リーダー・吉澤ひとみ体制下での唯一のオリコンシングルチャート首位獲得タイトルであり、これと、第5代リーダー・高橋愛体制で同じく唯一の首位獲得タイトル『しょうがない夢追い人』(39thシングル 2009年5月リリース)と比較すると、それぞれの時代のグループの「色」がほの見えてくるようで非常に興味深いですね。私はつねづねプラチナ、プラチナ言ってますけど、吉澤時代も、いいんですよね……この時期があったから高橋時代の実力が育って、ひいては今現在のモーニング娘。があるわけなのです。
この曲を聴けば、どうして今現在のモーニング娘。があれほどまでに「ダサい」とか「K-POP みたい」とかと言われている EDM路線を維持しているのか? という疑問の答えのひとつが理解できるのではないのでしょうか?
つまり、歌唱力とはまた別のお話で、声質やくせに独特な「現実感のなさ」がありすぎる道重リーダーという存在が、最もムリなく生きることができる世界、それこそが EDMの軽く、なつかしく、どこかに「現実逃避」のうしろめたさのある「隠れ里」のようなささやかな聖域だったのではないのかと。
そういえば、日本の歴史の中でもひときわ「隠れ里」としてのリアリティを持っていたという、江戸時代における「隠れキリシタンの村」は、江戸幕府の崩壊後に本場のカトリック教徒が来日して、その250年以上にわたる辛酸の労苦をねぎらうために訪れたものの、子孫代々に受け継がれた命がけの「伝言ゲーム」の繰り返しの結果、もはやカトリックとはまったく別の「異教」のレベルにまで変質してしまっていたのだそうです。
それと同じで、モーニング娘。の EDM路線も、本場海外の「EDM」というものとはまったく別の種類の音楽になっているのだとか。ナンをちぎって食べる本格インドのカレー料理と、丸美屋の「ドキドキ!プリキュア カレー ポーク&野菜 甘口」ほどの違いというべきか。
ともかく、今の「さゆルビー期(また使ったった!)」の本質のひとつがはっきりと垣間見える一曲になったと聴きましたし、モーニング娘。と道重さゆみの歩みを知れば知るほど「泣ける」感動作になっていると思います。前の『 THE マンパワー!!!』とはまた別の理由で勝負にならないオリジナル版と updated バージョンなのですが、ここはやっぱり updated のほうに軍配を上げたいと思います。
あっぱれ道重さゆみ、天下一のアイドルふるつわものよ。
8、『恋愛ハンター updated 』
……49thシングル(2012年4月リリース)のボーカルアップデートバージョン
9、『 One・Two・Three updated 』
……50thシングル(2012年7月リリース)のボーカルアップデートバージョン
10、『ワクテカ Take a chance updated 』
……51stシングル(2012年10月リリース)のボーカルアップデートバージョン
11、『 Help me!! updated 』
……52ndシングル(2013年1月リリース)のボーカルアップデートバージョン
12、『ブレインストーミング updated 』
……53rdシングル(2013年4月リリース)のボーカルアップデートバージョン
13、『君さえ居れば何も要らない updated 』
……53rdシングルのボーカルアップデートバージョン
14、『わがまま 気のまま 愛のジョーク』
……54thシングル(2013年8月リリース)
別に、字数がかさんできたからいっしょくたにまとめちゃうわけじゃあないんですが、これらの7曲はひっくるめてまとめちゃいましょう。
「そんなに、田中エース色をやっきになって消そうとしなくてもいいじゃないか!」
まぁ、将来的にいつか「シングルコンプリート集」とか「 updated じゃないほうを収録したベスト盤」が出る可能性も充分にあるかと思うので別にかまわないんですが、私そうだいは非常に古い種類の人間ですので、やっぱりその、長年にわたってグループのエース格として活躍し続けてきた田中れいなさんの功績を讃えるような内容のオリジナルフルアルバム……あったほうが良かったと思うんですよね。
その雰囲気が、今回の『 updated 』のばたばたでまるごと払拭されちゃったからねぇ。なんか不憫のような気がして。
でも、今回の updated のおかげで突如として発生した、広大な「れいなパート」という沃野を争奪する9・10・11期メンバーの映画『清須会議』みたいな熾烈な争いが、聴けば聴くほどものすごくおもしろいですね。田中信長、本能寺の変にたおれる!
さぁ、秀吉になるのは一体、誰なのでしょうか? 盛り上がってまいりました!!
15、『ウルフボーイ』
……アルバムオリジナル曲
好きだなこの曲、なぜかわからん!!
ということで、いよいよラストの『ウルフボーイ』についてと、アルバム全体に関する総まとめ、そして、余力があったら「おまけ」みたいなものは、またまた先送りの次回ということで!
うわ~ん、まだ終わんないよう! これ、愛情の大きさがうんぬんとかじゃなくて、ほんとに私の文章力の問題よ。
♪わぁかぁっちゃ いぃるけぇど やぁめらぁれない
あ、そーれ!!